ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#132 『なんだそれ、バグじゃねーか』

 12歳 ι月ι日 『トウカシティ ジム戦 VSセンリ 後編』

 

 ナマケロが倒れたことで数的優位は作れたものの、勝負はまだこれからである。センリも特に動揺した様子もなく、再びヤルキモノを出してきた。

 こちらもコータスを継続させていく。『オーバーヒート』を使った影響で、特攻が二段階ダウンしているが、まだ『こうそくスピン』と『かえんぐるま』の連携技が残っている。

 

 とはいえ、こちらから急いで攻めることはしない。ヘイガニの『どくどく』で、相手のヤルキモノは既に猛毒状態になっている。時間をかければかけるだけ、相手の方が苦しくなってくるのだ。

 逆に、向こうが勝負を急いで焦った隙を狙っていくのが一番いいということで、ここはコータスの鈍足を生かしてゆっくり攻めていくことにした。

 

 どちらも動かず、少しの間無言の時間が流れる。

 

 こちらが動かないとわかると、センリは『アンコール』でこちらの技を縛り、『ブレイククロー』で攻め立ててきた。戻しても良いのだが、ここは敢えて『オーバーヒート』を指示していく。

 流石のセンリも動揺を見せた。

 特攻が二段階下がってもう使い物にならないと思っていたのだろう。実際、威力は半減していると言っていい。しかし、タイプ一致の1.5倍と『ひでり』による1.5倍がある。大したことないと言ってもまだそれなりのダメージは出るのだ。

 

 センリは即座に防御態勢を指示した。

 ただでさえオバヒは攻撃範囲が広い上、ヤルキモノもこちらを攻めるために走っているので、回避は間に合わないと判断したのだろう。

 

 二発目の『オーバーヒート』でヤルキモノにダメージを与えていく。威力自体は晴れ状態じゃない時の『かえんほうしゃ』とどっこいくらいだが、ガードの上からでもそこそこのダメージを与えたはずだ。

 これで特攻は四段階ダウン。今度こそ撃ち切りだ。おまけに、丁度特性による『ひでり』が切れたのでコータスをボールに戻していく。

 

 当て逃げされて、センリも「やるなぁ」と声を上げる。オバヒのデメリットを抱えたまま攻めてくるとは思わなかったのだろう。

 実際、俺も『ひでり』の効果がなければ、素直にヘイガニに交代した。オバヒ云々ではなく、晴れ状態だとみず技が威力半減するので時間を稼ぎたかったのだ。

 

 コータスを戻し、こちらが再びヘイガニを出すと、今度こそ『ブレイククロー』で攻め立ててくる。こちらも『クラブハンマー』で受けて立った。

 だが、向こうが攻撃を振り切る直前に、『みだれひっかき』と合わせて『ブレイククロー』を連打するという合わせ技を見せてくる。前にシゲルがジョウトリーグで『ほのおのパンチ』と『みだれひっかき』を合わせてきたのと同じ応用だ。

 

 こちらの『クラブハンマー』が受け流され、そのまま連打をくらった。ナマケロから受けた『カウンター』のダメージも考えると安くないダメージである。

 パッと見た感じ、ヘイガニの体力も残り1/3くらいか。しかし、猛毒が回っていることもあり、ヤルキモノもまたダメージが厳しいはずだ。コータスのオバヒのダメージを考えても、もう半分近く体力が削られていると見ていい。

 

 ならば――

 

 最後の技として『ハサミギロチン』を指示する。とはいえ、これは威嚇だ。強盗犯が逃げる時間を稼ごうとナイフを振りかざしているようなものである。

 だが、当たればただでは済まないという状況が相手の動きを止めるというのは同じだ。これで猛毒の時間を稼ぎつつ、ワンチャン近づいてきたら一撃必殺を狙っていく。

 

「ヤルキモノ、『からげんき』だ」

 

 しかし、センリは迷わず距離を詰めてきた。引くつもりなどないという確固とした意志で、こちらのハサミを潜り抜け、ヘイガニの懐に潜り込んでくる。

 まずい。『からげんき』は状態異常の時に、威力が二倍になるノーマルタイプの物理技だ。当然、猛毒状態のヤルキモノは効果の発動条件を満たしている。元の威力は70が二倍になり、前のバトルでガルーラが使った『とっておき』と同じ威力になっていた。

 

 残り体力1/3のヘイガニにそんな威力の技が耐えられるはずもなく、一撃で戦闘不能に持って行かれる。

 まさか、あそこで迷わず踏み込んでくるとは思わなかった。確かに一撃必殺など早々当たらないと思うかもしれないが、もしもを考えれば躊躇してもおかしくない場面だったのに。

 

 ヘイガニを戻す。同時に、センリもヤルキモノを戻した。猛毒のリセットをするつもりなのだろう。

 だが、コータス、ヘイガニと連戦したことで、ヤルキモノの体力も1/3近くまで削れた。仮に次に出てきたとしても、もう長くは戦えないはずだ。

 

 センリは三体目にケッキングを繰り出してくる。こちらは再びコータスを送り出した。特性の『ひでり』で再びフィールドが晴れ状態になっていく。

 どうやら、このケッキングは前に戦った個体とは違うようだが、前のケッキング同様に怠けないケッキングの可能性がある。真っ向勝負になれば不利なのはこちらだろう。

 

 天候がこちらに味方しているうちにダメージを稼いでいく。再び、『オーバーヒート』を指示して、最大威力の攻撃を叩きこみに行った。

 

 しかし、その瞬間、センリが『はかいこうせん』を指示してくる。ノーマルタイプ最大の特殊技だ。ジョウトチャンピオンのワタルが好んで使っている技でもある。

 ケッキングは特殊攻撃力も低くはないが、跳びぬけて強いという訳ではなかった。だが、想定以上に『はかいこうせん』の威力は高く、こちらの『ひでり』オバヒを貫いてコータスにダメージを与えてくる。

 

 単純な技の威力ならこちらの方が上のはずだ。しかし、レベルの差と種族値の差が、その力関係を逆転させたらしい。

 おまけに、『はかいこうせん』の衝撃でコータスがひっくり返ってしまった。コータスは亀系ポケモンと同じく、ひっくり返ると起き上がるのに時間がかかる。その間に、『はかいこうせん』の反動は消えてしまっていた。

 

 ナマケロから受けた『じならし』と、今の『はかいこうせん』で、コータスの残り体力はおおよそ1/3ちょっとくらいか。

 こちらのオバヒのおかげで『はかいこうせん』の威力もかなり軽減されたが、もし直撃を受ければ一撃で戦闘不能にされかねない威力である。こちらの特攻も二段階下がってしまったし、遠距離での打ち合いは分が悪い。

 

 ならば、接近戦あるのみ――と言いたい所だが、ケッキングの本領もまたその接近戦だった。

 

 アスナ直伝(盗んだ)の『こうそくスピン』、『かえんぐるま』のアニポケ殺法が完全だったなら、スピードで乱戦に持ち込めたが、今のコータスは真っすぐぶつかるしか出来ない。これではただの的である。

 と、すると一度戻すか。コータスを戻してジュプトルを出せば、また完全なオバヒが使えるようになるし、ジュプトルのスピードなら十分に乱戦に持ち込めるだろう。

 

 そう判断し、コータスを戻した。やられっぱなしで悔しいかもしれないが、まだお前の力は必要だ。今は休んでくれ。

 

 三体目としてジュプトルを出していく。バトルが再開されると、自慢のスピードで真っすぐにケッキングに向かって走って行った。

 だが、ケッキングもまたあの巨体でなかなかに素早い。不意を突こうとしたジュプトルの前へ先回りすると、先制の『ほのおのパンチ』で攻撃してくる。

 

 おそらく、『ほのおのパンチ』を選んだのはこちらへの弱点もあるが、コータスの『ひでり』で威力が上がっているのと、火傷を狙ってのことだろう。

 タイプ不一致の技だが、タイプ一致と同じくらいの火力が見込める。正直、天候が向こうに有利に働くことはあまりないと思っていたが、まさかここで逆利用されるとは。

 

 ジュプトルも咄嗟に『リーフブレード』で攻撃を受け流すも、そのパワーに体勢を崩されていた。

 おまけに、やはりこいつも前に戦ったケッキングのように、怠けないケッキングらしく攻撃後に怠ける様子がない。こちらの隙を狙って、追撃の『ほのおのパンチ』を叩きこんできたので、『みきり』で緊急回避した。

 

 しかし、センリは攻め手を緩めない。『はかいこうせん』同様に、ノーマルタイプ最強の物理技である『ギガインパクト』で、そのままこちらに落ち着く余裕を与えず突っ込んでくる。

 素早自慢のジュプトルだが、まだエンジンがかかりきっていないようで、なかなか自分の強みを生かし切れていなかった。『ギガインパクト』の直撃こそ何とか回避したが、対象に当たらなかったことで反動も発生せず、そのまま連続で『ギガインパクト』を仕掛けてくる。

 

 回避しているうちに『ひでり』の効果は切れたが、この『ギガインパクト』の連打は地味にプレッシャーをかけられていた。当たれば大ダメージ必至というのは、受ける側からしてみれば厄介以外の何物でもない。

 回避に専念すれば避けるのは簡単だが、代わりに攻撃に意識を割く余裕がなかった。わかってはいたが、やはりケッキングは強い。そもそも種族値が伝説のポケモン並なのだ。いくらレベルが制限されているとはいえ、同格でもそう簡単に倒せたら苦労はないだろう。

 

 センリも、何度か『ギガインパクト』を仕掛けて当てるのが難しいとわかると、最後の技として『つばめがえし』を指示してきた。

 必中の弱点技だ。タイプも不一致で火力もそこまで強い訳ではないが、絶対に当てることを重要視したのだろう。これにより、こちらは防御を強要される。そこから、『ほのおのパンチ』や『ギガインパクト』に繋げられれば、先程までのように避け続けるのは難しかった。

 

 とりあえず、『リーフブレード』で『つばめがえし』を受け流し、ダメージを最小限に抑える。

 続けて、センリはやはり『ギガインパクト』を指示してきた。ほぼゼロ距離ということもあって回避は難しい。『みきり』で避けても連打されては意味がないので、咄嗟に『みがわり』を指示してダメージを少なくした。だが、『みがわり』も体力の1/4を使用する技なので何度も乱用できる技ではない。

 

 とはいえ、マイナスな結果ばかりではなかった。『みがわり』に『ギガインパクト』が命中したことによって、ケッキングは反動で動けなくなっている。

 今しかないと、ジュプトルが渾身の『リーフブレード』を叩きこんだ。いくら種族値が高いと言っても、無防備にタイプ一致『リーフブレード』の直撃を受ければダメージは避けられない。これで、とりあえず反動技でごり押しする攻撃はある程度牽制できたはずだ。

 

 しかし、ケッキングもまだまだ余裕という表情を崩していなかった。対するジュプトルは渾身の一撃が効いていないことに少し動揺している。

 落ち着け、やせ我慢だ。効いていないフリをして、こちらを混乱させようとしているのだろう。ニューサトシの観察眼によれば、間違いなくケッキングは少なくないダメージを受けている。もう何発か同じ攻撃が直撃すれば必ず倒せるはずだ。

 

 センリも俺がすぐにジュプトルの落ち着きを取り戻させた所から、小細工は効かないとすぐに気付いたようで残念そうに肩をすくめている。悪いね、ニューサトシは可愛げがないことで有名なんだわ。

 

 向こうも反動技連打が厳しいとわかると、今度は小さい連打を積み重ねることにしたようで、必中の『つばめがえし』で打ち合いを強要してから『ほのおのパンチ』を混ぜた細かい攻撃を繰り出してきた。

 どちらか一方なら受け流すのもそう難しくないのだが、二つの攻撃をランダムに混ぜられると受け流すのも難しくなってくる。

 

 下手にHPを削られると、また反動技が有効になってくるので、ここは一旦ジュプトルを戻すことにした。

 再び、コータスを出して天候を晴れにしていく。これで向こうの『ほのおのパンチ』も威力があがってしまったが、こちらも一度ボールに戻ったことで『オーバーヒート』が使えるようになっている。

 

 とはいえ、真正面から撃っても先程のように『はかいこうせん』で迎撃されるだけだ。

 

 だが、先程までと違って、ケッキングの技が全て判明している。これなら、いくらでもやりようはあった。

 再び、アスナ直伝(盗んだ)の『こうそくスピン』からの『かえんぐるま』で、真っすぐにぶつかっていく。

 

 対するケッキングは、『ギガインパクト』で迎撃してきた。正直、予想外の選択だ。

 他の技と違って『はかいこうせん』や『ギガインパクト』だと、万が一こちらを倒し損ねた場合、反動中に晴れオバヒの直撃を受ける危険がある。下手に俺にワンチャンを与えないためにも、迎撃には使ってこないと思っていた。

 

 しかし、その疑問も一瞬で氷解する。

 

 確かに、タイプ不一致の『つばめがえし』や、こちらに効果今一つの『ほのおのパンチ』では迎撃しにくいだろう。ならば、逆に一撃で決めてしまえと考えるのもわからなくはない。

 だが、最大の理由はそこじゃなかった。センリの顔を見ればわかる。今のコータスの体力くらいなら一撃で倒せるとセンリは判断したのだ。

 

 舐められたものである。

 

 その余裕を叩き割ってやると、コータスには敢えてそのままぶつかるように指示を飛ばした。変に避けようするよりも、真正面からぶつかった方が受けるダメージは少ない。

 向こうの方が技の威力や種族値が上なので、こちらが押し負けてかなりのダメージは受ける――が、逃げずにぶつかり合ったことで威力が軽減されたこともあり、ギリギリで戦闘不能にはならなかった。

 

 コータスが起き上がったことで、センリが苦い顔をする。とはいえ、コータスも残り体力はミリだ。いつ倒れてもおかしくない。

 しかし、これで向こうは反動で動けなくなった。反動中はポケモンの交代も出来ないので、センリにこちらの攻撃を避けるすべはない。晴れ状態の『オーバーヒート』を直撃させて大ダメージを与えていく。

 

 だが、晴れオバヒが直撃する瞬間、ケッキングが『はかいこうせん』で迎撃してきた。

 

 バカな。まだ反動が解除されるだけの時間は経っていない。迎撃は不可能なはずだ。

 しかし事実、そんなこと知るかと言わんばかりに、ケッキングはこちらの攻撃を迎撃している。

 

 とはいえ、こちらのオバヒは完全に撃ち切って勢いに乗っていた。対して、撃ち始めの『はかいこうせん』では流石に受けきれなかったようで、オバヒが貫通してケッキングに少なくないダメージを与えていく。

 想定よりも安くなってしまったが、それでもダメージを与えたことに変わりはない。ジュプトルの『リーフブレード』と合わせてかなりのダメージを与えたはずだ。

 

 だが――

 

「何故、『ギガインパクト』の反動中に『はかいこうせん』が撃てたか。不思議かい、サトシ君?」

 

 こちらの内心を突くかのように、センリがそう話しかけてきた。不思議じゃないはずがないだろう。ポケモンの技の仕様に真っ向から喧嘩を売っているのだから。

 しかし、馬鹿正直に気になるというのも負けた気がする。黙って、ジッと睨みつけていると、そんなこちらの葛藤を見透かしたようにセンリがゆっくりと口を開いた。

 

「サトシ君、私のケッキングの特性は知っているね?」

「『なまけ』、ですよね」

 

 正確には『なまけ』(怠けていない)だが。

 

「そうだ。そして、私のケッキングは怠けていない訳ではなく、怠けるのを我慢してバトルしている。だから、こうして連続攻撃が出来る訳だが、決して特性が消えた訳ではない。だから、『ギガインパクト』の反動が発動した瞬間、ケッキングには『なまけ』の我慢を止めさせた。その結果、これまでの我慢が爆発し、反動を上書きする勢いで怠け始める。しかし、その怠けをすぐにまた我慢させると、一瞬だが、攻撃を放つ間が生まれるのだ」

 

 なんだそれ、バグじゃねーか。

 

「とはいえ、何のデメリットもない訳ではない。無理をしているから技の威力は下がるし、一瞬間が生まれるだけで反動自体がなくなった訳ではないから、攻撃後はまた動けなくなる。当然、『はかいこうせん』のような技を使えば、その反動は二倍になってしまう」

 

 ――しまった!

 

「コータス、『オーバーヒート』!!」

「遅い。戻れ、ケッキング」

 

 こちらが攻撃指示を出したと同時に、センリがケッキングをボールに戻していく。

 長々と解説してくれたのはケッキングの反動が消えるのを待つための時間稼ぎか。やられた。

 

「さらにおまけで教えると、この反動殺しはケッキングの特性を無理に使うせいで体にかなりの負担をかける。使えるのは一試合に一度が限度だ。つまり、この試合ではもう使えない」

 

 だが、もう使えなくても問題ないのだろう。

 もし、次にコータスとケッキングが対面したとしても、こちらの残り少ない体力くらいなら『はかいこうせん』の一撃で削り切れるのだから。

 

 こちらもコータスをボールに戻す。バグ技を使われたとはいえ、ダメージを与えたのは間違いない。向こうは、少しでも休ませてケッキングの体力を回復させるつもりなのだろう。

 しかし、そんな余裕を与えるつもりはなかった。センリがヤルキモノを出してきた瞬間、こちらもジュプトルを出して突撃させていく。向こうのヤルキモノは猛毒状態だ。少しでもダメージを入れれば即戦闘不能になる。

 

 必殺の『リーフブレード』で奇襲をかけていく――が、向こうも『からげんき』で反撃してきた。

 互いの一撃がぶつかり合うも、技の威力は『からげんき』の方が上ということで、こちらが押し返される。

 

 パワーで対抗するのが難しいならスピードで勝負だ。ヤルキモノはケッキングよりも足が遅い。お前なら十分に翻弄できるはずだ。

 足を使って、ヤルキモノの周りを高速で移動していく。ヤルキモノも『からげんき』で反撃してくるが、ジュプトルの方が速いようで動きを捉えきれていなかった。ようやく、本領が発揮できるとばかりに、ジュプトルがヤルキモノの回りを駆け回る。

 

 相手の動きを見切り、回避し、隙を見て反撃していく。向こうの攻撃はかすらせもしない。これこそがジュプトルの戦い方だ。

 まだ種族値的に他を置き去りにするほどの速さという訳ではないが、進化すればこいつに追いつけるポケモンなど一握りしかいなくなるだろう。実際、ケッキングは追いつけていたが、進化前のヤルキモノでは攻撃をかすらせることも出来ていなかった。

 

 ヤルキモノが『からげんき』を撃つ、かわす、『リーフブレード』をぶつけるというループでダメージを与えていく。

 

 バトルを長引かせれば長引かせるだけこちらが不利になるので、一気に勝負を決めにいった。こちらに追いつけないとわかると、ヤルキモノも少しでも耐えようと防御を固めてくる。

 こうなると、もうサンドバッグ状態だ。防御の上から『リーフブレード』を叩きこんでいく。ヤルキモノも頑張ってはいたが、猛毒のダメージが致命傷だった。こちらの攻撃を受け、踏ん張り切れずに戦闘不能になる。同時に、『ひでり』の効果が切れて日差しが元に戻った。

 

「よくやったヤルキモノ。この時間、無駄にはしないぞ」

 

 そう言って、ヤルキモノを戻すと、最後のケッキングを出してくる。だが、精神論はともかく、現実的にはまだケッキングは先程無理をした疲労を回復できていない。これなら十分に勝負になるはずだ。

 

 ヤルキモノとの戦いで完全にエンジンがかかったジュプトルが走り出す。

 先程まで追えていたケッキングも、今のジュプトルには追いつけていなかった。種族値では向こうが上だが、今のジュプトルは勢いに乗っており、先程までとはスピードが段違いに速いのだ。

 

 先程はよくもやってくれたなと言わんばかりに、ジュプトルがケッキングの後ろに回っていく。しかし、ケッキングもやられてばかりではなかった。すぐに『ほのおのパンチ』で迎撃してくる。

 だが、技のチョイスは失敗だったな。ここは『ほのおのパンチ』ではなく、必中の『つばめがえし』にするべきだった。今のジュプトルは必中でなければ、簡単に攻撃を回避できる。返しの刀で『リーフブレード』を叩きこむと、流石のケッキングもダメージを隠せていなかった。

 

 ケッキングはHPの種族値が高いので耐久がかなりあるが、それでももう半分以上は削っただろう。この調子で『リーフブレード』をもう二、三発も叩き込めば、戦闘不能に持って行けるはずだ。

 しかし、センリもやられたままではいなかった。必中効果のある『つばめがえし』以外の攻撃を当てるのが難しいとわかると、敢えてこちらの攻撃を避けずに真っ向から受けて立ったのである。

 

 いくらジュプトルが早いと言っても、攻撃をしている最中だけは回避できない。だからこそ、センリは肉を切らせて骨を断つ覚悟で、『リーフブレード』を受けた瞬間に『ギガインパクト』でこちらに反撃してきた。

 ノーマルタイプ最大の物理技の直撃を受け、ジュプトルが吹っ飛んでいく。弱点の攻撃ではないとはいえ、攻撃種族値160からの最強技は大ダメージだ。ジュプトルは『みがわり』の自傷ダメージ以外、攻撃をそこまで受けていないので、体力は2/3程はあったはずだが、一気に1/4近くまで削られている。

 

 これでダメージは逆転した。

 

 ケッキングも『リーフブレード』の直撃を受けたが、見た感じまだ体力は1/3は残っている。

 向こうが『ギガインパクト』の反動で動けない間に、『リーフブレード』を叩きこんでダメージを取り戻そうかとも思ったが、もし先程の話が嘘でまた反動を無視した攻撃をされた場合、ジュプトルが倒される可能性があった。ここは安全策を取って一度、ジュプトルを戻してコータスを出していく。

 

 コータスが出たことで、再び『ひでり』となり日差しが強くなる。センリは迷わず、『はかいこうせん』を指示してきた。こちらも一か八か、『オーバーヒート』で反撃する。

 だが、コータスもダメージの色が濃く、『オーバーヒート』に力が乗り切っていなかった。向こうの『はかいこうせん』がオバヒを貫通し、直撃を受けたコータスが戦闘不能になる。

 

 アスナ直伝の技で乱戦に持ち込むべきだったか? いや、もうコータスにはスタミナが残っていなかった。動き回っても足が止まって捕まる方が先だっただろう。

 

 それにコータスは倒れてしまったが、十分に仕事をしてくれた。おかげで情報を得ることは出来ている。

 どうも見ていた感じ、センリが言っていたもう反動を無視して動けないというのは嘘では無さそうだった。負担をかけるというのは本当のようで、そんなに長い時間戦っていないケッキングが肩で息をし出している。この様子ではもうバグ技を使う余裕などないだろう。

 

 後は、如何にして先にケッキングの体力をゼロにするかだ。このまま真っすぐ仕掛けても、肉を切らせて骨を断つ作戦で返り討ちに合うのは目に見えている。

 

 コータスを戻してジュプトルを出すが、すぐには動けなかった。無策で挑んで勝てる相手ではない。

 今、ジュプトルは体力がギリギリになっていることで特性の『しんりょく』が発動しているはずだが、それでも『リーフブレード』一発で倒し切れるかはギリギリだ。『リーフブレード』を超える技があればいいのだが、こいつは物理攻撃が大好きなので特殊のくさ技を何一つとして覚えていないのである。

 

 どうする――と、思考を働かせていると、おもむろにジュプトルが走り出した。まだ何も指示を出していないが、腕の『リーフブレード』を構えて突撃していく。

 まさか、一か八かの急所作戦か?

 確かに、それは俺も考えた。とはいえ、『リーフブレード』は急所に当たりやすい技ではあるが、そう簡単に急所に当たれば苦労はない――と、思ったその瞬間、『リーフブレード』の葉の刃に日の光が集中し出していく。

 

 あれは、まさか――

 

 急いで図鑑を出して確認すると、『ソーラーブレード』の名が追加されていた。『ソーラーブレード』はその名の通り『ソーラービーム』の物理版である。

 一ターン目に力を貯めて、二ターン目に攻撃する『ゴッドバード』なんかと同じタイプの技だが、本来ジュプトルは『ソーラーブレード』をレベルでは覚えないはずだ。特に練習していたということもなかったのだが、どうやら追い詰められたことで覚醒したらしい。

 

 おまけに、今はコータスの『ひでり』が残っていた。ソラビと同じく、ソラブレは天気が晴れ状態の時は貯め無しで攻撃が出来る。

 向こうも攻撃を待ち構えていたということもあり、必殺の一撃がケッキングに直撃した。『リーフブレード』は威力90だが、『ソーラーブレード』は威力125だ。さらに『しんりょく』で火力が底上げされているということもあり、想定外の一撃はケッキングの残りHPを全て削り取り、反撃の隙も与えずに戦闘不能に持っていく。

 

 向こうのポケモンが三体全て戦闘不能になったことで、俺の勝利という判定が下った。

 センリも、まさかここで新技が来るとは思わなかったようで驚きの表情を見せたが、すぐに切り替えてこちらの勝利を称えてくる。

 

 実際、かなり厳しいバトルだった。特に中盤でコータスが踏ん張ってくれなかったら、負けていたのはこちらだっただろう。

 勿論、とどめを刺したジュプトルや、序盤で暴れたヘイガニもいい仕事をしてくれた。特にジュプトルは『ソーラーブレード』の習得おめでとう。その調子で特殊技も覚えてくれ。

 

 と、ポケモン達を褒めていると、センリがジム戦を制した証であるバランスバッジを渡してきた――のだが、その瞬間、マサトがバッジを奪ってどこかに走り去ってしまった。

 

 ありゃ、と思うが、気持ちは何となくわかる。多分、父親が負けたのが認められないのだろう。マサトは、ハルカ以上にセンリを尊敬していたからな。

 まぁ、別にバッジ欲しさにジム戦をした訳ではないので別になくてもいいのだが、センリが慌てて後を追って行ったので、そのうち帰って来るだろう。

 

 しばらく待っていると、「ごめん、サトシ」と謝りながら、マサトがバランスバッジを渡してきた。どうやらセンリにいろいろと諭されたらしい。

 まぁ、カントーやジョウト時代ならまだしも、今はチャンピオンリーグの出場権もあるし別に気にしてなどいなかった。ニューサトシは心が広いことで有名なのだ。だから、その謝罪に免じて、今回は拳骨一発で許しやろう。オラ、頭出せ。

 

 

 




 原作との変化点。

・アスナ直伝(盗んだ)の技を使った。
 が、まだ練習して日が浅いので、アスナほど上手く使えていない。

・反動技の反動を消すなまけ
 チートオブチート!!
 
・ジュプトルがソーラーブレードを覚えた。
 原作と違って、遠距離技であるタネマシンガンを覚えていない代わりに覚えた。遠距離攻撃はこのはくらいしかない。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

 ピジョット Lv.56

 バタフリー Lv.56

 ドサイドン Lv.60

 フシギダネ Lv.57

 リザードン Lv.61

 カメックス Lv.57

 キングラー Lv.56

 カモネギ  Lv.56

 エビワラー Lv.57

 ゲンガー  Lv.58

 オコリザル Lv.56

 イーブイ  Lv.56

 ベトベトン Lv.56

 ジバコイル Lv.56

 ケンタロス Lv.56

 ヤドラン  Lv.55

 ハッサム  Lv.57

 トゲキッス Lv.54

 プテラ   Lv.57

 ラプラス  Lv.55

 ミュウツー Lv.73

 バリヤード Lv.56

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.54

 カビゴン  Lv.52

 ニョロトノ Lv.52

 ヘラクロス Lv.52

 メガニウム Lv.51

 マグマラシ Lv.51

 ラティアス Lv.47

 ヘルガー  Lv.51

 ワニノコ  Lv.51

 ヨルノズク(色違い) Lv.51

 カイロス(部分色違い) Lv.51

 ウソッキー Lv.51

 バンギラス Lv.59

 ゴマゾウ  Lv.49

 ギャラドス(色違い) Lv.49

 ミロカロス Lv.33

 ミズゴロウ Lv.40

 スバメ   Lv.39

 ジュプトル Lv.40→41

 ヘイガニ  Lv.39→40

 フライゴン Lv.50

 コータス  Lv.35→36


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