ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#002 『やっべ、半分のモンスターボールだ』

 9歳 δ月χ日 『目指せポケモンマスター!』

 

 前世の記憶を呼び覚ましたことで精神的に大人になった俺ことニューサトシだが、だからといって夢まで変わった訳じゃない。

 当然、将来はポケモンマスターを目指すつもりだし、そんな俺からしたら四天王に会える機会というのはとても貴重なものだった。

 

 特にワタルと言えば、ゲームではカイリューはかいこうせんで有名なあのヤバい奴だ。会ってみたいと思うのはオタクくんなら当然である。

 

 

 

 9歳 δ月ψ日 『赤い帽子って、モロにキャラ被ってるやん』

 

 もし、この世界がアニポケだとしたら、カントーのチャンピオンはワタルなのか疑問に思って調べてみたのだが、出てきたのはレッドという名前の少年だった。ゲームかよ。

 

 ただ、詳しく調べてみると、どうもその名前もニックネームのようなものらしく、誰もその素性を知らないらしい。

 顔写真を見てみると、赤い帽子と、赤い布地が多い服を着ていることからレッドと呼んでいるようだ。また、基本的に戦う以外に興味がなく、チャンピオンとしての業務もバトル以外はワタルが殆ど代行しているらしい。

 

 まぁ、そのバトルに関しても興味のないものはワタルに代行させているようなので、実質ワタルがチャンピオンと言ってもいいだろう。

 無口で、殆どの時間をシロガネ山の奥地で修業していると書いてあった。

 

 ちなみにこの世界のシロガネ山の奥地に入るには、かなり厳しい審査に受からなければいけないので、俺がもしこのレッドに会うとしたら、ポケモンリーグセキエイ大会で優勝し、チャンピオンリーグに参加するしか道はないだろう。

 

 

 

 9歳 ε月γ日 『カイリューはかいこうせん!』

 

 随分待たされたが、ようやく今日ワタルに会うことが出来た。シゲルも一緒だったが、流石に今日は静かだ。どうやらワタルに会えて感激しているらしい。

 

 聞けばまだ16歳らしく、かなり若かった。

 相棒であるカイリューを見せてもらったが、研究所やマサラタウンで見るようなポケモンとは風格が違う。まさに歴戦の猛者というべき迫力があった。

 

 とりあえず、ずっと聞きたかったアニメやゲームではわからないポケモンバトルで必要なことや、ポケモンの育成、技の使い方など、事細かに聞いていく。

 最初はシゲルもいろいろ聞いていたが、俺がマシンガンのように質問を飛ばすので、今ではただの物言わぬ壁になっていた。

 

 ワタルも、まだトレーナーになっていない子供が、ここまでの意欲を持っているとは思っていなかったのか、最初こそ驚いたような顔をしていたが丁寧にいろいろ教えてくれる。

 

 一番興味深かったのは、ポケモントレーナーによって育てやすいポケモンのタイプが決まっているのではないかという仮説だった。

 

 簡単に言うと、前世のハンター×ハンターの念のように、人間も生まれつき得意なタイプ、苦手なタイプがトレーナーごとに決まっており、そのタイプのポケモンが一番育てやすいのではないかというものだ。

 

 これは統計的なデータから予測しただけで、科学的に立証されている訳ではないらしいが、ジムリーダーや四天王にそのタイプのスペシャリストが多いことを考えると、確かにおかしな話ではない。

 

 かくいうワタルも、自身の得意なタイプはドラゴンとひこうらしく、ドラゴンタイプがなく、ひこうタイプを持っているプテラ、ギャラドス、リザードンを使っているのも納得できる。

 

 アニメのサトシ君も思えば、ひこうタイプは割と進化するパターンが多かった。そう考えると、サトシ君の得意タイプはひこうかもしれない。逆に苦手なタイプはみずと見た。

 ゲットしたみずタイプで進化したのキングラーとゲッコウガくらいだし、後は殆どが進化前だ。相性は最悪と見ていいだろう。みずタイプとの相性が悪いとか軽く終わってんな。

 

 ワタル曰く、こういうものは育てている内に何となくわかってくるらしいが、勝率を残すトレーナーというのは、このトレーナーのタイプとポケモンのタイプが一致している場合が多いらしい。

 だが、稀にそんな相性関係なく強いトレーナーもいるようで、現在のカントーチャンピオンであるレッドはそのタイプのようだ。

 ワタル曰く、レッドはさまざまなタイプのポケモンを同じレベルで繰り出してくるから対策がし難いらしい。

 

 当然、レッドにも得意なタイプはあるのだろうが、そんなの関係ないとばかりにどんなポケモンも強く育て上げてくる。

 そんなレッドをワタルも尊敬しているらしいが、いつまでも負け続けるつもりはないようで、近いうちに王座を頂くと宣言していた。

 

 俺達もそんな宣言を聞いたら応援したくなる。「「頑張ってください!」」とエールを送っておいた。来年は楽しいバトルが見られそうだ。

 

 

 

 9歳 ε月δ日 『強くなる 理由を決めた』

 

 ワタルから聞いた知識は想像以上に良いものだった。

 

 何せ、ゲームでのターン制バトルしか経験の無い前世の記憶と、テレビのリーグ戦くらいしかバトルを見る機会がなかったサトシ君の知識ではわからない部分がかなり多い。ワタルがもたらしてくれた知識は、偏りのあった俺の穴を確実に埋めてくれた。

 

 ワタルは言っていた。ポケモンは自由なのだと。

 

 思えば、アニメのサトシ君も自由を売りにしていた。

 バトルでも、フィールドを炎で焼き尽くしたり、カウンターシールドなんて技を作ったりして、他のトレーナーにはない発想で勝利をものにすることが多かったと思う。

 

 勿論、ワタルが言いたかったのは、型にはまるようなトレーナーになるなという意味だとは思うが、それでも俺がニューサトシになって忘れていた物を思い出させてもらった。

 

 だからこそ強く思う。

 

 俺は今のままじゃ駄目だ。もっと強くならないとアニメのサトシ君にすら勝てない。

 ポケモンという力を使う以上は、それに責任を持つのがトレーナーというものだ。

 

 四天王のシバもそうらしいが、ワタルも体を鍛えて、日頃からカイリューの動きについていけるようにしていると言っていた。

 

 俺もこの体に流れるマサラの力を物にしないと、この先の戦いで生き残れない。

 

 明日から、マサラタウン端にある道場にも通うことにした。マサラ式肉体言語術というものを教えてくれるようなので、しっかりと習得して未来に備えたいと思う。

 

 

 

 9歳 ε月θ日 『マサラ式肉体言語術 またの名をマサラ神拳』

 

 マサラ人の体にはマサラ細胞と呼ばれる特別な細胞があり、それの力を引き出すことで、常人にはとても出来ないような力を発揮することが出来るらしい。

 

 思えば、アニメのサトシ君もたまに人間とは思えないような力を使っていたし、特別な波動を持っているような設定もあった気がする。

 

 まぁ、波動については良く分からないが、そのマサラ細胞とやらが持っている力を自由に使うことが出来れば、俺もアニメのようなスーパーアクションを行えるということだ。

 

 道場の師範曰く、もし極めることが出来れば、車より速く走るスピード、鉄をも砕くパワー、落石の直撃を受けても耐えるタフネス、丸一日走っても切れないスタミナが手に入り、それこそポケモンを相手にしても勝つことが出来るようになるらしい。

 

 素晴らしい、まさに俺が求めていた力だ。

 

 これから旅立ちの日まで毎日通おう。師範も弟子が一人もいなくて寂しかったようだし、俺が一番弟子として、しっかりマサラ式肉体言語術を極めてみせようぞ。

 

 

 

 9歳 ε月ι日 『サトシ君って何で手持ちを逃がすん?』

 

 俺はニューサトシだ。故にアニメのサトシ君と同じ道を進むつもりはない。

 

 だから、アニメで捕まえた以外のポケモンもゲットするし、捕まえたポケモンを途中で逃がすようなことをするつもりはなかった。

 

 何が楽しくて手持ちのポケモンを逃がすのか、アニメのサトシ君の行動は理解に苦しむ。

 アニメのシナリオだから良い話に聞こえるかもしれないが、捕まえた以上は最後まで責任を持って育てるのがトレーナーというものだろう。ピジョットを返せ。

 

 思えば、アニメでは固定メンバーで戦うことが多かったが、それも経験値が勿体なさすぎる。前世の俺はシゲルのように万遍なく育てる派だったのだ。

 だから手持ちのポケモンだって定期的に入れ替えるし、違う地方に行っても一緒に戦って貰うだろう。ここが完全にアニポケ世界なら、アニメの通りに動くことも考えたが、ナナミさんやレッドなど、アニメとは微妙に違う感じがする奴らがいる以上、原作通りになるとも限らないしな。

 

 そう考えると、そもそも最初に貰うポケモンはピカチュウである必要はあるか?

 

 アニメのピカ様はそもそも最初はなついていない上、シリーズによって強かったり弱かったりの波がある。確かにパワーやタフネスは他のピカチュウ以上だが、この世界のピカチュウもそうとは限らない。普通のピカチュウは弱いのだ。

 ライチュウに進化するならまだ考えるが、ピカ様はボールに入らない、進化嫌いの謎のこだわりを持っている。だとすれば、進化する御三家を最初に選んだ方が後々のためになるだろう。

 

 だが、もし原作通りにことが進むのであれば、各地方の御三家やサトシ専用のゲッコウガ、カイリューやルカリオなど、欲しいポケモンは山のようにいる。それを考えると、安易な結論を出すべきではないということもまた確かだった。

 

 

 

 9歳 ε月μ日 『半分のモンスターボール だったらしい』

 

 最近、オーキド研究所に行ってから道場に行くというのを毎日繰り返していると、ママさんから「たまには釣りにでも行ったらどう?」と言われた。

 

 正直、研究所の方がポケモンと触れ合えるし、道場も強くなっていく実感がしてとても楽しいので、ぶっちゃけありがた迷惑である。だが、せっかくママさんが心配してくれているのを無下にも出来ないので、今日は休みにして釣りに行くことにした。

 

 不慣れな釣りをしていると、途中でシゲルが来て、こちらの様子を窺いながら同じように釣りを始めた。

 

 どうやら知識の暴力は大分トラウマになっているのか、舐めた口を利くことはなく、探り探り会話をしながら、互いにのんびり釣りをしている。

 

 シゲルと釣りだけで思い出せればよかったのだが、どうやらこれ原作の半分のモンスターボールのくだりだったらしい。

 

 すっかり忘れていて、「こんな壊れたボールいらね」と、シゲルにあげてしまった。あげてから思い出したので、今さら半分下さいとは言えない。

 

 どうしようかと悩んでいると、「君に施しを受ける日が来るとは思わなかったよ!」と言って、ボールをこっちに投げつけてきた。

 

 何で怒っているのか良くわからないが、流石にボール丸々はいらないので上手いこと半分に壊し、ライバルの証が云々と適当な理由を付けて半分をシゲルに押し付ける。

 

「いいだろう。君を僕のライバルとして認めよう。サトシ!」

 

 どうやら上手く乗ってくれたようで、半分のモンスターボールを持って帰って行った。

 

 一時はどうなるかと思ったが、何とか原作通りに出来て良かったぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・レッドがいる。
 いるだけ。

・ワタルに出会っている。
 オーキド博士の人脈によるもの。ニューサトシとシゲルに大きな影響を与えた。

・肉体を鍛え始めた。
 スーパーマサラ人としての道を歩き始めた。

・マサラ細胞
 あくまで師範が言っているだけ。そんなものがある科学的根拠はない。ニューサトシはすっかり信じた。

・ピカ様を貰うか悩んでいる。
 原作通りに旅をするか、好きなようにするか。難しい所だ。

・シゲルにライバル認定される。
 本人は上手く凌いだつもりで居るが、毎日オーキド研究所の手伝いをしたり、前回の知識でも一目を置かれていたこともあり、原作よりも早くシゲルがサトシのことを認めた。

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