13歳 μ月η日 『カイナシティ グランドフェスティバル』
遂に、待望のグランドフェスティバルの当日となった。ハルカも今までコンテストには何度も参加してきたが、ここまでの規模の大会は初めてということでとても緊張している。
今回はこちらから先手必勝の幸平式をパチーンと決めてやったのだが、それでもまだ緊張の方が勝るらしい。すると、ハルカ宛にこれまで出会った知り合いから手紙が届いたとのことで、目を通していくうちに緊張がやる気へと変わっていったようだ。
俺宛にもかなり手紙が来ている。もしかして、グラフェス終わったらこれ全部に返信しなきゃいけないのか?
うーむ、死ぬほど怠いな。
いっそ、見なかったことにしたい――が、そんな俺の表情を読み取ったカスミさんが、「ちゃんと返事をするのよ」と釘を刺してきた。へいへい、わかりましたよ。
グランドフェスティバルはこれまでのコンテストと違って予備選というものがあるらしい。280人の参加者を全て審査していたら時間が足りないので、その予備選を超えた上位64名しか本戦には出場できないようだ。
予備選の審査は、ポケモンの技を使ったアピールということで、今までのような演技ではなく、技を如何に美しく見せるかが重要になってくる。
奇しくも、ニューサトシの得意分野だった。
逆にハルカは今まで、技をそこまで凝って使ってこなかったこともあり、どうやって予備選を突破しようか頭を悩ませている。
そんなハルカに、毎度お馴染みシュウや前に囁き戦術を使ってきたハーリーが声をかけてきた。表向きは互いに頑張ろうと声をかけているようだが、シュウはライバル心メラメラだし、ハーリーはまたハルカを騙そうとしているのか、怪しい笑みを浮かべている。
とりあえず、ハルカには「あまりハーリーを信用しすぎると前のようになるぞ」と、忠告しておいた。
どうやらすっかり忘れていたらしいが、前に恥をかかされたことを思い出したようで警戒している。これならまぁ騙されることはないだろう。
っていうか、あまりハルカばっかりに構っている場合ではない。俺も予備選に出すポケモンを考えないとな。
予備選が技の美しさを競う場なら、コンテスト経験のあるラティよりも器用なピカ様に任せた方がいいかもしれん。ラティも頑張ってはいるが、まだいろいろ未熟な部分も多いからな。
ピカ様のでんき技の応用ならば、予備選を十分に突破できると判断し、ここはピカ様にお任せすることにした。
ラティが「むーむー」怒っているが、お前の出番は本戦からだ。今は力を温存して、その時に備えておいてくれ。
ハルカは予備選をアゲハントで行くことにしたようで技の調整をしている。むし技なら、やはり『ぎんいろのかぜ』だろう。あの技は見た目も良いし、いろいろと応用も効くしな。
どうやら、ハルカも技を悩んでいたようで、俺の言葉を聞いて『ぎんいろのかぜ』をメインで行くことにしたようだ。これで、負けても恨まないでくれよ。
と、いう訳で、予備選のアピールが始まった。
ナナミさんや前に苦戦を強いられたミロカロス使いのロバートが当然のように満点を出していく中、俺も続くようにピカ様のカウンターシールド『10まんボルト』を披露していく。
今回は技の威力は完全に無視して、電撃の美しさに全振りしているので、電撃の網が美しく表現されている。
惜しくも満点には届かなかったが、95点とかなりの高得点を叩き出した。まぁ、余程のことがなければ上位64名には入れると思いたい。
少ししてハルカの番になったが、ハルカもまた『ぎんいろのかぜ』を応用した演技で92点という高得点を叩き出していた。
どうもハーリーがまた何かをしようとしていたようだが、あえなく失敗に終わったらしく凄い顔でハルカのことを睨んでいる。
また、いつの間にか参加していたロケット団のムサシがドクケイルの粉技で予備選に参加していた。小さな声で、「94点以下だったらアウト……」と呟いていたが、95点という俺と同じ点数を叩き出している。
どうも、ナナミさんラインで94点以下はアウトらしい。にも、関わらず、92点のハルカを素直に褒めている辺り、どうやらナナミさんは弟子のみに厳しいタイプのようだ。
予備選は無事に全員突破することが出来たようで、本選前にポケモンセンターでポケモン達の体調チェックをしてもらうことにする。
調子に乗ったタケシが、ジョーイさんに自分も診察してほしいと迫っていたが、人間は専門外と一刀両断された上、カスミさんとマサトに両耳を引っ張られていた。
本選の一次審査は、いつものパフォーマンスタイムだ。ポケモンの魅力を如何に伝えるかで得点が変わってくる。
また、ここまで残った64人の内、半分の32名だけが、二次審査であるタッグバトルの舞台に行くことが出来るのだ。
俺は当然、ラティである。出番を待ちに待っていたしモチベーションも最高だ。むしろ、ここで下手に別のポケモンを選出したら、いろいろダメになりそうで怖い。
ハルカはチルタリスで挑戦するようだ。
前のキナギ大会では爆発力でエネコを選んでいたが、今回はチルタリスが持つ安定した美しさで高得点を狙いに行くようである。
ハーリーがまた何かちょっかいを出しているようだが、ハルカももう集中しきっているようで意にも留めていなかった。
そんなハルカの状態に気付いたのか、ハーリーは舌打ちして去っていき、シュウは悪くないと言わんばかりの表情を浮かべている。実際、ハルカの状態はとても良く、チルタリスとのパフォーマンスも過去一、二を争う出来だった。
負けていられないので、こちらもまた全力でパフォーマンスに望んでいく。
ラティお得意の専用技である『ミストボール』を主軸に、最後はようやく安定してきた『りゅうせいぐん』で締めた。『りゅうせいぐん』は技の威力などを無視して、美しさと制御に全ふりしただけあって、花火のような美しさが審査員を魅了している。
結果、俺とハルカは上位32名の中でもかなりいい順位で抜けることが出来た。見れば、ナナミさんやロバート、ムサシ、シュウもかなりの成績を出している。
残るハーリーは人にちょっかいを出し過ぎて、少し自分の演技が疎かになったようだが、それでもギリギリで上位32名の中に入っていた。これで落ちたら面白かったのだが、そこは意地を見せたらしい。
そのまま、二次審査の組み合わせが決まる。二次審査はいつものコンテストバトルだが、以前やったタッグコンテストと一緒で、二体のポケモンを使ったバトルをしなくてはいけない。
俺の一回戦の相手は見知らぬコーディネーター、ハルカの一回戦の相手はハーリーだった。
前にやったタッグバトルのコンテストと同様に、二体で共通のポイントなので通常のコンテストバトルよりもシビアな動きを要求されるだろう。
ハルカも前に俺とのタッグバトルを経験した後も、時間を見つけてはタッグの練習をしていたようだし、前のように簡単に負けることはないはずだ。
二次審査では、今までのコンテストバトルと違って一度のバトル毎に違うポケモンを選出できる。
ハルカは一回戦をワカシャモとフシギダネで臨むようだ。ハーリーのノクタスを警戒しつつ、フシギダネでサポートする狙いだろう。
俺はミロカロスと赤いギャラドスのみずタイプコンビで攻めることにした。どうも、ギャラドスはミロカロスがオーキド研究所に預けられている間、一緒にコンテストの練習をしていたようなので、ここでその実力を披露して貰おうという狙いである。
目論見は上手くハマり、実戦不足のミロカロスをギャラドスが上手くカバーし、逆にギャラドスのパワフルな動きをミロカロスがアシストするという感じで上手いこと立ち回っていた。
思わぬ誤算だったのは、ギャラドスが色違いなのでそこもかなり評価されたことだ。俺も結構手持ちに色違いが多いので、最近は気にしていなかったが、世間的にも色違いのポケモンというのは珍しく美しいのである。
ハルカの一回戦は、ハーリーのノクタスとジュペッタが相手だった。ハーリーも無駄に技術が高く、ハルカのポケモンの魅力を見せないように立ち回って相手のポイントを削ってくる。
しかし、相手の行動を阻害してポイントを削るのは地味に高等技術だ。ハルカも、想像以上に苦戦していたようだったが、中盤にワカシャモの攻撃から勢いづき、そのままギリギリで差し切っている。
ぶっちゃけ、どちらが勝ってもおかしくないバトルだった。もし、ハルカが俺とのバトルでタッグの弱点を克服していなかったら負けていたかもしれないな。
一回戦を終えると、残りは16名。この時点で、ベスト16は確約されたが、まだまだ上を目指す。
二回戦は俺もハルカも割と余裕の勝利だった。俺はバタフリーとフシギダネの経験ありコンビで、ハルカはマリルとコドラの原作外ポケモンコンビで突破している。
ムサシもコジロウのポケモンを借りているようで、一戦一戦違うポケモンの魅力をアピールしていた。
二回戦でアーマルドとユレイドルの化石コンビを見せつけてきた時には乱入してやろうかと思ったほどである。
ナナミさんやロバート、シュウも当然のように残っており、これでベスト8が決まった。
知り合いが6人いるので、誰かが必ずぶつかるが、今回はハルカ対シュウ、俺対ナナミさんと、二度も知り合いがぶつかるカードになっている。
現実として実力差を考えれば、ここで俺のグランドフェスティバルは終わりだろう。とはいえ、最初から諦めはしない。まだ勝つ可能性はある。ここぞという時のために取っておいたラティ&イーブイの仲良しコンビで挑戦だ。
ラティの経験と、イーブイの多彩な進化で、ワンチャン攻め切れないかという淡い期待を描いたコンビである。上手くハマれば、ハルカやムサシのように初見殺しも可能なはずだ。
ハルカもエネコとチルタリスという、ここ一番のコンビをぶつけるようで、絶対に勝つと意気込んでいる。
俺達の中ではハルカとシュウが最初の試合だった。エネコとチルタリスという組み合わせに対して、シュウは相棒のロゼリアと新戦力のフライゴンを出してくる。
奇しくも、ドラゴンポケモン同士の対決となった。こうなると、どちらが先に有効打を当てられるかで流れが変わってくる。
シュウのフライゴンは隠し玉だけあるようで、かなり育てられていたが、ハルカのチルタリスもチルットの頃からずっとトレーニングを積んできただけあって飛行技術では負けていない。
こうなると、地上組の動きが大事になってくるが、エネコがロゼリアに翻弄されて上手く実力を出し切れていなかった。
そんなエネコをチルタリスがカバーしようとしたが、その隙を突かれたフライゴンの一撃でシュウがポイント有利になる。
焦ってどんどん追い込まれるハルカだが、パンと拍手を一回すると、「焦らないで、勝負はここから!」と声を上げた。
確かに追い込まれてはいるが、まだ逆転できる時間は残されている。ハルカの一喝で、気持ちがリフレッシュ出来たようで、二体の動きが段々と良くなっていった。
とはいえ、ポイント差を埋めないと逃げ切られるということで、ハルカが一か八かエネコの『ねこのて』に逆転を狙っていく。
どうも、ここ一番の運は持っているようで、『ほのおのうず』でロゼリアの動きが封じられた。そのまま、チルタリスがフライゴンの動きを封じている間に、エネコの『ふぶき』でフライゴンに四倍弱点を与えていく。
丁度そこでタイムアップとなり、ギリギリ5ポイント差でハルカの勝利が決定した。
シュウもまさかあの状況から負けるとは思わなかったようで、かなり驚いた顔をしていたが、すぐに結果を受け入れてハルカへ拍手を送っている。その拍手に釣られて、観客からもハルカへ大きな声援が送られた。
続くロバートとムサシも、順調にベスト4へと進出している。この勢いに乗って俺も――と、思ったが、こちらのラティ&イーブイコンビに対して、ナナミさんはニンフィアとサーナイトというラティ殺しの組み合わせを出してきた。
完全にラティメタである。どちらもフェアリータイプなのでドラゴンタイプのラティには厳しいバトルになるだろう。
しかし――諦めたらそこで試合終了だよ。
と、安西先生も言っておられた。ラティには基本補助に回って貰い、イーブイを起点に攻めて行くことにする。
必殺の『アドバンスシフト』でフェアリータイプに有利なブースターに進化し、『フレアドライブ』の一撃をお見舞いしていく。同時にラティが『おいかぜ』でアシストし、ブースターの足の遅さがフォローされた。
流石のナナミさんも石なしで、イーブイが進化したことに驚いていたが、すぐにサーナイトが『サイコキネシス』、ニンフィアが『サイコショック』で攻撃を返してくる。
しかし、両方エスパー技なのは有難い。ブースターからイーブイ、イーブイからブラッキーに進化することで、エスパー技を無効にしていく。ここでナナミさんも俺のイーブイが、各進化先に自由自在になれると理解したようで、さらに驚きの表情を見せてくれた。
続けて、ラティに『てだすけ』を指示すると、これ以上はさせないとばかりにサーナイトが『ちょうはつ』でラティの変化技を封じてくる。
無粋な真似は止めて舞台に上がりなさいということか――なら、シンデレラも変身の時間だ。
ブラッキーもイーブイ、エーフィへとチェンジし、二体で『サイコキネシス』をニンフィアにお見舞いしていく。
ニンフィアが『まもる』で攻撃を防いだが、同時攻撃と見せた多段階攻撃だ。初段のラティのサイキネを防いでも、即座にエーフィのサイキネがニンフィアを直撃する。
序盤の『フレアドライブ』と合わせても、これでかなりポイント的にアドは取ったはずだ。このまま流れを渡さず、一気に逃げ切る――そう、こちらが思考した瞬間、それは発動した。
「URANUS!!」
ウラヌス――天王星を意味する単語。
ナナミさんがそう口にした瞬間、ニンフィアとサーナイトによって、巨大な青い星が生成された。
おそらく、『ムーンフォース』を主軸に、『サイコキネシス』で強化を図っているまでは読めるが、おそらくそれ以外にもいくつか技を組み合わせている。正直、複雑すぎてパッと見ただけでは、いくつの技が重ねられて作られている技なのかわからなかった。
まさに、宇宙規模のその技は、威力としてはそこまでではないが、これまでにない広大な美しさを表しており、有利だったこちらのポイントが一瞬にしてひっくり返される。
ナナミさんはポイントが有利になると、今度は逃げに回った。勿論、あからさまに逃げているとはわからせないレベルでの逃げだ。
おそらく、イーブイを突破するのが面倒くさいと判断して、逃げ切りを狙っているのだろう。当然、このままされるがままにしておくと、こちらに勝ち目はない。
しかし、逃げに回ったナナミさんは鉄壁だった。
隙など欠片もなく、こちらの攻撃を回避、防御している。どうも、あの星を作る際に、『ミストフィールド』と『トリックルーム』が同時発動していたようで、まだ『おいかぜ』の効果が残っているこちらの動きは遅い。
こうなれば、下手に攻撃を仕掛けるよりも、ワンチャンを狙う方が勝率が高いだろう。
丁度、『ちょうはつ』と『おいかぜ』の切れる時間は同じくらいだ。ラティの『ちょうはつ』が切れた一瞬の隙に、勝負を決めに行くぜ。
とはいえ、『トリックルーム』は足が遅いポケモンの方が動きが早くなるという技だ。現状、一番足が遅いのはナナミさんのニンフィアだった。
自然と、狙うはサーナイトということになる。
俺はまだナナミさんのように二体のポケモンの技を複数合わせるなどというトンデモ技は出来ない。出来るのは一撃に全てをかけることだけだった。
相手の『ちょうはつ』と、こちらの『おいかぜ』の効果が切れた瞬間、イーブイが再びブースターへと姿を変え、『フレアドライブ』で突撃していく。
同時に、ラティの『てだすけ』が発動し、火力が1.5倍となった。ナナミさんは『ちょうはつ』を撃たない。おそらく、『まもる』を発動させて攻撃をガードするつもりなのだろう。
同時に、ニンフィアがラティへ『ムーンフォース』を発動する。隙を狙って一気に倒そうという狙いだ。
けど、それは予測済みだった。
サーナイトが『まもる』を発動し、ブースターの『フレアドライブ』は弾かれる。だが、その瞬間、ラティの『サイコキネシス』が発動し、弾かれたままの勢いでブースターが再びサーナイトへと突撃していく。
味方のアシストに回ったことで、ラティに防御手段はなく、『ムーンフォース』が直撃する。しかし、サイキネのおかげで勢いを取り戻したブースターの『アイアンテール』もまたサーナイトに直撃した。
ラティもサーナイトも、ギリギリで戦闘不能にはなっていなかった。しかし、イーブイの最後の一撃である『でんこうせっか』で、サーナイトを戦闘不能に持って行く。
確かに、『トリックルーム』は遅い方から攻撃が出来る凄い技だが、先制技を防ぐことは出来ない。全ての技を使ってしまったが、サーナイトを何か行動する前に倒せたことは大きかった。
これで二対一だが、ナナミさんも即座に追加の『ムーンフォース』でラティを戦闘不能にしてくる。
ラティは素早種族値110族だ。『トリックルーム』中では、ニンフィアの方が早く動ける。当然のようにラティも倒れ、これでお互いに一対一の状況になった。
しかし、ポイントはまだナナミさんがこちらを上回っている。おまけに残り時間は一分くらいしかない。
流石のイーブイも、真正面から逃げのニンフィアを捕まえるのはかなり厳しい――と、思ったその瞬間、イーブイの体が光って体力が回復していく。
ナナミさんも目を見開いて驚いている。『ねがいごと』だ。ラティは倒される寸前に、『ねがいごと』を発動して、イーブイの体力を回復させてくれたのだ。
倒れたパートナーからの贈り物という粋な演出によって、ナナミさんのポイントが僅かに削られる。これで本当に五分だ。
だが、ナナミさんもここで下手に攻撃はしてこない。イーブイが技に合わせて進化することで、自身のポイントがマイナスになることを嫌ったのだろう。
結局、タイムアップとなり、お互いの得点が五分ということで、勝敗は審判の議論によって決定されることになった。
五分後、結果はナナミさんの勝利となる。やはり、あの宇宙規模の大技のポイントが決め手になったようだ。
だが、一年でナナミさんを苦戦させるレベルにはなれたようで、「もう、先輩顔はできないわね」と苦笑いを浮かべていた。
これにより、俺とシュウはグランドフェスティバルベスト8で終了。ハルカ、ナナミさん、ムサシ、ロバートの四名はベスト4へと進出した。
ここからは準決勝だ。組み合わせはハルカ対ムサシ、ナナミさん対ロバートである。
ハルカとムサシの試合だが、ナナミさんの弟子であるムサシにハルカが食い下がっていた。ムサシもアーボックとマタドガスという、初代相棒組で息をつかせぬコンビネーションを見せつけている。
ハルカも、ここを乗り切るために、ワカシャモとアゲハントという組み合わせで勝負をかけに来ていたが、ぶっちゃけ技術的にもムサシの方が一枚上手と言わざるを得ない。
しかし、シュウとの試合で、ハルカも勢いに乗っているということもあって、ポイントは殆ど五分である。まだ十分に逆転可能と考えていると、ムサシがアーボックとマタドガスの毒によるユニゾンアタックを仕掛けてきた。
アーボックの『ダストシュート』、マタドガスの『ヘドロこうげき』を合わせた技である。
俺が普段やっているように一体のポケモンの技を複数組み合わせるのと違って、二体のポケモンの技を組み合わせるというのはかなり難しい。二体のポケモンの力を合わせるという最低条件もそうだが、技の状態をキープするのに一体でやるのとは別次元の難易度があるのだ。
先程、俺との試合でナナミさんが見せたウラヌスは、おそらくだが『ムーンフォース』、『サイコキネシス』、『トリックルーム』、『ミストフィールド』の合わせ技である。
これを一体でやったのならそこまで驚きはしないが、二体でやって見せたからこそのあの大規模演技となっていた。おそらく、二体のポケモンによる技の融合こそが、コンテストバトルにおける極地の一つなのだろう。
そして、ムサシはその極地に足を踏み入れかけている。まだ自分の得意な毒技を一つずつ組み合わせることしか出来ないようだが、その一撃は毒とは思えない美しさでワカシャモに襲い掛かっていく。
どうやら、通常とは違う猛毒状態になったようで、このままでは制限時間が来る前に、ハルカのワカシャモは戦闘不能になる。
しかし、ハルカも諦めはしなかった。「ポケモンを、二人を信じる!」と叫びなから限界を超えていく。前に伝えた言葉の本質を、この極限状態で理解したらしい。
また、グランドフェスティバルという大舞台で勝ち抜いたことで、ハルカもまた急激に成長していたらしく、ワカシャモの『ほのおのうず』とアゲハントの『ぎんいろのかぜ』の合わせ技をやってみせた。
常識的に考えて、むし技とほのお技を組み合わせるなどあり得ない難易度である。だが、ハルカは二体を信じることで、その繊細なコントロールをやり通した。
とはいえ、ぶっつけ本番であることに変わりはなく、ムサシのポケモン達はこれを耐え忍んだ。
その後も、どこまでも互角だったが、猛毒状態に加えて、これまで一度のやったことのない大技によって、予想以上にワカシャモの体力に限界が来てしまった。
バッタリとワカシャモが倒れてしまい、数的不利になったハルカはそのままムサシに敗北してしまう。あの合わせ技で一気に逆転するしかハルカの勝利の道はなかったのだ。
続くナナミさん対ロバートの試合は、ナナミさんの勝利で終わっている。お互いに凄まじいレベルの技の応酬だった。組み合わせが違えば、決勝で戦っていたのはこの二人だったと言われても納得のレベルである。
前に俺がロバートに勝てたのも、やはりメロメロ状態にさせたことで動きを封じられただけで、実力で勝てた訳ではないというのが改めてよくわかった。
これによって、ハルカとロバートのベスト4が決まり、ナナミさん対ムサシの決勝戦が始まる。
しっかし、コンテストバトルとはいえ、俺がロケット団の戦う姿を見るだけになる日が来るとは、世の中何が起きるかわからないものだな。
とはいえ、結果はもう見えているようなものだった。師弟だけあって、ナナミさんは完全にムサシの動きを把握しきっている。
ムサシも少しでもナナミさんの思惑を外そうとしているようだが、結局最後まで流れは動かずにナナミさんの優勝が決定した。
もう原作のグランドフェスティバルの結果も良く覚えてはいないが、ハルカがベスト4でムサシが準優勝のアニポケなどあるとは思えないし、おそらくこれも俺がニューサトシになったことで結果が変わってしまったのだろう。
まぁ、ロケット団に至っては、地方リーグトレーナーレベルにまでなっているし、今更ではあるが、まさかムサシがここまでポケモンコーディネーターとして覚醒するとは思わなかった。
けど、俺だけベスト8かぁ。
いくら組み合わせの運が悪かったとはいえ、これは地味にショックな結果である。
確か、シンオウ地方でもコンテストはあったはずだし、来年も引き続きちょっとコンテストを継続していこうかな。流石にこれは少し悔しすぎる。ラティも大泣きしているし。
原作との変化点。
・第121話『開幕! グランドフェスティバル(1)!!』より、ロケット団が悪さをしなかった。
ムサシがグラフェスに参加しているのと、ナナミさんがいることで、コジロウ、ニャースは応援係になっている。
・第122話『熱闘! グランドフェスティバル(2)!!』より、ロケット団が悪さをしなかった。
原作では、トンペイというコーディネーターのコンテストパスとリボンを奪ってムサシがグラフェスに参加しようとするが、既に参加しているので内容がカットされた。
・第123話『決戦! グランドフェスティバル(3)!!』より、ロバートがロケット団に襲われなかった。
グラフェスに集中しているので、ロケット団も悪さをしていない。ので、ロバートからユキワラシにれいとうビームのコツを教えて貰えなかった。
・ニューサトシベスト8、ハルカベスト4、ムサシ準優勝でフィニッシュ。
組み合わせは基本的に、原作を準拠している。ニューサトシがナナミさんに負けるのはコンテストに参加させると決めた時に考えた終わり方だった。ハルカVSムサシもここまで引っ張った。やはり実力ではムサシの方が上。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.62
ピジョット Lv.57
バタフリー Lv.56
ドサイドン Lv.60
フシギダネ Lv.57
リザードン Lv.61
カメックス Lv.57
キングラー Lv.57
カモネギ Lv.56
エビワラー Lv.57
ゲンガー Lv.59
オコリザル Lv.56
イーブイ Lv.56
ベトベトン Lv.56
ジバコイル Lv.56
ケンタロス Lv.56
ヤドラン Lv.56
ハッサム Lv.58
トゲキッス Lv.54
プテラ Lv.57
ラプラス Lv.56
ミュウツー Lv.74
バリヤード Lv.56
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.55
カビゴン Lv.53
ニョロトノ Lv.53
ヘラクロス Lv.53
メガニウム Lv.52
マグマラシ Lv.52
ラティアス Lv.48
ヘルガー Lv.52
ワニノコ Lv.52
ヨルノズク(色違い) Lv.52
カイロス(部分色違い) Lv.52
ウソッキー Lv.52
バンギラス Lv.59
ゴマゾウ Lv.50
ギャラドス(色違い) Lv.50
ミロカロス Lv.42
ミズゴロウ Lv.45
オオスバメ Lv.45
ジュプトル Lv.44
ヘイガニ Lv.44
フライゴン Lv.51
コータス Lv.43
ラルトス(色違い) Lv.30
ユキワラシ Lv.39