12歳 δ月ω日 『カナズミシティ ジム戦 VSツツジ 後編』
ようやく向こうの一体を倒して数的有利を作ったものの、こちらはギャラドスとワニノコが限界寸前でゼニガメは三つ技を使わされている。対して、向こうの残りのプテラは技を全部使ってはいるが体力半分で、残り一体については情報すらない状態だ。
ツツジは改めてプテラを出してきた。
それを見て、こちらはワニノコを一旦ボールに戻す。『りゅうのまい』のバフが消えるので勿体なく感じるかもしれないが、ワニノコはボスゴドラ戦で全部の技を使わされている。遠距離攻撃が出来ない以上、プテラを相手取るには不利だ。
改めて、ギャラドスを送り出していく。
ギャラドスもかなり長い時間休めたので多少は回復しているはずだ。まぁ、それは向こうのプテラも同じだけどな。
先程同様に先手でステロを撒いてくるかと思ったが、ツツジは『ステルスロック』を指示して来なかった。おそらく『ロックブラスト』による跳弾は『ぼうふう』で防御可能故にギャラドスを倒し切れないからだろう。
それに、下手にステロを撒こうとすれば、その隙にこちらのドロポンが命中する。残り体力半分のプテラだが、流石にドロポンを無防備にくらえばワンキル圏内に持って行かれかねない。ツツジはそれを嫌っていると見た。
とはいえ、『ギガインパクト』だけではこちらを突破するのは難しいはずだ。先程は無理に迎撃しようとして失敗したが、迎撃が無理でも防ぐ方法はある。ツツジもそれを警戒しているようで、迂闊に『ギガインパクト』を指示しては来なかった。
さて、どうする――と、考えていると、ツツジがプテラに『ロックブラスト』を指示してきた。
当然、こちらは『ぼうふう』による防御を指示する。跳弾なしの直接攻撃でも、あの威力では『ぼうふう』のガードは突破できない――はずだったのだが、予想外のことが起きた。『ロックブラスト』が運よく五発全弾が発射された上、全てが同じ場所に命中し、風の防壁が歪んで維持できなくなってしまったのだ。
成程、一点集中することで威力の低さをカバーしてきたのか。流石に単発の威力が低いとはいえ、ああも同じ場所に連打されては今のギャラドスの『ぼうふう』では防げない。
風の防壁を貫いて、最後の岩の弾丸がギャラドスを襲った。単発だが、弱点により二倍のダメージを受ける。
まさか真正面から勝負を仕掛けてくるとは思わなんだ。これで『ぼうふう』は防御に使いにくくなった上、いわタイプにひこうタイプの技は今一つなので攻撃にも使えない。一つの技をこうも巧みに使いこなしてくるとはな。
ツツジは、こちらが『ロックブラスト』の対応に追われている間に、プテラに『ステルスロック』を指示していた。
通常なら『ハイドロポンプ』で動けない所を迎撃するのだが、ここで『ロックブラスト』の技の性質が問題になってくる。技の最後まで撃つ『れいとうビーム』と違って、弾を撃ち切る『ロックブラスト』は、最後の岩を撃ちだすとプテラ自身はフリーになるのだ。
つまり、一歩早く動けるのである。
この一歩分の差は大きい。何せ、こちらがれいビでロクブラの岩を打ち落としている間に向こうは動けるようになるのだ。
その間にステロを展開されると、こちらは迎撃が間に合わない。これが近距離ならまだ何とかなったかもしれないが、ツツジはプテラに距離を取らせていた。ステロを撃った後にすぐ回避できるだけの時間を与えるためだろう。
こうなると、無理にドロポンを撃っても回避される。だが、一点集中と違って跳弾なら『ぼうふう』防壁で防御可能のはずだ。
まだ問題になってこないはず――と、思いつつも、これまでと違って本気のジムリーダーはこちらの予想しない手を撃ってくるので絶対とは言えなかった。
ツツジは当然、『ロックブラスト』による跳弾を展開してくる。こちらは再び『ぼうふう』による防壁を展開するが、撃ちだされた三発の弾はまるで様子を伺うように跳弾を続けていた。
どこから仕掛けてくるつもりだ?
と、考えていると、ツツジは第二射の指示を飛ばしている。まさかと思いつつ視線を移すと、今度は四発の弾を跳弾させていた。これで計七発だが、完全に計算されて撃ちだされた弾は全てがぶつからずに跳ね続けている。
そのままツツジは第三射目を指示していく。
間違いない。こちらの防御が消えるのを待つつもりだ。『ぼうふう』による防壁には自傷ダメージがあるので永遠には展開していられない。
さらに、風の防壁は全方位ガード故に、こちらから動けない弱点がある。だからこそ、跳弾を繰り返して技を待機させ、こちらが技を解除した瞬間、逃げられない数の弾をぶつけるつもりなのだ。
追加で三発が発射され、合計十発の『ロックブラスト』がステロの岩を足場に跳弾を繰り返していく。流石にこれ以上は増やせないようで、ツツジの攻撃指示が止まった。同時に管理できるのは十発が限界なのだろう。
プテラは四発目――最後の『ロックブラスト』を撃ちださずに待機させている。おそらく、あの最後の弾が発射された瞬間、この跳弾を続けている弾はこちらに向かってくるのだろう。一発25ダメージの弾が十一発当たれば単純計算で275のダメージだ。
おまけに、仮に風の防壁を解除しても前後左右を行き交う岩の包囲網は抜けられない。詰みと言っても良いだろう。ツツジも勝利を確信したような表情をしている。
確かに、こんな数の跳弾は予想外だった。
しかし、いくら応用を利かせたとはいえ、一度見せた技がそうそう何度も通用すると思われるのは癪だ。ニューサトシはそこまで甘い相手ではないと教えてやる。
「跳べ、ギャラドス!!」
こうなれば、最後の手段だ。残り一つの技――『とびはねる』で、この窮地を脱出する。
一ターン目に空中へ飛び上がり、二ターン目に攻撃を仕掛ける『あなをほる』などと同じ系列の技だが、この飛び上がることでこの包囲網を脱出していく。
ツツジは風の防壁を避けて跳弾を繰り返させている。つまり、真上だけはこの包囲網の中で唯一残った穴なのだ。おまけに、風の防壁の上昇気流に乗り、疑似的な『そらをとぶ』を再現している。
勿論、このまま永遠に飛ぶことは出来ないが、ギャラドスが包囲を抜けたことでプテラは動揺していた。
そりゃそうだ。基本的にみずの中にいるポケモンが自分と同じ高さまで来るとは誰も思うまい。咄嗟に最後の『ロックブラスト』をこちらに撃ちだしてきたが、それは悪手だ。
ギャラドスが最後の『ロックブラスト』を避けて、無防備なプテラに『とびはねる』の攻撃を直撃させていく。『ロックブラスト』は数を撃って初めて強い技だ。単発など避けるのは容易い。
とはいえ、『とびはねる』はひこうタイプの技故に、そこまで大きなダメージはない。しかし、ここで重要なのは物理技が当たるだけの距離を詰めたということだ。
ギャラドスはその体を使った突撃でプテラを空中から落下させた。おまけに、30%の確率で相手を麻痺にするという追加効果を引いたようで、下敷きになったプテラは体が痺れたらしく上手く動けていない。
そのまま押さえつけるように、ギャラドスは動けないプテラに『ハイドロポンプ』の追撃を放っていく。
ツツジも咄嗟に『まもる』を指示したが、体が麻痺しているプテラは対応できなかった。弱点攻撃を至近距離から受けて大ダメージを受けている。仰向けに倒れたこの体勢では『ギガインパクト』も使えないし、残されたのは『まもる』か『ロックブラスト』のみだ。
だが、『まもる』を決めたとしても状況は改善されない。こっちはマウントを取っているのだ。攻撃を連打するだけでいい。
と、すると、『ロックブラスト』を撃つしかないのだが、仮に一発当てたとしても、単発火力が低いのでギャラドスは戦闘不能にはならないはずだ。連続攻撃をしている間に、追撃の『ハイドロポンプ』で戦闘不能になるだろう。どちらを選んでもプテラの敗北だ。
最初に『まもる』を選択したツツジだが、すぐにその思考に行きついたらしく、第三の選択肢として、プテラをボールに戻そうとした。いい択だ。俺でもそうする。
しかし、それは読めていたということでもあった。ツツジがボールに手を伸ばした瞬間、『ぼうふう』の防壁を展開してボールの光が当たらないように遮断させる。これも技の応用だ。
とはいえ、三回も風の防壁を使ってギャラドスも自傷ダメージが厳しくなってきている。これ以上抵抗されても面倒なので、追撃の『ハイドロポンプ』でとっととプテラを戦闘不能にした。
ツツジはプテラを労いながらボールに戻す。こちらはギャラドスをこのまま継続させることにした。
肩で息をしているが、もう戻してもそこまで回復は出来ないだろうし、仮にゼニガメがステロを解除できなかった場合、次は出た瞬間に戦闘不能になりかねない。1/4ダメージを耐えるかどうかはニューサトシの目算でもギリギリだ。
ツツジは最後の一体として、ダイノーズを出してきた。本来ならば次世代のポケモンだ。もし、俺がレベリング目的で真っ当に挑戦していたら出していたのは進化前のノズパスだっただろう。
ジム戦を見ていたハルカがポケモン図鑑でダイノーズの情報を見ようとするもエラーが出ている。どうやら、この時代だとまだ対応できていないようだ。
「ダイノーズ。いわ・はがねタイプ。ノズパスの進化系。特定の磁場が発生している場所でのみ進化が可能。ホウエンだと、ニューキンセツだ。全身から強い磁場を出しているのが特徴で、チビノーズと呼ばれる三個のユニットを操って攻撃してくる」
「よ、よくご存じですわね……」
博識なんだ。ニューサトシは。
ダイノーズはボスゴドラ並の重量級ポケモンだ。当然、動きは遅い上に、角ばっている体のせいで細かい動きは大の苦手である。
それを補佐するのがチビノーズだ。本体についている二つの腕らしきユニットと背中に一つついているユニットがそれに当たる。
小さなノズパスの顔のようなそのチビノーズ達は、ツツジの指示が飛ぶと、分離してふわふわ周囲を移動し出す。あれは腕の役割も果たすので、精密な動きを可能としている。ぶっちゃけ、ロケットパンチの要領で三色パンチを撃ってきても俺は驚かないぞ。
ツツジはダイノーズに『10まんボルト』を指示する。当然、本体のダイノーズが発電して技の体勢に入った。
咄嗟にギャラドスに『れいとうビーム』を指示して、本体からの攻撃を迎撃する――が、それに連動するように分離したチビノーズ達もバチバチと発電し出した。
は?
本体から発射された電撃は防いだが、チビノーズ達から放たれる三つの電撃は防ぎきれない。ふざけんな、まるでファンネルじゃねーか。こんなん避けられる訳ねーだろ!!
流石に威力は本来のまんボルよりも低いようだが、体力の限界が近いギャラドスにはそれで充分致命傷だった。
パッと見た感じ、本体よりもかなりダメージは低いようだが、それでも遠隔で多方向からの攻撃を仕掛けられては手も足も出ず、ギャラドスが戦闘不能になる。
同時に、チビノーズ達も一旦本体へと合流していくが、それ以上に文句を言いたい。
ファンネルは駄目だろう。本体と連動して技を使ってくるって、まだ跳弾の方が可愛いレベルだ。
とりあえず、ギャラドスを戻してワニノコを送り出す。ワニノコには悪いが、この状況をどうにかするにはゼニガメに任せるしかない。
既に技を全部使っており、体力も限界なワニノコではチビノーズの攻撃を避けるだけでも厳しいはずだ。捨て駒のようで悪いが、少しでも対策を考える時間を稼いでほしい。
ステロのダメージを受けるも、ワニノコが元気な声をあげる。しかし、隠してはいるが、ワニノコもかなり疲れた表情をしていた。どうやら、自分でも限界はわかっているようだが、それでも元気に踊りながら『りゅうのまい』でステータスを上げていく。
対するツツジは再度『10まんボルト』の指示を飛ばした。本体と分離したチビノーズ達が再び展開し、計四方向から電撃がワニノコに向かって飛んでいく。
だが、ワニノコは見事に回避して見せた。
まるでニュータイプと思わせるギリギリの回避で、四つの電撃を全部避け切って見せたのだ。
しかし、そこが限界だった。ボスゴドラとの激闘で体力を削られ過ぎたワニノコは、ちょっと動いただけでもう肩で息をしている。あの様子では二度目は無理だろう。
攻撃が終了すると、チビノーズ達は一旦本体に戻っていく。先程もそうだった。これは一度攻撃すると、本体に戻る性質があると見ていいな。
これがダイノーズ全部にある性質なのかはわからない。だが、ツツジのダイノーズはチビノーズを遠隔操作するために通常よりも力を使うのかもしれない。ってか、それくらいのデメリットがなきゃチートが過ぎる。
とりあえず、待っていても充電されて不利になるだけだ。どうやら、ワニノコも同じ考えだったようで、少しでも動けるうちに勝負を決めようとダイノーズとの距離を詰めていく。
ツツジは真っすぐ走ってくるこちらに対して『ストーンエッジ』で迎撃するように指示した。チビノーズ達も再び展開して、地面スレスレの四方向からエッジがワニノコを襲っていく。
ワニノコはジャンプでかわした。どうやら、チビノーズを展開すると本体の攻撃力も下がるようで、通常よりもエッジの大きさが小さかったのだ。チビノーズ達も攻撃を外したことで、一度本体に戻る――その間に距離を詰めて『きあいパンチ』だ。
しかし、攻撃をかわすためにジャンプしたことで、ワニノコの走り出しが一歩遅くなった。向こうのチビノーズの再展開は間に合わないだろうが、本体は攻撃可能になっている。
こちらが距離を詰め切る間に、追撃の『10まんボルト』が指示された。ワニノコに避けるように指示するが、もう回避するだけの力は残っていなかったようで、ダイノーズの攻撃を受けてワニノコが戦闘不能になる。
遠距離攻撃を一つでも使っていれば、まだチャンスはあったかもしれない。とはいえ、ボスゴドラ戦も激闘だった。勝つために全部出し切ったのは間違いではないと思いたい。
試合を見ていたマサトが「ダイノーズってあんなに凄いポケモンなんだ」と感心した声を出す。だが、横に居たタケシが「いや、あれはツツジさんのダイノーズだからだ」と即座に否定していた。
そりゃそうだ。こんなダイノーズが普通とか有り得ん。いわタイプ故に、タケシもダイノーズのことを少し知っているようで、本来のダイノーズはチビノーズを腕の代わりに使ったりはするが、あんな風に攻撃を補助したりはしないと言っている。
まぁ、こんなヤバいファンネル攻撃が簡単に出来るようでは、いくら割と何でもありのアニポケ世界でもダイノーズはぶっ壊れになるわ。
倒れたワニノコをボールに戻し、最後のゼニガメを送り出す。ステロのダメージを受けるが、その瞬間『こうそくスピン』で弾き飛ばした。
ボスゴドラ戦で早めに温存した甲斐はあって、まだ体力は3/4くらいある。技は三つ使ってしまっているが、ここを対応できるのはお前しかいない。頼むぞ。
チビノーズの充電が終わり、再び本体から離れて再展開していく。まだ本体に攻撃がヒットさせられていないが、チビノーズの習性は理解できた。勝負はこれからだ。
再び、四方向からの『10まんボルト』が指示される。こちらは再び『こうそくスピン』だ。前回のと合わせて、これで素早が二段階上がる。
そのまま空中に逃げるように飛び、追尾する攻撃を回避していく。多方向から一斉に攻撃されては回避できないので、一方向になるように移動して攻撃を誘導したのだ。
攻撃が終了し、チビノーズ達が本体に戻ろうとするタイミングで、今度は『ハイドロポンプ』を指示する。
ツツジも、あまりにいいタイミングでの攻撃を見て、こちらが完全にチビノーズ達の隙を突いたのを理解したようだ。こちらの攻撃を『まもる』で防ぎながら、「やりますわね」と口にしている。
仕切り直しということで、ツツジはまた『10まんボルト』を指示してきた。今度は本体と展開したチビノーズから段階的に電撃が発射されていく。
こちらも『こうそくスピン』で回避していくが、本体からの一発目を避けたらその避けた先へチビノーズAが二発目、二発目が外れたらその先へチビノーズBが三発目と、一斉発射ではなく一発ずつ狙いをつけて来ているのだ。マジでファンネルじゃねーか。
最後のチビノーズCの四発目が避け切れず、『こうそくスピン』中のゼニガメに攻撃がかする。ダメージを受けてバランスを崩したゼニガメがフィールドに墜落したのだが、その瞬間、ツツジが再び『10まんボルト』を指示している。
成程、チビノーズが追尾攻撃している間に、最初に攻撃した本体は技を撃ち終えているので、技の終了後に間髪入れずに次の技が使えるのか。流石にチビノーズは本体に戻っているので技を撃てるのは本体だけのようだが、それでも追撃としては十分だろう。
これは避け切れないと判断し、迎撃の『ハイドロカノン』を指示する。ダイノーズから発射されるタイプ不一致の電撃を撥ね退けるように究極技を直撃させた。
こちらは反動で動けないので、即座に追撃が来るかと思ったが、どうやら究極技のダメージで本体がバランスを崩したようで、ダイノーズがチビノーズを使って体勢を立て直している。序盤での俺のギャラドスと一緒だな。
その間に、何とかこちらも反動から立ち直った。
多分、後二発だな。パッと見のダメージだが、今回の一撃は『10まんボルト』で軽減させられた。元々ダイノーズは耐久が高いし、残る体力は2/3ないくらいだろう。究極技を完全に直撃させられれば乱数で一撃圏内っぽいが、今のように中途半端なダメージだと二発はいる。
対するゼニガメの体力も同じくらいだ。
まんボルのかす当たりを受けたが、やはりチビノーズからの攻撃はダメージが低くなっている。元々、ダイノーズは防御寄りのポケモン故、攻撃力はあまり高くない。チビノーズからの攻撃も、本体と合わせてくらうようなことがなければ耐えられるはずだ。
ゼニガメに『こうそくスピン』を指示して、また動きをかく乱していく。追加効果の素早一段階アップのおかげで、これで計四段階上がった。
回数を増す毎に、ゼニガメの速さは上がっていく。さっきはかす当たりしたが、いくらファンネルでも、三つではこの速さのゼニガメを捕まえるのは難しいはずだ。
そう考えていると、ツツジは最後の技として『かげぶんしん』を指示してきた。
本体のダイノーズが十体程に増えると同時に、チビノーズの数も十倍の三十個に増えている。いくら、本体以外は偽物でも、この数の攻撃から即座に本物を探すのは今の俺には不可能だ。
追撃の『10まんボルト』が指示され、四方八方から攻撃が仕掛けられる。こんなの避けられるはずがない。
避けられない以上は、迎撃するしかないと判断し、残り少ない『ハイドロポンプ』を指示して分身を消しまわる。
しかし、攻撃しながら全ての攻撃を避けられるはずがなく、本物からの攻撃を避け切れずにゼニガメが『10まんボルト』の直撃を受けた。まずい、いくらタイプ不一致とはいえ、こんな攻撃連続で受けたらすぐに戦闘不能だ。
いや、落ち着け。
相手も同じポケモンだ。攻略不可能な無敵の技など存在しない。確かに、三十個のファンネルは脅威だが、本物は三つだけだ。
もし、俺がツツジなら迎撃される可能性を考慮に入れたポジションを取る。つまり、ゼニガメの近くに配置される奴らはフェイクと見ていい。残る中に本物はいる。
そこまで考えた所で、再びツツジは『かげぶんしん』からの『10まんボルト』で攻撃を仕掛けてきた。
配置を確認しろ。これまでのバトルから考えても、ツツジはおそらく俺の動きを計算しているに違いない。
もし、俺が何も考えずにゼニガメを動かすとすれば右だ。左は分身の配置的に攻撃を受ける危険が高い。多分、右に動きたくなるように敢えて寄せているんだ。つまり、右側に配置されている奴らは分身と見ていい。
ならば、右は全部捨てて左に突っ込む。
ゼニガメに五度目の『こうそくスピン』を指示して、左に突っ込ませていく。ツツジはすぐに読まれたと理解したようで、即座に『10まんボルト』を仕掛けてきた。
だが、右側はもう捨てている。
残る左の分身でゼニガメを打ち取ろうと考えるなら、攻撃順的に最初の方に攻撃を仕掛けては来ないはずだ。人は本質的に、何かを隠そうとする場合、後ろの方にものを置きたがる習性がある。
ツツジも、ゼニガメに攻撃を避けさせて動きが止まった所を攻撃したいと考えるはずだ。つまり、最初に攻撃を仕掛けてくる奴らも分身だろう。そこまで分かれば、もう本物は見つけたようなものである。後ろの残る数体に向けて、最後の『ハイドロポンプ』をお見舞いした。
ゼニガメの『ハイドロポンプ』がダイノーズ本体に直撃すると分身は消えていく。だが、ダイノーズは負けじと『10まんボルト』を撃ってきた。
こちらも、丁度『ハイドロポンプ』も撃ち切っている。改めて『こうそくスピン』を指示して回避させようとしたが、ゼニガメは避けずに敢えて攻撃を受けていた。
電撃を受けつつ、ゼニガメがそのまま究極技の構えに入る。そうか、もう『ハイドロポンプ』を全て撃ち切った以上、有効な攻撃技は『ハイドロカノン』しかない。
しかし、真正面から撃っても『まもる』で防御されるだけだ。だからこそ、相手の攻撃中に攻撃を仕掛けて、向こうの技の発動を間に合わなくさせようとしたのか。
肉を切らせて骨を断つ――相手の『10まんボルト』を受けつつの『ハイドロカノン』でゼニガメがダイノーズにとどめを刺しに行く。
だが、俺達は一つ忘れていた。
ツツジのダイノーズは、多段攻撃を仕掛けてきており、展開しているチビノーズより先に本体が攻撃を仕掛けるが故に、次の技の発動が普通よりも一拍早いことを。
ゼニガメの『ハイドロカノン』が命中するギリギリで『まもる』が間に合い、究極技が防御される。
その間に、攻撃を終えたチビノーズは本体へ戻っていく。ダメだ。この反動でゼニガメは少し動けなくなる。この間に、ダイノーズの反撃でゼニガメは戦闘不能にされる――
――その瞬間だった。
究極技を撃ち終わったゼニガメの身体が光り、フォルムが変化していく。
進化だ。遂に、ゼニガメがカメールに進化した。そう思ったのだが、光は止まることなく輝きを続ける。フォルムがさらに一際大きくなった。ゼニガメからカメールに、そしてカメックスに。
まさかの二段階進化。そんなものはアニメでも起きていない。ポケスペでイエローのキャタピーがバタフリーになる時に見せたものだけだ。奇跡と言っていいだろう。
進化を終えたカメックスは、何故かゼニガメの時につけていた黒いメガネを付けていた。
そのまま、新たに手に入れた背中の二つの砲台をダイノーズに向ける。究極技の反動は、進化を挟んだことで消えたらしい。
間髪入れずに、『ハイドロカノン』を発射してとどめを刺しに行く。少しずるい気もするが、こういう進化もポケモンバトルではよくあることだ。
チビノーズはチャージ中、おまけに『10まんボルト』や『ストーンエッジ』では威力的に迎撃できない。ここを凌ぐには『まもる』しかないが、二度目の『まもる』は確率五割だ。
ツツジは迷わず、『まもる』を指示したが、五割を外したダイノーズにカメックスの究極技が直撃する。
ゼニガメの時とは威力が違う。レベル的には、セキエイの時のシゲルのカメックスと同じくらいだが、あの時のシゲルのカメックスよりも俺のカメックスの方が究極技の威力が高いように見えた。
カメックス渾身の一撃を受けてダイノーズが戦闘不能になる。その瞬間、クイっとカメックスがサングラスを押し上げた。恰好を付けているが、実際進化したことでサングラスが似合うようになったのは間違いない。
ツツジのポケモンが全員戦闘不能になったことで俺の勝利が決まると、そのままカメックスにダイブした。
テメーコノヤロー、ようやっと進化しやがって。待ちわびたぞ、コノヤローバカヤロー。
俺の喜びが伝わったようで、カメックスも照れたように笑みを浮かべた。ワニノコは駄目だったが、こうしてゼニガメがカメックスに進化した以上、やはりみずタイプも必ず進化はするのだ。
この調子でワニノコも――と思ったが、今回ゼニガメがカメックスになったことで、俺の中で少しスッキリした気持ちが生まれた。それに、ワニノコばかり試合に使っても他のポケモン達に悪いし、ワニノコはまたの機会に進化を狙おう。
カメックスをボールに戻すと、ツツジは俺が勝ったということで、ジムを勝った証であるストーンバッジを渡してきた。
いや、別にリーグに出場する気はないんだけど――とも思ったのだが、この素晴らしいバトルの記念ということで受け取っておく。いらないって言うのも何か悪いしな。
久しぶりにバッジを受け取った俺を見て、ラティが「ゲットだぜ」と声を出した。そういえば、ジョウトを回っていた頃はバッジをゲットする度に言ってたなそれ。
追記。俺のジム戦(ガチ)を見たり、ジムリーダーのツツジと話したりした結果、ハルカは原作通りにジム巡りは止めにして、ポケモンコーディネーターを目指すことにしたらしい。まぁ、元々バトルが凄い好きってタイプでもなかったし、その方がいいだろう。
原作との変化点。
・ダイノーズがファンネルを使ってきた。
三体のチビノーズがユニットとなって動いている。ロケットパンチは予想したニューサトシも、ファンネルは予想できなかった。
・ゼニガメがワープ進化した。
遂に進化した。黒いメガネをかけたカメックスが格好良くない訳がない。
・ワニノコは保留になった。
今回は頑張ってくれたし、カメの方が進化したので、しばらく許してやることにした。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.60
ピジョット Lv.55
バタフリー Lv.55
ドサイドン Lv.59
フシギダネ Lv.56
リザードン Lv.61
ゼニガメ→カメール→カメックス Lv.56→57
キングラー Lv.55
カモネギ Lv.55
エビワラー Lv.56
ゲンガー Lv.57
オコリザル Lv.56
イーブイ Lv.55
ベトベトン Lv.55
ジバコイル Lv.55
ケンタロス Lv.55
ヤドラン Lv.54
ハッサム Lv.56
トゲキッス Lv.53
プテラ Lv.56
ラプラス Lv.54
ミュウツー Lv.72
バリヤード Lv.55
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.53
カビゴン Lv.51
ニョロトノ Lv.51
ヘラクロス Lv.50
メガニウム Lv.50
マグマラシ Lv.50
ラティアス Lv.46
ヘルガー Lv.50
ワニノコ Lv.50→51
ヨルノズク(色違い) Lv.50
カイロス(部分色違い) Lv.50
ウソッキー Lv.50
バンギラス Lv.58
ゴマゾウ Lv.47
ギャラドス(色違い) Lv.48→49
ヒンバス Lv.1
ミズゴロウ Lv.18
スバメ Lv.16
キモリ Lv.16