12歳 δ月ω日 『カナズミシティ ジム戦 VSツツジ 前編』
ニビジムはいわタイプのジムとしては総本山のような扱いをされているようで、タケシは意外とその手の界隈では有名人らしい。
カナズミジムへ行くと、タケシの顔を見たジムトレーナーが群がってきて、いつになくタケシが困った顔をしていた。女性関連以外で照れるタケシを見たのは久しぶりな気がする。
まぁ、タケシのことは置いておいて、本題は俺のバトルだ。
どうやらツツジも、ジム戦ではない本気のバトルは久しぶりのようで、三日前の先生の顔とは違ってやる気に満ちていた。有難い、本気でやってくれなきゃ意味がないからな。
ルールは三対三の入れ替え戦である。当然、レベル制限などない全力のバトルだ。
こちらの手持ちは前に書いた通り、ゼニガメ、ワニノコ、ギャラドスのみずタイプ三連星である。いわタイプは物理技を主にしているポケモンが多いため、『いかく』の特性を持つ、ギャラドスに一番手を任せた。
前日に上手くガス抜き出来たおかげか、公式戦初デビューだというのに緊張した様子はない。
逆にツツジは、色違いの赤いギャラドスが出てきてとても驚いていた。俺がチャンピオンリーグクラスのトレーナーということは知っているようだが、流石に公式戦で一度も出していないギャラドスのデータは持っていなかったらしい。
気を取り直すと、ツツジはプテラを出してきた。流石にジムリーダーだけあって、この世界では珍しいとされる化石ポケモンを当然のように持っているようだ。
開幕、ツツジは『ステルスロック』を繰り出してくる。勿論、いわタイプのジムリーダーということで警戒はしていた。
ギャラドスを一番手に出したのだって、『いかく』だけではなく、後出しステロのダメージを受けなくする狙いもある。まぁ、対策としてはゼニガメの『こうそくスピン』で弾くという手があるので、まだそこまで問題というほどではない。
相手のプテラがステロを巻いている間に、こちらも『ハイドロポンプ』で攻めていく。
本来ならば物理技で攻めたいが、いくらギャラドスがひこうタイプを持っているとはいえ、自由自在に空が飛べるわけではないので空中にいるプテラへの攻撃手段は自ずと遠距離攻撃に限定される。
これが、『そらをとぶ』を覚えたギャラドスなら、空中戦も出来たのかもしれないが、少なくとも俺の知っている限り、アニポケ世界でギャラドスが空中戦をした記録はないはずだ。
プテラは素早種族値130族だが、ステロを撃っている間は流石に足が止まっているので、こちらのドロポンが直撃している。
しかし、ツツジは必要経費と言わんばかりに受けたダメージを気にしていなかった。一撃くらうのは覚悟の上ということか。
ギャラドスも自陣の周りに浮くステロをウザそうに見ているが、交代しない限り害はないので無視で良い。
チャンピオンリーグではカルネにステロを防御に利用するという戦術を見せられたが、流石に展開し終えたステロに干渉するようなことは出来ないだろう。
追撃とばかりに、再び『ハイドロポンプ』を指示するが、ツツジもまともにくらうつもりはないようで回避を指示している。やはり、足が止まっていないプテラをドロポンで狙うのは厳しいな。
とはいえ、うちにもプテラがいるし、チャンピオンリーグの修行中はギャラドスも空を飛んでいる相手に訓練を積んでいる。この程度で手詰まりにはならない。
命中率に難のあるドロポンから、『れいとうビーム』に攻め手を変えていく。
そういえば、これまでは命中率についてあまり言及してこなかったが、俺は命中率というのは操作性だと考えている。FPSゲームでいう所のエイムのしやすさだ。正確に言うと、命中率だけではなく、威力も関係していると思うのだが、『ハイドロポンプ』や『ふぶき』、『かみなり』などの大技はそれ故に操作があまり自由に効かない。
言ってしまえば、大砲のようなものだ。
一撃の威力は大きいが、当たらなければ力を消費するだけなので、取り回しの良い技を使うという訳である。ドロポンが大砲なら、れいビは機関銃と言った所だな。まぁ、威力の差が激しいから上手い表現ではないかもしれないがニュアンスは伝わるだろう。
俺のギャラドスは基本的に物理主体だが、こういう事態に備えて遠距離練習をさせていた。タイプ不一致だが、向こうはひこうタイプも入っているし、直撃すればダメージは必須だ。
ツツジのプテラも良く訓練されているようで飛行技術は一流らしいが、どんなに凄い技術を持っていても避けられない攻撃は存在する。特に、室内でのバトルでは使える空間に限りがあるので、ちょっと動きを誘導してやると袋小路になるのだ。空を飛べる=アドバンテージという訳ではないということである。
これはシロナから学んだ技術だ。
正確には、空を飛んでいる相手への有効な攻撃の仕方というより、相手を誘導する技術を学べばもっと効率的にバトルを出来ると言われたのである。実際、今もその教えは生きており、ギャラドスのれいビを回避できなくなったツツジが『まもる』を指示していた。
流石に『まもる』を使われては攻撃を当てられない。連続攻撃なら守りを破れるが、『まもる』以上の早さで『れいとうビーム』を連続で撃つのはこおりタイプでも無理だろう。
こちらの猛攻を凌ぐと、今度は自分の番だと、ツツジが『ロックブラスト』を指示してきた。
いわタイプの連続技だ。一ターンに2~5回攻撃が出来るが、一撃の威力は25と低く、四発は当てないとアドバンテージが取れない。ランダム性が強く、『まもる』や『みきり』対策くらいでしか使われない印象の技だ。
仮に五発出たとしても、全部は無理でも半数は相殺できるだろう。いくらタイプ一致技とはいえ、多少当たったくらいじゃ致命傷にはならない。そういう意味でもやはり弱い技に思える。
そう思って迎撃のれいビを指示すると、プテラは明後日の方向に弾を撃ちだした。威力がない代わりに弾のスピードは速いようで、かなりの速度の弾がプテラから離れたステロの岩に命中して跳弾する。
岩の弾は、浮遊しているステロに当たりながら、跳弾を繰り返して不規則な動きを繰り返していた。おまけに、『ロックブラスト』の二発目、三発目も、ステロの岩に当たって跳弾を繰り返していく。弾同士がぶつかることなく高速で動いており、流石にこれを読み切るのは不可能だ。
しかし、ツツジがパチンと指を鳴らすと、急にロクブラの弾同士がぶつかり合い、予測不能な方向から『ロックブラスト』三発全てがギャラドスに命中する。
指を鳴らしたのはパフォーマンスだ。
おそらく、このタイミングで岩同士がぶつかるのを読んでいたのだろう。いや、それもそうだが、岩の弾が跳弾するとか、どういうトリックだよ。
問題なのはそれだけではない。
ステロの岩に弾が当たって跳弾を繰り返すなど、偶然で済ませられるものではなかった。
つまり、ツツジは弾がどういう動きをするか、どの角度で当てれば跳弾を繰り返せるかを完全に計算してこの技を使っているということだ。
これまでも技の性質を利用したコンボなどは沢山見てきたが、その中でもこの技は飛び切りヤバい。
単純にこれを使えるのはツツジだけな上、理論がわかっても対応が思いつかないのだ。高速で跳ねる弾の軌道を読むなどアニメの世界だけであり、現実でやられると反応するまもなく攻撃が当てられる。
こちらが対応を考えている間にも、ツツジは『ロックブラスト』で追撃をかけてきた。
今度は四発だ。全弾当たれば威力は100。流石に『いかく』で攻撃力が下がっているとは言っても無視できないダメージになってくる。とはいえ、こんな特殊な攻撃を回避など出来るはずもなく、連続攻撃である以上、『まもる』でも防御出来なかった。
こうなっては仕方ないので、『ぼうふう』を指示し、ジョウトのイブキやハヤトが使っていたように自身の周囲に壁のように展開してロクブラを防いでいく。
しかし、この技も無敵という訳ではない。自身の技のダメージを受けるデメリットがある上、俺のギャラドスはまだこの応用になれていないので練度が低いのだ。ロクブラのように単発の威力が低い技ならまだ防げるが、威力の高い技はおそらく防ぎきれないだろう。
ロクブラの当たった様子から、ツツジもそのことに気付いたようで『ギガインパクト』を指示してきた。
タイプ不一致だが、威力150の大技で一気に勝負をつけるつもりらしい。防御は無理と判断し、風の防壁を解除して『れいとうビーム』で撃墜を狙っていくが、プテラはれいビの直撃を物ともせずに真っすぐ突っ込んできた。
攻撃力が一段階下がっていても、その威力は絶大なようでギャラドスがダメージで倒れる。
プテラは技の反動で動けなくなっていたが、どうも倒れた体勢が悪かったようで、ギャラドスが起き上がる間にプテラの反動もなくなってしまっていた。
強い。
ジム戦でない以上、完全に手加減なしなので苦戦するとは思っていたが、ここまで鍛えられているとは思わなかった。
チャンピオンリーグトレーナーと比較しても上のレベルと遜色ない。こちらもダメージを与えているはずだがそれ以上に受けたダメージが大きすぎる。もうギャラドスも体力は1/3もないだろう。対して、プテラにはまだ余裕がある。あくまでも推測だが、まだ半分近く体力が残っていると見た。
仮に『ハイドロポンプ』が命中したとしても、一撃で戦闘不能に持って行くには少し厳しい。
逆にこちらは、『ロックブラスト』にしても『ギガインパクト』にしても直撃したらそこで戦闘不能になりかねなかった。
まだ技が一つ残っているとはいえ、ここは状況不利と判断しギャラドスを一度戻す。
二番手で送り出すのはゼニガメだ。『ロックブラスト』を利用した跳弾戦術は、『ステルスロック』で展開した岩があってこその技である。その岩を『こうそくスピン』で弾き飛ばしてしまえば、厄介な跳弾戦術は防げるはずだ。
ゼニガメがフィールドに出ると、ステロによってダメージが入る。こればかりは仕様なのでどうしようもないが、即座に『こうそくスピン』でステロの岩を撤去させた。
ステロが除去されるのを見て、ツツジも無理にプテラを突っ張ろうとせずに戻してくる。
おそらく、下手にステロを撒き続けても、『こうそくスピン』の追加効果でゼニガメの素早が上がり続けるだけなのがわかったのだろう。こちらとしては、ゼニガメのスピードを最大まで上げての乱戦も想定していたが、流石に乗ってはこないらしい。
いわタイプのポケモンは、プテラのような例外を除けば概ね重量タイプだ。この世界でも、速さというのはポケモンバトルで重要なファクターの一つである。
ゼニガメもそこまで足が速くはないが、進化していないが故に小柄で小回りが利く。素早が六段階上がれば、いわタイプで対応するのは厳しいだろう。後続のことを考えれば、ツツジの判断は正しい。
しかし、そういう意味では、進化していないことが逆にメリットでもあるのか。
思えば、アニメのDP編でもナエトルが進化したことで重量が増し、それまで得意としていたスピードバトルが出来なくなってサトシ君が使いこなせなくなる事件があった。俺は、ゼニガメやワニノコを進化させたいとずっと思っていたが、ただ進化させれば強くなるとは限らないのかもしれないな。
ふと、そんなことを考えていると、ツツジは二番手としてボスゴドラを出してきた。
はがね・いわタイプの重量系ポケモンだ。いわタイプは大体がじめんタイプとの複合が多いイメージだが、こうしたはがね複合パターンもある。
この場合、四倍弱点はみず・くさではなく、かくとう・じめんになるのだが、この二種は物理技が強いタイプなので、特殊技が豊富なみず・くさよりも耐久しやすいのだろう。
まぁ、それでもカメワニ贔屓がなければ、俺もかくとうタイプかじめんタイプを一体入れるくらいには警戒していた。とはいえ、今からではもうどうしようもないので、みずタイプ三連星でごり押しするしかない。
ゼニガメに二度目の『こうそくスピン』を指示し、そこからいつも通り『ハイドロポンプ』に繋げていく。
四倍ではないにしても、タイプ一致の弱点攻撃だ。重量級のボスゴドラにこれを回避するすべはないだろう。
「ボスゴドラ、『にほんばれ』!!」
だが、こちらのユナイトコンボが直撃する前に、ツツジは天候を晴れに変えてきた。
これによって、ほのおタイプの技のダメージが1.5倍になる上、こおり状態にもならなくなる。しかし、それ以上にまずいのは、みずタイプの技のダメージが半減するという点だ。
ぶっちゃけ、『にほんばれ』になった所で、いわタイプのポケモンにあまり恩恵はない。これは俺側へのデバフとして使ったのだろう。俺がギャラドス、ゼニガメとみずタイプを二体出したことで、技スロットを一つ使ってでもダメージを下げに来たのだ。
こちらの攻撃が直撃するも、晴れになったことで威力は55へと下がっておりタイプ一致とはいえ大きなダメージにはなっていない。
しかし、天候を変える技中は大きな隙が出来るのは間違いなかった。こちらも被弾覚悟で『あまごい』を使って天候を雨に変更していく。シロガネ大会のエキシビジョンマッチでは、天候が混ざり合うとかいう謎の現象が起きていたが、今回は特にそういうこともなく上書きできている。
しかし、こちらはこれで三つ技を使ってしまった。正直、残りの一つを大技の『ハイドロカノン』を予定しているのでこれで全て使ったようなものである。
対するボスゴドラは、こちらが天候を雨に変えている間に、『ボディパージ』を使って素早を二段階上げていた。
この技には追加効果で自分の重さが100㎏軽くなるというものもあるのだが、元の重量が300㎏超えボスゴドラだと、一回使ったくらいじゃあまり変わりはなさそうに見える。
とりあえず、雨で威力が1.5倍になったので、再び『こうそくスピン』からの『ハイドロポンプ』で攻撃を仕掛けていくことにした。
だが、再びこちらの技が直撃する前に、やはり『にほんばれ』で天候を変えてダメージを軽減してくる。
予定通りだ。天候の代わりに攻撃が必中になるなら多少の軽減は安いものである。二度当てたので、『ハイドロポンプ』一発分のダメージは稼いだはずだ。しかし、こちらの『ハイドロポンプ』の残弾と、向こうの『にほんばれ』の残弾は3である。
このまま素直に攻撃を当て続けされてくれれば楽なのだが、向こうも『ボディパージ』を使った所から見ても何かを狙っているのは間違いなかった。
それに、こちらも余裕があるという訳ではない。仮にこちらの思惑通り、この残りの残弾を全て使ってボスゴドラを倒せたとしても、こちらも『あまごい』と『ハイドロポンプ』が使えない干上がったカメが爆誕する。
勿論、立ち回り次第で多少残弾は残せるだろうが、それでも後半はかなり厳しい戦いになるのが目に見えていた。
そう考えると、ゼニガメで突っ張るのは厳しいか。究極技を隠しているとはいえ、晴れ状態にされたら威力も知れている。
後出しで技を使っている以上、最終的に天候は雨に出来るが、逆にツツジはこちらの技が発動するまで天候を変えて来ないだろう。別に強い恩恵がある訳ではないので、ダメージ軽減技と割り切っているのだ。
他に有効な技もないし、ダメージを稼いだだけ良しということで、ここは一旦ゼニガメをボールに戻し、最後のワニノコに登場願った。
「……みずタイプ三体は、いくら何でも偏り過ぎではありませんか?」
おっしゃる通りである。
舐めていた訳ではないが、やはり本気のジムリーダー相手に安易なタイプの偏りは良くなかったな。まぁ、でもゴリゴリにメタってやるってつもりは最初からなかった。むしろ、偏りのある組み合わせの練習だと思えば悪い状況ではない。
とはいえ、ワニノコもエビワラーのように型が決まっているタイプなので、基本は『りゅうのまい』によるバフから始まる。踊りながら攻撃と素早を一段階上昇させ、準備を整えていくのだ。
しかし、それを見て、ツツジも再び『ボディパージ』を指示してきた。これで計200㎏も重量が下がり、素早は四段階まで上がっている。
どうやらツツジも準備が終わるまで仕掛けるつもりはないようで、そのまま三回目の『ボディパージ』を指示してきた。これで重量は300㎏マイナスされて、ボスゴドラの重さは成人男性とどっこいくらいになりスピードも最大まで強化されている。
あの巨体とパワーで体重が成人男性くらいしかないということは数字以上にスピードは速くなっているはずだ。
こちらもその間に『りゅうのまい』をもう一段階積んだとはいえ、基礎スペックでは圧倒的に負けているので油断するとワンパンで倒されかねない。
ボスゴドラが軽くなった体を確認するようにステップを踏むと、一気にこちらとの距離を詰めてきた。
同時に、『かみなりパンチ』の指示が飛び、拳に雷が宿る。当たれば大ダメージは必須なので、ワニノコにはいつも通り踊りからの回避を指示する。
巨体故に小回りこそ利いていないが、かなりの速さだ。重量級の弱点である重さと遅さを克服したボスゴドラはここまで速いのか。
もし、バトルしているのが、ワニノコじゃなくてゼニガメだったら避け切れずに被弾していたかもしれない。それくらいに速かった。
しかし、ワニノコもまた小柄故の小回りを利かせて踊りながら攻撃を回避していく。相手もワニノコのリズムに飲まれて、攻撃のタイミングが掴めないようで、上手く攻撃を当てられていなかった。
とはいえ、相手の速さが速さだけに避け切れない攻撃も出てくる。咄嗟に『アクアテール』を指示し、何とか『かみなりパンチ』を受け流させたが、それでも触れた際にでんきダメージを少し受けたようだ。まぁ、それでも直撃に比べればマシだろう。
とりあえず、麻痺をしていないのなら問題なしだ。ワニノコはリアクションが大きいのでかなりダメージを受けたような表情をしているが、人間でいえばちょっと強い静電気を受けたようなものである。大したことはない。
おまけに、技を避けながらしれっと『りゅうのまい』を二回も積んでいた。これで、四段階攻撃と素早がアップしたので、ワニノコも先程より余裕をもって攻撃に対応できるはずだ。
ワニノコとボスゴドラが一旦距離を取ると、『にほんばれ』の効果が切れてフィールドが元に戻る。
だが、ツツジは追加で『にほんばれ』をする気はないようで、再び『かみなりパンチ』を指示してきた。
しかし、今度はワニノコのバランスを崩すことを念頭に置かせているようで、腕だけでなく足や尻尾を使ってワニノコの動きを封じようとしている。少しでも体勢を崩せば、その瞬間に必殺の一撃が飛んでくるということだ。
対応が早い。
それに的確だ。
その証拠にこれまでは技の起点である腕だけを警戒すればよかったのが、警戒すべき場所が増えたことでワニノコも踊りのリズムを崩されて技を回避しきれなくなっている。
ツツジがワニノコの動きを見切って、細かい指示を飛ばしているのも大きい。ワニノコは基本的に踊りの奇抜さで相手の攻撃タイミングを失わせるのが得意なのだが、逆にこのレベルの相手だとこちらが自由に踊れないようにされてしまうようだ。
このまま受けでいるのは厳しいと判断して反撃に移ることにした。『ばかぢから』を指示し、『かみなりパンチ』を回避して、相手の腕を足場に顔面に一撃を与えていく。
だが、その瞬間、ツツジは最後の技である『もろはのずつき』を指示してきた。いわタイプ威力150の最強の物理技だ。ただ、相手に与えたダメージの半分を自分が受けるというデメリットがあるのだが、どうもツツジのボスゴドラは特性『いしあたま』のようでそのデメリットを帳消しにしている。
逆に『いしあたま』のボスゴドラに攻撃を仕掛けたワニノコは、その頭の固さに反射ダメージを受けたと言わんばかりに右腕を抑えていた。先程のようにわざと騒いでいないということは、結構ダメージは大きそうである。
しかし、ボスゴドラも四倍弱点の一撃を受けてダメージは大きいはずだ。こちらは、『ばかぢから』のデメリットで攻撃と防御が一段階下がっているが、ゼニガメが与えたダメージもあるし、もう一度『ばかぢから』を直撃させられれば倒せるだろう。
ツツジはボスゴドラを戻そうとしない。ここで戻せば、『ボディパージ』のバフがなくなる上、重量も元に戻る。また使えば良いと思うかもしれないが、バトル中に自身の重量が何度も変わると、ポケモンの方がその状態に対応しきれず混乱する恐れがあった。おそらく、ツツジはそれを懸念しているのだろう。
それに、ワニノコも『もろはのずつき』でかなりのダメージを受けている。もう一度くらえば戦闘不能になってもおかしくないし、ここはボスゴドラで倒すつもりと見た。
ツツジはボスゴドラにもっとスピードを生かしてワニノコを困惑させるように指示している。
普通ならボスゴドラがスピードとか意味不明としか思えないが、身長2m越えで体重が60㎏前後は十分に軽量級だ。図体が大きいせいで小回りが利かないが、それでもやろうと思えば俺のエビワラーと似たようなことが出来るはずである。
こちらも素早が上がっているから何とか対応できているが、ボスゴドラが完全にスピードを生かす立ち回りをして来れば、先程までのようにはいかないだろう。
とりあえず、五回目の『りゅうのまい』を指示し、下がった攻撃を戻しながら素早も上げていく。
その瞬間、ボスゴドラも距離を詰めてきた。『かみなりパンチ』を展開しつつ、フェイントを織り交ぜてこちらを封殺しようとしている。先程以上にリズムを狂わされてしまい、ワニノコも相手の動きを気にしていつものように自由に踊れていなかった。
「ワニノコ、飲まれるな! 攻撃は良いからお前の踊りたいように踊れ!!」
ここは無理に攻撃するよりも、ワニノコらしさを取り戻すことが大事だ。相手の動きすら無視させ、集中して踊りを再開させる。
ワニノコにとって、踊りはバトルの起点だ。らしさを失うということは、負けたも同じである。俺の声に応えて元気に踊り出すワニノコだが、ツツジはつられないようにボスゴドラに声をかけ、『かみなりパンチ』の指示を出していく。
だが、完全に踊りに集中したワニノコは相手の『かみなりパンチ』の直撃を受けて尚、踊るのを止めなかった。そのまま『りゅうのまい』の六回目を決めると、ツツジの攻撃指示のタイミングを崩していく。
先程までと違って相手を気にする以上に、自分の踊りに意識がいっているのが大きい。攻撃を受けたらその時はその時と開き直っているのでフェイントにも引っかからないのだ。それ故に、ツツジも先程までの指示で動きを制限できなくなり、ワニノコが自分のリズムを取り戻していく。
ワニノコの開き直りが、ツツジの計算を少し崩した。
そのほんの少しの狂いが、ボスゴドラの攻撃にも影響を与えている。これまで支配していたリズムをワニノコに取り戻され、攻撃に精彩がなくなっていく。
ワニノコが完全に自分のリズムを取り返すのを見て、ツツジは本能的にまずいと判断したのか、『もろはのずつき』で無理やりに勝負を着けようとしてきた。
その瞬間、踊るワニノコの腕に光が宿る。
やるのか――まだ完成していないはずだが、ワニノコが出来ると思ったならその判断を信じよう。迎撃として、『きあいパンチ』を指示していく。
きあパンは、かくとうタイプの威力150物理技だが、相手の攻撃を受けたり、集中を乱されたりすると失敗するというデメリットがあるため、なかなか安易に使えない技だ。
俺のポケモン達でこの技を好んで使うのは、エビワラーやバリヤードだが、前者は相手の攻撃を回避してカウンター使用、後者は壁で相手を封じて確定発動などの応用をしている。
ワニノコの場合は、踊りながら相手の攻撃を回避して気合を貯めているのだ。ただ、踊りながら相手の攻撃を回避しつつ、自身の拳に気合を貯めるのはかなり難しいようでまだ技としては確立できていなかった。
だが、ここでワニノコは使うと決めたのならば、その意思を信じるだけだ。突っ込んでくるボスゴドラを回避し、カウンターでボディに『きあいパンチ』を叩きこむ。
どうやら、ぶっつけ本番で成功させたようで、ボスゴドラがその場に崩れ落ちた。ゼニガメが与えたダメージに、弱点のかくとうタイプの大技を二回もくらえば、流石のボスゴドラも耐えられなかったらしい。
ツツジはボスゴドラをボールに戻すと、咄嗟に焦ってしまった自分のミスを謝罪していた。
これでようやく一体倒したが、こちらもワニノコとギャラドスが限界ギリギリなので、実はそこまで余裕が出来た訳ではない。やはり、ジムリーダーという役割がないジムリーダーの本気は俺が思っていた以上に強かった。
「……その、随分と楽しそうですわね」
「ああ、楽しいね。こういう限界ギリギリのバトルは何回やっても最高だ」
何やらツツジの顔が強張っているが、どうも後で聞いた話によると、この時の俺はかなりヤバめな表情をしていたようで、ツツジも内心でかなりビビっていたらしい。なんかすまんかった。
原作との変化点。
・第16話『カナズミジム! ノズパスの秘密兵器!』より、ガチ戦になったことで使用ポケモンが変わっている。
基本的にセンリと同じでゲーム準拠。
・命中率について。
技の威力が大きいほど操りにくいという設定。勿論、全てではなく、技の仕様にもよる。
・プテラが岩の跳弾を使ってきた。
相手フィールドのステロで弾くように使っている。先の先まで読む計算力がないと使用不可能で、ニューサトシでも使えない。
・ボディパージについて。
三回使えば素早さ六倍の上、体重64㎏になるボスゴドラ。早くない訳がない。
・ワニノコのダンスバトル。
踊らなきゃ死ぬレベルになった。が、ツヅジレベルの相手だと、動きを読まれる。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.60
ピジョット Lv.55
バタフリー Lv.55
ドサイドン Lv.59
フシギダネ Lv.56
リザードン Lv.61
ゼニガメ Lv.56
キングラー Lv.55
カモネギ Lv.55
エビワラー Lv.56
ゲンガー Lv.57
オコリザル Lv.56
イーブイ Lv.55
ベトベトン Lv.55
ジバコイル Lv.55
ケンタロス Lv.55
ヤドラン Lv.54
ハッサム Lv.56
トゲキッス Lv.53
プテラ Lv.56
ラプラス Lv.54
ミュウツー Lv.72
バリヤード Lv.55
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53
カビゴン Lv.51
ニョロトノ Lv.51
ヘラクロス Lv.50
メガニウム Lv.50
マグマラシ Lv.50
ラティアス Lv.46
ヘルガー Lv.50
ワニノコ Lv.50→51
ヨルノズク(色違い) Lv.50
カイロス(部分色違い) Lv.50
ウソッキー Lv.50
バンギラス Lv.58
ゴマゾウ Lv.47
ギャラドス(色違い) Lv.48
ヒンバス Lv.1
ミズゴロウ Lv.16→18
スバメ Lv.14→16
キモリ Lv.14→16