♯174 『ヒコザル、迷子になる』
13歳 δ月α日 『ヒコザル、迷子になる』
シンオウ地方に着いたので、とりあえずマサゴタウンを目指してのんびり歩いていたのだが、途中で困っている様子のヒコザルを見つけた。
どうも野生という感じではなく、困ったように辺りをキョロキョロしていたので「どうした?」と声をかける。いきなりのことにヒコザルも一瞬、驚いたような顔をしていたが、こちらに敵意がないとすぐにわかると、困ったように迷子になったと教えてくれた。
どうやら、このヒコザルはシンオウ地方の初心者用に用意されたポケモンのようで、研究所を飛び出したはいいものの、帰り道がわからなくなってしまったらしい。
別に帰れなくても問題ないと強がっている様子だが、こちらもナナカマド博士には会う用事もあったので一緒に連れて行ってやることにした。このまま放置するのも可哀想だしな。
とりあえず、ラティの腕に抱かれてご機嫌なヒコザルを連れて、ポケナビに従って真っすぐ歩いていく。すると、途中でトレーナーのポケモンと思わしき、ムックルとムクホークが俺達の目の前に降りてきた。
聞けば、こいつらはナナカマド博士の使いのようで、逃げたヒコザルを探していたらしい。
こちらも研究所に用があるのでついでに連れて行くつもりだったと伝えると、二体ともあからさまに安心した様子を見せている。俺がヒコザルを連れ去るような悪人じゃないとわかったのだろう。
より安心させるために、ラティの腕からヒコザルを掴むとムクホークへ引き渡す。ついでに、研究所への先導を頼むと、二体共喜んで道案内をしてくれた。
そのまま二体の案内でナナカマド博士の研究所に着いたのだが、中は何やら大変な騒ぎになっている。どうも、ポッチャマとヒコザルが喧嘩して飛び出したらしく、その影響で研究所の中も滅茶苦茶になっているようだった。
とりあえず、事件の片割れと思われるヒコザルをナナカマド博士に返すと、博士は無言でヒコザルの顔を見つめている。博士の表情を見て、ヒコザルも自分が悪いことしたとわかったらしく、半分泣きながら頭を下げて謝っていた。
何はともあれ、これで一件落着――とは行かないようで、まだ逃げたもう一体であるポッチャマが研究所に帰ってきていないらしい。ただ、新人トレーナーのヒカリが迎えに行っているので大丈夫だと、ナナカマド博士は自信満々に口にしていた。
おいおい、何が大丈夫なんだよ。まだポケモンも持っていない女の子に迎えを任せるとか正気の沙汰じゃねーぞ。
ニューサトシはともかく、普通の人間にとって野生のポケモンは危険な存在だ。だから、身を守るために、人間はポケモンを連れて旅や移動をしているのである。
と、高説を垂れている場合ではなかった。
これが原作通りなら大丈夫だとは思うが、もうこの世界はニューサトシのバタフライエフェクトでどうなるかわからないので、念のためにヒカリを迎えに行くことにする。
俺がDP編で覚えているのは、適当なポケモン捕まえる所やシンジのヒコザルがサトシ君のになることと、メリッサ対策にカウンターシールドを会得する所、後はリーグ戦くらいだ。もう穴抜けも良い所である。
なので、ヒカリがどういうルートでポッチャマを追って行ったかは覚えていなかった。
ここは素直に仲間の力を借りよう。オーキド研究所からヘルガーを転送して貰い、そのまま研究所にあったポッチャマの匂いを追って貰うことにした。
どうやらすぐに匂いを掴んだようで、ヘルガーが森に向かって走っていく。ニューサトシもすぐに追いかけるが、ラティだけが出遅れていた。流石にこの速度にはついて来られないか。
ヘルガーが乗せろと声を上げる。
同時に、ラティをヘルガーの方へ投げた。ヘルガーも、上手く背中でキャッチしたようで再び走り出している。ニューサトシもピカ様を肩に乗せ、改めてヘルガーを追走した。
ポケナビで進む道を確認すると、どうやらポッチャマはシンジ湖の方にいるようだった。おそらくヒカリも一緒に居るだろう。
そのままシンジ湖に到着すると、湖の前にポッチャマとヒカリと思わしき少女が立っており、湖の中にエムリットらしき影がいるのが目に入る。そういや、シンオウの湖にはUMAトリオがいたんだっけか。関わり合いにならないようにしないと。
とりあえず、ようやくヒカリに出会えたので、自己紹介がてらヒコザルは既にナナカマド博士の研究所に送り届けたことを説明する。
ヒカリもヒコザルが無事見つかったことに安心したようだった。ポッチャマも、もうヒカリの言うことを聞いているみたいだし、このまま一緒にナナカマド博士の研究所まで戻ることにする。
研究所に戻る間、ラティがポッチャマと仲良くするヒカリを気に入ったようで、「ヒカリ!」と、笑顔で声をかけていた。
ハルカの時もそうだったが、見た目の割に精神年齢が低いラティを別段変な目で見ることなく、ヒカリもラティの相手をしてくれている。
また、ヒカリはポケモンコーディネーターを目指して旅に出たようで、ニューサトシがホウエン地方のグランドフェスティバルのベスト8だと話すと尊敬したような目で見つめられた。大変気分がいい。
ナナカマド博士の研究所に戻ると、ヒカリが改めて最初のパートナーを選ぶことになったのだが、迷うことなく今日苦楽を共にしたポッチャマを選んでいた。
ポッチャマの方も、ヒカリと一緒がいいとばかりに声を上げており、ヒカリも「あたし達、良いコンビになれそうよね。これからよろしくね!」と声をかけている。
喜んでいるヒカリを見ながら、ラティも「ヒカリ、おめでと」とお祝いの言葉を口にしていた。
ハルカの時もそうだったけど、やっぱりトレーナーにとって最初のポケモンを選ぶ瞬間は特別だよなぁ。ニューサトシの時は何故か博士の怠慢で(以下略)。
追記。ラティとヒカリが想像以上に仲良くなったので、しばらく一緒に旅をすることになった。ヒカリは自転車に乗っているが、最悪ラティを俺の背中に乗せて追走すればいいだろう。
13歳 δ月α日 『だいじょーぶ?』
何だかんだあってヒカリと一緒に旅をすることになったのだが、早速と言わんばかりにヒカリがポケモンをゲットしようとしていた。
ハルカの時もそうだったけど、やはり初のポケモンゲットというのはいいものである。ニューサトシの時は何故かピカ様が反抗期で、ポッポを捕まえて逃がそうと(以下略)。
とはいえ、どうやらヒカリはハルカと違って、意外としっかりポケモンの勉強をしていたようで、そこそこ自信があるようだ。
早速、出てきたミミロルをゲットしようと頑張っている。今回はヒカリのお手並み拝見ということで様子を見ていたのだが、知識があってもやはり経験がないからか、ポケモンへの指示が遅くてポッチャマも動きが良くない。ミミロルも見てから余裕とばかりに攻撃を回避していた。
結局、捕まえようとしたミミロルには逃げられてしまい残念がっているポッチャマに、ヒカリが「だいじょーぶ、だいじょーぶ」と声をかけている。
そういえば、だいじょーぶがヒカリの口癖だったな。
けど、このままではまた空回りしかねないので、ここはニューサトシが先輩トレーナーとして、ヒカリとポッチャマに野生ポケモンをゲットする時のコツをレクチャーしていく。
ヒカリも「よろしくお願いします、サトシ教官!」とノリノリで敬礼しており、一緒になってポッチャマやラティまでが敬礼していた。
とはいえ、そんな凄いことを教える訳ではない。見ていて気になった指示の遅さとポッチャマの動きを指摘して解消させてやるだけである。
歩きながらでも出来る指示トレーニングをしつつ、ヒカリとポッチャマが連携を深めていると、今度はミノムッチを見つけた。
ミノムッチは身に着けているミノによってマダムに進化した際のタイプが変化するが、このミノムッチは草木のミノを身に纏っている。もしマダムに進化するなら、くさ・むしタイプだな。
今度こそ捕まえると意気込むヒカリだが、それ以上に気合が入ったポッチャマが飛び出していく。どうやら、やる気が完全に空回りしているようだ。
こうなると、トレーナー側で合わせてやるしかないので、ヒカリにアドバイスをしつつ、ポッチャマの様子を見守っていく。
やる気があるだけに、動きの遅さも解消されており、ポッチャマもしっかりミノムッチを追い詰めていた。いいタイミングでヒカリに声をかけると、「えっ、今!?」と驚きながらも急いでボールを投げている。
どうやら、ヒカリはポッチャマが頑張っているのに夢中になっていたようだ。しかし、ニューサトシのサポートもあって、今回は上手くミノムッチをボールに入れることが出来ている。
そのまま、ボールは二回、三回と左右に揺れ、赤いランプが点滅するのを緊張の面持ちで見守っていた。最終的にカチっという音と同時に、ボールの揺れが収まる。同時に、ヒカリとポッチャマが飛び上がって大喜びしていた。
「ミノムッチゲットで、だいじょーぶ!」
まぁ、何が大丈夫なのかはよくわからないが無事にゲットに成功してよかったな。俺も俺で、シンオウではゲットしたいポケモンがそこそこいるので頑張らないと。
そういえば、ヒカリも原作ではミノムッチなどゲットしていなかったはずだが、もうハルカが散々原作外のポケモン捕まえていたし、そこら辺は気にしたら負けだろう。
13歳 δ月α日 『忘れてたわ』
オーキド博士からナナカマド博士宛に預かった荷物を渡すのを忘れていたことを思い出した。まだ距離的に引き返せるので、申し訳ないが一度ナナカマド博士の研究所に戻らせてもらうことにする。
最悪はニューサトシの全力ダッシュで行って、ヒカリには先に進んでもらっても良かったのだが、ヒカリも、「いいよ。ついて行ってあげる」と言ってくれた。
ラティも真似して、「ついてあげる」と言っている。しっかし、言語を覚えてそこそこ経つはずなのだが、まだ話し方が覚束ないんだよなぁ。
とりあえず、三人でマサゴタウンまで引き返していると、いきなりコイキングのマークをつけたピンクのデコトラが現れてこちらの横につけてきた。
誰だ――と、思って見ていると、中からタケシが降りてくる。どうやら、無事に家の問題を解決したようで、すぐにシンオウまでやってきたらしい。
「サトシ、お前またポケナビのメールチェックしなかったな? 俺もシンオウに行けるようになったから一緒に行こうって連絡しただろう!」
慌ててポケナビを確認すると、確かにメールが来ていた。そういや、チェック忘れてたわ。
連絡に気付かず俺は『テレポート』でこっちに来てしまったから、タケシは置いてきぼりをくらった訳か。そりゃ、すまんことをしたな。
「でも許す。おかげで、俺は運命の出会いを果たした。今はこのお姉さんと、二人で愛のドライブの最中なのさ」
あ、そっすか。
けど、その愛の相手、ダーリンから電話来てるみたいですけど? あっ、タケシが固まった。
え、タケシはここで降ろす? あっはい、受け取ります。ここまでありがとうございました。
と、いうことで、固まったタケシを受け取って、去っていくピンクのトラックを、ラティが手を振って見送る。
振られたタケシは涙ながらに、「こうなったら、また一緒に行こうじゃないか! 仲良し三人旅――」と、すぐに立ち直る様子を見せたが、「――って、そこのお嬢さんは?」と、見慣れないヒカリの存在に気付いたようで首を傾げていた。
あまりに百面相なタケシを見て、半分引いているヒカリに、改めてタケシを紹介する。
タケシも基本的に年下の女の子には鼻の下を伸ばさないので、すぐにヒカリと仲良くなることが出来たようだった。
そのまま、ナナカマド博士の研究所に戻って、オーキド博士から預かった荷物を渡す。
逆にナナカマド博士も俺宛の荷物をたった今受け取ったらしく、連絡する所だったと話していた。
特急ピジョット便で届いたらしい荷物を開封すると、新しい洋服などおニューのものが入っている。そういえば、原作でもサトシ君が新しい服を着ていたっけか。有難く着替えさせて貰おう。
と、いう訳で、おニューサトシ(シンオウVer)になったので、ママさんに服を受け取ったと連絡を返す。古い服は、そのままムクホーク便で送り返して貰うことにした。
改めて四人で旅に出ようとすると、今度はロケット団がまたいつものように襲い掛かってくる。
毎度お馴染みとばかりに、サクッとやなかんじーにしてやろうとしたのだが、急に三人が真顔になって、「アンタ、勝手に『テレポート』しないでくれる!」、「追うのが大変なんだぞ!」、「ただでさえ忙しいのに、手間かけさせるんじゃにゃいにゃ!」と、タケシ同様に何故か怒られた。あ、うん、なんかごめん。
どうやら、こいつらホウエンの時のように、俺の後をついて来ようとしたらしいのだが、『テレポート』で移動してしまったから慌てて追いかけてきたらしい。
おまけに、コジロウがこっちにある別荘でマスキッパを捕まえたようで、楽しそうに頭をかじられていた。相変わらず、くさタイプに愛されてるなぁ。こいつ。
とりあえず、シンオウに来たことで、また口上も一新したようだったので、聞くだけ聞いてサクッとやなかんじーにしてやろうと思ったのだが、ソーナンスの『ミラーコート』で跳ね返ったピカ様の電撃がヒカリの自転車に直撃してしまった。
あーらら、せっかく今まで無事だったのに、やっぱり壊れてしまったか。まぁ、ニューサトシはサトシ君遺伝で自転車クラッシャーのスキルを受け継いでしまっているからなぁ。
でも、悪いのは技を跳ね返したロケット団だし――ってことで、今度こそやなかんじーにしてやる。
自転車を壊されたヒカリが怒りながら、ロケット団の存在に首を傾げていたが、まぁこれからほぼ毎回会うことになるし、ハルカやマサトの時のようにすぐに慣れてくれるだろう。
原作との変化点。
・第1話『旅立ち! フタバタウンからマサゴタウンへ!!』より、ニューサトシ視点でシンオウ編が始まった。
テレポートでシンオウまで来た上、真っ直ぐにマサゴタウンに向かっているため、原作よりも早くナナカマド博士の研究所に到着した。ついでに迷子のヒコザルも助けて、ヒカリも迎えに行っている。ヒカリ視点は原作通り。
・ピカ様が迷子になっていない。
テレポートでシンオウに来たため、ロケット団も置いてきぼりをくらって原作の事件が起きなかった。そのため、原作と違ってピカ様も元気で過ごしている。
・第2話『ピカチュウを探せ! 202番道路!』より、ニューサトシがゲットのレクチャーをした。
ヒカリはハルカより出来る子だが、やはり初心者なので軽く指導してあげた。原作ではゲットしていないミノムッチをゲットしている。
・タケシと再会した。
一緒に行こうとメールが来ていたのを無視した。しかし、代わりに原作通りお姉さんとドライブしている。地味に、ニューサトシならフタバタウンを無視してマサゴに向かっていると読んでいたおかげで再会できた。
・ナナカマド研究所に戻った。
原作より少し早く新しい洋服と帽子を入手。おニューサトシ(シンオウVer)になった。
・ロケット団がシンオウにやってきた。
一生懸命に後を追ってきた。その際に、原作通りにコジロウがマスキッパをゲットしている。また、サカキにもシンオウのギンガ団についての調査も命令されている(原作では存在を忘れられているが、この世界ではなんだかんだ仕事をして評価されている)。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.64
ピジョット Lv.59
バタフリー Lv.59
ドサイドン Lv.62
フシギダネ Lv.60
リザードン Lv.64
カメックス Lv.60
キングラー Lv.60
カモネギ Lv.59
エビワラー Lv.59
ゲンガー Lv.61
コノヨザル Lv.59
イーブイ Lv.59
ベトベトン Lv.58
ジバコイル Lv.59
ケンタロス Lv.58
ヤドラン Lv.59
ハッサム Lv.60
トゲキッス Lv.58
プテラ Lv.59
ラプラス Lv.59
ミュウツー Lv.75
バリヤード Lv.59
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57
カビゴン Lv.57
ニョロトノ Lv.58
ヘラクロス Lv.56
メガニウム Lv.56
マグマラシ Lv.56
ラティアス Lv.52
ヘルガー Lv.56
ワニノコ Lv.56
ヨルノズク(色違い) Lv.55
カイロス(部分色違い) Lv.56
ウソッキー Lv.55
バンギラス Lv.61
ドンファン Lv.54
ギャラドス(色違い) Lv.54
ミロカロス Lv.48
ヌマクロー Lv.51
オオスバメ Lv.50
ジュカイン Lv.50
ヘイガニ Lv.49
フライゴン Lv.55
コータス Lv.48
ラルトス(色違い) Lv.31
オニゴーリ Lv.47
ワカシャモ Lv.45
ダンバル(色違い) Lv.15
エイパム Lv.15
よう、お前ら。一年半待たせてごめんやで。今日からシンオウ編、全87話を毎日更新していくから許してくりさい。
ぶっちゃけ、読み返してももう面白いか自分じゃわからないですが、書いた以上は全部更新するからエタる心配だけはしないで大丈夫です。もはや、スタートからアニメと流れが違うニューサトシワールドですが、楽しんで頂ければ幸いです。
後、今日は開幕なので、8時・12時・17時・20時で4話更新して、明日からいつも通り20時に1話ずつ更新していきます。