12歳 ζ月α日 『ポケモンコンテスト カイナ大会 後編』
ハルカとシュウの対決はシュウの圧勝だった。
アピールはともかくとして、トレーナーになったばかりのハルカでは、アピールしながらバトルするというのはレベルが高すぎたのだ。
控室に帰ってきたハルカは悔し泣きしており、ラティが「なかない」と心配している。しかし、泣いても良いのだ。悔しさは成長に必要なファクターである。
ハルカ自身も、アゲハントの頑張りに報いることが出来なかった自分を責めていた。
最初だし、優勝は無理だと自分でもわかっていたのだろう。それでも楽しく演技できればいいと思っていたようだが、やはり負けると悔しいのである。
「おめでとう、ハルカ。ポケモンの世界へようこそ」
思わず祝福の言葉をかけてしまった。その負けたくないという気持ちが、バトルにしろ、コンテストにしろ、ポケモン世界への入口だ。
他にももっといろいろ言葉をかけてやりたい所だったが、残念ながらもう俺の順番が来ている。俺の対戦相手はあのミロカロス使いなので、ハルカに「俺のバトルをよく見ておけ」と言って会場へと移動する。
絶対に勝てるという自信がある訳ではなかった。むしろ、コンテスト初心者の俺の方が圧倒的に不利だろう。
ポケモンのレベル的な意味なら多分俺が勝っている。だが、コンテストバトルは魅せるバトルだ。おまけに、レベルは50固定なので技術の差がもろに出る。付け焼刃の俺とバタフリーの技がどこまで通用するかが勝敗のカギになるだろう。
ポケモンコンテストでは一次審査と二次審査で違うポケモンを使うことは許可されている。なので、あのミロカロス対策に別のポケモンを連れて行くことも出来たが、俺は敢えてバタフリーで勝負を挑むことにした。
このコンテストの結果がどうなろうと、バタフリーで勝負をすると決めて参加したのだ。それを、相手をメタるために変えるのは少し恰好が悪すぎる。
フィールドに移動すると、既にミロカロス使いはスタンバイしていた。司会のビビアンが早くスタンバイするように声掛けしてきたので、こちらも少し遅れたことを謝ってすぐにスタンバイする。
改めて、二次審査のコンテストバトルではHPの他に、CP(コンテストポイント)と呼ばれるポイントが各自100与えられ、審査員の評価によってそのポイントが削られて行く。
HPがゼロになっても負けだが、そのポイントがゼロになっても負けということだ。ちなみに、バトルなので当然技は四つに制限される。つまり、数少ない技を上手く使ってポケモンの魅力を引き出しつつ、バトルを制する必要があるということだ。
ビビアンの口から試合開始の合図が発せられる。
その瞬間、向こうはミロカロスを、俺はバタフリーを送り出した。どうやらバタフリーも気合が入っているようで、開幕の決めポーズもしっかり決めてやる気十分だった。
ミロカロスの通常特性は『ふしぎなうろこ』と『かちき』だ。これはヒンバスの時の特性が『すいすい』だと『ふしぎなうろこ』、『どんかん』だと『かちき』になる。
この二つの特性だが、実はどちらも強い。『ふしぎなうろこ』は状態異常時に防御が1.5倍になるという特性でミロカロスがカッチカチになるし、『かちき』は能力を下げられた時に特攻が二段階上がるのだ。どちらもどちらで使い道があるので、なかなかに優秀な特性である。
夢特性は『メロメロボディ』とこれまた強いのだが、流石に夢特性ではないと思いたい。まぁ、仮に夢特性だったとしても、バタフリーで接触技を使うつもりはないので問題ないだろう。
ちなみに、うちのヒンバスは夢特性の『てきおうりょく』である。将来は『メロメロボディ』で接触すると相手をメロメロにする激かわミロカロスにするつもりだ。
さて、少し話が逸れたが、うちのバタフリーは特殊型なので、仮に向こうの特性が何であれ問題なく戦えるだろう。
とりあえず、先制ということで、『しびれごな』を指示した。体を麻痺させて動きを止めれば、演技もしにくくなるだろうという狙いである。だが、当然のように『こごえるかぜ』で粉を凍らせてきた。おまけに風を利用して、凍らせた粉を美しく散らばらせている。技の迎撃一つ一つに無駄がなかった。
審査員の評価により、こちらのポイントがマイナス15される。うーむ、やるな。こちらの技を防ぎつつ、的確にポイントを削ってきやがる。
仕方ないので、ここは一旦『ちょうのまい』でステータスを上げることにした。ミロカロスは基本的に特殊型が多いので、特攻、特防、素早が一段階上がる蝶舞は刺さるだろう。
向こうも当然、舞を邪魔しようと『ハイドロポンプ』を撃ってくる。が、踊りの動きに合わせて回避した。こういう舞の最中に攻撃されるのは目に見えているので、かわすすべもしっかりわきまえている。
自身の技を利用して相手の技を華麗に避けたことがポイントとなり、ミロカロスのポイントが10削られる。これでほぼ五分だ。
ミロカロス使いは、俺が素人だと思っていたようで少し驚いた顔をしている。ずっと、澄ました顔をしていたからな。動揺してくれて嬉しいよ。
舞を一段階積んだバタフリーに、『エアスラッシュ』を指示する。火力は少し低いが、タイプ一致で三割の怯みを狙っていく。
対して、ミロカロスは『れいとうビーム』で迎撃してきた。素直にこちらの弱点を突いてきたのだろう。ただ、『ちょうのまい』を積んだおかげで、向こうの『れいとうビーム』を押し返していた。
ミロカロスがダメージを受けるが、しっかり受け身を取っている。相手の技を突破してダメージを与えても、向こうがちゃんと受けきれば得点にはならないのか、ポイントは動かない。
ミロカロス使いは『ハイドロポンプ』を指示してきた。タイプ一致の火力でごり押ししようという狙いのようだ。こちらは『エアスラッシュ』で押し返していく。先程の感じからしても、ギリギリ押し返せると判断した。
ただ、相手も馬鹿ではないようで、こちらの技とぶつかる瞬間、ミロカロスの口をすぼめさせ、『ハイドロポンプ』の勢いを強くしてくる。
ホースの口を潰して水の威力を上げるのと原理は一緒だ。しかし、そんなことをすれば、一時的に勢いは強くなっても技は長続きしない。エアスラを突破出来ても、バタフリーに攻撃は届くかはギリギリになる。
だが、相手の狙いはバタフリーではなかった。
エアスラと『ハイドロポンプ』が衝突し、水が大きく破裂して虹が出来る。おまけに、破裂したドロポンがバタフリーの頬をギリギリかすめた。相手の技を利用した演技で、バタフリーのポイントが15減らされる。
成程な。技の打ち合いで勝たなくても、ポイントさえ削れればそれでいいってことか。勉強になるぜ。
確かに、無理して戦闘不能にする必要はないのだ。最終的に相手のポイントよりも多くポイントを持っていればそれでいいのである。
俺は最後の技として、『ぎんいろのかぜ』を指示した。地味にハルカがずっと練習していた技でもある。
普通のバトルなら、威力の勝る『むしのさざめき』を使用しただろうが、この技は見栄えがいい。舞のおかげで火力が上がっているし、無理して高火力技を選ばなくてもいいのだ。
とはいえ、そのままでは芸がないので、『しびれごな』を混ぜて色を増やしていく。
向こうも『こごえるかぜ』で迎撃してきたが、先程のように粉単体ではなく、風でコーティングしているので、上手く凍らせることが出来ていない。
おまけに、こちらは舞で火力が上がっているので、『こごえるかぜ』を突破してダメージを与えることが出来た。『ぎんいろのかぜ』が相手に当たった瞬間、包まれていた『しびれごな』が舞い散り、相手を麻痺にしつつ、フィールドを黄色に染め上げていく。
合わせ技は高得点なようでミロカロスのポイントが20削られた。これでポイント差は五分だ。まだまだ射程範囲内である。
どうも、これだけ高度な技の応酬は久しぶりらしく、司会も審査員も盛り上がっていた。
ミロカロス使いも、「こんなにレベルが高くて初参加とは……世の中は広いな」と、何とも言えない表情をしている。
俺も楽しかった。今まで知らなかった技の使い方などが知れる。普通のバトルとは違った楽しさがここにはあった。
だが、こちらの試行錯誤が向こうのやる気に火を付けてしまったようで、ミロカロス使いが「こちらも全力で行こう」というと、『たつまき』と『こごえるかぜ』の合わせ技を披露してくる。
こちらも負けじと、『ぎんいろのかぜ』で応戦していく。しかし、向こうはまだまだ引き出しが残っているようで、『たつまき』と『ハイドロポンプ』の合わせ技まで見せてきた。
こちらもその都度対応していくが、一度見せた応用技を何度も繰り返してもポイントは得られない。ゲームと一緒で、むしろ連発するとマイナスになりそうな感じだった。
かといって、今更通常の技を見せても、大技の応酬を見せたせいもあってそこまでポイントにならない。どうも迂闊に大技を使ったのは失敗だったようだ。技の魅せ方を考えなかったせいで、向こうの連続攻撃に対応できず、ポイントがガリガリ削られていく。
技の使い方や魅せ方なども含め、今回は向こうのキャリアの方が上だったらしい。
結局、互いのHPはゼロにはならず判定に持ち込んだのだが、俺とバタフリーの即席技と向こうの練られた技では練度が違った。
最終的にはこちらが10/100、向こうが50/100で、40ポイント差で大敗してしまう。だが、数字以上にこの40ポイントはかなりの壁を感じた。
興味本位で参加したが、ここから先、ガチで勝ち進むには本格的な練習が必要かもしれん。
とはいえ、チャンピオンリーグの練習をさせながら、コンテストバトルの練習など出来るはずもないし、ちょっとコンテストについては考え直した方がいいかもしれないな。
バトルが終わると、ミロカロス使いが握手を求めてきた。ずっと名前を憶えていなかったが、どうやらロバートというらしい。
どうも、「初めてでここまでのバトルが出来るなんて、君は素晴らしい才能の持ち主だ」と、褒めちぎられたが、今回のはあくまで普通のバトルの応用をしているだけなので、ロバートのようなコンテストガチ勢にはまだまだ及ばない。
俺がいい勝負が出来たのは、前世知識とこれまでのバトルの経験があったからこそだ。
だが、ロバートは「いずれ、君とはまたコンテストで競い合いたいものだ」と熱が入っている。今さっきコンテストを自重しようと考えていたなんて口が裂けても言えないな。
とりあえず、次も頑張れと声をかけて控室に戻った。
どうやらハルカはしっかり俺のバトルを見ていたようで、「見てたよ、凄かった」と口にしている。
ただ、その凄いバトルも、コンテストという枠組みでいえばまだまだだ。俺はあくまでそれっぽい動きをしているだけの初心者に過ぎない。しかし、ハルカはまだその初心者以下だ。上を目指すということは、このレベルを軽く超えていかなければならない。
だが、心配は無用のようだった。「私、負けないから!」と、ハルカも気合が入っている。だからこそ、俺も伝えよう――「ポケモンを信じろ。お前がポケモンを信じれば、ポケモンは必ず応えてくれる」――今はわからないかもしれないが、いずれこの言葉の意味がわかるようになるはずだ。
首を傾げるハルカだが、それでも俺とロバー卜のバトルは、ハルカにいい影響を与えることが出来たようだった。
まぁ、逆に俺は今後のコンテストについてどうするか考えさせられることになったのだが、それはそれということで、今はとりあえずハルカがスタートダッシュを踏み切ったことを喜ぼう。
追記。ポケモンコンテストカイナ大会はロバートが優勝して終わった。どうも、ニューサトシはかなり気に入られたようで、別れる際にロバートからきれいなウロコを渡されている。嬉しいが、もうヒンバスの美しさ最大なんだよなぁ。
12歳 ζ月β日 『出たいらしい』
俺とハルカの初めてのポケモンコンテストは両者共、二次審査一回戦負けで終わたのだが、どうやらラティがコンテストに触発されたようで、「ラティもでる!」と訴えてきた。
出るって言っても、そもそもお前をあまり目立たせたくないんだが――と、考えていると、ラティが急にカノンの姿からラティアスの姿に戻って、『でる!』と顔を寄せてくる。
おまけに、密かに練習していたらしい、『10まんボルト(未完成)』や『れいとうビーム(未完成)』を見せながら、これでもかというくらいにアピールしてきた。
ただ、当然ながらハルカとマサトはラティの正体を知らない訳で、いきなり人間がポケモンの姿に変わってポカンとしている。
流石に手が回らないので、説明はタケシにお任せして、とりあえず俺はラティを宥めることにした。何とか、カノンの姿に戻って貰い、「でる! ラティもでる!」としか言わないラティに、今回コンテストに出て感じた難しさを話していく。
しかし、難しい話で説得するのは無理だったらしく、最終的には泣きだしてしまったので、次のコンテストはラティと一緒に出るという約束をさせられた。
まぁ、バトルのデビュー戦もずっと先延ばしにしたままだったし、泣くくらい出たいのであれば出してやろう。何だかんだこいつもヒンバスに付き合って、美しさのポロックを食べまくっていたしな。
追記。ラティについては無事に受け入れてもらった。ハルカもマサトもまさかラティが伝説のポケモンだとは思わなかったようで興味深そうにしている。マサトの淡い恋心を壊す作戦も、ラティアスへの興味が上回っているようだった。まぁ、バレてしまった以上は、今後ラティのフォローを任せることも増えてくるだろう。よろしく諸君。
12歳 ζ月γ日 『ヒンバス頑張る?』
ずっと『れいとうビーム』の練習をしていたヒンバスに、きれいなウロコを見せて通信進化するかどうかを聞いてみた。
たまたま手に入ってしまったものだが、腐らせるのも勿体ないので、本人が使いたいなら使ってやろうかと思ったのだ。
しかし、ヒンバスは首を横に振った。
ずっと頑張ってきたし、美しさも最大になって自分に自信が出てきたのだろう。自分自身の力のみで進化すると目が言っている。
本人がそう言うなら、このきれいなウロコはお蔵入りにしよう。いつか、誰かが別のヒンバスをゲットしたら譲ってやることもあるかもしれないしな。
原作との変化点。
・ハルカ同様、ニューサトシが一回戦負けした。
思っていた以上にコンテストは難しかった。
・ロバートからきれいなウロコを貰った。
しかし、既にヒンバスの美しさは最大である。
・ラティがコンテストに出たがった。
そのせいで正体もバレてしまった。思えばデビュー戦も先延ばしにしていたので、ニューサトシが折れた。
・ヒンバスがウロコ進化を拒否した。
自分自身の力で進化すると訴えている。ニューサトシもその意見を尊重した。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.60
ピジョット Lv.55
バタフリー Lv.55
ドサイドン Lv.59
フシギダネ Lv.56
リザードン Lv.61
カメックス Lv.57
キングラー Lv.55
カモネギ Lv.55
エビワラー Lv.57
ゲンガー Lv.57
オコリザル Lv.56
イーブイ Lv.55
ベトベトン Lv.55
ジバコイル Lv.55
ケンタロス Lv.55
ヤドラン Lv.54
ハッサム Lv.56
トゲキッス Lv.53
プテラ Lv.56
ラプラス Lv.54
ミュウツー Lv.72
バリヤード Lv.55
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54
カビゴン Lv.52
ニョロトノ Lv.52
ヘラクロス Lv.52
メガニウム Lv.51
マグマラシ Lv.51
ラティアス Lv.46
ヘルガー Lv.51
ワニノコ Lv.51
ヨルノズク(色違い) Lv.51
カイロス(部分色違い) Lv.51
ウソッキー Lv.51
バンギラス Lv.58
ゴマゾウ Lv.47
ギャラドス(色違い) Lv.49
ヒンバス Lv.1
ミズゴロウ Lv.31
スバメ Lv.30
ジュプトル Lv.31
ヘイガニ Lv.29