ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

210 / 308
♯191 『ヌマクローさんがんばる』

 13歳 ε月μ日 『ポケモンタッグバトル大会 二日目』

 

 大会二日目――今日のバトルを勝てばベスト8が決まる。シンジは当然のようにヒコザルを出すも、どこからどう見ても疲労が蓄積していた。

 真の力を出すために追い詰めるにしたって、やり方を間違えればヒコザルに万が一もあるとニューサトシが止めるがシンジは聞こうとしない。

 

 仕方ないので、今回はメタングをパートナーにしてよりアシストできる体制を取る。

 しかし、運悪く、今回の相手はこちらの進化系のメタグロスと、ヒコザルに因縁のあるザングースだった。

 

 正直、メタングではメタグロスと真正面からぶつかるのは厳しい。だが、シンジは迷わずヒコザルをザングースにぶつけに行った。

 疲労で体が上手く動かない中、ヒコザルは恐怖を押し殺しながら、ザングースに攻撃を仕掛けていく。メタングに『ねんりき』でザングースの動きを封じさせるが、その間にメタグロスの『コメットパンチ』でヒコザルが吹き飛ばされてしまった。

 

 メタグロスはヒコザルを弾き飛ばすと、今度はこっちにちょっかいをかけてくる。仕方なく、『ねんりき』を解除して、メタングがメタグロスと向き合った。

 だが、その間に、自由になったザングースが『きりさく』でヒコザルに襲い掛かっていく。疲労と恐怖で体が動かないようで、攻撃をもろに受けて吹き飛ばされる。

 

 とはいえ、こちらもこちらで決定打が与えられない。一度、距離を取ってヒコザルの元へ戻った。

 

「おい、シンジ。お前、ヒコザルの炎に執着するのは勝手だが、失敗しました負けましたで済ませるなよ?」

「誰に物を言っている。この程度、あいつが本当の力を出せば――」

「だから、今ない力を当てにすんなって言ってんだよ! 現実を見ろ! ヒコザルはまだその炎を操るだけの器が出来上がってないんだよ! 仮に追い込んで力を出しても、それは一時的なものだ! そんな力を当てにする前に、まず基礎を育てろ! このままじゃ負けるぞ!」

 

 シンジは負けても良いと思っているのかもしれないが、ニューサトシは負けるのが大嫌いなのだ。特に、こんなどこにでもいるモブ相手に負けるなどあり得ん。

 

「ずっと思ってたけど、お前は堪え性が無さ過ぎる! もっと長期的視野を持て! 結果を出さなきゃいけないのはポケモンリーグだろうが! なら、それまでに完成すればいいのであって、今すぐ完成させるべきものじゃない! まずは基礎基礎基礎基礎! それこそヒコザルがゴウカザルまで進化して完全に成熟してから制御の訓練でも全然遅くねぇ!! 後、ヒコザルを追い詰めるにしても怪我をするやり方は論外だ! それで潰れたら元も子もないだろう! ちゃんと指示すれば勝てるのに、変に格好つけて斜に構えてんじゃねぇ! それで負けたら大恥だぞ! わかってんのか!?」

「……わかった。とりあえず、役割を決めるぞ。俺がメタグロスをやるから、お前がザングースをやれ。ヒコザルの炎については一旦後回しだ」

 

 と、ニューサトシのマシンガン文句を受けて、渋々シンジも真剣にバトルする気になったようだった。

 後の話は、バトルに勝ってからまた話す事にする。しかし、役割を決めてしっかり指示さえ出せば、俺達が負ける要素などなく、相手をけちょんけちょんにしてやった。

 

 ――そして、試合後、ポケモンセンターにて。

 

「……せっかくのトラウマ克服チャンスを不意にした」

「お前がヒコザルのコンディションをベストにしてないからだろうが! ヒコザルが普段の動きだったらあんな雑魚ザングース瞬殺だわ!」

「瞬殺だとトラウマ克服にならないだろうが! 困難に打ち勝ってこそ力は目覚める!」

「お前はどこかの勇者か!? まずは勝って自分の力を実感させるんだよ! お前が威圧的なせいで、ヒコザルはまだ自分が強いってことを理解してないんだ! 自分の力に自信がつけば、自ずと視野も広がって出来ることも増える!」

「これだけ育成してるんだ、自分を強いとわかってない訳がないだろう! それよりも追い込ませてまずは力自体を目覚めさせるんだ! 一度感覚さえ掴んでしまえば、すぐに再現できる!」

「基礎が完璧に出来てねぇのに応用先にやってどうすんだ! お前から見てもとんでもない『もうか』なら、それこそ最終進化系まで行ってからやった方が負担も少なくて済む!!」

「逆だ! まだ幼い今だからこそ、力への適応が早い! 今やらなければ意味がない!」

 

 と、試合後は、ひたすらヒコザルの育成法について語りつくしていた。

 また、当のヒコザルはそんな俺達の声がずっと聞こえていたようで、珍しく褒められて顔を真っ赤にしていたらしい。

 

 結局、アニメではここでシンジがヒコザルを見限るが、何だかんだこのまま育てることにしたようで、ヒコザルがニューサトシのポケモンになる未来はなくなってしまったみたいだった。残念。

 

 

 

 13歳 ε月ν日 『ポケモンタッグバトル大会 三日目』

 

 流石のシンジもヒコザルの連闘は止めたようで、準決勝ではドダイトスをチョイスしている。

 結構強いドダイトスなので、今回はこちらが胸を借りるつもりで、俺はヒポポタスを公式戦デビューさせることにした。ドダイトスは地面も入っているから砂ダメ無効だしな。

 

 対戦相手はタケシ・ホノカのチームだった。

 

 相変わらずタケシがいろいろフォローに回っているようだが、ニューサトシとシンジを相手にタケシ一人でフォローが回り切るはずもなく、ホノカが先にダウンしている。

 実際、ヒポポタスの特性『すなおこし』で相手の視界を奪いながら、『あくび』で眠気を誘い、ドダイトスの一撃で沈めるコンボは、初見で破るのは無理だろう。

 

 そんなこんなで準決勝も快勝した。

 

 ヒポポタスも公式戦初勝利ということで大喜びしている。同じ『すなおこし』を持つバンギが超攻撃型だし、ヒポポタスはこの調子で変化技中心に育てていこう。

 将来は『なまける』という回復技も覚えるし、耐久を利用した害悪戦法こそがカバの真骨頂だ。今回のバトルでも、その恐ろしいバトルの片鱗を感じることが出来た。

 

 続けて決勝戦だが、何と相手はヒカリとコウヘイのチームということで少し驚いている。

 ヒカリ自身も、まさか決勝まで来られるとは思っていなかったようで、コンテスト敗退で沈んでいた気分はしっかりリフレッシュされたみたいだった。

 

 しかし、元気になった所悪いのだが、ヒカリが相手でも手加減はしないぞ――と、いうことで、全員同時にポケモンを出していく。

 ヒカリは色違いのポニータ、コウヘイはヘラクロス、シンジはエレキッド、そして俺がムウマージだった。相性的には普通と言った感じだ。強いて言えば、ヘラクロスに対してムウマージが有利を取れるって所だろう。

 とはいえ、あのコウヘイという奴は、落ち込んでコンディションが悪かったヒカリを決勝まで連れてきた程のトレーナーだ。単純な相性でごり押しは出来ないと見ていい。

 

 実際、ヒカリのポニータがムウマージを担当し、ヘラクロスはエレキッドを狙ってきた。

 コウヘイのヘラクロスが『フェイント』でエレキッドを惑わせていく。シンジも『かみなりパンチ』を指示するが、美味いこと『フェイント』にハマって攻撃を外されていた。

 

 ならば、『10まんボルト』と遠距離攻撃に切り替えるが、今度は相手の技を受けた瞬間、『リベンジ』を返すというコンボで、コウヘイのヘラクロスがエレキッドを追い詰めていく。

 この『リベンジ』という技は、技を受けた後に使うと威力が二倍になるという、威力60のかくとう技だ。倍になれば120で、ヘラクロスの攻撃力だとかなりダメージが大きい。

 

 こりゃ、一度合流するしかないかな。

 

 と、思いながら目の前のヒカリとポニータに視線を移す。『ニトロチャージ』でスピードを上げつつ、『ほのおのうず』を上手く使ってムウマージを抑えていたヒカリだが、そういつまでも俺達を抑えつけておけるはずもなく、ポニータを『あやしいひかり』で混乱させると、とりあえずエレキッドに合流する。

 

 だが、シンジも既にコウヘイとヘラクロスの動きは見切ったようで、すぐに反撃に出ていた。『じゅうでん』で火力を上げ、一気に落とすという作戦で追い込むようだ。

 実際、『リベンジ』は攻撃を受ける必要があり、攻めた時に『フェイント』が来るとわかっていれば、相打ち覚悟でカウンターも出来る。火力を上げるという選択肢は正しい。

 

 ヤバいと判断したヒカリがアシストに回ろうとしていたが、ニューサトシが機先を制した。成程、思えばヒカリはニューサトシとのコンビネーションで慣れているからタッグバトルが割と得意だったな。

 今も何とかムウマージのディフェンスを突破しようと頑張っている。こうしてみると、ヒカリも大分バトルが上手くなったなぁ。

 

 混乱を解除すると、再び『ニトロチャージ』で攻めてきたので『ゴーストダイブ』で攻撃を回避して反撃する。

 一ターン目に消えるという特性を攻撃の回避に使い、相手が動揺した所に不意打ちをしかけるというゴーストタイプっぽい動きだが、そもそもゴーストタイプとの戦闘経験が少ないヒカリには効果はかなり高かった。

 

 ヒカリも「『ニトロチャージ』でスピードは上がっているはずなのに……!」と、呟いているが、結局早くてもスピードに変速がないから動きが読みやすいのだ。

 そして、イタズラ経験豊富なムウマージは、そういう機微を読むのが上手い。おまけに、俺の言うことを素直に聞いてくれるので、こうして一方的に攻める状況が出来てしまう訳だ。

 

 まぁ、後は宿題かな。「俺の勝ち! なんで負けたか、明日までに考えておいてください」と、前世の本田ジャンケンを披露しながら、ほのおタイプが苦手ないわ技である『パワージェム』の連打で、一気にポニータを戦闘不能まで持って行く。

 

 視線を変えると、シンジのエレキッドが『じゅうでん』で火力を上げた『10まんボルト』でコウヘイのヘラクロスを倒し、エレブーへ進化している所だった。

 どうやら向こうも、こちらが助ける前にケリをつけた上に、進化までしたらしい。何だかんだで、あのエレキッドも進化するくらいには成長していたようだ。

 

「まぁ、こんなもんか」

「俺とお前が組んだんだ。こんなものだろう」

 

 シンジにしてみれば、エレキッドがエレブーに進化したのが収穫だったのだろう。素っ気ない感じだが、それでも声に若干の嬉しさを感じる(他の人にはわからないらしい)。

 優勝賞品で『やすらぎのすず』も貰ったが、ポケモンのなつき度を上げるアイテムかぁ。まぁ、俺のことが嫌いなポケモンをゲットした時に取っておこう。今はキルリアもいい感じだし、急いでなつき度を上げなきゃいけないようなタイプの仲間はいないしな。

 

 シンジも、優勝賞品自体には別に興味もないのか、すぐに鞄にしまうと、また別の街に旅立って行った。

 結局、ヒコザルはシンジの下で育てられることになったが、あの調子ならアニメのように捨てられることはないだろう。

 

 

 追記。どうもしばらくヨスガジムのジムリーダーは帰ってきそうにないということで、先に別の街に行くことにする。どうしたもんかと悩んでいると、ヒカリとコンビを組んでいたコウヘイの提案で、シンジの故郷でもあるトバリシティへ行くことになった。

 

 

 

 13歳 ε月ξ日 『ヌマクローさんがんばる』

 

 トバリシティに向かいながらシンオウ組の育成をしていたのだが、どうもヌマクローさんのスランプが深刻ということで、一旦こちらで預かることにした。

 久しぶりに会ったヌマクローさんは、かつてのエリートっぷりが嘘のように気分が沈んでおり、「僕は貝になりたい」とでも言い出すくらいに落ち込んでいる。

 

 どうも、ライバルのジュカインがどんどん強くなっているのに、自分が足踏みしまくっているという現実に打ちのめされてしまったようだ。

 仕方ないので、まずは訓練よりもヌマクローさんを元気づける所から始める。シンオウで捕まえた後輩組と合わせて、先輩の威厳を見せつける作戦だ。

 

 すると、早速とばかりに、ブイゼルが先輩に喧嘩を売っている。まぁ、やらせても問題ないのでバトルを許可した。

 聞いた話だと、ミズゴロウさんの時よりも体が大きくなったことでスピードを生かした動きが出来なくなり、ヒレのレーダーの質感が変わったせいで動きが鈍いということだが、流石にレベル差もあってシンオウ組には負けない。

 

 おまけに、バトルの動きが見られたことで、いろいろ改善点も発見した。レーダーの感覚はもう慣れる以外にないが、とりあえず動きに関しては今までのようにスピードを生かした戦い方ではなく、自分を中心として相手を迎え入れる動きに変えさせる。

 また、レーダーの使い方に関しても、周囲全てを感知するのではなく、自分の回りにのみ範囲を狭め、向かってきた相手を捌く動きを心掛けさせた。

 

 高速で動けなくなったのなら動かなければいい。

 

 相手が来るのを待ち、最低限の動きで攻撃を回避しカウンターを合わせる。元々、ヌマクローさんはカウンターが得意なタイプだ。

 野球で例えるなら、今までは足を使った一番バッターだったが、これからは小技と一発のパワーで得点を取る三番バッターに転向した感じである。

 

 これがアホみたいにヌマクローさんにハマった。

 

 さらに、レーダーの範囲を縮めたことで、違和感も多少マシになったらしく、後は続けて行けば動きはさらに良くなるだろう。

 また、スピード差があったジュカイン相手でも、これで勝機を作り出せるとわかったのか、ようやくかつてのエリート感が蘇っていた。あまりに自信が回復し過ぎて、今にも「俺はスーパーヌマクローだ!」とでも言いそうである。

 

 

 




 原作との変化点。

・第51話『ヒコザルVSザングース! 運命のバトル!!』より、ニューサトシがシンジにキレた。
 結果が得られるなら負けるのも辞さないシンジと、負けるのが大嫌いなニューサトシの意見がぶつかった。地味に、ニューサトシのガチギレを初めて見たシンジは、勢いそのままに真面目にバトルをした。結果、何だかんだあったが、ヒコザルはシンジの下で育てられることになる。

・ヒコザルについて。
 感想でもバレバレだったが、最初からゲットする予定はなかった。シンジが育てたゴウカザルとバトルするという展開の方が燃えるし。ニューサトシの影響を受けているであろうアナザーシンジがヒコザルを手放すビジョンが浮かばなかったため。

・第52話『タッグバトル! ファイナル!!』より、シンオウ組が大活躍した。
 シンジも縛りプレイを止めたため、負ける要素がなくなっている。地味に、ドダイトスとヒポポタスの組み合わせは害悪の一言に尽きた。

・第53話『ヒコザルの涙!』より、ヒコザルがいないので内容がカットされた。
 原作シンジとサトシ君の違いを感じる素晴らしいエピソードではあるが、この世界のヒコザルは変わらずシンジと努力を続けているため、カットになっている。

・ヌマクローさんがやってきた。
 虚無のヌマクローみたいになっていた。ニューサトシが改めてバトルの方向性を示すと、今度は調子に乗っている。若干、ベジータみたいになってきた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.64

 ピジョット Lv.59

 バタフリー Lv.59

 ドサイドン Lv.62

 フシギダネ Lv.60

 リザードン Lv.64

 カメックス Lv.60

 キングラー Lv.60

 カモネギ  Lv.60

 エビワラー Lv.59

 ゲンガー  Lv.61

 コノヨザル Lv.59

 イーブイ  Lv.59

 ベトベトン Lv.59

 ジバコイル Lv.59

 ケンタロス Lv.58

 ヤドラン  Lv.59

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.58

 プテラ   Lv.59

 ラプラス  Lv.59

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.58

 カビゴン  Lv.58

 ニョロトノ Lv.58

 ヘラクロス Lv.56→57

 メガニウム Lv.56→57

 マグマラシ Lv.56→57

 ラティアス Lv.52

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.57

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.55

 ギャラドス(色違い) Lv.56

 ミロカロス Lv.50

 ヌマクロー Lv.51

 オオスバメ Lv.51

 ジュカイン Lv.51

 ヘイガニ  Lv.50

 フライゴン Lv.55

 コータス  Lv.50

 キルリア(色違い) Lv.40

 オニゴーリ Lv.48

 ワカシャモ Lv.46

 メタング(色違い) Lv.36→37

 エイパム  Lv.36

 ムクバード Lv.34

 ナエトル  Lv.34

 ブイゼル  Lv.36

 ムウマージ Lv.42→43

 ヒポポタス LV,31→32


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。