ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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♯242 『強さとは何か』

 14歳 μ月π日 『強さとは』

 

 夜、オーキド研究所から明日戦うポケモンを転送して貰った帰り道で、シロナとシンジが話しているのを見つけた。

 ぶっちゃけ、盗み聞きするような趣味はないのだが、高性能なマサライヤーはこの距離でも二人の会話が聞こえてきてしまうのだ。

 

「どう? サトシ君に勝つ自信のほどは?」

「……勝算はあります。それがどれだけ低くても、トレーナーはそれを手繰り寄せないといけない」

「そこは、トレーナーとポケモンが――じゃない?」

「……俺はあなたやあいつほど、ポケモンを信じちゃいません」

「そう? 私にはそうは見えないけど……」

「最初は、あいつが認められなかった。ポケモンを……仲間とか、信じるとか、兄貴も良くそう言っていました。本当に甘い、その甘さで兄貴は負けたんだ――でも、ふと思ったんです。そんなあいつがジョウトリーグを勝ち抜いてチャンピオンリーグでも勝ち進んで、それ以下の俺はなんなんだって」

 

 アニメのサトシ君のように結果がそこまで振るっていなければただの甘ちゃんだが、ニューサトシは結果を出してしまった。

 だからこそ、シンジは自分の信念に迷いが出たのだろう。兄を超えるために強くなる――けど、その上にいる俺は兄と同じ信念を持っていた。

 

「答えは出たの?」

「出すために調べました。あいつのバトルを、あいつとポケモンを……そして、見せつけられました。ポケモンとの絆を」

「絆……ね」

「俺はずっと、ポケモンを信じるなんて言うのは力のないトレーナーの戯言としか思っていませんでした。でも、あいつは違う。あいつは本当に、ポケモンを信じる心を力に変えてきた。きずな現象を持つリザードンだけの話じゃない。他のポケモンも、心からあいつを信じている。その結果、勝利を手にしている。それがわかったんです」

 

 そう言えば、前にレイジも、昔シンジが俺のことを調べていたって言っていたっけか。

 

「理解の外でしたよ。正直、俺には真似できない。けど、あいつのバトルへの取り組み方は参考にしました。精神論だけじゃない、計算や経験に基づいたバトルの応用は俺の勉強にもなりましたからね。結果、カントーリーグでは準優勝出来ました」

「あら、それは凄いわね」

「別にそこまでではありません。レベルとしては、今回のシンオウリーグの方がずっと上です。それに、このリーグには、次の試合にはあいつが居ます」

 

 俺のことだろう。シンジは遠くを見つめるように、窓の外を見つめている。

 

「初めてあいつと会った時、バトルをしました。その強さを肌で感じて、俺では勝てないとわからされましたよ……でも、諦めるつもりはなかった。それから、何度か話をして、バトルをして、気が付けば俺はあいつの影響を受けていた。明確に、強くなっている……もし去年の俺が今の俺を見たら、全くの別人にしか見えないでしょうね」

 

 レイジも、シンジが去年までとは違うとか言っていた。でも、別に俺は何かした訳ではない。シンジはシンジで勝手に強くなっただけだ。

 

「そんなに強くなっても勝つ自信が持てない?」

「自分が強くなれば強くなるほど、あいつとの距離が明確にわかるんです。今の俺はまだ、あいつがいる高みにはいない。けど、それと勝てるかどうかは別の問題です。バトルの勝敗を決めるのは、強さだけじゃない……」

「……君は、強さとはなんだと思う?」

 

 相手の強さに怯えのようなものを見せるシンジに対し、シロナはそう問いかける。

 

「強さとは何か……ですか。俺は、気付きだと思っています。いろいろな経験をして、いろいろな勉強をして、足掻いて、苦しんで、その先に見えるもの……それが強さなんだと」

 

 そして、シンジは迷わずに即答した。

 

 自分の強さに自信がないようなことを言っているが、自分にとっての強さを理解している時点で、シンジはかなりの強さを持っている。

 

「良い答えね。じゃあ、その強さを明日は存分に見せて貰うわ」

 

 そう言って、シロナは去っていく。その後ろ姿を見届けると、シンジもその場を離れていった。

 結局、盗み聞きしてしまったが、この距離ではシロナもシンジも俺には気づいていないだろう。

 

 しかし、強さとは何か――か。

 

 

 

 14歳 μ月ρ日 『シンオウリーグ 準々決勝 VSシンジ 前編』

 

 昨晩の盗み聞きから一夜明け、俺も俺なりの答えを出した。俺にとっての強さとは、日々の積み重ねだ。

 仲間やポケモン達と過ごしてきた日々の積み重ねが俺の力になっている。それが=強さにもなっているのだと俺は思う。

 

 バトルフィールド越しに、シンジと向かい合った。昨日の話を聞いていたと知らないシンジは、曇りのない瞳で真っ直ぐにこちらを見つめている。

 それを見て、こちらも集中していく。

 ちょっとした罪悪感――そんなものは、バトルが始まってしまえば消える。このバトルを楽しみにしていたのは俺だけではないのだ。シンジもまた楽しみにしていた。なら、俺に出来るのは、今持てる力を全力でシンジにぶつけるだけだ。

 

 お互いにモンスターボールに手をかける。

 

 試合開始の合図と共に、ボールはフィールドに投げ込まれた。シンジはボスゴドラ、こちらはエビワラーを出していく。

 思えば、エビワラーも久しぶりのバトルであるが、そのクールさは変わらない。何も言わずとも『こうそくいどう』を使って、自身のスピードを二段階上げていた。

 

 そのまま、軽くステップを踏むと、速攻でボスゴドラの懐に潜り込み、『マッハパンチ』をお見舞いしていく。基本的に、ボスゴドラの特性は『がんじょう』だ。小さなダメージでも、これで特性を無効にできる――が、シンジも『まもる』で防御してきた。

 どうやら、ボスゴドラの特性は『がんじょう』で間違いないようで、技を一つ使ってでも攻撃を無効にしてくる。エビワラーの超カウンターを警戒してのことか? そういえば、調べたって言ってたな。

 

 と、考えていると、今度はシンジが、ひこう技の『つばめがえし』を指示してきた。

 こちらの苦手なひこうタイプの技で弱点を突いて行こうという狙いか。おまけに必中技なので、避けてリズムを読むのが難しい。やはり、シンジも俺のエビワラーがカウンター型だとわかっているようだ。

 

 と、すると、迂闊にカウンターを仕掛けると痛い目を見かねない。ここは『マッハパンチ』を合わせて、『つばめがえし』を相殺していく。

 向こうの『つばめがえし』は威力が60だがタイプ不一致であり、こちらの『マッハパンチ』は威力40だがタイプ一致な上、特性の『てつのこぶし』でさらに威力が上がっている。実質、威力72の技なので、この程度の威力の技なら軽くいなすことが出来た。

 

 シンジも、『つばめがえし』は効かないと悟ると、次に『アイアンヘッド』を指示して攻撃の威力を上げてきた。

 とはいえ、エビワラー相手にそんな大振りな技が効くはずもなく、軽いステップで攻撃を回避して、『マッハパンチ』を頬に叩き――込もうとしたが、またしても『まもる』でガードされた。流石にそう簡単には『がんじょう』を消させはしないか。

 

 しかし、大ぶりの一撃はまるで誘っているようにも見える。こちらが超カウンターした所を『まもる』で防いで反撃する狙いだろう。

 

 シンジも、再び『つばめがえし』を使って細かく攻めながら、たまに『アイアンヘッド』を混ぜて翻弄してくる。だが、『マッハパンチ』は必ず『まもる』で防いできた。

 明らかな誘いだ。

 これまでのエビワラーなら、すぐ誘いに乗って超カウンターを披露していただろうが、この一年でエビワラーも大人な戦い方も覚えたらしく、小技での駆け引きが目立っている。

 

 逆にシンジは昔のエビワラーのイメージで、カウンターを多用してくると思っていたのか、予想外の動きに面喰っているようにも見えた。

 

 小さな連打を積み重ねて殴り倒す――それは、前にエビワラーの目標だったものの一つだ。

 威力の小さな『マッハパンチ』も細かく数を当てて行けばダメージとなる。まさに塵も積もれば山となるだな。

 

 とはいえ、こちらの攻撃が全て防がれている以上、目標が達成できている訳ではない。

 なら、虎穴に入らずんば虎子を得ず――ではないが、ここいらでカウンターを合わせていくのも手だった。多彩な戦い方は、動きを絞らせないためであり、エビワラーがカウンターに拘りを持っているのは変わりないしな。

 

 勿論、『まもる』や『がんじょう』があることは考慮の上だ。向こうの策に嵌ったフリをして、その上でシンジの考えの上をいく。

 

 エビワラーがチラリとこちらの様子を伺ってきたので、首を縦に振ってゴーサインを返す。

 次の『アイアンヘッド』に合わせて、『カウンター』を発動し、返しの拳で首をもぎ取る――と、エビワラーがカウンターの構えを取った瞬間、シンジも身構えた。

 

 こちらが拳を振りきると同時に、シンジがボスゴドラに『メタルバースト』を指示する。

 

 これがシンジの狙い――『メタルバースト』はそのターンに受けた技のダメージの1.5倍を相手に与えるカウンター技だ。こちらの超カウンターを『がんじょう』の特性で耐え、厄介なエビワラーを確殺する。それがあいつの描いていたビジョンか。

 

 ――だが、甘かったな。

 

 こちらも最後の技である『みきり』で攻撃を回避していく。確かに、超カウンターは発動させたが、相手が策を弄しているのがわかっている以上、全力ではいかない。『きあいパンチ』ではなく、『マッハパンチ』で音速のカウンターを決めたのだ。

 正直、きあパンじゃないので、ボスゴドラの体力も半分ちょっとしか削られていない。しかし、そのおかげで、『メタルバースト』を『みきり』で躱す余力が出来た。

 

 とはいえ、これでこちらも全ての技を使わされている。残りの『マッハパンチ』のPPを考えると、とても長くは戦えないだろう。

 

 シンジが動揺している今、畳みかけて一気に殴り倒す――と、『マッハパンチ』を指示する。しかし、シンジもすぐに『アイアンヘッド』を指示してきた。

 こちらの拳を受けながら、鋼の頭突きを返してくる。先程の超カウンターの時は、こちらのカウンター成立からのメタバ発動だったため、『みきり』での回避が間に合ったが、こちらの攻撃に合わせての反撃だとギリギリで僅かな技後硬直で次の技が間に合わない。

 

 もはや、『がんじょう』がなくなった以上、肉を切らせて骨を断つ作戦に切り替えたようで、ダメージ覚悟でエビワラーに襲い掛かって来た。

 

 エビワラーも四段階上がったスピードで強引に回避しようと動くが、避けきれずに僅かにダメージを受けている。

 しかも、うちのエビワラーの防御の個体値が逆Vだ。いくら鍛えても治らないガラスの体――ボスゴドラの捨て身の一撃で、一気に体力が半分以上削られていく。

 

 だが、決して表情には出さない。

 

 この程度か? と、いう余裕を見せたまま、とどめの一撃を与えるために拳を握り込む。

 

 ボスゴドラも今の『マッハパンチ』を受けて、体力は残り1/3近くまで削られている。後は『まもる』の防御を突破して、超カウンターを決めれば戦闘不能に持って行けるはずだ。

 とはいえ、こちらも次の一撃は耐えられない。ここからは俺とシンジの読み合いだ。お互いに全ての技を使った今、相手の行動を読んで自分の技を決めに行かなくてはならない。

 

 大前提として、こちらは超カウンターを決めなくてはいけない以上、どうしても後手に回る必要がある。つまり、シンジの攻撃を待たないといけないのだ。

 当然ながら、シンジもこちらが超カウンターを狙っているのは読んでいるので、攻めて来る時は、『まもる』で攻撃を防いでくる。その隙に反撃の一撃を決められればこちらの負けだ。

 

 だとすると、次にシンジが読んでくるのは如何にして、こちらがその攻撃を凌いでくるか――だが、これも実は難しくない。

 シンジが『まもる』を使ったように、こちらも『みきり』で攻撃を躱せば相手の追撃は防げる。しかし、こうなるとまた振り出しだ。

 

 なら、足を使ってのマッパ連打は? 最後の『こうそくいどう』を使って、アウトサイドから一方的に殴っていく。

 いや、駄目だ。

 シンジには『まもる』もあるし、また先程のように『アイアンヘッド』で技に合わせられて直撃を受けたらこちらの負けだ。

 

 こちらから下手に仕掛けるのは愚策――次の一撃で、どうしても勝負を決めたい。

 

「決めるぞ、『アイアンヘッド』!!」

 

 まだ考えが纏まらない内に、シンジは攻めに出てきた。こうなれば、一か八か――上手くシンジを誘い出すしかないな。

 

 相手の攻撃を頬に掠らせるギリギリの回避で、『カウンター』を発動する。こちらの拳が光り、エビワラーが返しの刃を振ると、不可視の壁がボスゴドラを守った。

 ここまでは読み通り――『まもる』の防御によって、エビワラーの『カウンター』が弾かれ、隙だらけのこちらにシンジが『つばめがえし』で迎撃を指示してくる。

 

 予想外なのはここからだった。

 

 シンジは、ボスゴドラの両手に『つばめがえし』を発動させてきたのだ。どうやら一か八かだったのは向こうも同じようで、不完全ながらも二連の『つばめがえし』でこちらの『みきり』を突破しようとしてくる。

 

 まだその技術が完璧ではないのは見ただけでわかった。両手で使っているが故に、必中効果は失われ、威力も半分ほどに落ちてしまっている。

 だが、今、この時に関しては問題なかった。一撃目を『みきり』で避けさせ、二撃目を当てる――威力が半減していても弱点の一撃だ。俺のエビワラーなら倒せると踏んだのだろう。

 

 実際、倒せる。それだけ、シンジの追撃には隙がなかった――もし、俺の賭けが成功していなかったら負けていただろう。

 

 しかし、その瞬間、バランスを崩していたはずのエビワラーが、突如としてボスゴドラの前から消える。流石のシンジも動揺を隠せなかった。とどめを刺そうとしたタイミングで、エビワラーがボスゴドラのすぐ隣へ移動していたのだ。

 そのまま、ボスゴドラ自身気づかないまま、超カウンターの『マッハパンチ』の追撃を受けて戦闘不能に持って行かれている。

 

「どうしてだ? お前のエビワラーは体勢が崩れていたはずだ……」

「あれは演技だ。最初の『カウンター』は超カウンターじゃなくて、ただの『カウンター』だったのさ」

 

 そう、エビワラーは『アイアンヘッド』を回避する際に、わざと攻撃を頬に掠めさせて“攻撃を受けた”。これにより、通常の『カウンター』が発動して、カスダメの倍の威力の攻撃を相手に返したのだ。

 そうとは知らずに、シンジはその『カウンター』を『まもる』で防御した。しかし、防御されるのは想定内だ。超カウンターを振り抜いた一撃を弾かれたら確かに立て直すのには時間がかかるが、カスダメ『カウンター』なら話は別である。

 

 弾かれたはしたものの、実はたいしたことないそれを――エビワラーは敢えて攻撃を大きく弾かれたように演技して、ボスゴドラの攻撃を誘った。

 コンテストなんて興味ありませんという感じのエビワラーだが、どうやら見るのは好きなようで意外と演技は様になっている。オーキド研究所でコンテストのビデオを見ていたのだろう。

 

 そして、シンジはしっかりとその演技に騙されてしまったという訳だ。

 

 ただ、ボスゴドラの攻撃がまさかの同じ技の多重攻撃という高等技だったのは想定外だった。が、仮にそれがどんな攻撃であれ、作った隙に食いついた時点でこちらの勝ちだ。

 

 後は最後の超カウンターでとどめを刺すだけ。

 

 正直、エビワラーの演技がバレるかどうかの一か八かの作戦だったが、どうやら上手くハマってくれたらしい。

 意外と演技派で助かった。その内、リザードンと一緒にどこかのコンテストに参加させてやるから楽しみにしてろよ――と、考えながら、ボールを取り出していく。

 

 エビワラーもかなり消耗させられている。技も全て使ってしまったし、ここは一旦戻すしかないだろう。

 

 シンジがボスゴドラを戻すのに合わせて、こちらもエビワラーを戻していく。

 

 次に、シンジはトリトドンを出してきた。こちらはオオスバメを出していく。

 

 トリトドン――青はやっぱいいな。ではなく、相性は不利だった。向こうはこちらに有利なこおり技が使えるのに対して、こちらは有効打がない。とはいえ、等倍でもダメージにはなるし、オオスバメの早さならそう簡単に捉えられるようなこともないだろう。

 

 と、いうことで、ここはオオスバメで突っ張っていく。こちらが戻す素振りがないとわかると、シンジは素直に『れいとうビーム』を指示してきた。

 こちらは得意の飛行技能で悠々と攻撃を回避する。それを見て、シンジも攻撃を変えてきた。トリトドンが体をくねらせるように動き、真っ直ぐ打っていた氷の光線が変則的な動きに変化する。

 

 これは、アニメのサトシ君が作り出したカウンターシールド――俺もまだ実践では数えるほどしか使っていないそれを、シンジは使ってきた。

 

 流石に変化が不規則過ぎて、オオスバメも攻撃を回避できずにダメージを受ける。ならば、こちらも『ぼうふう』で返そう。相手の『れいとうビーム』を押し返すだけの大技でトリトドンにダメージを与えていく。

 シンジも、ここは耐えるしかないと判断したようで、『じこさいせい』を使ってダメージを相殺してきた。しかし、『ぼうふう』の追加効果である三割の混乱を引いたようで、攻撃後のトリトドンはフラフラしている。

 

 ここは一気に勝負を賭ける――『ブレイブバード』を指示して、トリトドンに追撃をかけた。

 

 だが、混乱しているにも関わらず、トリトドンも『のしかかり』で反撃してくる。おまけに麻痺を貰ったようで、オオスバメの機動力が低下してしまった。

 ここでシンジも勝負に出たい所だろうが、トリトドンも混乱して動きが鈍い。自傷するほどではないが、誰も居ない所に攻撃を仕掛けていた。その間に、オオスバメも『はねやすめ』で体力を回復していく。

 

 しかし、ここでタイミングよく混乱が解けてしまったようで、追撃に『じしん』が指示された。『はねやすめ』や地面にいるタイミングなら、ひこうタイプでもじめん技が通用してしまう――せっかく回復した体力がまた削られてしまった。

 

 とはいえ、これで向こうは全て技を使っている。体力は互いに2/3程だが、こちらは麻痺――だが、特性の『こんじょう』が発動して攻撃は1.5倍になっていた。まぁ、今の所、物理技を使う予定はないのだが。

 

 互いに回復技があるので長期戦も視野に入れる必要があるが、やり方次第で回復させる間もなく勝負を決められる。

 問題は、いつこちらの麻痺が発動して動きを封じられるかだが、こればかりは運次第なので神頼みとしか言えなかった。アルセウスに祈る? ないな。

 

 とりあえず、ここは再び高度を取って対処する。向こうの技の半分はこれで封じられるし、カウンターシールドの『れいとうビーム』は『ぼうふう』で対処可能だ。

 シンジも、ここで下手に回復するという甘い手は撃たない。回復中は無防備になるので、追撃を受けやすいのだ。これでまた『ぼうふう』を食らって混乱でもしたら目も当てられないだろう。

 

 だが、このまま呆然としているつもりはないようで、『れいとうビーム』を使って足場を作り出した。同時に、観客席のヒカリが驚いた顔を見せる。

 最低限と言う感じでアトラクション感も何もないが、これはヒカリがコンテストで見せた技術だ。トリトドンが氷の足場に乗って、そのまま空中のオオスバメに肉薄してくる。

 

 オオスバメもすぐにその場を離脱する動きを見せたが、麻痺のせいで動きがかなり鈍くなっていた。トリトドンが追撃の『れいとうビーム』を撃ってくるが躱しきれない。

 仕方ないので、ここで『ぼうふう』を使う――が、トリトドンも氷の上から地面に跳んで『ぼうふう』を回避してきた。『ぼうふう』は雨状態じゃないと命中率がそこまで良くないからこそ、少し距離を取られると外れてしまう。

 

 風の嵐が氷のアトラクションをぶち壊すが、トリトドンもすぐに『れいとうビーム』で修復に移る。普段なら、その隙を狙って追撃をかける場面だが、麻痺のせいで思うように動けない。

 

 まずいな。

 

 麻痺が思った以上に効いている。このままではいずれ、シンジに捕まってもおかしくない。ここは最終手段を使ってでも機動力を取り戻すべきだろう。

 

 と、いうことで、最後の技である『こうそくいどう』を指示する。素早を二段階上げることで、無理やり元の早さに体を戻していく。

 多少痺れなどはあるようだが、スピードは取り戻せたようでオオスバメの動きにキレが戻る。シンジも、ここで再びトリトドンを氷の足場の上に移動させてオオスバメに追撃をかけにきた。

 

 また『れいとうビーム』で、オオスバメを狙ってくるが、先程と違いスピードを元に戻せたので十分に回避できた。氷の光線を避けるように、オオスバメが空を駆け抜ける――が、誘導されていた。

 オオスバメが氷の土台の間をくぐるように動いた瞬間、シンジは『じしん』を指示してきた。飛んでいるオオスバメに『じしん』は効果がないが、振動で氷の土台が崩れ、壊れた氷の塊がオオスバメを襲ってくる。

 

 氷を利用した変則的な『こおりのつぶて』だ。

 

 流石のニューサトシもこれは予想外で対処が間に合わなかった。しかし、ダメージを受けながらもオオスバメがすぐにその場を離脱していく。

 だが、不用意に動いたのは失敗だった。

 氷の土台が崩れ、足場を失ったトリトドンが待っていたとばかりにジャンプからの『のしかかり』で追撃してくる。こちらが咄嗟にどう動くかを読んでいなければ、的外れな場所に落ちるだけにも関わらず、シンジはこちらの動きを見抜いてしっかり追撃をしてきた。

 

「お前の飛行技術は確かに卓越している。だが、卓越しているが故に、動きは逆に読みやすい」

 

 背中から圧し掛かられ、オオスバメが地面に叩きつけられる。同時に、『じしん』を発動し、落下からの衝撃を利用した一撃で、一気に戦闘不能まで持って行かれた。

 

 氷の足場の応用や、落下からの技の転用もそうだが――シンジはしっかりと技術を自分のモノにしてきている。

 と、いうより、前に俺とエイチ湖でバトルした時には敢えて手札を見せなかったのだろう。勿論、手を抜いていた訳ではなく、あの時は純粋なポケモンの力の差を計ることを第一に考えてバトルしていたのだ。全ては、今日、この時、俺を倒すために。

 

 倒れたオオスバメをボールに戻す。

 

 決して舐めていた訳ではない。だが、まさかここまでとは思わなかった。シンジは本当に持てる全てを使って俺を倒そうとしている。

 

 思わず、口角が上がってしまった。

 

 こんなに楽しいバトルをして、笑みを浮かべない奴がいるはずがない。もっとだ。もっと熱いバトルをしよう――俺の熱に釣られてか、シンジも不敵な笑みを浮かべる。それに応えるように、俺も三体目をフィールドに送り出した。

 

 

 




 原作との変化点。

・第186話『ライバル対決! サトシ対シンジ!!』より、前夜に偶然シロナとシンジの会話を聞いてしまった。
 オリジナル。シロナもシンジとたまたま会っただけだが、胸の内を聞いて成長を感じている。ニューサトシもまた、自身の強さの根源を自問自答した。


・シンジが全てをぶつけに来た。
 今まで隠してきていたニューサトシ対策を全てぶつけている。地味にグランドフェスティバルの放送を見ており、ヒカリの動きを自分のバトルに取り入れてきた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.65

 ピジョット Lv.60

 バタフリー Lv.60

 ドサイドン Lv.63

 フシギバナ Lv.60

 リザードン Lv.65

 カメックス Lv.60

 キングラー Lv.60

 カモネギ  Lv.60

 エビワラー Lv.60

 ゲンガー  Lv.62

 コノヨザル Lv.60

 イーブイ  Lv.60

 ベトベトン Lv.60

 ジバコイル Lv.60

 ケンタロス Lv.60

 ヤドラン  Lv.60

 ハッサム  Lv.60

 トゲキッス Lv.60

 プテラ   Lv.60

 ラプラス  Lv.60

 ミュウツー Lv.76

 バリヤード Lv.60

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.59

 カビゴン  Lv.60

 ニョロトノ Lv.59

 ヘラクロス Lv.58

 メガニウム Lv.58

 バクフーン(ヒスイの姿) Lv.58

 ラティアス Lv.54

 ヘルガー  Lv.57

 ワニノコ  Lv.57

 ヨルノズク(色違い) Lv.56

 カイロス(部分色違い) Lv.56

 ウソッキー Lv.57

 バンギラス Lv.61

 ドンファン Lv.57

 ギャラドス(色違い) Lv.56

 ミロカロス Lv.51

 ラグラージ Lv.52

 オオスバメ Lv.51→52

 ジュカイン Lv.52

 ヘイガニ  Lv.51

 フライゴン Lv.57

 コータス  Lv.50

 サーナイト(色違い) Lv.45

 オニゴーリ Lv.49

 ワカシャモ Lv.47

 メタグロス(色違い) Lv.45

 エテボース Lv.43

 ムクホーク Lv.42

 ナエトル  Lv.42

 ブイゼル  Lv.43

 ムウマージ Lv.46

 カバルドン LV.41

 ミカルゲ  Lv.56

 グライオン Lv.40

 ロトム   Lv.42

 ユキカブリ Lv.38

 フカマル  Lv.28

 タマゴ   何が生まれてくるのかな? 生まれるまでまだまだ時間がかかりそう


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