いくつかの過去に介入しながら、俺はアルセウスの前にやってきていた。
現代じゃない。かと言って、傷ついた世界のアルセウスでもない。ここは長い歴史の中でも、まだ人間もポケモンもまだ野性味が強い時代だ。そんな世界のテンガン山の頂上、俺は別の時代のアルセウスから預かった宝玉を手にここにいる。
「これからもう少し先の未来、お前はこれを人間に渡す。結果、人間に裏切られる。けど、そのさらに未来の人間が、こうして時を超えてお前を助けに来る」
予言――俺からすれば、ピカ様から聞いたこれから起こるべきことを伝えているだけだが、アルセウスに全てを伝える。ここでこいつに会うことも必要なことだった。
ここで俺とアルセウスが会ったからこそ、アルセウスは俺という存在を認知し、これまでのように俺が過去に介入できるように道を作ってくれるようになる。そして、最終的に宝玉を現代のこいつに返すことでシュタインズ・ゲートへ到達するという道筋だ。
と、思っていると、ボールからマグマラシが出てくる。そして、これを待っていたとばかりに古のテンガン山のエネルギーを吸収するように、ヒスイバクフーンへと進化を果たしていた。
まぁ、あれだけテンガン山に興味を示して、進化を拒否していた所からヒスイバクフーンになる機会を狙っていたのはわかっていたが、まさかこんな形で進化するとはな。
でも、これしかチャンスはなかったのかもしれない。俺達の時代には、ヒスイの頃のようなエネルギーは殆ど残っていないし、普通は過去に来るなんて出来ないからな。数少ないチャンスを感じ取ったこいつの嗅覚は凄いとしか言いようがない。
アルセウスは特に何も言わなかった。
けど、意思は伝わったはずだ。その証拠に俺達の体が透けてきている。元の時代に戻るのだろう。後は戻った世界でこの宝玉をアルセウスに返すだけ――本当に長い旅だった。良いこともあったが、やっぱ問題の規模がでかいから出来ればもう二度とお前らには会いたくないぜ。
◇◆
13歳 κ月β日 『これが、シュタインズ・ゲートの選択だよ』
俺は現代に戻り、アルセウスに宝玉を渡した。これで長い歴史は一つに纏まり、アルセウスが暴れるフリをすることもなくなった訳だ。
ぶっちゃけ、アルセウスの映画がどういう内容だったかはもう覚えていないが、アルセウスは過去に人間に裏切られて怒った――という歴史をなかったことにすると、過去改変が発生して歴史が変わってしまう。
だからこそ、アルセウスは俺に宝玉を渡して、この時代まで眠りに入ったのだ。先の未来に、アルセウスは人間に怒りを抱いて眠りに入った――そう伝わるように。
そして、起きたアルセウスは別に怒りなどなかったが、怒ったフリをしてヒカリやタケシ達を過去に送るように仕向けた。そうすることで、過去は変わることなく一つに繋がるようになる。
ついでに、俺はいろいろな過去に介入させられることになった訳だが、まぁ必要だったのは理解しているし、これについては文句を言うつもりはない。
タケシやヒカリ達は、きっと過去に送られる前のアルセウスの怒りが演技だったなんて気づいていないのだろう。いや、本来の映画では本当に怒っていて、過去を改変して解決――という流れだったのかもしれない。まぁ、それはアニメだから許されることだ。
こうして生きている俺達にとって、過去が改変されるのは困るのである。楽しかったことも、悲しかったことも、喜んだことも、辛かったことも、全てが俺を形作っている要因だ。アルセウスもそれを理解してくれたから、こうして茶番を演じてくれたのだと信じたい。
が、前にも言った通り、やっぱお前ら伝説とはもう関わり合いたくないけどな!
13歳 κ月δ日 『ナナミさんクラスだ』
アルセウス事件を解決し、ヒロシ君、ミツル君コンビと別れると、そのまま俺達はフタバタウンにやってきた。思えば、俺はフタバタウンに寄らずに、真っ直ぐマサゴタウンを目指したため、フタバタウンに来るのはこれが初めてである。
ヒカリが久しぶりの故郷にテンションを上げており、スキップしながら家に向かって歩いていく。思えば、電話で何回か話はしたことはあったが、こうして直にヒカリのママさんに会うのは初めてだった。
当然、旅に出てから一度も戻っていないので、最初のパートナーであるポッチャマもヒカリのママさんとは初めましてだ。
家の中を見せて貰うと、ママさんが昔ポケモンコーディネーターとして取ったトロフィーが山のように並んでいる。それを見て、ヒカリが今の自分の実力を見て貰おうとママさんにコンテストバトルを申し込んだ。
しかし、何だかんだとヒカリのママさんは祭りの役員として忙しくしており、コンテストバトル開始がかなり遅くなってしまった。
ただ、ヒカリはその間にまたいろいろと学ぶことがあったようで、ママさんとのコンテストバトルにはポッチャマとポニータで挑戦するつもりでいるらしい。
対するママさんは、いつも連れているニャルマーとブラッキーだ。見ただけでわかるほどレベルが高い。コンテストだけでなく、しっかりバトルも出来るように育てられている。
いざ、バトルが始まると、ヒカリは先手必勝とポッチャマの『バブルこうせん』と、ポニータの『かえんほうしゃ』で仕掛けていく。
対するママさんは、技を指示しなかった。代わりに、ニャルマーとブラッキーが技の隙間を縫うように華麗に動き、攻撃を躱しながら舞うように距離を詰めている。
動きだけで魅せる――流石はトップコーディネーターというべきか。
そのまま距離を詰めて攻撃を仕掛けると、今度はその反動を利用して距離を取って行く。一つ一つの動作が洗練されていて無駄がない。ナナミさんクラスの実力者だ。
だが、ヒカリも負ける気はないようで、すぐにお得意の回転を利用した『ニトロチャージ』や『みだれづき』で追撃をかけたが、それも上手くいなされてなかなか自分ペースに持ち込めずにいる。
ヒカリはその変則的な動きで徐々に相手を自分のペースに巻き込むことでリズムを作るのがベースの動きだ。だが、そのきっかけが上手く行かないと、格上相手だとズルズル追い込まれるだけだった。
後がなくなると、ヒカリはまだ練習中である切り札を出してくる。前に、ハルカのバシャーモとのコンビプレイで成功させた、バトルドームでヒースが使っていた『ほのおのうず』と『うずしお』による、炎と水のフュージョンを使ってきたのだ。
しかし、この技はかなり難易度が高い。
あの時はハルカがヒカリの技量に合わせてくれたから上手く行ったが、自前で二体のポケモンの技を合わせるのはまだヒカリには難易度が高い――実際、完成度は良い所が五割であり、あの技の魅力である二つの渦による堅牢な檻は作れていない。
だが、技の見た目だけなら問題なかった。美しい炎と水の渦が、ニャルマーとブラッキーを捉えていく。流石に驚いた様子を見せるママさんだったが、ニャルマーとブラッキーによるダブルアイアンテールで、炎と水のフュージョンは突破されてしまった。
ニャルマーとブラッキーが、全く同じタイミングで技を合わせることで輝きや威力が跳ね上がっている。おまけに、二体の動きが全く同じなので、まるで鏡合わせで動いているかのような美しさだ――これは極致の域に来ている。
ヒカリも、奮闘したがやはりママさんにはまだ敵わないな。それでもママさんはこのバトルを通してヒカリの成長を感じたようで、嬉しそうな笑みを浮かべている。
俺も、このクラスのコンテストバトルが見られたのは良かった。ラティなんか煽られたのか、コンテストバトルをしたがって興奮したように飛び跳ねまくっている。
極致――出来ないことはないが、極めるにはまだ至っていない。が、本番がタッグバトルである以上、避けては通れない問題だった。
追記。フタバ祭りのメインはポケモン大バトル大会ということで、当然ニューサトシも参加することにした。優勝者には凄いプレゼントがあるということで、今からバトルが楽しみである。
13歳 κ月ζ日 『やっぱ、どっちかわかんねーな』
いよいよフタバ祭りが始まった。イベントの第一弾は、オーキド博士によるポケモン講座――らしいのだが、予定の時間になっても博士がやってこない。
仕方ないので俺達で博士を迎えに行くと、途中の沼地でタイヤトラブルがあったようで、博士は足止めをくっていたようだ。しかし、当の博士は暇つぶしに散歩に出かけたらしい。
どんだけ呑気なんだあの爺――と、思いながら後を追うと、今度は野生のニョロトノやヌオー達に連れ去られるオーキド博士の姿が目に入った。
おいおい、待て待て、その爺さん俺達も用があるんだよ――と、後を追って話を聞いてみると、どうやらこいつらは仲間のハスブレロが最近元気を失ってしまったらしく助けて欲しいと言っている。
うーむ、メンタル的な問題か、これは解決するのに時間がかかるかもしれないな。
と、考えていると、オーキド博士が手持ちの水の石を使ってハスブレロをルンパッパに進化させて無理やり陽気な性格に変えていた。えっ、それでいいの? と、思ったが、仲間のニョロトノやヌオー達はルンパッパが元気になって喜んでいる。
あっ、それでいいんだぁ。
まぁ、本人達が納得しているのなら、俺が深く追求することではないし、オーキド博士を返して貰ってフタバタウンへ戻って行く。
大分遅くなってしまったが、やっとオーキド博士を連れてくることが出来た。ぶっちゃけ、これだけ穴を空けてしまっては祭りのイベントも台無し――と、考えていると、どうやらロケット団のコジロウがオーキド博士に変装して場を持たせてくれているようだった。
あいつらからすれば信用を得てからポケモンを奪う作戦だったようだが、おかげでイベントに穴が空かずに済んでいる。しっかし、相変わらずぱっと見じゃどっちだかわからないくらい似ているなぁ。
それでも俺はどっちが本物かわかるが、この世界の住人からすればどっちが本物か見抜くのは至難の業だろう。ヒカリやタケシも、ずっとオーキド博士と一緒に居たので本物がわかるが、それを証明する手段がない。
問答無用でやなかんじーにしてやることも出来るが、面白そうなのでしばらくは見ていることにした。もしかしたら、何かの間違いで本物が偽物扱いされるかもしれないしな(笑)
と、思っていると、フタバ祭りに来ていた客一人が、「最近、バンギラスが言うことを聞かなくなった」と、相談している。最初はトレーナーの実力不足を疑ったが、進化して~とか、捕まえたばかりで~などのキッカケもなく、突然言うことを聞かなくなったというのが気になった。
街の人も、これを判断基準にするつもりのようで、二人のオーキド博士に視線が集中する。先に動いたのはコジロウだったが、下手にちょっかいを出してバンギラスにやなかんじーにされていた。
対する本物は、見ただけでバンギラスの足の裏にトゲが刺さっていることを見抜いたようで問題を解決している。流石のニューサトシも、原因まではわからなかったので、これは素直に称賛モノだった。
13歳 κ月η日 『優しいポケモンもいたもんだ』
俺とヒカリ、タケシとラティに別れてフタバ祭りの手伝いをしていると、久しぶりに罰金野郎に再会した。そういえば、こいつもフタバタウン出身のトレーナーだったっけか。
どうも祭りということでテンションが上がっているのか、明日のバトル大会を待てずに罰金野郎が俺にバトルを挑んでくる――が、今はフタバ祭りのお手伝いで忙しいので無視しておくことにした。
バトルしないと罰金とかいう意味不明なことを言いながら騒ぐ馬鹿を尻目に、仕事を続けようとすると、突然ネイティオと思わしきポケモンが上空を飛ぶのを発見する。
見た感じ、近くにトレーナーもいないし、何か問題が起きても困るので後を追うことにした。
すると、祭りの屋台から離れた場所でヒカリと罰金野郎が、サーカスらしきものがやっていると騒ぎだす。が、俺の目にはネイティオがいるだけで他に何も見えなかった。
そのまま、二人がネイティオとの距離を詰めていくと、急に夢遊病患者のように意識を失っていく。これは『さいみんじゅつ』か? ってことは、二人が見ていたサーカスって言うのはおそらく幻覚だ。
当のネイティオは俺だけが幻覚にかかっていないとわかると、何やら慌てた様子を見せている。まさか、自分の幻覚が効かない相手がいるとは思わなかったのだろう。
話を聞くと、ネイティオはこうしてたまにトレーナーに幻覚をかけ、記憶の中にある過去を再現し、その幻覚を突破させることで、トレーナーに自分を見直させるということを何度もしているらしい。
あくまでトレーナーに初心を思い出させ、ポケモンとトレーナーには無限の可能性があるのだとわかって貰うのが目的であって、別に俺達を危険に晒そうということではないようなので、俺もこのまま二人が幻覚を突破するのを待つことにした。
しばらくすると、二人がハッとしたように目を覚ます。同時に、ネイティオは森の中に飛び去って行った。
罰金野郎がすぐに後を追おうとするが、上ばかり見ていたせいか、前から歩いてきた人とぶつかっている。
全く、慌て過ぎだ――と、思いながら、倒れた人に手を貸そうとすると、罰金野郎の顔を見て驚いた様子を見せる。聞けば、この人は罰金野郎の父親のようで、クロツグというらしい。
はて、クロツグ? 俺の記憶にあるタワータイクーンと同じ名前だが――と、思っていると、罰金野郎がクロツグにネイティオのことを聞いていた。
どうやら、この先にネイティの森と言う場所があるようで、たまにこうしてネイティオはトレーナーを試すことがあるらしい。
クロツグ曰く、「未来は過去によって作られる。今この瞬間をどう頑張るか、その積み重ねが過去になり、未来に繋がるんだ」ということで、ネイティオも過去を思い出させることで、よりよい未来を作れといいたかったのかもしれない。
追記。クロツグはやはりシンオウ地方のフロンティアブレーンだったようで、明日の大会に優勝すればバトルが出来るらしい。凄いプレゼントって言うのはこれか! 元々、負けるつもりはなかったが、クロツグとバトルできるなら絶対に負けられないぜ。
原作との変化点。
・劇場版アルセウスより、アルセウスと分かり合った。
全ての道が繋がったことにより、過去改変が起きることなく未来は平和になっている。
・ヒスイバクフーンに進化した。
前々からシンオウにある進化のエネルギーを感じていたが、たまたま古のエネルギーを取り込むことで進化に至っている。これを逃していたら、もう進化する機会は訪れなかった。
・第138話『ヒカリVSママ! 親子対決!』より、ママさんが強すぎた。
アニメ見ていた時から強すぎて草だった。
・第139話『オーキド博士を救出せよ! ニョロトノVSグレッグル!!』より、会話で問題を可決したため、ニョロトノとグレッグルはバトルしなかった。
ポケモンに対しては基本会話による和解を求めるのでバトルすることはなかった。アニメでもハスブレロをルンパッパに進化して解決するが、それってどうなん? って首傾げた。
・第140話『ネイティ、ネイティオ……不思議な森!』より、ニューサトシだけ無事だった。
基本的に精神耐性が強いため、全てを台無しにした。おかげでネイティオがビビりまくっている。ヒカリとジュンは原作通りに過去の出来事を体験していた。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.65
ピジョット Lv.60
バタフリー Lv.60
ドサイドン Lv.62
フシギバナ Lv.60
リザードン Lv.65
カメックス Lv.60
キングラー Lv.60
カモネギ Lv.60
エビワラー Lv.60
ゲンガー Lv.62
コノヨザル Lv.60
イーブイ Lv.60
ベトベトン Lv.60
ジバコイル Lv.60
ケンタロス Lv.60
ヤドラン Lv.60
ハッサム Lv.60
トゲキッス Lv.59
プテラ Lv.60
ラプラス Lv.60
ミュウツー Lv.76
バリヤード Lv.60
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.58
カビゴン Lv.59
ニョロトノ Lv.59
ヘラクロス Lv.57
メガニウム Lv.57
マグマラシ→バクフーン(ヒスイの姿) Lv.58 NEW!
ラティアス Lv.54
ヘルガー Lv.57
ワニノコ Lv.57
ヨルノズク(色違い) Lv.56
カイロス(部分色違い) Lv.56
ウソッキー Lv.56
バンギラス Lv.61
ドンファン Lv.56
ギャラドス(色違い) Lv.56
ミロカロス Lv.51
ラグラージ Lv.52
オオスバメ Lv.51
ジュカイン Lv.52
ヘイガニ Lv.51
フライゴン Lv.56
コータス Lv.50
キルリア(色違い) Lv.43
オニゴーリ Lv.49
ワカシャモ Lv.47
メタグロス(色違い) Lv.45
エテボース Lv.42
ムクホーク Lv.41
ナエトル Lv.41
ブイゼル Lv.42
ムウマージ Lv.46
カバルドン LV.41
ミカルゲ Lv.56
グライオン Lv.38
ロトム Lv.41
ユキカブリ Lv.36