ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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♯184 『このやる気が好きなんですよ』

 13歳 ε月μ日 『孤独のブイゼル』

 

 どうもブイゼルはジュカインのようなロンリーウルフタイプのようで、あまり仲間と馴れ合わない。

 まぁ、バトルの指示は聞くので、とりあえず問題はないだろう。こういうのは野生暮らしが長いポケモンにはよくあることなので、無理にこちらのペースを押し付けず、ブイゼルが慣れるのを待つことにする。

 

 ハクタイシティではナタネにガチ戦を申し込むつもりだが、どうやらリボンを一つも持っていない人限定のコンテストもやっているらしい。俺がかつてコンテストに復帰したのと同じ条件のコンテストである。

 ヒカリが今度こそリボンをゲットすると息巻いており、進化して『ちょうのまい』をずっと練習しているガーメイルも、お披露目の機会が来て大喜びしていた。

 

 

 

 13歳 ε月ν日 『その可能性を諦めるな』

 

 ポケモンセンターのテレビで今年の四天王リーグの録画放送がやっていた。チャンピオンリーグでシゲルに勝ったトレーナーかどうかはわからないが、勝者はシンオウの四天王リーグに挑戦したらしい。

 テレビではゴヨウがキリンリキで、上手く相手のハッサムをあしらっている。はがね・むしタイプのハッサムはエスパー使いのゴヨウには苦手分野なはずだが、そんな素振りは欠片も見せていなかった。

 

 ブイゼルもゴヨウの強さに目を輝かせている。

 

 頭を撫でつつ、「お前もいずれこの領域に行くんだぞ」というと、嬉しそうに頷いていた。同時に、「流石はシロナの弟子。言うことが違いますね」と声をかけられる。

 振り返ると、四天王のゴヨウがそこにいた。

 どうやら、たまたまこのポケモンセンターに来ていたらしい。実際に会うのは、昨年の四天王リーグを見学して以来なので、実に一年ちょっと振りの再会である。

 

 俺がゴヨウと知り合いな上、チャンピオンのシロナの弟子とわかったヒカリは、大口を開けて驚いていた。タケシはシロナ経由で知り合いだとわかったようでそこまで驚いてはいない。

 ラティも久しぶりに会ったゴヨウに、「ゴヨウ、ゴヨウ」と懐いている。基本的に、ラティは優しくしてくれた人を忘れないのだ。

 

 ゴヨウも今年のチャンピオンリーグに俺が参加していなかったのを不思議に思っていたらしいのだが、バトルフロンティアを優先したと話すと納得した様子を見せていた。

 

 そんな感じでゴヨウと世間話をしていたのだが、しばらくすると我慢できないと言わんばかりに、ブイゼルがゴヨウに自分とバトルをしてくれと頼んでいる。

 どうやら、四天王の強さを自分の肌で感じたいようだ。俺も強い奴と戦いたいという気持ちはわかるので、ゴヨウにブイゼルの相手をして貰えないか頼んでみた。

 

 他ならぬ俺の頼みということで、ゴヨウも快くバトルを引き受けてくれる。

 

 レベル差もあるので、まず勝ち目はないだろう。だが、ニューサトシは最初から勝負を諦めた気持ちでバトルをしたことはなかった。

 どんなに薄い可能性でもゼロではない。

 ゴヨウも、俺が勝つつもりだとわかると、嬉しそうに笑みを浮かべている。しかし、ふとヒカリの方を見ると、勝てる訳ないのに――という顔をしていた。ので、ちょっと先輩風を吹かせることにする。

 

「ヒカリ、想像してみろ。お前の相手がグランドフェスティバル優勝常連のポケモンコーディネーターで、そいつを倒さないとグランドフェスティバルに優勝できないって状況になった。そんな時、お前は勝てる訳ないって自分に言い訳するのか?」

「――ッ!」

「相手と自分の実力差を理解するのは大切だ。でも、諦めちゃいけない。諦めたらその時点で勝率はゼロだ。コンマ数%でも勝ち目があるなら、その可能性を諦めるな」

 

 だから応援よろしく――そう続けると、ヒカリは「頑張れ、サトシ!」と俺を応援してくれた。

 

 いざ、バトルとなると、ゴヨウはドータクンを出してくる。どうやら、本当に手加減する気はないようで、四天王リーグで使っているレギュラーを出してきてくれたらしい。

 仮にピカ様でも勝てるかどうかわからない相手だが、ブイゼルは気圧されていなかった。開幕、『アクアジェット』を指示して先制していく。流石のドータクンも先制技は避けれないようで攻撃は直撃した。

 

 しかし、防御が高すぎて大したダメージになっていない。続けて弱点である『かみつく』を指示したが、『てっぺき』で防御を上げられてダメージが軽減してしまった。

 元々、レベル差もあって、攻撃が大したダメージにならない。弱点攻撃も防御を上げられて防がれる。ならば、タイプ一致の特殊技である『みずでっぽう』に攻撃を切り替えていくことにした。

 

 こちらが特殊攻めに変えてきたとわかると、『ラスターカノン』で迎撃してくる。

 当然、レベル差もあって押し返された。直撃を受ければまず負けは確実なので、途中で技をキャンセルしつつ、『こうそくいどう』で素早を二段階上げて窮地を脱していく――が、

 

 これで、こちらは全て技を使ってしまった。

 

 そんなこちらの思考を読んだように、ゴヨウは「技は無制限でもいいですよ」と声をかけてくる。レベル差のハンデを考えれば有難い申し出だった。

 

 お言葉に甘えて、ブイゼルに『うずしお』を指示して、ドータクンの動きを少しでも封じていく。ブイゼルが唯一相手を上回っているのはスピードだ。このスピードを利用したヒット&アウェイで勝つための薄い糸を手繰り寄せるしかない。

 

 しかし、ゴヨウは『にほんばれ』でみずタイプの技の威力を半減させてきた。これではブイゼルのみず技もゴミ同然になってしまう。

 仕方ないので、『みずびたし』を指示した。

 相手をみずタイプに変える技である。みず技の威力が半減した以上、有効打はノーマルタイプの技になる。はがねタイプを持つドータクンにノーマル技は半減なので、みずタイプに変えてやったのだ。

 

 続けて、『こうそくいどう』でさらにスピードを上げて、ドータクンを惑わせていく。『でんこうせっか』も組み合わせて、緩急をつけつつ、背後から『スピードスター』を指示した。

 必中の全体攻撃技だ。ドータクンのスピードでは回避できない上、このタイミングなら防御も間に合わない。防御も回避も無理と判断すると、ゴヨウは『ヘビーボンバー』を指示してきた。自分の重さが相手よりも重いほど威力が上がる技だ。

 

 確か、ドータクンは180㎏ほど体重がある。対するブイゼルは、良い所30㎏だろう。その差は六倍――優に『ヘビーボンバー』は最大威力が出ていた。

 ドータクンが『スピードスター』の直撃を受けながら突っ込んでくる。こちらは『スピードスター』を撃っているので足が止まっていた。途中で技をキャンセルして回避に移ろうとしたが、間に合わずにブイゼルがドータクンの下敷きになる。

 

 本来ならば一撃で戦闘不能になってもおかしくなかったが、『みずびたし』で『ヘビーボンバー』がタイプ不一致になっていたことと、負けたくないど根性がブイゼルを立ち上がらせた。

 とはいえ、もう残り体力はミリも同然だ。

 ブイゼルも立ち上がるのが限界で、とてもじゃないが長時間戦うのは不可能だろう。次の一撃が実質最後の攻撃になるのは間違いなかった。

 

「ブイゼル!」

 

 言葉はいらない。お前の好きに攻撃をしろ――と、頷いて伝える。ブイゼルは、そうこなくちゃという笑みを浮かべた。

 

 ゴヨウは再び『ヘビーボンバー』を指示してくる。ブイゼルは動かなかった。しかし、俺には三度目の『こうそくいどう』を発動させたことがわかる。

 そのまま、相手の『ヘビーボンバー』に合わせて、ブイゼルは『どろかけ』を使った。みず技でぬかるんだ泥をドータクンの目に直撃させる。同時に、相手の命中率が下がった。

 

 その隙にブイゼルが『ヘビーボンバー』を躱す。もう出来る技などそう残っていない。ブイゼルが最後に選んだ技――『たいあたり』でドータクンにぶつかって一矢を報いた。

 

 同時に、限界だったブイゼルが倒れる。

 

 審判をしていたタケシが「ブイゼル、戦闘不能。よって四天王ゴヨウの勝利!」と告げると、ゴヨウはドータクンをボールに戻して笑みを浮かべた。

 

「見所のあるブイゼルですね」

「でしょ? このやる気が好きなんですよ」

 

 倒れる最後までブイゼルは勝利を諦めなかった。

 

 ニューサトシはこういう奴が大好きなのである。

 

 

 追記。ロケット団がいつものように、俺やゴヨウのポケモンを狙ってきたが、いつものようにやなかんじーにされていた。こいつらもまず勝てないとわかっているだろうに、そのチャレンジ精神だけはニューサトシも凄いと思っている。

 

 

 

 13歳 ε月ξ日 『これだからジュンサーはゴミなんだ』

 

 ようやくハクタイシティに着いたのだが、ジムリーダーのナタネが不在ということで、先にヒカリのコンテストのエントリーに行くことにした。

 途中に、ハクタイ博物館なるものがあるということで、少し寄っていくことにしたのだが、丁度俺達が通りがかった瞬間、伝説の至宝と呼ばれる『こんごうだま』が謎の三人によって奪われるという事件が発生している。

 

 つーか、謎の三人じゃなくて、毎度お馴染みロケット団なのだが、この世界の住人は変装されると全く気付かないらしい。

 どこからどう見ても、怪盗に変装したムサコジに、キマワリに変装したニャースにしか見えないが、バイキンマンの変装レベルで気づかれないのは本当に不思議である。

 

 一応、やなかんじーにしてやろうと思ったのだが、すぐにこの街のジュンサーが現れ、スカンプーで攻撃を仕掛けていた。

 しかし、ロケット団も今回は逃げに焦点を置いているようで、ハブネークの『くろいきり』で姿を隠してその場を脱出していく。

 

 とはいえ、警察が博物館を完全包囲しているので、いくらあいつらでも流石に逃げ場はないだろう。

 ということで、後を任せて事情聴取を受けていたのだが、どこからか現れたナタネが、犯人がくさポケモンを使っていることを聞いて憤慨していた。

 

 まぁ、そのくさポケモン――っていうかキマワリ、キマワリじゃなくてニャースなんだけどな。

 

 しかし、俺以外にはキマワリにしか見えなかったようで、犯人はキマワリを連れていたという短絡的な推理から、ジュンサーがキマワリをたまたま連れていた吟遊詩人のナオシを容疑者として連行してきた。

 思わず、頭を抱える。

 常識的に考えてみろ。『こんごうだま』を盗もうって犯人が、わざわざ目立つ吟遊詩人に変装する訳がない。おまけに、キマワリを連れているのがバレてる以上、わざわざ外に出しっぱなしにする利点もないのである。

 

 むしろ、どこかの部屋に隠れていると考えるのが普通だ。しかし、このハクタイのジュンサーはどうもダメなジュンサーのようで、頑なにナオシが犯人だと言って聞かなかった。

 合流したナタネの話で、ナオシは昨日ジム戦に挑戦していることが供述される。泥棒しようって奴が、前日にわざわざ目立つジム戦などする訳がない。だが、否定材料は山ほどあるのに、自分の推理を信じてジュンサーは人の話を全く聞かなかった。

 

 これだから、ジュンサーはゴミなんだ――と、考えていると、丁度休暇でハクタイに来ていたカントートキワシティのジュンサーさんが現れ、ニューサトシ同様にナオシ犯人説を否定している。

 こうなったらもう話にならないジュンサーは放っておいて、頼りになる方のジュンサーと一緒に犯人を捜すことにした。

 

 このダメジュンサーも、真犯人が出てきたら否でも認めざるを得ないだろう。

 

 と、いう訳で、ミュウツーに頼んでロケット団の場所を探って貰おう――と、思ったのだが、黒いキルリアが自分に任せろと言っている。

 どうやら、キルリアも長くロケット団を見てきたからか、居場所を感知できるようになったようだ。出番を無くした暴君が少し寂しそうにしたような気もしたが、今回はナオシの身柄がかかっているのでスピード重視である。

 

 そのまま、『テレポート』でロケット団のいる場所まで向かう。どうやら倉庫の中に隠れていたようで、ニャースがキマワリの変装を解いている所だった。

 サクッと『こんごうだま』を取り返して、やなかんじーにしてやろうとしたのだが、どうも今回のロケット団は一味違うようで、ムサシとコジロウが全力でニューサトシ達を止めてくる。

 

 聞けば、ステキファッションな連中から高額な報酬を提示されているらしい。『こんごうだま』を欲しがる素敵ファッションな連中なんてギンガ団くらいのもんだが、多分こいつらは知らないで加担してるんだろうなぁ。

 

 と、考えていると、残ったニャースが『こんごうだま』を持って逃げて行ってしまった。だが、後から来てようやく全てを理解したらしいハクタイのジュンサーが後を追っていく。

 いくらダメジュンサーでも、ニャース一体くらいなら流石に逃がしゃあしないだろうということで、こちらはこちらでいつものようにロケット団をやなかんじーにしてやった。

 

 これで、後はニャースを捕まえて一件落着――の、はずだったが、最終的にはニャースに逃げ切られてしまったらしい。

 こいつ、本当にジュンサーかよ。あの状況で逃げられるなら、素直に俺が後を追えばよかった。「アンタ、警察向いてないから止めた方が良いよ」と、思わず口に出してしまうレベルの失態である。

 

 今から『テレポート』で間に合うか? と、ミュウツーに聞いてみるも、既にロケット団の気配はミュウツーの探知外のようで『無理だ』と言われた。

 

 ハクタイのジュンサーが申し訳なさそうにしているが、ニューサトシの中でも一二を争うレベルで、歴代のジュンサーワーストランキングを更新した瞬間だった。

 逆にカントーのジュンサーさんは、最初から最後までニューサトシを信じてくれていたが、どうやらニューサトシがポケモン泥棒退治のスペシャリストと呼ばれているのを知っていたらしい。

 

 ハクタイのジュンサーも聞いたことはあるようで、「そんな――」と、自分の失態を嘆いている。

 これに懲りたら、もっと視野を広く持って人の話を聞くことだな。まぁ、自分スペシャリストなんで(キリッ)。

 

 

 追記。解放されたナオシが、シンオウ地方の始まりの神話について教えてくれた。が、ニューサトシ的には神話よりもガチ戦である。話の流れでスルーしていたが、ナタネがジムリーダーだと自白したのでガチ戦を要求することにした。どうも、ナタネもニューサトシが挑戦してくると思っていたようで、明後日をオフにしてくれているらしい。やったぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ブイゼルが加入したばかりで馴れ合いを拒否した。
 原作と違って、ニューサトシの指示には従うので、とりあえず良しとしている。こういうのは無理に解決するよりも時間をかけて、仲間との絆を育むものなのだ。

・第35話『四天王ゴヨウとドータクン!』より、ゴヨウと久しぶりに再会を果たした。
 前に四天王リーグを見学しに行った際、シロナからの紹介でシンオウ四天王とは全員顔なじみ。なので、ニューサトシのお願いでブイゼルとも全力でバトルしてくれた。おかげで、ブイゼルも目指すべき高みを肌で体験することが出来ている。

・第36話『シンオウ時空伝説!』より、ロケット団がこんごうだまをゲットしてしまった。
 原作では何だかんだ取り返すが、この世界ではロケット団がニューサトシの影響を受けて強くなってしまっていることもあって、ダメジュンサーを振り切って強奪に成功してしまった。おかげで、高額の報酬を手に入れいるが、後に素敵ファッションがギンガ団だとわかり、自分達がその援護をしたとわかると、とりあえずサカキにはミスを上手く隠し、「奴らはこんごうだまを盗んで何かを狙っているようです」と、あたかも調べたように報告した。それにより、また評価が上がっている。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.64

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.60

 リザードン Lv.64

 カメックス Lv.60

 キングラー Lv.60

 カモネギ  Lv.59

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 コノヨザル Lv.59

 イーブイ  Lv.59

 ベトベトン Lv.58

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.59

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.59

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.58

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.56

 ラティアス Lv.52

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.57

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.55

 ギャラドス(色違い) Lv.55

 ミロカロス Lv.49

 ヌマクロー Lv.51

 オオスバメ Lv.51

 ジュカイン Lv.51

 ヘイガニ  Lv.50

 フライゴン Lv.55

 コータス  Lv.49

 キルリア(色違い) Lv.38→39

 オニゴーリ Lv.48

 ワカシャモ Lv.46

 メタング(色違い) Lv.32→33

 エイパム  Lv.32→33

 ムクバード Lv.30→31

 ナエトル  Lv.30→31

 ブイゼル  Lv.30→34


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