ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#025 『責任重大だな、おい』

 10歳 κ月ε日 『ミュウツー 我ハココニ有リ?』

 

 トキワジムのサカキ様とのバトルから三日が過ぎ、俺は改めてミュウツーと対面していた。

 確か映画のミュウツーの逆襲は、自分を生み出した研究員達の言葉や、ポケモンを道具としてしか見ないサカキ様の態度に人間を見限り、復讐に走ったという話だったはずだ。

 

 つまり、今のミュウツーは人間という存在に絶望しかけているということである。

 ここで対応を間違えれば、まず間違いなく逆襲ルート一直線であり、俺は曲がりなりにもミュウツーのトレーナーとして道を示す必要があるということだ。責任重大だな、おい。

 

「とりあえず、名前を聞いても良いか?」

『ミュウツー。そう呼ばれていた』

 

 そうか、ではミュウツー。これからどうしたい?

 結果的にサカキ様から盗むような形になったが、俺は別にお前の力が欲しい訳ではない。お前が自由を望むなら、このままどこかへ行っても構わないぞ。

 実際、こいつがいたらポケモンリーグ所かチャンピオンにもなれそうだが、それはそれで今までの努力の意味が無くなる。そういう意味でも、やはり伝説のポケモンは過剰な戦力だ。

 

『……お前は、私の力を求めないのか?』

「お前が強いのは戦った俺達が一番良くわかってる。ただ、戦いってのは強要する物じゃない。無理矢理戦わせたって意味は無いだろう」

 

 俺はサカキ様と違って無闇やたらにポケモンの力を振りかざす趣味などない。あくまでトレーナーとポケモンが力を合わせるから、ポケモンバトルは楽しいのだ。

 前にプテラにも言ったことだが、そこに主従関係はない。人間とポケモンは対等の存在であり、一方的に戦いを強要するものではないというのが俺のポケモントレーナーとしての理念である。

 

『私はこの世で一番強い。最強になるように生み出されたポケモンだ。力こそが私を証明するものであり、それ以外に私が存在する意味など無い。そう思っている』

 

 そのまま、自分の生い立ちや、サカキ様との出会いを話すミュウツー。

 どうやら、その辺りはアニメや映画と大きくは変わらないようで、ミュウツーは自分という存在や、オリジナルであるミュウへの確執を大きく抱えているようだった。

 

「ミュウツー。これはポケモン図鑑といって、ポケモンを識別する物だ。当然、ポケモン以外の生物には反応しない」

 

 そう言って、ミュウツーへポケモン図鑑を向けると、『データなし。謎のポケモン』という音声が流れる。しかし、図鑑は間違いなくミュウツーをポケモンと認識した。

 

「お前は間違いなくポケモンだ。そして、ポケモンは自由なんだ。自然と共に生きるポケモンも居れば、トレーナーと共に戦うポケモンもいる。お前も同じだ」

『私はただのポケモンではない』

「まぁ、そうだな。お前は人間に作られたポケモンだ。だが、それに何の違いがある? 生まれがどうだろうと、お前はミュウツーという、今ここに生きているポケモンだろう」

『ならば、私は何のために生きている?』

「それは、お前が決めることだ。人もポケモンも、自分のしたいことは自分で決めるもんさ。俺がポケモンマスターを目指しているようにな」

 

 生き方というのは自分で決めるものだろう。そこに、人間もポケモンも違いなんて無い。

 

「ただ一つ言えるのは、お前はサカキが言うような、人間のためだけに戦うような兵器ではないということだ。どんなに強くても、力があっても、ポケモンが人間のために生きなくてはならない理由にはならない」

 

 そう言うと、ミュウツーは一瞬黙った。

 俺の言葉の意味を考えているのかも知れない。

 

『お前と、あのリザードンは、何故戦っている?』

「リザードンだけじゃないさ。一緒に戦ってくれているポケモン達は全員、俺がポケモンマスターになるのを助けてくれているんだ」

『お前達と私で何が違う?』

「そう、だなぁ。俺の言うバトルは戦争や殺し合いじゃない。競技、試合だ。そこにはルールがあり、命のやりとりではなく技術や技を競い合う場なのさ。だから一度のバトルで優劣なんかつかないし、次戦う時には互いにもっと強くなることだってある。お前も今は最強かも知れないけど、いずれはもっと強い奴が出てくるかも知れないぜ?」

『ミュウよりもか?』

「んー……まぁ、お前のオリジナルを馬鹿にするようで悪いが、俺の知っている限りミュウより強いポケモンなんて山のようにいるぞ。ミュウはぶっちゃけ、珍しいだけでたいして強くはないからな。むしろ純粋な強さだけならお前の方が上だろうよ」

 

 ハッキリ、ミュウツーがミュウより上だと断言したことにミュウツーが驚いている。いや、ぶっちゃけミュウとか器用貧乏だし、下手したら伝説じゃなくても倒せるぞ。

 

『ミュウは弱いのか?』

「いや、そこらのポケモンよりは強いよ。過大評価込みで中の上くらいじゃないか?」

『……なら、私はどうだ? お前の知る限り、私はどれくらい強い?』

 

 ミュウツーより強いポケモンか。割といそうだ。

 アルセウスとかカイオーガとかかな。いや、そういえばバドレックスが完全上位互換か。ただまぁ、ミュウツーにはメガシンカもあるし、ゲームと違って種族値だけじゃバトルは決まらないことを考えると、現在は最強クラスと言っても過言ではないだろう。

 

「俺の知る限り、お前は最強クラスだな」

『ククク、ミュウは中の上で、私は最強クラスか。ミュウに固執していた自分が馬鹿らしくなってくるな……』

「あくまでも野生のポケモンって括りの話だ。トレーナーに育てられたポケモンの中には伝説のポケモンより強い奴だっている。中にはお前より強い奴もいるかもしれないぞ」

『面白い』

 

 強さこそが存在理由と言ったミュウツーにとって、まだ見ぬ強者は興味の対象になったようである。これで人間に復讐するとか言わないでくれると良いんだけど。

 

『……いつか、誰かが言っていた気がする。生きているというのはきっと楽しいことだと』

「そうだな。俺も同感だ」

『今までは生きることに楽しさなど感じなかった。ただ、自分が何のために生まれたのかを知るために、そのためだけに戦ってきた。それがミュウに近づく最善の道だと言われたからだ』

 

 サカキ様に騙されたやつか。

 

「ハッキリ言うけど、自分が何のために生まれたのかなんて俺にだってわかってねーよ。ただ、俺はマサラタウンに生まれたサトシだし。お前は研究所で生まれたミュウツーだ。そこに何か違いあるか?」

『……そうだな。これまではその言葉に頷く余裕もなかったが、今では自分が小さいことに固執していたのが良く分かる。本当に大切なのは、どうやって生きるか――それが、いずれ楽しさに繋がって行くのだろう』

 

 そう、ミュウツーが口にすると、フッと小さな笑みを浮かべてこちらに向き直った。

 

『お前の行く末に興味が出てきた。もうしばらく、お前の言うポケモンマスターとやらの旅路を見せて貰うことにする』

「は?」

『お前は言ったな。ポケモンは自由だと。つまり、私がどうしようと私の自由と言うことだ。それに、今の私はお前のポケモンでもある。お前と一緒にいることはおかしいことではないだろう』

 

 ミュウツーと視線が交差する。思えば、会話中、ミュウツーは俺の顔を見ていなかった。それは俺という人間を疑っていた証拠でもあったのかもしれない。

 

「……まぁ、別にいいけど、余程のことがない限り、お前を使うことはないと思うぞ?」

『それでいい。私も弱い物いじめをする趣味はないからな』

「じゃあ、改めて自己紹介しておくか。俺はマサラタウンのサトシ、人間だ」

『サトシ。私は、ミュウツー。ポケモンだ』

 

 よろしくなと返すと、ミュウツーがああと頷いてボールに戻った。思えば、これは七個目のボールのはずなのに、研究所へ転送されていない。ミュウツーの力でそういうものを防いでいるのかもしれないな。

 

 まぁ、一応釘は刺したし、基本的には使うことはないだろう。ただ、AG編ではカイオーガやグラードンが出てきたし、DP編で伝説パ使うサトシ君殺しが居た気がする。ミュウツー君にはそういうヤバい所で活躍して貰おう。

 

 

 

 10歳 κ月ζ日 『バリヤードだ捕まえろ!』

 

 野生のバリヤードをゲットした。これ多分、アニメでママさんのバリヤードになる奴だ。

 詳しく覚えてないが、ママさんに懐いていたのだけは覚えている。確かこいつ、なかなか強かったはずだし、ゲット出来て良かったな。

 

 バリヤードゲットに満足していると、ポケモンサーカスのアツコとかいう女がやってきてバリヤードを譲ってくれと言ってきた。捕まえたばかりのバリヤードを譲るはずがないだろう。馬鹿か。

 と、思わず一刀両断してしまったが、タケシがギャアギャア騒いでうるさいのでとりあえず話を聞いてみることにした。聞くと、どうもアツコのバリヤードがサーカスのやる気を失ってしまったようでライバルを求めているらしい。

 

 そのままサーカスのテントまで行くと、キャンピングカーの中で少しデブのバリヤードがだらけて過ごしていた。

 中に入ろうとするが、透明な壁のようなモノで入れない。仕方ないので、マサラ式肉体言語術――マサラ爆砕拳で壁を壊し、ボディランゲージでバリヤードが何に不満を抱えているのか聞き取った。

 

 すると、バリヤードはアツコのスパルタ練習に耐えかねてぐれているだけのようだ。

 ポケモンに厳しくするのは当然だが、厳しいだけじゃポケモンは人間からの愛情を疑う。アツコにバリヤードから聞いた話を伝えると、心当たりがあったのか、涙を浮かべてバリヤードに謝罪していた。

 バリヤードとしても、女の涙には弱いようで、もう一度だけアツコにチャンスを与えたらしい。これで俺のバリヤードを渡さなくても大丈夫だろう。

 

 

 

 10歳 κ月η日 『ライバル対決 オーキド研究所 前編』

 

 久しぶりにマサラタウンに帰ってきた。昨晩はママさんのご馳走も食べて大満足である。

 今日は、ポケモンリーグの詳しい話を聞くために、オーキド研究所へ行くことになった。しかし。去年までは毎日のように通っていたはずなのに、何だか行くのが久しぶりに感じる。それだけ、俺が外の世界のことを知ったということかもしれないな。

 

 勝手知ったるということで、いつものように無断で中に入ると、オーキド博士とシゲルが紅茶を飲んでいた。どうやらシゲルもマサラに戻ってきていたらしい。

 勝手に入ったことをタケシとカスミさんが謝っている中、俺はいつものように席に座る。博士もそれが当然のように笑いながら茶を入れてくれた。俺らはいつもこんなもんよ。

 恐縮しながら座るカスミさんとタケシを見つつ、トゲ様を博士とシゲルに見せる。二人共、カントーでは珍しいトゲ様に興味津々であり、我が輩も大変気分が良かった。

 

 そのままトゲ様について話していると、徐々に話題が変わり、ポケモンリーグについての話に移っていく。聞けば、どうやら原作通り俺達と一緒の日に出かけたあの少年少女は、まだバッジを集めきれていないらしい。

 まだ二ヶ月近くあるとはいえ、前の日記にも書いた通り、ある一定からレベルを上げるには経験値効率が悪くなってくるし、ジムリーダーも強くなる。時間が短くなれば焦りも出るし、バッジ入手の可能性は下がっていく。多分、帰ってこないだろうな。

 

 まぁ、偉そうに書いているが、俺もグリーンバッジはサカキ様のお情けで貰ったようなもんだから偉そうには言えない。しかし、あれはミュウツーとかいうチートポケモンを使ってきたサカキ様も悪いだろう。あいつが居なきゃ、勝っていた(はずの)勝負だ。

 とりあえず、今回は引き分けということにしといてやろう。もし次に戦う機会があれば、その時は完全に決着を付けてやる。

 

 その後、オーキド研究所に預けている俺やシゲルのゲットしたポケモン達の姿を見ていると、ポケモンリーグの前哨戦ということでシゲルとバトルをすることになった。

 

 ジム戦じゃないので、レベル制限はなしの3対3。

 思えば、こいつは四天王のワタルとバトルをして一体とはいえ、ポケモンを倒している。つまり、アニメよりも育成に余念がないということだ。

 

 やはり、いつの間にかお調子者じゃなくなっていた影響が出ているのだろう。アニメのように「サートシ君」とか言っていれば、隙も多くてたいしたことなかったのかもしれないが、このイケメンモードのシゲルはアニメ後半のようなしっかりとした雰囲気を持っている。油断をすると、負けるのはこちらになりそうだ。

 

 さて、問題は誰を出すかだな。悩みどころだが、最近はジム戦で噛ませ役ばっかりやらせているピカ様を活躍させてあげたい。と、いうことで、一体はピカ様にした。

 続けて、今まで全く使っていなかったベトベトンを使ってみることにする。匂いも大分マシになってきたし、これからはしっかり育成していきたいしな。

 後は最後の一体か。捕まえたばかりのラプラスやバリヤードだと、流石に勝てないだろうし、そこそこ実力がないと駄目だ。と、すると、カモネギ辺りか? 最近使っていないし、久しぶりに二刀流で大暴れして欲しいということでカモネギにすることに――ん?

 

「どうした、イーブイ?」

 

 最後をカモネギにしようとすると、近くにいたイーブイが俺に顔をこすりつけてくる。

 滅茶苦茶可愛くてほっこりするが、何か訴えているようなので、マサラ式肉体言語術ボディランゲージでイーブイが何を言いたいか聞くことにした。

 

 すると、自分をバトルに使って欲しいというではないか。今までロケット団の研究で精神的にも肉体的にもダメージを負っていたことで療養していたイーブイだが、数ヶ月のお休みで大分回復したようだ。自分を助けてくれたお礼ということもあるのかもしれないが、まさか自分から戦いたいと訴えてくるとは思わなかった。

 

 しかし、いきなりのデビュー戦がシゲルというのは流石にレベルが高すぎる。レベルも25だし、いくらこいつが特殊個体とはいえ、勝つのは難しいだろう。

 だが、本人はとてもやる気なようで、出すのは難しいとは言いにくい。特にこいつの昔を知っているが故に、ここでやる気をそぐのは精神的も良くないと判断する。

 ここは勝ちを諦めてイーブイを取ろうとすると、シゲルが自分の一体をイーブイのレベルに合わせてくれるということで、実質2対2のバトルになった。なんかすまんな。

 

 

 




 原作との変化点。

・ミュウツーと旅をすることになった。
 逆襲させないように柄にもない説得をしたら興味を持たれた。基本的に余程のことが無ければ使わないつもりではある。いつか、どこかのわかめな伝説厨を倒すのに使うかも知れない。

・第64話『ポケモンサーカスのバリヤード』より、バリヤードを捕まえた。
 普通に出会って早々ゲットしたので、アニメのママさんとのくだりがなくなった。これからはニューサトシのポケモンとしてバトルの日々である。

・サーカスのバリヤードの不満を伝えて問題を解決した。
 アニメよりもスピード解決したことで、物語がカットされた。

・特別編『ルージュラのクリスマス』、『イワークでビバーク』がカットされた。
 季節物は時期じゃないのでカット。

・第65話『ライバル対決! オーキド研究所』より、シゲルとバトルをすることになった。
 アニメではしなかったが、今回はバトルをすることになった。イーブイのやる気を買って、1対1、2対2の変則バトルをすることになった。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.50

 ピジョット Lv.43

 バタフリー Lv.42

 ドサイドン Lv.50

 フシギダネ Lv.46

 リザードン Lv.51

 ゼニガメ  Lv.46

 クラブ   Lv.42

 カモネギ  Lv.42

 エビワラー Lv.45

 ゲンガー  Lv.48

 オコリザル Lv.43

 イーブイ  Lv.25

 ベトベトン Lv.40

 ジバコイル Lv.42

 ケンタロス Lv.41

 ヤドン   Lv.41

 ストライク Lv.41

 トゲピー  Lv.2

 プテラ   Lv.41

 ラプラス  Lv.36→37

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.36 NEW!



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