ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#163 『面白い。狂気の沙汰ほど面白い』

 13歳 β月φ日 『バトルパレス VS ウコン』

 

 遂にメタリカ島についたので、早速バトルパレスに挑戦していくことにした。

 パレスガーディアンであるウコンは、事前にエニシダから俺の我が儘である、面白いルールか、フルバトルじゃないと挑戦しないということを聞いていたようで、俺に合わせた特殊ルールを用意してくれているらしい。

 

 ルールはレベル50固定。3対3のシングルバトル。勝ち抜き戦。トレーナーはポケモンに技の指示を出さず、ポケモンは己の意思のみで戦わなくてならない。

 技の指示は禁止だが、動きの指示はしてもいいということで、トレーナーとポケモンの呼吸を合わせないと勝てないルールになっている。基本的にはゲームと似たような感じだな。

 

 そして、ここからがニューサトシ用ルールで、お互いのトレーナーはポケモンの半径五メートル以内にいないといけない。一歩間違えればポケモンの技に巻き込まれかねない危険なルールだ。

 思わず口角が上がる。

 面白い。狂気の沙汰ほど面白い――これが俺だけでも全然面白いルールだが、かなりの高齢であるウコン自身も含まれているのが最高だ。この爺さんも、中身は俺と同類だな。

 

 また、フィールドは川と海岸線に挟まれた広大な密林その全てで、その範囲内であれば何をしてもいい。バトルをしながら移動も可能と言うことだった。つまり、相手を自分に有利なフィールドに誘い込めるということだな。

 レベル50固定ということで、レベル的にはホウエン地方のポケモン達が同じくらいなので選択肢に入る。メンバーは少し悩んだが、今回はミズゴロウさん、ジュプトル、フライゴン先輩の三体で挑戦することにした。

 

 本来なら、ポケモン同士の意思疎通を試される試練だと、付き合いの深いカントー組を出した方が有利になる。

 それこそ、ピカ様やリザードンなんかは言葉にしなくても全て伝わるだろうし、エビワラーが基本的に動きの指示だけだからこういうバトルは大の得意だ。でも、だからこそ、付き合いの少ないホウエン組から選出した。この一年の旅で、どれだけ仲が深まったか、改めて試してみたくなったのである。

 

 開幕、ミズゴロウさんを出すと、ウコンはダーテングを出してくる。相性不利だが、勝ち抜き戦なので交代は出来ない。

 そのままウコンは、ダーテングを走らせて森へと向かった。向こうの有利な、森林の中へ誘い込もうという狙いだろう。

 ウコンも高齢とは思えない脚力だ。

 当然、こちらも追って行く。ミズゴロウさんのヒレの能力なら、ダーテングが木々に隠れて不意打ちして来ようとも躱せるはずだ。

 

 森の中はある程度、バトルできるだけの空間は確保されてはいるものの、木が邪魔で動きにくい。

 おまけに『かげぶんしん』を使っているのか、ダーテングの影と思わしきものが木の間を素早く移動していた。

 

 分身に惑わされないように、ミズゴロウさんが目を閉じて集中していく。前にジュプトルにボロ負けしてから、素早い相手にも対応できるように訓練を重ねてきた。

 見た感じ、ダーテングもかなりの速度だが、ミズゴロウさんはその動きを見失わなかったようで、背後から『シャドーボール』を撃とうとしているダーテングに、『れいとうビーム』で反撃していく。

 

 どうやら、シロナと行った短いマサラブートキャンプで、しっかりとくさタイプに有効な技を身に着けていたようだ。

 理由がライバルのジュプトルに負けたくないというのが青春を感じる。思えば、俺のポケモンでこうもライバル関係バチバチの奴は今までいなかったな。

 

 互いにタイプ不一致の攻撃故、威力はほぼ互角だった。技同士が中央で爆発すると、ダーテングは遠距離で決めるのは難しいと考えたようで、『でんこうせっか』で距離を詰めてくる。

 いくらミズゴロウさんでも先制技を避け切るだけのスピードはない。敢えて受けてから、『いわくだき』で反撃していく。相手の弱点であるかくとうタイプの技だ。『れいとうビーム』のチョイスもそうだが、流石はエリートだけあってしっかり相性を理解している。

 

 しかし、ダーテングも負けじと『リーフブレード』で弱点を突いてきた。タイプ一致の高火力技だ。

 とはいえ、ミズゴロウさんはジュプトルの『リーフブレード』対策に、カモネギ相手にひたすらカウンターを練習してきたのである。『まもる』は連続での攻撃で突破され、相殺させるには自身のパワーが足りない。ならば、攻撃を受けるよりも先に攻撃するしかない――それが結論だったのだ。

 

 ホウエン地方を旅している最中も、たまにオーキド研究所に送っていたが、その際にはエビワラーにひたすらカウンターのコツを教えて貰っていたらしい。

 そして、学んだカウンターを完璧にすべく、このひと月はひたすらカモネギの高速二刀流『リーフブレード』にカウンターを合わせてきた。もう、ミズゴロウさんに『リーフブレード』は効かないのである。

 

 エビワラーの目とは違い、ヒレによる完全探知で動きを制し、相手の動きに合わせてカウンターを入れていく。

 エビワラーやオコリザルのように、技として『カウンター』を併用させるのはまだ無理なようだが、それでも相手の攻撃が当たるよりも先に、『いわくだき』がダーテングの顔面に命中する。

 

 視界が潰れたことによって、『リーフブレード』も外れた。当然、そんな隙を逃すはずがなく、『ちょうおんぱ』で相手を混乱させていく。

 勝ち抜き戦である以上、交換して混乱を解除させることは出来ない。ウコンが少し厳しい顔をした。こちらは当然、『れいとうビーム』で追撃をかけていく。

 

 ダーテングの残り体力は1/3くらいだ。

 

 タイプ不一致とはいえ、『いわくだき』二回に『れいとうビーム』一回で、かなりダメージは与えた。

 特に混乱状態で、防御もままならずに受けた『れいとうビーム』はかなりのダメージを与えたはずだ。今の調子なら、『れいとうビーム』二回で戦闘不能に持っていける。

 

 しかし、ウコンは黙っていなかった。

 

 自ら混乱して暴れるダーテングに近づくと、体に手を当てて、小声で何か話しかけている。

 その瞬間、ダーテングも正気に戻ったように目の焦点が合ってきた。ウコンの姿を確認すると、頷いて再び攻撃態勢に移っている。

 

 技の指示以外は禁止されていないのでアリだ。とはいえ、混乱で暴れるダーテングに近づくなど正気の沙汰ではない。それに、一言で混乱を解除させるウコンのトレーナーとしての実力も見せつけられた。

 

 再び、『かげぶんしん』で動きを惑わせようとしてくる。が、ミズゴロウさんは目を閉じて動きを探知していた。いくら『かげぶんしん』とはいえ、実体がない以上、本体との若干の違いがある。それを見逃すミズゴロウさんではなかった。

 

 ウコンも精度の高いミズゴロウさんの感覚を褒めてくる。だからこそ、その精度の信憑性を揺らそうとしてきた。『かげぶんしん』のダーテングを次々と、ミズゴロウさんに突っ込ませていく。

 本体の位置は正確に感知している以上、来るのは分身だ。しかし、感覚ではわかっていても、万が一本物だったら、そんな不安をウコンは煽ろうとしている。

 

 だが、そんな不安はニューサトシが解消してやった。お前の感覚を信じろ――それだけ指示する。

 ミズゴロウさんは当然とばかりに、分身の攻撃を無視した。それを見て、ウコンはダーテングにハンドサインを送っていく。

 

 ダーテングは小さな石を投げた。ヒレの感知でも気にならないレベルの小さな石だ。その石は分身に隠れてミズゴロウさんに命中する。

 当然、ミズゴロウさんは有り得ないはずの攻撃を受けたと錯覚した。目を開けて、慌てて目の前にいる分身に、『いわくだき』で迎撃をしていく。

 

 ニューサトシも普段よりもポケモンの近くにいることもあって、分身に隠れていたダーテングの動きに気付くのが遅れた。

 得意の探知が動揺で崩され、隙が出来たミズゴロウさんに『でんこうせっか』で追撃をかけ、『リーフブレード』が叩き込まれる。万全の状態ならばカウンター出来るが、ここまで精神的にも肉体的にも崩されてはカウンターなど出来るものではなかった。

 

 おまけに、『リーフブレード』は急所に当たったようで、一気にミズゴロウさんの体力が1/3以下に持って行かれる。

 通常のバトルではあまり見られない自然を利用した動きだ。勿論、反則ではない。仮にヘラクロスの『メガホーン』で地面を割って、その岩が相手に当たっても反則にならないのと同じである。対応できない方が悪いのだ。

 

 ダーテングがとどめとばかりに、『シャドーボール』を撃ってくる。ミズゴロウさんは何とかかわそうとするが、体勢が悪くて避け切れない。

 避けるのが無理だとわかると、ミズゴロウさんは覚悟を決めてそのまま直撃を受けた。しかし、もう体力は限界である。どうやっても、続く『でんこうせっか』は受けきれない。

 

 ミズゴロウさんもこの状況からの逆転は無理と悟ったようで、最後の技として『どくどく』を撃ってきた。

 突っ込もうとするダーテングを猛毒状態にしていく。だが、返しの『でんこうせっか』でミズゴロウさんは戦闘不能になってしまった。

 

 倒れたミズゴロウさんを戻す。負けてしまったが十分な働きだった。勝ち抜き戦である以上、猛毒は致命傷だ。こちらは、二体目としてジュプトルを出していく。

 

 ジュプトルも、ライバルを倒したダーテングに敵意剥きだしである。ここで負ければ、ジュプトルもミズゴロウさんに顔向けできないということもあってガチだ。

 ダーテングの『でんこうせっか』を当然のように回避していく。ミズゴロウさんでは速度的に無理だが、ジュプトルならば回避できる。続く、『シャドーボール』も、『リーフブレード』で切り裂いた。

 

 遠距離攻撃は通じない。おまけに、猛毒によるダメージも限界に近かった。こうなれば接近戦だと、『リーフブレード』でダーテングが勝負を仕掛けてくる。

 ジュプトルも、『リーフブレード』を構えた。

 ダーテングの一撃に合わせて腕を振っていく。威力はほぼ互角だった。ここでジュプトルは相手の猛毒を生かす考えに移ったようで、相手の刃を受けるのではなく、受け流すことで攻撃を防ぎ、時間を稼ぐことにシフトしている。

 

 しばらくすると、猛毒でダーテングが倒れた。

 

 勝利と同時に、ジュプトルの体が光る。進化だ。しかし、これはミズゴロウさんの勝利だと言わんばかりに、ジュプトルはこの場での進化を拒否した。なかなか仲間思いな奴である。

 

 ウコンは二体目としてフシギバナを出してきた。

 

 またしてもくさタイプ同士のバトルか。フシギバナはくさの他にどくタイプも持っているので、むしタイプの技は等倍になっている。

 今のジュプトルで相性の有利な技はなさそうだ。

 こうなると、スピードを生かして手数で押していくしかない。ジュプトルもそう考えたようで、『シザークロス』でダメージを稼ごうとしていた。

 

 しかし、『つるのむち』を巧みに使って攻撃を防いでいく。俺のフシギダネもそうだが、四足歩行であるフシギダネ系列のポケモンにとって、『つるのむち』は手足も同然だ。

 技としての威力は低いが、相手の攻撃をいなすには十分なようで、こちらの攻撃を捌くように、鞭をしならせて対応してくる。逆にこちらを拘束しようともしてくるので、なかなかに油断ならなかった。

 

 ジュプトルのスピードを見ているからこそ、ウコンは迂闊にフシギバナに遠距離攻撃をしないようにアドバイスしている。

 とはいえ、こちらも覚えている技はほぼ接近戦のみということもあって、殴り倒す以外の選択肢はない。ジュプトルもさらにスピードを上げて的を絞れなくしていた。

 

 先程以上の速度で近づくジュプトルは流石に捕まえられないようで、『シザークロス』がフシギバナに直撃する。

 しかし、フシギバナもされるがままではなかった。俺も動き回るジュプトルに合わせて動いていたので気付くのが少し遅れたが、何やら周囲に甘い匂いが漂っている。

 

 匂いを嗅いだジュプトルの動きが悪くなった。『あまいかおり』だ。ゲームでは回避率を二段階下げる技だが、この世界では匂いに気を取られて動きが悪くなるらしい。

 フシギバナはその一瞬の隙を見逃さなかった。

 動きが悪くなったジュプトルを『つるのむち』で捕えると、そのまま『のしかかり』で動きを封じていく。まずい、麻痺になったら終わりだ。

 

 自慢の『リーフブレード』や『シザークロス』で鞭を切って脱出しようとするも、鞭もかなりの強度でなかなか斬り切れない。

 こうなればと、ジュプトルが口から何かをフシギバナにぶつけた。『タネマシンガン』だ。どうやらいつの間にか覚えていたようで、顎に攻撃を受けたフシギバナに少し隙が出来る。

 

 鞭が緩んだその瞬間、『リーフブレード』で『つるのむち』を切り裂き、『のしかかり』中のフシギバナを『シザークロス』で押し返した。

 フシギバナが真後ろにひっくり返る。

 フシギバナも四足歩行タイプ故に、起き上がるには隙が出来るはずだ。再びの『シザークロス』で一気にダメージを与えていく。

 

 しかし、ジュプトルが近づいた瞬間、フシギバナは『つるのむち』を木々に結び付けて反動で無理矢理に体を起こした。そのまま『シザークロス』の直撃を受けつつ、『のしかかり』で再びジュプトルにダメージを与えていく。

 こちらの攻撃にタイミングを合わせられたことによって、再び『のしかかり』の直撃を受けた。おまけに、今度は麻痺したようで、なかなかジュプトルが『のしかかり』から抜け出せずにいる。

 

 不一致の等倍とはいえ、『シザークロス』を三発も入れた以上、フシギバナも体力は半分を切っているはずだ。

 しかし、こちらも『のしかかり』を二回受けた上、麻痺も貰っている。体力的には勝っているだろうが、状況は有利と言えなかった。

 

 フシギバナは最後の技として、『ヘドロばくだん』を撃ってくる。くさ単タイプのジュプトルに、どく技は効果抜群だ。麻痺しているので毒になることはないが、タイプ一致のどく技である以上、もう二回もくらえば戦闘不能にされるだろう。

 ジュプトルも体が痺れて『のしかかり』の押さえつけから脱出できない。続けての『ヘドロばくだん』でジュプトルの体力がミリに追い込まれた――このままでは負ける。

 

 しかし、ジュプトルは最後まで諦めなかった。動けない間、両腕に太陽のエネルギーを貯めていたようで、最後の技である『ソーラーブレード』で無理やりフシギバナを吹っ飛ばしていく。

 とはいえ、フシギバナにくさ技は1/4ダメージだ。いくら、『しんりょく』の特性で火力が上がっているとはいえ、あくまで脱出のための技に過ぎない。

 

 フシギバナの体力を削り切るには、残り『シザークロス』二回――それが俺の目測だった。対してジュプトルは『つるのむち』の一撃を受けてもアウトである。

 

 向かってくる『つるのむち』をかわしながら、ジュプトルが距離を詰めていく。

 とても麻痺しているとは思えないスピードでジュプトルが『シザークロス』の一撃をお見舞いしていく。足りない攻撃力は勢いで補おうという狙いのようで、飛び込むように全力の『シザークロス』でフシギバナにお見舞いしていた。

 

 倒れない。ミリ足りない――そう考える俺だが、現実はフシギバナが戦闘不能になっていた。

 どうやら、急所に当たったようで、フシギバナを倒し切ったらしい。だが、ジュプトルもまた膝を付いていた。全ての力を使い切ったようで、もう立つことも出来ずにいる。

 

 しかし、勝利の報酬は再び賜れた。

 

 フシギバナを倒したことで、今度こそジュプトルはジュカインに進化したのだ。同時に、ジュカインをボールに戻す。

 進化したとはいえ、もう体力も限界で立つことも出来ない。おまけに麻痺していては、相手に一撃も与えることは出来ないだろう。

 

 ならば、無駄に戦わせる必要はない。

 

 ウコンも頷いているので、残りは一体ずつ――最後の一体として、ウコンはネンドールを、俺はフライゴン先輩を送り出した。

 

 ウコンはネンドールの背に飛び乗ると、場所を移そうと言わんばかりに『テレポート』で消えていく。

 こちらもフライゴン先輩の背に乗って、上空からネンドールを探すことにした。波動で居場所を探知すると、どうやら砂浜にいるようで上空から『りゅうのはどう』で攻撃を仕掛けていく。

 

 しかし、ネンドールは『テレポート』で攻撃を回避していった。『テレポート』を移動系に使うタイプのポケモンの相手はクッソ面倒くさいな。

 そのまま地面に降り立つと、ネンドールは『サイコキネシス』で攻撃を仕掛けてきた。どうやら、俺も一緒に狙っているようで、俺をフライゴン先輩の背中から引きはがそうとしている。

 

 成程、トレーナーとポケモンの距離が半径五メートルというルールである以上、相手の攻撃で俺がフライゴン先輩から引き離されても負けということか。

 

 ――舐めんな。

 

 ニューサトシの波動は、こういう技の防御にも使えんだよ。波動を鎧のように体に纏うことで、サイコキネシスの操作を妨害していく。

 フライゴン先輩もダメージを受けていたが、俺が技を妨害すると同時に体の自由を取り戻したようだった。そのまま一気にネンドールの元へ突撃する。

 

 まさかサイキネを生身で無効化されるとは思わなかったようで、ウコンもネンドールも驚いたような顔をしていた。

 我ながら半分人間止めている自覚はあるが、全ては波動の賜物だ。文句があるなら、俺の波動の力を完全に目覚めさせてしまったルカリオに言ってくれ。

 

 フライゴン先輩がネンドールに向かって『ドラゴンダイブ』を発動する。『サイコキネシス』を邪魔しないようにウコンはネンドールから降りていたこともあって、『テレポート』は間に合わない。

 下手にネンドールだけで『テレポート』すれば、半径五メートルの制限を破りかねなかった。ネンドールは咄嗟に『こうそくスピン』で砂を巻き上げて目隠ししている。ウコンも巻き込まれたが、それよりも接近するフライゴン先輩を止めようとしたのだろう。

 

 だが、それは悪手だ。

 

 フライゴンは砂漠の精霊とまで呼ばれるポケモンで、砂嵐の中を良く飛行している。目についている赤いカバーが砂などから目を守っているのだ。

 当然、砂嵐なんかで怯むはずがなく、そのままネンドールに『ドラゴンダイブ』を直撃させる。上空からの勢いがついた一撃は通常よりも多くのダメージを与えたはずだ。

 

 普通なら背中に乗っているトレーナーにもダメージが行きかねない危険な攻撃だが、フライゴン先輩はニューサトシなら何とかしてくれると信頼して、この高速の一撃を仕掛けたのだろう。

 実際、ニューサトシは無傷である。マサラ式肉体言語術を極める際に行った過酷な修行に比べれば、波動がある分温いと言っていい。俺にダメージを与えたいなら、溶岩でも持ってきな。

 

 続けて、フライゴン先輩がネンドールを抑えつけたまま『ドラゴンクロー』を発動させている。

 ゼロ距離からのタイプ一致『ドラゴンクロー』は、大ダメージを与えただろう。連続ドラゴン技でネンドールの表情が歪む。

 

 しかし、ネンドールもされるがままではなかった。『こうそくスピン』でフライゴン先輩を弾くと、ウコンと合流して再び『テレポート』で距離を取っていく。

 

 無駄だ――どこに隠れようと、波動ですぐに見つけられる。森の中に隠れているのは一瞬でわかった。

 上空からの『りゅうのはどう』で追撃をかける。まさか、森の中に隠れていてこんなに早く見つかるとは思わなかったようで、慌てた様子が伝わってきた。

 

 どうも、休んで体力を回復させるつもりだったようだがそうはいかない。先程の一連のバトルで、ネンドールももう残り体力が1/3ちょっとくらいしか残っていないのはわかっている。

 

 悪いが、一気に決めさせて貰うぜ。

 

 ネンドールが再び『サイコキネシス』を仕掛けてきたので、こちらも最後の技である『ほのおのうず』で動きを止めていく。

 拘束技だが、追加効果の逃げることが出来なくなる――これが重要だ。『テレポート』での移動もこの技の範囲に入るので、逃げることが出来なくなってしまうのだ。

 

 とはいえ、『こうそくスピン』で脱出が可能なので、ネンドールは逃げることが出来る。しかし、今回は別だ。

 先程の反省を生かして、ネンドールは背中にウコンを乗せている。そんな状況で『こうそくスピン』など使えば、ウコンはひき肉になってもおかしくなかった。かといって、降りようにも辺り一面はほのおのうずで足の踏み場もなくなっている。

 

 こちらも『サイコキネシス』の直撃でかなりのダメージを受けるが、代わりに相手の動きを封じられたのであれば安いものだった。

 相手のサイキネを受けきると、『りゅうのはどう』でとどめを刺しに行く。だが、ここでネンドールも腹を決めたようで最後の技である『はかいこうせん』を撃ってきた。

 

 流石に『りゅうのはどう』で『はかいこうせん』は受けきれず、貫通してダメージを受ける。予想外の一撃に墜落しかけたが、何とかバランスを取って立て直していた。

 

 しかし、これでネンドールは反動で少しの間動けない。今度こそ、『りゅうのはどう』で戦闘不能に持って行く。

 だが、ネンドールはこの一撃をギリギリで耐えた。馬鹿な、先程までの体力なら戦闘不能に出来たはず――と、そこでネンドールの辺りの樹にオレンの実が生っているのが視界に入る。

 

 そうか、これを食べて体力を回復させたのか。今回のバトルでは、フィールド内であれば何をしても良いルールになっている。

 勿論、傷薬などのアイテムの使用は厳禁だ。そこは全ての施設共通なのであまり気にしていなかったが、普段きのみを使うトレーナーがいないのできのみを食べるのは禁止していなかった。もっと詳しくルールを確認――いや、違うな。

 

 見れば、ウコンもネンドールが攻撃を耐えたことに驚いている。どう見ても、オレンの実がポケモンの体力を回復させることに気付いていなかった。おそらく、この世界ではまだきのみの効果が常識になっていないのだろう。

 思えば、オレンのみが導入されたのはゲームでいうルビサファからだった。アニメでも、きのみに関する話が出て来るのはもっと後だったはずだ。つまり、体を休ませるために適当にきのみを食べた結果、偶然そういう状況になってしまったと見るべきだろう。

 

 だが、確定数がずらされたことで、ネンドールは続けて『はかいこうせん』を続けて撃ってきた。こちらの体力も『サイコキネシス』二回(うち一回は中断)、『こうそくスピン』一回、『はかいこうせん』一回(軽減)でそこそこ削られている。

 体力にして1/3ちょっとと言った所か。

 少し心許ない。『はかいこうせん』の直撃を受ければ、ワンチャン削られ切ってもおかしくなかった。ゲームで言うなら、乱数一発と言った所だ。

 

 耐えれば、『ほのおのうず』の継続ダメージでネンドールは戦闘不能になる。ウコンとしても、ここが勝負所と見てネンドールを応援していた。

 しかし、フライゴン先輩は単純に攻撃を受けるつもりなどないようで、相手の『はかいこうせん』に合わせて、急上昇し、攻撃をかわしていく。放っておけば、相手は『ほのおのうず』の継続ダメージで倒れるのがわかったのだろう。

 

 少しでも負ける可能性がある勝負に応じるつもりはないという、ニューサトシだったらこういう指示をするというのを読んだ動きだった。

 

 実際、継続ダメージは厄介だ。『ほのおのうず』の継続ダメージは1/8なので、2ターンで1/4、4ターンもすれば体力の1/2のダメージが削られる。

 既に、『ほのおのうず』の継続ダメージは2ターン分与えられていた。1/4のダメージだ。『はかいこうせん』後にくる追加のダメージは、体力ギリギリのネンドールには、とても耐えられるダメージではない。

 

 ネンドールの『はかいこうせん』は外れたが、反動が消える訳ではないので動けなくなる。その間に発生する『ほのおのうず』の継続ダメージがネンドールの体力を削って勝負は終わった。

 まぁ、そうでなくても、オレンの実を食べていなければ、『りゅうのはどう』の段階で戦闘不能になっていたはずだ。勝敗は変わらなかった。

 

 しかし、技の指示なしというのはなかなか面白いルールだったな。俺が指示していれば、もっと別の動きもあっただろうが、ポケモン達の技のチョイスに殆どミスはなかった。

 勿論、細かい所を言うのであれば、ミズゴロウさんはもっと早めに『どくどく』を使うべきだったし、ジュカイン――いや、ジュプトルも補助技を使えばもっと楽にフシギバナ相手と戦えた。フライゴン先輩ももっと早く『ほのおのうず』で『テレポート』を封じればかなり余裕に戦えていただろう。

 

 とはいえ、それはトレーナーである俺が指示した場合の話だ。ポケモン達は戦いながら最善を探って技を出していたし、ほぼ見ていただけの俺に文句をいう資格はない。

 

 ウコンから、勝利の証であるスピリットシンボルを渡される。これで残りは二つだ。相手もしっかり覚えている。タワータイクーンのリラと、ピラミッドキングのジンダイだ。

 AG編の大体がうろ覚えなニューサトシだが、リラとジンダイだけは良く覚えていた。リラはポケモンと会話しなくても戦えるというエスパーみたいな奴で、ジンダイはレジ三兄弟の使い手である。

 

 特にジンダイ――奴はサトシ君が何回も負けてようやく勝てた最強の相手と言っていい。今から戦うのが楽しみだぜ。

 

 

 




 原作との変化点。

・第163話『ジュカイン! 復活の夜明け!!』より、不調になっていないので内容がカットされた。
 即バトルである。

・第164話『激闘! バトルパレスでジャングルバトル!』より、技の指示なしバトルをすることになった。
 ポケスペ参照。

・ニューサトシ専用ルール、ポケモンの半径5メートル以内から離れたら負け。
 トレーナーもダメージを受けかねない過酷なルール。ウコン自身も適用している。

・ジュプトルが進化した。
 これで真のスピードスターとなった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.63

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.59

 リザードン Lv.63

 カメックス Lv.59

 キングラー Lv.59

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 オコリザル Lv.58

 イーブイ  Lv.58

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.58

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.58

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.57

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.56

 ラティアス Lv.51

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.55

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.54

 ギャラドス(色違い) Lv.53

 ミロカロス Lv.47

 ミズゴロウ Lv.49→50

 オオスバメ Lv.49

 ジュプトル→ジュカイン Lv.49→50

 ヘイガニ  Lv.48

 フライゴン Lv.54→55

 コータス  Lv.48

 ラルトス(色違い) Lv.30

 オニゴーリ Lv.47

 ワカシャモ Lv.43

 タマゴ   中から音が聞こえてくる! もうすぐ生まれそう!


 ネンドールの特性ふゆうをこってり忘れていました。じしんをドラゴンクローに、すなじごくをほのおのうずに変更しました。
 また、きのみをオレンのみに修正しました。ご指摘ありがとうございました。


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