13歳 ζ月υ日 『ヒカリの現状』
コンテストリボンをゲットして喜んでいるヒカリだったが、その実力があの時だけのものでは意味がないので、今日も今日とてコンテストバトルの練習をしていた。
どうやら、ちゃんとポケモンの魅力を考えてバトルは出来ているようだが、やはりミクリカップの時は勢いに乗っていたのが大きいようで、前ほどの力は感じない。
流石にまだ、『自分の気持ちを周りにも伝える演技』を完璧には身に付けられていないということだ。
まぁ、ハルカもその辺は最初から完全に出来ていた訳ではないし、徐々にその片鱗を覚醒させていったので、繰り返し練習していればその内感覚も思い出すだろう。
とはいえ、成長したのは間違いない。
ただ、ポケモンの魅せ方は問題ないが、まだ戦い方にムラがある。バトルの方も、変わらず叩き込んで行ってやろう。
と、いうことで、今日も今日とて足腰立たなくなるまでヒカリをボコボコにし、次の街に向かって旅を続けることにした。
13歳 ζ月φ日 『つい口出ししちまった』
新人トレーナーのタイセイという少年が、ヤンヤンマをゲットしようと追っているのを見つけた。
ヒカリと同じく相棒はポッチャマのようで、何とか捕まえようとバトルを仕掛けていくが、お世辞にも手際が良いとはいえず、つい口出しをしてしまう。
どうもまだバトル慣れしていないようだったので、タイセイとポッチャマを少し指導してやった。
タイセイのポッチャマは♀のようだが、根性があり、ニューサトシの指導にも良くついてくる。タイセイも、ポッチャマが頑張っているのに自分が負ける訳にはいかないと、こちらも頑張って、ニューサトシの指導に食らいついてきた。
ある程度の指導を終えると、今度はリベンジマッチをする。が、ボールを投げればゲットという段階で、ロケット団がヤンヤンマを横取りしてきた。
んなしょうもないことしてる暇あるなら、コンテストの練習でもしろと、ロケット団をやなかんじーにしてやる。気を取り直して、今度は別のヤンヤンマを捕まえることにした。
タイセイも次はちゃんとゲットまで持って行き、念願のヤンヤンマをゲットしている。
嬉しそうにしてくれて何よりだ。もうちょっと強くなったら、今度はバトルしよーな。
13歳 ζ月φ日 『グライガー教育プログラム』
最近はコンテストの練習を重視していたので、久しぶりにバトルを重視してトレーニングをすることにしたのだが、グライガーもバトルがしたいようで一緒にトレーニングに参加しようとしている。
まだ上手く飛べないから本格的なバトルは難しい。
とりあえず、ピカ様達にはトレーニングを指示して、グライガーとマンツーマンの飛行訓練に入る。多分、バランス感覚の問題だとは思うのだが、やはり何度やっても上手く飛べない。いや、通常の滑空はそこそこ出来るのだが、風の流れが変化すると制御出来ないというのが正しいか。
本人も半分涙目になっているが、本人が一生懸命やっているのはわかっているので責める気はなかった。
こういう時は自信を付けさせてやるのが一番いい。俺のグライガーの性格は臆病だ。弱気で怖がりで、初期のピカ様を思い出す。けど、そんなピカ様も気付けばバトルマニアになっていたのだ。時間をかければ、グライガーもそうなるだろう。
グライガーの場合は、まず自分より弱いポケモンを倒すところからだな。まだ野生のポケモンともバトルをしたことがないのだ。野生バトルで経験を積んで自信をつける所から始めよう。最近は身内戦ばかりで、野生相手のレベリングなんてしなかったけど、こういうのが大切になることもある。
と、いうことで、近くのポケモンとバトルをすることにした。対戦相手に選んだのは野生のスボミーである。
流石にトレーナーのいない野生ポケモン相手なら負ける要素もなく、グライガーも『シザークロス』でスボミーを倒していた。
初めての勝利でグライガーが大喜びしている。わかるわかる、初勝利は嬉しいもんだ。
と、グライガーとバトルをしていると、森の中からシンジが歩いてきた。どうやら、この辺りでバトルの練習をしていたらしい。
モウカザルを連れていたので、「進化したのか」と声をかけた。レイジに聞いていたので知ってはいたが、こうして直に見るのはまた別物だ。
しかし、シンジは「進化はしたんだがな……」と、若干困った様子を見せている。
聞けば、モウカザルに進化して、特性の『もうか』が発動するようになったのだが、やはり制御出来ずに暴走してしまうらしい。
相手を倒すことは出来るが、その後ボールの光も炎で弾くせいで押さえつけるのに一苦労しているという。やはり、最終進化まで持って行った方がいいと思うんだよな。
「無理にモウカザルで制御させるよりも、ゴウカザルに進化させてから制御させた方がいいんじゃないか? 進化すれば、自力が上がる分、制御もしやすい」
「……確かにな。ヒコザルの時には扱えなかった『もうか』が、モウカザルに進化したことで扱えるようになったことを考えれば、ゴウカザルに進化させることは理に適っている」
「後はメンタル面の修行だな。意外とこれが馬鹿に出来ない。精神的なゆとりは、バトルでも焦りが消えるから戦いを有利にコントロールできる。『もうか』の制御もしやすくなるはずだ」
「メンタルか。正直、今まではあまり着手してこなかった部分だな」
「俺も、メンタル面の修行をちゃんと始めたのは少し前からだよ。旅をした当初は、お前みたいにフィジカルばっかり鍛えてた。まぁ、それも必要だから間違いじゃないけどな」
「前にリーグで見せたあのリザードンの変化……あれもメンタル面の成果か?」
「ああ、むしろあれのためにメンタル面の修行を始めたまである。今ではみんなリザードンの真似して修行してるよ」
「……一考の余地はありそうだな。どんな修行をしたか教えてくれ」
俺が今までしていたメンタル面の修行について話す。とはいえ、精神修行はポケモン毎に違うのであくまで一例だがな。
シンジも真面目な顔で頷いて、その場を去っていった。次に会う時にはモウカザルも、今のままではないかもしれない。
と、思ったよりも長く話していたせいで、グライガーが待ちくたびれてしまっていた。
再び、野生ポケモンをボコボコにする修行を再開する。結果、今日一日で10勝を上げ、グライガーも大分自信をつけていた。心なしか、滑空も少し上手くなったような気もする。この調子でどんどん自信をつけさせてやろう。
13歳 ζ月χ日 『ガチ戦準備』
そろそろ次の街であるノモセに着くということで、ガチ戦の準備をしていく。記憶が正しければ、ノモセジムはみずタイプのジムだったはずだ。
今回は誰を出していくか。フシギバナは、まだ進化したばかりで調整が済んでいないだろうし、メガニウムかジュカイン辺りは欲しい。最近、ラグラージさんが活躍したし、今回はジュカインに出番を与えよう。
続いて、イーブイをチョイスする。『アドバンスシフト』を上手く使えば有利に立ち回れるからな。最後に、ミロカロス、君に決めた。いつもコンテストばかり頼んでいるが、お前はバトルでも強い所を見せてやろう。
調整がてら、いつものようにミカルゲを出していく。こいつもゲットしてから随分経つはずなんだが、一向に懐かんな。
とはいえ、そこそこ強くてやる気があるので、調整相手としては丁度良かった。足腰立たなくなるまでミカルゲをボコボコにしてやる。ついでにロケット団が現れたので、やなかんじーにしてやったのだが、前に横取りしたヤンヤンマがメガヤンマに進化していた。
ムサシはむしタイプとの相性も悪くないのかもしれないな。
追記。よくミカルゲを見てみると、懐いてはいないものの、暴れるのは少なくなってきた。バトルでも技を無制限に使っていたのが、四つになっているし、こいつはこいつで、いろいろ思う所があるのかもしれん。
13歳 ζ月ψ日 『お祭りだって!?』
ノモセシティについたので、早速ガチ戦をしにジムに向かったのだが、ノモセジムのジムリーダーであるマキシことマキシマム仮面は大切な用があるらしく、今日は無理だと言われた。
おいおい、ガチ戦以上に大事なもんなんてねぇだろうがよぉ――と、不貞腐れていると、マキシマム仮面が「今夜は年に一度のグレッグルの王を決める祭りが開かれるのだ!」と教えてくれる。
何だって!? そりゃ、行かなきゃ勿体ねぇ! ガチ戦も大事だが、ニューサトシはこういうお祭りも大好きなのだ!
と、いうことで、マキシマム仮面と一緒にノモセの大湿原を抜けて広間へと向かう。見れば、巨大なグレッグルの像が設置されており、グレッグルを大湿原の守護神として敬っている。
丁度、タケシもグレッグルを持っているので参加を決めていた。どうも、ジョーイさんのグレッグル(グレ美ちゃんというらしい)に、前大会王者のタクヤとかいう奴のグレッグル(グレ彦というらしい)が迫っているのが気に入らないようだ。いつもの嫉妬だな。
何だかんだあって、決勝はタケシのグレッグルと、タクヤのグレ彦になったのだが、対決の最中、いつものようにロケット団が謎のグレッグルメカで王者に贈られる王冠を狙って乱入してきた。
大会に参加したグレッグル達が立ち向かう中、ほぼ全員がノックアウトされていく。こりゃ、俺が動かないとどうしようもないか――と、思っていると、ジョーイさんのグレ美ちゃんの『しんくうは(何故かハートマーク)』でメカが撃退された。やるわぁ。
そのままこちらも追撃の『10まんボルト』でやなかんじーにしてやったのだが、大会の司会を務めていたマキシマム仮面の判断で、今年の王者はグレ美ちゃんに決まった。
決勝とは――と、言いたくなったが、実際タケシのグレッグルも、タクヤのグレッグルも、ロケット団のグレッグルメカに歯が立っていなかった以上、文句はないらしい。
追記。マキシも明日はオフにしているということで、明日ガチ戦をしてくれることになった。ならば、今日はたらふく食おうということで、お祭りを堪能することにする。いろいろ物が売っていて楽しいお祭りだったな。
13歳 ζ月ω日 『ノモセシティ ガチ戦 VSマキシマム仮面』
楽しい楽しいお祭りを終えて、いざガチ戦の日となった。ルールは毎度お馴染み、レベル制限なしの交代有りで三対三。
前回はスモモに自信をつけさせる目的でジム戦にしちまったからな。まぁ、それはそれでシンオウ組のレベリングにはなったが、やはりガチ戦をしないと体が鈍るぜ。
マキシマム仮面もニューサトシの気合を見て、「手加減はしないぞ! サトシ君!」と言ってくる。いいね、相手がガチな程、こっちも盛り上がるってもんだ。
マキシマム仮面の一体目はギャラドス、こちらはイーブイを出していく。イーブイも久しぶりのガチ戦ということで、かなり気合が入っているようだった。
ギャラドスの『いかく』でこちらの攻撃が一段階下がるが、特殊主体で戦うつもりなので問題ない。向こうが『ハイドロポンプ』を指示してきたので、『アドバンスシフト』の特性でイーブイからサンダースへと進化させ、攻撃を躱していく。
「石も使わずにイーブイが進化しただと!?」
流石のマキシマム仮面も驚いているようだった。
そりゃそうだろう。この間、俺のイーブイが各進化先に進化して戻れるということをヒカリに見せた時も大層驚いていた。また、それがどれだけコンテストで優位に立てるかもわかったようで、「サトシはズルい!」と拗ねられた程だ。
当然、この特性はバトルにおいても優位に立てる。サンダースに進化したことで素早種族値は130族になり、一気にギャラドスの懐へ潜り込んでいく。
そのまま『かみなり』をお見舞いしてやった。わざわざ距離を詰めたのは、攻撃を外す確率を少しでも少なくするためだ。
自分と距離が近ければ、それだけ『かみなり』の操作もしやすく、攻撃を外しにくい。実際、ギャラドスに『かみなり』が命中し、一気に体力を半分近く持って行った。
ならばと、マキシマム仮面も『たきのぼり』を指示してくる。その瞬間、サンダースからイーブイへ戻り、イーブイからリーフィアに進化した。
これでタイプがくさになり、『たきのぼり』のダメージは半減。また、リーフィアは防御の種族値が130あるので、ダメージはほぼ受けていなかった。
「まさか、イーブイから各進化系に進化して、さらに戻れるのか!?」
流石にジムリーダーだけあって、マキシマム仮面も『アドバンスシフト』の特性を理解したようだ。
だが、一見無敵に見えるこの特性もいくつか弱点がある。おそらく、マキシマム仮面もそろそろそれを見破って来る頃だろう。
マキシマム仮面は『こおりのキバ』を指示してきた。こちらはリーフィアからイーブイに戻り、イーブイからシャワーズに進化する。
こおり対策ならグレイシアでも良かったが、シャワーズはHPの種族値が130あるので、物理と特殊、どちらもある程度受けられるメリットがあった。
しかし、マキシマム仮面は気にせず『こおりのキバ』を続けさせてくる。とはいえ、ダメージはカスダメ。体力的にはほぼ余裕だ。
次にマキシマム仮面は再び、『たきのぼり』を指示してくる。ここでみず技をチョイスしたということは、『アドバンスシフト』で特性まで変化するのか確認に来たのだろう。『こおりのキバ』もリーフィアからシャワーズへ変化させるための囮と見て良かった。
だが、わざわざ答え合わせに付き合ってやる必要はないし、こちらもいい加減に攻撃に移りたい。シャワーズからイーブイ、イーブイからサンダースへ進化しつつ、ギャラドスの『たきのぼり』を受けながら『かみなり』を再び落としていく。
サンダースは耐久がないのでダメージは少し受けるが、それでもギャラドスに与えるダメージの方が多かった。こちらも1/3程のダメージを受けたが、向こうはもう残り体力がミリしかない。これなら次の『でんこうせっか』でとどめをさせる。
しかし、マキシマム仮面もさせるがままではなかった。こちらが地面について動き出す前に、『たきのぼり』で吹き飛ばしたサンダースに向けて『はかいこうせん』で追撃をかけてくる。
どうやら、空中で追撃するためにワザと『たきのぼり』でぶつかる際に、サンダースを打ち上げたようだ。『かみなり』を受けていたにも関わらず器用なことしやがる。
とはいえ、流石の『アドバンスシフト』もひこうタイプには進化できねぇ。いや、もしかしたら俺の知らない進化先がある可能性もあるが、少なくとも俺の知る限りではひこうタイプに進化するイーブイは存在していないはずだ。
と、いう訳で、少しでも特殊攻撃のダメージを減らすために、サンダースからイーブイ、イーブイからブラッキーへと進化していく。ブラッキーは特防種族値130あるので、特殊防御に関してはこいつが一番耐久が高い。
いくら『はかいこうせん』が威力150の強力な特殊技とはいえ、タイプ不一致でギャラドスの特殊攻撃だ。ブラッキーの特殊防御もあって、ダメージは1/3程で済んだ――って、それでも1/3か。『たきのぼり』のダメージと合わせて残り体力は約1/3、結構厳しいな。
とりあえず、反動で動けない間に、ブラッキーからイーブイに戻り、そのまま『でんこうせっか』でギャラドスを戦闘不能に持って行った。
マキシマム仮面の交代に合わせてイーブイもボールに戻す。想定以上にダメージを受けたので、しばらくイーブイは休ませるつもりだ。
続けてマキシマム仮面はフローゼルを出してきた。こちらはジュカインを出していく。相性の有利をついて、一気に決めてやるぜ。
ジュカインが足の様子を確認するようにその場でステップを踏む。フローゼルも足をプラプラさせてリラックスした様子を見せていた。
しかし、次の瞬間、ジュカインとフローゼルの姿がフィールドから消える。
どうやら、お互いに『こうそくいどう』を発動させていたようで、ニューサトシの目でなければ追えないような速度でフィールドを動き回っていた。
同時に、フローゼルは『こおりのキバ』を、ジュカインは『リーフブレード』を発動させて互いにぶつけにいく。ジュカインの刃を、フローゼルが牙で受ける。
こちらはタイプ一致技だが、どうもパワーで負けているのか、フローゼルのタイプ不一致技を押し切れない。
元々、ジュカインの攻撃種族値は85、フローゼルの攻撃種族値は105と差がある。その差が出ているのだろう。
相性込みで、パワーとスピードはほぼ互角。
「私のフローゼルのスピードについてくるとは、やるなぁ!!」
チッ、それはこちらのセリフだ。種族値だけなら、ジュカインは素早種族値120、フローゼルは素早種族値115で、こちらが上回っている。
にもかかわらず、スピードで逃げ切れないということは、それだけマキシのフローゼルはレベルが高く、スピード重視に育てられているということだ。
押し切れないとわかると、ジュカインは刃を引いて再びフィールドを走り出す。フローゼルもそれを追うように走り出した。
一撃でダメなら手数だ。
新技の『ダブルチョップ』を指示する。これはドラゴンタイプの物理技で、『ダブルアタック』と同じく一ターンに二度の攻撃が出来る。
ジュカインが片手を振り下ろすと、フローゼルも片腕でそれを防御。反対の手で追撃をかけると、反対の手でそれを受けきられた。どうやら、向こうも『ダブルアタック』で反撃してきたらしい。こうなると、手数でも五分か。
完全にスピード対決になったな。向こうは水中に逃げれば、この状況を覆せるが、マキシマム仮面もあくまで真っ向勝負をするつもりのようで逃げの姿勢は見せない。面白ぇ。
再び、二体が同時に『こうそくいどう』を積み、ギアを上げていく。思えば、これほどのスピードバトルをするのは地味に初めてかもしれない。
エビワラーがよく『こうそくいどう』を使ってバトルするが、あいつは元がそこまで早くないから動きを見失うようなバトルにはならないからな。
ジュカインが『リーフブレード』を振り下ろすと、フローゼルがそれを回避して『ダブルアタック』を仕掛けてくる。
ジュカインも『ダブルアタック』の一撃目を交わすと、二撃目に合わせて『ダブルチョップ』で反撃した。一撃目を相手の二撃目と相殺させ、二撃目の直撃を狙う。しかし、フローゼルも咄嗟に首の浮袋を膨らませて攻撃を受け流した。
上手い。浮袋をクッションにすることで、攻撃の威力を流している。『ダブルチョップ』は一撃だけだと威力は40しかない。おまけに不一致技だ。ほぼダメージはないと見ていいだろう。
同時に、『こおりのキバ』で反撃に出る。技での迎撃は間に合わない――が、ジュカインも負けていなかった。咄嗟に、残った片腕を振り上げ、フローゼルのアゴを打ち上げる。さながらアッパーを受けたように、フローゼルの顔が浮き上がった。
勿論、このアッパーは技ではないので、ダメージには入らないが、顔を浮かされたことで『こおりのキバ』を躱している。
互いに攻撃が決まらないとわかると、再び距離を取った。流石に呼吸が乱れている。あれだけの速度域の戦いとなると消耗するスタミナもそれ相応に多いのだろう。
「うーむ、ここまでの高速戦は流石に初めてだ。だが、切り札はある! やれ、フローゼル!」
フローゼルが最後の『こうそくいどう』を積んでギアをマックスまで上げる。同時に、最後の技である『アクアジェット』で突っ込んできた。
通常の『アクアジェット』ですら、先制技でスピードが速いのに、『こうそくいどう』を最大に詰んだ『アクアジェット』はまさに水の弾丸だ。
こちらも向こうに合わせて『こうそくいどう』を最大に詰んだにも関わらず、『アクアジェット』の早さに反応できずに攻撃が直撃した。
何とか『リーフブレード』を振り下ろそうとするが、『アクアジェット』からの『こおりのキバ』へ技を繋げられ、こちらが反撃に出る前に大ダメージを受ける。
正直、『アクアジェット』だけならいくら早くても大したダメージではないが、突進の勢いそのままに『こおりのキバ』を受けたことで、ダメージは大きかった。
通常なら1/3も削られない一撃が、一気に半分近くジュカインの体力を削っていく。もし、次に同じ攻撃を受けたら、倒れないにしても戦えるような体力は残らないだろう。
ジュカインが全力でフィールドを走り回る。
足を止めずにいることで、狙いを付けにくくさせようという狙いだろう。しかし、マキシマム仮面は構わず『アクアジェット』を指示してきた。
捕まえる自信があるのだろう。フローゼルが再び水を纏い、弾丸となってこちらへと突っ込んでくる。ジュカインも上下左右とフィールドを走って振り払おうとするが、振り切れずに再び『アクアジェット』の直撃を受けた。
そのまま『こおりのキバ』に繋げて一気に勝負を決めようとしてくる。しかし、こちらもただやられるがままでいるつもりはない。
逃げながら、ジュカインは太陽のエネルギーを腕の刃に貯めていた。また二度目の『こおりのキバ』で体力が1/4以下になったことで、特性である『しんりょく』が発動してくさタイプの威力を上げていく。
本来であれば、『アクアジェット』を回避して、ダメージを受けずにカウンターを返し、そこを起点に攻撃を仕掛けていくのがベストだった。だが、想定以上に『アクアジェット』の回避が難しかったため、肉を切らせて骨を断つ作戦に切り替えたのだ。
必殺の『ソーラーブレード』をフローゼルに叩きつけて大ダメージを与えていく。
タイプ一致威力125の物理技――おまけに『しんりょく』で威力が1.5倍になっている。合計で威力は約280となり、一気にフローゼルの体力を削っていった。
さらに都合が良かったのは、マキシマム仮面がスピードと攻撃に焦点を当てて育成していたことで、フローゼルの防御がそこまで高くなかったことだ。咄嗟の浮袋も間に合わない不意の一撃で勝負をかけていく。
カウンター気味に攻撃が決まったことで、フローゼルの体力をギリギリ削り切れたようで、倒れたまま立ち上がる様子は見せなかった。
ただ、こちらもイーブイ同様にかなりのダメージを受けたので、もう戦える余裕はない。相手の残りは一体だが、逆転の可能性はまだ十分にあった。
マキシマム仮面がフローゼルを戻すが、こちらはそのままジュカインで続投する。MAXまで上がったスピードを下げたくないし、戻してももう体力が回復するだけ休ませることは出来ないだろう。
ならば、このまま出来るだけ最後の一体を削って貰う方が良い。こちらがそう考えていると、マキシマム仮面は最後の一体としてヌオーを出してきた。
ヌオーはそこまで早いポケモンじゃないし、くさタイプの技が4倍だ。上手くすれば勝負を決められるかも――と、思いながら『リーフブレード』を指示した。
MAXスピードで一気に距離を詰め、腕を振る。
だが、その瞬間、気が付けばジュカインは宙を舞っていた。いや、正確には『リーフブレード』を振った腕を掴まれてそのまま投げられている。
「『たたきつける』!」
そのまま地面に強く叩きつけられ、ジュカインが一気に戦闘不能になった。
「悪いが、うちのヌオーは毎日フローゼルと喧嘩まがいのバトルをしている。スピードのある相手の対策はばっちりだぞ!!」
見切られたというのか、あのスピードの攻撃を――クソッ、相性有利と考えて迂闊に攻めたこちらのミスだ。
ジュカインをボールに戻す。どうするか、イーブイはまだ技を二つ残している。最後のミロカロスを出す前に、少しでもヌオーを削って貰うべきか。
だが、あの体術――下手をすれば、イーブイもジュカインの二の舞になりかねない。
やはり、ここはミロカロスで行こう。上手くすれば、『メロメロボディ』で、簡単に勝負が着くかもしれないし、イーブイももう少し休ませてやれる。
と、いうことで、三体目としてミロカロスを送り出した。お前がコンテストだけじゃなくて、ちゃんとバトルも強いって所を見て居る奴らに見せて付けてやれ!
「最後はミロカロスか。みずタイプのジムにみずポケモンで来るとは感心だな!!」
と、マキシマム仮面も嬉しそうだった。しかし、相性有利をついて尚、ここまで追い込まれているという事実もある。
ミロカロスには注意して戦うように声をかけた。
みずタイプ同士の戦いということで、フィールドは自ずと水場になる。ミロカロスが水に入ると、ヌオーもまた水の中に飛び込んでいった。
お互いに泳ぎながら、相手の様子を探る。
陸地ではのんびりなヌオーも、水の中では素早い。どうするか――と、悩んでいると、『あくび』を飛ばして眠らせようとしてきた。
眠らされるのはごめんなので、『しんぴのまもり』で状態異常を防いでいく。その瞬間、向こうが『アンコール』でこちらの動きを縛ろうとしてきたので、『まきつく』を指示して何とか攻撃縛りに変える。ヌオーよりこちらの素早が早くなかったら『しんぴのまもり』で縛られていたな。あぶねぇ。
ただ、こちらも『まきつく』で縛られたので、そのままヌオーにダメージを与えていく。
ヌオーも何とかしようともがくが、もがけばもがくほど『メロメロボディ』でメロメロになる確率は上がっていく――はずなのだが、何故か一向にメロメロになる様子がない。
運が悪いだけか? それとも、まさかの♀ヌオーか?
ポケモンに詳しいニューサトシも、流石にヌオーの♂♀の違いまではぱっと見ではわからない。いや、勿論、オスの方が、背びれが長いというのは知っている。
だが、ピカ様のように尻尾がわかりやすくハートマークとかならともかく、ヌオーのようにヒレの長さや大きさが微妙に違うみたいなポイントは、個体差もあるので見ても良くわからないのだ。♀でも背びれが若干長い場合だってあるし。
ちなみにミロカロスも♂♀の違いは、眉のヒレの長さが違うのだが、これもヌオーと同じくぱっと見では意外とわからない。♂♀を並べてジッと見比べればわかるのだろうが、バトルで同じポケモンを二体並べるなんてことはそうはないしな。
まぁ、メロメロにならないのは誤算だが、それでも『まきつく』による継続ダメージは続いている。ヌオーも、1/4は体力が削られただろう。
しかし、ヌオーもやられるがままではなかった。
こちらの『まきつく』の隙をついて、ミロカロスの胴体を掴んで『たたきつける』で反撃しようとしてくる。先程のジュカインへの攻撃もそうだが、本来『たたきつける』は、自分の尻尾などを相手に叩きつける技だが、どうやらあのヌオーは相手を投げて地面に『たたきつける』ように技を改良しているらしい。
だが、その瞬間、投げられないようにミロカロスがヌオーの全身に巻き付いていく。
投げられるなら、投げられない状態を作ればいい。同時に『しんぴのまもり』と『アンコール』が切れた。こちらも『りゅうのはどう』で反撃していく。
これで向こうの体力は残り1/3くらいと言った所だろう。まだまだ勝負はこれからだ。
とはいえ、向こうは出来るだけ体力を残しつつ、こちらを早急に仕留めてイーブイを引き釣り出したいはず――と、考えていると、ヌオーがミロカロスの拘束を抜けて陸地に上がった。
どうやらマキシマム仮面は、水中戦よりも地上戦の方がミロカロスを御しやすいと考えたらしい。実際、ミロカロスは四肢がないので、水中戦の方がやりやすいのは正しかった。
しかし、それは地上戦だから不利という訳ではない。ミロカロスは地上適性のあるタイプのポケモンだ。陸の上でも十分に戦える。
相手に続いてミロカロスも陸地に上がっていく。水中から飛び出し、美しく着地する姿はまさしくコンテストバトルで培った動きだ。
当然、こちらは『アンコール』で縛られないように、『りゅうのはどう』で遠距離攻撃を仕掛けていく。
ヌオーは転がるように攻撃を回避した。まるでモンハンの緊急回避だな。自身の遅さを補うために素早く距離を取れる動きを模索したのだろう。
そのまま転がりつつ、ヌオーが距離を詰めてくる。『たたきつける』でダメージを与えようとしているのは間違いない。
本来、命中率75の微妙技を、ほぼ確定で相手にダメージを与える技に変化させてくる辺り、流石はジムリーダーのガチポケというべきか。
ミロカロスも蛇行して相手に近づいていく。だが、やはり水中と違って陸上では動きが悪い。『まきつく』でまた組み付こうとしたが、その前に体を掴まれて『たたきつける』で地面に体を叩きつけられてしまった。
だが、それは読んでいる。
ここで最後の技である『どくどく』を指示した。陸上戦になった時点で、ミロカロスの方が不利なのはわかっていたのだ。ならば、有利な状況を作るまで。
ラスト一体のため、マキシマム仮面はもうヌオーをボールに戻すことは出来ない。これで時間が来れば自ずとヌオーは戦闘不能になる。
悪いな、マキシマム仮面。真正面からのガチンコも大好きだが、こういう搦手もニューサトシは大好きなんだ。『アンコール』を見せて変化技を封じた気でいたんだろうが、こちらはまだイーブイが残っているのを忘れて貰っては困る。
当然、ヌオーは『アンコール』でミロカロスの技を縛って来るが、『まきつく』は継続技でもある。ミロカロスが投げられないようにヌオーに巻き付いていく。
こちらは攻撃が縛られて『どくどく』しか出来ないが、『まきつく』で全身に絡みついているので、ヌオーもミロカロスを投げることが出来ずにいる。完全な膠着状態と言って良い。
とはいえ、不利なのは猛毒状態の向こうだ。
こちらの『まきつく』が切れるタイミングで、ミロカロスをボールに戻す。続けてイーブイを出した。
これで『アンコール』の縛りも関係ない。これまでのイーブイとジュカインのバトルで、俺が真正面から戦う素直なトレーナーだと思ったのだろうが、所がどっこい、こういうバトルもできるんだよーん!
数の有利を作るメリットをこれでもかと押し付けていく。マキシマム仮面も仕方ないとばかりに、最後の技に『じこさいせい』を指示した。少しでも猛毒の時間を稼ぐつもりなのだろう。
こちらは『アドバンスシフト』でイーブイからリーフィアに進化した。ヌオーは既に四つ技を使ったので、こおり技を受ける心配もない。
そのまま弱点の『リーフブレード』を指示するが、ヌオーもやはり接近戦には強く。ブレードになっている尻尾の付け根を掴んで『たたきつける』で反撃してくる。
やはり、今回選んだメンバーでは、ミロカロス以外に接近戦で勝ち目はないか。猛毒逃げ切り以外の択はないな。
イーブイも残り体力がそう多くないので、今の一撃でミリまで追い込まれた。こうなれば、最後の技として『こうごうせい』を指示する。体力を回復させつつ、時間を稼ぐのが勝利への道だ。
当然、マキシマム仮面も『アンコール』を指示してくる。その瞬間、こちらはイーブイを戻してミロカロスを送り出した。
そのまま今度は水中に逃がす。
近距離に寄られたら『まきつく』で対応だ。後は距離を取って毒殺すればいい。悔しいが、あの体術と『たたきつける』に対応できるポケモンはもうミロカロスしかいなかった。
しかし、それとバトルの勝敗は別の話だ。
ヌオーも必死にミロカロスを追って行くが、猛毒がどんどん蓄積していく上に『じこさいせい』も挟まないといけないのでなかなか追いきれない。
だが、ヌオーも意地でミロカロスを掴んで投げようとするが、『まきつく』の前になすすべもなく屈している。最後は猛毒に回復が追いきれなくなり、ヌオーも戦闘不能になった。
マキシマム仮面も「真っすぐで元気な少年だと思っていたが、想像以上にクレバーな面もあったな!!」と、素直に負けを認めている。
改めて、四つ目のジムバッジであるフェンバッジを受け取った。まさか、ヌオーの体術が通用しないとは思わなかったようで、マキシマム仮面も「『まきつく』か! あんな抜け道があったとは」と、驚いた様子を見せている。
とはいえ、対応できたのは半ば偶然だ。もし、今回のガチ戦メンバーにミロカロスを選んでいなかったら、負けていたのはこちらだったかもしれないな。
追記。マキシマム仮面の正体は、まさかのマキシだった。な、なんだってー(棒)!?
原作との変化点。
・ヒカリの現状について。
まだ安定していないが、実力が伸びたのは間違いない。ニューサトシも、あの時の力をすぐに発揮できるようにスパルタしている。
・第80話『ヤンヤンマ! ゲット作戦!!』より、ムサシの元気を出させようと横取りを画策した。
ムサシもミクリカップで負けたことに何だかんだショックを受けていたので、コジロウとニャースがヤンヤンマをゲットさせて喜ばせようと動いた。結果、作戦は成功し、気が付けばヤンヤンマはメガヤンマに進化している。
・第81話『灼熱のヒコザル!』より、シンジにメンタル面の訓練について教えた。
モウカザルに進化して、『もうか』の片鱗を見せたことから、シンジがニューサトシのやり方を素直に認めて教えを請うた。話が合うせいで、気が付いたらかなり時間が経っていた。
・グライガーがトラウマを作らなかった。
原作だと、グライガーとグライオンでバトルさせられたことで、バトル恐怖症になるが、今回シンジとバトルしていないのでトラウマが作られなかった。
・ガチ戦準備を始めた。
前回がジム戦だったので、今回はガチ戦。イーブイ、ジュカイン、ミロカロスの三体をチョイスしている。イーブイ以外は割とレベルが低め。
・第82話『ノモセ大湿原のグレッグル祭り!?』より、ニューサトシがお祭りを楽しんだ。
基本的なイベントは原作通りだが、それ以外にもお祭りを楽しんでいる。ノモセ名物であるグレッグル焼きは当然として、水風船にお面、盆踊りと、いろいろ楽しんだ。地味にラティが水風船を気に入っている。
・第83話『ノモセジムVSマキシマム仮面!!』より、後半の巻き返しが凄かった。
前半はアドバンスシフトのわからん殺しが刺さったが、スピードが売りのフローゼルや、近接絶対殺すマンヌオーなど、向こうもいろいろ曲者が揃っている。特に、ヌオーは、原作無印編のマダツボミ並に近接戦を極めつつあった。
・マキシマム仮面の正体。
まさかのマキシだった。な、なんだってー、きづかなかったー!
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.64
ピジョット Lv.59
バタフリー Lv.59
ドサイドン Lv.62
フシギバナ Lv.60
リザードン Lv.64
カメックス Lv.60
キングラー Lv.60
カモネギ Lv.60
エビワラー Lv.59
ゲンガー Lv.61
コノヨザル Lv.59
イーブイ Lv.59→60
ベトベトン Lv.59
ジバコイル Lv.59
ケンタロス Lv.59
ヤドラン Lv.59
ハッサム Lv.60
トゲキッス Lv.58
プテラ Lv.59
ラプラス Lv.59
ミュウツー Lv.75
バリヤード Lv.59
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.58
カビゴン Lv.58
ニョロトノ Lv.58
ヘラクロス Lv.57
メガニウム Lv.57
マグマラシ Lv.57
ラティアス Lv.53
ヘルガー Lv.56
ワニノコ Lv.57
ヨルノズク(色違い) Lv.55
カイロス(部分色違い) Lv.56
ウソッキー Lv.55
バンギラス Lv.61
ドンファン Lv.55
ギャラドス(色違い) Lv.56
ミロカロス Lv.50→51
ラグラージ Lv.52
オオスバメ Lv.51
ジュカイン Lv.51→52
ヘイガニ Lv.50
フライゴン Lv.55
コータス Lv.50
キルリア(色違い) Lv.41
オニゴーリ Lv.48
ワカシャモ Lv.47
メタング(色違い) Lv.39→40
エテボース Lv.40
ムクホーク Lv.37→38
ナエトル Lv.37→38
ブイゼル Lv.39→40
ムウマージ Lv.44
ヒポポタス LV.35→36
ミカルゲ Lv.55
グライガー Lv.25→28