ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#097 『俺達の優勝カップ』

 12歳 μ月ψ日 『表彰式 俺達の優勝カップ』

 

 俺とシゲルの同時優勝という結果になり、今回は応援に来られなかったママさんやオーキド博士も電話口で大喜びしてくれた。

 特にマサラタウンの人間が二人も優勝したことは、前回のセキエイ大会以上に大きかったようで、今回は街中の人達が連日お祭りを企画しているらしい。

 

 シゲルもナナミさんに連絡を取っていたようで、「引き分けだったけど、優勝したよ」と報告している。「次は俺が勝つけどな」と茶々を入れると、「もう君の戦術は見切ったよ」と冷静に返された。それを見て、ナナミさんも「二人は相変わらずね」と笑っている。

 

 ジョウトジムリーダーズとナツメも試合後に会いに来て、「おめでとう」というお祝いの言葉をくれた。

 特にナツメは「リザードンの真の力、見せてもらった」と嬉しそうにしており、ミカンちゃんは「あのリザードンと互角に戦うなんて」とシゲルのことを尊敬の目で見ている。

 アカネは「いやー、燃えるようなバトルやったわー。こう、ぐわーっとして、かーっとなって」と、よくわからない擬音でバトルの感想を口にしていて、イブキは「また一つ、強くなったね」と大人な感想を口にしていた。

 一番辛口の感想をくれるだろうと思っていたツクシだが、「いいバトルだったんじゃない?」と澄ました顔をしている。しかし、アカネのリークによると、一番手に汗握って応援していたのはツクシらしい。どうやら照れ隠しのようだ。

 

 カントー四天王とワタルもまた、声をかけに来てくれた。ワタルなど、「あの時、俺がポケモンバトルについて教えた二人が、もうリーグ優勝か。早いな」と、過去を懐かしんでいて、カンナは「約束通りね。チャンピオンリーグも頑張って」と言ってくる。

 シバは「二人とも、いいバトルだったな」と笑っており、キクコは「オーキドの孫ねぇ。いけ好かない所が爺そっくりだよ」と、シゲルに辛口の感想を口にしていた。

 どうやらブルーは試合終了後にレッドを連れてどこかに行ってしまったようでいなかったが、代わりにイエローが「おめでとうございます! すごかったです!」とお祝いの言葉を口にしている。どうも、イエローはこれからまたタンバに戻るように言われているらしく、「このまま逃げちゃおうかな」と口にしていた。逃げても捕まりそうな気がする。

 

 ハヅキやシンゴも、優勝したことを祝ってくれた。きずなリザードンを見て驚いたようで、ハヅキが「今度は本気を出させてみせるよ」と意気込んでいる。シンゴも「あのリザードン、データ以上の力だった」と感嘆の言葉を口にしていた。

 

 いろいろともみくちゃにされたが、どうやらかなり疲労は溜まっていたらしい。

 この日はポケモンセンターでポケモンを回復させたら泥のように眠りに入り、朝にはいつも通り元気になっていた。

 

 そして、今、俺はシゲルと共に表彰台に上り、ジョウトリーグシロガネ大会の優勝カップを受け取っている。

 ただ、まさか同時優勝とは思わなかったらしく、カップは一つしかないらしい。それを見て、シゲルが「あの時と一緒だな」と笑みを浮かべた。一瞬、何のことだろうと思ったが、すぐに気づき、ピカ様にお願いして『アイアンテール』でカップを真っ二つに割ってもらう。

 

「次はチャンピオンリーグで決着をつける。これはその証――」

「「――ライバルの証だ」」

 

 互いに半分になったカップを持ち上げる。思えば、半分のモンスターボールからライバルになった俺達からすれば、半分の優勝カップで終わるのは必然だったのかもしれないな。

 だが、これで終わりではない。

 ここからまだ戦いは続く。チャンピオンリーグは約一月半後、その間にもう誰にも負けないくらいに強くなる。シゲルとの決着をつけるのはその時だ。

 

 前にも書いたが、チャンピオンリーグは各リーグの優勝者と過去四年までの優勝者が参加する魔境のリーグだ。

 基本的に各地方リーグは俺の知らない地方も含めて20くらいあるらしく、その優勝者20数名と、その過去四年の間の優勝者を含めた計80数人のフルバトルによるトーナメントとなっている。

 

 正確には、リーグ優勝者とは別に、いろいろな条件をクリアした特別枠があるようなので、もう少し人数は多いようなのだが、まぁ80人だろうと100人だろうと、一人になるまで戦うのは変わらないので同じだ。

 

 そして、チャンピオンリーグを優勝した一人が、希望する地方の四天王のいるリーグに挑戦できる。

 四天王リーグはチャンピオンも含めた総当たり戦で、その戦績によって四天王とチャンピオンが変更になる決まりだ。俺達が昔見に行ったレッド対ワタルも、その四天王リーグの最終戦である。

 

 俺は一応カントーのリーグ希望だ。カンナとの約束もあるし、ブルーにもリベンジしたいしな。

 シゲルはまだ考えていないらしいが、どうも原作のようにポケモンの研究者になることも考えているようだ。ただ、トレーナーとしての道を究めたい気持ちもあるようで、いろいろと迷っているらしい。

 

 とりあえず、俺との決着をつける前に逃げるのだけは止めろとだけ言うと、「心配しなくても、決着をつけたいのは僕も同じだ」と笑っていた。

 

 

 

 12歳 μ月ψ日 『エキシビションマッチ』

 

 ジョウトリーグシロガネ大会を優勝した俺とシゲルは、ジョウトリーグチャンピオンであるワタルとのエキシビションマッチの権利が与えられている。

 前回のセキエイ大会では負けたショックでブルー対レッドという貴重な試合を見逃してしまったが、今回は自分自身が戦うので見逃す心配は何もない。

 

 表彰式が終わると同時に、フィールドが準備され、反対側のトレーナーゾーンにワタルが現れる。

 どちらが先にバトルするかをじゃんけんで決めた結果、勝利のVがシゲルのグーに負けてしまった。思わず、指を地面に突き刺してしまったのは内緒である。

 

 クッソー、お預けかよ。

 

 仕方ないので、「早く負けろー」とシゲルを応援する。エキシビションマッチはチャンピオンが先行だ。バトルには制限時間があり、5分経つと互いの残りHPで勝敗が決まる。

 ワタルはカイリューを出してきた。多分、ワタルはカイリューを複数体持っているので、このカイリューが相棒のカイリューかどうかはわからない。

 対するシゲルはニドクインを出してきた。わかってはいたが、やはりカメックスは昨日のダメージが残っているようだ。まぁ、うちのリザードンも同じだけどな!

 

 とはいえ、やはりワタルのカイリューも相棒ではないようで、まだ打ち崩せるだけの隙があった。

 シゲルとニドクインもかなりの練度ということもあって、こちらが思っていた以上に善戦している。

 だが、最終的には種族値の差が出たようで、ワタルのカイリューの『はかいこうせん』でニドクインが戦闘不能になっていた。

 

「どうだった?」

「やはり、壁はある。けど、乗り越えられないほどじゃない」

 

 今のシゲルですらチャンピオンはまだ遠い存在のようだが、全く手が届かないって程ではなさそうだ。

 次は俺の番と言うことで、シゲルと入れ替わるようにトレーナーゾーンに上っていく。

 すると、ワタルが俺用のポケモンを選択すると同時に、フィールド上空からヘリコプターが降下してきた。

 

 なんぞ? と思って見ていると、ヘリコプターからレッドとブルーが飛び降りてくる。

 

 レッドはフィールドの中央に降りると、ジッと俺の方を見つめてきた。ブルーはすぐにどこかへ走って行ったと思うと、実況のいる放送席へ突撃したようで実況からマイクをぶんどっている。

 

『あーあー、マイクテストマイクテスト。ごめんね、サトシ君』

 

 いや、何がごめんかよくわからん。

 

『ほら、昨日サトシ君とシゲル君が同時優勝したじゃん。それで、エキシビションマッチも二回行うことになった訳だけど、どうせならレッドとも戦ってみたいと思わない?』

 

 なんだと?

 

「待てブルー! レッドはセキエイ大会のエキシビションマッチがあったはずだ!」

『だから昨日行って、スケジュール調整して、今日五秒でそっこー終わらせてきたの。セキエイとシロガネならヘリコプターでギリギリ間に合う距離だしね』

 

 ワタルの疑問もバッサリと一刀両断する。

 どうやら、セキエイ大会は今回特に目立った選手が居らず、それなら俺達と戦うレッドの姿を見た方が楽しいと考えたようだ。

 

『どうー? 観客のみんなー! 最強のレッドのバトル見たくないー!?』

 

 ブルーの煽りに、歓声が巻き起こる。そりゃ、ワタルには悪いが、レッドが戦うとなればこうなるだろう。最強ってのはそれだけ人気があるということでもあるのだ。

 

 こうなっては仕方ないと、ワタルもトレーナーゾーンから降りていく。それと入れ替わるようにレッドがトレーナーゾーンに移動した。

 ワタルと戦う機会も少ないだろうが、レッドと戦う機会はもっと少ない。ワタルには悪いが、俺としてもこの希少な機会を無駄にする気はなかった。

 

 どうも、シゲルもレッドと戦ってみたかったようで、「こんなことならパーを出せば良かった」と言っている。割とワタルに失礼なこと言っている件について。

 

『ってことで、バトルするんだけど、サトシ君ハッキリ言うね。今の君じゃ、どうやってもバトルにならない。仮にあの伝説のポケモンをください――じゃなくて、伝説のポケモンを出しても、リザードンが変身してもそれは変わらないと断言できる』

 

 まぁ、俺だってそう簡単に勝てるとは思っていない。ワタルが一回も勝てない相手だ。それだけの差があるのだろう。

 

『だから、サトシ君だけの特別ルールを用意したよ。バトルの時間制限はなしにして、サトシ君のポケモンだけ技の使用制限もなし。レッドは技の使用を三つまでに制限。これで多分、割と良い勝負になると思う』

 

 それは、ハンデとしては大きすぎる制限だ。特に、向こうが技の使用を三つまでに制限というのはポケモンの交代なしというジムリーダーのハンデよりも大きい。

 

 しかし、ブルーが冗談でそんな提案をするはずがないし、本当に俺とレッドにはそれだけの差があるのだろう。

 とはいえ、舐められたままというのはニューサトシも気分が良くない。技の使用制限なしはともかく、何とかしてレッドに四つ目の技を使わせてやるぜ。

 

『では、チャンピオンからポケモンを出して下さい!』

 

 実況席の混乱も大分収まってきたのか、実況のおっちゃんが「マ、マイクを……」と言っているが、ブルーはガン無視してマイクを持ったまま実況している。

 

 レッドは特に気にした様子も無くモンスターボールを手にした。中から出てきたのはピカチュウだ。

 ヒロシ君のレオンのように何か見た目に特徴がある訳ではない。パッと見だと、俺のピカ様とそう違いは無かった。しかし、その好戦的な笑みからくるプレッシャーはかなりの重圧を感じさせる。

 

 俺の手持ちでいい勝負が出来るポケモンと考えて、まず候補に出てきたのは最強のミュウツーだが、残念なことにまだ一昨日の傷が完全に癒えていない。

 次にリザードンだが、こいつも昨日のダメージが残っている。そんな不完全な状態では、きずな現象を使っても勝てるかどうか怪しい。

 相性を考えればドサイドンやベトベトンだが、おそらくしっかりでんき技以外の技も覚えているだろうし、下手な小細工は逆効果になりかねん。

 

 と、いうことで、やはりここはピカ様に全てをお任せすることにした。同じピカチュウとして、上のレベルを体感させてやりたいし、向こうのでんき技も半減できる。技術的な問題もピカ様なら十分対応できるはずだ。

 

「ピカチュウ! 君に決めた!!」

 

 ピカ様も自分で戦いたいと思っていたようで、呼ばれると同時に、気合十分とばかりにフィールドに飛び込んでいった。

 ただ、相手が格上だとわかるのか、緊張した様子を見せている。が、やはり俺のポケモンだけあって、緊張以上に強い奴と戦えるのが嬉しそうに見えた。

 

 審判によって、バトル開始が宣言される。

 

 その瞬間、それまで何を言っているのか全くわからなかったレッドの口から言葉が届いた。

 想像よりも中性的な声だな――そう思ったのは一瞬だ。届いた言葉は技名だった。技が来ると、そう思った瞬間には、既にピカ様の体が吹き飛ばされており、ピカ様のいた場所にはレッドのピカチュウが立っていた。

 

「『ばちばちアクセル』」

 

 技を言い終わる前には、もう技が出ていた。

 このニューサトシの目をもってしても、全てを見ることは出来なかった。一瞬、レッドのピカチュウが光ったと思ったら、次の瞬間にはピカ様が吹き飛ばされていたのだ。

 

「ピ、ピカチュウ! 大丈夫か!?」

 

 思わず、アニメのサトシ君が良く口にするようなセリフを言ってしまった。

 だが、同じでんきタイプだったということもあってか、何とか即戦闘不能は避けられたらしい。何とか起き上がると、フィールドに戻ってくる。しかし、ダメージは大きい。パッと見で体力は2/3くらい持って行かれた。

 

 レッドとピカチュウは自陣に戻ってこちらを見ている。どうやら、今度はこちらに先手を譲ってくれるらしい。

 パワーもスピードも負けている以上、やはり真っ向勝負はこちらの方が分が悪そうだ。ここは搦手を使っていくしかないということで、『どくどく』を指示する。

 

 だが、流石に簡単には当たってくれないようで、最小限のステップで技も使わずに回避していた。

 愚直に技を仕掛けても当たらない。なら、こっちもステを上げていくしかないということで、『こうそくいどう』を指示する。基本スペックで負けているなら、上げればいいだけのことだ。

 

 ピカ様のスピードが二段階上がったが、まだレッドのピカチュウは捕まえられそうになかった。『かわらわり』を指示するも、簡単に回避されている。

 ならば、さらにスピードを上げようと、再び『こうそくいどう』を指示した瞬間、レッドが再び『ばちばちアクセル』を指示してきた。ギリギリで『こうそくいどう』が間に合ったこともあって、素早がさらに二段階上がり、ピカ様もようやく向こうの動きを捉えられたようで攻撃をかわしている。

 

 それを見たレッドが追撃に『10まんボルト』を指示した。やっと二つ目の技だ。こちらも『10まんボルト』で反撃するも、威力で負けているようで押し返されている。

 咄嗟に『わるだくみ』を指示した。技を使いながらの積み技は練習したことがないし、初めての試みだが、出来なければ向こうの攻撃が直撃する。

 ピカ様もやけくそとばかりに、『わるだくみ』を使った。成功するかどうかは賭けだったが、運よく成功したようで、押し返されはしたものの、何とか向こうの『10まんボルト』の威力を殺しきることが出来ている。

 

 だが、二段階上がってギリギリ相殺なら、もう一度『わるだくみ』を積めば勝てると判断し、四段階特攻を上げて『10まんボルト』をお返しした。

 威力では完全に上を行ったはずだが、レッドはこちらの『10まんボルト』の一点を指さすと、そこに『10まんボルト』を撃つように指示している。

 何をするつもりだと思っていると、レッドのピカチュウが撃った『10まんボルト』が僅かにこちらの『10まんボルト』を抜けてきた。どうやら電撃の威力の弱い場所を狙って貫通させてきたようだ。

 

 そんなん有りかよとこの時は思ったが、後から聞いた話によると、積み技で火力を上げると、本来の技の威力との差が出来ることで強弱ができやすくなるらしい。

 勿論、パッと見てわかるものではないが、最強の名は伊達ではないようで、レッドはしっかりとこちらの技の隙間を縫ってきた。向こうの『10まんボルト』が先にこちらに当たる。貫通させるのに力を使ったようで威力はなかったが、体勢が崩れたことでこちらの『10まんボルト』は逸れてしまった。

 

「強い……」

 

 力も、技術も向こうが上だ。

 

 おまけに、まだレッドは技を二つしか使っていない。四つどころか、三つすら使わせることが出来ないでいた。

 

 だが、まだだ。

 

 さらに、もう一段階『こうそくいどう』を積む。これで素早は完全に向こうを超えた。

 いくらレッドのピカチュウが強くとも、自分より早い相手の技をかわし続けるのは至難の技のはずである。おまけに『かげぶんしん』で、相手を惑わせていく。

 

 しかし、レッドは一瞬で本物を見抜いたようで、本体のピカ様に向けて『ばちばちアクセル』を指示してくる。

 咄嗟に『リフレクター』を指示して、壁をワンクッション挟むことでギリギリ攻撃を回避した。『ばちばちアクセル』は確定急所技だから壁はあまり意味かもしれないが、他の物理攻撃技は半減させることが出来る。

 正直、これ以上のダメージは致命傷になりかねない。おまけで、『ひかりのかべ』も展開させて特殊攻撃技も半減させてやった。

 

 とはいえ、流石に技の威力が半減するのは嫌なようで、三つ目の技として『かわらわり』を指示してくる。

 攻撃をかわすことは出来たが、追加効果で展開した二つの壁が破壊され、再び向こうの攻撃力は元に戻った。攻撃の後の隙を狙って『アイアンテール』を指示するが、向こうも『かわらわり』で受け流している。

 ならば全体攻撃だと、『ざぶざぶサーフ』を指示したが、『かわらわり』で波を割るという荒業で、また攻撃を受け流されてしまった。

 

 ダメだ。どんな攻撃にも的確に対処してくる。メイン攻撃や回避技として、『ばちばちアクセル』、中遠距離は『10まんボルト』、近距離や防御には『かわらわり』、この三つだけで全てを対応できているのだ。

 おまけに、ピカ様も肩で息をしてきた。体力も限界が違いし、そろそろ勝負を決めないとまずい。

 

 こうなれば一か八かだ。

 

 アニメのサトシ君が使っていたトンデモ技にニューサトシの味付けをトッピングして、一気に勝負をつける。

 

 まず、ピカ様に『わるだくみ』をもう一段階積ませ、『かみなり』の発動を待機させるように指示した。そのまま『でんこうせっか』で疑似ボルテッカーを再現させるのは、前にも使ったことがあるので知っている奴もいるだろう。

 だが、今回はそれに加えて、さらに本家の『ボルテッカー』を多重発動する。これにより、火力は約二倍になるはずだ。おまけに、『こうそくいどう』でスピードが上がり、『わるだくみ』で電撃の威力が上がっているので、火力はさらに上がるだろう。この超雷速状態から、さらにとどめとばかりにジャンプからの『アイアンテール』を発動させるのだ。

 

 お分かりの方もいるかもしれないが、『ボルテッカー』状態でジャンプによる空中からの落下スピードと、『アイアンテール』でさらに威力を上げるというのは、原作のDP編でサトシ君とピカチュウが伝説厨のラティオス相手に最後に使った最強技である。

 

 そんな最強技をさらにニューサトシの工夫で威力を上げた。全てが合わせれば、当然威力は絶大。技の制限がないからこそできるチート技である。これが通用しなければ、もう素直に諦めるしかない。

 

 ピカ様が突撃していく。

 

 それを見て、レッドも『ばちばちアクセル』だけでは対応できないと判断したようで、遂に四つ目、最後の技を指示した。

 

「『ボルテッカー』」

 

 それはただの『ボルテッカー』ではなかった。『ばちばちアクセル』から繋げた神速の『ボルテッカー』だ。

 加速状態からの一撃は威力が上がっており、こちらの最強技である超雷速JVA(ジャンピング、ボルテッカー、アイアンテールの略)と互角のぶつかり合いをしている。

 

 しかし、完全に互角だったようで、攻撃は相打ちに終わり、技の威力で互いの体が弾かれていく。

 

 レッドのピカチュウも思いの外ダメージを受けたようで、空中で体勢を立て直せず、地面にぶつかっていた。

 対するこちらは無理に無理を重ねたこともあり、ピカ様が戦闘不能になっている。そりゃ、無茶な技を使わせたのだ。元々限界ギリギリだったということもあって耐えられなくても無理はない。

 

 ピカ様が戦闘不能になったことで俺の負け――と、思いきや、ブルーが『技は三つまでってルールだったでしょ!』といちゃもんをつけてくる。レッドは「いや、使わないと危なかったし」と言いたげな顔をしていた。

 バトルが終わってまた声は聞こえなくなってしまったが、何となく何を言いたいかはわかるようになった気がする。

 

 とはいえ、ルールはルールだったということもあり、ここは引き分けということになった。

 俺からすれば完全敗北なのだが、どうやらブルーにしてみれば、レッドに四つ目の技を使わせたこと自体が快挙らしい。まぁ、あれだけ強ければそう思われても不思議ではない。

 

 倒れているピカ様を抱き上げると、何となくやり切った顔をしていた。まぁ、あれだけ強いピカチュウと最後は互角だったのだ。今はゆっくり休んでくれ。

 

 だが、これで終わるつもりはない。

 

 今は確かに俺の方が弱かった。しかし、そのままにするつもりはない。レッドに手を差し出しながら、「次は俺が勝ちます」と告げると、キョトンとした顔をされた。

 まさか、ここまでコテンパンにされて次は勝つと言ってくるとは思わなかったらしい。しかし、向かってくる敵は大歓迎のようで握手には応えてくれた。その表情は「俺の所まで登ってこい」という意思を感じる――と、ニューサトシは勝手に認識した。

 

 これで、今度こそ俺のポケモンリーグシロガネ大会は終了だ。次は一月半後のチャンピオンリーグを目指して修行の日々である。

 

 

 

 12歳 α月β日 『また会おうぜ!』

 

 マサラタウンへ帰る途中に、トキワシティに寄ることにした。たまにはメールの確認をしろとタケシに怒られたので渋々確認してみると、いろいろな人がシロガネ大会の放送を見たようで、連絡先を知っている人達から『おめでとう』のメッセージが届いている。

 

 しかし、連絡先を交換した覚えのない奴らからもメールが届いているのはどういうことだろうか?

 

 正直、一々返すのは面倒だが、応援してくれたお礼は返さなくてはと、普段はあまりしないメール作業に力を入れた。

 その間に、どうやらカスミさんは実家と連絡を取っていたようで、お姉さん達が世界一周旅行のチケットが当たったからハナダジムの留守番をしなければいけなくなってしまったらしい。タケシもまた、実家で問題が発生したらしく、一度家に戻ると言っている。

 

 さらにタイミングのいいことに、かつて俺がぶっ壊したカスミさんの自転車を、ジョーイさんが修理して預かっていてくれたらしく、心残りが全てなくなってしまった形だ。

 

 何となく、カスミさんもタケシも今の時間が崩れるのが嫌というような空気を感じる。

 まぁ、ニューサトシもこいつらとの旅は楽しかったし、出来れば続けたいが、別に別れたからと言って俺達が友達だということは変わらない。

 

 逆に心残りがあるとすれば、全力バトルをしていないことだ。カスミさんとはうずまきカップで戦ったが、あの時は二対二だったし、みずポケモン縛りがあった。

 タケシとは大昔にジム戦をしてから、本気のバトルをしていない。別れる前に、二人とは本気の勝負をしてみたかったのだ。「最後にバトルしよーぜ!」と言うと、「変わらないなお前は」とタケシが笑い、「いいわ。ここで決着つけてあげる」とカスミさんも笑みを浮かべた。

 

 結果は敢えて書かないが、楽しいバトルだった。

 

 タケシとカスミさんと別れる時間になると、ラティが「やだやだ」と大泣きしている。ずっと一緒にいたので、別れるのが嫌らしい。

 とはいえ、帰らなくてはいけない用事がある以上、その我が儘を聞いてあげることは出来なかった。

 いつもは自分を慰めてくれる二人が何も声をかけてくれないことで、本当にお別れだとわかったのか、ラティがガチ泣きしている。それを見ていると、なんだかしんみりしていたのが馬鹿らしくなってしまったので、「また会おうぜ」とだけ告げてマサラタウンへ向かって歩き出した。

 

 タケシとカスミさんも、ラティに一声かけると同時に自分の故郷に向かって歩き出す。ラティもしばらくその場で泣いていたが、みんなが帰るのを見ると、「またあう!!」と大きな声を出した後、すぐにこちらを追ってきた。

 まだぐずぐず泣いているが、何とか別れは受け入れたらしい。「また会えるからそんな泣くな」と、頭を撫でると、「う”ん”」という濁点だらけの返事を返した。これも経験である。

 

 

 追記。三日もしないうちにカスミさんもタケシもマサラタウンに遊びに来た。当然、ラティは大喜びしており、二人も定期的に遊びに来るつもりらしい。まぁ、しばらくは家にいるので、それも悪くないだろう。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・チャンピオンリーグからの四天王リーグ。
 独自設定。原作で深掘りされてないので勝手に作った。チャンピオンリーグからの挑戦者がいない地方は、四天王とチャンピオン五人の総当たり戦になる。挑戦者がいる場合は六人の総当たり戦となり、一番戦績が悪かったやつが四天王落ちする。去年はカントーがワタル抜け、ブルー入りで四天王落ちがなく、ブルーが総当たり戦を辞退したので、今のカントー四天王ではブルーが一番序列が下。

・エキシビションマッチをした。
 レッドさんとバトルした。レベル差は約30あり、半分は遊ばれていたが、最後は少し本気を出してくれた。ミュウツーでも勝てたか怪しい。

・第273話『サヨナラ…そして、旅立ち』より、カスミさん、タケシと別れた。
 最後に全力バトルをして別れた。勝敗は書かないので、ご想像にお任せする。ラティがガン泣きして、一つ大人になった。

・チャンピオンリーグに行くので旅立ちシーンがカットされた。
 ホウエンにはまだ行かない。ここから七話ほど、チャンピオンリーグ編を書いて、ホウエン編の予定(まだ書いてない)。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.56→58

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.55

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.58

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.53

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.53

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.52

 ジバコイル Lv.52

 ケンタロス Lv.52

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.52

 トゲキッス Lv.47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.52

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.48

 カビゴン  Lv.46

 ニョロトノ Lv.46

 ヘラクロス Lv.44

 メガニウム Lv.44

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 ヘルガー  Lv.44

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.44

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


 とりあえず、ジョウト編はここで完結となります。チャンピオンリーグ編も書けているのですが、明日一話だけ更新しますがそれ以降は少し更新待ってください。
 理由は見れば多分わかるのですが、少しアニメで知りたい情報があるので、それが判明するまで更新を待っていただけると嬉しいです。途中で修正したくないので。
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