13歳 ζ月ρ日 『ポケモンコンテスト ミクリカップ 一次審査』
ミクリカップの審査委員は、いつものメンバーであるコンテスタとスキゾーの爺さん、リッシ湖のジョーイさんの3名に、開催者のミクリと特別ゲストのナナミさんの計5名で審査される。
参加者は約80名と、通常のコンテストでは有り得ない人数故に、今日一日が一次審査となり、明日が二次審査のファーストステージとセカンドステージ、明後日がセミファイナルとファイナルステージと三日間で開催されることになっていた。
一次審査の持ち時間は一人5分。交代時間を含めて1時間で10人と考えると、全てが終わるのは8時間後だ。
グランドフェスティバルと違い、会場が一つしかないし、ミクリが全て審査するという特性上、時間がかかるのは仕方がないのだろう。
出番はランダムに決められ、事前に伝えられる。俺達の中だとハルカが1番、ノゾミが27番、俺が52番、ヒカリが77番と、かなり間が開いていた。
しっかし、ハルカがトップバッターか。
こういう審査は、一番の演技を基準にすることが多いので、ハルカレベルを基準にされると、ヒカリが苦しくなるかもしれん。まぁ、でも、いずれは超えなくてはいけない壁だ。
と、いうことで、ミクリカップがスタートする。
ミクリカップは、ミクリがみずポケモンの使い手ということもあって、半分はみずのフィールドで出来ていた。
ハルカは一次審査にゼニガメから進化したカメールを出して、最大のチャームポイントである特徴的な尻尾をアピールしている。
技やフィールドの使い方も上手くなっており、みずポケモン用に用意された水場を『こうそくスピン』で駆け回るという素晴らしいアピールをしていた。最終的にはカメールの尻尾を目立たせる『アクアテール』で、5人の審査委員からも高評価を得ている。
相変わらず、見て居るこっちが気持ちよくなるいい演技だ。人の心を動かす演技ができるのは本当に才能だろう。
ナナミさんがコメントで、「ハルカさんはコーディネーターになって、まだ一年なんですよ」と話すと、ミクリが「一年!?」と驚いている。
前に見せたニューサトシの技術も認められたようだったし、もしかしたら俺達ってば、実は結構高いレベルでコンテストをしていたのだろうか?
と、思いながら、帰ってきたハルカを迎え入れる。今回、ハルカもドレスアップしており、俺が元居た世界でいうアラビアンなドレスを着ていた。
流石に一次審査でプレッシャーを感じる段階は当に過ぎたようで、「ノゾミとヒカリも頑張ってね」と余裕の表情を浮かべている。おいおい、ニューサトシも応援しろよ。と、思っていると――
「サトシは応援しなくても勝手に突破するでしょ?」
――あっけらかんと、そう言われた。
まぁ、信頼の証と受け取っておこう。
と、思いつつ、他の参加者の演技も見て行く。流石にミクリカップに参加するメンバーだけあって、どいつもこいつもレベルが高い。
だが、トップバッターのハルカがかなりレベルの高い演技を見せたこともあって、ハルカの後の何人かは気後れしている奴も多く、緊張と合わさって演技がブレていた。
しかし、その動揺も徐々に収まっていく。
同時に、ノゾミの番が来て、新たな仲間のケイコウオと共にステージに上がっていった。
奇しくも、ノゾミもみずタイプのポケモンであり、ハルカに負けない演技を見せていく。ケイコウオは海のアゲハントとも呼ばれるほど美しいポケモンであり、その自慢の尾びれを『ぎんいろのかぜ』や『しんぴのまもり』を上手く使ってアピールしている。
小細工はせずに基本に忠実。
これはこれでポケモンコーディネーターとして大切なことだった。ハルカにも負けない演技ということで、ミクリやナナミさんも大絶賛している。
技の魅せ方や工夫は当然大切だが、基本を疎かにしてポケモンは輝かない。そういう意味では、ノゾミのパフォーマンスはまさにお手本ともいうべき完成度だった。
それから、少しするとムサシこと、キャンディムサリーナが登場してくる。
今回は前回ビンタ合戦をしたドクケイルと共に参加しているようで、粉技を上手く使ってドクケイルの魅力をアピールしていた。心機一転ということもあるのだろうが、吹っ切れた二人は今までよりもずっといい演技をしている。
ノゾミもすぐにムサシの変化に気付いたようで、「キャンディさんの演技……なんていうか、深くなった」と呟いていた。
ハルカは、「どこかで見たような気が……」と、呟いているが、どうやらあれがムサシで、去年自分達とリボンを賭けて戦ったムサルーナであるとは気づいてはいないようだ。
逆にナナミさんは演技を見て、すぐにムサシだと気付いたようで、弟子の成長を見て嬉しそうにしているものの、今までになくコメントが辛辣でダメ出しが多い。
身内には厳しいというのがナナミさんスタイルらしく、「次はもっと良い演技を見せて下さいね」と言われると、ムサシも顔を真っ青にして、「ハイッ!!」と返事をしていた。
怖ぇ、隣のミクリも黙っちゃってるよ。
しかし、それでも他の参加者に比べたら頭一つ抜きんでているのは間違いなく、ナナミさんも次と口にしたことから、おそらく一次審査突破は確実と言っていいだろう。
燃えて来たぜ――と、ニューサトシがやる気を漲らせるも、丁度休憩となる。
流石に審査委員も疲れるのだろう。20分程の休憩を挟んで再開ということになった。休憩中は、去年のグランドフェスティバルの上位陣名演技集のようなものが流れるようで、カントー大会ではムサシ、ホウエン大会ではナナミさんやハルカの演技が流れている。
ちなみに、ニューサトシはホウエン大会ベスト8、カントー大会は不参加だったので、映像には出ていなかった。まぁ、ニューサトシの凄さはこれから見せてやるさ。
と、思いながら、再開後、待つこと2時間。
ようやく俺の出番が近くなってきた。衣装室で着替えの準備をしながら舞台へと向かう。水のボールシールを付けたミロカロスも準備万端であり、今回はニューサトシ騎士服スタイルで参加している。
ミュウツー作の巨大アックス型ボール射出装置を片手に、あまり飾り気のない無骨な騎士服。生まれてきた時代を間違えたと言っても過言ではない服装だろう。だが、今回はこの無骨さが俺達に味方してくれるのだ。
そのままステージに立つと、会場がシンとする。
当然だろう、いきなり場違いな格好をした人間が現れたのだから。しかし、ミクリやナナミさんは俺だとすぐにわかったようで、すぐに演技をスタートしてくれた。
いざ、演技が開始されると、巨大アックス型ボール射出装置に付けたミロカロスのボールを、アックスを振った勢いを利用して水場に向けて射出していく。
そのままアックスを回し、柄を地面に叩きつけると同時に、ボールからミロカロスが飛び出してきた。同時に空中で横一回転の『ドラゴンテール』を駆使し、水のボールシールによる水の玉を割って虹を作りながら優雅に水の中へと飛び込んでいく。
虹が消えるまで約十秒。ここで時間を使う。
舞台から虹が消えていく余韻に浸りながら、観客の視線が水中で目を閉じているミロカロスに集中する。動かない、動いていない。普通ならマイナスでしかないはずなのに、何故かミロカロスの美しさが際立っていた。
敢えて動かないことで、視線を集中し、ポケモンの持つ自然な美しさを感じ取らせる。
仮に色違いだとしても、他のポケモンでは同じことは出来ない。美しさを最大まで上げている俺のミロカロスだからこそできる静の演技だ。
とはいえ、このまま黙っていては、この見事な静の演技も、「なんで動かないんだ?」に変わる。
十秒――その限界時間が来ると、ニューサトシが巨大アックスを振り上げ、それに合わせてミロカロスも水の中から飛び出て来た。
動かなかったことで視線が集中しているのを逆に利用し、空中で『メロメロ』を繰り出して美しさだけではなく、ミロカロスの可愛さもアピールしていく。夢特性『メロメロボディ』故に、『メロメロ』の効果も三倍だぜ(そんなことはない)!
美しさに続いて、可愛さもアピールし、今度は再び美しさをアピールする。
水中を泳ぎながら、『りゅうのまい』で、今度は動の動きをアピールしていく。
俺のミロカロスは全身が魅力にあふれている。素材だけなら、決してミクリのミロカロスにも負けていない自信があった。故に、静や動で、様々な視点からミロカロスの良さを観客に見せつけてやる。どうだ、俺のミロカロスはこれだけ美しいんだぞ、と。
最後は『ドラゴンテール』で水を叩いて大ジャンプをし、『みずのはどう』でフィニッシュを決めた。空中で破裂した『みずのはどう』は、小さな泡となって会場中を神秘的な空間に作り替えていく。
会場中がミロカロスの演技に見惚れている間に、ニューサトシが巨大アックスを再び振り下ろす。同時に、目に見えない波動を流して泡を破裂させ、空中から降りて来たミロカロスが俺の隣でポーズを決めた。
泡が弾けることで、まるで夢から覚めたような感覚が観客を包み、騎士に並び立つミロカロスに視線が集まる。無骨な騎士と美しいミロカロス――この極端な組み合わせが、ミロカロスの美しさをより際立させるのだ。
五分、フルに使った演技を終える。
同時に会場中から拍手が送られてきた。ミクリも大満足のようで、「素晴らしい! ミロカロスの魅力が余すことなく伝わってきた!」と大絶賛である。
ナナミさんも「ミクリカップでミロカロスを使う度胸もさることながら、その演技もレベルの高いものでした。グランドフェスティバルの上位と比べても遜色ないでしょう」ということだ。いやー、今までやったシンオウのコンテストで一番気合を入れたからなぁ。
控室に戻ると、ノゾミが「やってくれたね。まさかミクリカップでミロカロスなんて」と苦笑いしている。
ハルカも、「ミクリ様の相棒であるミロカロスがいるのに、ミロカロスを合わせてくるのなんてサトシ以外にいないかも」と何とも言えない顔をしていた。
「別にミクリカップでミロカロス使っちゃ駄目ってルールねーし。良い演技だったろうが!」
と、いうと、演技自体に文句はないようで、いい演技だったという感想が返って来る。
素直に褒めれ――と、思っていると、ヒカリがまだ自分の番は先だというのに、身だしなみの確認やら、ボールシールの確認やらと、忙しなく動いていた。
どうやら、俺の演技に煽られて落ち着きがなくなってしまったらしい。「落ち着け」と声をかけるが、それで落ち着いたら苦労はなかった。
しかし、ハルカが「任せて」と言いながら、笑顔でヒカリの前に移動して「ヒカリ、合掌して」と言っている。
ヒカリが「合唱?」と首を傾げていると、「こうよ、こう」と手を合わせるように言っていた。何をしたいかはすぐに理解したので、そのまま黙って見て居ると、ヒカリが手を合わせた瞬間、ハルカが凄い勢いで幸平式緊張ほぐし術を使っている。
バチーンという音が響き渡り、ヒカリが「いったーい!!」と悲鳴を上げた。
タケシもそれを見て、「懐かしいなぁ」と笑っており、やったハルカも「どう?」と笑っている。
「どうもこうも、凄く痛いんですけど!?」
「でも、緊張は取れたでしょ?」
そう笑うハルカの言葉の通り、ヒカリの緊張は抜けていた。本人も自覚したようで「確かに……」と、驚いたように呟いている。
「私がまだコーディネーターになりたてで、緊張しまくってた頃、サトシがやってくれたんだ」
「ヒカリは今まで緊張とは無縁だったから出番なかったけどな。確かに、今回は使い時だったか」
思えば、こんなに緊張するヒカリは早々見られなかった。どんなコンテストも結果はともかく、出るまでは完璧に仕上げて覚悟を決めていたからな。
まぁ、幸平式を決めた以上、もう大丈夫だとは思うが、念のために追加でリラックスさせてやろう。
「いけ、ラティ。むぎゅー攻撃だ」
「むぎゅー」
ラティが笑顔でヒカリに抱き着いていく。
続けてポッチャマもヒカリに抱き着いた。
「そのままポケモンの体温を感じろ。直に落ち着いてくる」
「……なーんか、私の時と違って優しいかも」
「ハルカの時なんか、もっと優しかっただろう」
「そんなことない! スパルタだった!」
「そうかぁ? バトルの基本から何から優しく教えてやったのに」
「あれが優しい!?」
どうやら、俺とハルカの認識に若干の齟齬があるようだが、幸平式とラティとポッチャマのむぎゅー攻撃で、ヒカリも完全に落ち着いたようでいつもの状態に戻っていた。
今回、ヒカリはポニータで、ズイ大会のリベンジをするつもりのようで、出番の一時間前になると、ポニータをボールから出して背中を撫でてあげている。ボールシールはつけ直しになってしまうが、それ以上にポニータの緊張をほぐしたかったのだろう。
ポケモンの状態にまで気を配れるならもう問題ない。後は時間が来るのをゆっくり待つだけだった。
さらに一時間が経過すると、ようやくヒカリの番がやってくる。「「「「「がんばれヒカリ」」」」」と、全員で送り出すと、「だいじょーぶ!」といういつもの返事が返ってきた。
ヒカリはポニータを出すと、まずシールの炎と『ほのおのうず』で、ポニータの全身を敢えて隠し、そこから勢いよく飛び出すことで、色違い特有の青い炎のたてがみをアピールした。
続けて、『ニトロチャージ』で素早を一段階上げつつ、赤い炎を纏うことで、自身の青の炎とのコントラストを作りながら、会場中を駆け回らせていく。
見て居たノゾミが「良いよ! ポニータの良さが目立ってる!」と絶賛。まさに、ポニータと言えば、その走る姿こそが魅力だ。
ヒカリは色違いという武器だけではなく、ポニータそのものの魅力を目立たせるために必要なことをちゃんと理解していた。
おまけに、走りながら『しっぽをふる』で可愛く尻尾をアピールするなど、小技も忘れていない。
最終的には『れんごく』の炎をハートマークにしながら技をアピールし、その中央で青のポニータがフィニッシュを決めた。ポケモンが主役になった素晴らしい演技だ。
ミクリも、前回の湖の演技から成長を感じたようで、「ポニータがとても楽しそうで、見て居るこっちも嬉しくなる演技だった」と、ヒカリの演技を褒めている。
ナナミさんからは「技の魅せ方、動き方、フィールドの使い方、アイテムの使用等、ポケモンの魅力を引き出す方法はいくらでもありますが、一番大事なのは、そのポケモンが楽しんで演技することだと私は思っています。今のヒカリさんの演技は、その答えと言ってもいい素晴らしいものでした」と、拍手を貰っていた。
散々悩み、苦しみ、迷って、ようやく道を抜けたような感覚がヒカリを襲っているのか、トップコーディネーターからの賛辞に涙が止まらずにいる。
涙を拭って笑いながら控室に返ってきたヒカリを全員で迎えた。結果を見るまではまだわからないとヒカリは言っているが、それでも審査員達から貰った賛辞は嘘ではない。
その後、全員の演技が終わると、集計に入る。
上位16名が表示されると、俺やハルカ、ノゾミにムサシと参加者の顔写真が次々と表示され、そこにはしっかりヒカリの写真も表示されていた。
ホッとしたのか、力が抜けたようにその場に座り込む。また、ようやく長いスランプから抜け出せたことで、ヒカリも喜びの涙を浮かべていた。
思えば、ハルカと違って、ヒカリはニューサトシにあまり泣き顔を見せない。負けた時も俺が帰って来る頃には表面上は立ち直っているし、それこそ初めてリボンをゲットした時、感動の涙を流したことくらいか。
勝利も敗北も知り、逃げ回って涙を流して、男は一人前になる――どこかの赤い髪の海賊の言葉だ。
まぁ、ヒカリは男ではないが、そこは人間と例えてもいい。いろいろあったが、ヒカリは乗り越えた。
長く見つけられなかった迷路の出口を見つけたのだ。これからは、おそらく一足飛びでヒカリは成長していく。ハルカが才能を開花させた時と同じ感覚を今、ヒカリから感じた。
原作との変化点。
・第77話『みんなライバル! ミクリカップ!!』より、ミクリカップにミロカロスをぶつける度胸を見せつけた。
実力だけならまだミクリが上だが、それで怯むニューサトシであるはずがなく、今できる全力をぶつけている。
・ヒカリがスランプを抜けた。
幸平式を受けたり、ポケモンたちに囲まれたりと、リラックスしたこともあって完全に目が覚めた。今まで学んできたこと、感じてきたこと、全てをぶつけている。眠っていた才能が開花した瞬間だった。
・ハルカが少し焼きもちを焼いている。
ヒカリに優しいので少しジェラった。が、ニューサトシからすると、ハルカの時の方が優しくしている。実際、ヒカリはハルカよりも厳しいスタートなので、ニューサトシも厳しく鍛えていた。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.64
ピジョット Lv.59
バタフリー Lv.59
ドサイドン Lv.62
フシギバナ Lv.60
リザードン Lv.64
カメックス Lv.60
キングラー Lv.60
カモネギ Lv.60
エビワラー Lv.59
ゲンガー Lv.61
コノヨザル Lv.59
イーブイ Lv.59
ベトベトン Lv.59
ジバコイル Lv.59
ケンタロス Lv.59
ヤドラン Lv.59
ハッサム Lv.60
トゲキッス Lv.58
プテラ Lv.59
ラプラス Lv.59
ミュウツー Lv.75
バリヤード Lv.59
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.58
カビゴン Lv.58
ニョロトノ Lv.58
ヘラクロス Lv.57
メガニウム Lv.57
マグマラシ Lv.57
ラティアス Lv.52
ヘルガー Lv.56
ワニノコ Lv.57
ヨルノズク(色違い) Lv.55
カイロス(部分色違い) Lv.56
ウソッキー Lv.55
バンギラス Lv.61
ドンファン Lv.55
ギャラドス(色違い) Lv.56
ミロカロス Lv.50
ラグラージ Lv.52
オオスバメ Lv.51
ジュカイン Lv.51
ヘイガニ Lv.50
フライゴン Lv.55
コータス Lv.50
キルリア(色違い) Lv.41
オニゴーリ Lv.48
ワカシャモ Lv.47
メタング(色違い) Lv.39
エイパム Lv.39
ムクホーク Lv.37
ナエトル Lv.37
ブイゼル Lv.39
ムウマージ Lv.44
ヒポポタス LV.35
ミカルゲ Lv.55
グライガー Lv.25