ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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♯212 『これが技の応用だよ、ドラミ』

 13歳 θ月θ日 『ミカルゲの歩み寄り』

 

 メリッサとのガチ戦に向けて調整をしていると、シンジと再会した。どうやら、一足先にヨスガジムを攻略してきたようで、モウカザルもゴウカザルに進化している。

 メンタル面のトレーニングはまだ成果らしい成果は出ていないようだが諦めずに続けているらしい。結局はオレのポケモンにならなかったが、ゴウカザルが今を楽しく過ごせているのであればきっとその方がいいのだろう。

 

 と、考えていると、シンジがバトルをふっかけてきた。最近のシンジのポケモンは、レイジの助けも借りているからか、なかなかレベルが高くなってきている。流石にまだガチ戦メンバーとはいかないが、オレのシンオウ組よりもレベルが高いのは確かだった。

 

 そんなことを考えていると、最近少しずつまた表に出るようになったミカルゲが前に出てくる。「オレの指示を聞けるか?」と言うと、肯定も否定もしなかったが、「技は四つまでだぞ」と言うと頷いていた。

 オレとミカルゲの様子を見て、シンジも訳アリだと察したのか、「ゴウカザル、今回はお前でいく」と、ゴーストタイプを持つミカルゲに不利なゴウカザルをチョイスしている。

 

 ヒコザルだった頃は、自信のなさや不安を表に出すことも多かったが、今では任せろと言わんばかりに強く胸を叩いていた。成長を感じるね。

 

 そんなこんなで、ミカルゲVSゴウカザルのタイマンがスタートした――が、手加減するつもりはない。

 

 ミカルゲに情け容赦なく、『のろい』を指示すると、シンジも慌てて『ちょうはつ』を指示してくる。向こうの方が早いので、『のろい』は不発に終わったが、成功すれば数分で決着がついていただけにシンジも冷や汗をかいていた。今の所はミカルゲもこちらの言うことを聞いている。

 

「お前、交換なしのタイマンで『のろい』はないだろう……」

「対策できりゃ問題ないだろ。事実、お前は対応してきた。ミカルゲ、ストレートに攻撃だ。『シャドーボール』」

「チッ! ゴウカザル、『かえんほうしゃ』!!」

 

 ミカルゲも素直に攻撃を仕掛けていく。シンジも対抗するように技を指示した。

 

 ゴウカザルは攻撃と特攻の種族値が同じなので、物理でも特殊でも攻められるというメリットがある。が、その反面、防御面が紙装甲というデメリットもあった。

 互いの攻撃がぶつかり合う。どうやら、レベル自体はオレのミカルゲの方が少し高いようで、ゴウカザルの『かえんほうしゃ』と『シャドーボール』は互角にぶつかり合っている。

 

「ゴウカザル、走り回れ!」

 

 何とか攻撃を相殺したものの、アニメと違ってゴウカザルは殴り合いを得意としているポケモンではないので、シンジもその足を使ってミカルゲを翻弄してきた。素早種族値108の俊足で、ミカルゲの周りを回るように移動していく。

 

 そのまま後ろを取ると、『フレアドライブ』で攻撃をしてきた。同時に、こちらも『かげうち』を指示して、攻撃を躱しながら殴り返す。悪いが、散々オレとやりあっているこのミカルゲは意外と殴り合いに強いぞ?

 

 想定外の攻撃にたたらを踏んだゴウカザルに、追撃の『シャドーボール』を指示してダメージを与える。シンジは回避が無理だと察すると、攻撃を受けてすぐ『なまける』で体力を回復するように指示してきた。

 

 が、甘い。

 

「ミカルゲ、『トリックルーム』」

「ッ!? しまった、『ちょうはつ』だ!」

 

 こちとら、長年のバトルで『ちょうはつ』は受け続けている。効果が切れるタイミングなどお見通しだ。

 シンジも遅れて、『ちょうはつ』を指示したが、それよりも先に『トリックルーム』が発動する。この技は、5ターンの間、素早が低いポケモンが先に攻撃できるようになる――と、いうゴウカザルのような足自慢殺しの技なのだ。

 

 ちなみに『のろい』を選択しなかったのは舐めプではなく、『のろい』は自傷という行為がある分、『トリックルーム』より発動が遅いので、あの隙だけでは発動が間に合わなかっただけである。

 

 技を拒否することなく、フィールド全体を包むようにトリルが展開されると、早速効果が表れた。本来であれば、早く動けるゴウカザルが、まるで重りを付けられたかのように動きを鈍くしていく。逆にミカルゲは身軽になったとばかりに、高速で動き始めた。

 

 さて、『トリックルーム』の発動こそ間に合ったが、また『ちょうはつ』を受けてしまったので、しばらくの間は『のろい』は使えない。が、今のミカルゲなら、その速度でゴウカザルを圧倒出来るだろう。

 何せ、今のミカルゲはトリルを受けていないゴウカザルより早いのだ。スピードだけなら、うちの中でトップクラスのジュカインにも引けは取らない。

 

 ミカルゲが自分の調子を確認するように軽く動くと、その場から消える。気が付けば、ゴウカザルの懐に潜り込んだミカルゲがゼロ距離で『シャドーボール』を撃っていた。

 シンジも動きを見切れずに、指示が一歩遅れる。すぐに『なまける』を指示するが、回復などさせるかと言わんばかりに、『シャドーボール』の追撃でダメージを蓄積させる。

 

 ゴウカザルの回復→ミカルゲの攻撃→回復→攻撃のループで、シンジが粘っていく。このまま時間を稼いで『トリックルーム』が切れるのを待つつもりなのだろう――が、シンジは防御に意識が行き過ぎていて、また他が疎かになっていた。

 

「ミカルゲ、『のろい』だ」

 

 もうとっくに『ちょうはつ』の効果は切れている。向こうの『なまける』四回目に合わせて、『のろい』を決め、ダメージレースの天秤を傾けた。

 攻撃を受けるのに必死になっていたシンジは、また同じミスをして憤っている。しかし、これはゴウカザルではなく、自分のミス――オレとシンジのトレーナーとしての能力の差だ。

 

 ゴーストタイプが使用する『のろい』は、体力の半分を失う代わりに、相手を呪い状態にし、毎ターン最大㏋の1/4ずつ削られるという強力な効果を持っている。それは、回復技を持っていなければ、たった4ターンで戦闘不能になると言うことだ。

 

「くっ! だが、もう『トリックルーム』も切れる。そうなれば、素早は元通りだ、『ちょうはつ』!」

 

 三度の『ちょうはつ』で変化技を封じられた。同時に、トリルの効果が切れてフィールドが元に戻り、『のろい』の効果でゴウカザルの体力が1/4削られる。今まで与えたダメージと合わせて、残りの体力は約1/3に至るか至らないか、ギリギリで『もうか』発動圏内には入っていないようだ。

 

 ここで、シンジは最後の『なまける』を指示して体力を回復した。同時に、『のろい』で1/4のダメージを受け、こちらも『シャドーボール』で追撃をかける。これで、丁度体力が1/3になったのか、『もうか』が発動してゴウカザルの全身をとんでもない炎が包み込んでいく。

 

「こうなれば一か八かだ! ゴウカザル、『フレアドライブ』!!」

 

 まだ制御できない『もうか』――しかし、もうシンジにはそれに賭けるしかなかった。

 

 だが、こちらも油断はしない。『かげうち』で確実にダメージを与えて勝利をもぎ取る。

 

 しかし、こちらの『かげうち』が先に当たっても、ゴウカザルは倒れなかった。そのまま、『フレアドライブ』で追撃をかけてミカルゲを吹き飛ばす――同時に、『のろい』の効果で体力が削られて戦闘不能になるが、ミカルゲもまた目を回して戦闘不能になっていた。

 

「引き分けか……」

「ミカルゲ、最後油断して攻撃を躱し損ねたな? 避ければお前の勝ちだったぞ」

 

 シンジは『もうか』の暴走で引き分けに持ち込んだことに不服そうな顔をする。が、不服そうな顔をしているのはシンジだけではなかった。

 ミカルゲもまた、『かげうち』が決まって勝利を確信したが故に、ゴウカザルの『フレアドライブ』を回避できずに直撃を受けている。バトルの開始のように、油断せずに回避の意識を持っていればこちらの勝ちだった。

 

 それがわかっているが故に、ミカルゲも顔を逸らしてこちらと目を合わせようとしない。だが、結局指示には従ってくれたし、内容自体は悪くないバトルだった。

 

 次は油断するなよ――と、声をかけると、次があるとは思わなかったのか、少し驚いた表情を見せる。

 多分だが、今回のバトルはこいつなりの歩み寄りだったのだ。本当は勝ってそのまま、しれっと仲間入りするつもりだったのだろうが、そういう意味だと負けてよかったのかもしれない。実際、ミカルゲも、次は絶対に勝つとばかりに真剣な表情で頷いていた。

 

 

 追記。四天王リーグが始まったようで、シロナとリョウのバトルがポケモンセンターのテレビで放送されていた。シンジと一緒にああでもない、こうでもないとバトル議論をしながらビデオを繰り返し見ていたが、やはり最終的にはシロナが勝っている。流石のアゲハントも、うちの師匠には勝てなかったか。

 

 

 

 13歳 θ月ι日 『罰金野郎』

 

 ヨスガに戻ると、罰金罰金騒いでいる妙なトレーナーと出会った。どこかで見た顔だと思ったが、ジュンという名前を聞いても全く思い出せない。

 ただ、どうやらこいつはヨスガジムに挑戦して負けたとのことで、その件について文句を言いまくっていた。聞けば、『さいみんじゅつ』で全員眠らされたらしい。

 

 まぁ、エスパータイプやゴーストタイプを相手にするなら、催眠対策は必須だ。いくら、ポケモンが強くても、トレーナーが馬鹿じゃ実力も発揮できないしな。

 

 話を聞くと、ジュンはシンジに憧れているとのことで、強いポケモンを揃えることに拘りを見せているようだ。まぁ、それも一つの答えだとは思うが、ニューサトシとしては、ゲームのカリンの名セリフの方が好きである。

 

 ――強いポケモン、弱いポケモン、そんなの人の勝手。本当に強いトレーナーなら、好きなポケモンで勝てるように頑張るべき。

 

 と、いう訳で、もっと努力して出直してこいと、罰金野郎ジュンのエンペルトをピカ様でボコボコにして、明日のガチ戦に備えて準備をすることにした。

 

 

 

 13歳 θ月κ日 『ヨスガシティ ガチ戦 VSメリッサ』

 

 ついこの間、バトルしたはずなのに随分久しぶりにも思える。今回はガチ戦ということで、いつものようにレベル制限なし、交換アリの3VS3でバトルを行っていくのだが――いつの間にか応援席に、昨日の罰金野郎が来ていて、俺が提示したバトルに「そんなん勝てる訳ないぜ!」と、文句をつけていた。

 

 まぁ、お前には無理だろうな――と、思いながら、無視してガチ戦を進めていく。

 

 俺にスルーされて、「無視すんじゃねぇよ! 罰金だ、罰金!」と騒ぐ馬鹿を、ヒカリやタケシが宥めるのを横目に見ながら、メリッサの準備が終わるのを待つ。ラティが真似して「ばっきん!」と笑っていたが、すぐに空気を読んで「しずかにする」と言っていた。空気の読めるいい子だ。

 

 互いに集中しだすと、フィールドに緊張した雰囲気が出てくる。流石の罰金馬鹿も、この雰囲気に気づけないほど間抜けではないようで、一転して真剣な表情でこちらを見ていた。

 

 開幕――互いにボールが投げられる。出てきたのは、二体のゲンガーだった。

 

「Oh! サトシ君もゲンガーとは……狙っていましたネ?」

「俺のゲンガーは一筋縄では行きませんよ」

 

 当然、ゲンガー同士のバトルになるのは狙っていた。やはり、ゴーストタイプの中でもゲンガーは格段に使いやすいし、ガチ戦ならまず間違いなく選出してくるはずだ。

 

 だからこそ、ゲンガー対決を制して、オレがこのバトルの流れを掴む。

 

 ぶっちゃけ、前回のシンジのように、『ちょうはつ』で変化技を防げば、無理やりバトルに持って行くことは不可能ではない。しかし、それでは面白くなかった。相手の土俵で上を行くからこそポケモンバトルは面白いのだ。

 

 メリッサが『さいみんじゅつ』を指示した。ゲンガーが体をふわふわと動かしながら、的を絞らせず、泳ぐように近づいてくる。

 それを見て、罰金馬鹿が「あれだよ! ふわふわ動かれて、俺のポケモン達の攻撃も全く当たらなかったんだ!」と声を上げた。ラティも一緒になって「あたらない!」と喜んでいる。しかし、コンテスト特有の動きというのもあるが、あれはもしかして――

 

「ふふっ、私のゲンガーは『ふゆう』の特性を持ってマース」

 

 ――特性『ふゆう』は強すぎるから駄目だって、いつも言ってんだろうが(おまいう)!!

 

 と、一人ボケツッコミをしていると、『さいみんじゅつ』でオレのゲンガーを眠り状態にしようとしてくる――が、こちらも『かげぶんしん』で的を絞らせない。

 

 それを見て、メリッサが『テレキネシス』を指示してきた。3ターンの間、じめんタイプの技が当たらなくなる代わりに、一撃必殺以外の技は必ず命中するようになるという変化技だ。

 この技は『じゅうりょく』などと同じ、フィールド全体に効果を及ぼす技なので、『かげぶんしん』でも回避しきれなかった。

 

 確定で当たるようになった『さいみんじゅつ』で、こちらのゲンガーが眠らされる――が、こういう状況もしっかり対策済みだった。

 

「『ゆめくい』」

 

 ゲンガーが、自身の夢を食って目覚める。本来であれば、『ゆめくい』は眠っている相手の体力を奪う技だが、ゲンガーは自分の夢を食べることで眠り状態を強制解除した。これが技の応用だよ、ドラミ。

 

 そのまま、反撃の『さいみんじゅつ』を指示する。ふわっと浮いて逃げるゲンガーを追従するように、俺のゲンガーも宙を駆けていった。

 

「What’s!? まさか、サトシ君! 君のゲンガーも――」

「俺のゲンガーの特性も『ふゆう』でーす!!」

 

 まさかのVS『ふゆう』という絶滅危惧種対決となり、『かげぶんしん』を指示して、四方八方からメリッサのゲンガーを追い詰めていく。

 向こうもコンテストの魅せる動きで緩急を作って、こちらを近づけまいとしてくるが、うちのゲンガーは追い駆けっこ大好きなので諦めずに追い続けている。

 

 メリッサも途中、再び『さいみんじゅつ』でこちらを眠らせに来たが、『ゆめくい』で即起き上がった。

 そんなこんなしている内に、『テレキネシス』の効果も切れ、俺のゲンガーが距離を詰めていく。向こうも、逃げきれずに『さいみんじゅつ』の直撃を受けた。

 

 すやすやと、メリッサのゲンガーが眠り状態になる。メリッサは悔しそうな顔でゲンガーをボールに戻した。このままでは『ゆめくい』の餌食になる以上、このまま寝かせるという選択肢はないだろう。主導権は貰ったぜ。

 

 二体目として、メリッサがムウマージを出してくる。前にもトリッキーな動きで、俺達を翻弄してきたメリッサの本命。さて、今回はどんな奇策で攻めてくるか、それとも素直に攻撃してくるか――

 

「ムウマージ、『サイコキネシス』!」

 

 素直に攻めて来たか。ならば、こちらも最後の技になるが『サイコキネシス』で迎撃する。純粋な特攻種族値はゲンガーの方が上――のはずだが、ムウマージのサイキネはこちらのサイキネと相殺されていた。つまり、レベルか努力値でゲンガーが負けていると言うことだ。

 

 真っ向勝負が不利ならば、『さいみんじゅつ』で眠らせるまで。パワーで負けていても、スピードでは負けていない。再び『かげぶんしん』を使って、ムウマージを追うように執拗に『さいみんじゅつ』を連打して追いかけていく。

 

 しかし、メリッサも同じ手は受けないとばかりに、技の発生に合わせてムウマージに回避を指示した。

 先程は予想外の『ふゆう』ゲンガーや、『ゆめくい』の応用で動揺していたようだが、本来『さいみんじゅつ』はそこまで命中率の高い技ではない。技の出始めを見て回避すれば簡単に避けられる。

 

「甘いですヨ! 『うらみ』!」

 

 おまけに、ここでメリッサも搦手を仕掛けてきた。くるりと、舞うように攻撃を回避すると、動きそのままで『うらみ』でこちらに反撃してくる。

 この『うらみ』は相手が最後に使った技のPPを4減らす技だ。『さいみんじゅつ』のPPは20――ゲンガーに対して1回、ムウマージに対して2回、『うらみ』で4減って、残りは13回しかない。

 

 このまま避けられながらPPを枯らされても面白くないので、ここは一旦ゲンガーをボールに戻した。

 

 続けて、色違いのヨルノズクを出していく。ヘルガーでも良かったのだが、こういう頭を使うようなバトルはこいつに任せた方が良いだろう。

 おまけに、俺のヨルノズクの特性は『ふみん』だ。仮にゲンガーに交換されたとしても、『さいみんじゅつ』による攻撃は封じることが出来る。

 

 また、ヨルノズクはノーマルタイプでもあるので、必然的にゴーストタイプの攻撃技は効かない。メリッサも再び『サイコキネシス』を指示して、攻撃を仕掛けてくる。

 ヨルノズクは攻撃を無防備に受けた――瞬間、攻撃されたヨルノズクが衝撃で煙となって消えていく。『みがわり』だ。ヨルノズクは、相手の攻撃に合わせて『みがわり』に視線を誘導させ、とっくに別の場所に移動していた。

 

 まさかの色違いを見失うという状況に、メリッサとムウマージも動揺する。その間に、既にヨルノズクはムウマージの背後を取っていた。

 

「ムウマージ、後ろデース!!」

 

 いち早く気づいたメリッサがそう声をかける。反応して、すぐにムウマージも振り返るが、それはヨルノズクを見るのと同義――視線が合った瞬間、『さいみんじゅつ』でムウマージも眠らせていく。

 前にもやった視線誘導の応用だ。

 人間もポケモンも、咄嗟の時ほど相手を見ようとしてしまう。ヨルノズクは『みがわり』で上手く自分を見失わせることで、相手に自分を探させた。相手が自分からヨルノズクを見ようとしてくれるのだ。これほど、『さいみんじゅつ』を当てやすいことはない。

 

 メリッサも自分がハメられたと気づいて、苦々しい顔でムウマージをボールに戻す。

 

 昨日、あの罰金馬鹿がされたように、基本的には自分が相手を翻弄する側であるが故に、良いように翻弄されている現状が悔しいのだろう。

 現に応援席でも、当の本人が「昨日の俺とは、まるで正反対じゃねーか」と呟いている。まぁ、今回はゲンガーのハメだったり、ヨルノズクのハメだったりと、メリッサ対策が上手くハマっているというのも大きいがな。

 

 これで、ゲンガーに続いて、二体が眠り状態になっている。当然、出せるのは最後の一体しかいない。

 向こうの最後の一体は、フワライドだった。それも、前回のとは個体が違う。フワライドのはずなのに、フワンテかと思うほどに体が小さいのだ。

 

 あの小ささには何か秘密がある。そう思いながら、ヨルノズクに最近覚えた新技の『ムーンフォース』を指示する。フワライドはゴースト・ひこうタイプ故に、フェアリー技は等倍だが、この技は威力が95で3割の確率で相手の特攻を下げるので使い勝手がいいのだ。

 

 対するメリッサは『たくわえる』を指示してきた。自分の防御と特防を一段階上げる技だ。

 しかし、フワライドはお世辞にも耐久が優れたポケモンではない。いくら一段階防御や特防を上げた所で、『ムーンフォース』によるダメージは避けられない――と、考えていると、直撃する寸前に、フワライドがまるで風で吹き飛ばされるかのように動き、『ムーンフォース』を躱していく。

 

 躱された!? いや、違う。技の風圧で吹き飛んだんだ。あまりに体が小さすぎるが故に体重もまた軽いのだろう。

 前のバトルでフワンテが見せた動きと同じだ。いや、きっとこちらが本流――あの時のフワンテは、このフワライドから受け流しの技術を学んだのだろう。

 

 まさか、こいつまで相手の技の風圧を利用して技を回避してくるなんて――と、驚いていると、メリッサが二度目の『たくわえる』を指示する。

 風で攻撃を透かされるということは、風圧が発生するタイプの技は効かないということだ。無暗に殴り合うのはヨルノズクのキャラじゃないし、ゲンガーの『サイコキネシス』や『さいみんじゅつ』での攻撃も対応策を考えているだろう。必然的に、この状況をどうにか出来るのはヘルガーしかいない。

 

 ヨルノズクを戻して、ヘルガーを出していく。

 

 歴戦の猛者を思わせる傷だらけのヘルガーを見て、メリッサも「一筋縄では行かなそうですネ」と、笑みを浮かべた。

 

 ヘルガーに『かみくだく』を指示する。タイプ一致の弱点技だ。いくらフワライドの防御が二段階上がっていても、そう簡単には受けられない。

 自慢の跳躍力で、ヘルガーがフワライドを捕まえる。一瞬、また風で逃げられそうになったが、そこはヘルガーが上手く噛み付いてくれた。これで一気に大ダメージ――と、考えていると、メリッサが『ちからをすいとる』を指示してくる。

 

 チッ、確かにフワライドと言えば『ちからをすいとる』があったな。この技は相手の攻撃の能力値と同じ数値だけ自分のHPを回復させ、相手の攻撃を一段階下げるという面倒くさい技だ。

 与えたダメージが殆ど回復される上、こちらの攻撃も下げられる。おまけに、向こうは『たくわえる』で防御も二段階上げているので、近距離に対して鉄壁の防御力を手に入れたも同義だった。

 

 遠距離は自身の軽さで対応し、近距離は『たくわえる』と『ちからをすいとる』で対応――確かに、無敵のフワライドと言って良いだろう。

 

 しかし、無敵だからと言って、攻略が出来ない訳ではない。特に物理を受けるには、『たくわえる』などの詰み技がなければつらいはずだ。ここは一旦、『ほえる』でお茶を濁していく。

 強制交代技を受けて、フワライドがボールに戻っていった。同時に、眠ったままのゲンガーがフィールドに飛び出てくる。『ちからをすいとる』の効果で、攻撃が一段階下げられてはいるが、そのままヘルガーに『かみくだく』を指示していく。

 

 メリッサはゲンガーを戻さなかった。

 

 ボールの中にいたとはいえ、ゲンガーが眠り状態になってから結構な時間が経過している。そろそろ起きると踏んだのだろう。こちらの攻撃は下がっているが、タイプ一致の大技でゲンガーにダメージを与えていく。

 

 しかし、ゲンガーは起きなかった。

 

 いくらメリッサのゲンガーと言えど、眠った状態で威力も逃がせないまま『かみくだく』を二回受ければ戦闘不能になってもおかしくない。が、こちらの攻撃が下がっているせいもあってか、ゲンガーは二度目の『かみくだく』を耐えきった。

 同時に、ゲンガーが目を覚ます。その瞬間、『ちょうはつ』で変化技を封じていく。『みちづれ』で相打ちに持ち込まれたら面倒なことこの上ないからな。しかし、こちらの裏をかくように、ゲンガーがヘルガーに組み付いてその体を爆散させた――『だいばくはつ』だ。

 

 メリッサの指示ではない。メリッサ自身は『みちづれ』を指示しようとしたが、こちらの『ちょうはつ』が早くて対応策を考えていたはずだ。ゲンガー自身がメリッサのためにヘルガーを相打ちに持ち込もうとしたのだろう。

 

 ゲンガーとヘルガーが互いに戦闘不能になる。

 

 さーて、これは想定外の状況だ。既に俺のゲンガーは技を全て使い切っており、ヨルノズクも三つ技を使っている。この状況で、遠距離攻撃に無敵の耐性を持つ小さいフワライドを倒しきれるか?

 

 互いに一体が戦闘不能になり、次のポケモンを出していく。メリッサは当然、フワライド、ニューサトシはゲンガーを出した。

 

 一か八かだが、『サイコキネシス』ならば、フワライドのふわふわする回避を潜り抜けて攻撃することも不可能ではないはずだ。それに、『さいみんじゅつ』や『ゆめくい』のコンボが決まれば、まだまだ勝機は残されている。

 

 こちらが『サイコキネシス』を指示すると、メリッサは『ゴーストダイブ』を指示してきた。

 やはり、対策されていたか――まさかの攻撃技でフワライドが姿を消し、サイキネを躱してそのままゲンガーの後ろから攻撃を仕掛けてくる。ゲンガーも弱点のゴースト技を受けてダメージを受けた。

 

 同時に、フワライドが自身の手足を使って、ゲンガーの背中に組み付いていく。そのままの状態で、『たくわえる』を発動して、再び防御と特防を一段階上げ始めた。

 

 こちらも『サイコキネシス』でダメージを与えみるが、フワライドにエスパー技は等倍な上、向こうは『たくわえる』でどんどんダメージを軽減してくる。

 さらに、背中に張り付いているせいで『さいみんじゅつ』は当てられず、密着しているが故に『かげぶんしん』も使いようがなかった。体力を削ってはいるものの、決定打が足りないという状況――

 

 一旦、戻してヨルノズクに入れ替えるべき――と、判断したが、ボールの光をゲンガーに当てようとすると、フワライドがゲンガーを動かして巧みに阻止してくる。

 

「いいデスヨ、フワライド! レッツ、ダンシング!」

 

 まるで踊るように、フワライドが小さな手足を伸ばして、人形のようにゲンガーを後ろから動かしていく。伸ばした手足を器用に使って、交換を封じてきた。

 

 そのまま、フワライドが再び『たくわえる』で防御と特防を上げてくる。こうなれば、持久戦に付き合うしかない。『サイコキネシス』で少しでもダメージを与えていく。

 だが、バトルの流れは向こうに流れつつある。

 その証拠に、こちらが三回目の『サイコキネシス』を当て、フワライドの体力を1/3程まで削り、向こうが防御と特防を三段階上がった時、膠着していた状況が動き出した。

 

 メリッサが『ちからをすいとる』で、体力を回復させてくる。こちらも四回目の『サイコキネシス』を当てたが、それでも体力は半分くらいまで回復していた。そのまま、メリッサは最後の技である『アシストパワー』を指示してくる。

 この技は威力20のエスパー技だが、自分の能力が一つ上がる度に、威力が20上がるという効果を持っていた。現在、フワライドは『たくわえる』を三回使っており、防御と特防が三段階ずつ上がっている。つまり、『アシストパワー』は威力140の大技と化していた。

 

 おまけに、フワライドは現在ゲンガーに組み付いており、ゲンガーはどくタイプを持っているが故に、エスパータイプの攻撃が効果抜群になる。ゼロ距離での大技を受けて、ゲンガーが耐えきれずに戦闘不能になった。

 だが、向こうのフワライドも何だかんだ体力は半分で、全ての技を使っている。そのうち、『ゴーストダイブ』はノーマルタイプのヨルノズクには効果がない。

 

 まだバトルはここからだ。

 

 最後の一体であるヨルノズクを出していく。『みがわり』、『さいみんじゅつ』、『ムーンフォース』を使っている今、最後の技でフワライドに有効なダメージを与えるしかない。

 

 メリッサは当然のように『アシストパワー』で攻撃を仕掛けてきた。威力140の大技を回避しながら、ヨルノズクが距離を詰めていく。メリッサもまた、同じ手を食わないようにジッとヨルノズクの動きに集中していた。

 先程は油断していたからこそ、『みがわり』による視線誘導が成功したが、ここまで見られていては、流石のヨルノズクも『みがわり』と入れ替わる隙は無い。

 

 しかし、どうする? エスパータイプのような攻撃でもない限り、遠距離攻撃はあの小さい体を上手く使って、技で発生する風圧で避けられる。だからといって、近距離攻撃は『ちからをすいとる』で対応されるし、そもそも『たくわえる』を三回詰んでいる今、フワライドはかなりの固さになっていた。そう簡単にはダメージを与えられない。

 

 いや、待て。

 

 風圧で避けられる――つまり、逆を言えば、あのフワライドは通常よりも風の影響を大きく受けやすいと言うことでもある。そこを上手く付ければ、フワライドを攻略することが出来るかもしれない。

 

「ヨルノズク、『ぼうふう』!!」

 

 ひこうタイプの中でも、最大の大技――発生した風は竜巻となり、フワライドを包み込んでいく。本来、『ぼうふう』の命中率は70%と低いが、フワライドの風に影響を受けやすい体質が逃げることを許さなかった。

 暴風雨の中で、フワライドがダメージを受けていく。風船が台風の中で無事でいられないのと同じで、特防を三段階上げて尚、フワライドは大きなダメージを受けた。

 

 残りの体力が1/3になるかどうかのダメージを受けて、フワライドが『ぼうふう』から解放される。メリッサは、即座に反撃の『アシストパワー』を指示した。

 このまま連続して『ぼうふう』を受けるのはまずいと判断して、ヨルノズクを倒し切ろうと考えたのだろう。しかし、その焦りがフワライドに起きていた異常を見逃していた。

 

 フワライドが、体をフラフラさせながら攻撃態勢に入っていく。だが、その動きはあまりにも散漫だ。ここで、メリッサも『ぼうふう』の追加効果――3割の確率で混乱状態になるという効果をフワライドが受けたことを察する。

 混乱時は1/3の確率で、選んだ技で自分を攻撃してしまう。フワライドが自分を攻撃するというこれ以上ない隙を突いて、ヨルノズクは二回目の『ぼうふう』を発動させた。

 

 自傷ダメージと二度の『ぼうふう』のダメージ――特に二度目は混乱していて、防御の体勢が取れなかったこともありダメージが上がっていた。

 おまけに急所を引いたのか、ギリギリで戦闘不能まで追い込めたようで、空中で特性『ゆうばく』が発動してフワライドが綺麗な花火になる。前にもそうだったが、本来、『ゆうばく』は接触技で倒した時にしか発動しないはずだが――まぁ、とりあえず置いておこう。

 

 これで、互いに一対一。

 

 おまけに、ムウマージは眠り状態で、こちらは『みがわり』一回分のダメージしか受けていない。バトルの流れは完全に傾きつつあった。

 しかし、これまでのバトルで、既にムウマージは目を覚ましていたようで、ボールから出てきたムウマージは通常の状態だ。おまけに、ムウマージはまだ『サイコキネシス』と『うらみ』の二個しか技を使っていない。

 

 逆にこちらは全ての手の内がバレている――体力も向こうの方が多いので有利という不利な状況。

 

 だが、その程度の不利など、これまで何度も乗り越えてきた。メリッサがこちらの弱点である、でんき技の『10まんボルト』を指示してくるので、『ムーンフォース』で相殺していく。

 続けて、『サイコキネシス』で動きを封じようとしてきたので、『ぼうふう』を使って、ムウマージの視界からヨルノズクを隠した。『ぼうふう』自体は外れてしまったようだが、サイキネも目標を見失って失敗している。

 

「ストップ! ムウマージ、『うらみ』! そのまま『みがわり』に警戒デース!」

 

 先程のフワライドとのバトルでもそうだったが、最初に『みがわり』で良いようにやられたからか、メリッサはかなりヨルノズクを警戒しているらしい。

 今、視界が反れた一瞬で、『みがわり』を使ったという可能性を考慮しているのか、ムウマージに『うらみ』を使ってPPを削らせながら周りを警戒させている。もし、『みがわり』を使っているなら、『みがわり』のPPが、そうでなければ『ぼうふう』のPPが4削れていく。

 

 事実、ヨルノズクがその場から殆ど動いていないことから、メリッサの言う通り、『みがわり』を使っている可能性が高い――と、思わせるのが、ヨルノズクの作戦だった。

 

 ジッと動きを止めていたヨルノズクが、メリッサとムウマージの視界から外れた瞬間、『ムーンフォース』で反撃していく。

 不意を突かれたムウマージが、ムンフォの直撃を受けて吹き飛ぶ。相手の警戒心を逆に利用して、自分自身を『みがわり』だと思わせる。これで、また動かないヨルノズクが出てきても、今度は本物か偽物かの見分けが付きにくくなるだろう。

 

 悪いが、知恵比べでうちのヨルノズクに勝てる奴はそうそういないぜ。

 

 メリッサが「No~!? また、やられてしまいマシター!!」と、悔しそうな声を上げる。とはいえ、これで倒せれば苦労はなく、こちらも『うらみ』の効果で『ぼうふう』のPPは残り3となっていた。こちらも着実に追い込まれつつある。

 

「では、早速おかえしデース! ムウマージ、『10まんボルト』!! 『サイコキネシス』でコントロール!!」

 

 エスパータイプがよく使う『サイコキネシス』の応用――ムウマージが、『10まんボルト』の電撃を網のように広げて、ヨルノズクへ襲い掛かっていく。

 まるで『エレキネット』だが、見た目の煌びやかさや範囲が別物だ。それに技の性質が変わっている訳ではないので、攻撃が当たれば普通にダメージを受ける。

 

 これはまずい。仮に『みがわり』を使っても逃げ場がないし、『ムーンフォース』の迎撃でも全ての電撃は打ち消せなかった。必然的に、『ぼうふう』で打ち返していくしかなく、電撃の網を暴風で相殺させる。

 しかし、それがメリッサの狙いだった。

 先程のやり取りで、『ぼうふう』のPPが枯渇寸前なのがわかったのだろう。『うらみ』を使用して、完全にこちらの『ぼうふう』を使えなくしてくる。PPが0になり、こちらはもう『ぼうふう』が使えなくなった。

 

 これでもう一度、『10まんボルト』と『サイコキネシス』のコンボを受ければ、今度こそこちらはおしまいだ。

 

 必然的に先手を打つしかなくなり、『ムーンフォース』で反撃していく。だが、それを待っていたと言わんばかりに、メリッサは最後の技である『ふいうち』を指示してきた。

 相手が攻撃技を使用した場合、必ず先制攻撃できる俺も良く使う技――これで、ヨルノズクの体勢が崩され、『ムーンフォース』は明後日の方向に打ち出されていく。同時に、追撃の『10まんボルト』で、こちらに大ダメージを与えてきた。

 

 元々、『身代わり』で体力が1/4が削れており、そこからの『ふいうち』と『10まんボルト』の連打――こちらの体力は良い所、残り1/4あるかないかという感じだろう。

 ムウマージの攻撃種族値が低くて、不一致の『ふいうち』が大したダメージじゃないのが救いだったが、おそらく次の『10まんボルト』を受けたら耐えられないと見て良い。

 

 だが、どうする?

 

 離れれば電気の網、近づけば通常の『10まんボルト』、やみくもな攻撃は『ふいうち』で防がれ、体力は残り僅か――ここから逆転するには? 俺には何が残っている?

 

 応援席も意気消沈していた。

 

 明らかな劣勢で、もう勝機がないと思っているのだろう。だが、ここで諦めるほど、ニューサトシは弱い性格をしていない。仮に勝てる可能性が0.0000000001%だったとしても、その可能性を手にすればいいだけの話だ。

 その証拠に、ヨルノズクの目はまだ死んでない。あいつが諦めてないのに、トレーナーの俺が諦める訳にはいかねーんだよ。絶体絶命のピンチ? 寝言は寝てから言え――

 

「――そうだ! ヨルノズク!」

 

 あった。一か八かだが、この状況で逆転することが出来る一手が。

 

 しかし、口で説明すると、メリッサにも伝わる。だからこそ、指での合図で察して貰うしかない。普通なら不可能だろう。だが、相手はあのヨルノズクだ。俺の考えていることくらい、簡単に理解してくれるはず――

 

「……何か仕掛けてくるつもりデスネ」

 

 メリッサもかなりの警戒を見せていた。

 

 同時に、ヨルノズクが頷くと、真っ直ぐにムウマージに向かって飛んでいく。メリッサも、これがただの特攻だとは思わない。前のムウマージ対決で、その油断から『ふういん』返しを受けている。もう俺がそういうタイプのトレーナーじゃないことはわかっているだろう。

 

 真剣な表情でこちらの動きを探りながら、『10まんボルト』を指示してくる。ここで、『サイコキネシス』による補正でまた電気の網を作られていたら、俺の負けだった。

 しかし、サイキネによる補正は、かなりの集中力を強いられる。その隙にこちらが何か仕掛けてくるのを嫌ったのだろう。そのおかげで、この馬鹿みたいな作戦が成功する。

 

 電撃がヨルノズクに直撃して爆発が起こる――しかし、それはヨルノズクではなく、『みがわり』が代わりに攻撃を受けて起こったものだった。メリッサも、それは考慮しているだろう。だからこそ、ここから何をしてくるのか見極めようとしている。

 

 だが、メリッサは深読みしすぎだった。

 

 もうこちらに出来ることは完全に距離を詰めて『さいみんじゅつ』を当てることだけ――そう、メリッサが考慮から外していた特攻こそが、俺達の最後の策だったのだ。

 

 一瞬もスピードを緩めることなく、爆発を抜けてヨルノズクがムウマージとの距離を詰める。メリッサも、遅れてこちらの策に気づいたようだが――そのまま、組み付くようにヨルノズクがゼロ距離『さいみんじゅつ』を発動させていく。

 

 これまでいくつもの奇策を使って相手の裏をかいてきたからこその真っ向からの攻撃。

 

 自分の思考を超える動きをしてくるはずというメリッサの思い込みが、ヨルノズクの命知らずと言ってもいい特攻を成功させた。

 

 本来であれば成功しなかっただろう。

 

 それこそ、ヨルノズクがこのバトルで何度もメリッサの思考を凌駕する動きを見せていなければ、ただの特攻だと判断されて普通に迎撃されて終わった。そういう意味では、前回のメリッサとのバトルで頑張ったメンバー達の根性も無駄ではない。

 

 前回のバトルで俺がいろいろと奇策を練るタイプだと印象付けていたこと、今回のバトルでゲンガーやヨルノズクによるハメ技を意識させることが出来たこと、それら全てが今回のこの結果を生んだと言って良かった。

 

 こちらの動きを見逃さないようにしていたことが逆に仇となり、『さいみんじゅつ』が成功して、ムウマージが再び眠り状態に入る。しかし、メリッサも諦めなかった。「起きて下さい、ムウマージ!」と声をかけて、逆転に望みをかける。

 

 だが、起きられたらこちらも終わりだった。ヨルノズクが『ムーンフォース』でとどめを刺していく。流石に一撃では倒しきれなかったが、何とか起きる前にムウマージを戦闘不能に持って行った。

 

 ムウマージが戦闘不能になり、メリッサのポケモンが全て倒れたことで俺の勝利が決定する。まさかの大逆転に罰金野郎が大騒ぎしているが、本当にギリギリの勝負だった。ぶっちゃけ、ヨルノズクでなければ負けていただろう。

 

 勝者の証として、レリックバッジを受け取る。

 

 降りてきたラティが「ゲットだぜ」と呟いていたが無視してバッジをケースに入れた。

 これでバッジは5つ。後3つで、シンオウリーグへの参加権が手に入る。このペースなら、かなり余裕も出来そうだし、そういう意味では時間をひと月巻き戻してくれたディアルガ様様だったかもしれん。

 

 

 追記。俺のバトルを見て、罰金馬鹿も負けていられないと思ったようで、鋼鉄島で自分を鍛え直すと言っている。俺も次は鋼鉄島の近くにあるミオジムに決めると、何故かしばらくこの馬鹿と一緒に旅をすることになった。

 

 

 




 原作との変化点。

・第100話『ナエトル、ハヤシガメ……そしてドダイトス!』より、ミカルゲVSゴウカザルのバトルとなった。
 ニューサトシのトリッキーな戦術にシンジが翻弄されている。当然、原作のナエトルのくだりはカットされている。

・第101話『ライバルトレーナー・ジュン登場!!』より、ニューサトシがジュンをボコった。
 原作よりも一方的に負けたにも関わらず、自分の方が強いと言っているジュンを罰金野郎と称した。事実を素直に受け入れないトレーナーは大成しないので、馬鹿扱い。

・第102話『ヨスガジム戦! VSメリッサ!!』より、トリッキーなバトルを繰り広げた。
 あまりのレベルの高さにジュンも途中から静かになった。ニューサトシが鋼鉄島に行くとわかると、一緒に行こうとしてきた。

・最小個体のフワライド。
 柳に風、暖簾に腕押し、回避と受け、回復の三つを両立させつつ、アシストパワーで相手を抹殺する脅威のポケモン。ヘルガーを倒されたことで脅威度が増した。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.65

 ピジョット Lv.60

 バタフリー Lv.60

 ドサイドン Lv.62

 フシギバナ Lv.60

 リザードン Lv.65

 カメックス Lv.60

 キングラー Lv.60

 カモネギ  Lv.60

 エビワラー Lv.60

 ゲンガー  Lv.62

 コノヨザル Lv.60

 イーブイ  Lv.60

 ベトベトン Lv.60

 ジバコイル Lv.60

 ケンタロス Lv.60

 ヤドラン  Lv.60

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.59

 プテラ   Lv.60

 ラプラス  Lv.60

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.60

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.58

 カビゴン  Lv.59

 ニョロトノ Lv.59

 ヘラクロス Lv.57

 メガニウム Lv.57

 マグマラシ Lv.57

 ラティアス Lv.54

 ヘルガー  Lv.57

 ワニノコ  Lv.57

 ヨルノズク(色違い) Lv.56

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.56

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.56

 ギャラドス(色違い) Lv.56

 ミロカロス Lv.51

 ラグラージ Lv.52

 オオスバメ Lv.51

 ジュカイン Lv.52

 ヘイガニ  Lv.51

 フライゴン Lv.56

 コータス  Lv.50

 キルリア(色違い) Lv.43

 オニゴーリ Lv.49

 ワカシャモ Lv.47

 メタング(色違い) Lv.42

 エテボース Lv.41

 ムクホーク Lv.40

 ナエトル  Lv.40

 ブイゼル  Lv.41

 ムウマージ Lv.46

 ヒポポタス LV.38

 ミカルゲ  Lv.56

 グライオン Lv.33→34


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