13歳 ζ月θ日 『トバリシティ ジム戦 VSスモモ』
とりあえず、いろいろ文句を言われつつも、一旦昼食休憩を取って午後からジム戦をすることになったのだが、スモモに「よろしくお願いします。胸をお借りします」と言われ、何故かニューサトシがスモモに挑まれる側になっている。おかしい、いつから俺はトバリジムのジムリーダーになったんだ?
レベルは一応俺のポケモンに合わせてくれるということで、昨日ヒカリの練習に付き合ったムクホークとブイゼル、後はワカシャモで挑戦することにした。
ワカシャモだけ少しレベルが高いが、最近のレベル調整機は挑戦者の出したポケモンと全く同じレベルに出来るので問題ないらしい。まぁ、レベルを調整される側のポケモン達は少し大変だが、そこはスモモがジムリーダーとして対応すべき所だろう。
改めて、最近のジム戦のルールを確認してみると、俺がトレーナーになった時と少し変わっていた。
俺の時はバッジの数によって相手のポケモンのレベルが決まっていたが、今は相手のポケモンにレベルを合わせた後、バッジの数に応じてレベルを少し低く調整するらしい。
例えば、こちらのポケモンが30レベルで、トレーナーの持っているバッジが2個なら、持っていないバッジ6個分レベルを下げ、24レベルでバトルをすることになる。持っているバッジが5個なら持っていない3個分下げるという感じで、徐々にハンデを少なくしていくのが最近の主流のようだ。
勿論、それだと低レベルのポケモンしか持っていないトレーナーが大量にポケモンリーグに出場する危険があるので、バッジの数でジムに挑戦するための最低レベルを決めているらしい。
例えば、バッジ0個だとレベル10以上、1個だと15以上、2個だと20以上、3個だと25以上、4個だと30以上、5個で35以上、6個で40以上、7個で45以上となっており、この基準値以下のレベルのポケモンは戦うことすら許されないようだ。
レベルを40以上にするのはかなり大変なので、そこでトレーナーとしての能力を篩にかけているのだろう。俺の時代よりもいろいろ条件が厳しい気がする。
ちなみに俺は一応、バッジを2個持っているので、ジム戦の場合はポケモンのレベルが20以上ないと挑戦できないが、当然のようにレベルは20を超えているので問題ない。
むしろ、スモモ側にポケモンのレベル制限を止めさせたくらいだ。同じレベルならまだしも、ここから持っていないバッジの数――6もレベル下げられたら、どうやってもいじめにしかならん。
また、どうせルールを変えるならば、一対一を三回やって二勝した方の勝ちにすることにした。
俺だけ交代有りじゃつまらないし、その方がスモモも楽に戦えるだろう。今さらジム戦のルールに縛られたって百害あって一利なしだしな。
と、いう訳で早速バトルを開始していく。
俺の一番手はブイゼル。スモモはカイリキーを出してきた。レベル調整はしているが、ポケモン自体は本気ポケモンを使っているらしい。
ふと観客席の方を見ると、またもヒカリとラティがチアガールになっており、ポッチャマ、ミミロル、パチリスもお手製のチア服を着ていた。どうやら、二足歩行できるポケモンには全員着せているようで、今回出番のないピカ様もチアにされている。
ヒカリは俺とスモモ、両方を応援すると言っており、「最高のバトルを見せてよね!」と言ってきたので、「任せろ!」、「任せて下さい!」と、スモモと一緒に返事をした。
では、改めて胸を貸していこう。
開幕、『アクアジェット』でブッ飛ばしていく。しかし、腕が四本あるカイリキーは、そのままブイゼルを捕獲しようとしてきたので体ごと水を回転させて突進力を上げさせた。
原作の回転アクジェである。
まさか、ブイゼルの『アクアジェット』にここまでの突進力があるとは思わなかったのか、カイリキーも驚いたように腕を弾かれ、攻撃が直撃していく。
先制は貰った。
続けて、懐に飛び込んだところで、最近覚えたばかりの『アクアブレイク』を指示する。威力85の水タイプ物理技だ。二割の確率で相手の防御を一段階下げる効果もあり、なかなか使い勝手が良い。
二度の直撃を受け、カイリキーの体力が一気に2/3まで減っていく。俺のブイゼルは、強さに貪欲だから普段から死ぬほどトレーニングをしている。
おまけに、トレーニングメニューはニューサトシスペシャルということで内容も濃い。体格差くらいでどうにかなると考えていたなら、今みたいに痛い目を見ることになるぞ。
スモモもこちらが一筋縄ではいかないとわかると、「カイリキー、冷静に」と声をかける。チビにいいようにあしらわれて頭に血が上りかけていたカイリキーだったが、トレーナーの声を聞いて落ち着きを取り戻したようだった。
ポケモンとの信頼関係は花丸だな。
後は、ポケモンの強さ、技術――ジムリーダーになれるくらいの才能があるんだ。まさか、この程度でおしまいって訳ではないだろう。見せて貰うぞ。
ブイゼルがカイリキーに中指を立てた。もっと来いよをアピールしているのだろうが、他人に言わせるとニューサトシが二人いるように見えるらしい。
言われてみれば、バトルに貪欲で、強気な所とか、バトルを絶対諦めない所なんかは、俺とブイゼルはよく似ている。前世は兄弟だったのかもしれん。
しかし、スモモは挑発に乗らず、『ビルドアップ』を指示してきた。冷静にステータスを上げてきたな。
では、こちらから攻めようということで、再び『アクアジェット』で攻めていく。しかし、『ビルドアップ』で攻撃と防御が一段階上がったからか、ダメージは少なくなっていた。
再び『アクアブレイク』を指示すると、スモモも『かみなりパンチ』を指示してきた。元々、攻撃力は向こうの方が上で、おまけにビルドまで積んでいる。真正面からぶつかってブイゼルに勝ち目があるはずもなく、そのまま吹き飛ばされていく。
弱点技ということで、技のぶつかり合いで威力が減衰しても、体力を1/3近く持っていかれた。
真正面からのぶつかり合いでは分が悪いな。
スピードを生かした乱戦に持ち込んで、一気に勝負を決めたい所だ――が、それは向こうも同じだろう。
カイリキーの素早では、ブイゼルに追いつけない。必然的に待ちの形になり、攻めてきた所を迎え撃つことなる。
おそらく、カイリキーの特性は『ノーガード』だろうし、技が当たれば火力で勝るカイリキーが有利とでも考えていると見た。
とはいえ、スピード勝負以外に手はないので、『アクアジェット』でぶっ飛んでいく。
スモモも『かみなりパンチ』を指示してきた。だが『アクアジェット』はあくまで移動用だ。ここから『ダブルアタック』に技を繋げ、一度目の攻撃で『かみなりパンチ』の腕を下から弾いて受け流し、二度目で本体に直撃させる。
しかし、スモモも『かみなりパンチ』を防がれるのは予測していたようで、反対の腕で『ばくれつパンチ』を用意していた。
こちらの『ダブルアタック』が直撃すると同時に、向こうも『かみなりパンチ』からの『ばくれつパンチ』に技を繋げてブイゼルに直撃させてくる。
やはり、特性は『ノーガード』のようで、命中率五割のばくパンがブイゼルをぶっ飛ばした。だが、ブイゼルも地面に叩きつけられる瞬間、首の浮袋を膨らませてクッションにすることでダメージを軽減していく。ばくパンの追加効果で混乱状態になっているはずなのに素晴らしい対処だ。
しかし、スモモもこの隙を逃さなかった。カイリキーが一気に距離を詰めて倒れるブイゼルに向かって『インファイト』を仕掛けてくる。
チッ、ブイゼルは混乱していて動きが鈍い。
避けるのは無理と判断して、『インファイト』を受けることにした。残り体力からして、受けきれるかは五分五分だが、殴られたことで混乱が解けたようで、そのまま攻撃を受けながら力を貯めさせる。
カイリキーの『インファイト』が終わると、同時に貯めていた力を『みずのはどう』に変えて反撃した。
相手は『ビルドアップ』で防御が一段階上がっているが、特防は上がっていない。その上、『インファイト』のデメリットで特防は逆に一段階ダウンしていた。
スモモもまさか、ここで特殊技が来るとは思わなかったようで、カイリキーが何も出来ずに吹き飛ばされていく。
力を貯めたことで、通常よりも若干威力が上がり、向こうも特防が下がっていることもあってギリギリで体力を削り切ることが出来た。
カイリキーが目を回して戦闘不能になっている。とはいえ、こちらももう体力は限界だ。もし、この一撃で決め切れなかったら勝っていたのは向こうだっただろう。
けど、勝利は勝利だ。
スモモがカイリキーを戻すと同時に、こちらもブイゼルを戻す。お互いに二体目を決めると、そのままボールを投げ込んだ。俺がムクホーク、スモモはチャーレムである。
進化して『インファイト』は覚えたが、まだ自由自在に使いこなせるレベルではないので、この勝負で純粋に相性を突いていく。
思えば、かくとうタイプのジムでひこうタイプを使用したのは、これが初めてのような気がした。今まではほぼかくとうタイプで挑んでいたからなぁ。
相手のチャーレムは『ヨガパワー』で攻撃が二倍になるので、実質攻撃種族値140を越える強敵だ。
三色パンチも当然使ってくるだろうし、そうでなくてもノーマルタイプが入っているムクホークにはかくとう技は等倍になる。タイプ一致のかくとう技を受けても危ない。
が、そんなことを心配しても始まらないので、『でんこうせっか』で先制を仕掛けていく。
スモモは『みきり』を指示して攻撃を回避してきた。また、回避に合わせて『かみなりパンチ』をカウンターで合わせてくる。
俺のエビワラーが昔やっていた高速見切りカウンターきあパンに似ていた。『こうそくいどう』でスピードを上げ、『みきり』で相手の攻撃を回避して、『カウンター』と『きあいパンチ』の合わせ技でフィニッシュするという技だ。
スモモの場合は『こうそくいどう』でのサポートを自前で補い、『みきり』で回避して、そのまま『かみなりパンチ』に攻撃を繋げているだけだが、タイプ相性とチャーレムの攻撃力が合わされば十分なダメージとなっていた。
その証拠に、ムクホークが一撃で体力を1/3近くも削られている。不意打ちの攻撃で受け流せなかったとはいえ、特性の『いかく』で攻撃を一段階下げて尚、このダメージとは恐れ入るぜ。
だが、完全無欠に見える『みきり』にも弱点はあるのだ。ムクホークに『かげぶんしん』を指示して、四方八方から襲っていく。
そう、技のタイミングがシビア故に、『かげぶんしん』や『フェイント』などで、攻撃タイミングを掴ませさえしなければ、『みきり』でも攻撃を見切れない。後は連続攻撃を仕掛けてもいい。『みきり』で避けられるのは初段だけなので、二段目以降は攻撃が当たる。
スモモも、こちらが『みきり』の欠点を突いてきたことはすぐに気付いたようで、「やりますね」と称賛してきた。まぁね!
しかし、称賛されても手加減はしないということで、そのまま『ブレイブバード』に繋げてダメージを取り返した。
向こうもガード体勢だったこともあり、1/3くらいのダメージしか与えられなかったが、これでダメージレースはほぼ五分だ。反動ダメージで、こちらの体力は半分ほどになっているが、五分と言ったら五分なのだ。
だが、のんびりはしていられない。
チャーレムは『じこさいせい』が使えるので、長期戦になれば不利になるのはこちらだ。
向こうはまだ『みきり』と『かみなりパンチ』しか使っていないので、技には余裕がある――と、考えていると、スモモが『ヨガのポーズ』を指示してきた。
攻撃を一段階上げる技だ。
おそらく、『いかく』で下がったパワーを戻す気なのだろう。まさか、ここで詰み技を積んでくるとは思わなかったが、この隙を逃す手はない。ムクホークに『でんこうせっか』を指示して、一気にチャーレムとの距離を詰めていく。
しかし、『ヨガのポーズ』は囮だった。
どうやら、ポーズを取っていただけなのか、技を途中で解除したのか、どちらかはわからないが、突っ込んでくるムクホークに『サイコキネシス』の追撃をかけてくる。
やられた。積み技は、あくまで攻撃を誘うための囮であり、本命は遠距離からの『サイコキネシス』でこちらの動きを止めて、ムクホークにダメージを与えることだったのだ。
チャーレムの特攻はそこまで高くないし、『サイコキネシス』も弱点技という訳ではないが、不意打ちで受けたことでまたも直撃を受けている。技の威力を軽減できずに、そのままムクホークにぶつけられ、一気に体力を1/3以下にまで持っていかれた。
だが、もう技は全て使ったな。
ならば反撃と行こう。『こうそくいどう』を指示してスピードを上げていく。スモモも『サイコキネシス』でムクホークを捕まえようとしてきたが、素早が二段階上がったムクホークはそう簡単に捉えきれない。
おまけに、『じこさいせい』による回復ももう警戒しなくていいならば、準備にも時間をかけられる。『ブレイブバード』の反動を考えても、これが最後の一撃になるだろう。
スモモが『サイコキネシス』でこちらを捕まえようと頑張る中、二度目の『こうそくいどう』を積み、再び『かげぶんしん』で位置をわからなくさせる。
サイキネでも止められない。『みきり』も通用しない。残る技は『ヨガのポーズ』と『かみなりパンチ』だけだ。『ヨガのポーズ』も技として指示した以上、使っていなくても使用技にカウントされる。別の技で防御、回避は出来なかった。
必然的にチャーレムは防御に回らざるを得ない。
変にカウンターを狙って失敗すれば負け。スモモは一回負けているので、これで負ければ二連敗でバトルが終わる。
ならば、防御に回って受けきり、反撃の一撃で相手を倒す。そう考えるのが普通――だが、俺の一撃は防御の上から残り体力を削り切るぞ。
ムクホークにゴーサインを出す。
同時に、『こうそくいどう』でスピードを最高速に持って行き、そこからさらに『でんこうせっか』に繋げ、そのスピードを保ったまま『ブレイブバード』で突撃をかけていく。
最高速をさらに早めた超高速の『ブレイブバード』だ。通常の『ブレイブバード』とは、比較にならないダメージを叩き出す。仮に防御しても、その防御の上から削り切ってやる。
おまけに、『かげぶんしん』が生きているので、チャーレムはどこから攻撃が来るか、どの攻撃が本物かがわからない。
それでは防御に全力も出し切れないだろう。これで勝負はもらったと、ニューサトシがこちらの勝利を確信した――
――その時のことだった。
「チャーレム! 右後ろです! 『かみなりパンチ』を振り抜いて!!」
と、スモモから指示が飛んだ。
そして、その位置は俺とムクホークしか知るはずのない本体の位置ドンピシャリだった。
とはいえ、このスピード差だ。チャーレムもギリギリで拳を出したので、パンチに力も乗っておらず勢いもない――が、こちらが真っすぐに突っ込んだことで逆にカウンターとして成立してしまっていた。
あれだけの速度で突っ込んだのだ。カウンターは倍のダメージをムクホークに与え、そのまま戦闘不能となる。ムクホークの意識は飛び、そのまま地面を転がって動かなくなった。
流石にあの一撃はまずい――と、ニューサトシが駆け寄ってムクホークを波動で回復していく。
もし、チャーレムの速度がもっと早くてパンチに力や勢いが乗った状態で、拳が振り抜かれていればこの程度では済まなかっただろう。その点は、運が良かったといえる。
しかし、それよりも気になるのは――
「なんでムクホークの本体の位置がわかった?」
「何というか、殺気みたいな感じです。こちらを確実に倒そうという気合を感じ取りました」
殺気か――確かに、ムクホーク自身もこの一撃に全てをかけていた故に、そういうものが出てしまってもおかしくはない。
とはいえ、殺気なんて曖昧な感覚だ。あの一瞬で詳しい方向まで正確にわかるとは思えない。もしかしたら、普段からルカリオと一緒にトレーニングをしているおかげで、スモモも波動に目覚めかけている可能性がある。それなら、殺気を感じ取れたのも納得だ。
このジム戦が終わったら、ちょっとスモモに波動トレーニングをさせてみよう――と、考えていると、ムクホークが意識を取り戻した。
同時に、現在自分が倒れていることや俺に回復して貰っていることから、自分が負けたとわかったようで、申し訳なさそうな顔をしてくる。
だが、これはムクホークのせいではない。
本来であれば、あのスピードのブレバは反応すら出来ないのだ。それに無理矢理カウンターを合わせてきた向こうが一枚上手だっただけ。それに、お前にはまだ『インファイト』がある。かくとう技取得で攻撃の幅は広がるし、まだまだ可能性は残っているぞ。
と、ムクホークを慰めながら、タケシに渡す。
まだ意識を取り戻したばかりだし、しばらくは外にいた方がいいだろう。これで一対一の五分。次のポケモンで勝敗が決まる。
スモモは当然のようにルカリオ、俺はワカシャモを出した。ワカシャモも久しぶりの公式戦なので、嬉しそうに俺にケリを入れてくる。
当たり前のように受け流して、ルカリオを指さした。「あれがお前の相手だ。一筋縄ではいかないからちゃんと俺の指示を聞けよ?」というと、口元に笑みを浮かべながら頷いている。
やたら好戦的なうちのワカシャモを見て、スモモも気合を入れ直していた。相手はルカリオの苦手なほのおタイプということで、油断できないと思ったのだろう。
そうでなくても、かくとう技だってルカリオの弱点である。かくとうタイプの癖に、意外とルカリオはかくとう戦が苦手という不思議なポケモンなのだが、その弱点をカバーして余りある波動という才能がこいつにはあった。
バトルが始まると、ワカシャモが小さくジャンプしてステップを刻む。エビワラーも良くやっている動きだ。
どうやら、格闘戦のスイッチが入ったらしい。
だとすると、遠距離技を指示するのは無粋だな。うちのワカシャモは足技が大好きなので、『ブレイズキック』を指示して様子を見て行く。
威力85のほのお物理技だ。おまけに、一割の火傷か1/8で急所に当たる追加効果もあり、使い勝手が良い。ワカシャモのメインウェポンだ。
対するルカリオは『はっけい』で『ブレイズキック』を受け流してくる。おまけに、上手いこと波動で手を守っているから炎のダメージも防いでいた。
返しでスモモが『インファイト』を仕掛けようとしてきたが、ここでワカシャモの『かそく』が発動して素早が一段階上がる。
同時に、バックステップでルカリオの『インファイト』を回避し、再びワカシャモの『かそく』が発動して素早がもう一段階上がった。
こちらが『こうそくいどう』や『ニトロチャージ』をした様子もなくスピードが上がったのを見て、スモモもワカシャモの特性が『かそく』だと気付く。
二段階上がれば、ルカリオの速度を超えて動けた。
スモモが『はどうだん』でワカシャモを捉えようとするが、スピードが上がったワカシャモはエンジンがかかってきたようで、必中の『はどうだん』を『ブレイズキック』で打ち返していく。
同時に、素早が一段階上がり、これで三段階目――まだ、ワカシャモの素早はトップスピードの半分だ。
しかし、ルカリオは完全に置き去りにされている。それでも波動で位置を掴んでいるからか、『ブレイズキック』をガードされた。
仕方ないので、そこから『ローキック』に繋げて転ばしていく。しかし、ルカリオもされるがままではなく、『はどうだん』で反撃してきた。
技を使用した直後で動きが止まった所に『はどうだん』が直撃するが、ギリギリで防御が間に合っている。同時に、さらに一段階スピードが上がった。
とはいえ、あまり調子には乗れない。ムクホークはそのスピードを逆に利用されて倒されたのだ。ルカリオの波動なら、どれだけスピードがあってもワカシャモを見失うようなことはないだろう。
スピードはあくまで移動の手段として手数で押していく。『にどげり』を指示し、二度の蹴り、そこから『ローキック』、『ブレイズキック』と技を繋げる。途中で、『かそく』が発動したことで変速となり、ルカリオを追い詰めるが、スモモも『ボーンラッシュ』で反撃してダメージを最小に抑えてきた。
そして、最後の『かそく』が発動し、ワカシャモがトップスピードに乗って行く。
今までの攻撃でワカシャモも1/4程度のダメージを受けたが、ルカリオももう体力が半分近い。このまま勢いに乗れば押し切れる。
そう判断して、最後の技を指示して全ての力で押し切ろうとした瞬間、ルカリオが自然体で動かなくなった。見ると、スモモも同じ体勢で立っている。
――スモモが構えると、ルカリオも動く。
トレーナーとポケモンが一心同体となっている証――そして、目を閉じたままルカリオは走りだした。
続けて『ボーンラッシュ』でワカシャモに攻撃を仕掛けてくる。だが、回避は難しくない。今、ワカシャモはルカリオの四倍近く早いのだ。そのスピード差があれば攻撃は余裕で見切ることが出来る。
だが、ルカリオは避けたワカシャモの動きを正確に追ってきた。目で見てではなく、波動で感じて動いているから動きを追えるのだ。
ワカシャモもオーキド研究所で日々揉まれてはいるが、流石に波動の使い手は相手にしたことがないようで、自分の動きについてくるルカリオに動揺する。
その動揺に付け込むように、『ボーンラッシュ』の最終段がワカシャモの左足にヒットした。
足はワカシャモの生命線――スモモとルカリオは足を狙ってスピードを下げようとしているのだ。
狙いがわかったが、こちらの対応が遅れた。『ボーンラッシュ』から『インファイト』に技を繋げられて、接近戦に持ち込まれていく。
振り回される拳を避け続けるワカシャモ。
ワカシャモも向こうが自分の足を狙っているのがわかったようで、完全に回避に専念していた。
下手に攻撃に意識を割けば、相手の『インファイト』で足を狙われる可能性がある。ここは冷静に相手の技を捌いていく。
しかし、その『インファイト』も、ワカシャモに接近戦を意識させるための囮だった。
攻撃を避け切ったと思った瞬間、『インファイト』の最終段から『はどうだん』に技を繋げてくる。技から技を繋げて、そこからさらに技を繋げてきやがった。
技から技に繋げるのと、技から技に繋げてさらに技を繋げるのは難易度が違う。俺ですら、技を三つ繋げることはそう簡単には出来ないのだ。
おそらく向こうは、最初からゼロ距離『はどうだん』でワカシャモの回避を潰すのが狙いだったのだろう。もし、『ボーンラッシュ』からすぐに『はどうだん』に繋げても、ワカシャモはすぐに『ブレイズキック』で攻撃を迎撃していた。
だが、足を狙っていると見せて、『インファイト』で接近戦を仕掛けることで、ワカシャモに回避を主軸に置くように誘導させたのだ。避けることに集中させることで、ゼロ距離での必中技が際立っていく。
さらに、回避に意識がいっていた故に、こちらも咄嗟に技が出ず、『はどうだん』でワカシャモが吹き飛ばされた。
空中で吹き飛ばされているということは、地に足がついていないということ。地に足がついていなければ、自慢のスピードも見せることは出来ない。
ルカリオは、全速力でワカシャモを追った。
ワカシャモが背中から地面に叩きつけられ、体勢を立て直していく。しかし、足に力を入れる前に、ルカリオは最後の『はっけい』の発動を間に合わせていた。
全力の『はっけい』がワカシャモの左足に叩きつけられる。『ボーンラッシュ』最終段のかす当たりとは比較にならないダメージがワカシャモを襲い、自慢の足が奪われた。
ワカシャモが苦悶の声を上げる。とはいえ、ルカリオも連続技でスタミナをかなり消費したようで肩で息をしていた。
だが、ワカシャモの方がダメージは深刻だ。直撃は『はどうだん』と『はっけい』だけで、まだ体力は1/3近く残ってはいるが、左足を狙われたことで動きが遅くなっている。
これでは『かそく』で上げた素早が意味をなさない。おまけに、軸足が殺された以上、足技も威力半減だ。
どうする――
どうする――
「――どうするもこうするもねぇ! ワカシャモ、腕を軸にしろ! 『ブレイズキック』!」
足が痛んで踏ん張りが効かないのであれば、逆立ちして腕を軸にすることで威力を補正する。どこかの麦わら海賊団のコックがやっていたことの真似だ。
ワカシャモも理解してすぐに反撃に出た。
スモモもまさかそんな手段で攻めてくるとは思わなかったようでかなり動揺している。ルカリオも驚いた顔をしているが、すぐに『はっけい』で攻撃を受け流していた。
確かに、俺のワカシャモは足技が得意だが、足技しか使えない訳じゃねーんだよ!!
攻撃を受け流したことで、ホッとルカリオが息を漏らす。その瞬間、最後の技である『フレアドライブ』を発動させた。
逆立ちから体勢を立て直したワカシャモが、倒れ込むようにルカリオに突撃していく。ルカリオもホッとした一瞬を狙われたことで対処が間に合わなかった。
よくも自慢の足をやってくれたなぁと、強気にごり押ししていく。だが、スモモも『はどうだん』で押し返すように指示を出してきた。
しかし、うちのワカシャモは完全に頭に来ているようで、余計なことすんじゃねぇ――と、『フレアドライブ』状態でヘッドバッドをかまして、ルカリオの動きを止めていく。
頭に予想外の一撃を受けたことで、ルカリオの『はどうだん』も拡散した上、足がふらついている。
ここしかなかった。この隙を突いて、『ブレイズキック』で相手にとどめを刺していく。
空中なら軸足いらねーんだよと言わんばかりに、サマーソルト気味に技をかましてルカリオを戦闘不能まで持って行った。
ワカシャモ怒りの勝利である。
いくらルカリオでも、技を三種類も繋げた後に全力疾走の『はっけい』でスタミナを大きく消費していた。
疲労で動きが目に見えて遅くなっていたし、ワカシャモも足のダメージが怒りになってすぐに動けたおかげで向こうが息を整える前に倒すことが出来ている。
もし、足のダメージを引きずって、ワカシャモの動きが鈍ってしまったら負けていたのはこちらだっただろう。気が強くて本当に良かった。
追記、スモモも負けてしまったことは残念だったが、それ以上に凄いバトルが出来たと喜んでいる。同時に、トバリジムを制した証であるコボルバッジを渡してきたので、代わりに波動の使い方を教えてあげた。ルカリオにもトレーニング法を教えたので、すぐにとはいかないが、多分そう時間がかからない内に目覚めるだろう。今度はガチ戦しような。
原作との変化点。
・第68話『トバリジム! ルカリオ対ブイゼル!!』より、スモモにジム戦を挑んだ。
逆に挑まれた感じだが、一応は挑戦者。一対一を三回繰り返して二勝した方が勝利という変則ルール。心技体を一つにするスモモとルカリオにニューサトシも苦戦した。
・スモモが波動に目覚めかけている。
オリジナル設定。流石にニューサトシのようにはどうだんを撃ったりは出来ないにしろ、波動に目覚めるだけでもやれることが増える。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.64
ピジョット Lv.59
バタフリー Lv.59
ドサイドン Lv.62
フシギダネ Lv.60
リザードン Lv.64
カメックス Lv.60
キングラー Lv.60
カモネギ Lv.60
エビワラー Lv.59
ゲンガー Lv.61
コノヨザル Lv.59
イーブイ Lv.59
ベトベトン Lv.59
ジバコイル Lv.59
ケンタロス Lv.58
ヤドラン Lv.59
ハッサム Lv.60
トゲキッス Lv.58
プテラ Lv.59
ラプラス Lv.59
ミュウツー Lv.75
バリヤード Lv.59
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.58
カビゴン Lv.58
ニョロトノ Lv.58
ヘラクロス Lv.57
メガニウム Lv.57
マグマラシ Lv.57
ラティアス Lv.52
ヘルガー Lv.56
ワニノコ Lv.57
ヨルノズク(色違い) Lv.55
カイロス(部分色違い) Lv.56
ウソッキー Lv.55
バンギラス Lv.61
ドンファン Lv.55
ギャラドス(色違い) Lv.56
ミロカロス Lv.50
ラグラージ Lv.52
オオスバメ Lv.51
ジュカイン Lv.51
ヘイガニ Lv.50
フライゴン Lv.55
コータス Lv.50
キルリア(色違い) Lv.40
オニゴーリ Lv.48
ワカシャモ Lv.46→47
メタング(色違い) Lv.38
エイパム Lv.38
ムクホーク Lv.36→37
ナエトル Lv.36
ブイゼル Lv.38→39
ムウマージ Lv.44
ヒポポタス LV.34
ミカルゲ Lv.55
グライガー Lv.25