ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#139 『――絆の結晶だ』

 13歳 κ月κ日 『乱戦』

 ミュウツーが相手のアーマーを破壊しようと、『かわらわり』で攻撃を仕掛けていくが、ミュウツーⅦはそれを容易に回避している。

 このままでは対応が難しいと考えたミュウツーは、『ビルドアップ』、『めいそう』を同時発動して自身のステータスを上げていった。

 

 普段のバトルでは技の使用制限があるので、なかなか使う機会はないが、これにより攻撃、防御、特攻、特防が一段階上がる。

 とはいえ、簡単にやっているが、ステータスに関与する技を同時発動するのは難易度が高い。ニューサトシも、ミュウツー以外にこれが出来る奴を今は知らなかった。それだけの高等技術だ。

 

 さらに『こうそくいどう』で素早を二段階上げて、ミュウツーがミュウツーⅦに迫る。

 いくら強いと言っても、ステータスを上げて差を付ければこれまでのようにそう簡単には防げないだろう。そのまま、『かわらわり』でアーマーを剥ごうとするも、『みきり』で攻撃を回避され、返しの『ぶんまわす』で遠くへと投げられた。

 

 しかし、回されながら二度目の『ビルドアップ』、『めいそう』を積んだこともあり、ダメージは少なく済んでいる。

 全てのステータスが二段階上がったことで、ミュウツーの能力はミュウツーⅦを超えた。このまま行けば、あのアーマーを剥がすのもそう難しくない。

 

 サカキは心を不純物と言い切ったが、この機械のようなポケモンは常に最適解を目指して動いている。だからこそ、動きが読みやすかった。心がないから、思考するという行為をしない。考えることをしないから攻撃が単調なのだ。

 レベルやステータスの差は技術で埋められる。

 それは、これまでの旅でミュウツーがサトシを見て身に付けたものの一つだ。サトシがサカキに自分達が負けないと断言したのも、こうなるのがわかっていたかもしれない。

 

 だが、ミュウツーが密かに自身の勝利を確信した瞬間――それは起こった。

 

 飛空艇から大きなアラート音と共に、緊急の連絡がサカキに入ったのである。内容は、レックウザが真っすぐこの飛空艇を目指して接近しているというものだ。

 それを聞いて、ミュウツーは察した。サトシ曰く、レックウザはデオキシスを狙っているということだった。そのデオキシスは、サカキの手によってこの飛空艇に囚われてしまっているが、今も彼らはここから脱出しようと足掻いている。そのデオキシスが発する怒りの波動にレックウザは引き寄せられたのだろう。

 

 見れば、サカキが多少慌てたような素振りを見せているが、サトシはニヤリと変な笑みを浮かべていた。

 これまでの経験上、あの笑みを浮かべている時のサトシはろくなことをしない。その証拠に、目線でこちらに「レックウザをこの場に呼べ」と言っているようだった。

 

どうやら自分のマスターは地獄をお望みらしい。

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 レックウザがこちらに近づいていると聞いて、チャンスだと思った。パッと見た感じだと、ミュウツーも攻め切るのに時間がかかりそうだし、ここはレックウザをこの場に呼んで一気に乱戦に持ち込んでやろう。

 ミュウツーが『テレポート』を発動させると、飛空艇の上空にレックウザが転移してきた。一瞬、何が起こったかわからないような仕草を見せたレックウザだが、すぐに飛空艇に攻撃を仕掛けていく。やはり、デオキシスを狙っているようだ。

 

 サカキがミュウツーⅦにレックウザを止めるように指示を出すが、当然のようにミュウツーに妨害させた。

 とりあえず、デオキシスさえ助けてしまえばサカキを倒すだけで全てが解決する。もし、仮にサカキとミュウツーⅦを倒したとしても、『テレポート』でデオキシスごと逃げられでもしたらシャレにならないからな。

 

 どこかでデオキシスを助ける必要があったが、協力者が来てくれるのなら話が早い。

 いくらロケット団自慢の飛空艇とはいえ、レックウザの猛攻には耐えられないようで、外壁が破壊され、中からデオキシスが脱出していく。

 それを見て、レックウザも標的を飛空艇からデオキシスに変更したが、デオキシスは自分達を捕らえたであろうミュウツーⅦに怒りの矛先を向けていた。

 

 飛空艇も航行不能のようで、ゆっくりと着陸していく。しかし、もう勝敗は決まったようなものだった。いくら強いとはいえ、デオキシス二体にミュウツーが相手では、ミュウツーⅦに勝ち目などない。

 おまけに、俺には一つの秘策があった。レックウザは基本的にオゾン層に住んでおり、本能的に宇宙から飛来する隕石を食べる習性がある。デオキシスがレックウザに狙われているのも、自身の住居だったオゾン層を隕石越しに突っ切ったのが原因だったはずだ。

 

 つまり、それだけ隕石に目がないということであり、何の因果か俺は小さいが隕石を持っている。

 レックウザに声をかけて隕石を見せると、怒りよりも食欲を優先したのか、寄こせとばかりにこちらに向かってきたので隕石をミュウツーⅦに向けて投げた。これにより、レックウザすらミュウツーⅦの敵となる。これを防ぐことはもう不可能だろう。

 

 しかし、伝説四体がミュウツーⅦに攻撃を仕掛けようとしたその瞬間、サカキが懐から何やら小さな石のようなものを取り出した。

 

 まさか、あれは――

 

「悪の限りを尽くすのだミュウツーⅦ。貴様に倒せない敵など存在しないことを教えてやれ――メガシンカ!」

 

 その瞬間、ミュウツーⅦのアーマーが内側から吹き飛び、ミュウツーⅦがメガミュウツーYへとメガシンカした。

 同時に、体に残ったアーマーを『なげつける』で全てこちらに吹き飛ばしてくる。まずい、『なげつける』はあく技だ。レックウザ以外の三体はエスパータイプなので、効果は抜群である。

 

「まさか、切り札まで使う羽目になるとはな……メガシンカすると、パワーが強すぎてアーマーですら耐えられなくなってしまうというのに」

「……バカな。メガシンカにはトレーナーとの絆が不可欠だ。ポケモンを兵器としか考えていないお前にメガシンカなんか使えるはずがない」

「フハハハハハ。確かにな、普通のポケモンでは不可能だ。だが、このミュウツーⅦには私の細胞すら使われている。つまり、あいつは私でもあるのだ。絆というのが、互いを理解することを指すのであれば、私とあいつは悪という絆で結ばれている」

 

 実際、メガシンカしている以上、サカキの理論が正しいってことか。

 

 流石のレックウザも脅威に感じたのか、メガミュウツーYを敵視しているようで、デオキシスに攻撃を仕掛けることなく向こうの様子を見ている。

 

「さて、まさかレックウザなどという珍客が来るとはな。飛空艇を壊してくれた賠償を請求するとしよう」

 

 メガミュウツーYが『サイコキネシス』を発動すると、一気にレックウザ、デオキシス二体、ミュウツーの四体に黒い輪のようなものがくっつき、その動きを封じられた。

 全員脱出しようと足掻いているが、メガミュウツーYの特攻種族値は全ポケモン中一位の能力を持っている。いくら伝説ポケモン達とはいえ、脱出はそう簡単にはいかないだろう。

 

 しかし、ミュウツーだけは何とか足掻いていた。戦闘中にステータスを上げていたのが幸いして、何とか隙間を作って『テレポート』で逃げ出している。

 俺の隣に来たミュウツーは肩で息をしていた。戦闘中は割と余裕そうな表情を見せていたミュウツーだが、流石にメガミュウツーYが相手なのは厳しいようだ。

 

 どうする? ダメージ軽減、リジェネ持ちのアーマーは剥がせたが、代わりに元のスペックがミュウツーを超えてしまった。

 今はまだ、こちらもステータスを上げているから何とか抵抗できたが、もし向こうがステータスを上げて来れば、今までのように簡単には戦えないだろう。

 

 飛空艇が地上に落下し、そのままレックウザとデオキシス二体が地面に叩きつけられる。

 俺達だけなら逃げるのは容易だ。だが、このままレックウザとデオキシス二体をサカキの手に渡すわけにはいかない。渡せば、何をするかわかったものではないし、そもそもこのミュウツーⅦを放置すればロケット団が世界を征服するというのも夢物語ではなくなる。

 

 戦って勝つしかない。

 

 ミュウツーに『シャドーボール』を指示する。同時に、メガミュウツーYも『シャドーボール』を使ってきた。

 しかし、数がおかしい。こちらが一つなのに対して、向こうは軽く二十は数がある。確かに、威力などを犠牲にすれば球数は増やせるが、あれはどう見てもこちらと同等の威力があった。

 

 当然、迎撃しきれるはずがなく、ミュウツーが攻撃を回避していく。俺もまたフライゴン先輩を上昇させ、攻撃を回避した。

 だが、ミュウツーが逃げた先に、メガミュウツーYが『テレポート』して『シグナルビーム』を構えている。まるでドラゴンボールのフリーザ様がクリリンを殺す時のようなポーズだった。

 

 ミュウツーも即座に『まもる』で攻撃を防いだ。しかし、二度目はないとばかりに、そのままメガミュウツーYは『シグナルビーム』を連打してくる。

 ミュウツーも『テレポート』で逃げるが、どうもミュウツーの動きを読んでいるのか、即座に『テレポート』で追撃してきた。

 一度、『テレポート』を挟んだことで、追撃の『シグナルビーム』を『まもる』で防御出来たが、連続で攻撃されると回避も防御も不可能だ。おまけに、ガードする暇を与えないように、ゼロ距離で攻撃を構えている。追撃の『シグナルビーム』の直撃をくらい、ミュウツーが苦しそうな表情を見せた。

 

 メガシンカする前と動きが全然違うじゃねーか。まるで、時間をかけて俺のミュウツーの動きを理解したような動きだ。

まさか、情報を集めていたとでもいうのか?

 今までの単調とも思える動きは、あくまでこちらの事前情報から推測した動きで、実戦の中でその誤差を修正していったとでもいうつもりか?

 

 だが、そうでもなければ、ああまでミュウツーの動きを先読みなど出来るはずがない。

 

 ミュウツーが得意のスプーンを具現化して接近戦を仕掛けていく。だが、メガミュウツーYは攻撃種族値が150もある。近接も強いのだ、このやべー奴は。

 ステータス的には、『ビルドアップ』を二回積んだミュウツーの方が上のはずだ。しかし、まるで攻撃を予知するかのように攻撃を捌かれる。最終的には『イカサマ』で、こちらの攻撃が上がっているのを逆手に取られてミュウツーが吹き飛んできた。

 

 即座にダメージは『じこさいせい』で回復するも、呼吸が大分荒い。精神的に消耗しているのは火を見るよりも明らかだ。

 仮に、全ステータスを今以上に上昇させたとしても、奴に勝てるビジョンが見えなかった。さらに絶望を煽るように、向こうも『じこあんじ』でこちらの補助効果をコピーしてくる。咄嗟に『ちょうはつ』を指示したが、構わずメガミュウツーYは『じこあんじ』を続けていた。

 

 バカな。『ちょうはつ』を受けて変化技が使える訳がない。仮に『みがわり』を張っていても貫通するはずだ。

 混乱する中、サカキが余裕そうな笑みを浮かべながら、「『マジックコート』だ」と呟いた。そうか、『じこあんじ』と同時に、『マジックコート』を発動していたのか。だから、『ちょうはつ』の効果がメガミュウツーYに効かなかったんだ。

 

 まずい。『マジックコート』は、変化技を使用した相手に跳ね返す技だ。これで、しばらくの間、こちらのミュウツーは変化技が使えなくなった。

 

 メガミュウツーYが『じこあんじ』で全ステータスを二段階上昇させると、再びこちらとの距離を詰めてくる。

 ミュウツーも迎撃の構えを取るが、スピードが先程とは比べ物にならないくらいに早い。おまけに、向こうはこちらの動きを読んで攻撃してくる。向こうの攻撃を対応しても、その対応を対応されてしまう。

 

 絶望が頭をよぎった。

 

 ここで負ければ、ミュウツーは多分殺される。

 

 俺は捕まるか、殺されるか、どちらにしろろくなことにはならないだろう。

 

 ポケモン達も、ロケット団のポケモンとして扱われる。

 

 仲間や家族もどうなるかわからない。

 

 きっと、サカキはここで勝てば、一気にロケット団を全世界に進行させるだろう。

 

 レックウザとデオキシス二体もどうなるかわからない。

 

 不思議と、怖いという感情はなかった。

 

 ――あるのは怒りだ。

 

 不甲斐ない俺自身への怒り。

 

 ナギの時といい、今回といい、何回負ければ気が済むんだ俺は。

 

 ミュウツーは最強だ。だが、トレーナーの俺がその力を引き出し切れていないから、こうして無様な姿を晒させてしまっている。

 

 俺がもっと強ければ、こんなことにはならなかった。

 

 メガミュウツーYが相手でも、もっと上手く戦えたはずだ。そんな自責の念のようなものが怒りとなって、俺自身の心を燃やしている。

 

 そして、

 

 奇しくもミュウツーもまた、自身の不甲斐なさに怒りを感じていた。

 

 自分は最強になるべくして生まれた存在だ。

 

 その自分が、同族相手とはいえ手も足も出ずに負けるなどあり得ない。

 

 最強とはなんだ?

 

 この程度で負けるのが最強か?

 

 情けない。

 

 情けない――

 

「こんな所で負けて、ポケモンマスターなんかなれる訳ねーだろ!!」

『こんな所で負けては、最強のポケモンになどなれるはずがない!!』

 

 ――瞬間、心が、一つになった。

 

 リザードンの時と同じ感覚。

 

 同時に、それに共鳴するように、ミュウツーの姿が変化していく。それは、前にジラーチを助けた時、千年彗星のエネルギーを吸収した時の――あの姿だった。

 

 リザードンで慣れているということもあってか、きずな現象は最初から完全だ。俺の視界と、ミュウツーの視界がマルチで見える。

 全身が真っ白で、メガミュウツーYのようになだらかな感じだが、上半身にはメガミュウツーXのようなアーマーがあった。頭も細部が多少変わってはいるが、最大の変化は背中から放出されている銀色の光だ。

 

 きずなリザードンは炎の四枚羽だったが、ミュウツーの場合は銀色の波動が放出されているらしい。

 

「バカな! メガストーンもキーストーンもなく、メガシンカしたとでもいうのか!?」

 

 流石のサカキも驚きを隠せないようだった。

 

 ただ、その言葉には一つ間違いがある。

 

「これは、メガシンカじゃない」

『ああ、そうだ。これは』

「俺とミュウツーの――」

「『――絆の結晶だ』」

 

 ここに、きずなミュウツーが誕生した。

 

 

 




 原作との変化点。

・ニューサトシが地獄を作った。
 デオキシスを助けるために、レックウザをも利用した。レックウザの隕石好きはポケスペ参照。

・サカキがメガミュウツーYにメガシンカさせた。
 悪という絆。

・ミュウツーがきずな化した。
 きずな化させるのは、リザードン、ミュウツー、ゲッコウガだけと最初から決めていた。ゲッコウガは原作通りだが、リザードンとミュウツーはXYのどちらかに進化させるのに迷った末に第三の選択肢を登場させた。当初はメガリザードンZ、メガミュウツーZみたいな名前の予定だったが、変化がきずな現象に近いからきずなになった。




 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.61

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