ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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♯210 『ついに追いついた』

 13歳 η月ψ日 『ミカルゲの気持ち』

 

 丁度いいので、シロナにミカルゲのことを相談した。『やすらぎのすず』を持たせ、ゲットしてからほぼ毎日バトルしているがまだ懐く気配がない。勿論、ある程度は良くなってきてはいるのだが、それでもほぼ言うことは聞かないし、どうしたものかと相談してみた。

 

「力で言うことを聞かせようとしても駄目なのはわかっているでしょう? もっとミカルゲに向き合って、この子が何に怒っているのかを理解してあげなさい」

 

 確かに、その通りだ。漠然と、封印されたことを怒っているから、その怒りが収まるまで俺がバトルに付き合ってやればいいと思っていたが、そもそも本当に封印されたことを怒っているかどうかも不明だった。

 

 一番大切なのは人とポケモンの意思疎通――それはしっかり理解しているつもりだったが、相手が怨霊で暴れるだけで言葉が通じないと勝手に決めつけていた。だが、オレはまだあいつとまともに話もしていない。これでは、ミカルゲだって懐くはずがなかった。

 

 と、いうことで、力尽きたミカルゲと話をすることにする。率直に、「お前は、何に怒ってるんだ?」と、聞いてみると、ミカルゲの記憶が波動を通じて流れ込んできた。

 

 顔は影に隠れて良く見えないが、ミカルゲがピカチュウを連れた波動使いに封印される時の映像らしきものが流れてくる。

 こうしてみてみると、この頃のミカルゲは今よりももっと怨念に塗れており、とてもゲットして一緒に連れて行ける状態ではなかったのが良くわかった。波動使いとしても、封印する以外になかったのだろう。

 

『これからお前を封印する。反省したら迎えに来るから、その時までにちゃんといい子になってろよ』

 

 最初はそんな忠告も無視して暴れていた。だが、封印がどうしようもないとわかると虚しくなり、一人で何も出来ない寂しさが、今のミカルゲの性格を形成していったようだ。

 そうして、封印から500年。長い間、大人しくしていたのに、結局波動使いは迎えに来なかった。そのことをミカルゲは怒り、同じ波動使いの俺に八つ当たりしていたらしい。

 

 そりゃ、仲良くなれるはずがなかった。封印したのは俺ではないにしても、解放した俺がミカルゲの心をまるで無視していたのだから。

 寂しかったのだ。怨念の塊といったって、500年も何も出来ずにいれば寂しいと思うだろう。俺はそんなミカルゲの気持ちを無視して、ただ怒りを発散させようとしていた。けど、そんなことを続けても、ミカルゲの寂しさは埋まらない。暴れるのを受け止めるだけでは意味がなかった。寂しさや虚しさは、そんなことではなくならないのだ。

 

「俺はその波動使いじゃないけど、今のお前のトレーナーは俺だ。だから、代わりに謝るよ。待たせて悪かったな、これからは一緒に旅をしてバトルをして楽しくやっていこうぜ」

 

 何を今さら――と、いう気持ちが伝わってくる。けど、ここからは誠意を見せていくしかない。

 ミカルゲも俺が本気だとわかると、暴れるのを止めてボールに戻っていく。これから少しずつでも、楽しい思い出を作っていけると良いな。

 

 

 

 13歳 η月ω日 『トレーナーの心構え』

 

 タケシが村の薬屋へ買い出しに行ったので、一旦シロナとのトレーニングを止めてポケモン達のお世話をしていくことにした。

 もう三年もタケシと旅をしているので、ニューサトシもいろいろと覚えてしまっている。タケシに負けないポケモンお世話術を披露しつつ、ヒカリにもお世話のいろはを教えてやった。

 

 いつもはタケシに任せているが、出来ないのとやらないのでは違うのだ。ヒカリもいつか一人で旅をする時のために覚えておいた方がいいだろう。

 実はラティもお世話は得意なので、地味にヒカリよりもポケモン達の世話が上手かったりした。基本的に構うのが好きだし、ベイビー達のお世話を率先してするので、タケシの次にポケモン達に関わっているからな。

 

 そんなラティを見ながら、ヒカリも負けられないと、いろいろお世話を始めた。まだまだ手つきが拙いが、その内慣れてくるだろう――と、思っていると、その前にイレギュラーが発生する。

 

 急に、ヒカリのパチリスの体調が悪くなってしまったのだ。高熱を出して如何にも苦しそうにしている。近くにポケモンセンターがあればいいのだが、この近辺には存在しない。

 ヒカリは「どうしよう、どうしよう!?」と大慌てだが、こういう時こそポーカーフェイスだ。トレーナーの不安や焦りはポケモンにも伝染する。シロナからも、「ハッタリで良いわ。こういう大変な時こそ自信を持ちなさい」と注意を受けていた。

 

 とりあえず、応急処置として氷水で熱を下げつつ、タケシが置いて行った解熱剤を飲ませる。後は気休め程度の波動ヒーリングで、低下している体力を回復させて自然治癒力を強化してやった。

 こういう時、波動はいろいろと便利だ。とはいえ、病気そのものを治せる訳ではない。あくまでパチリスの体力を戻して、熱と戦えるようにしているだけだ。

 

 そんなこんなでパチリスの様子を見て居ると、タケシ先生が戻ってきた。すぐに何かあったことには気づいたようなので、パチリスが熱を出したので応急処置をしたことを話すと、パチリスの容態を見て「問題ないだろう。後は熱が下がるのを待つだけだ」と、頷いている。流石はタケシ先生、この頼もしさよ。

 

 ヒカリも、「コンテストばかりじゃなくて、もっといろいろと勉強しないと……」と、今回のことを反省している。

 事情を聞いたタケシも、「いつか一人で旅をすることがあるだろうし、ポケモンセンターが近くにないこともあるだろう。だから、ポケモンが病気になった時に応急処置くらいは出来るようにならないとな」と、ヒカリを励ましていた。

 

 

 

 13歳 θ月α日 『ついに追いついた』

 

 シロナのルカリオとピカ様がぶつかり合っていく。

 

 ピカ様も久しぶりのガチンコバトルに興奮気味のようで、もっともっとと嬉しそうにフィールドを走り回っていた。

 ヒカリもピカ様の本気の動きを見て、「ほへー」とアホな顔をしている。ガチ戦を何度か見ていたが、チャンピオンと互角に戦えるほどだとは思っていなかったらしい。

 

「ピカチュウ、大分キレてるわね。うかうかしていると倒されかねないわ」

 

 確かに、動きのキレはここ最近だと一番いい。シロナが多少のブランクがあるとはいえ、波動使いであるルカリオを超える動きを見せている。

 思えば、何だかんだピカ様もレベルが70に近くなってきた。勿論、まだ70になるのは先の話だが折り返しは超えていた、故に、ニューサトシの求める動きについて来られるようになったのかもしれない。

 

 昔、シロナがレベル60を超えればニューサトシについて来られると言っていたが、あの時と今ではニューサトシもレベルが違った。

 おそらく今のニューサトシに追いつくには65はレベルが必要だ。だから、今になってようやく、ピカ様は追いついてきたのだろう。

 

 結局、ルカリオを倒し切ることは出来なかったが終始圧倒していた。ピカ様の成長を感じられるバトルだったと言っていい。これは今年のチャンピオンリーグ行けるかもしれん。

 

 

 

 13歳 θ月β日 『ポケモンコンテスト カンナギ大会』

 

 ようやくカンナギタウンに到着した。ニューサトシは前にも一度来たことがあるので、そこまで感動するようなことはない。

 ポケモンサマースクールで一週間時間を使ってしまったこともあり、着いたのはコンテスト当日になってしまった。午後からということで、まだギリギリ申し込みが可能だったため、ヒカリが滑り込みでコンテストに申し込みをしている。

 

 シロナは一度実家に戻るということで、ポケモンセンターで一度別れた。ヒカリも、母に現状を報告するということで、実家に電話をしている。

 今、カンナギに着いたと話をしていると、カンナギと聞いて、ヒカリの母がこのカンナギタウンに拠点を構えるトップポケリスト(ポケモンスタイリストの略)のユリという女性と、コンテストバトルをしたという昔の思い出を話していた。

 

 まだコーディネーターとして未熟な頃、連戦連勝で調子に乗っていたヒカリの母親を倒したのがユリだったらしい。

 結局は再戦する前に、ユリはコーディネーターを引退してポケリストになってしまったということで、今ではいい思い出だと話している。

 

 ヒカリは電話を終えると、そのユリというポケリストのいるお店に行ってみたいと言い出した。タケシやラティも興味があるようだったので、ニューサトシがお留守番をする。

 流石にシロナが戻って来るはずなので、全員いなくなるのはまずいだろう。これが俺だけなら余裕でブッチしたが、ヒカリとタケシの印象が悪くなるのはちょいとまずいしな。

 

 と、いうことで、ヒカリ達を見送ったのだが、結局はユリという女性には会えなかったらしい。まぁ、トップポケリストってくらいだから、かなり忙しいのだろう。

 何だかんだでヒカリのコンテストが近づいてきたので会場へと移動する。シロナもコンテスト自体は何度か見たことがあるようで、ヒカリの演技をとても楽しみにしていた。

 

 ニューサトシも観客席でコンテストを見るのは久しぶりだ。いつもは出る側だったからな。

 ラティもそわそわするようで落ち着きがないが、シロナが頭を撫でるとすぐに笑顔になっている。

 

 そんなこんなで一次審査が始まるのを待っていると、トップバッターに出てきたのは、噂のユリというトップポケリストだった。

 

 聞けば、20年ぶりにコンテストに出るということだが、ブランクを感じさせない凄い演技を見せてくる。

 対するヒカリも、負けじとフシギダネで一次審査に参加していた。フシギダネもずっとコンテストの練習をしてきたので、表舞台で演技が出来ることを大喜びしている。緊張した様子がまるでないのは大物の証拠だな。流石は俺とハルカのフシギバナの子だけある。

 

 演技が楽しいという気持ちが前面に出ているので、ヒカリも下手な小細工はせずに、フシギダネの魅力をそのまま表現した演技をしていた。

 長いスランプを超えてからのヒカリは良い演技をする。正直、今回は何故かいつもいるムサシもいないし、ユリの他にそこまでの実力者もいないようなので、楽に二次審査に進出していた。

 

 休憩の時間なので、一人で寂しがっているであろうヒカリを応援しに行く。控室に顔を出すと、たまたまユリがヒカリの母親と電話をしている所にバッティングしてしまった。

 ヒカリも一緒のようで、この状況にどう反応すればいいのかわからず困っている。聞けば、ユリはテレビでヒカリの活躍を見て、コーディネーターだった頃の熱い気持ちを思い出したらしく、今回のコンテストに参加することにしたようだ。

 

 また、ライバルの娘であるヒカリとコンテストバトルすることで、新たな自分を見つけられるのではないかと期待もしているらしく、ヒカリにも手加減はしないと言っている。

 

 それを聞いて燃えないヒカリではなく、「絶対負けません!」と返事をしていた。どうも、ユリはニューサトシのことも知っているようで、今回コンテストバトルが出来ないことを残念がっている。

 こっちも残念だけど、まだちょっと道に迷っている感じなんだよな。少しずつ、新たな自分の演技を模索はしているのだが、迷路の出口には辿り着けていない感じだ。

 

 と、話すと、演技だけに囚われず、いろいろなことをしている内に見えてくるものもあるというアドバイスを貰った。ありがとナス!

 

 二次審査が始まると、ヒカリとユリが互いに圧巻の演技を見せていく。ファーストステージ、セミファイナルも、ほぼ圧勝と言っていいレベルで相手を倒していた。

 だが、改めて二人の演技を見て居ると、仮にニューサトシがこのコンテストに出ていたとしても、どちらかに負けていたような気もする。自分を支える柱がぐらついているような感覚があるのだ。その柱がしっかりしないと、今までの自分は超えられない気がする。

 

 と、考えている間に、ファイナルステージが始まり、ヒカリはミミロル、ユリはエネコロロでバトルが始まった。

 ヒカリもユリも遠距離攻撃を主体に演技を組んで互角の戦いを見せていく。しかし、中盤になり、ミミロルが距離を詰めて有利な相手をかく乱しに行った。得意の回転を使った『とびはねる』でエネコロロを困惑させている。

 

 だが、接近戦を待っていたのはユリも同じだった。どうやら、ユリのエネコロロは珍しい♂のようで、特性である『メロメロボディ』でミミロルがメロメロ状態になってしまったのである。

 五割の確率で技が出せなくなるメロメロ状態だが、ヒカリは諦めなかった。ミミロルのピカ様への恋心を上手く誘導して、「ピカチュウが見てるのに、そんな姿見せていいの!?」と、声をかけることで、ミミロルも根性でメロメロ状態から脱している。マジかよ。

 

 流石にこれにはユリも驚きだったようだが、その動揺を突くようにミミロルが反撃していく。

 これが五分だった状況を覆す決定打になったようで、ほんの僅かな差でヒカリが勝利をもぎ取った。

 

 トップコーディネーターの母親ですら勝てなかったユリに無事勝利を収め、ヒカリは三つ目のカンナギリボンを受け取っている。

 何だかんだで、ヒカリのリボンも三つめか。ぼやぼやしていると追いつかれるな。俺も早く、新しい自分の演技を見つけないと。

 

 

 追記。惜しくもヒカリに負けたユリだったが、コンテストでしか味わえない熱い気持ちを思い出させてくれたヒカリに感謝をしているようで、お礼に自分のお店の服をプレゼントしてくれた。ヒカリだけではなく、俺やラティ、タケシやシロナの分もくれるというので有難く受け取ることにする。こういうオシャレな服もたまにはいいな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・ミカルゲと深い話し合いをした。
 過去のミカルゲはオヤブン個体というよりは、呪いの概念みたいな感じで、今よりももっと強かった。500年封印されたことによって今は落ち着いている。

・第94話『パチリスお熱です! 二人でお留守番!?』より、ニューサトシが応急処置をした。
 原作のように、冷水をかける真似はしておらず、あくまで偶然の発熱。だが、ニューサトシも旅の基本はわかっているので、とりあえずの応急処置はした。

・ピカ様覚醒。
 レベル65になったことで、ニューサトシの指示に完全に付いて来られるようになった。

・第95話『ポケモンコンテスト! カンナギ大会!!』より、ニューサトシは出場を辞退している。
 自分の演技を見直し中。まだ明確な答えは出ていないが、基本的な方向性が間違っている訳でも、演技のアプローチが間違っている訳でもない。それでも敗北が多いのは何故かと、ひたすら自問自答している。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.65

 ピジョット Lv.60

 バタフリー Lv.60

 ドサイドン Lv.62

 フシギバナ Lv.60

 リザードン Lv.64→65

 カメックス Lv.60

 キングラー Lv.60

 カモネギ  Lv.60

 エビワラー Lv.60

 ゲンガー  Lv.61

 コノヨザル Lv.60

 イーブイ  Lv.60

 ベトベトン Lv.60

 ジバコイル Lv.60

 ケンタロス Lv.60

 ヤドラン  Lv.60

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.59

 プテラ   Lv.60

 ラプラス  Lv.59→60

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.59→60

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.58

 カビゴン  Lv.58

 ニョロトノ Lv.58

 ヘラクロス Lv.57

 メガニウム Lv.57

 マグマラシ Lv.57

 ラティアス Lv.54

 ヘルガー  Lv.56

 ワニノコ  Lv.57

 ヨルノズク(色違い) Lv.55

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.55→56

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.55→56

 ギャラドス(色違い) Lv.56

 ミロカロス Lv.51

 ラグラージ Lv.52

 オオスバメ Lv.51

 ジュカイン Lv.52

 ヘイガニ  Lv.50→51

 フライゴン Lv.55

 コータス  Lv.50

 キルリア(色違い) Lv.42→43

 オニゴーリ Lv.49

 ワカシャモ Lv.47

 メタング(色違い) Lv.41→42

 エテボース Lv.40→41

 ムクホーク Lv.39→40

 ナエトル  Lv.39→40

 ブイゼル  Lv.40→41

 ムウマージ Lv.45→46

 ヒポポタス LV.37→38

 ミカルゲ  Lv.55→56

 グライオン Lv.32→33


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