ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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♯185 『このバトルをよく見ておけ』

 13歳 ε月ο日 『ポケモンコンテスト ハクタイ大会』

 

 実力はあるけど運が無いとか、たまたま実力者がいて成績が振るわなかったとか、そういう人は普通にいる。実際、ヒカリも素人にしては頑張っているし、ニューサトシやムサシがいなければ優勝も夢じゃなかった場面もあった。

 思えば、毎回グランドフェスティバル経験者と一緒にコンテストに出ているという時点で、ヒカリはハルカよりも環境的に厳しい場所で演技をしている。

 

 だからこそ基準が高くなっていたのかもしれない。

 

 一次審査、ヒカリのガーメイルによる『ちょうのまい』と『いとをはく』のコンビネーションプレイを見た時に、ふとそう感じた。

 技の魅せ方も良いし、回転でアレンジした『ちょうのまい』はガーメイルの魅力をうまく引き出している。見事と言っていい。

 しかし、これが俺やムサシ、ノゾミ辺りと一緒に出ていたら、演技の評価は中の上って所だっただろう。だが、ヒカリと同レベル帯のコーディネーターが相手では、トップ通過できるレベルの演技だった。

 

 今まで負け続けて、どこか自信を失いかけていたヒカリに予想外のスイッチが入る。

 

 ヒカリは精神的に強い。

 

 けど、負けが好きな訳じゃなかった。

 

 当然、勝てば喜ぶし、流れが来れば勢いに乗る。

 

 普段、ニューサトシ相手にボコボコにされているヒカリにとって、勢いに乗れた今回のコンテストはただのご褒美のようなものだった。

 

 二次審査が始まると、ヒカリは相棒のポッチャマと一緒に、ノンストップで駆け上がっていく。

 まるで手応えがない――そう感じているかもしれない。今のヒカリは、いわば初級者から中級者の間のレベルだ。中級者以上のコーディネーターがいないコンテストなら、ほぼ無双できるだけの力を持っている。

 

 結果、今までの苦戦は何だったのかと思えるくらい簡単に、ヒカリはハクタイリボンをゲットしてしまった。

 

 勿論、今回はリボンを一つも持っていない人限定という条件だったので、ヒカリがかなり有利だったということもある。

 だが、それがどんなルールであれ、勝利は勝利だ。勝ち方を知ったことで、ヒカリはようやく一つ上のステージへ足を進めた。

 

 念願の優勝で感極まったヒカリが、嬉しそうに実家にいるママさんへ連絡を飛ばしている。

 ママさんも、リボンを一つ取ったくらいで連絡してくるんじゃないと言いたそうな顔をしていたが、目に涙を浮かべて喜んでいるヒカリを見ると、素直に結果を祝福してくれていた。

 

 

 

 13歳 ε月π日 『ハクタイシティ ガチ戦 VSナタネ』

 

 ヒカリ初リボンおめでとうということで、次は俺のガチ戦である。ナタネはくさタイプのスペシャリストだ。

 誰で行くか死ぬほど悩んだが、今回はカモネギ、ベトベトン、コータスの三体をチョイスしている。全て、くさタイプに有効打を与えられるメンバーだ。

 

 ジムに行くと、既にナタネは準備が完了しているようで、いつでも戦えるとボールを手にしていた。

 改めてルールを確認する。シングルバトル3VS3、レベル制限なし、交代有り、アイテムの使用はなし。まぁ、オーソドックスなルールだ。

 

 ナタネも「ジムで普通のルールでバトルするのってなんか新鮮ね」と笑っている。手加減無用なんで、全力でよろしく。

 

 バトルが始まると、ナタネは一体目にチェリムを出してきた。こちらはカモネギである。

 隻眼で二刀流のカモネギを見て、ナタネも警戒心を高めてくる。まぁ、目付きも鋭いし、どこからどう見ても通常のカモネギのような可愛さは皆無だからな。

 

 開幕、チェリムが『にほんばれ』でフィールドを晴れにしようとしてきた。こちらは『れんぞくぎり』を指示する。苦手なむしタイプの連続技でダメージを稼ぐ狙いだ。

 二本の茎を構え、カモネギが体を低くして疾走していく。もう覚えている奴もいないかもしれないが、こいつに初めて二刀流をアドバイスした時は、二刀流ではなく二本の茎を振り回していただけだった。だが、今では二本の茎がまるで刃物のように鋭く動いている。

 

 カモネギの一撃目が当たると、『にほんばれ』が発動して、チェリムがネガフォルムからポジフォルムに変化した。

 ネガフォルムは、進化前のチェリンボに黒いタオルを体に巻き付けているような姿だったが、ポジフォルムがまるで花が咲いたかのような美しさだ。

 

 晴れ状態になったことで、チェリムの特性である『フラワーギフト』が発動し、自分と味方の全ての攻撃、特防が1.5倍になる。

 カモネギは物理攻撃主体のポケモンなので問題ないが、これが特殊主体のポケモンだったらかなり厳しい状況になっていただろう。

 

 カモネギがUターンして、再び『れんぞくぎり』を狙いに行く。しかし、チェリムも『ソーラーブレード』で迎撃してきた。

 攻撃が上がっている上、晴れ状態で貯めも必要なくなっている。『れんぞくぎり』はタイプ不一致技な上、相手に命中させ続けることで威力が上がっていく技だ。今の段階では、『ソーラーブレード』に太刀打ちできるだけの火力はない。

 

 押し返されるように、カモネギが吹き飛んでいく。

 

 ひこうタイプのカモネギに、くさタイプの技は威力半減だが、カモネギはお世辞にもステータスが高いタイプのポケモンではない。

 何とか受け身を取ってはいるものの、『れんぞくぎり』で威力が減衰した『ソーラーブレード』でも思った以上にダメージが入っている。軽く1/4近くは体力が削られた。

 

 特性とタイプ一致技で、威力が上がっているのだ。

 

 まともに受ければ、半減でもそこそこのダメージを受けかねない。カモネギに『こうそくいどう』を指示して素早を二段階上げていった。

 元々、お前は力のぶつけ合いで勝てるタイプじゃない。スピードを生かしたヒット&アウェイが持ち味だ。火力が足りない分は手数と急所で補っていけ。

 

 チェリムの『ソーラーブレード』を潜り抜けて、再び『れんぞくぎり』をヒットさせていく。

 持ち物長ねぎの効果で、急所率が+2されているので、大体五割の確率で攻撃は急所に当たる。『れんぞくぎり』の初段が急所に当たったようで、チェリムの表情が歪んだ。

 

 ナタネは攻撃を中止させると『グラスフィールド』を指示してきた。ひこうタイプや、特性『ふゆう』などではない、地面にいる全てのポケモンは毎ターンHPが1/16ずつ回復する技だ。おまけに、くさ技の威力が1.3倍になる。

 

 こちらの隙を見つけるまで防御に回るつもりか?

 

 二発目の『れんぞくぎり』が当たって、チェリムの体力も半分まで削れた。三発目は威力が最大になる。それこそ、むし技最強のメガホーンよりも威力が高い。これを受ければ、急所次第でワンチャン一撃も有り得る。

 

 しかし、カモネギが『れんぞくぎり』の三発目を当てる直前、ナタネが最後の技である『グラススライダー』を指示してきた。

 この技は、場が『グラスフィールド』で自身がひこうタイプや特性『ふゆう』などではなく、地面にいる時、必ず先制で攻撃が出来るというものだ。

 

 おまけに、威力は70で、特性で1.5倍、タイプ一致で1.5倍、場の状況で1.3倍と、先制技の癖に威力が200を超えていた。

 こちらがひこうタイプなので威力は半減だが、それでも威力100を超える先制技だ。タイプ不一致『しんそく』よりも火力がある。

 

 こちらが攻撃を当てようとした瞬間に攻撃がヒットしたことで、最後の『れんぞくぎり』もキャンセルされた。さらに体力は半分近くまで削られる。

 ナタネは防御に回ったのではない。高火力の先制技でこちらの動きを封じてきたのだ。このまま連続で『グラススライダー』を使われれば、逃げる間もなく殴り倒されかねない。

 

 だが、このタイミングで『にほんばれ』の効果が切れた。晴れ状態ではなくなったことで、チェリムがポジフォルムからネガフォルムへと変化していく。

 

 ――ここだ。

 

 ヒーローものではご法度だが、相手が変身している隙を狙って攻撃する。『こうそくいどう』で素早を合計四段階上昇させ、『きりさく』による絶対急所攻撃でダメージを奪う。

 ナタネは『にほんばれ』を指示した。

 迎撃よりも、晴れ状態にしてポジフォルムになるのを優先したのだろう。また、『グラスフィールド』の回復で体力も半分から2/3近くまで回復している。仮に一撃を受けたとしても、確実に耐える自信があるのだ。

 

 こちらの『きりさく』が急所に当たり、チェリムの体力を1/3以下まで削っていく。

 しかし、ポジフォルムに変化したと同時に、三発目の『グラススライダー』がこちらにもヒットしていた。これによって、こちらも体力が向こうと同じくらいまで削られていく。

 

 ただここでカモネギは最後の技を発動させた。

 

 相手の『グラススライダー』に吹き飛ばされつつ、『きりさく』で使った右ではなく、左で『つばめがえし』を発動させたのだ。

 右腕は『きりさく』の技後硬直で流れているが、左腕はまだ使える。このまま吹き飛ばされれば、距離が出来ることでこちらの攻撃よりも向こうの『グラススライダー』の方が早く発動するだろう。

 

 だからこそ、次の先制技が来る前に、『きりさく』から『つばめがえし』へ技を繋げることで、先に攻撃を当てに行った。

 

 左の茎が輝き、本来であれば不可能なタイミングでカモネギがチェリムに追撃の一撃を放っていく。

 

 ナタネの表情が今度こそ驚きに変わった。

 

 自分が勝つと思っていただけに、まさかチェリムが倒れるなど思いもしなかったのだろう。

 

 だが、現実では――まさに、秘剣ともいうべき一撃が、チェリムの残り体力を消し飛ばしていた。

 

「……また、『つばめがえし』にやられたわね」

「偶然ですよ」

 

 思えば、前にナタネと野良バトルをした時も、勝負を決めたのはムクバードの『つばめがえし』だったか。

 だが、言葉通り、狙って決めた訳ではない。逃がすわけにはいかないから、必中技を選んだというだけだ。

 

「それに、技の連続発動でこっちよりも先に動いてくるなんてね……子供が簡単に使える技術じゃないはずなんだけど……」

 

 と、いろいろ文句を言いながらナタネがチェリムを戻す。同時に、こちらもカモネギをボールに戻した。

 無理をさせたし、体力以上に集中力やスタミナが削られたはずだ。次の出番までに、少しでも回復してくれ。

 

 ナタネは二体目にドダイトスを出してきた。俺も持っているナエトルの最終進化系だ。

 対するこちらはベトベトンである。どくタイプはくさタイプに有利だが、じめんタイプを併せ持っているドダイトスはこちらにとっても危ない相手でもあった。

 

 しかし、こちらにとっては良い機会でもある。

 

 ナタネに一度ストップをかけ、ナエトルをボールから出して観客席へと連れて行く。

 

 俺の残された僅かな記憶が正しければ、確か原作のナエトルは進化したことでスピードタイプから重量タイプに変わり、戦い方を見失ってしまったはずだ。

 まぁ、第9世代で『からをやぶる』を手に入れたので、原作のようにはならないかもしれないが、ナエトルが進化するにしろ、しないにしろ、自身の進化先の戦い方を見せておきたかった。

 

「ナエトル、このバトルをよく見ておけ。お前がこの先進化を選ぶのであれば、あのドダイトスのバトルはお前のいいお手本になるはずだ」

 

 正直、進化をキャンセルしてスピード型として育てても良いが、それではジュカインの劣化にしかならない。

 出来れば、ナエトルにはドダイトスまで進化して、重量タイプのパワーを生かして欲しかった。そのためにも、このバトルをしっかり見て学んでほしい。

 

 気持ちは伝わったようで、ピカ様の隣に座ったナエトルが食い入るようにバトルフィールドに視線を向けた。こちらもナタネに謝罪をして、再びバトルフィールドに戻る。

 

「自分のポケモンのためにバトルを見せようっていうのは良い考えね。最近はどうバトルに勝つかって考える子ばかりで、君みたいに先を見据えたトレーナーは早々見ないわ」

 

 まぁ、ニューサトシも薄くなりつつある原作知識がなければ、ナエトルを見学させようとは考えなかっただろう。

 そこは褒められるようなことではなく、むしろズルなのだが、それを言えばこれまでも原作知識を悪用した場面は多々あった。今更である。

 

 バトルを再開すると、ナタネは『せいちょう』を指示してきた。『せいちょう』は攻撃と特攻を一段階ずつ上げる技だが、晴れ状態の時は二段階上がる。

 ポケモン交代を挟んだことで、チェリムの『グラスフィールド』は消えてしまったが、まだ『にほんばれ』は効果が残っていた。それを有効活用してきたのだろう。これで、ドダイトスの攻撃と特攻が二段階上昇した。

 

 とはいえ、黙って見ているはずもなく、ニューサトシお得意の『どくどく』でドダイトスを猛毒状態にしていく。

 これで長期戦になればこちらが有利になる――が、ナタネは長期戦にするつもりは欠片もないようだった。攻撃が二段階上がった状態で、『じしん』を打ってくる。どくタイプのベトベトンにじめん技は効果抜群だ。

 

 ベトベトンはそこまで重量タイプという訳ではないが、体が柔らかくて大きいので踏ん張りが利かずジャンプで回避という手段は取れない。『とける』で防御を二段階上げつつ、効果で体を柔らかくすることで衝撃をなるべく受け流していく。

 

 ゴムタイヤが衝撃を受け流すように、『じしん』自体を回避できなくても、ダメージを最小にする手段はあるということだ。

 

 それでも体力は1/3程削られたが、ベトベトンはすぐに体勢を立て直してドダイトスとの距離を詰めていった。

 反撃の『れいとうパンチ』でダメージを与えていく。くさ・じめんタイプのドダイトスにとって、タイプ不一致でも四倍弱点は辛いはずだ。

 

 しかし、『リフレクター』で物理ダメージを半減させることで、致命傷を避けてきた。

 そのまま、返しの『じしん』でダメージを与えてくる。こちらも再び『とける』で防御力を上げて、ダメージを受け流した。

 

 これで、互いに体力は約半分ないくらいだ。

 

 だが、猛毒状態は進んでいるし、こちらの『れいとうパンチ』が乱数一発なのに対し、向こうは『とける』の防御四段階アップで決定打がない。

 ナタネは素直にドダイトスを戻した。

 続けて、最後の一体であるロズレイドを出してくる。ロズレイドは、くさ・どくタイプなので、ベトベトンが得意などく技が通用しない。おまけに、向こうはこちらへの有効打をしっかりと持っていた。

 

 ナタネが『じんつうりき』を指示してくる。どくタイプのベトベトンに、エスパー技は効果抜群だ。

 特殊技なので、『とける』でも攻撃を防ぎきれない。一撃を受けて、ベトベトンの体力が1/4まで削られた。

 

 だが、ベトベトンは負けじとロズレイドとの距離を詰めていく。ナタネも再び『じんつうりき』を指示してきたが、その瞬間にベトベトンは最後の技である『かなしばり』を発動させた。

 これで、しばらくの間、ロズレイドは『じんつうりき』が使えない。ロズレイドは『じんつうりき』以外にエスパー技を覚えないので、これでベトベトンへの有効打もなくなったはずだ。

 

 技がキャンセルされて驚いている隙に、『れいとうパンチ』をボディに決めていく。

 しかし、ナタネも負けじと『はかいこうせん』で反撃してきた。流石に威力150の最強特殊技を受けては、ベトベトンも耐え切れずに戦闘不能になる。同時に『リフレクター』の効果も切れた。

 ポケモン交代で反動は消えてしまうだろうが、技を二つも使わせたのは大きい。ダメージも稼いでくれたし、ベトベトンはいい仕事をしてくれた。

 

 こちらは次に、コータスを送り出していく。

 

 カモネギはまだもう少し休ませてやりたい。今のお前なら、ナタネのロズレイドが相手でも十分に戦えるはずだ。

 特性の『ひでり』で、場が晴れ状態になる。くさタイプであるロズレイドにも多少の恩恵は与えてしまうが、ほのお技が1.5倍になるこの状況はコータスが有利だった。

 

 開幕、『こうそくスピン』と『かえんぐるま』の合わせ技で、奇襲攻撃を仕掛けていく。

 

 ナタネもまさか鈍足で有名なコータスが、速攻を仕掛けてくるとは思わなかったようで反応が一歩遅れていた。

 ベトベトンの『れいとうパンチ』は『リフレクター』で半減させられていたが、今の一撃と合わせて、体力は1/3以上は削れたはずだ。

 

 このまま一気に倒し切る。

 

 コータスに『オーバーヒート』を指示する。晴れオバヒで、残り体力を削り切ってやる――と、思ったが、向こうも『はかいこうせん』で反撃してきた。

 ロズレイドも特攻が高いだけに、タイプ不一致でも『はかいこうせん』は威力が高い。ギリギリで貫通できたが、与えたダメージは微々たるものだった。

 

 しかし、これで止めるつもりはない。

 

 第二射の準備に入る。晴れ状態なら、特攻が下がっても通常の『かえんほうしゃ』と同じくらいのダメージは与えられるのだ。

 対するロズレイドは、『はかいこうせん』の反動で動けない。二射目の『オーバーヒート』を受けて、体力が半分以下まで削られていった。

 

 だが、こちらも特殊攻撃はもう打ち止めだ。再び、『こうそくスピン』からの『かえんぐるま』で、相手を翻弄していく。

 

 しかし、ここでベトベトンの『かなしばり』が切れてしまったようで、ロズレイドが再び『じんつうりき』を使ってきた。

 エスパー技は集中が必要な代わりに攻撃範囲が大きい。高速で移動していたコータスも捕まって動きを封じられてしまった。

 

 体力が削られていく。仕方ない――そろそろ晴れ状態も切れるし、ここで一度コータスは戻す。続けて、再びカモネギを送り出した。

 ナタネも、こちらがコータスを戻すと同時に、ロズレイドを一度戻してくる。続けて、ドダイトスを出してきた。猛毒ダメージの蓄積はリセットされたとはいえ、体力は約半分。対するこちらは、体力1/3程だ。

 

 だが、ベトベトンとコータスが頑張ってくれたおかげで大分カモネギを休ませることが出来ている。

 問題は既に技を全て使ってしまっている点だが、ベトベトンが残してくれた猛毒を生かしてどうにかするしかないだろう。

 

 ドダイトスがこれまで使ったのは『せいちょう』、『じしん』、『リフレクター』の三つだ。

 唯一の攻撃技である『じしん』はひこうタイプのカモネギに効果はない。自ずと、攻撃するためには最後の技を使用する必要が出て来る。

 どうやら、ナタネはコータスが残した『ひでり』を上手く使うつもりのようで、再び『せいちょう』を指示してきた。これで、また向こうの攻撃と特攻が二段階上がっていく。

 

 こちらも『こうそくいどう』で素早を二段階上げた。同時に、『ひでり』の効果が切れて、天候が元に戻っていく。

 これでどちらも準備が完了だが、こちらは猛毒のダメージを稼ぎたいので無理に攻めずに様子を見る。「嫌らしいねぇ」の一言と同時に、ナタネは最後の技として『ストーンエッジ』を指示してきた。

 

 普通の『ストーンエッジ』は自分から相手に向けて岩の剣を地面から生やしていく技だが、ナタネは昔タケシが使ったように無理に技を制御せずに、命中率の悪さを逆手に取って範囲でカモネギに攻撃を仕掛けてきた。

 こうなると、どこから岩が出て来るからわからないので、逆に攻撃を避け難い。しかし、俺のカモネギは隻眼で元々視野が狭かった。その視野の狭さを克服するために、音や気配で相手の攻撃を察知する技術を身に着けている。

 

 地面から生えてくるエッジを次々と回避して、カモネギがドダイトスとの距離を詰めていく。

 再び『れんぞくぎり』でダメージを稼ごうとしたが、その瞬間、ナタネは『リフレクター』を指示してきた。またダメージを半減させるのが狙いかと思ったが、『リフレクター』の壁が四つ出ると、四方からカモネギを押さえつけて身動きを封じてくる。

 

 チッ、壁を応用してこちらの足を止めに来たか。

 

 身動きの取れないカモネギに、再び『ストーンエッジ』が指示される。カモネギはパワーがないので、こういう状況を無理矢理打破することは出来なかった。

 直撃を受けてカモネギが戦闘不能になる。しかし、この間に猛毒のカウントも進み、ドダイトスも同時に倒れた。実力で倒せなかったのは悔しいが、これでまだ五分だ。

 

 ナタネは再びロズレイドを、こちらはコータスを送り出す。再び、特性の『ひでり』で晴れ状態になっていく。

 体力的にはコータスがまだ3/4程、対するロズレイドは半分以下でこちらが有利だ。しかし、向こうはまだ未使用の技が二つ残っている。コータスもまだ一つ残してはいるが、技が二つも自由に使えれば、どうにでも出来る差だった。

 

 おまけに、『こうそくスピン』と『かえんぐるま』の攻撃は、『じんつうりき』で止められる。

 必然的に、有効打はオバヒしかないが、あのナタネが同じ技を二回も受けてくれるとは思えなかった。

 

 一瞬の思考――その間に、ナタネは『ソーラービーム』を指示してきた。ほのおタイプのコータスにくさ技は半減だが、半減してもそれなりのダメージを与えられると判断したらしい。

 こちらの『ひでり』のおかげもあって、貯め無しで攻撃してくる。咄嗟に『こうそくスピン』で攻撃を回避するコータスだが、すぐに『じんつうりき』で動きを封じられた。

 

 こうなれば一か八か。

 

 コータスに『オーバーヒート』を指示する。『じんつうりき』を使っている間、『オーバーヒート』を防ぐすべはない。自ずと、ロズレイドは迎撃のために『じんつうりき』をキャンセルするはずだ。

 晴れオバヒ一射目が発射される――対して、ナタネはここで切り札を切ってきた。『まもる』でオバヒを防いできたのだ。続けて、二射目を放つが、今度は『ソーラービーム』で反撃してきた。

 

 流石の晴れオバヒも、二段階特攻が下がっては『ソーラービーム』には敵わない。衝撃でコータスが吹き飛ぶ。

 その間に、ナタネは三射目の『ソーラービーム』を指示してきた。体勢が悪いコータスに一気にとどめを刺すつもりなのだろう。

 

 だが、コータスは諦めなかった。

 

 咄嗟に『こうそくスピン』を発動させて、無理矢理『ソーラービーム』を回避していく。

 ロズレイドは今『ソーラービーム』を撃っているが故に反撃できない。そのまま急旋回してロズレイドに接近――勢いのままに、再び『かえんぐるま』を発動させた。こうなれば、組み付きながらのゼロ距離『フレアドライブ』で一気に体力を削りきる。

 

 しかし、奇しくもナタネにも切り札があった。

 

 今、ロズレイドは右手で『ソーラービーム』を撃っている。だが、その直後空いている左手で『はかいこうせん』を撃ってきたのだ。

 技の連携――ではない。

 正確には、『ソーラービーム』に被せるように技を発動させているので、二つの技を同時発動させている。つまり、シバのエビワラーのように左右で同時に技を使ってきたのだ。

 

 当然、回避など出来るはずもなく、ゼロ距離で『はかいこうせん』がコータスに直撃する。

 やられた。これは避け切れない――と、思ったが、コータスは『こうそくスピン』と『かえんぐるま』の回転で、光線の軸から自分の体をずらして無理矢理攻撃から逃れていた。

 

 咄嗟に最後の技である『フレアドライブ』を指示する。もはや、ただのタックルともいうべき一撃が、ロズレイドに直撃し、残りの体力を削り切った。

 同時に、反動でコータスも戦闘不能になったが、先にロズレイドが戦闘不能になったのでこちらの勝利である。この辺のルールはゲームと変わらない。

 

 もし、あのまま『はかいこうせん』を受け続けていたら、コータスの戦闘不能は避けられなかっただろう。コータスの咄嗟の機転が、俺に勝利を与えてくれた。

 

 倒れたコータスを持ち上げる。「よくやった」と声をかけると、満足そうな笑みを浮かべていた。

 あの泣き虫だったコータスが、不意打ちのナタネの切り札を乗り越えて勝利してくれたのだ。これが嬉しくないはずがない。

 

「技の多重発動――切り札にしてたけど、まさかあんな力技で乗り切られるとはね」

「こいつじゃなきゃ、負けてましたよ」

 

 けど、勝ったのは俺だ。

 

 ナタネも、楽しいバトルだったと笑みを浮かべながら、二つ目のジムバッジであるフォレストバッジを渡してくる。

 これでようやく二つ目か。

 ホウエンの時は、バッジはおまけ程度にしか考えていなかったから気にしていなかったが、やはりバッジ集めってのは大変だな。まぁ、だからといってガチ戦を止めるつもりはないのだが。

 

 観客席に戻ると、ナエトルが真面目な顔でこちらを見ていた。「どうだった?」と聞くと、何故ドダイトスが攻撃を回避しなかったのかが不思議だったらしい。

 改めて、進化して重量が増えると、今のようにスピードを生かした技術は使えなくなると話す。ナエトルもそれを聞いて納得したようだが、ナタネのドダイトスはスピードが無くても相手を上手く捕まえて倒せるだけの技術があった。

 

 あれも一つの完成形ではある。

 

 だが、やろうと思えば、ドダイトスになってからも『からをやぶる』を使って、耐久を犠牲に攻撃・特攻・素早を上げることだって出来た。

 俺の手持ちのメンバーに『からをやぶる』を覚えているメンバーがいないので覚えるのは苦労するとは思うが、スピード重視の戦い方が完全に出来なくなる訳ではない。勿論、重量が増すのに変わりはないので、今と全く同じという訳にはいかないだろうが。

 

 こいつが原作通りに進化するのか、それともフシギダネのように進化を拒否するかはわからない。

 だが、パワーの生かし方は千差万別だ。もし、こいつが進化の道を選ぶなら、こいつなりの戦い方を見つける必要があるかもしれないな。

 

 

 




 原作との変化点。

・ヒカリがコンテストで優勝した。
 魔境じゃないコンテストは逆にヌルゲーだった。これでヒカリも勝ち方を覚えたので、一つ先のステージに足を踏み入れている。

・第37話『ハクタイジム! VSナタネ!』より、ナエトルにドダイトスとのバトルを見せた。
 原作知識を使って、進化することによっておこるメリットやデメリットを説明して、どうするかを自分で選ばせている。ニューサトシとしては、最終的にはからやぶを覚えさせて進化が理想。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.64

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.60

 リザードン Lv.64

 カメックス Lv.60

 キングラー Lv.60

 カモネギ  Lv.59→60

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 コノヨザル Lv.59

 イーブイ  Lv.59

 ベトベトン Lv.58→59

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.59

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.59

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.57

 カビゴン  Lv.57

 ニョロトノ Lv.58

 ヘラクロス Lv.56

 メガニウム Lv.56

 マグマラシ Lv.56

 ラティアス Lv.52

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.57

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.55

 ギャラドス(色違い) Lv.55

 ミロカロス Lv.49

 ヌマクロー Lv.51

 オオスバメ Lv.51

 ジュカイン Lv.51

 ヘイガニ  Lv.50

 フライゴン Lv.55

 コータス  Lv.49→50

 キルリア(色違い) Lv.39

 オニゴーリ Lv.48

 ワカシャモ Lv.46

 メタング(色違い) Lv.33

 エイパム  Lv.33

 ムクバード Lv.31

 ナエトル  Lv.31

 ブイゼル  Lv.34


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