13歳 ι月ξ日 『バトルピラミッド シンジVSジンダイ』
朝、いつものようにトレーニングをしていると、シンジの兄であるレイジが仕事でキッサキまで来ているのを見つけた。何だかんだ、会うのはスモモとのトバリのジム戦以来なので久しぶりだ。
シンジも、兄が来ていることに気づいたようでこちらにやってくる。今日はシンジのジム戦の日だと話すと、レイジも「それは、見ていくのも面白いかもしれないな」と、笑みを浮かべていた。
兄の揶揄いに、シンジが真顔で対応していると、見覚えのある飛行物体がこちらに飛んでくる。あれは確か、ジンダイがフロンティアブレーンをしているバトルピラミッドか。
「君たち、あれを知っているのかい?」
「ええ、去年のチャンピオンリーグを蹴って挑戦しましたからね」
「ちなみに結果は?」
「俺が勝ちましたよ」
ギリギリだったけどな。しかし、勝ちは勝ちである。質問をしてきたレイジは「流石はチャンピオンリーグクラスのトレーナーだね」と、感心した様子を見せ、シンジは「あのジンダイさんに勝った、のか……」と、少し驚いた様子を見せていた。
ポケモンセンターの通信から、バトルピラミッドに連絡を取って貰うと、ジンダイも俺のことを覚えていたようで、「久しぶりだな、サトシ君」と笑みを見せる。
そのまま、レイジの車でバトルピラミッドの着陸地点まで送って貰うことになったのだが、そういえば前にトバリでレイジの家に行った時、バトルフロンティアのシンボルがあったのを思い出したので適当に話を振ってみた。
しかし、レイジはバトルピラミッドのブレイブシンボルだけは手に入れられず、ジンダイとのバトルで自分の未熟さを知ってトレーナーを引退してしまったらしい。原作知識がもう消えかけているから地雷を見事に踏んでしまったようだ。
それでも、ジンダイはレイジのことを覚えていたようで、バトルピラミッドに着くと、レイジの顔を見るなり「久しぶりだな」と声をかけていた。
レイジもまさか覚えてくれているとは思わなかったのか、少し驚いたように「ご無沙汰しています」と挨拶をしている。おまけにジンダイは、当時トレーナーになったばかりで兄についてバトルピラミッドの見学をしていたシンジのことも覚えているようだった。
「覚えてくれていましたか……では、俺とポケモンバトルをお願いします。今、ここで」
「ほう?」
「おい、シンジ……スズナさんとのジム戦はどうするんだ?」
「後で詫びを入れて後日にして貰うようにお願いする。カントーでしか戦えないバトルピラミッドに挑戦できる数少ないチャンスを不意にしたくないんだ」
「いいと思うよ? 私も、シンジ君の考えに賛成!」
と、ドードリオに乗ってスズナがこちらに走ってきた。どうやら話は聞いていたようで、シンジの要求を素直に呑んでいる。
スズナとしても、いつでも挑戦できるジムよりも、バトルピラミッドの方が貴重と考えているようで、バトルピラミッドの現物を尊敬したような目で見ていた。
それにしても、どうやらこの世界ではジムリーダーよりもフロンティアブレーンの方が立場が上なのか、スズナがジンダイを敬う様子を見せている。
いや、純粋にジンダイが年上だからか? まぁ、ジンダイくらい実力があれば、敬われても不思議はないが――と、考えていると、また新たな車がやってきて、キッサキ神殿の巫女であるミコトという女性がやってきた。
聞けば、ジンダイはキッサキ神殿の伝説の調査のために来たらしい。そういえば、ゲームでもキッサキにはレジギガスがいたっけか。
ただ、ジンダイは古代文明の研究家であると同時に、ピラミッドキングでもある。シンジの燃えるような視線を受けて、弟子を先にミコトと共にキッサキ神殿に送り、シンジからの挑戦を受けるつもりのようだった。
面白そうなので見物させて貰う。今のシンジがどこまで通用するか――と、考えていると、バトル形式はレベル制限なしのフルバトルで交代有り、どちらかのポケモンが全て戦闘不能になった方の負けというルールをシンジが提案し、ジンダイがそれを受け入れた。
俺の時と同じルールだ。
どうやらシンジは、レイジが成せなかったことを成そうと気合が入っているように見える。一体目としてゴウカザルを出すと、ジンダイはレジロックを出してきた。
一体目として出てきたレジロックを見ながら、シンジが「やはり一体目はレジロックか」と呟く。そういえば、オレの時も最初はレジロックだったっけか。
聞けばレイジの時も一体目はレジロックだったようで、当時いろいろなジムを制覇してイケイケだったレイジはレジロック一体に敗北し、『お前のバトルはそつなく綺麗に纏まっているだけだ。お前ならではの強さはどこにある?』と、厳しい言葉を頂いたらしい。
まだトレーナーになったばかりのシンジも、その言葉を聞いていたようで、それがシンジの強さを求める理由に繋がっているということだった。
ジンダイは特に指示を出さず、シンジが動くのを待っている。だが、シンジは一旦ゴウカザルを戻した。かくとうタイプが入っているとはいえ、ほのおタイプのゴウカザルではレジロックには不利と判断したのだろう。
まさかの即交代にジンダイも驚いた様子を見せるが、続けてハリテヤマを出してきたことで相性を突いてきたと笑みを浮かべた。
思えば、今のシンジの手持ちの半分は対スズナ戦を考慮したものになっている。が、こおりタイプに有効なかくとうタイプはいわタイプのレジロックにも有効だった。
ジンダイはタイプ一致の『ストーンエッジ』で様子見をしてくる。あわよくば急所に当たることを期待しての攻撃だろう。
対するシンジは、『つっぱり』で岩を破壊していった。かくとうタイプにいわタイプは効果今一つということもあり、ハリテヤマは勢いよく『ストーンエッジ』を破壊していく。
続けて、シンジは『はっけい』を指示してきた。三割の確率で相手を麻痺に出来る追加効果があり、尚且つレジロックにも相性がいい。
ジンダイは指示を飛ばさず、レジロックに攻撃を受けさせた。運よく追加効果は引かなかったようだが、ダメージを受けながらもレジロックがハリテヤマの腕を掴む。そのまま、『でんじほう』を指示してハリテヤマにダメージを与えながら確定麻痺状態にしてきた。
タイプ不一致とはいえ、『でんじほう』は威力120あるのでダメージが大きい。本来は命中率50の不安定技だが、ジンダイは確定で攻撃を当てるためにわざとハリテヤマを近くに寄せてゼロ距離攻撃を仕掛けてきた。
続けて、ジンダイが『ドレインパンチ』を指示する。シンジも『インファイト』で迎撃を指示したが、麻痺で素早が下がり動きが鈍っているハリテヤマの攻撃は難なく躱されてしまう。そのまま、カウンター気味に『ドレインパンチ』が決まり、『はっけい』で与えたダメージが回復してしまった。
ジンダイが連続で『ドレインパンチ』を指示すると、シンジは一か八か『きしかいせい』を指示する。今さっき、ジンダイがやったように、敢えて『ドレインパンチ』の直撃を受けてレジロックを掴み、一気にダメージを与える作戦に出た。
が、流石に相手はピラミッドキングだけあって、そう簡単にダメージは通らない。最後の技である『まもる』で攻撃が防がれる。もし、麻痺状態で動きが遅くなっていなければ、『まもる』より先に攻撃を決められたかもしれない。
結局、とどめの『ドレインパンチ』で完全回復され、ハリテヤマは戦闘不能になった。
シンジがハリテヤマをボールに戻しながら、二体目としてエレブーを出していく。おそらく、得意の『かわらわり』や『けたぐり』を軸に責めていくつもりだろう。
実際、シンジはスピードで翻弄しながら『かわらわり』を指示している。が、ジンダイは『かわらわり』を受けながら『ストーンエッジ』で反撃してきた。レジロックを軸に、周りに岩の山が剣山のように出現しエレブーにダメージを与える。
通常は自分から真っ直ぐ岩が出現する『ストーンエッジ』だが、敢えて制御しないことでまばらに岩を出現させるジムリーダーも御用達のテクニックだ。
おまけに、急所に当たったのか、エレブーがたたらを踏む。その隙を突いて、ジンダイは『ドレインパンチ』を指示してきた。どうやら今回のジンダイは、俺の時のような移動砲台ではなく、回復しながらの持久戦が狙いのようだ。
シンジは回避が不可能と悟ると、エレブーに『ドレインパンチ』を受けさせた。続けて、腕を取って、『けたぐり』で大ダメージを狙っていく。『けたぐり』は相手が重ければ重いほどダメージが強くなる技だ。
レジロックの体重は約230㎏――タイプ不一致でも威力120の大技となり、弱点のレジロックに大ダメージを与える。先程は失敗した肉を切らせて骨を断つ作戦の仕返しだ。
だが、ジンダイは冷静に『ストーンエッジ』でとどめを刺しに来る。シンジも『でんこうせっか』で逃げるように指示するが、範囲を最大にしたランダムエッジを避けきれずに戦闘不能に追い込まれていく。
シンジがエレブーを戻すと同時に、ここでジンダイもレジロックを戻した。『けたぐり』で想定以上にダメージを受けたので少し休ませようという魂胆だろう。
続けて、ジンダイはレジスチルを出してきた。純粋なはがねタイプ相手ということで、シンジはゴウカザルを再び出していく。
ほのお・かくとうタイプのゴウカザルは、レジスチルに圧倒的有利だ。いくらレジスチルがレジ系の中でも屈指の防御タイプと言っても、ゴウカザルも攻撃が強いタイプでもある。
シンジは『かえんほうしゃ』を指示した。ジンダイは『じしん』を指示する。
当然ながら、ゴウカザルの攻撃の方が早い。しかし、レジスチルは弱点のほのお技を受けているにも関わらず『じしん』で反撃してきた。地面が揺れ、ゴウカザルもダメージを受ける。
タイプ不一致技とはいえ二倍弱点であり、ゴウカザルは耐久が紙だ。ダメージはかなり大きい。とはいえ、レジスチルも無傷ではなかった。タイプ一致の二倍弱点攻撃を受け、かなりのダメージを受けている。
遠距離攻撃でダメージが五分ならスピードを生かしての勝負の方が有利と判断したようで、シンジが『マッハパンチ』を指示していく。
ジンダイは冷静に、『でんじは』でゴウカザルを麻痺させに来た。『マッハパンチ』はスピードこそあるがダメージは低い、レジスチルなら耐えられると判断して動きを封じに来たのだろう。
ゴウカザルの素早が半減したことで、レジスチルとほぼ同速になった。シンジが『フレアドライブ』を指示すると、それを回避しながら『ボディプレス』で反撃してくる。
もうご存知だろうが、『ボディプレス』は、自身の防御のランクを攻撃の数値にしてダメージを与える技――タイプ不一致でも、防御種族値150のレジスチルなら大ダメージが与えられる。
ゴウカザルが追撃の一撃を受けて追い込まれていく。ここで、シンジは一か八かの賭けに出た。体力が1/3を切ったことで、ゴウカザルの『もうか』が発動したのだ。
まだ完全にはコントロールできていないようだが、物凄い炎がゴウカザルの身を包む。
そのまま、最後の技である『オーバーヒート』で追撃をかけた。自身のスピードが遅くなろうと、遠距離攻撃ならば関係がない。ジンダイはこれを見て、『だいばくはつ』を指示――俺の時と同じく、耐えられないと判断したのか、オバヒが命中する直前に爆発が起こり、ゴウカザルにも爆風が当たっていく。
レジスチルが戦闘不能になると同時に、ゴウカザルも倒れた。しかし、これでシンジは初めてジンダイのポケモンを戦闘不能に持って行っている。兄を超えるという目標の第一歩を果たし、珍しく「よしっ!」と声を出してガッツポーズをしていた。
昨日からシンジをいけ好かない奴と見ていたノゾミも、「意外と熱い所もあるんだ」と言って感心している。が、見た目はクールでも、ああ見えてバトルには熱い奴なのだ、シンジは。
実際、ジンダイに『だいばくはつ』を使わせたのは誇っていい。事実、ゴウカザル一体でレジスチルを倒したようなものだった。
続けて、ジンダイは再びレジロックを出してくる。それを見て、シンジはコドラを出してきた。まだボスゴドラには進化していないようだが、相性的にははがねタイプということで有利だ。
これが、『しんかのきせき』でも持たせているのならまだわかるが、この世界にはまだ持ち物を持たせるという概念があまりない。おそらく、シンジのコドラも普通のコドラだろう。
シンジはコドラに『アイアンヘッド』を指示していく。ジンダイは『ドレインパンチ』で反撃を指示した。コドラが真っ直ぐに駆け、レジロックはそれを迎え撃つ体勢を取る。
そのまま、互いの攻撃が当たる直前、「今だ、『ボディパージ』!」と、シンジが『アイアンヘッド』をキャンセルして別の技を指示した。直前で技をキャンセルされ、コドラの体からパーツが弾け飛び、レジロックの視界を塞ぐ。
同時に、コドラの素早が二段階上がったことで、『ドレインパンチ』を躱して、追撃の『アイアンヘッド』を決めていた。
コドラの動きに迷いがなかった所から、これはおそらく事前に決めていた動きなのだろう。弱点の攻撃を受けてレジロックもダメージを受ける。『けたぐり』のダメージと合わせても、残り体力は僅かだった。
「シンジも、あんなトリッキーなバトルが出来るようになっていたなんて……」
と、兄であるレイジがシンジの成長に驚いた様子を見せる。確かに、昔のあいつのバトルはもう少し基本に忠実で固かったイメージがあった。
タケシが「誰かさんの影響かもな」と笑みを見せる。別に何かした覚えはないんだが、確かに前に比べて俺っぽい感じの動きが多いのは事実だ。
「シンジは二年前、ジョウトリーグに参加していた。そこで、初めてサトシ君を見たんだ」
ふと、レイジがそう話し出す。前に本人にも聞いたが、シンジは俺が優勝したジョウトリーグに参加していたらしいのだ。まぁ、その時は全然気が付かなかったのだが。
「当時はまだ、シンジはそんなに強くなかった。実際、ジョウトリーグは予選で落ちてる。けど、優勝したのがシンジと同時期にトレーナーになった子供だって聞いて、シンジはジョウトリーグでの君の試合を全部見直したんだ」
あの時の試合か、ジョウトリーグは血で血を洗うようなバトルが多かった。あの時の俺の本気があのリーグでは全部発揮できていたはずだ。
「そこからシンジは少し変わった。前に比べてポケモンたちにも少し優しくなったし、もっと強さに貪欲になった。結果、去年のカントーリーグでは準優勝している」
準優勝!? ワンチャン、優勝していてもおかしくないレベルじゃねーか。
「君はシンジと出会う前から、シンジに影響を与えていた。シンジも無意識だろうが、君のバトルを意識していたからこそ、きっと今の成長があるんだ」
と、話している内に、シンジのコドラが倒れていた。どうやら、ジンダイは半減の『ストーンエッジ』で動きを阻害しながら、上手くシンジの隙を突いたらしい。しかし、シンジもレジロックをあと一息まで追い詰めていた。
シンジは五体目としてニドキングを出してくる。技のデパートとの呼び声があるくらい、豊富な技を覚えるポケモンだ。
ジンダイは『ストーンエッジ』を指示してくる。シンジは『ふいうち』でとどめを刺しに行った。大暴れしたレジロックも、もう限界のようで前のめりに倒れていく。これで二体目のレジを倒した。
ジンダイは三体目としてレジアイスを出していく。俺の時はまだ捕まえたばかりだったが、あれから半年――絆を育むには十分すぎる時間があった。
シンジはニドキングをボールに戻した。相性不利と判断したのだろう。ここに来て、シンジは冷静さを失っていない。最後のポケモンとして、シンジはリングマを出してきた。
シンジは『10まんばりき』を指示する。ジンダイは『ふぶき』を指示してきた。こおりタイプ最大の特殊技が、リングマに襲い掛かり氷漬けにしていく。氷状態の追加効果は一割のはずだが、ここで一割を引いてきたか――
「リングマ、『ほのおのパンチ』!」
だが、シンジも対応策は考えていた。拳に宿った炎で氷が解け、腕が動くようになったことで氷を破壊していく。
しかし、ジンダイはその隙に『ゆきげしき』を指示していた。フィールドを雪状態にする天候技――雪状態の時、こおりタイプのポケモンが防御が1.5倍になる。レジアイスは特防種族値が200ある化け物だが、これで物理にも固くなってしまった。
シンジも雪状態については知っているのだろう。後手を取ったと判断し、苦々しい顔をしている。
「シンジ! 苦しさを顔に出すな! 心は熱く、頭はクールに! 苦しい時ほど笑え!!」
まだ二体もポケモンが残っているのだ。諦めるのはまだ早い――と、俺の応援(?)を聞いて、シンジはフッと笑みを浮かべながら「黙って見ていろ!」と声を張り上げた。
同時に、リングマがレジアイスに向かって真っすぐ駆けていく。ジンダイは、冷静に『ふぶき』を指示した。雪状態の『ふぶき』は必中だ。
だが、シンジも対策済みだった。『みがわり』を指示して、それを盾にし、ダメージを最小限に抑えていく。すぐに『みがわり』は壊れてしまったが、そのまま懐に飛び込むと、最後の技である『アームハンマー』を指示した。
リングマ渾身の一撃が、レジアイスにダメージを与えていく。それでも、雪状態の防御1.5倍のせいでダメージは下がってしまっていた。
ジンダイが『れいとうビーム』を反撃に指示する。シンジも、『アームハンマー』でスピードが一段階下がってはいるが、一か八か間に合うことに賭けて、二度目の『みがわり』を指示していく。
ギリギリで『れいとうビーム』を『みがわり』で受け流すと、二度目の『アームハンマー』をレジアイスのボディに決めた。しかし、それが限界――もはや、体力の残りが少なくなり、攻撃が躱しきれなくなると『れいとうビーム』で戦闘不能に持って行かれる。
シンジがリングマをボールに戻し、最後のニドキングを出していく。
ジンダイは『ふぶき』を指示した。ニドキングの弱点であるこおりタイプの必中技で一気にダメージを稼ごうという狙いだろう。
シンジは『すなあらし』を指示した。天候を上書きすることで、雪が砂嵐に代わり、『ふぶき』の必中効果が消えて攻撃が外れる。同時に、いわ・じめん・はがねタイプ以外のポケモンは毎ターン1/16のダメージを受けることになった。
ジンダイは天候を変えてこない。仮にここで天候を変えても、シンジがすぐに上書きする。PP的にも後出しのシンジの方が有利であり、最終的に砂嵐にされるのであれば使う意味がないと判断したのだろう。
ここは安定の『れいとうビーム』で弱点を突いていく。シンジは即座に『ふいうち』を指示して先手を取りに行った。距離を潰して、『れいとうビーム』よりも内側に入ることで攻撃を躱してダメージも与える――一石二鳥の攻撃。
だが、ジンダイも『ふいうち』は理解していた。これは懐に呼び寄せるための策――タイプ不一致の先制技ではレジアイスもそうダメージは受けない。『ふいうち』が発動した瞬間、即座に『れいとうビーム』をキャンセルして、カウンターの『れいとうパンチ』で反撃していく。
シンジも呼びこまれたことを察するが、レジアイスは特殊攻撃よりも物理攻撃の方が弱い。近接ならニドキングの方が分があると判断し、攻撃を受けながら『ほのおのパンチ』で迎撃を指示した。
さらに反撃の拳がレジアイスにもぶつかる――この距離では遠距離攻撃は出来ないと判断し、ジンダイも連続で『れいとうパンチ』を指示した。二度目の拳を受けてニドキングがよろける。
シンジも、下手に『ふいうち』を仕掛けるとまたカウンターをくらうと思ったようで、『ほのおのパンチ』で反撃を指示した。
どちらも引かずに、お互いを殴り合う。
ニドキングはタイプ不一致のほのお技だが攻撃種族値が高い。レジアイスはタイプ一致のこおり技だが攻撃種族値が低い。結果、ダメージは五分――だが、シンジにはリングマが残した半減の『アームハンマー』二回分の貯金があった。
おまけに、砂嵐でさらに体力はじりじり削られていく。このままいけば、ニドキングがダメージ勝ち出来る。だが、天はジンダイに味方したようで、『れいとうパンチ』の一割の追加効果である氷がニドキングの身を蝕んだ。
シンジも『ほのおのパンチ』で即座に氷を解かすが、その隙にレジアイスは距離を取って『ゆきげしき』を発動させる。天候が再び雪に代わり、『ふぶき』が必中になった。
ニドキングが動けるようになったと同時、ジンダイがとどめの『ふぶき』を指示する。仮に『ふいうち』を使っても、必中である以上回避は出来ない。移動中に動きを止められる――だからこそ、シンジは攻撃を必ず回避できる技を指示した。
猛吹雪と言って良い攻撃が止む。
しかし、フィールドにはニドキングの姿が存在しなかった。見ると、凍ったフィールドに薄黒い部分がある。それが穴だと理解できた時、レジアイスの真下からニドキングが飛び出してきた。
最後の技――『あなをほる』だ。
一ターン目に地中に潜るこの技は、“地上”では必中の『ふぶき』を回避できる。雪と『ふぶき』で視界が悪くなっていたことで、シンジと俺を除く全員がニドキングを見失っていた。
だが、じめんタイプの技はこおりタイプに弱点ではない。おまけに雪で物理ダメージは軽減される。ギリギリで持ちこたえたレジアイスが『れいとうパンチ』で反撃した。
ここでシンジは冷静に『ふいうち』を指示する。
先制の拳がレジアイスに直撃し、体力をゼロにしていく――が、準伝は伊達ではなかった。
最後の最後、体力が削り切られる間に、『れいとうパンチ』の反撃を仕掛けていく。普通のポケモンならまず不可能だが、雪で防御が1.5倍になりダメージが軽減していたことと、準伝の耐久力があったからこそ不可能を可能にした。
ニドキングに拳が直撃し、残り僅かな体力を削り切る。レジアイスとニドキングが同時に倒れ、シンジのポケモンが全て戦闘不能になった。
「今のバトル、しっかり堪能させて貰った。だが、そのスタイル、まだ完全にはモノに出来ていないな? いずれ、完全になったお前とバトルしてみたいものだ」
シンジのバトルを見て、ジンダイがそう告げる。しかし、シンジは事前準備無しのほぼぶっつけで手持ちも作戦もなしで、ジンダイのレジを全て倒したのだ。それは評価すべきポイントだろう。
とはいえ、全てが実力とは言えない。ジンダイにはレジ系以外にも、テッカニンやジュペッタ、ソルロックが控えていた。もし、レジ系の間にそれらを出されていたらシンジはもっと苦戦していたはずだ。
そういう意味では、このバトルはジンダイがシンジの気持ちを汲み取って敢えてレジ系三体を連続で使ったからこそ、シンジ有利の状況が出来たと言って良い。
おまけに、たまたましていたスズナ対策が、ジンダイのレジロックやレジスチルにぶっ刺さったからこそ前半も有利が取れたのだ。悪く言えば、運が良かっただけとも言える。
ただ、それはシンジ自身も理解しているようで、「胸を貸していただき、ありがとうございました」と頭を下げている。
まぁ、内容はどうあれ、結果的にシンジがレジ三体を倒したのは事実だった。
俺ももう一度ジンダイとバトルしたい――と、内心で燃えていると、レイジが「サトシ君とシンジのフルバトルが見たいな。やってみる気はないかい?」と、提案してくる。
シンジとか、それもアリだな。
だが、俺はもう今からでもOKだが、シンジが時間を欲しがった。改めて10日後の正午、エイチ湖の湖畔にあるポケモンセンターでバトルしようと言われたが、10日は長すぎるので5日にして貰う。今から誰を選ぼうか悩みに悩む所だ。
シンジからは「手加減無用」と言われたが、シンジは一流のトレーナーである。手加減など端からする気はない。「全力で行くぞ」と返すと、シンジは笑みを浮かべてこの場を去っていった。
追記。シンジが去った後、キッサキ神殿に行っていたはずのジンダイの弟子と巫女のミコトが慌てた様子でバトルピラミッドに帰ってきた。聞けば、神殿内に謎の集団が現れたらしい。これって、まさかレジギガス案件じゃね?
原作との変化点。
・第128話『バトルピラミッド! シンジVSジンダイ!!』より、シンジが今の全てをぶつけた。
ニューサトシとの関わりで、既に自分のバトルのひな形が出来つつあった。冷静な計算力を中心にしつつ、これまでの経験を反映させた独自のバトルでレジを全て倒している。
・ジンダイからも高評価を受けた。
ジンダイ自身、シンジがレジと戦いたがっているのを理解して、今回はレジ3体だけでサイクルしていた。他のポケモンが混ぜれていたらもっと楽に勝てたが、その分シンジの本気を肌で感じることが出来ている。
・シンジ覚醒。
このバトルを通じて、改めて自分のバトルスタイルを明確に掴んだ。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.65
ピジョット Lv.60
バタフリー Lv.60
ドサイドン Lv.62
フシギバナ Lv.60
リザードン Lv.65
カメックス Lv.60
キングラー Lv.60
カモネギ Lv.60
エビワラー Lv.60
ゲンガー Lv.62
コノヨザル Lv.60
イーブイ Lv.60
ベトベトン Lv.60
ジバコイル Lv.60
ケンタロス Lv.60
ヤドラン Lv.60
ハッサム Lv.60
トゲキッス Lv.59
プテラ Lv.60
ラプラス Lv.60
ミュウツー Lv.75
バリヤード Lv.60
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.58
カビゴン Lv.59
ニョロトノ Lv.59
ヘラクロス Lv.57
メガニウム Lv.57
マグマラシ Lv.58
ラティアス Lv.54
ヘルガー Lv.57
ワニノコ Lv.57
ヨルノズク(色違い) Lv.56
カイロス(部分色違い) Lv.56
ウソッキー Lv.56
バンギラス Lv.61
ドンファン Lv.56
ギャラドス(色違い) Lv.56
ミロカロス Lv.51
ラグラージ Lv.52
オオスバメ Lv.51
ジュカイン Lv.52
ヘイガニ Lv.51
フライゴン Lv.56
コータス Lv.50
キルリア(色違い) Lv.43
オニゴーリ Lv.49
ワカシャモ Lv.47
メタグロス(色違い) Lv.45
エテボース Lv.42
ムクホーク Lv.41
ナエトル Lv.41
ブイゼル Lv.41
ムウマージ Lv.46
カバルドン LV.40
ミカルゲ Lv.56
グライオン Lv.37
ロトム Lv.40
ユキカブリ Lv.35