ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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♯209 『ふーん、そっか、知らないんだ』

 13歳 η月χ日 『泥沼ファイト』

 

 野良バトルということで、三対三の入れ替え制。どちらかのポケモンが全て戦闘不能になったら負けというルールを提示すると、メリッサから「レベルは50で統一しまショウ!」と、逆に提案された。

 確かに、コンテストで使うレベルを統一する装置を使えば、全部のポケモンがレベル50で戦える。前世のフラットバトルにより近くなって面白いな。

 

 当然、OKする。

 

 いざ、バトルスタートということで、お互いに一体目を出した。俺はメタング、メリッサはフワンテである。

 聞けば、このフワンテはタマゴから孵して育成している最中だという。成程、だから他のポケモンよりレベルが低くて出せないからレベルを50に統一させに来たのか。

 

 こちらも、メタングに体の調子はどうだと確認を取った。バトルで自分のレベルより上になるのは初めてだからか、メタングも微妙に違和感があるようだが、問題ないと頷いている。

 ならば、先手必勝だ。

 得意の『バレットパンチ』で先制を取っていく。ダンバルの時から重量級のメタングではあるが、先制技を持っているのでスピード戦でも負けはしない。

 

 ふわふわ浮いているフワンテに一撃を入れていく。しかし、フワンテはその軽さを利用してダメージを受け流していた。

 まるで柳に風。

 メタングもあまりの手応えのなさに動揺している。まるで花弁のように舞うフワンテの動きはコンテストバトルで培ったものだろう。そのまま、『おにび』で反撃してきた。

 

 この攻撃もコンテストの動きが組み込まれ、通常のバトルとは違う動きで、相手に攻撃を避けづらくさせている。

 とはいえ、こちらも伊達にコンテスト慣れはしていない。通常なら避け難い攻撃も上手くタイミングを掴んで回避させていく。

 

 フワンテは基本的にアタッカータイプじゃない。必然的に状態異常をメインとした立ち回りとなるのだろう。

 メリッサも、何とか『おにび』を当てようとあの手この手で動きを変えてくる。こちらも躱していたが、一つだけどうしても避けられないものがあった。

 

 流石に火傷になるのはまずい。咄嗟に『みがわり』を指示して、状態異常を防いでいく。

 

 メリッサは続けて『ちいさくなる』を指示して、フワンテを小さくした。姿を消してからの奇襲で『おにび』を当てようという魂胆だろう。だが、マサラアイを持つニューサトシは小さくなっても相手の動きを見失うようなことはない。

 相手がフワンテなので、本来であれば、自身のHPと引き換えに相手のステータスを大幅に下げる『おきみやげ』も警戒対象だが、メタングの特性である『クリアボディ』は、ステータスが下がらない特性なので、今回は無視してもいいだろう。

 

 と、すると、残りの警戒技は状態異常の時に威力が二倍になる『たたりめ』と、ゴーストタイプの必殺技である『みちづれ』くらいか。

 おそらく、メリッサも残りの二つはそれで攻めるつもりだろう。『ちいさくなる』で惑わせて『おにび』で状態異常にし、『たたりめ』で叩く。やばくなったら『みちづれ』で完璧な布陣だ。

 

 しかし、小さくなって尚、縦横無尽に動くフワンテをニューサトシは見失っていなかった。メリッサも攻めるタイミングを計っているようだが、こちらの視線がフワンテから外れないので動けずにいる。

 メタングは見失っているようだが、俺の指示に素早く反応できるように集中しているので問題ない。それに、まだ『みがわり』が残っているので、メリッサはこれを何とかしないとこちらに変化技を仕掛けることは出来なかった。

 

 向こうが攻めてこないなら、こちらから攻めよう。相手が飛んでいるのなら飛べないようにしてやるまでだ。

 

「メタング! 『じゅうりょく』!」

 

 フィールド内の重力が変化し、ポケモン達に重くのしかかっていく。メタングはまだ自身の技なので耐性があるが、小さくなって空を飛んでいたフワンテは地面に強く叩きつけられて元の大きさに戻っている。

 この技は自分を含む相手の動きを制限するが、命中率も5/3倍にする荒業だ。向こうの攻撃も当たりやすくなるが、こちらにはまだ『みがわり』がある。

 

 メリッサも『たたりめ』を指示して、即座に『みがわり』を壊していく。こちらはゴーストが弱点なので耐えるのは不可能だった。だが、返しの『サイコキネシス』が直撃し、フワンテにも大ダメージを与えていく。

 こちらは全て技を使い切ってしまったが、『じゅうりょく』のせいでフワンテも技を受け流せず大ダメージを受けている。メリッサも負けじと『おにび』で状態異常にしようとしてくるが、こちらも『みがわり』で状態異常は回避した。

 

 とはいえ、『みがわり』二回で体力は半分になっている。ダメージレース的にはほぼ五分だ。

 

 ここでメリッサは一度、フワンテをボールに戻した。入れ替えありなので、当然不利になったら引くのも有りだろう。

 こちらもメタングをボールに戻すか悩むが、『みがわり』が勿体ないのでバトルを継続することにした。二体目として、メリッサはヨノワールを出してくる。

 

 まだフィールドに『じゅうりょく』の影響が続いている今、耐久が低いポケモンを出しても狙い撃ちにされるだけだ。

 だからこそ、メリッサも耐久の高いヨノワールを出して、フィールドが元に戻るまで凌ごうと考えたのだろう。純粋なゴーストタイプであるヨノワールは、あくとゴースト以外の弱点がない。耐久の低いフワンテと違って、体力を削りきるには時間がかかりそうだった。

 

 向こうは、『シャドーパンチ』で素直に『みがわり』を破壊しに来たので、こちらも『サイコキネシス』でダメージを与えていく。

 しかし、メタングはそこまで特殊攻撃が強くないこともあって、ヨノワールにはあまりダメージが与えられていなかった。戻すならここだな。

 

 こちらもメタングを戻していく。今のメタングではヨノワールの耐久を突破するのは難しい。

 それに、メリッサはおそらく次に『かげうち』で先制攻撃を狙ってくるだろう。そうなれば、もう『みがわり』を張るだけの体力が残るかどうかも怪しくなり、後々こちらが不利になっていく。引き際を弁えないと犬死するだけだ。

 

 メリッサもこちらがそう読んだのは理解したようで、「Whoo! ベテラントレーナーのような読みですネー!」と称賛してきた。

 見て居るヒカリやノゾミにはまだ理解できないのか、首を傾げているのでタケシが補足してあげている。これでもタケシは元ジムリーダーなので、俺がメリッサの動きを読んだことを理解しているのだ。

 

 二体目はどうするか――と、考え、まだ『じゅうりょく』の影響が残っていることを考慮して、こちらの二体目はオニゴーリに決めた。

 こいつも進化してからはろくにバトルもせず、研究所に送ってしまったからな。この機にバトルさせてやろうと呼び寄せておいたのだ。

 

 まずは挨拶がてらに『ぜったいれいど』を指示していく。流石に一撃必殺は『じゅうりょく』の効果を受けないが、相手が動けない以上、命中率は自ずと上がる。

 メリッサもヤバいと思ったのか、完全防御の『まもる』で攻撃を防いだ。まさか、初っ端から一撃必殺が飛んでくるとは思わなかったのか、苦笑いを浮かべている。

 

 同時に、『じゅうりょく』の影響がなくなり、フィールドが元に戻っていく。

 

 オニゴーリもまだレベル50を超えていないので、レベル固定でレベルが上がっている。調子を確認してみるが、特に問題はなさそうだった。

 さーて、流石にもう一撃必殺は警戒されているだろうし、ここはオーソドックスに真正面から攻めて行こう。『かみくだく』を指示して、弱点を突いていく。

 

 向こうも『ほのおのパンチ』で弱点を狙ってきた。そのまま互いの弱点攻撃が直撃していく。

 こちらはタイプ不一致だが、『かみくだく』の威力は80ある。対して向こうはタイプ不一致だが、『ほのおのパンチ』の威力は75。だが、攻撃種族値はヨノワールの方が20高い。つまり、ほぼ互角。

 

 メタングが1/4程度だがダメージを与えていたこともあって、ダメージレースではこちらが有利なものの、メリッサも引く気はないようで、「近接の魅力は殴り合いデース!」と、再び『ほのおのパンチ』を指示してくる。

 ならば、こちらも『かみくだく』で応戦しようではないか。オニゴーリは重量級のポケモンなので殴り合いをしてなんぼだ。

 

 お互いに弱点攻撃でぶつかり合っていく。

 

 ヨノワールの体力が半分を割り、オニゴーリの体力も半分近く削れる。おそらく、メリッサの狙いは体力をギリギリまで削っての先制技だ。

 まだ相手は最後の技に『かげうち』を残している。おそらく、お互いの体力がギリギリになったら先制技で勝負を決めに来るつもりだろう。しかし、こちらにも『こおりのつぶて』がある。先制技対決ならば、こちらが有利だ。

 

 ――と、考えていると、「甘いですヨ!」と叫んで、メリッサが『まもる』を挟んできた。

 

 しまった、読み違えた。防御技を失念していた。オニゴーリの攻撃が弾かれて、体勢が崩れる。すかさず『ほのおのパンチ』の追撃で、オニゴーリが吹き飛ばされた。

 これでダメージレースは五分に戻される。

 だが、やられたままでいるつもりはない。『フリーズドライ』を指示して、遠距離から攻撃して行く。だが、メリッサも最後の技である『かげうち』で攻撃を回避してきた。

 

 影に潜って技を回避し、そのままオニゴーリに一撃を与えていく。

 

 技の使い方が上手い。本来、『かげうち』は相手の影から拳だけ出して攻撃する技だが、ヨノワール自身が影に潜ることで、移動技として使っている。

 相手の攻撃を透かして、自分の技を最大限に生かすのはコンテストならではの動きだ。フワンテもそうだったが、メリッサは宣言通りコンテストとバトルの要素を徐々に取り入れつつある。

 

 だが、向こうが『まもる』で確定数をずらしてきたのなら、こちらもずらすまで。最後の技として、『ゆきげしき』を指示する。

 これで天候が雪に変わった。メリッサも『ほのおのパンチ』で追撃してきたが、一瞬こちらの方が早い。雪状態ではこおりタイプのポケモンは防御力が1.5倍になる。

 

 オニゴーリに『ほのおのパンチ』が直撃するが、ダメージは先程よりも格段に低くなっていた。

 この『ゆきげしき』という技、どうやらシンオウではマイナーな技のようで、雪状態という天候にメリッサが困惑している。ふーん、そっか、知らないんだ。

 

 吾輩! わからん殺し、だーいちゅき!

 

 反撃に『かみくだく』を指示していく。向こうも『ほのおのパンチ』を繰り出すが、防御が上がっているので、相手の攻撃を二発受けて初めて『かみくだく』一発と威力が並ぶ。

 この世界はアニポケなので、ゲームのようにポケモンにHPバーは存在しない。あくまでトレーナーはバトルするポケモンの様子や、経験でダメージを計って勝負を仕掛けていく。

 

 しかし、メリッサは雪状態で防御が1.5倍になるのを知らない。いつも通りに『ほのおのパンチ』のダメージが入っていると思っているだろう。

 その勘違いは致命傷だ。

 メリッサが『かげうち』を指示する。これが通常状態なら、こちらに先制技もないので確実に勝負を決められた。だが、雪状態で防御が1.5倍になっている今、まだ『ほのおのパンチ』一回分の体力が残っている。先制攻撃の、『かげうち』では削り切れない。

 

 当然、メリッサは動揺する。その間に反撃の『かみくだく』で、ヨノワールが戦闘不能になった。

 

「What’s!? 一体、何が……!?」

「サトシ君が使った『ゆきげしき』はフィールドを雪状態にして、こおりタイプの防御力を1.5倍にする技なのよ。こっちじゃほぼ使われないからかなりマイナーな技だけどね」

 

 シロナがネタばらししてしまったが、どうせオニゴーリも体力はもう1/4もない。ばれた所でおそらく次の攻撃は耐えられないので問題はないだろう。

 メリッサがヨノワールを戻すと同時に、こちらもオニゴーリをボールに戻す。少しでも体力を回復させられれば、まだ活躍出来る可能性は残っている。

 

 メリッサが再びフワンテを出してきたので、こちらもメタングを出した。おそらく、『じゅうりょく』を受けるより先に、こちらを状態異常にするつもりなのだろう。

 こちらとしては先程のように、何とか『みがわり』を残したまま『じゅうりょく』を発動させ、有利な状況に持って行きたい。だが、メリッサも、次にこちらが『みがわり』をしたら即割って来るはずだ。

 とはいえ、『みがわり』なしで『じゅうりょく』を使えば、メリッサもこちらに合わせて『おにび』を撃ってくる。そうなれば『バレットパンチ』の火力が下がって、こちらが不利になるのは間違いなかった。

 

 しかし、この状況は俺が有利だ。メリッサとしては残された三つの技のうち、『ちいさくなる』は使えない。もし、これに合わせて『みがわり』か『じゅうりょく』を使われたら、俺が有利な状況になる。

 同じ理由で『おにび』も使えない。これに『みがわり』を合わせられれば俺が有利な状況になる。と、すると、メリッサに残された択は、四つ目の技を使うか、『たたりめ』で攻めてくるしかなかった。

 

 だが、四つ目の技を使うということは、『みちづれ』がないと公言するようなものだ。

 今は、『みちづれ』があるというプレッシャーが、こちらに攻めを躊躇わせている。実際、最終的な状況としては、相手の『みちづれ』を如何に透かして、先制の『バレットパンチ』を決めるかが勝敗のカギとなると俺は見ていた。

 

 だからこそ、迂闊に四つ目の技も使えない。不意は撃てるかもしれないが、透かされた場合、メタングが一気に攻めてくる。

 フワンテは真正面からぶつかるタイプではない以上、ガチンコになったら勝ち目はない。この状況で一か八かには出てこないだろう。

 

 故に、次の技は『たたりめ』になる――だからこそ、ここで『じゅうりょく』を被せたい所だが、もし次に『たたりめ』を受けたら、こちらがフワンテを『サイコキネシス』二回でミリまで削って『バレットパンチ』で倒す前に、向こうの『たたりめ』連打で倒されかねない。こちらも体力は半分ちょっとしかないのだ。

 

 必然的に、お互いに攻撃技を叩きつけ合うしかない。向こうの『たたりめ』に合わせて、こちらも『サイコキネシス』で体力を削っていく。

 これで、向こうは、『たたりめ』二回か、『おにび』からの『たたりめ』一回が勝ち筋。こちらは『サイコキネシス』からの『バレットパンチ』か、『バレットパンチ』三連打が勝ち筋だ。

 

 仮にメリッサが『おにび』をチョイスしてきたとして、こちらが『サイコキネシス』でミリにまで追い込めば、攻撃力が半減してもギリギリで倒し切れる――はず。確率は五分と見ているが、気合で押し込んでやる!

 むしろ、『たたりめ』で殴られるよりも『おにび』の方が体力残るから、仮にフワンテの特性が『ゆうばく』だったとしても耐えられる可能性が大きくなる。俺の計算では、『たたりめ』二回からの『ゆうばく』でもギリギリ体力は残る予定だが、余裕はあった方が良い。

 

 なので、こちらはメタングを信じて『サイコキネシス』一択――と、思い、技を指示する。

 同時に、メリッサも最後の技として『シャドーボール』を指示してきた。ここで、ミリまで追い込んで『ゆうばく』で倒し切る気か!

 

 耐えろ――と、メタングを応援していると、ここでフワンテの体がおもむろに光り出した。

 

 まさかの進化である。フワンテがフワライドに進化したことで、種族値が一気に上がり技の威力も上昇していく。

 当然、耐えられるはずの『シャドーボール』は致命傷となり、メタングの体力が削り切られる。進化して攻撃力を上げて来るとか、ズルじゃんよ。

 

 メリッサはフワンテがフワライドに進化したことを大喜びしている。くっそー、バトル中の進化は勝ち演出過ぎるだろ。

 

 メタングが申し訳なさそうな顔をしてくるが、これに関してお前は何も悪くない。まさか、あの状況でフワンテが進化してくるなんて読めるはずがないのだ。

 メタングをボールに戻して健闘を労う。確かにフワライドに進化されたのは厄介だが、それでも体力は残り少ない。仮に戻しても、もう戦えるだけの力は戻らないだろう。

 

 こちらもミリのオニゴーリを出していく。同時に、雪が消えたので防御は1.5倍ではなくなったが、フワライドに向けて『フリーズドライ』を指示した。

 向こうも、メタングとの熱戦で体力を使い切っている。避け切れずに直撃を受けて、フワライドが戦闘不能になった――と、同時に、フィールドを爆発が包み込み、オニゴーリも戦闘不能になる。やはり、特性は『ゆうばく』だったか。

 

 しっかし、本来『ゆうばく』は接触技でとどめを刺した時に発動する特性のはずだが、当然のように遠距離攻撃でも発動したな。まぁ、こうなるかもとは推測していたが――

 

 すまんな、オニゴーリ。見捨てる形になってしまったが、メリッサの最後の一体が無傷な以上、こちらも最後の一体を傷つけたくなかったのだ。

 と、ボールに戻しながら謝罪すると、問題ないとばかりにボールが揺れる。勝つことが一番大事だとわかってくれているのだ。オニゴーリのためにも、このバトル絶対に勝つぞ。

 

 お互いに最後の一体を繰り出していく。奇しくも、出てきたのは同じムウマージだった、

 

 ノゾミとのバトルでも出していたので、俺とのバトルでは出てこないと思ったが、どうやらこのムウマージがメリッサのエースポケモンのようだ。ゲームと一緒だな。

 お互いに芝居がかった動きでポーズを決めていく。どちらもコンテストバトル経験があるが故に、自分の魅せ方をよく理解していた。だが、向こうがトップコーディネーターなのに、対しニューサトシ達はまだまだ未熟者だ。この差がどうバトルに響くか――

 

「サトシ君も、ムウマージとは! 面白くなって来マシタネー!」

「胸を借りるつもりで、全力で行きますよ!」

「今にも噛みついてきそうな勢い! やはり、シロナの弟子なだけありマース!」

 

 褒められているのか、貶されているのか、どちらにしろムウマージの使い方も向こうの方が上なのは間違いない。

 まず、手始めに『シャドーボール』で攻撃を仕掛けていく。すると、メリッサも『シャドーボール』を指示してきた。弾同士がぶつかるが、どうやらメリッサはわざとこちらの弾を弾くように少し下に攻撃を当てて来たらしく、お互いの『シャドーボール』が打ちあがっていく。

 

 おまけに、技の威力もこちらの『シャドーボール』とほぼ互角だったようで、花火のように攻撃が炸裂した。まるでコンテストだ。

 

 流石にこれを見て、互いの『シャドーボール』の威力が、同じくらいと考えるほど、ニューサトシの頭はお花畑ではない。

 おそらくメリッサのムウマージはこちらの『シャドーボール』を見て、相打ちになるだけの威力で攻撃を撃ってきたのだ。

 それも、わざわざ攻撃位置を調整できるくらいのコントロール精度で。前の2体とは明らかに経験的な意味でレベルが違う。

 

 フィールドの装置のおかげでレベルこそ同じだが、蓄積された戦闘経験、コンテスト経験の差が、俺とメリッサのムウマージの実力差に直結している。

 野良バトルだからシンオウ組(オニゴーリはホウエン後期にゲットしたため準シンオウ組扱い)を出したが、素直にピカ様に任せるべきだったかもしれん。

 

 いや、臆するな。胸を借りるつもりで行くと言ったばかりだろう。

 

 改めて、こちらが『ちょうはつ』を指示すると、メリッサは続けて『ゴーストダイブ』を指示してくる。

 一ターン目に消えて、二ターン目に攻撃をする技だ。これで、『ちょうはつ』は対象を失ったことで無効になってしまう。だが、出てきた所を狙い撃ちにすればいい。

 

 ムウマージの特性は『ふゆう』だ。高く跳び上がることでフィールドを視界に入れ、メリッサのムウマージが出て来るのを逃がさない。

 万が一、後ろから出てきてもいいように、背後にも警戒するように声をかけた。これで、メリッサも迂闊には動けないはず――と、考えていると、地面から何体もメリッサのムウマージが飛び出してきた。『かげぶんしん』だ。

 

 おまけに、分身達の位置が等間隔で美しい上に、そこからの攻撃に続けられると俺のムウマージに逃げ場はない。

 何とかしたいが、分身の精度が高くて、ニューサトシも本体はすぐにわからなかった。これでは本体を狙って技を当てることが出来ない。

 

 メリッサは即座に『シャドーボール』を撃って反撃してくる。本体がわからない以上、避けるのは不可能だ。

咄嗟にこちらも『ゴーストダイブ』を使って攻撃を回避していく。相手の回避の丸パクリだが良い技は真似しないとな。

 

 と、こちらが『ゴーストダイブ』で回避し、分身達を消して回ろうとすると、メリッサがニヤリと笑った。

 

「ムウマージ! 『ふういん』デース!」

 

 こちらの攻撃が分身に当たった瞬間、向こうの『ふういん』がこちらに決まる。

 しまった――『ふういん』はその技を使ったポケモンが場を離れるまで、そのポケモンが覚えている技と同じ技を使えなくなるというものだ。このアニポケ世界でもほぼ同じ効果で、四つの選んだ技で被っている技が使えなくなる。

 

 つまり、こちらは『シャドーボール』と『ゴーストダイブ』の二つの技が死に技になったということだ。

 

 残されたのは『ちょうはつ』と、残り一つの技のみ。向こうは既に四つの技を全て使っているが、今更『ちょうはつ』を受けても、向こうは攻撃技でこちらを倒し切れる。

 逆にこちらは攻め手を失った以上、最後の技は攻撃技にしなくてはいけない。だが、この状況で一発逆転できるようなトンデモ技は持っていない。最後の一体故に、『みちづれ』でもこちらの負けとなる。

 

 こうなりゃ、一か八かだ。

 

 こちらの『ゴーストダイブ』が分身達を消したおかげで、向こうの『かげぶんしん』も消え、本体が露出している。

 それにメリッサも、『ふういん』を決めたことで、自身の勝利を強く確信しただろう。その隙を突いてやる。「こうなりゃ! 突っ込め、ムウマージ!」と、自棄になった演技をしてムウマージを突っ込ませていく。

 

「Oh! 最後は特攻デスか? あまり美しくありませんネー!」

「ああ、美しい敗北よりも泥臭い勝利の方が価値があるからな!」

 

 射程範囲に入った瞬間、『ものまね』を指示する。この技は一時的に相手が最後に使った技を使えるようにする技だ。

 メリッサのムウマージが最後に使ったのは『ふういん』――これはタマゴ技なので、俺のムウマージはまだ覚えていない。だが、イタズラ大好きな俺のムウマージは、ムウマの頃にちゃんと『ものまね』を覚えてくれていた。

 

 これにより、こちらの『ふういん』返しが決まり、メリッサのムウマージも技が使えなくなる。『どくどく』で一か八かを狙う作戦もあったが、どうせなら完全に動けなくさせてやったぜ。ざまぁみろ。

 

「はい! そこまで!」

 

 ここから泥沼の『わるあがき』戦が始まろうという所で、シロナからのストップが入る。

 

「今回は引き分けってことで終わらせましょう。ここから『わるあがき』が始まるのを見るのは流石に時間がもったいないわ」

 

 互いの攻撃技が封じられた以上、後は変化技を使い切っての『わるあがき』しか戦う手はない。

 

 残りPPを考えると俺の方が若干不利だが、そんなものは技術でどうにでもなることだった。ここから先は、一か八かの泥沼ファイト――までは見えていたが、ぶっちゃけ確実に勝利できるという訳ではないのも事実だ。

 

 それに、やっている側は大真面目でも、見て居る側はPPを使い切る作業など見たくはないだろう。

 メリッサは「そうデスネ。美しくありませんネー!」と、シロナに同意してムウマージを戻している。相手に戦う気がなくなってしまった以上、こちらが我が儘を言っても仕方ない。オニゴーリには悪いが、お返しはガチ戦まで取っておくことにした。

 

「『ふういん』を『ものまね』で返された時はビックリしマシタ。あんな抜け道を良くあの短時間で思いつきマシタネ」

「最初は『どくどく』で猛毒にしようかとも思ったんですけどね。ムウマージの猛攻を受けきれるかが怪しかったんで『わるあがき』に持ち込むことにしました」

 

 バトル後は互いに握手――健闘を労っていく。

 

 しかし、攻撃や回避にコンテストの動きを取り込むことで、予想外の動きで相手を翻弄するというメリッサのバトル。確かに、まだ未完成のようではあったが、朧気ながら完成系が見えてきたようで、「いいバトルをありがとデース!」と感謝された。

 

 ヒカリやタケシも「「いいバトルだったよ(ぞ)」」と声をかけてくれたが、シロナは「まぁまぁね。具体的に悪かった点が二つほどあるけど、聞く気は?」と、言ってきたので、「教えさせてやろう」と返す。

 俺の態度に、ノゾミが「アンタ! チャンピオンに向かって!」と、声を上げるが、当の本人は「相変わらず、生意気なクソガキねー」と、ニューサトシの頬を引っ張ってきた。ゴムゴムの伸びーるだ。

 

 

 追記。メリッサとはガチ戦の約束をして別れた。ノゾミもカンナギ大会には参加しないようでここで別れている。シロナはやはりこちらに同行するようで、今日からガチの特訓が始まることになった。しかし、チャンピオンリーグ前以外で、シロナと特訓が出来るのは地味に有難いことだ(本人には死んでも言わないが)。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第93話『踊るジムリーダー! メリッサ登場!!』より、レベルを50に固定したバトルをした。
 レベリング組からメインで選んでいる。コンテストの動きをバトルに取り入れるメリッサの動きを見て、何かがつかめそうな気がした。

・シロナとのレベリングが始まった。
 ここからはある程度ポケモンをこまめに入れ替えながら疑似ブートキャンプもしていく。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.65

 ピジョット Lv.60

 バタフリー Lv.60

 ドサイドン Lv.62

 フシギバナ Lv.60

 リザードン Lv.64

 カメックス Lv.60

 キングラー Lv.60

 カモネギ  Lv.60

 エビワラー Lv.60

 ゲンガー  Lv.61

 コノヨザル Lv.60

 イーブイ  Lv.60

 ベトベトン Lv.60

 ジバコイル Lv.60

 ケンタロス Lv.60

 ヤドラン  Lv.60

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.59

 プテラ   Lv.60

 ラプラス  Lv.59

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.58

 カビゴン  Lv.58

 ニョロトノ Lv.58

 ヘラクロス Lv.57

 メガニウム Lv.57

 マグマラシ Lv.57

 ラティアス Lv.54

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.57

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.55

 ギャラドス(色違い) Lv.56

 ミロカロス Lv.51

 ラグラージ Lv.52

 オオスバメ Lv.51

 ジュカイン Lv.52

 ヘイガニ  Lv.50

 フライゴン Lv.55

 コータス  Lv.50

 キルリア(色違い) Lv.42

 オニゴーリ Lv.48→49

 ワカシャモ Lv.47

 メタング(色違い) Lv.40→41

 エテボース Lv.40

 ムクホーク Lv.39

 ナエトル  Lv.39

 ブイゼル  Lv.40

 ムウマージ Lv.44→45

 ヒポポタス LV.37

 ミカルゲ  Lv.55

 グライオン Lv.32


 ※サマースクールの水走りについて。
 あまりに当たり前過ぎて前回後書きに書くの忘れましたが、やろうと思えばニューサトシ水の上走れます(流石に短時間ですが)。ただ当然ですが、足が沈む前に次の足を出す必要があるため、並走でカメラマンをしながらでは無理があるのでミュウツーに助けを求めました。


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