ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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♯219 『進化』

 13歳 ι月ν日 『キッサキシティ ガチ戦 VSスズナ』

 

 スズナが教師を務めるスクールの手伝いをした次の日――ガチ戦の日がやってきた。

 ルールはいつもの3対3の入れ替え有り、レベル制限なしの全力対全力。スズナ自身、久しぶりの本気の勝負にワクワクしているのか、袖を捲って気合を入れている。

 

 応援席にはノゾミの姿もあり、タケシ、ヒカリ、ラティに交じって、このバトルを見物に来ていた。ニューサトシは観客が多いほどテンションが上がるタイプなので、もはや気合はギャラドスの滝登りだ。

 

 改めて、一体目をチョイスする。

 

 スズナも既に一体目は決めているようで、バトルスタートの合図と同時に、互いのモンスターボールがフィールドに投げ込まれた。

 こちらの一体目は金角のカイロス。スズナの一体目は、想像通りにユキノオーだった。ユキノオーの特性、『ゆきふらし』によってフィールドが霰状態に――否、違う。雪だ。雪状態に変化している。

 

 どうやら、スズナのユキノオーは『ゆきふらし』によって発生させる天候を、『霰』か『雪』のどちらにでも出来るらしい。フィールドが雪状態になったことで、こおりタイプのポケモンは防御が1.5倍になる。

 俺の一体目がカイロスだったことで、くさタイプを合わせ持つユキノオー対策だと判断して防御を上げてきたのかもしれない。むしタイプは特にこおりタイプに強くはないからな。

 

 だが、俺のカイロスはむしタイプだが、かなりのかくとう通なのだ。選択した理由も、むしタイプなのに、かくとうタイプばりのかくとう技が使えるからなので、油断しているとこおりタイプの弱点であるかくとう技でワンパンしかねない――が、ここは、まだ種明かしには早い。『シザークロス』を指示して、とりあえず距離を詰める。

 

 自慢の金色の角を大きく動かしながら、地面を蹴ってカイロスが駆けていく。

 

 スズナは動かない。静かにカイロスが接近するのを待っている――ならば先手必勝だ。ユキノオーにむしタイプの攻撃が効果抜群なのは間違いない。このままダメージを与えてやる。

 

 しかし、こちらの攻撃が射程範囲に入ると、同時にスズナも動き出した。『れいとうパンチ』を指示してカウンターを合わせてくる。

 このまま飛び掛かると、まず真っ向から殴り倒されかねないので、ここで『シザークロス』をキャンセルして、『れいとうパンチ』を回避――続けて、『あてみなげ』の体勢に入って、パンチの体勢のユキノオーの腕を取って投げ飛ばしていく。

 

 だが、こちらが攻撃に入ろうとした瞬間、カイロスが躓いてたたらを踏んだ。見ると、ユキノオーが『こおりのつぶて』で、こちらの『あてみなげ』を潰しに来たらしい。小さな氷の塊が足に当たってバランスを崩した。

 くっ、『あてみなげ』は技の性質上、後攻になるというデメリットがあるが、そこに先制技を割り込ませるとは――流石はジムリーダーと言わせて貰おう。この僅かな間に、向こうの体勢も整ってしまったようで、このままでは殴り飛ばされかねないのでカイロスを一旦引かせる。

 

 同時に、スズナがユキノオーをボールに戻した。

 

 ユキノオーは大事な雪降らし要因。こんな所で使い切る訳にはいかないのだろう。実際、まだ雪状態は3ターン程残っている。

 

 スズナは二体目として、ユキメノコを出してきた。ヒカリが「ユキメノコだ!」と声を上げる。少し前にユキワラシを捕まえて、ユキメノコに進化させたがっているからな。

 

 まぁ、それはともかく、状況は一転してカイロス不利だ。むしタイプはゴーストタイプに半減だし、得意のかくとう技も通用しない。ここは下手に動きを縛られる前にこちらもカイロスをボールに戻していく。

 こちらの二体目は、色違いのメタングだ。

 他のポケモンに比べるとまだ少しレベルは低いが、こいつもいい加減レベル的には進化してもおかしくないくらいまでに成長している。上手く立ち回ればこの試合中の進化だって夢じゃない。そうすれば――

 

 ――と、考えていると、スズナも動いてきた。

 

 ゴースト技である『シャドーボール』で攻めてくる。はがね・エスパータイプのメタングはこおり技を半減できるので、正攻法と言って良い攻め方だ。

 

 ここは『コメットパンチ』で相殺していく。相手もタイプ一致技だが、こちらもタイプ一致なら十分に相殺できるはずだ。メタングが器用にシャドボを打ち消していく。

 ユキメノコの特性である『ゆきがくれ』は、天候が霰か雪の時に相手の技の命中率が0.8倍になるという強特性で、相手の命中率を強制的に低くしてくるので注意が必要だった。

 

 何とか相手の『シャドーボール』を『コメットパンチ』で殴り飛ばすと、スズナはすぐに『リフレクター』を指示してくる。

 5ターンの間、相手の物理攻撃のダメージを半減にする技だ。こちらのカイロスやメタングが物理と見て、防御を上げてきたのだろう。とはいえ、こちらも別に特殊が弱い訳ではないので対応策は十分ある。

 

 物理が駄目なら特殊ということで、素直に『サイコキネシス』を指示していく。ユキメノコにエスパー技は等倍だが、タイプ一致の高火力技ならばそこそこダメージを与えることは出来るはずだ。

 特にサイキネは、目に見えないので回避が難しい。ユキメノコも、頭痛を訴えるように頭を抱えてダメージを受けていた。

 

 しかし、スズナもやられたままではいない。『あやしいひかり』で、今度はこちらを混乱させてくる。『クリアボディ』は能力の低下は防げても混乱までは防げなかった。

 こうなると、一時的にメタングを戻さざるを得ない。おまけに、カイロスがユキメノコに有効打がない以上、こちらも最後のポケモンであるマグマラシを出すしかなかった。

 

 ずっと最終進化を拒否しているマグマラシだが、その分他の技術を上げている。パワーだって、進化せずともヘルガーにだって負けないモノがあった。こおりタイプのジムならば、単ほのおタイプであるマグマラシは十分な切り札になる。

 もはや、完全に自由自在となったやる気の炎を滾らせて、マグマラシが気合十分とアピールしていく。同時に、雪がやんだことで、フィールドの状況が元に戻った。

 

 ここで、スズナもユキメノコをボールに戻していく。再びユキノオーで、フィールドを雪状態にしてくるつもりだろう――と、考えていると、三体目のマニューラを出してきた。

 

 ここでマニューラか。確かに、マニューラは特性が『プレッシャー』と、夢特性の『わるいてぐせ』なので、雪の恩恵は防御アップ以外に受けにくい。

 マグマラシはどちらかというと普通は特殊アタッカー気味だし、まだ『リフレクター』が3ターン残っている今、わざわざ無駄にほのお四倍弱点のユキノオーを出すメリットはなかった。

 

 スズナが『つじぎり』を指示し、マニューラが素早種族値125の俊足で、一気にマグマラシとの距離を詰めてくる。

 こちらも『ニトロチャージ』で素早を一段階上げながら攻撃を回避させた。威力70のタイプ一致物理技である『つじぎり』に対応するには『ふんえん』や『かえんほうしゃ』等の高威力技しかないが、下手に遠距離技を使ってもあの速度では躱されかねない。

 

 ならば、こちらもマニューラに負けないように素早を上げつつ、攻撃を回避するのがベスト――連続して繰り出される『つじぎり』を、『ニトロチャージ』で加速しながら避け続ける。

 しかし、こちらがスピードを上げ続けているはずなのに、マニューラを引き離せない。どうやら、向こうも『こうそくいどう』でスピードを上げて追いすがっているようだ。

 

 こちらが限界の六段階まで速度を上げると、向こうも四段階まで上げてきた。まだ二段階差があるはずなのに、スピードは僅かにこちらが上ってだけでマニューラも追いすがっている。

 だが、この間に『リフレクター』の効果は切れた。『つじぎり』に対して、こちらも『かえんぐるま』で迎撃していく。基本的に特殊型が多いマグマラシだが、ニューサトシのマグマラシは、当然のように近接も得意だった。

 

 マニューラの爪と、マグマラシの炎がぶつかり合っていく。しかし、攻撃の種族値や技の威力はマニューラの方が上だ。このままでは純粋に撃ち負けるので、『ニトロチャージ』を掛け合わせて火力を無理やり上げる。

 こうなると、マニューラも攻撃を受けきれずに弾き飛ばされた。そのまま一気に、『かえんほうしゃ』でダメージを与えていく。基本的に近接型ではあるものの、特殊技も十分使えるのがニューサトシのポケモン達だ。

 

 しかし、『かえんほうしゃ』の直撃が当たると同時に、マニューラの姿が消える。『みがわり』だ。本体はどこに――と、思った瞬間、マグマラシの後ろでマニューラが攻撃態勢を整えていた。

 

 繰り出されるのは『つじぎり』と『きりさく』の合わせ技――急所ランクが二段階上がることで、五割の確率で攻撃が急所に当たる。

 マグマラシはあくタイプの技は弱点ではないが、後ろから不意を突かれたことで攻撃が急所に当たったらしく、一気に体力が半分近く削られてしまった。

 

 このスピード――おそらくは、『みがわり』に合わせて、最後の『こうそくいどう』を発動させ、トップスピードでこちらの視界から消えたのだろう。だが、やられたままでいるつもりはない。

 鼬の最後っ屁ではないが、体勢を立て直して最後の技である『オーバーヒート』を撃っていく。向こうも、直撃を受ければただでは済まないと判断し、即座に『みがわり』でダメージを軽減してきた。

 

 だが、これでお互いの体力は五分。

 

 とはいえ、マニューラのダメージは『みがわり』による自傷だが、こちらは背中に大技を受けてしまっている。ダメージの質でいえば、比べようがなくこちらが不利。

 

 オバヒの後遺症で特攻も二段階下がってしまっているし、ここは一旦マグマラシを戻すことにした。続けて、再び金角のカイロスをフィールドに出していく。

 対するスズナはマニューラを戻さなかった。

 おそらくは、『こうそくいどう』で上げたスピードを元に戻すのを嫌ったのだろう。実際、今のマニューラのトップスピードに追い付けるポケモンは、俺の手持ちの中にはいない。

 

 しかし、マニューラは既に技を全て使ってしまっている。おまけに、体力も半減しており、『みがわり』は後一回しか使えない。

 マニューラは速度と攻撃が高い代わりに、防御はそこまで高くなかった。ならば、カウンターの要領で、ダメージを受けながらでも攻撃を返せばまだ逆転の手はある。

 

 スズナが再び『つじぎり』と『きりさく』の合わせ技を指示する。同時に、マニューラの姿がフィールドから消えた。トップスピードで一気に距離を詰めて、カイロスに一撃を当てるつもりだろう。だが、カイロスは攻撃を避けようとしなかった。

 急所だろうが何だろうが攻撃を受け、即座にその腕を掴んで『やまあらし』に移る――体力は一気に半減したが、この『やまあらし』という技は確定で相手の急所にダメージを与えるかくとう技だった。

 

 ――肉を切らせて骨を断つ。

 

 カイロスの『やまあらし』を食らって、一気にマニューラは戦闘不能になった。もし、これが『あてみなげ』であったならば倒しきれなかったかもしれない。急所に確定で当たる『やまあらし』だったからこそ、マニューラを倒しきることが出来た。

 とはいえ、『やまあらし』も賭けだったことに変わりない。『あてみなげ』は後攻になるが、掴んだら邪魔が入らない限りほぼ確定で技が決まる効果があるが、『やまあらし』は技自体が失敗する可能性や回避されるリスクもあった。

 

 それでも、俺はカイロスならやってくれると信じて『やまあらし』を指示したし――カイロスもまた、その期待に応えてくれた。

 

 スズナもマニューラをボールに戻す。まさか、一撃で倒されるとは思わなかったのだろう。驚きがまだ表情に残っている。

 

 続けて、再びユキノオーを出してきた。これにより、再びフィールドが雪に――と、思ったら、今度は霰状態になっていく。霰状態だと、こおりタイプのポケモン以外は毎ターン体力が1/16減る効果がある。

 下手にバトルを長引かせれば体力の半分は余裕で削られるので、何もせずとも霰状態が終わる頃にはカイロスは戦闘不能になる。ここで一気にダメージを稼ぎに来たか。

 

 とはいえ、残る一体がユキメノコな時点で、ここでカイロスを戻す選択肢はない。一気にここでユキノオーを倒しきる――と、考えていると、スズナが袖を捲り上げた。

 腕輪――いや、メガリングがそこには嵌められている。よく見れば、ユキノオーの首の所にも、隠れているがメガストーンのようなものが付けられているのが見えた。

 

「悪いけど、いつまでも好きにはさせないよ! ユキノオー、メガシンカ!!」

 

 どこの地方にも、一人はメガシンカのテスターがいるが、シンオウはスズナがテスターだったのか。

 

 ユキノオーが、メガユキノオーにメガシンカし、その姿を巨大にしていく。おまけに、メガシンカしたことで、『ゆきふらし』が再び発動し、霰状態が二重になるという意味不明な天候効果が発動していた。

 前に、同じ威力の『あまごい』と『にほんばれ』が重なってお天気雨という意味不明な状況になったことがあったが、おそらくはこれも同じだろう。普通なら重ならない天候が二重になることで、効果が強力になっていた。

 

 効果が二倍――ということは、こおりタイプ以外、受けるダメージは毎ターン1/8になる。これだけのダメージを与えられるなら、2ターンか、3ターンでカイロスも戦闘不能にされかねない。

 

 つまり、こちらは短期決戦以外に択がなかった。

 

 カイロスに再び『シザークロス』を指示して攻めていく。スズナは『こおりのつぶて』で迎撃を指示してきた。先制技だが、メガユキノオーは攻撃種族値が132もある。もはや、先制技が先制技の威力をしていなかった。

 近づく前にダメージを受け、霰でさらにダメージが加速していく。駄目だ。このままじゃ、近寄る前に倒される――ここは一か八か、最後の技に『にほんばれ』を指示した。

 

 カイロスには悪いが、後ろのマグマラシやメタングのために天候を崩して貰う。『こおりのつぶて』の二発目を受け、体力がミリにされながらも、カイロスは天候を変えるために技を使い続けた――結果、霰のダメージで倒れながらも、天候を何とか通常の霰状態にまで戻している。

 

 十分だ。ダメージが低くなっただけでも十分に戦いようはある。戦闘不能になったカイロスをボールに戻しながら功を労っていく。不得意な天候技を使わせて悪かったな。

 

 カイロスの意思を引き継ぎながら、再びマグマラシを送り出していく。スズナもメガユキノオーを戻してユキメノコを出してきた。

 

 もう一度、入れ替えてまた天候を変えるつもりか? だが、既に2ターンが経過している。あの天候の重ねは同じターンに発生したからこそ起きたモノと見て良い。あんなバグ技、そうそう同じことが簡単にできるとは思えなかった。

 とはいえ、霰状態であることに変わりはない。ユキメノコの特性である『ゆきがくれ』はしっかり発動していると見て良いだろう。

 

 迂闊にオバヒをぶっぱして外れても厳しい。

 

 ここは丁寧に技をぶつけていくことにした。『かえんほうしゃ』でユキメノコを攻撃していく。スズナは即『ひかりのかべ』で特殊攻撃に対応してきた。弱点の直撃を受けるも、ダメージが半減しているので等倍程度のダメージしか与えられていない。

 先程のバトルで与えたサイキネのダメージと合わせても、良い所1/3削れたかどうかという感じだろう。ならば、続けて『かえんぐるま』でダメージを狙っていく。

 

 スズナも『リフレクター』を張らせて、当然のように物理ダメージを半減してくる。だが、それでも塵も積もれば山となる――ユキメノコの体力はもう何だかんだ半減しているはずだった。

 しかし、スズナもやられっぱなしではない。『あやしいひかり』でこちらを混乱させようとしてくる。迂闊に食らう訳にはいかないので、『ニトロチャージ』でスピードを上げて、光の範囲から離れた。

 

 同時に、天候が晴れに変わる。

 

 霰状態が解除されたことで、後攻で出したカイロスの『にほんばれ』の効果が遅れて出てきたのだろう。急に日差しが入ってきて、ユキメノコが眩しそうに眼を細める。

 ここをチャンスと捉えた。霰状態でなくなったことで『ゆきがくれ』も機能を失った今、攻めるならここしかないだろう。『オーバーヒート』で一気にダメージを狙っていく。

 

 威力が半減していても、天候が晴れである以上、ほのお技の威力は1.5倍になっている。半減などほぼないも同じだ。

 

 マグマラシの『オーバーヒート』が放たれる。

 

 だが、ここでスズナも『シャドーボール』を指示してきた。少しでも相殺して威力を減らそうという狙いだろう。

 それでもタイプ一致晴れオバヒだ。そう簡単に防げるものではない。相手のシャドボを弾き飛ばし、一気にユキメノコの体力を削っていく。

 

 しかし、壁の効果のおかげもあってか、ギリギリでユキメノコは体力を残した。

 

 反撃とばかりに、『あやしいひかり』が放たれる。再び『ニトロチャージ』で回避を指示するが、霰や雪状態でフィールドに積もっていた氷の結晶が、晴れの気温で溶けて足場が崩れていた。

 ズルリ――と、足を滑らせてマグマラシがその場に転ぶ。当然、攻撃を躱すことが出来ず、『あやしいひかり』の直撃を受けてマグマラシも混乱状態になっていた。

 

 これはまずい――と、マグマラシをボールに戻そうとするが、それよりもユキメノコの追撃の方が早い。『シャドーボール』の追撃を受けて、マグマラシが受け流しも出来ずに大ダメージを受ける。

 元々、マニューラとのバトルで体力は半分近く削られていた。そこに、混乱で受け流しも回避も出来ずにタイプ一致の一撃を受けたのだ。ゲームのポケモンのように大ダメージを受けたのは間違いない。

 

 それでも、マグマラシは何とかギリギリで立っていた。こうなれば、一か八かの『オーバーヒート』で反撃を狙うしかない。

 ギリギリでまだ晴れの効果が残っていた。もうこの日差しもいつ消えてもおかしくないが、それも今はまだ使える。晴れ状態ならば、特攻が二段階下がってもオバヒは通常の『かえんほうしゃ』クラスの威力にはなった。

 

 混乱も、今のシャドボの一撃で解除されたようで、マグマラシが最後の一撃を放っていく。

 だが、スズナは冷静に『ひかりのかべ』を張り直してきた。先程のシャドボの直撃と同時に、『ひかりのかべ』の効果が消えたのを見逃していなかったのだ。

 

 とはいえ、ここで特殊を半減しても、オバヒのダメージでユキメノコは戦闘不能になる。

 

 しかし、今から5ターン、特殊技が半減されるというのはかなり厳しかった。ユキメノコが倒れ、スズナが最後の一体であるメガユキノオーを出してくる。

 再び、『ゆきふらし』の特性によって、今度は雪状態にフィールドが変化した。これで、ユキノオーの防御は1.5倍になる。『リフレクター』が丁度消えたが、その分の防御は完璧に補助していた。

 

 これで、物理、特殊、どちらにもユキノオーは強くなる。こちらもマグマラシを戻した。今の状態では『こおりのつぶて』の一撃で戦闘不能にされかねない。

 

 実質、一対一の状況――こちらも最後のメタングにこの勝負の命運を託した。

 

 今、メガユキノオーとメタングは二つの技を使っている。相手は『れいとうパンチ』と『こおりのつぶて』、こちらは『コメットパンチ』と『サイコキネシス』だ。

 こちらははがねタイプを持っているので、こおり技は半減するが、相手のユキノオーはメガシンカしたことで、そんな半減を乗り越えるだけのパワーを持っている。

 

 と、すると、下手に守りに入れば突き崩されかねない。ここは、壁や天候の効果が切れるまで攻撃的に凌ぐしかないだろう――と、考えていると、スズナが『じしん』を指示してきた。

 こちらの苦手なじめんタイプの高威力技だ。タイプ不一致とはいえ、メガユキノオーのパワーなら十分大ダメージになる。ここは『サイコキネシス』を応用して、メタングの体を宙に浮かせて回避した。

 

 ジャンプで回避できるように、ある程度の高度を取ることが出来れば『じしん』の衝撃は避けられる。だが、メガユキノオーは止まらない。遠距離が駄目なら近距離と言わんばかりに距離を詰めてくる。

 

 そのまま『れいとうパンチ』を振りかぶってきたので、『コメットパンチ』で迎撃した。

 

 しかし、種族値的にパワーでは圧敗しており、拮抗することなくメタングが吹き飛ばされていく。続けて、『こおりのつぶて』で吹き飛ぶメタングに追撃をかけてきた。

 

 どちらも半減のはずだが、レベル差もあり、連続で攻撃を受けてメタングの体力が1/3以上削られる。

 

 とても半減とは思えない火力だ。

 

 このままでは押し切られかねない。いや、当たり前か――相手はメガシンカポケモンだ。最終進化してもいないメタングが真っ向から勝てる相手ではない。

 

 なら、諦めるのか?

 

 いや、いつまでもメガシンカに怯えるのはごめんだ。真っ向から戦えないなら、戦わなければいいだけの話――『どくどく』を指示して、メガユキノオーを猛毒状態にしていく。

 カウンターで再び『れいとうパンチ』からの『こおりのつぶて』コンボを受けたが、まだこちらも体力はギリギリ1/8程残っている。おまけに、天候は元に戻り壁も消えた。後は、どちらが先に倒れるかの持久戦だ。

 

 このために、マグマラシを捨てずに残した。

 

 勿論、理想はメタングが進化してパワーが上がるのが一番だったが、進化なんかそう都合よく起きるものではない。見えない可能性に縋るほど、耄碌したつもりはなかった。今できる最善で勝機を掴むのがトレーナーというものだ。

 

 スズナは『こおりのつぶて』で、こちらを追撃してくる。先制技の速度でダメージを積み重ねて倒し切ろうという考えだろう。

 しかし、こちらにも先制技はあった。最後の技である『バレットパンチ』で、氷を破壊しながらメタングにあるまじき高速の移動を可能にする。

 

 スズナはもうメガユキノオーを戻せない。時間さえ稼げば必ず倒せる――と、考えていると、スズナが最後の技として『あられ』を指示してきた。

 

 これにより、こおりタイプ以外のポケモンは必ずダメージを受ける。猛毒で倒れる前に、こちらを霰で倒し切ろうという判断か。

 まずい。メタングの残り体力は1/8程しかない――2ターンもすれば戦闘不能に追い込まれる。もし、その間に『こおりのつぶて』をどこかで一発でも貰えば、そこまで持たないだろう。

 

 そして、メガユキノオーはここから2ターン経っても、おそらくはまだ倒れない。

 

 いや、仮にメタングが逃げ切ったとしても、ミリのマグマラシは霰を耐えられなかった。どう計算しても、猛毒で相手が倒れる前に、こちらが倒れる可能性の方が高い。かといって、下手に攻めれば反撃を受けて倒される。どの行動を取っても詰みの状況だ。

 

 どうする?

 

 どうする?

 

 どうすれば勝てる――と、考えていると、ここでメタングの体が光り出した。考慮から外していた進化がやってきたようで、メタングがメタグロスへと進化を果たす。

 

 メタグロスへの進化。想定外の状況だが、これにより勝機は一気に上がった。スズナに見せつけるように、ニューサトシも袖を捲っていく。

 貰ってからずっと使う機会がなかったメガリングだが、唯一俺が持つキーストーンに対応するポケモンがようやく現れてくれた。この状況をずっと待っていたのだ。

 

 ぶっつけ本番だがやるしかない。

 

 メガシンカは、トレーナーとポケモンが強い絆で結ばれていないと行うことは出来ないということだが、きずな現象なら死ぬほどやってきたし、そもそも俺はこいつが生まれてから――否、生まれる前からこうなることを信じてきたのだ。絆などとっくに限界突破している。

 メタグロスからの絆の心配もしていない。約一年程の付き合いだが、これまで一緒に過ごしてきた毎日が、進化を超えるだけの絆となっていると、俺はそう信じている。

 

「いくぞ、メタグロス! 今こそ、進化を超えろ! メガシンカ!!」

 

 生まれてからずっと持たせていたメガストーンが輝き、メタグロスがメガメタグロスへと超進化を果たす。

 

 時間がないので勝負は一気に決める。

 

 驚きの表情を浮かべるスズナが動く前に、『バレットパンチ』で勝負をかけた。こう見えて、メガメタグロスの素早種族値は110もある。当然、先制技のバレパンは消えて見えるくらいに早く動けた。

 スズナも即座に『こおりのつぶて』での反撃を指示するが、メガシンカして体力や種族値が上がった今、一撃を受けた程度では止まらない。バレパンで氷を破壊しながら、一気に距離を詰める。

 

 とどめは『コメットパンチ』だ。スズナも『れいとうパンチ』で迎撃してくるが、相性の差がレベルを覆し、メガメタグロスも拳を振り抜いていく。

 お互いの拳がボディに突き刺さる。

 こちらの一撃は、メガユキノオーの体力を大きく削り、猛毒で一気に戦闘不能へと持って行った。対するこちらは、半減の『れいとうパンチ』でも体力が残り、霰のダメージを受けてもギリギリで戦闘不能にはなっていない。

 

 全ては、メタングがメタグロスに進化したこと――これによって、全てのステータスが上昇したというこの一点に尽きる。おまけに、メガシンカでさらにブーストをかけたことで相手の攻撃を耐えられる状況が出来てしまったのだ。

 メタングの状態で耐えられるかどうかギリギリなら、進化すれば確実に耐えられる。メガシンカすればさらに余裕だ。なかなか進化しないので考慮から外していたが、元々メタングは進化狙いではあった。こうなる可能性も確かに存在したが、今回はあまりにも運が良すぎたな。

 

 バトルが終了したことでメガシンカも解除され、メタグロスが嬉しそうにふわふわこちらに飛んでくる。こいつも、俺がずっと進化を望んでいたことを知っているから進化できて嬉しいのだろう。

 しかし、重量級のポケモンは進化すると、体重の変化で上手くバランスが取れないことが多いのだが、メタグロスは問題なさそうにしている。まぁ、そのおかげでメガシンカして、勝負を決めきれたのでナイスだ。

 

 と、考えていると、スズナもメガシンカが解けたユキノオーを戻して、こちらにやってくる。

 

「まさか、そっちもメガシンカしてくるとはね……しかも、進化したてのメガシンカ。流石に面喰っちゃった」

「一か八かの賭けでした。あのまま行けば、多分こちらがギリギリ負けてたんで」

「だよねー。正直、『あられ』を決めた時は勝ちを確信したよ」

 

 スズナほどの実力者なら、俺と同じビジョンが見えていただろう。勝てたのは、メタングが進化してくれたおかげだ。

 

 とはいえ、負けは負けということで、悔しそうにしながらもスズナが七つ目のバッジである、グレイシャバッジを渡してくる。これでシンオウリーグまで残りバッジ一つ――と、考えていると、ゴウカザルを連れたシンジがこちらに歩いてくるのが見えた。

 

 そのまま、ジムリーダーのスズナにジム戦を申し込んでいる。今日はガチ戦でポケモンが消耗しているということで明日になったが、連続しての挑戦者にスズナも喜んでいた。

 

 こっちも別に旅を急いでいる訳でもないので、シンジのジム戦を久しぶりに眺めていくことにする。ゴウカザルがどう成長したかも興味あるしな。

 

 

 追記。ポケモンセンターで、今日のガチ戦の映像を振り返りながら、シンジと一緒に、あーでもない、こーでもないと、議論を重ねていく。シンジも、スズナのポケモンの動きや癖などを探しながら、自分ならどう攻めるかをじっくり考えているようだった。

 

 

 




 原作との変化点。

・第127話『キッサキジム! 氷のバトル!!』より、スズナと互角の勝負を繰り広げた。
 メタングについては、相性有利ということもあってチョイスした。いつもであれば、レベル差を考えて選出はしないが、そろそろ進化時期だったのとメガシンカを期待してのチョイスだった。

・初メガシンカした。
 いろいろ格好いいセリフを考えていたが、土壇場で頭に出てきたのがアランのセリフだった。ニューサトシも、後からもっと格好つければよかったと後悔している。

・シンジがやってきた。
 ゴウカザルも目に見えて強そうになっている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.65

 ピジョット Lv.60

 バタフリー Lv.60

 ドサイドン Lv.62

 フシギバナ Lv.60

 リザードン Lv.65

 カメックス Lv.60

 キングラー Lv.60

 カモネギ  Lv.60

 エビワラー Lv.60

 ゲンガー  Lv.62

 コノヨザル Lv.60

 イーブイ  Lv.60

 ベトベトン Lv.60

 ジバコイル Lv.60

 ケンタロス Lv.60

 ヤドラン  Lv.60

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.59

 プテラ   Lv.60

 ラプラス  Lv.60

 ミュウツー Lv.75

 バリヤード Lv.60

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.58

 カビゴン  Lv.59

 ニョロトノ Lv.59

 ヘラクロス Lv.57

 メガニウム Lv.57

 マグマラシ Lv.57→58

 ラティアス Lv.54

 ヘルガー  Lv.57

 ワニノコ  Lv.57

 ヨルノズク(色違い) Lv.56

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.56

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.56

 ギャラドス(色違い) Lv.56

 ミロカロス Lv.51

 ラグラージ Lv.52

 オオスバメ Lv.51

 ジュカイン Lv.52

 ヘイガニ  Lv.51

 フライゴン Lv.56

 コータス  Lv.50

 キルリア(色違い) Lv.43

 オニゴーリ Lv.49

 ワカシャモ Lv.47

 メタング(色違い)→メタグロス(色違い) Lv.42→45 NEW!

 エテボース Lv.42

 ムクホーク Lv.41

 ナエトル  Lv.41

 ブイゼル  Lv.41

 ムウマージ Lv.46

 カバルドン LV.40

 ミカルゲ  Lv.56

 グライオン Lv.37

 ロトム   Lv.40

 ユキカブリ Lv.35


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