13歳 η月μ日 『そうか、もう夏か』
テンガン山の麓で、ナナカマド博士が主催するポケモンサマースクールなるものが開催されるらしい。
当然、参加するぜ――と、意気込んでいたのだが、何故かニューサトシだけは教師側での参戦となっている。ナナカマド博士に、「君はこっち側だ」と、教師陣の方に加えられた時は何が起きたのかよくわからなかった。
「オーキド博士から、サトシ君は教員を論破するほど優秀だから教師側にした方がいいとアドバイスされてね」
チッ、適当な知識しかない教員を泣かせて遊ぶ計画が見透かされていたか! いや、待て、オーキド博士ならともかく、ナナカマド博士ならまだ手はある。
「いえ、僕なんてまだまだ未熟です。前のミクリカップでも負けてしまいましたし、もっと自分を磨くためにも、このポケモンサマースクールでいろいろ学びたいと思いまして」
どうだ? このいい子ちゃんモードは。
これを見て、誠実さを感じない奴はいない。これで子供側に交じって論破ごっこしてやるぜ。
「驚いた。オーキド博士が言った通りだ。強引に教師側にしようとすると、嫌がって低姿勢になるからほだされないようにと言われていたが……何も知らなければ、生徒側で参加させてしまっていたな」
チィッ! 爺め、余計な真似ばかり!
流石にこの状況では生徒側で潜り込むのは無理なので、渋々教師側で参加することにした。こうなれば、知識の暴力で生徒を甚振りつくしてやるぜ。
と、渋々作戦を変更していると、ヒカリとタケシもポケモンサマースクールに参加するようだった。みれば、前にタッグバトルでヒカリと組んでいたコウヘイも参加している。
ラティも参加したがっているが、ラティはポケモンなのでトレーナー側の勉強をするスクールに参加しても意味があまりない。けど、こういうのは友達と遊ぶのが楽しいのだ。
俺が教師側で参加する代わりに、ラティを生徒側で参加させて貰うようにナナカマド博士に頼み込む。その際に、博士にだけはラティが伝説のポケモンのラティアスであることを話し、俺にサポートさせて貰えるようにお願いした。
博士も、ラティがポケモンということにかなり驚いていたが、むしろそれも面白いとばかりに参加を許可してくれている。また、ラティへのサポートも許可された。一応、俺のポケモンだからな。俺がサポートするのが筋というものだろう。
本番は明日からということで、今日はあくまで顔合わせ程度だが、どうやらニューサトシが子供なのに教師側というのが納得いかないという生徒達が多かった。
博士に許可を貰い、物理と知識の両方で生徒達をボコボコにしていく。中には、ニューサトシがチャンピオンリーグトレーナーだということを知っている子もいたが、去年お休みしたせいで知名度が落ちたのか、参加者の七割がニューサトシに挑んできた。
当然、苦も無く一蹴している。
中には、コウヘイのように知識で挑戦してくる奴らもいたが、ポケモンの知識で俺に勝てると思うなよ。薄れている記憶でも、ポケモンの知識だけはハッキリしている。
コウヘイのようになまじ半端に知識があるような奴は、逆にカモだった。知識の暴力で相手が許してくれと泣くまで知恵を授けていく。今日一日でかなり賢くなったぞ、良かったな!
あまりに悲惨な状況にヒカリやタケシは苦笑いしているが、ナナカマド博士も俺を特別に教師にした都合上、これは仕方のないことだと納得してくれたようで、今日はニューサトシの自己紹介兼生徒への知識の暴力で幕を下ろした。
追記。結局、半日ほどかけて、物理でも知識でも、ニューサトシが人に教えるのに問題ない実力があると全員に納得させた。コウヘイなどは俺を怖がって近寄らなくなってしまったが、明日からは遠慮なく扱いていくからよろしくな!
13歳 η月ν日 『ポケモンサマースクール 一日目』
ニューサトシは教員側なので、生徒よりも出勤時間が早い。とはいえ、毎朝五時からトレーニングをしているニューサトシが遅刻などするはずもなく、他の先生より早く出勤して授業の準備を始めていた。一度やると決めた以上は全力でやるのがニューサトシである。
ラティも起きるのは早い方なので、ニューサトシにくっついて一緒に学校にやってきた。初めての遠足ではないが、初めての学校にずっとウキウキしている。
ちなみにタケシやヒカリも起きていたが、ヒカリの髪がだいじょばないので、タケシが付き添ってあげていた。これで遅刻してきたら遠慮なく減点してやろう。ククク。
そんなこんなで、ギリギリ遅刻せずにやってきたヒカリとタケシを迎え入れ、早速チーム分けを始めることにした。
チーム分けとはなんぞやと思うかもしれないが、どうもこのサマースクールでは、赤組、青組、緑組に分かれて得点を競い合うことになっているらしい。
見れば、ラティは赤組のようで、続くヒカリ、タケシも同じ赤組だった。同じ組なら、二人がラティをサポートしてくれるだろうし大分楽になったな。ちなみにコウヘイは青組である。
初日のプログラムは、全員の自己紹介も兼ねて、ナナカマド研究所で管理しているポケモンと仲良くなることだった。
全員、一つずつモンスターボールを手に取り、一日かけて選んだポケモンと仲良くする。そして、明日のプログラムで、選んだポケモンでバトルをし、如何に心を通わせられたが評価の対象となるらしい。
しかし、ラティはポケモンなので、モンスターボールの扱いがわからないのか、ボールを片手に首を傾げている。いつもはボールを投げる側じゃなくて、出て来る側だもんな。
ニューサトシがラティのサポートをしようとすると、その前にアオイを名乗る男の子っぽい女の子が、ラティにちょっかいをかけている。「お前、ボールの投げ方も知らないのかよ」と煽られて、ラティが少しムッとしていた。
だが、口は悪いが、根は優しい子のようで、何だかんだ言って、「こうやって投げるんだよ」と、ラティにボールの投げ方を教えてあげている。
ふむ、下手にサポートするより成り行きを任せるか。これも、ラティにしてみれば、いい経験だろうしな。と、いうことで、ニューサトシは気配を消して空気になることにした。
ラティもアオイの投げ方を真似しながら、何とかボールを投げて中のポケモンを出している。
ラティが選んだのは、どうやらライチュウのようだった。しかし、臆病な性格なのか、ラティが近づくとすぐに『あなをほる』で地面に隠れてしまっている。
対するアオイはモウカザルだったようだが、このモウカザルもなかなかに反抗的で、アオイのいうことを聞こうとしない。これを一日で慣らすのは結構大変そうだな。
ヒカリはどうやらベトベターだったようで、あまりコンテストに向かないポケモンでも良さを引き出す練習として、ベトベターのことをしっかりリードするつもりらしい。
ベトベターもヒカリのことを気に入ったのか、早くも言うことを聞いていた。ヒカリは気持ちを素直に伝えるから、何だかんだでポケモンに好かれる性格をしているんだよな。
タケシはコイルだ。そういえば、この前シェイミにもあったし、前世だとこの辺りでコイルさんは人気投票第二位になったんだっけか。
まぁ、ニューサトシもジバコイルを持っているし、コイルもタケシを嫌っている様子はないので、こちらもあまり問題はなさそうだな。
やはり、問題はラティか。俺の代わりにトレーナー役はやったことがあっても、そういう時はピカ様や他のポケモン達がサポートしてくれていた。実際にトレーナーになった訳ではないので、勝手がわからずに困り果てている。
アオイもアオイで、自分のモウカザルを手懐けるのに手一杯みたいなので、そろそろニューサトシ先生がラティを助けてあげることにした。
「ラティ、困ってるか?」
「こまったる」
「たるじゃなくて、てるな。何を困ってる?」
「ライチュウ、でてこない」
「なんで出てこないか、わかるか?」
「こわがってる」
「そうだな。じゃあ、ラティは何してあげればいい?」
「ライチュウ、たすけたげる」
「自信をつけてやるってことだな。間違ってないぞ」
「どうたすける?」
「やり方がわからないか? なら、アドバイスだ。今まで俺がどうやってポケモン達と触れ合ってきたか、それを思い出してみな」
もう二年近くも一緒にいるのだ。ラティも、俺がポケモンを捕まえて育てていくのを何度も見てきた。ちゃんと考えれば、どうすればいいかわかるはずだ。
ニューサトシのアドバイスを受けて、少し悩んでいたラティだが、すぐに気を取り直すと――
「ラティといっしょたたかう」
――と、穴に隠れるライチュウにラティが声をかけた。そうだ、まずは意思疎通。そこから関係性を作っていくのが、ニューサトシのやり方である。
だが、ライチュウはいやいやと首を横に振っていた。怖いのだろう。しかし、ラティは「こわくない。ラティいる。こわいやつはラティがたおす」と、ライチュウを元気づけていた。
ライチュウも、ラティが人間に化けているだけのポケモンであることには気づいているのだろう。その言葉に嘘がないとわかると、穴から顔を出してラティをジッと見ている。
「ラティ、とれーなーじゃない。ライチュウ、いっしょたたかう」
でも自分はトレーナーじゃないから、ライチュウも一緒に戦って欲しいと真摯にお願いしていく。
だが、恐怖が勝るのか、ライチュウはそれでも首を横に振っていた。そんなライチュウをラティが抱き上げる。
「だいじょーぶ! ライチュウ、つよい。いっしょたたかう!」
ヒカリの口癖が移ったのか、やけに大丈夫だけは流暢だ。しかし、ライチュウもラティの言葉に迷っているのか、逃げることはなくなっていた。後は時間の問題だな。
一時間目はとりあえずこれで終了。続く二時間目もポケモンとの触れ合いを継続する。
ラティは時間を使ってライチュウを説得していた。また、時にはピカ様の力を借りて、ライチュウをよいしょして自信をつけさせている。
ピカ様もコンテストを通じて演技が上手くなったので、やられ役が様になっていた。俺のアドバイスを生かして、少しずつライチュウとの仲を深めているのを見ると、ラティも成長したなぁと改めて実感する。
後は、ラティがトレーナーとして指示が飛ばせるかだが、そこはもうラティ次第だな。
やる気があれば助けてやるが、ラティから何も言ってこなければこちらから動くつもりはない。過保護すぎても駄目だしな。けど、どうしても駄目そうならヒントだけ出してやろうかな(過保護)。
追記。ポケモンサマースクールはポケモンとの触れ合いが全てではない。中には勉学の授業も当然含まれており、居眠りをこいたアオイはグラウンド100周の刑に処している。ラティは頭を抱えながらも頑張ってノートを取っていたが、どうもコウヘイは俺にビビッて何も言ってこないので、逆に問題を全部当てて、答えた結果を無駄に補足してやるという責め苦を行った。「もう止めてくれぇ」と言いながらメガネが割れていく。楽ちい!
13歳 η月ξ日 『ポケモンサマースクール 二日目』
朝、いつものようにトレーニングをしていると、ラティが「バトルおしえるほしい」と言ってやってきた。
また微妙に言葉が間違っているが、どうやらバトルのやり方を教えて欲しいようだ。まぁ、ラティは指示される側で、指示経験はゼロだからな。このままではまずいと思ったのだろう。
当然、教えを請われたなら教える。が、ここでラティにバトルのいろはを叩き込むにしても残りの時間では教えきれなかった。
いくらこちらの言葉がわかると言ってもラティはポケモンだ。伝わるように話すだけでも普通の人間に教えるよりも時間がかかる。
ので、手っ取り早く、ライチュウとのコンビネーションのみに的を絞って教えることにした。テストでいうヤマを張るという奴だ。
そもそも、初心者にポケモンバトルの機微を詳しく説明するにはある程度の時間が必要なのである。
特に俺は基礎を時間かけて教えるので、ラティにその時間がない以上、裏技を使う以外にない。まぁ、昨日一日をライチュウとの関係性に当てた以上、仕方ない部分はあるけどな。
まずは、ポケモン図鑑を開いてライチュウが使える技を確認する。そこから、実戦で使える技を四つセレクトした。
遠距離用の『10まんボルト』、移動用の『でんこうせっか』、攪乱用の『かげぶんしん』、近距離用の『きあいパンチ』だ。
とはいえ、普通に『きあいパンチ』を真正面から使っても止められるので、あくまできあパンは『かげぶんしん』で相手がライチュウを見逃した場合に限定する。
後は、基本的に遠距離から攻撃だ。『10まんボルト』を軸に、近づかれたら『でんこうせっか』で距離を取って『10まんボルト』。逃げられなさそうになったら『かげぶんしん』でかく乱して、『きあいパンチ』で殴るか、距離をとって『10まんボルト』を連打する。
こうして、パターンを事前に決めてやれば、いくらラティがバトル初心者でも素人相手ならそれなりに戦えるだろう。
もし、相手がじめんタイプだった場合は『10まんボルト』を『スピードスター』に変更だ。他にイレギュラーが発生したら諦めろ。対応策を教える時間はない。
しかし、ラティもバトルの心得自体はあるし、後はライチュウとのコンビネーションを深める練習をすることにした。
ピカ様がやられ役として立候補してくれたので、こちらからは攻撃せずにラティ達のバトルに付き合っていく。やはり指示が覚束ないが、そこはライチュウが上手く汲み取ってくれている。
ライチュウのパワーはなかなかのもので、特に近距離は目を見張るものがあった。『きあいパンチ』は大岩すら砕き、『かげぶんしん』からの『きあいパンチ』も考慮に入れられるレベルだ。
これで性格が臆病じゃなかったら、もっと接近戦を主体にしても良かったのだが、ライチュウの性格を考えると、やはり遠距離攻撃主体の動きがベストだろう。
ラティもやることを絞ってやった甲斐はあって、それなりにはバトルが出来るようになった。
ライチュウもかなり自信をつけたようで、逃げる素振りは見せなくなっている。後は本番を待つだけだな。
と、いう訳で、こちらも時間なので、ニューサトシも先生としてのお仕事をしていく。どうも無駄に優秀だからか、大人組がニューサトシを頼って来るのだ。
全く、天才過ぎて困っちゃうね!
しかし、頼られると調子に乗って無駄に結果を出してしまうのがニューサトシクオリティ。サマースクール二日目にして、教師陣の中でも頭一つ飛びぬけてしまっている。
やはり、天才。
と、圧倒的自画自賛しながら仕事をしていると、遂にポケモンバトルを始める時間になった。
どうやらラティの相手は、昨日ちょっかいを出されたアオイのようで、アオイも上手くモウカザルと仲を深めたのか、昨日の諍いが嘘のように仲良くなっている。
だが、仲良くなったのは相手だけではないと、ラティもライチュウと仲良くなっていた。
いざバトルが始まると、練習通りに遠距離では『10まんボルト』、寄られたら『でんこうせっか』で距離を取り、『10まんボルト』。どうしようもなくなったら『かげぶんしん』で逃げて『10まんボルト』で上手くアオイを翻弄している。
まぁ、バトルをある程度経験した人間じゃなきゃ、ラティがパターンを決めて動いているのは気付けないよな。もし相手がコウヘイ辺りだったら話は変わっていたかもしれないが、どうもアオイはバトルをそこまでしてこなかったようで、ラティが一方的に押している。
最終的には『かげぶんしん』からの『きあいパンチ』が上手く決まりKO勝ち。ラティとライチュウが一緒になって大喜びしていた。
しかし、ラティ達の所属する赤組は、三クラスの内最下位となっている。いくら、ラティ達が頑張っても、他のメンバーがマイナスでは上位に行くのは難しいということだ。
特にラティに負けたアオイは、昨日も授業でマイナスをくらっている。勿論、アオイだけのせいではないが、高得点を取って逆転するなら全員の力を合わせないと駄目だろうな。
原作との変化点。
・第88話『ポケモンサマースクール開講!』より、ニューサトシが無理やり教師役にされた。
毎年ポケモンキャンプをしているオーキド博士のアドバイスのせいで、ニューサトシは教える側にさせられた。論破しまくって教師役の面目を丸つぶれにする作戦が白紙になってニューサトシが唇を尖らせている。とはいえ、生徒側にするとパワーが有り過ぎるので当然の配慮だった。
・教師になったことで、生徒側を勉強させて楽しむことにした。
いつもの知識を使ったアレである。一見、苛めのようにも見えるが、やっていることは知らない知識を教えているだけなので質が悪い。特に賢さを自慢しているコウヘイがターゲットになった。
・ラティがニューサトシの代わりに参加した。
原作のサトシ君ポジション。そのせいで、原作と違ってラティとアオイが仲良くなっている。ニューサトシとのフラグ? そんなもんないよ。
・ラティがトレーナー側の動きを勉強している。
ポケモンなのにトレーナーって、もう無敵じゃんね。ミュウツーかな?
・流石に一夜漬けでは無理があったので、ニューサトシが秘策を伝授した。
いくらラティが頑張り屋さんでも、一晩で出来ることには限りがあるので、バトルの仕方については指示を固定することでヤマを張らせた(流石にたくさんの技の中から、状況に応じて技を選ぶというのはラティには難しすぎるため)。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.64
ピジョット Lv.60
バタフリー Lv.60
ドサイドン Lv.62
フシギバナ Lv.60
リザードン Lv.64
カメックス Lv.60
キングラー Lv.60
カモネギ Lv.60
エビワラー Lv.60
ゲンガー Lv.61
コノヨザル Lv.60
イーブイ Lv.60
ベトベトン Lv.59→60
ジバコイル Lv.59→60
ケンタロス Lv.59
ヤドラン Lv.59
ハッサム Lv.60
トゲキッス Lv.58
プテラ Lv.59
ラプラス Lv.59
ミュウツー Lv.75
バリヤード Lv.59
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.58
カビゴン Lv.58
ニョロトノ Lv.58
ヘラクロス Lv.57
メガニウム Lv.57
マグマラシ Lv.57
ラティアス Lv.53
ヘルガー Lv.56
ワニノコ Lv.57
ヨルノズク(色違い) Lv.55
カイロス(部分色違い) Lv.56
ウソッキー Lv.55
バンギラス Lv.61
ドンファン Lv.55
ギャラドス(色違い) Lv.56
ミロカロス Lv.51
ラグラージ Lv.52
オオスバメ Lv.51
ジュカイン Lv.52
ヘイガニ Lv.50
フライゴン Lv.55
コータス Lv.50
キルリア(色違い) Lv.41
オニゴーリ Lv.48
ワカシャモ Lv.47
メタング(色違い) Lv.40
エテボース Lv.40
ムクホーク Lv.38
ナエトル Lv.38
ブイゼル Lv.40
ムウマージ Lv.44
ヒポポタス LV.37
ミカルゲ Lv.55
グライオン Lv.31