13歳 δ月ω日 『諦めたらそこで試合終了だお』
ポケモンコンテストに向けて、今日からはヒカリと一緒に練習をすることになった。どうやら、前回非公式のコンテストで俺に負けてから、完全になりふり構わなくなったようで、吸収できるものは全部吸収するという勢いで練習に励んでいる。
ポケモンのレベルはまだまだ低いが、遠慮なくボコボコにしてやった。本番近くなると、タケシがジムから持って来てくれたフィールドに展開するとレベルを固定できる装置を使って、コンテストと同じ環境で練習をさせているが、基本的には基礎から叩きこんでいる。
ぶっちゃけた話、ヒカリはハルカ程コンテストの才能がある訳ではなかった。ハルカには自然と見る人を惹きつける魅力があったが、ヒカリにはそういった特別なものはない。
けど、努力と根性だけは負けていなかった。
何度負けても諦めない。勿論、へこたれてはいるだろう。けど、それを決して表には出さず、次に挑戦するど根性がある。諦めないというのは大事なことだ。
かつて、俺の尊敬する安西先生も言っていた。「最後まで希望を捨てちゃいけない。諦めたら、そこで試合終了だよ」と。
別にそれは、バスケのようなスポーツに限った話じゃない。それこそポケモンバトルやコンテストだって同じことだった。
ホウエンで一度、俺は自分の才能の無さにコンテストを諦めようとしたことがあった。
けど、仲間達のおかげで諦めずに済んだ。諦めずに挑戦したからこそ、グランドフェスティバルベスト8という成績を出すことが出来たのである。
今度は俺がヒカリに伝えて行かなくてはいけない。才能なんてなくても、努力と根性で結果は出せるのだということを。
とはいえ、それで手を抜くというのはまた別の話であり、ニューサトシも情け容赦なくヒカリ達をボコボコにしてやった。
13歳 ε月α日 『そういう仲じゃないから』
今日も今日とて、ヒカリとコンテストの練習をしていたのだが、突如としてケンゴと名乗るポケモンコーディネーターが乱入してきた。
聞けば、このケンゴとかいう奴はヒカリの幼馴染らしい。今回のコンテストにも出る予定ということで、ヒカリの過去の失敗談を話してヒカリを挑発している。
何故か、ヒカリのことをピカリと呼ぶことがあり、何かあったのか――と、思ったが、慌てたようにヒカリが「何でもない、何でもない!」と誤魔化そうとしていた。
そのまま挑発に乗ったヒカリがケンゴにバトルをふっかけたのだが、何故かニューサトシがバトルの相手に指名されている。
どうも、ヒカリと一緒にいるニューサトシがそういう仲じゃないかと疑っているらしい。いつの時代もそういう色恋を疑ってくる奴はいるもんなんだよな。
そういう仲じゃないから――と、いうことで、ケンゴが出してきたポッタイシをピカ様でボコボコにしてやる。
お得意の『ばちばちアクセル』からの『ボルテッカー』コンボで、相手が反応する間もなくケリをつけてやった。前回のヒョウタとのガチ戦で、遂に感覚を完全に掴んだようで、ピカ様の『ばちばちアクセル』もようやく完成を見せている。
どうも、ケンゴは明日のコンテストにポッタイシで出るつもりだったらしく、慌ててポケモンセンターまで走っていった。
シュウもそうだったけど、コンテスト用のポケモンを前日にバトルさせるなって。後遺症は残らないようにしたけど、ワンチャンの危険を考えろよ。
追記。ヒカリのポッチャマが『うずしお』を覚えた。そういえば原作でも『うずしお』を使った演技をしていたような記憶がある。
13歳 ε月β日 『ポケモンコンテスト ソノオ大会』
遂にコンテスト当日となった。ヒカリに正体もバレたことだし、今回はずっとお預けをくらわせていたラティとラルトスで挑戦するつもりである。一次審査をラティ、二次審査をラルトスに任せるつもりで練習してきた。二人とも言葉はないが気合が入っている。
今回はタキシードに仮面というどこかのセーラー戦士に出て来る奴みたいな恰好をしてみたが、意外にラティやラルトスには好評だった。
ラティが真似してサマヨール仮面をつけようとするので、今回はラルトスとお揃いの黄色のスカーフをつけてやることで上手く誤魔化している。
ラルトスもまだ俺以外には素っ気ないが、ポケモン相手だと割かし心を開くことが多くなってきており、今もラティがくっついてくるのを無視してはいるが嫌がってはいなかった。
昔だったら即『テレポート』で逃げていたのを考えると、ホウエンの旅でこいつに見せてきたものは無駄じゃなかったと思える。
今回のコンテストはノゾミこそいないが、代わりに昨日会ったケンゴと毎度お馴染みロケット団のムサシも参加していた。
前回はムサシが順当にリボン持って行ったからな。今回こそは運に勝敗を左右されるような立ち回りを防いでいかないと。
一次審査とはいえ、油断は出来ない。
特に、大会運営のコンテスタと大好きクラブのスキゾーは、ホウエンでの俺の演技を知っているので、下手にラティの演技を使いまわしても高得点は貰えないだろう。
ストイックに新たな演技を模索しつつ、今までの良さもプッシュしていきたい。ボールやアイテムを使った演技は見せ方だけ変えつつ、技はエスパー技でなく、ドラゴン技を主軸にアクション主体に切り替えた。
決め技に、ハルカ相手に見せた『りゅうせいぐん』を纏わせてタックルする流星ダイブを披露すると、かなりの高得点を貰っている。
ムサシやケンゴも続くようにいい演技を見せていた。やはり、ムサシはどくタイプとの親和性が高いようで、ドクケイルでの演技は俺とほぼ同じ得点を出している。
ヒカリは、前回の非公式コンテストに続いて、パチリスで一次審査を挑戦していた。
しかし、演技の序盤で体勢を崩したパチリスがパニックを起こしたようで、立ち直すことが出来なければ一次審査敗退は確実――と、思っていると、何故か持っていたポフィンを出して、ヒカリがパチリスを落ち着かせていた。
そういえば、練習の最中も演技が上手く行けばご褒美にポフィンを食べさせたっけか。
おそらく、つい癖で持っていたのだろう。だが、今はそれがいい方向へと転がっていた。パチリスもご褒美を貰ってパニックから立ち直り、改めて元気な演技を見せている。
ギリギリで持ち直したらしく、その後は上手く自分のパフォーマンスを見せつけることが出来たようだった。
その後も他の参加者の一次審査を眺めていくが、レベルの高い参加者はそう多くない。俺やムサシ、ケンゴは特にミスもなかったので順当に、ヒカリも何とか一次審査を突破することが出来ている。
二次審査になると、俺のファーストステージの相手はムサシになった。ムサシもこの中じゃ俺が一番手強いとわかっているようで、「チッ、ジャリンコか!」と舌打ちしている。
まぁ、ケンゴならワンチャンあるかもしれないが、総合的に見て今回の参加者でムサシを倒せるのは、おそらく俺以外にいないだろう。確かに、ムサシの技量は高いが、バトルの技量なら俺も負けていない。コンテスト“バトル”なら実力は五分だ。
ムサシは二次審査にハブネークをチョイスしている。得意などくタイプでごり押ししようという考えだろう。
向こうもラティが既に演技を終えて控室にいるのを確認しているので、二次審査で俺がラティを出すことはないと判断したのかもしれないな。
そんな予想を裏切るように、エスパータイプのラルトスを送り出していく。ムサシが「ゲッ!」と顔をしかめた。しかし、ラルトスはフェアリータイプも持っているので、どく技は地味に弱点でもある。
コジロウが側にいれば、すぐにそのことにも気づいたのだろうが、今回は応援席にいるので相手はムサシのみである。それも、グランドフェスティバルのようにここ一番の大会でもないから情報収集もしていないだろう。
まぁ、仮に情報収集していたとしても、バトルにもほぼ出していないラルトスの情報などないに等しいがな。
やけくそだと言わんばかりに、『ヘドロばくだん』で攻めてくるので、『テレポート』で攻撃を回避して、『サイコキネシス』で動きを封じていく。
こちらもラルトスにバトル経験がほぼないので、あまり攻撃を貰いたくなかった。エスパー技を駆使して、遠距離から攻撃を仕掛けさせてもらう。
どうも、ムサシはエスパー技にめっぽう弱いようで対応があまり良くない。どくタイプ使い故に、エスパータイプは苦手なのだろう。
サイキネを全て受けきると、今度は『へびにらみ』でこちらの麻痺を狙ってきた。今度は『かげぶんしん』で的を絞らせ無くして、『サイコキネシス』で動きを封じていく。
こちらのポイントはマックスなまま、一方的にムサシのポイントを削れたのはかなり大きい。『テレポート』と『かげぶんしん』での回避が10点ずつ、『サイコキネシス』での攻撃が15点ずつ、計50点で既に倍のポイント差がついていた。
ムサシもこのままではまずいと、次は『くろいきり』で視界を塞いでくる。この霧の煙幕に隠れて、何とかラルトスに攻撃を当てようという狙いだろう。
しかし、ラルトスは容赦しなかった。
最後の技である『アンコール』を発動させ、ハブネークに『くろいきり』を強要させていく。接近して最後の技を撃つことすら許されず、再び『サイコキネシス』で吹き飛ばされた。
ハブネークは最低でも後三回は『くろいきり』を繰り返させられる。その間に、『サイコキネシス』を三回も受ければ、余裕でバトルオフに持って行けるだろう。
これがもしタッグバトルならもっと苦戦したかもしれないが、シングルバトルならこんなものだ。
どうも最近ムサシが調子に乗っているので、一度わからせる必要があると思っていた。確かにお前は技術こそ上だが、決して勝てない相手って訳でもないんだよ。
最終的にはハブネークがバトルオフとなって終了となる。久々にガチでボコられたからか、ムサシがかなり悔しそうな顔をしていた。
どうもこいつ、カントーのグランドフェスティバルを優勝してから、負けなしで調子に乗っていたからな。前回も俺がこけて優勝させちまったし、そう簡単には行かないってのをそろそろ思い出させてやらないと。
ヒカリやケンゴも無難にファーストステージを勝ったようだった。これで、セミファイナルはヒカリ対ケンゴとなり、勝った方がファイナルで俺とバトルになる。
ぶっちゃけ、ファーストステージを見た限り、俺の次の相手はムサシよりも格段にレベルが低い。悪いが、仮に目を瞑っていても負けることはないだろう。むしろ、パフォーマンスのためにラルトスの視界を封じても良いと思ったレベルだ。
とはいえ、それで負けては意味がないので勿論全力で行く。ノゾミの時のようなミスはもうしない。前半でポイントを稼いで、後半は鉄壁の防御に徹し、セミファイナルも順当に勝ち抜いた。
ヒカリとケンゴのバトルは、ポッチャマとポッタイシという進化前と進化系の対決になっている。
レベルは固定だが、種族値の差が大きい。特にポッタイシはポッチャマよりも大分体が大きかった。
もし、俺とのバトル練習がなければなすすべもなく負けていただろう。しかし、ポッチャマは逆に小さな体を上手く使って攻撃を回避していた。
体がでかい奴が強いのは当然だ。
そんな中、小さい奴が生き残るにはスピードを武器にするしかない。ポッチャマには回避を主体に、受け流しや防御の技術をこの数日で出来るだけ叩き込んでいた。
それが今、花開いてケンゴのポッタイシからポイントを奪っている。攻撃を外させるだけでも相手のポイントは奪えるのだ。
ちまちましたバトルに見えるかもしれないが、避ける方も必死である。ケンゴも「当たれば、当たりさえすれば……」と呟いているが、当てさせないのが技術ってものなんだよ。
勿論、ただ逃げているだけではない。
攻撃を躱しつつ、隙を見て『つつく』で反撃しているのだ。みずタイプで進化系相手に軽減されるみず技など無意味だとわかっている。故に、別タイプの近接技を使ったカウンター殺法だ。
しかし、終盤になってポッチャマが捕まり出した。流石にスタミナが切れてきたらしい。
ケンゴもこのチャンスを逃さないとばかりに攻め立ててくる。だが、ヒカリは冷静に『うずしお』でポッタイシの動きを封じてきた。少しでも時間を稼いで逃げ切るつもりだ。
必死の形相で追いかけるケンゴだが、時の女神はヒカリに味方した。僅かなポイントの差だが、ヒカリのポイントの方が多く残っていたのである。
ケンゴも悔しそうな顔をしていたが、すぐにヒカリの健闘を称えていた。内心では納得いっていないかもしれないが、これも戦い方、魅せ方の一つである。捕まえられない方が悪いのだ。
ファイナルバトルは、俺対ヒカリとなった。
だが、ヒカリのポッチャマはセミファイナルでの激闘でスタミナを使い切っている。肩で息をしており、戦えるコンディションではないことは一目瞭然だった。
しかし、もう後一歩でリボンが手に入る。
その希望がヒカリを諦めさせなかった。バトルがスタートすると、ラルトスは容赦なくポッチャマを追い詰めていく。得意のエスパー技を駆使して、攻撃を耐えるポッチャマを倒しにかかった。
どうやらヒカリは『がまん』で一か八かを狙っているようだったので、そんな賭は通用しないことを教えてやる。
確かに、『がまん』は攻撃を耐えれば耐えるほど威力が上がる技だが、そんな技は『まもる』で簡単に防御が可能なのだ。防がれた後に残るのはボロボロのポッチャマのみ。
頼みの切り札を防がれると、もうなすすべはないようでラルトスの『サイコキネシス』で一気にバトルオフに持ち込んだ。まぁ、流石に今のヒカリじゃまだ相手にはならないかな。
悔しそうにするヒカリだが、今回ファイナルステージまで来られたことは自信になったらしい。「次は絶対に負けないから!」と、ライバル心を燃やしてくる。
ふむ、前回はノゾミに良い所を持っていかれてしまったし、今回はニューサトシが言葉をかけよう。かつて、ハルカにも送ったのと同じ言葉を。
「おめでとう、ヒカリ。ポケモンの世界へようこそ」
いきなりの言葉に首を傾げるヒカリだが、まぁいつかわかる日が来るだろう。かつて、ハルカもコンテストに負けて涙し、負けたくないと強く願った時にこの言葉を送った。
負けたくないという気持ちが、バトルにしろ、コンテストにしろ、ポケモンの世界の入り口だからだ。
本来なら、前回伝えたかったが、前回はニューサトシが二次審査初戦負けしたせいで、格好つかなかったからな。ここで改めて伝えておく。
視線を足元に向けると、ラティやラルトスもリボンを貰ってドヤ顔していた。思えば、ラルトスも公式のコンテストで勝つのは初めてだったか。
よくやったぞ――と、褒めた瞬間、ラルトスの体が光り、キルリアへと進化していく。相変わらず、黒と青を基調とした美しい姿だが、キルリアになったことで可愛さが百倍くらい増えた。
ラルトスの時は目元が隠れていて表情が少しわかりづらかったが、キルリアになったことで目元が良く見えるようになっている。
ツンとした表情が良く見えるようになったが、代わりに笑みを浮かべた時もすぐにわかるようになった。「可愛くなったな」と声をかけると、照れたように顔を背けている。進化しても可愛いツンだぜ!
原作との変化点。
・非公式のコンテストでヒカリが負けたことで、意地を張らずニューサトシに教えを乞うようになった。
気持ちはわかるので、ニューサトシも遠慮なくボコボコにしている。ヒカリは知識は多少あっても技術や経験が全くないので、まずはバトルや演技の数をこなす所から始めた。
・第26話『ポケモンコンテスト! ソノオ大会!』より、ニューサトシがケンゴをボコボコにした。
コンテストに出すポケモンでニューサトシと前日バトルするとかマ? ボクサーやプロレスラーが、試合前日に熊と喧嘩するようなもんだけど?
・前回のサマヨール仮面からインスピレーションを受けて、タキシードな仮面様になった。
ラティに大好評。ヒカリも地味に格好いいと思っている。世の女の子の心を掴む紳士となった。
・第27話『決戦! ポッチャマVSポッタイシ!!』より、ヒカリがリボンをゲットできなかった。
原作ではここで一つ目のリボンを手に入れるが、ニューサトシやムサシがいるせいで難易度がルナティックになっている。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.64
ピジョット Lv.59
バタフリー Lv.59
ドサイドン Lv.62
フシギダネ Lv.60
リザードン Lv.64
カメックス Lv.60
キングラー Lv.60
カモネギ Lv.59
エビワラー Lv.59
ゲンガー Lv.61
コノヨザル Lv.59
イーブイ Lv.59
ベトベトン Lv.58
ジバコイル Lv.59
ケンタロス Lv.58
ヤドラン Lv.59
ハッサム Lv.60
トゲキッス Lv.58
プテラ Lv.59
ラプラス Lv.59
ミュウツー Lv.75
バリヤード Lv.59
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57
カビゴン Lv.57
ニョロトノ Lv.58
ヘラクロス Lv.56
メガニウム Lv.56
マグマラシ Lv.56
ラティアス Lv.52
ヘルガー Lv.56
ワニノコ Lv.57
ヨルノズク(色違い) Lv.55
カイロス(部分色違い) Lv.56
ウソッキー Lv.55
バンギラス Lv.61
ドンファン Lv.54
ギャラドス(色違い) Lv.54
ミロカロス Lv.49
ヌマクロー Lv.51
オオスバメ Lv.50
ジュカイン Lv.50
ヘイガニ Lv.50
フライゴン Lv.55
コータス Lv.49
ラルトス(色違い)→キルリア(色違い) Lv.34→35 NEW!
オニゴーリ Lv.48
ワカシャモ Lv.46
メタング(色違い) Lv.27→28
エイパム Lv.27→28
ムクバード Lv.24→25
ナエトル Lv.24→25