12歳 β月τ日 『これだからバトルはやめられねーんだ』
ケルディオは前世だと、お世辞にも強いポケモンではなかった。幻の中では珍しいみず・かくとうの特殊アタッカーだが、特性の『せいぎのこころ』が死に特性なのが一番の問題である。
この『せいぎのこころ』という特性、名前こそ格好いいが、あくタイプの技を受けると攻撃が一段階上がるというもので、前記の通りケルディオは特殊アタッカーなので攻撃の種族値が低くて噛み合わないのだ。
おまけに、素早種族値も108、特攻も129とそこそこ優秀なのだが、特殊型の癖にレベルで使える技の大半が物理技であり、さらにみずタイプの癖に『れいとうビーム』を覚えないので、同じ禁伝のドラゴンに強く出られない。こいつを使うくらいならザシアンかムゲンダイナ使うわというようなレベルで、バトルでもあまり姿は見なかったくらいには残念なポケモンなのだが――それはあくまで前世の話である。
アニポケ時空であるこの世界では、伝説や幻のポケモンというのはとてもレアであり、持っているだけでヤバいくらいのアドバンテージになるのだ。
仮に特性が死んでいても、それを覆すだけのポテンシャルがある。また、ケルディオは種族値配分に無駄がないので、バランスが良くてとても強い。前世では型がバレるだけと笑われた覚悟の姿も、この世界ではキュレムに認められるだけの力を持っているという証だった。
結論を言おう。
映画では鼻で笑うレベルのケルディオさんだが、この世界では舐めたら瞬殺される。さらに、悪いことに、ステロのダメージでリザードンの体力が半分になっているので、みず技を受けたら終わる危険があった。もはや、開幕からきずな現象全開で行くしかないのである。
リザードンと気持ちを一つにし――絆を結ぶ。
灼熱色の肌、炎の四枚羽、龍王に相応しい姿へと変化する。また、タイプがほのお・ドラゴンになったことで、みずタイプの技が等倍になった。
逆にこちらもひこう技がタイプ一致で使えなくなったが、その分はパワーで押し切る。制限時間は約五分。この五分間でケルディオを戦闘不能に持って行けば俺の勝ちだ。
きずなリザードンが、ケルディオとの距離を詰めながら拳に雷を宿す。『かみなりパンチ』だ。みずタイプであるケルディオの弱点を突きつつ、得意の接近戦に持ち込んでいく。
対するカルネも、『みずのはどう』と『しんぴのつるぎ』の合わせ技で対抗してきた。『しんぴのつるぎ』はケルディオの専用技で、相手の特殊防御ではなく、防御の能力値でダメージ計算をするかくとうタイプの特殊技だ。
この技はケルディオの角で攻撃をするので、一見物理技に見えるかもしれないが特殊技である。そんな特殊技に、『みずのはどう』で作った水を纏わせていた。自慢の角を覆うように水が剣を形作っている。
きずなリザードンの拳に合わせるように、剣が振り下ろされた。こちらはタイプ不一致だが、向こうの使っている技は両方タイプ一致ということもあって、『かみなりパンチ』が押し返されていく。
既に体力が半減している今、これ以上の大ダメージは避けたい。きずなリザードンに拳を引かせ、剣をかわして距離を取る。後少し無理に踏み込んでいたら、おそらくダメージは避けられなかっただろう。
タイプ一致の『ドラゴンクロー』でもあれを返せるかは怪しいので、ここは素直に『りゅうのはどう』で遠距離攻撃を仕掛けていく。
カルネも『ハイドロポンプ』で反撃してきた。
だが、向こうの方が威力が高いようで、波動がかき消されていく。やはり、ケルディオの特殊攻撃力はかなり高く、きずなリザードンをもってしても遠距離攻撃では有効打を与えられそうになかった。
このまま続けても押し返されるだけなので、ギリギリで回避に移る。『ブラスターバースト』なら、もしかしたら通じるかもしれないが、あの技は発動までに少しタメがいる上、絶大な威力の代わりに反動が大きい。
相手はみずタイプな上にノーダメージだし、ワンチャン凌がれたらその時点でゲームオーバーなので、トライする気にはなれなかった。
しかし、きずな化も無限に続けられる訳ではない。大体五分が限界と考えると、残された時間は三分半といった所だろう。
無理をすれば、もう少し長くなるかもしれないが、前のように暴走する危険も出てくるのであまりやりたくはない。できれば、この残り時間で勝負を付けたい所だ。
とはいえ、互いの特殊攻撃力が互角な以上、遠距離でのやり合いは埒が明かない。やはり、ここは何とかしてあの水の剣をかいくぐり接近戦に持ち込むしかなかった。
多少のダメージは覚悟で再び突っ込んでいく。
しかし、カルネはこちらが接近戦狙いなのを察したようで、再び『みずのはどう』と『しんぴのつるぎ』による水の剣を指示してきた。
当てれば勝てるという自信があるようで、ケルディオもこちらに突っ込んでくる。素早種族値108は伊達ではないようでかなり早い。が、きずなリザードンはもっと早いのだ。振り下ろされる角を回避しながら、『かみなりパンチ』をボディにお見舞いしていく。
ようやくまともな攻撃を入れられたが、ケルディオは怯まずに、振り下ろした角を横に一閃してくる。
飛び上がって横なぎの一撃を回避。そのまま再び『かみなりパンチ』を連打していく。ケルディオは四足歩行タイプのポケモン故に、殴り合いは不利だ。頭の角にさえ気を付ければ有利は取れる。
そうして追撃で二~三発ほど連続で『かみなりパンチ』を決めていくと、カルネも水の剣を解除し、『アクアジェット』を指示してきた。先制技がボディに決まり、ダメージでリザードンが顔をしかめる。
大技は当たらないと判断して小技で翻弄する策に切り替えてきたようだ。みず技は等倍だが、そのままゼロ距離『ハイドロポンプ』でリザードンが吹っ飛ばされていく。
ぐっ、ダメージが大きい。追撃に撃たれた『ハイドロポンプ』を『りゅうのはどう』で相殺しつつ、再び距離を詰めていく。
が、今度は『アクアジェット』での高速戦をメインにしつつ、隙を見て技を入れるスタイルに切り替えたようで、『かみなりパンチ』が当たらない。
ならばと、『ほのおのうず』で動きを止める。
ほのお技は効果が今一つなので、すぐに拘束は解除されるだろうが、一瞬でも動きを封じられればそれでいい。残り時間と体力も少ないし、このまま相手に合わせて戦うのは危険だ。もう『ブラスターバースト』で決めるしかなかった。
リザードンが上空へ飛び上がり、五つの炎をチャージしていく。
カルネも『みずのはどう』で『ほのおのうず』を鎮火させると、こちらが大技のモーションに入ったのに気付いたようで、また『みずのはどう』と『しんぴのつるぎ』の水の剣を作って迎撃の構えを取った。
「決めるぞ! 『ブラスターバースト』!!」
究極技の五連射が、ケルディオに向かって順次発射されていく。ケルディオは角の剣を振ることで、炎を相殺させてきた。
そのまま続けて、二発、三発と相殺するも、水は蒸発し剣が消える。四発目が届く――と、思ったが、『ハイドロポンプ』で無理やりに威力を抑えてきた。しかし、当たってはいる。また、五発目は防ぎきれなかったようで完全に直撃した。
くそ、ダメだ。おそらく倒せていない。
だが、このまま地上に降りれば狙い撃ちにされるので、上空で反動が切れるまで粘るしかなかった。
しかし、そんなこちらの狙いを読んだかのように、『ハイドロポンプ』が爆煙の中から発射される。動けないリザードンに直撃し、きずな現象が解除されて落下していく。
見れば、ケルディオはまだ立っていた。
ダメージは大きいが、動けないほどではないようで、また『みずのはどう』と『しんぴのつるぎ』による水の剣を作ってこちらにとどめをさそうとしている。
リザードンはきずな状態で攻撃を受けたのは幸いしたようで、ギリギリ戦闘不能にはなっていなかった。元の姿に戻ってしまったが、まだ戦えると体を起こしている。
だが、もうこちらは体力が残っていない。水の剣どころか、『アクアジェット』の一撃で戦闘不能になってもおかしくなかった。
しかし、カルネは確実にこちらを倒すために、必殺の一撃を入れようとしている。ぶっちゃけ、突進系の攻撃である『アクアジェット』なら、『ほのおのうず』からの『かみなりパンチ』をワンチャン狙えるが、あの水の剣だと『ほのおのうず』ごと切り裂いてくるだろう。
遠距離からの攻撃をしてこないのは、おそらくもう『ハイドロポンプ』のPP切れだ。五発使ったのは確認している。
「『アクアジェット』で突っ込んでこないんですか? 今のリザードンならワンパン出来ますよ」
「『ほのおのうず』からの『かみなりパンチ』が来たら、こっちももう持たないのよね。悪いけど、確実に決めさせて貰うわ」
やっぱ、バレてるか。
そして、予想以上にケルディオも余力がないらしい。まぁ、『かみなりパンチ』を複数回入れて、『ほのおのうず』のミリダメから『ブラスターバースト』が二発(一発は軽減)当たっているので不思議ではない。
ならば、一か八か。こちらも覚悟を決めるしかなかった。
ケルディオが真っすぐ突っ込んでくる。そのまま右上から振り下ろすように水の剣をこちらにぶつけてきた。
ここだ。一瞬で、再びきずな現象を発動させる。ダメージできずな現象は解除されたが、限界が来たとは言っていない。まだギリギリコンマ数秒だけなら、きずな化するだけのパワーがあった。
そのまま、ケルディオの水の剣を白刃取りで受ける。同時に、きずな化は解除されたが、十分だ。剣を横にずらし、『りゅうのはどう』で一気にとどめを刺す!!
カルネは咄嗟に、水の剣を解除し、『みずのはどう』で迎撃を選択した。『りゅうのはどう』と『みずのはどう』がぶつかり合い、その場で大爆発を起こす。
向こうは威力60の技だがタイプ一致で威力90になっており、こちらはタイプ不一致威力85技ということで、威力はほぼ互角になっていた。『ブラストバーン』の方が良かったとも思うかもしれないが、究極技はその威力故に発射までにほんの少しタメがいるので、技の速度的におそらく『りゅうのはどう』でなければ間に合わなかっただろう。
再び爆煙で何も見えなくなっていたが、煙が晴れるとリザードンは倒れていた。対するケルディオは何とか立っている。足を震わせて限界ギリギリのようだが、それでもケルディオの勝ちなのは一目瞭然だった。
俺のポケモンが全て戦闘不能になったことで、この試合の勝者としてカルネの名前が宣言される。
――負けた。
ステロのダメージがなければ、もっといいバトルが出来たか? いや、伝説は意味不明な耐久力があるし、ケルディオもまだまだ戦えただろう。
素直に、最後がケルディオでなければ勝てた――と、いうのは言い訳だな。俺もミュウツーを使っている以上、条件は五分だ。純粋に、カルネの方が一枚上手だったというだけのこと。
カルネが握手を求めながら、「紙一重の勝負だったわね」と、言ってきたので「随分と、分厚い紙一重だ」と返す。
別にネタでも何でもなく、純粋にカルネの方が強かったのがわかったのだ。仮に、俺がミュウツーを使わず、向こうがケルディオを使っていなかったとしても、負けたのは俺だっただろう。
チャンピオンリーグベスト10。中途半端な成績で終わってしまったな。
フィールドから控室に戻ると、シゲルがいた。「負けたぞ」というと、「僕と君じゃ試合内容が違う」と謙遜している。
違わないさ。俺も、お前も、まだまだ未熟なんだ。「これだからバトルはやめられねーんだ」と笑うと、シゲルもようやく「ああ、そうだな」と笑みを浮かべた。
これからどうするのか聞いてみると、シゲルはカロスの方に向かうつもりらしい。おそらく、カメックスをメガシンカさせるつもりなのだろう。その上で、カロスのポケモンをゲットし、研究し、来年のチャンピオンリーグを制覇するのが目標のようだ。
「ポケモンの研究は、バトルをしながらでも十分出来る」
そう言ったシゲルの顔は覚悟を決めた男の顔をしていた。
対する俺はどうするか。原作ならホウエン地方に行くが、これから後三年はチャンピオンリーグへの出場権があるので、もうジム戦をする必要性はない。
だが、ホウエンのポケモンをゲットしたい気持ちはあった。特にボーマンダが欲しい。俺はマンダさんがホウエンで一番好きなのだ。他にも、メタグロスやサーナイトなんかもいいな。ホウエンのポケモンは結構好きだし、手持ちを増やしたい気持ちはある。しかし、育成が追いつかないことを考えると、これ以上手持ちを迂闊に増やすのはどうかとも思う。
どうするか。
悩んでもすぐに結果は出そうにないので、とりあえずシゲルと別れてシロナに挨拶に行くことにした。VIP室に向かおうとしたのだが、途中シロナがこちらに向かって歩いてくるのを見つける。
どうやら、向こうも俺に会いに行こうとしていたらしい。改めて、「力及ばず、いい結果を出せずにすみませんでした」と頭を下げる。対するシロナは「初めての挑戦でチャンピオンリーグベスト10はいい成績じゃなかったか」と苦笑いを浮かべていた。
俺からすれば、シロナの特訓を受けた以上は、優勝以外に意味はなかったと考えている。そんな俺の考えに気付いたシロナは下手に慰めの言葉をかけるのは止めにしたようで、「次は優勝してみせなさい」と力強い言葉を送ってくれた。
当然、答えは「やぁってやるぜ!」である。
そのまま、これからどうするのか聞かれたので、とりあえずチャンピオンリーグは見ていくと返す。その後はホウエンにでも向かうつもりと話すと、「じゃあ、丁度良かった」と、手を合わせている。
丁度良かった? と、首を傾げていると、「ホウエンのデボンコーポレーションって所にお使いに行ってほしいのよね」と、どこからか荷物を出してきた。
デボンコーポレーションというのは、確かポケナビをくれる場所だったような記憶があるが――と、考えていると、シロナが「これがお駄賃ね」と、そのポケナビを渡してくる。
「期限はないから、どこかのついでで寄ってくれればいいわ。そのポケナビには私の連絡先も入れてあるから、何かあったら連絡して」
とりあえず、了解を返した。シロナには恩があるし、この程度のお使いなど手間の内にも入らない。
こうして、ホウエンに行く(予定)は確定事項となり、次の春にホウエン地方に行くことになった。
原作との変化点。
・カルネが勝った。
純粋にしっかり対策された。原作の時間軸に追いついた時にはもっと強くなっている予定。
・シゲルが吹っ切れた。
アニメを見ていて、シロナが負けた時に似たようなことを言っていて少し驚いた。
・ホウエンに行くことになった。
原作通り。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.60
ピジョット Lv.55
バタフリー Lv.55
ドサイドン Lv.59
フシギダネ Lv.56
リザードン Lv.60→61
ゼニガメ Lv.56
キングラー Lv.55
カモネギ Lv.55
エビワラー Lv.56
ゲンガー Lv.57
オコリザル Lv.56
イーブイ Lv.55
ベトベトン Lv.55
ジバコイル Lv.55
ケンタロス Lv.55
ヤドラン Lv.54
ハッサム Lv.56
トゲキッス Lv.53
プテラ Lv.56
ラプラス Lv.54
ミュウツー Lv.72
バリヤード Lv.55
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53
カビゴン Lv.51
ニョロトノ Lv.51
ヘラクロス Lv.50
メガニウム Lv.50
マグマラシ Lv.50
ラティアス Lv.46
ヘルガー Lv.50
ワニノコ Lv.50
ヨルノズク(色違い) Lv.50
カイロス(部分色違い) Lv.50
ウソッキー Lv.49
バンギラス Lv.58
ゴマゾウ Lv.46
ギャラドス(色違い) Lv.48
タマゴ 時々動いているみたい。生まれるまでもうちょっとかな?