14歳 λ月μ日 『ぜってー勝つぞ』
ジムの修理に二~三日かかるということで、その間にガチ戦の調整に入る。今回は、デンジに言った通り、今の全力を出すということで、ミュウツーも解禁する予定だ。
メンバーは、リザードン、ベトベトン、カビゴン、ラグラージ、フライゴン、ミュウツー――ピカ様は、相手がデンジだと得意のでんき技が半減なので、今回は見学をお願いする。
リザードンとミュウツーは当然として、ベトベトンはその体質から電気があまり効かないこと、カビゴンは特殊耐久が高く近接戦も機敏に対応できる点、ラグラージさんとフライゴン先輩もでんき無効という点からチョイスした。
当然、負けは許されないし、今回だけは死んでも勝ちたい。仮に、ここで負けるようじゃチャンピオンリーグの突破なんて夢のまた夢だろう。俺の熱を感じて、選ばれた6体も気合が入っているようだった。
14歳 λ月ν日 『オーバくんが遊びに来た』
四天王のオーバが遊びに来た。どうやらデンジが少しずつだが昔の自分を取り戻しつつあるのが嬉しいようで俺に感謝しているらしい。
ぶっちゃけ、俺はあの馬鹿に世の中そんなに甘くねぇってことを教えてやるつもりなだけであって、別に礼を言われるようなことは何もしていなかった。
が、どうしてもお礼が言いたいなら、バトルでしてくれと頼むと喜んで引き受けてくれる。
大事な調整期間ではあるが、それはそれ、これはこれだ。今回はピカ様が見学だし、ピカ様でオーバに挑戦させて貰う。オーバは相棒らしいゴウカザルを出してきた。どうやら、手加減する気はないようで何よりだ。
「相変わらず、すげぇ怖い笑い方するなぁ。シロナもたまに同じ顔してるときあるよ、やっぱ師弟だな」
と、ニューサトシの笑みを見ながら、オーバが嬉しそうに笑う。まぁ、もうどっちが師匠かわからなくなってしまっているのは、俺だけの秘密だ。
しかし、和やかな雰囲気を見せてはいるが、既にバトルは始まっていた。まずは、挨拶がてら『ばちばちアクセル』で先制していく。流石のオーバも、神速クラスのスピードに「早いな」と驚いた様子を見せていた。
だが、抜け目なく返しの刀で『マッハパンチ』を打ってきたので、こちらも尻尾で拳を受け流していく。ピカ様も大型のポケモンの攻撃を受け流すために日夜努力しており、もはや尻尾の扱いはプロ級になっていた。
とはいえ、ここで引かないのが四天王――『フレアドライブ』で突っ込んでくるので、こちらも『ボルテッカー』で返していく。しかし、流石に体格さがありすぎるようで、ピカ様が弾かれた。
スピードはこっちだが、パワーは向こうが上だな。まぁ、素早種族値108のゴウカザルにスピード勝ち出来るうちのピカ様はもはや意味が分からないピカチュウだ。
だが、スピードで勝てているのは『ばちばちアクセル』が効いているおかげでもある。先制技で窮地を脱しているから、膠着状態にならずに済んでいるのだ。もし、純粋な殴り合いに持ち込まれたら、体の小さなピカ様はひとたまりもないだろう。
とはいえ、オーバもそれは理解しているようで、先制技で翻弄されている状況を改善しようと、ここで『インファイト』を指示して勝負を賭けてくる。
ここは受ける訳には行かないので、向こうの攻撃がこちらに届く前に『10まんボルト』で迎撃をしていく――が、ゴウカザルは構わず突っ込んできた。
肉を切らせて骨を断つとばかりに、拳の連打を叩きこんでくる。ピカ様も尻尾で拳を弾いたり、体を捻ってダメージを受け流したりしているが、それでもオーバのゴウカザルの攻撃力は桁違いに高く、かなりの大きなダメージを受けた。
しかし、やられてばかりで終わりではない。
攻撃の終わりに合わせて、『かわらわり』を脳天に叩きこんでいる。ゴウカザルも『インファイト』のデメリットで、防御と特防が一段階下がっているので、大きなダメージとなっていた。
余裕はない。だが、オーバのゴウカザルだってダメージを受けている。少なくとも、一方的なバトルではないのは間違いなかった。こちらの体力に余裕がないように、ゴウカザルだってもう余裕はないはず――
「「大技で一気に決める!!」」
判断は同時だった。こちらは『10まんボルト』を体に帯電させ、『ボルテッカー』を起動させるお得意のデュアルボルテッカー。
対するオーバは、『フレアドライブ』を発動。そのエネルギーを全て拳に収束させた『だいふんげき』で勝負を賭けに来ている。
この『だいふんげき』という技は、『あばれる』なんかと同じ連続攻撃が可能な威力120のほのお系の物理技だ。代わりに、使用後は混乱状態になるが、ここで勝負を付ければ関係はないということだろう。
こちらのチャージが終わる前に先手をかけると、ゴウカザルが突っ込んでくる。だが、こちらのデュアルボルテッカーもさらなる進化を果たしていた。
前にレッドが使っていたように、この状態から『ばちばちアクセル』を発動させ、神速状態からデュアルボルテッカーにつなげてスピードを火力に加えていく。技の同時発動中に、別の技を多重発動する――ピカ様も遂にその領域に辿り着いていた。
気が付けば、ピカ様が目の前に来ていて、ゴウカザルは咄嗟に拳を振り抜く。
しかし、ピカ様の方が早い。ゴウカザルは完全に拳を振り抜き切れていなかった。向こうは威力が多少落ちたが、こちらは最大火力で、このまま一気に押し切って行く――
勝負はこちらが有利なはずだった。
それでもオーバのゴウカザルは四天王としての意地で反対の腕で追撃をかけてくる。だが、ピカ様も負けなかった。全てのエネルギーを出し尽くして爆発させていく――同時に、二体が吹き飛び、どちらも戦闘不能になってしまっていた。
引き分けか。
「……言うだけのことはあるようだな。まさか、オーバのゴウカザルと引き分けるとは」
いつの間にかバトルを見ていたのか、デンジがこちらに歩いてくる。
何というか、昨日までのやる気のない疲れた様子が嘘のように目を輝かせていた。
「昔の自分を見ているようだった。まだがむしゃらにバトルをして、強くなろうとしていた頃の自分を……」
オーバは何も言わずに、ゴウカザルをボールに戻してデンジの方に向き直る。
デンジも、返事を求めている訳ではないようで、そのまま独白を続けていた。
「お前となら、もう一度熱い魂をぶつけ合うことが出来ると確信した。明日の午後、ナギサジムで待っている。お前の魂を、俺のポケモンで痺れさせてやる」
まるで昨日までとは別人だった。
オーバは「戻ったな。昔のお前に!」と、喜びを見せており、「ああ。この熱い気持ちをチャレンジャーに伝えるのが、俺の仕事だったんだ」と、笑みを見せている。
まぁ、やる気になってくれたのならそれはそれでいいか。俺としても、腑抜けたデンジを叩くよりは、互いをリスペクト出来るポケモンバトルの方が楽しいしな。
しっかし、何故か見物人の喫茶店のマスターが涙を流しているが、もしかして二人の知り合いか何かか? まぁ、デンジが本気で来てくれるなら、俺としてはどうでもいいのだが。
14歳 λ月ξ日 『ナギサジム ガチ戦 VSデンジ』
午後になりナギサジムに向かうと、俺がぶっ壊したジムが綺麗に元に戻っていた。おまけに、適当に置いてあったジムバッジが撤去されている。これでこそ、ジムだ。
と、頷いていると、中にはデンジが待っており、どうやらオーバが審判を務めてくれるらしい。っていうか、最近までジムを締めていたから審判が出来る人間が他にいないのだと言う。
まぁ、こちらとしては本気のバトルが出来れば何でもいい。改めて、ルールはフルバトルで、レベル制限は無し、交代有り、互いのポケモンが全て戦闘不能になった方の負けだ。
と、いう訳で早速一体目を出していく。
俺がもう待ちきれないとわかると、デンジもすぐに応えてくれた。ヒカリやタケシも、「良いバトルを」と言って、ラティを連れてすぐに観客席へ上がって行ってくれる。
改めて、こちらはベトベトン、デンジはサンダースを出してきた。素早130族の強敵――だが、こちらのベトベトンも一筋縄でいく相手ではない。
デンジが開幕、『かみなり』を撃ってくる。対するこちらは『どくどく』を指示した。
サンダースの『かみなり』が直撃するも、発電所育ちで今も定期的に特攻種族値130族のジバコイルに電撃を撃って貰っているベトベトンはでんきに対する耐性が高い。
勿論、全く効かない訳ではないが、この程度の攻撃ならノーダメージだ。そして、足を止めて攻撃していたが故に、こちらの『どくどく』が命中し、サンダースが猛毒状態になる。
流石のデンジも、まさかベトベトンにでんき技が効かないとは思わなかったようで驚いた様子を見せたが、ならばと『あくび』を撃ってくる。こちらを眠らせようという魂胆か。
仕方ないので一度ベトベトンをボールに戻すと、向こうもサンダースを戻してきた。成程、『あくび』は交代の隙を作るのと、こちらの後ろを探る目的も兼ねている訳か。
二体目として、ラグラージさんを出していく。デンジはレントラーを出してきた。再び、でんきが効かないとわかると、「成程」と笑みを浮かべる。こちらがでんき対策をしているとわかったのだろう。
デンジは隙を作るリスクを負って、レントラーを戻してきた。対するこちらは『ステルスロック』を指示して、相手のフィールドに岩場を形成していく。
続けて、デンジはカットロトムを出してきた。くさタイプのロトム――ラグラージさんには弱点だが、ここで戻すつもりはない。うちのラグラージさんはくさタイプが相手だと、逆にやる気を出すという精神的効果を持っているからな。
ステロの1/8ダメージが、カットムを襲っていく。これは痛いだろう。特に後ろのサンダースは猛毒状態だ。ステロのダメージを合わせれば体力は一気になくなっていく。
と、考えていると、カットムが『リーフストーム』を撃ってきた。弱点の高火力で一気に決めようというのがわかる。
が、そんな直接的な攻撃がラグラージさんに効くはずがなく、ヒレのレーダーで攻撃を事前予測しているため、簡単に攻撃を回避し、返しの刀で『かわらわり』をお見舞いしていく。
デンジが苦しそうな表情を見せる。
思った通りだ。いくら、性根が元に戻ったって、こいつは長い間バトルから離れていた。勝負勘がなくなっているんだ。
おまけに、20歳でジムリーダーになってから負けなしと言っていたし、そこからは雑魚狩りしかしていないんだろう。強者に対する戦い方を忘れている上、勝負勘もないんじゃ、こうなるっていうのは最初から分かっていた。
普段のジム戦では、ジムリーダーはハンデを付けて戦っている。だからこそ、大技ぶっぱで一気に勝負を決めるのが効率が良かったんだろう。
だが、そんな雑なバトルは強者同士では通用しない。攻撃を通すために相手の動きを読み、誘導し、貫く。そのための駆け引きこそが、トレーナー同士の熱い戦いなんだ。
とはいえ、腐っても相手は最強のジムリーダーであることに変わりない。素の実力では負けているだろうし、油断すれば負けかねないので全力で叩きつぶしていく。
しかし、デンジは突っ張らずに交代してきた。ここはステロのダメージ覚悟でサイクルをするしかないのだろう。事実、これ以上、カットムに出来ることはないし、突っ張っても死ぬだけだ。
デンジは、サンダースを再び出してきた。
ステロで1/8のダメージが入り、サンダースがダメージで顔を顰める。先程の猛毒のダメージと合わせて既に体力は1/4程削れていた。
こちらは再び待ちの構え――ラグラージさんはカウンター主体だから、自分から動くことはない。それに、猛毒ダメージ的な意味でも待ち作戦は有りだ。
デンジは『めざめるパワー』を指示してくる。前世だと、サンダースのめざパは通りの良い氷が主流だったが、どうもこの状況で出してきたってことはくさなのかもしれない。
ヒカリのマンムーのように、体中から大きな泡のようなものが溢れ、緑色に光っている。だが、仮にくさタイプのめざパだったとしても、何の策もなくぶっぱするのは愚策だった。
前回のカットムと同じく、サンダースの攻撃を事前予測しているため、全て避けきれる。その後、返しで『じしん』を撃つ――だが、流石にそう上手くはいかないようで、サンダースもジャンプして攻撃を回避していた。
しかし、空中ではただの的。落ちてくるタイミングを狙って『かわらわり』の追撃でサンダースにダメージを与えていく。デンジは『まもる』で攻撃を防いだが、猛毒で体力は既に半分近く削れていた。
少しずつ勘が戻ってきているのか、大分動きは良くなってはいる。とはいえ、今のバトルも、俺ならめざパを操作させて大量の泡で多段攻撃を仕掛けるか、サンダースの速度でかく乱してから攻撃した。
足を止めて大技を撃つ悪癖をどうにかしないと、俺には勝てない――が、デンジも自身の弱点には気づいたようで、今度はサンダースを動かしてこちらの隙を作ろうと狙っていた。
だが、サンダースには猛毒という制限時間がある。ラグラージさんは目などいらぬとばかりに、目を閉じてサンダースの居場所をレーダーで捕捉していた。
普段、ジュカインをライバルにしているだけあって、ラグラージさんは素早の高い相手との戦いには慣れている。おまけに、敵はメインウエポンが『あくび』か、『めざめるパワー』しかないのだ。これで攻撃を食らおうものなら、ライバルに大爆笑されてもおかしくなかった。
デンジは何とかワンチャンを掴もうと、移動させながらサンダースに『めざめるパワー』を発動させて自分の周りに待機させている。距離を詰めて撃てば、避ける隙はない――と、思っているのだろう。
実際、いくらラグラージさんのレーダーの性能が高くとも、避けられない攻撃は存在する。が、だからこそ、その手の対策もしっかり出来ていた。
猛毒に苦しみながら、サンダースが距離を詰めて、ラグラージの背後から強襲してくる。
ラグラージさんはその強襲を躱した――と、同時に、サンダースが『めざめるパワー』を発射して攻撃してくる。そう、攻撃を躱した瞬間、まだ体勢が整っていない間は流石のラグラージさんも攻撃は避けられない。
だからこそ、『まもる』だ。攻撃がバリアに弾かれたように拡散する――そのまま、追撃の『かわらわり』でサンダースをぶっ飛ばした。猛毒のダメージで体力がなくなっていたこともあって、そのまま起き上がれずに戦闘不能になる。
狙いは悪くなかった。猛毒さえなければもっと戦えていただろう。だが、デンジがブランクを取り戻す=それまでに生まれるマイナスが、俺を有利にしてくれている。
しかし、同情はしない。今の俺に出来るのは、この数年で培ってきた全ての力をデンジにぶつけてやることだけだった。
デンジは歯がゆそうな顔でサンダースを戻していく。続けて、再びカットムを出してきた。同時に、またステロによって体力が1/8削られる。これでカットムも何もしていないのに、体力が1/4も削られてしまった。
俺もまたこのタイミングでラグラージさんを戻す。代わりに出したのは、エースであるリザードンだ。
相手のカットムはくさ・でんきタイプなので、ほのおタイプの技が有効。しかし、リザードンはほのお・ひこうタイプなので、でんき技が有効だった。これならまだ勝ち目がある――と、デンジが気合を入れて向き直ってくる。
だが、俺がそんな甘い手を打つはずがなかった。
リザードンと気持ちを一つにし――絆を結ぶ。
ほのおタイプの四天王であるオーバでさえも知りえないだろう、この世に一体しかいない俺だけのきずなリザードンで、この状況を圧倒する。
デンジは『10まんボルト』を指示してきた。こちらは『かえんほうしゃ』で対抗していく。きずな現象によってステータスが上昇しているリザードンは、特攻種族値105のカットロトムの『10まんボルト』を押し返してダメージを与えた。
カットムは、防御と特防の種族値が107あるので、かなり硬めのポケモンだ。いくら効果抜群とはいえ、今の『かえんほうしゃ』は『10まんボルト』とある程度相殺されてかなり威力が落ちている――にも関わらず、軽くカットムの体力を1/4は削っていた。
これには審判をしているオーバも驚いており、「メガシンカでもねぇ。なんだ、リザードンのこの変化は……」と、驚いた様子を見せている。初見殺しで申し訳ないが、このまま押し切らせて貰う。
きずなリザードンがその速度で、カットムとの距離を詰めて体を鷲掴みにする。咄嗟に、『10まんボルト』で反撃してくるが、きずな化するとほのお・ひこうから、ほのお・ドラゴンにタイプが変わるので、でんき技は効果が今一つだった。
オーバやデンジも、リザードンのダメージからこちらがドラゴンタイプを持っていることに気付いたようで、デンジがボールを出してカットムを戻そうとしてくる。
しかし、その前に勝負を決めていく。
ゼロ距離、『ブラストバーン』で残りの体力を一気に削り切って行った。元々、ステロのダメージもあり、体力は1/4削れている。
その上、先程の『かえんほうしゃ』で1/4、つまり体力は半分削れていたのだ。きずなリザードンによるタイプ一致の究極技が耐えられるはずもない。
これでカットムも戦闘不能になり、デンジがボールに戻していく。オーバも、まさかここまで一方的な展開になるとは思っていなかったようで、何と言って良いかわからないとばかりにデンジの方を見つめている。おい、審判が片方に思い入れを見せるな、贔屓だぞ。
「……俺は本当に、無駄な時間を過ごしていたんだな。チャレンジャーは俺の方か」
そう開き直ったように、デンジは次にマルマインを出してくる。ステロの効果で体力が1/8削られるが、もうデンジも気にした様子を見せない。今まではジムリーダーとして、俺を迎える形を取っていたが、もはやなりふり構わず攻めてくるつもりのようだった。
まずは手始めに、マルマインが『ひかりのかべ』を展開して、特殊攻撃を半減してくる。きずなリザードンの圧倒的な特殊攻撃をどうにかしようという魂胆だろう。
だが、特殊が駄目なら物理で叩けばいい。
こちらは『じしん』で追撃をかけていく。流石に『じわれ』は命中率の問題もあるし、ここは安定してダメージが狙える『じしん』で、素直に弱点を突いていった。
ダメージから二度は受けきれないと判断したのか、デンジは『だいばくはつ』を指示してくる。咄嗟に『まもる』で攻撃を防ぐ――ダメージは防いだが、最後の技を使わされてしまった。
おまけに、この『だいばくはつ』は俺にダメージを与えるのが目的ではなく、自陣のステロを排除するためのものだったようで、自陣で爆発したことでステロの岩がバラバラに砕けてしまっている。まさか、こんな方法でステロを除去してくるとは。
デンジは再びレントラーを出してきた。ここで、俺も一旦きずな化を解除してリザードンを戻す。全部の技を使わされたし、きずな現象には時間制限がある――まだどうなるかわからないし、ここは保険としてリザードンは温存しておくべきだ。
こちらはフライゴン先輩を出していく。
じめん・ドラゴンタイプなので、でんきは効かない。しかし、『ひかりのかべ』で特殊攻撃の威力が半減されている今、特殊で攻めるよりは物理の方がダメージが与えられるだろう。
続けて、『でんじふゆう』で宙を駆けながら、レントラーが距離を詰めてくる。空中に移動されたことで、自ずとじめん技は無効化されるということだ。弱点を突けない以上、こちらはドラゴン技で迎撃するしかなかった。
フライゴン先輩に『ドラゴンテール』を指示する。威力は60と低い物理技だが、当たれば強制交代される技だ。これで、残り二体のポケモンを無理やり引きずり出してやる。
しかし、レントラーはこちらの一撃を上手く躱して背中に組み付いてきた。続けて、『こおりのキバ』で弱点攻撃を仕掛けてくる。じめん・ドラゴンのフライゴンにとって、こおり技は四倍弱点だ。苦しそうな声を上げて、レントラーを振り下ろそうと体を振る。
背中に組み付かれては技が届かない。それなら背中から地面に『ドラゴンダイブ』してやれ!
前にクロガネジムのショウタがやっていた『ボディプレス』の威力を『じしん』に転用する技の応用だ。『ドラゴンダイブ』の威力を『じしん』に繋げる大技でダメージを与えてやるぜ。
意図を理解したフライゴン先輩が背を地面向けて落下していく。しかし、地面にぶつかる瞬間、レントラーは空中を蹴って離脱してきた。
しまった――普段、あまり使われないから、『でんじふゆう』の効果である、『ふゆう』状態の付与が5ターン続くことをすっかり忘れていた。
フライゴン先輩が自分から地面に突撃して自滅ダメージを受ける。続けてレントラーはその上に乗るように、『のしかかり』を仕掛けてきた。空中からの落下の勢いが重なって、さらにフライゴン先輩が大きなダメージを受ける。同時に、『ひかりのかべ』の効果が切れた。
だが、今は特殊技を使う時ではない。レントラーもこれで地面に降りてきた。ここはすぐに起き上がってレントラーを抱きしめ、今度は前のめりに倒れて『じしん』をゼロ距離でお見舞いしてやる――と、思ったら体が痺れてフライゴン先輩の動きが止まる。
どうやら、『のしかかり』で麻痺したようで、フライゴン先輩の動きが鈍くなっていた。そのまま反撃の『こおりのキバ』でフライゴン先輩は倒されてしまう。おいおい、こっちのミスもあったとはいえ、開き直ってから随分動きが良くなってきたじゃねーか。
フライゴンを戻して、今度はカビゴンを出していく。カビゴンの特性は『あついしぼう』なので、『こおりのキバ』は威力半減だし、特防が高いのででんきの特殊技も防げる。
怖いのはでんきの物理技だが、基本的にうちのカビゴンは俊敏な上、他のポケモン達と同じく俺に似て近接戦が得意なので、余程のことがなければそうそう負けることはない。
デンジはレントラーをボールに戻した。おそらく、有効打がないと察したのだろう。続けて、エレキブルを出してくる。
エレキブル――シゲルも使っていたし、シンジも進化前のエレブーを使っていた。こいつはかくとうタイプの技を覚えるので、カビゴンへの有効打も期待できる。
安定を取るなら、カビゴンを戻しても良かった。フライゴン先輩がやられたとはいえ、こちらにはまだポケモンが五体残っているし、数の有利が出来ている。が、カビゴンがやる気満々だった。
普段は食って寝ているだけでも幸せそうなカビゴンだが、別に戦うのが嫌いという訳ではない。むしろ、実力がある分、起きている時は訓練しているし、人一倍バトルが好きな方だった。
ガチ戦は久しぶりということで、当然ながらカビゴンだってこのバトルを楽しみにしていたに違いない。
なのに、相性が悪いかもしれないからという理由で戻されてもカビゴンだって嫌だろう。それに先程も書いたが、近接戦は得意なのだ。ここはカビゴンに任せよう。
こちらが交代しないとみると、デンジは『けたぐり』を指示してくる。相手が重いほど威力が上がるかくとう技だ。当然ながら、うちのカビゴンは500㎏近いので最大ダメージである。
しかし、そう簡単に転ばされるほど、うちのカビゴンは甘くない。執拗に足を狙うエレキブルに対して、カビゴンが機敏なステップで回避していく。
ユウタのカビゴンもそうだったが、カビゴンはのろいと思われがちな所があるが、資質や育て方次第でこうして素早く動くことだって不可能ではないのだ。
エレキブルの意識が完全に下に向いているのを見て、カビゴンが『10まんばりき』で顔面を狙っていく。咄嗟にデンジが「上だ!」と声をかけ。エレキブルもスウェーで攻撃を躱した。
だが、攻撃を躱したとはいえギリギリだ。相手がたたらを踏んでいる内に、『じしん』で追撃をかけていく。デンジは『プラズマシャワー』を指示してきた。
この『プラズマシャワー』という技は先制系の変化技で、使ったターンの間だけだが、ノーマルタイプの技をでんきタイプにするという効果がある。しかし、今使っているのはノーマル技ではなく、じめんタイプ技の『じしん』だ。
と、不思議がっていると、カビゴンが力強く地面を踏みしめても何も起きなかった。否、正確には踏みしめた場所から電撃が放出されて、エレキブルに襲い掛かっていく。
「『じしん』が!?」
「俺のエレキブルの『プラズマシャワー』は、どんな技もでんきタイプに変えることが出来るのさ!」
はい、チート! そんなんされたら、エレキブルは特性の『でんきエンジン』で素早が一生上がるじゃねーか(六段階まで)!
当然、『じしん』のタイプもでんきに変わったことで、エレキブルは特性を発動させて先程よりも素早が一段階上昇した。
しかし、この技だって無敵じゃない――実際、『10まんばりき』は躱している。ゼロ距離の近接戦に持ち込めば、『プラズマシャワー』を使う余裕はないはずだ。
カビゴンも同じ判断をしたようで、覚悟を決めたように突っ込んでいく。デンジは『かみなり』で反撃してきた。でんき系特殊技の中でも、最大級の威力を持つ一撃を受ける――が、特殊耐久の高いカビゴンはその程度では止まらない。
距離を詰めて、『10まんばりき』でダメージを与えるため、拳を振り抜いていく。エレキブルも、『かみなりパンチ』で反撃してきた。こうなれば、お互いに殴り合いだ。
だが、こっちも攻撃を躱すが、向こうも一段階スピードが上がったことで、こちらの攻撃を上手く回避してくる。一進一退の攻防――だが、ここでデンジはエレキブルに後退を指示した。
カビゴンの攻撃を避けるように、エレキブルがバックステップする。まずい、この間は――
「『プラズマシャワー』!!」
カビゴンが追撃をかけるが、それより先に『プラズマシャワー』が決まった。こちらの『10まんばりき』はもう止められない。これで、『10まんばりき』がじめんからでんき技に代わり、エレキブルはノーダメージで攻撃を受けることが出来る。
攻撃が当たると同時に、エレキブルは特性の『でんきエンジン』を発動させた。続けて、『けたぐり』でカビゴンを転がしてくる。流石に俊敏な動きが売りなカビゴンも、攻撃をして足が止まっている間だけは相手の攻撃を避けることは出来ない。
最大火力の『けたぐり』を受け、カビゴンが苦悶の声を上げる。追撃をかけるように、エレキブルは『けたぐり』を続けてきた。
避けるのは無理だ。とはいえ、受けたら戦闘不能になりかねない――ここは一か八か、『ねむる』で体勢を立て直す。続けて、『ねごと』のワンチャンに賭けた。
前にもどこかで書いたと思うが、この世界の『ねごと』は自分の覚えている全ての技からランダムに技が出る仕様になっている。つまり、技を大量に覚えているほど、望む技が出るかどうかはガチャになるのだ。
しかし、デンジは手を抜かなかった。
こちらの『ねごと』に合わせて、『プラズマシャワー』を発動させ、次の技を受けられるようにしてくる。この『プラズマシャワー』を攻略しないとこちらに勝ち目はなかった。
後から聞いた話によると、この『プラズマシャワー』は効果が強い代わりに、技のエネルギー――つまり、PPを多く消費するようで、5回程しか使えないらしい。基本的に『プラズマシャワー』のPPは25なので、一回に5PPも消費しているということだ。
つまり、この時点で残りの『プラズマシャワー』は後2回――なのだが、そんなことを知らないこの時の俺は、どうやってエレキブルを突破するかを死ぬほど考えていた。
ガチャ結果、『ねごと』で出た技はまさかの『ギガインパクト』で大当たりなのだが、『プラズマシャワー』のせいで大外れに代わり、カビゴンは眠りながら反動で動けなくなる。
逆にエレキブルは計3回のスピードアップを受け、『けたぐり』の連打でカビゴンを戦闘不能にしてきた。一度寝たらなかなか起きないのはうちのカビゴンの凄い所であり、数多くある短所の一つである。
さて、どうするか。
カビゴンを戻しながら思考を働かせていく。ラグラージさんを出せば、まずエレキブルは交代する。最後の一体はおそらくライチュウだ。
ライチュウは『くさむすび』が使える。いくらラグラージさんも、地面から草が生えて来ればワンチャン転ばされる可能性はあるだろう。これ以上のミスは致命傷になる可能性はあるので、ここはラグラージさんではない。
ならば、ベトベトンはどうだ? ベトベトンにはでんき技が効かないし、かくとう技も今一つだ。まず、エレキブルを戻してくるのは間違いない。
レントラーが出てきた場合は、おそらく最後の技は使わずに『のしかかり』をメインに近接戦を仕掛けてくる。ライチュウの場合は、『あなをほる』で弱点を突く立ち回りをしてくるだろう。どちらも近接戦になるし、ベトベトンが有利になる。ベトベトンは有りだ。
リザードンを選んだ場合も、おそらくエレキブルを後退してくる。既にきずなリザードンにでんき技が効きにくいはバレているし、レントラーで『のしかかり』か、ライチュウで『なみのり』――だが、きずなリザードンにはみず技も等倍なので、リザードンも有りだ。
最後にミュウツー。こいつは何でもできる。多分、エレキブルは突っ張って情報を得ようとしてくるだろう。素早は三段階上がっているので、ミュウツーでも少し手古摺る可能性はある。まぁ、こいつは苦戦を喜ぶタイプだが、どうせならエレキブルには戻って貰った方がいいし、こいつは今じゃないな。
と、すると、ベトベトンかリザードンの二択――安定性があるのはベトベトンだ。ここはベトベトンで行こう。
と、いうことでベトベトンを出していく。
こちらの想像通り、デンジは迷わずエレキブルを交代してきた。続けてレントラーを出してくる。まだノーダメージで技も使っていないライチュウはギリギリまで温存したいのだろう。ここに来て、序盤のミスでサンダースとカットムを無駄に消費したツケが効いてきていた。
それに、まだデンジにはベトベトンの初見殺し第二弾である『あくしゅう』による近接殺しはバレていない。まず間違いなく、レントラーはベトベトンに突っ込んでくる。
デンジは『のしかかり』を指示してきた。こちらも『のしかかり』を指示する――同時に、ベトベトンが嬉しそうにレントラーに向かって動き始めた。
だが、足の速さはレントラーの方が上だ。
ベトベトンの周りを走り、背後から強襲してくる。柔らかい体はレントラーの『のしかかり』を受け流しつつ、その前足を沈み込ませた。同時に、ベトベトンが体を翻してレントラーの全身を飲み込み込む勢いで圧し掛かっていく。
でんき技が効かないだけではない。うちのベトベトンは近接戦を仕掛けてきたポケモンに圧し掛かって全身を包み、『あくしゅう』で昏倒させるのが大好きなのだ。
本来の『あくしゅう』は相手に攻撃技のダメージを与えると一割の確率で怯ませるというものである。まぁ、これも『のしかかり』でダメージを与えつつ、全身を包んで怯ませているので間違ってはいないのかもしれないが、確定で相手が昏倒するから一割ではない。
事実、レントラーはしばらく脱出しようともがいていたが、段々とその動きが鈍くなっている。トラって鼻が良さそうだし、さぞかしベトベトンの放つ強烈な悪臭はきつかろう。
ベトベトンが体を退けると、レントラーが目を回して倒れていた。体力はまだ残っているので、戦闘不能ではないが、これをどう言い表せばいい? 気絶? いや、気絶はゲームだと戦闘不能と一緒か。ほなら、戦闘不能やな。
と、いうことで、オーバがレントラーを戦闘不能と判断する。事実、このまま追撃をかければ体力は削り切れるだろう。仮に、戻してもこの試合中にレントラーの意識が戻るとはとても思えないしな。
これで、デンジのポケモンも残り二体――デンジはライチュウを出してきた。エレキブルではベトベトンに対抗できないと判断したのだろう。
こちらはこのままベトベトンで押し切る構えだ。レントラーの結末を見たら、とても『あなをほる』で地面から攻撃など仕掛けられないだろう。仮に使ってきたら、出て来た所を捕まえてレントラーの二の舞にしてやる。
デンジは『わるだくみ』を指示した。ベトベトンの電気無効体質は、あくまででんき技が効きにくいだけで無効にしている訳ではない。でんき技の威力を上げて、無理やりベトベトンの体質を超えてダメージを与えようという魂胆のようだ。
勿論、黙って見ているつもりはない。向こうが『わるだくみ』を積んでいる間に、こちらは『どくどく』で再び猛毒を狙っていく。
しかし、ライチュウは『わるだくみ』をしながら、『かみなり』で毒を蒸発させてきた。積み技を使いながら攻撃をするのは技術がいるが、流石に相棒ポケモンだけあってしっかり育ててあるらしい。
これは、猛毒にするのは無理だな。
ならば『あなをほる』で弱点を攻めつつ、こちらが地中から攻撃を仕掛けて行こう。ライチュウは『じしん』や『マグニチュード』を覚えられないし、『アイアンテール』で地面を割るなんて発想は流石にしてこないだろうしな。原作のサトシ君が異常なのである。
デンジは構わず『わるだくみ』を積ませている。既に4段階詰んでいるので、ベトベトンの攻撃が当たる頃には詰み終わるだろう。
だが、『あくしゅう』による初見殺しに対抗できるか? いや、それ以前に、『あなをほる』をどうやって対処する? と、考えながら、ベトベトンを突撃させていく。
地面から飛び出したベトベトンがライチュウを吹き飛ばし、その体を掴む――デンジは何もしてこなかった。
「今の俺に、地中のベトベトンに対抗する策はない。だから、攻撃は受ける! ライチュウ、『かみなり』だ!!」
ベトベトンに捕まれたまま、ライチュウが『かみなり』を使う。流石に六段階特攻が上昇していると、『かみなり』は体質を超えてベトベトンにダメージを与えてきた。
しかし、ベトベトンは手を離さない。
そのまま、ライチュウを包み込むように『のしかかり』をしていく。こうなれば、どちらが先に倒れるかの我慢合戦だ。ライチュウは『かみなり』を続け、ベトベトンは『のしかかり』でライチュウが気絶するまで耐え続ける。
どちらが先に倒れるか――と、思っていると、ベトベトンの体が崩れ落ちた。黒い煙を吐きながら、ベトベトンが力尽きたように倒れる。
同時に、中から鼻を摘まんだライチュウが起き上がってきた。成程、鼻を摘まんで匂いを嗅がなければ『あくしゅう』による気絶は防げる。あまりに簡単すぎて逆に思いつかなかったが、これは確かに俺のベトベトンには有効な対策だった。
だが、ベトベトンもただでやられてはいない。最後の最後、ベトベトンは『くろいきり』を使って、ライチュウのステータスを元に戻していた。それに、ライチュウも匂いによる昏倒はしなくとも、『あなをほる』と『のしかかり』のダメージを受けている。
残り体力は良い所、半分と言った所だろう。
そろそろうちの切り札を出す頃だな。最近、少し前にゲンシ組とガチバトルしたはずなのに、戦えるのを今か今かと待ちわびているようだし、残りの二体を食べて満足して貰うとしよう。
と、いう訳で、ここでミュウツーを出していく。
デンジもオーバも初めて見るポケモンに動揺する。流石に初見殺しが過ぎるので、伝説のポケモンであることだけは教えてやった。デンジも、俺が自信満々だったのが、自身のブランクだけではなく、こいつがいたからというのがわかったようで苦笑いしている。
「まさか、伝説を従えるトレーナーだったとは……」
「従えてなんかいない。こいつはオレの仲間だ。俺はこいつらと一緒に戦っているんだ」
ポケモンはあくまで仲間であって下僕ではない。
俺が戦えるのはこいつらが力を貸してくれるからだ。こいつらが俺を信じて戦ってくれるから、俺もこいつらを信じて戦える。どちらかがどちらかを頼るのではなく、お互いを信じあうからポケモンバトルは楽しいんだ。
『ならば、その期待に応えよう』
「ああ、見せてやろうぜ、俺達の力を」
未だに、ミュウツーとのきずな化は上手く行かない。だが、きずな化だけがポケモンバトルの全てではなかった。
ミュウツーは自慢のスプーンを出現させて、近接の構えを取る。デンジは、生半可な攻撃ではミュウツーを倒しきれないと判断したようで、一気に勝負を賭けてくるつもりのようだった。
ライチュウが『かみなり』を自身に帯電させていく。同時に、『ボルテッカー』を発動させ、『でんこうせっか』でスピードを付けながら突進してくる――これは、俺がオーバ戦で使った神速デュアルボルテッカーだ。
ピカチュウじゃないと使えない『ばちばちアクセル』の代わりに、『でんこうせっか』で応用しているようだが、まさか一度見ただけで真似てくるとは――ミュウツーも、面白いとばかりに正面から受けて立っている。
スプーンによる防御――だが、流石に止まらない。スプーンが真っ二つに割れて、ミュウツーにライチュウの体が直撃する。
とはいえ、ただ黙ってダメージを受けるはずもなく、『リフレクター』と『ひかりのかべ』の同時発動で、物理と特殊――両方のダメージを半減させていた。
それでも、ミュウツーの体力が1/4程削れている辺り、あの合体技の威力が伺える。もし、壁がなければ半分は体力を削られていただろう。
しかし、デュアルボルテッカーは反動が大きい。通常の『ボルテッカー』は与えたダメージの3割3分のダメージを受けるが、デュアルの場合は軽く半分受ける。つまり、ライチュウは1/8以上のダメージを受けていた。もう体力も半分だし、これで折り返しを超えている。
また、初めての技ゆえにライチュウの負担も大きかったようでフラフラだった。ミュウツーも一思いに『アイアンテール(スプーン)』で戦闘不能に持って行っている。
これで残るはエレキブルだけだった。
しかし、あのエレキブルには『プラズマシャワー』がある――が、対処法がない訳ではなかった。
エレキブルが『かみなり』で攻撃を仕掛けてくる。とはいえ、元々は命中不安定の技だ。ミュウツーは距離を詰めるようにして攻撃を躱していく。
ここで、デンジが『プラズマシャワー』を指示した。『アイアンテール』をでんき技にして、スピードを上げ、ミュウツーの速度に対抗しようという狙いだろう。だが、ミュウツーは『リフレクター』を使って『プラズマシャワー』を無駄打ちにさせた。
そう、使った次の技がでんき技になるのは確かに強いが、適当な変化技を挟んでしまえば技は不発と同じ――デンジも、即座に『プラズマシャワー』は効かないと理解したようで、『かみなりパンチ』で迎撃に出てきた。
ミュウツーも、『アイアンテール(スプーン)』で反撃していく。エレキブルはまだダメージを受けていない。ダメージレース的にはこちらが不利――だが、壁がある上に、スプーンで攻撃を受け流すので、エレキブルは殆どダメージを与えられていなかった。
近接の捌き方がまた上手くなってやがる。普段ずっとボールの中にいる癖にいつ練習しているんだ? イメージトレーニングか?
ターンが過ぎて壁がなくなるが、ミュウツーはまだ直撃を受けていない。ライチュウの時と違って、しっかり防御を意識しているようで、カウンターを主体に戦っているようだ。
対するエレキブルはノーダメージだったのが嘘のようにボロボロになっている。体力も残り1/3程しかないだろう。ぶっちゃけ、いつ倒されてもおかしくないような状態だった。
デンジも互いの近接技能の差が大きすぎることは痛いほどわかったようで、ライチュウの時同様に勝負をかけてくる。『かみなり』を両拳に集めて、『かみなりパンチ』の威力を上げながら、両手で『かみなりパンチ』を打つつもりのようだ。
同じ技を左右の手で同時に発動させるのは、別々の技を左右で同時に発動させるのと同じくらいに技術がいる。そこら辺は昔取った杵柄というべきか――今ある全てで、デンジは俺に挑んできていた。
充電されたダブルかみなりパンチでエレキブルが襲い掛かってくる。しかし、ミュウツーは冷静に『アイアンテール(スプーン)』で攻撃を弾いた。
瞬間、エレキブルがくるんと一回転し、尻尾で攻撃してくる。まさかの『かみなりパンチ(尻尾)』か!
これには流石のミュウツーも不意を突かれて直撃を受けた。『かみなり』の充電は三か所で、同じ技を二つ所か三つ同時に発動させていたのか――これは素直に称賛に値する。
しかし、ミュウツーを倒すには至らない。体力は半分以下に削られはしたが、それでもこの程度で倒れるほど、伝説のポケモンはやわではないのだ。
ミュウツーも『思いの外楽しめた』と言いながら、『はどうだん』を使っていく。
普段、こいつが近接縛りをしているのは、近接が好きというのもあるが手加減しているというのも大きい。そのミュウツーが、わざわざ特殊技を使ったというのは相手を認めたということでもあった。
必中の『はどうだん』は避けられない。『かみなりパンチ』で弾き返そうとするが、あまりの威力にエレキブルの方が吹き飛ばされた。これでタイプ不一致技なんだから、伝説ってやつは理不尽だよな。
エレキブルが戦闘不能になり、これで俺の勝利が確定する。デンジは凄くスッキリしたような顔をしていた。俺とのバトルで、今までの自分の馬鹿さ加減が身に染みてわかったようで、改めて自分を磨き直すと意気込んでいる。
こっちとしても学びの有るバトルだった。特に、ベトベトンの『あくしゅう』対策はマジで勉強になったわ。
デンジが改めてナギサジムを制した証である、ビーコンバッジを渡してくる。「ここから、俺も再チャレンジだ。その最初に渡すバッジだ、受け取ってくれ」と言われてしまっては受け取らない訳にはいかない。
久しぶりに俺の機嫌がいいとわかって、ラティが期待したような目で見てくる。仕方ないな、今回だけだぞ?
「ビーコンバッジ、ゲットだぜ!!」
後ろでラティが跳ね、ピカ様が『ピッ、ピカチュウ!』と声を上げる。これで、俺もシンオウリーグ出場の資格を得ることが出来た。
オーバもデンジが完全に立ち直ったことが嬉しいようで、デンジと肩を組んで笑っている。最初は気に食わない奴だと思ったが、こうしてしっかり改心したし、過去のことは水に流してやろう――と、いうことで、改めてジム壊してすんませんでしたぁっ!!
原作との変化点。
・チャンピオンリーグに挑戦する気合でメンバーをチョイスした。
リザードン、ミュウツー以外は、でんき技が効かない、または効果がなくて機動力の高いメンバーをチョイスしている。カビゴンは遅い? ははっ、馬鹿な。
・オーバとのバトルをデンジが見ていた。
原作通りに、かつての自分を思い出して勝手に立ち直った。ちなみに、オーバが喫茶店のマスターのことを紹介していないので、ニューサトシはマスターのことを知らないおじさんとしか認識していない。
・第166話『発進! ナギサタワー!!』より、ロケット団が来なかった。
基本的にジム戦の邪魔をすると怖い目に合うと長年の付き合いでわかっているため、バトルの邪魔をせずに見学していた。
・デンジのブランク。
長年バトルもしなければ、勝負勘や立ち回りなどが劣化して当然だった。何故俺はあんな無駄な時間を……と、どこかの三井寿状態になっている。
・中盤からは立ち直った。
自分がチャレンジャー側と認識することで、デンジの動きがかつてのものに戻って行った。ニューサトシの凡ミスもあって、波に乗っている。流石にでんじふゆうは使われなさ過ぎて効果が一度きりじゃないことを忘れていた。
・全てを無効にするプラズマシャワー。
相手の技を無効にして自身の速度を上げるデンジの切り札。しかし、どんな技にも必ず弱点は存在するというイタチの教え(勝手に言っているだけ)を基に、最後には攻略している。
・最後にはジムを壊したことを謝った。
あの時は怒りに我を忘れていたが、悪いことをしたのは間違いなかったのでしっかり謝った。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.65
ピジョット Lv.60
バタフリー Lv.60
ドサイドン Lv.63
フシギバナ Lv.60
リザードン Lv.65
カメックス Lv.60
キングラー Lv.60
カモネギ Lv.60
エビワラー Lv.60
ゲンガー Lv.62
コノヨザル Lv.60
イーブイ Lv.60
ベトベトン Lv.60
ジバコイル Lv.60
ケンタロス Lv.60
ヤドラン Lv.60
ハッサム Lv.60
トゲキッス Lv.59
プテラ Lv.60
ラプラス Lv.60
ミュウツー Lv.76
バリヤード Lv.60
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.58
カビゴン Lv.59→60
ニョロトノ Lv.59
ヘラクロス Lv.57
メガニウム Lv.57
バクフーン(ヒスイの姿) Lv.58
ラティアス Lv.54
ヘルガー Lv.57
ワニノコ Lv.57
ヨルノズク(色違い) Lv.56
カイロス(部分色違い) Lv.56
ウソッキー Lv.56
バンギラス Lv.61
ドンファン Lv.56
ギャラドス(色違い) Lv.56
ミロカロス Lv.51
ラグラージ Lv.52
オオスバメ Lv.51
ジュカイン Lv.52
ヘイガニ Lv.51
フライゴン Lv.56→57
コータス Lv.50
キルリア(色違い) Lv.44
オニゴーリ Lv.49
ワカシャモ Lv.47
メタグロス(色違い) Lv.45
エテボース Lv.43
ムクホーク Lv.42
ナエトル Lv.42
ブイゼル Lv.43
ムウマージ Lv.46
カバルドン LV.41
ミカルゲ Lv.56
グライオン Lv.40
ロトム Lv.41
ユキカブリ Lv.38
フカマル Lv.25