14歳 β月φ日 『死闘の始まり』
チャンピオンリーグも残り6人に絞られた。シゲルもグリーンも生き残っており、今回の四回戦を勝てば次は準決勝となる。
しかし、四回戦は勝っても勝者が三名しか出ないということで、ここで負けた三名は三対三の総当たり戦で敗者復活戦を行い、一番成績が良かった一名が準決勝に出られるというチャンスがあるということだった。
勿論、負けるつもりはないので、俺には関係ないことだが――と、思っていると、四回戦の対戦相手がグリーンに決定する。
ラッキー。ここで負けて、もしあいつが敗者復活戦で勝てなければ、その時点で間抜け確定である。いろいろお世話になった相手ではあるが、当然ながら全力で倒しに行こう。
フィールドに行くと、改めてグリーンも過去の俺と今の俺のレベルの差がわかったようで、「手加減はしないぞ」と声をかけられる。いいね、全力のお前を倒して、俺は上へと行かせて貰うぜ。
バトルが開始し、互いに一体目をフィールドに送り出す。出てきたのは、互いにリザードンだ。
まさかのエースを開幕に出すという、お互いに相手の裏を突いた策だったが、一周回ってエース対決になってしまった。
だが、それならそれで良い。変にステロなんかを撒かれる前に、一気に相手のリザードンを倒しきってやる。
勝利への願いが、心を一つにし――絆を結ぶ。
こちらが開幕からきずな化すると、グリーンも迷うことなくリザードンをメガシンカさせ、メガリザードンYへと変化させてきた。
これで向こうは特性が『ひでり』に変わり、ほのお技の威力が強化される。とはいえ、こちらはほのお・ドラゴンにタイプが変化しているため、ほのお技が強くなろうとあまり関係がなかった。
とはいえ、こちらの制限時間が五分しかないのであまりのんびりは出来ない。向こうはほのお・ひこうタイプのままなので、『かみなりパンチ』で弱点を突いていく。
しかし、グリーンもこちらの情報はしっかり持っているようで、『りゅうのはどう』で弱点を突いて反撃してきた。向こうがガチガチの特殊タイプということもあって、こちらを近寄らせたくないのだろう。
飛行能力もほぼ互角――なかなか距離を詰めることが出来ない。しかし、進化したらバトルが終わるまで続くメガシンカと違って、制限時間のあるこちらは長期戦に不利だ。
何とかして距離を詰めたい。
だが、グリーン程の実力者を相手にして、そう簡単に有利な状況など作れるはずがなかった。ならば、肉を切らせて骨を断つ――敢えて攻撃を受けてダメージを受けながら距離を無理やり詰めていく。
グリーンも、ここで俺が強引に来るとは思わなかったのか、一瞬驚いた様子を見せた。すぐに回避を指示するが、ここはもう俺の距離だ。
きずなリザードンの『かみなりパンチ』をボディに決めて、そのままメガリザードンYの動きを封じていく。一度距離を詰めた以上、今度はグリーンがどうにかしてこの状況を対処しないと行けなくなった。形勢逆転だ。
しかし、グリーンも割り切って近接戦に対抗してきた。『ドラゴンクロー』でこちらにダメージを与えに来る。こちらは引き続き、『かみなりパンチ』で反撃していった。
互いに拳を弾き、身を躱しながら、ダメージを最小限に収めていく。特殊タイプの癖に、近距離の対応もしっかり出来ている。流石は、レッドのライバルと言って良い実力者だ。
だが、それでも負けるつもりはない。
ここで敢えて隙を作り、相手の攻撃を誘っていく。きずな化はメガシンカと違ってトレーナーとポケモンの気持ちや心が常時リンクするため、リザードンには指示なしで俺の思考が伝わるのだ。
グリーンは僅かな隙を逃さずに、『ドラゴンクロー』の直撃を決めてくる――その瞬間、腕を掴み、『がんせきふうじ』をゼロ距離で直撃させてやった。
威力60のいわ物理技――メガリザードンYは、ほのお・ひこうタイプなので、いわ技は四倍弱点となる。『いわなだれ』を選ばなかったのは発動までの時間だ。
同じいわ技でも『いわなだれ』は威力こそ高いが、全体攻撃技であるのもあって、どうしても発動までに少し時間がかかる。その僅かなタイムロスを回避するために、『がんせきふうじ』をチョイスしたのだ。
おまけに、『がんせきふうじ』は確定で相手の素早を一段階下げるという追加効果を持っている。拮抗している今、ステータスの減少はグリーンにとっても避けたい所だろう。
今の攻撃でメガリザードンYも体力が半分を切ったことで、グリーンは一度メガリザードンYをボールに戻していく。
同時に、『ひでり』の効果が切れ、天候が元に戻った。こちらも制限時間が残り二分程なので、一度きずな化を解除してリザードンをボールに戻す。
二体目として、グリーンはカイリキーを出してくる。こちらはコノヨザルを出した。
奇しくも、かくとうタイプ合戦になったが、ゴーストタイプを持つコノヨザルには、仮にカイリキーの特性が『ノーガード』でも、かくとう攻撃は当たらない。この特性はあくまで命中率を必中にする技であって、タイプ相性に左右する訳じゃないからな。
しかし、どうやって攻めたものか。
カイリキーには効果はないが、出来れば切り札である『ふんどのこぶし』は温存してバトルを進めたい――と、考えていると、こちらが動かないのと同じくグリーンも動きを見せなかった。流石のグリーンも、コノヨザルは見たことがないようで、どうやって攻めるべきか思考しているのだろう。
なら、誘ってみるか?
コノヨザルに『ビルドアップ』を指示する。やはり、コノヨザルを使うなら、純粋に殴り合いに持ち込むのが一番だ。ステータスを上げて、『ドレインパンチ』の威力を上げにいく。
それを見て、グリーンは『ばくれつパンチ』を指示してきた。熟練のトレーナー程、相手のステータスアップを見逃さない。故に、この誘いに乗ってしまった。
カイリキーの攻撃がコノヨザルに命中する――と、同時に体をすり抜けていく。まさかのゴーストタイプにグリーンとカイリキーも動揺を見せた。
当然、この隙を逃さずに、反撃の『ばくれつパンチ』の直撃を決めていく。向こうが命中率の低い『ばくれつパンチ』を迷わず打ってきた以上、特性『ノーガード』で確定だ。こちらも遠慮なく、『ばくれつパンチ』でダメージを稼がせて貰う。
咄嗟に二本の腕で攻撃をガードするカイリキーだが、『ビルドアップ』を積んだコノヨザルのタイプ一致『ばくれつパンチ』は、ガードの上からダメージを与えて、その体を吹っ飛ばしていく。
やはり、コノヨザルを知らないと、初見殺しが刺さる。見た目は、まんまかくとうタイプだから、普通に殴り合いが出来ると思ってしまうのだろう。
格闘対決では少し卑怯な気もするが、それでもバトルである以上、コノヨザルを知らないグリーンが悪かった。
向こうも、「まさか、その見た目でゴーストタイプとはな。それに、この『ばくれつパンチ』の威力から見て、かくとうタイプも併せ持っている……」と、一回でこちらの全てを見抜いてきた。
ゴースト・かくとうのコノヨザルの弱点を突くには、ゴースト・ひこう・エスパー・フェアリー技しかない。
だが、そのいずれもかくとうタイプのカイリキーでは覚えられない技だった。そして、タイプ一致のかくとう技や使い勝手のいいノーマル技も使えず、『ばくれつパンチ』で混乱状態であるカイリキーは圧倒的に不利。
グリーンもやり返したい気持ちはあるだろうが、ここは素直にカイリキーを戻してきた。当然ながらこの隙に二度目の『ビルドアップ』を積んでいく。
仮に、メガリザードンYが戻ってきて、ひこう技で攻めて来たとしても、もう一つの初見殺しである『ふんどのこぶし』で。一撃KOを狙うつもりだった。
グリーンは三体目として、ゴルダックを出してくる。ゴルダックはみずタイプだが、エスパー技も使える器用なポケモンだ。
エスパー技は『サイコキネシス』のように、目に見えない攻撃もあって防御がしづらいので、コノヨザルとしてもあまり相手をしたくないポケモンではある。
しかし、エスパー技が使えようとみず単タイプであるなら、『ドレインパンチ』は等倍で刺さるはずだ。回復しながら、『ふんどのこぶし』の発動条件を満たすのは難しくないと判断し、ここはコノヨザルで続投する。『ビルドアップ』も二回積んだしな。
グリーンは早速、『サイコキネシス』で攻めて来る。対するコノヨザルは攻撃を受けながらも真っ直ぐ進んでいた。一歩一歩、確実に距離を詰めていく。
グリーンは継続的に『サイコキネシス』を使ってきた。近寄らせずに倒すといわんばかりの猛攻だが、三度目の『サイコキネシス』が決まり、体力がミリまで追い込まれた段階で、コノヨザルもゴルダックを射程距離に捉えた。
とどめの一撃として、グリーンも先制技の『アクアジェット』を指示するが少し遅い。先に、こちらの『ドレインパンチ』でダメージを与えて体力を回復していく。
等倍だが、二回の『ビルドアップ』で攻撃力は上がっており、タイプ一致でさらに強力になっていた。それがボディに深々と突き刺さり、ゴルダックの膝が震える。
エスパー技は強い代わりに高い集中を必要とする。特に、エスパータイプじゃないポケモンがエスパー技を使う場合は特に重要だ。しかし、今の一撃で大ダメージを受けたゴルダックにそれだけの集中は期待できない。
グリーンは即座に、攻撃をみず技に変えてきた。『ハイドロポンプ』でこちらを吹き飛ばそうとするが、コノヨザルは咄嗟にゴルダックの腕を掴んで攻撃を耐え凌ぐ。続けて、再び『ドレインパンチ』でダメージを与えて体力を回復した。
最初の一撃で1/3以上体力を削り、同じ数値分回復している。『ハイドロポンプ』で1/4程ダメージを受けたが、再び1/3以上のダメージを与えて回復した。総合計で体力は半分程回復している。
次の一撃で倒しきる――と、再び『ドレインパンチ』を指示すると、グリーンは仕方ないと言わんばかりに、最後の技として『あやしいひかり』を指示してきた。
コノヨザルがゴルダックを捉え、『ハイドロポンプ』で脱出できなかった時点で、このバトルでの勝利を諦めて次に繋げるつもりなのだろう。こちらも、コノヨザルを混乱させる訳にはいかないので、ゴルダックが戦闘不能になると同時に、コノヨザルをボールに戻す。
だが、体力は半分以上回復できたし、『ふんどのこぶし』のパワーも四段階まで溜まった。勝負の後半の切り札の一つは間違いなくお前だ。
とはいえ、今は目の前のグリーンに集中しないといけない。向こうはコノヨザルを交代したのを見て、再びカイリキーを出してきた。こちらはカイリキーが来る読みで、トゲ様を出していく。
ただでさえカイリキーは、不意の『ばくれつパンチ』を受けて体力が1/3程削られており、トゲ様はカイリキーの苦手なひこう・フェアリータイプだ。状況は完全に有利と言って良い。
しかし、グリーンはカイリキーを戻す素振りを見せなかった。こちらが開幕、当然のように『エアスラッシュ』を指示すると、カイリキーはエアスラが出る前に『バレットパンチ』で一気に距離を詰めてくる。
特性『ノーガード』故に、回避は出来ない。ここは敢えて一度ダメージを受けて、そのまま『エアスラッシュ』による怯みを狙いにいく――と、判断したのだが、カイリキーはバレパンを命中させると共に、残りの腕でトゲキッスの羽を掴み、器用に背中に登っていった。
攻撃は二本の腕で行い、残りの二本で追撃のための体勢を整えたのか。流石のトゲ様も、相手が背中にいるのでは『エアスラッシュ』を撃つことは出来ない――いや、『ノーガード』の必中効果ならあるいは当たるか?
と、思考していると、続けてカイリキーは左右の二本腕で『かみなりパンチ』と『れいとうパンチ』を同時に出して、背中からトゲ様を攻撃してきた。別の技の同時出しという高等技術をこうもあっさりと――おまけに両方共、トゲ様の苦手な弱点攻撃だ。
だが、こちらもやられてばかりではない。一か八かの『エアスラッシュ』を指示し、『ノーガード』の必中効果を利用してカイリキーを攻撃していく。
しかし、ここでグリーンのカイリキーは恐ろしい技を見せた。四本ある腕の内、二本でトゲ様に攻撃を続け、残りの二本で『バレットパンチ』を同時に使って『エアスラッシュ』をかき消したのだ。
四天王クラスのトレーナーですら、技の同時出しは二つか三つが限界な所を、こいつはカイリキーの腕全てで技を使い出した。これは人間でいえば、両手両足で国語、数学、理科、社会の勉強をしているのと同じレベルだ。
そして、技の同時出しが可能ということは連続出しも可能ということであり、実質カイリキーには技を出した後の隙がないということになる。
何せ、技を使い終わったら、別の腕で技を使い、その腕が終わったら次の腕でと、四本がループする頃には最初の腕は技の硬直が終わっているからだ。
確かに、四本の腕、全てを余すことなく使えるカイリキーは理想だと、過去に書いたことはあるが、それでも本当に全ての腕で別々の技を使う化け物を生み出すんじゃねーよ!
トゲ様も何とかカイリキーを振り落とそうと旋回する――それこそ、コンテスト仕込みの空中機動で前後左右に揺さぶっていくが、四本の腕があるカイリキーは、二本でトゲ様にしがみ付き、残りの二本で攻撃が出来る。
空中機動だけでどうにかするのは無理だった。
動きを封じるため、『でんじは』を試してみるが、『かみなりパンチ』で『でんじは』を吸収するという離れ業で相殺される。同時に、また『かみなりパンチ』と『れいとうパンチ』の同時攻撃を受けた。
流石のトゲ様も、もう残り体力が少なくなってきている。何とかしてカイリキーを振り落とさないと――いや、待て。違う。いいんだ。振り落とさなくても。
トゲ様に『はねやすめ』を指示する。普通、回復技は回復中に攻撃を食らうので、迂闊に使えるものではないのだが、今の状況ならこれが逆に追い風になっていた。
グリーンもすぐに技の意図を察する。
そう、『はねやすめ』は体力の半分を回復させ、その間ひこうタイプではなくなるという追加効果を持っていた。重要なのは、この、ひこうタイプを失うという効果だ。
今、カイリキーの攻撃が有効なのは、トゲ様がひこうタイプだからであり、トゲ様からひこうタイプがなくなれば、でんき技、こおり技も弱点ではなくなる。どちらもタイプ不一致のサブウェポンに成り下がり、回復の方がダメージよりも大きくなるのだ。
しかし、分かった所でグリーンに対処は出来ない。何せ、カイリキーは既に、『ばくれつパンチ』、『バレットパンチ』、『かみなりパンチ』、『れいとうパンチ』と既に技を使い切っている。フェアリータイプに有効なのは、『バレットパンチ』くらいだが、タイプ不一致の先制技のダメージなど効果抜群でもタカが知れていた。
残り体力僅かだったトゲ様の体力が2/3まで戻る。それならと、四本の腕で『バレットパンチ』の同時攻撃を行ってくるグリーンだが、それでも体力はまだ1/3程残されていた。
今度はこちらが反撃に移る。
最後の技として、『のしかかり』を指示し、背中に乗るカイリキーを地面に叩きつけていく。普通のポケモンなら飛び降りて回避が出来るが『ノーガード』の効果で、カイリキーは回避を封じられていた。
これには流石のパンチでもどうにもできないということで、今度こそトゲ様が自由の身になる。おまけに、麻痺を食らったようでカイリキーの動きが鈍くなっていた。
ここで追撃の『エアスラッシュ』を指示する。カイリキーも、全ての腕で二色パンチを使って、全てのエアスラを弾き落とそうとするが、麻痺の行動不能がなくとも痺れで力が入らないようで、攻撃を相殺することが出来なかった。
ようやく、まひるみコンボを成功させることが出来たな。このまま、カイリキーの残り体力半分を一気に削ろうと、隙を与えずにダメージを与えていく。
特性、『てんのめぐみ』により、怯みの確率は六割。そこから麻痺状態によって行動不能になる確率も含めると相手が動ける確率は三割以下だ。それも、あくまで計算の上であって、実際はもっと動けないだろう。
エアスラは少し命中率に難の有る技ではあるが、それもカイリキーの『ノーガード』が必中にしてくれている。
本来ならば、交換を視野に入れる場面――だが、グリーンは何かに賭けて、カイリキーを防御に徹させていた。
流石にまひるみコンボが凶悪とはいえ、永遠には続かない。もうすぐ倒せるという所で、カイリキーが動きを取り戻した。
グリーンはここで『ばくれつパンチ』を指示してくる。トゲ様にかくとう技は1/4だが、グリーンが求めたのはダメージではなく、追加効果の確定混乱だった。
流石のトゲ様も混乱状態になれば隙が出来てしまう。グリーンはその隙に、こちらの反撃を許さず、『かみなりパンチ』と『れいとうパンチ』でトゲ様にとどめを刺しに来た。
咄嗟に『エアスラッシュ』を指示するが、それよりも麻痺したカイリキーの方が早い――否、早いはずだった。しかし、ここでカイリキーが麻痺の行動不能を引き当て、動きが一瞬止まる。その間に、偶然混乱を突破し、『エアスラッシュ』がカイリキーに命中した。
だが、カイリキーは倒れない。そのまま、意地で二色のパンチを叩きつけてトゲ様を戦闘不能に持ち込んでいく。
おそらく混乱していたことで、技が完全には決まらなかったのだろう。そして、運のないことに怯みも引かなかった。カイリキーの脅威の粘り勝ちだ。
しかし、流石のカイリキーももう体力がミリだった。ほぼ相打ちのようなものであり、こちらがトゲ様を戻すと、グリーンもカイリキーをボールに戻していく。
バトルもそろそろ中盤ということで、ここでこちらはピカ様を出して場を荒らして貰うことにした。対するグリーンは、ポリゴンZを出してくる。
思えば、カントーのポリゴンショック以降、ポリゴン系には出会っていない。元々レアなポケモンではあるだけに、進化系のZは滅多に見られるものではなかった。
とはいえ、手加減する気はないということで、『ばちばちアクセル』で先制していく。
だが、まるでくるタイミングがわかっているとばかりに、ポリゴンZは簡単に攻撃を回避してきた。ほんの僅か、少し体を横にずらしただけだが、ピカ様が攻撃目標を見失って技を失敗している。
「俺が何度、レッドのピカチュウを相手にしたと思っている? 素直な攻撃など効かん」
なーる、経験則による回避か。そりゃ、格上のピカチュウと何度も戦ってきたのだ。こちらの攻撃など簡単に回避できる訳か。こりゃ、ちょいと予想外の展開だ。
流石のニューサトシも少し動揺していると、向こうは『トライアタック』で反撃してくる。咄嗟に『10まんボルト』で迎撃を指示したが、こちらの電撃が『トライアタック』に直撃する寸前、向こうの『トライアタック』が屈折して『10まんボルト』を回避してきた。
は?
エスパー技を同時に使った訳でもないのに、ビームが曲がる? ポケスペじゃねーんだぞ? いや、こいつの手持ちはポケスペの手持ちだった!
と、自分にツッコミを入れていると、『トライアタック』が複数回の屈折を繰り返してピカ様を追従してくる。
ピカ様も『10まんボルト』の範囲を出来るだけ広げていくが、多重屈折の前には無駄と判断したようで回避に移った。
しかし、屈折して追ってくる以上、回避に意味はない。こうなれば、攻撃が直撃するギリギリで『10まんボルト』を撃って相殺するしかなかった。
とはいえ、そんな至近距離で攻撃を相殺すれば、互いの技のぶつかり合いで発生する爆発からは逃れられず、どうしたってピカ様もダメージを受ける。
こちらが屈折攻撃に対応できないとわかると、再びポリゴンZが『トライアタック』を撃ってきた。だが、同じ技を何度も食らってやるほど、こちらは優しくないぞ。
ピカ様に攻撃が当たるギリギリで、今度は『ばちばちアクセル』を発動させて攻撃を回避していく。
確かに攻撃が屈折して後を追ってくるのは凄いが、この追尾はあくまでポリゴンZが操作しているのであってオートじゃない。こちらの動きに気付いて、追尾してくるまで若干のラグがある。
それだけのラグがあれば、ポリゴンZに『ばちばちアクセル』を決めるのは余裕だった。流石のポリゴンZも、攻撃の最中に技を受ければ集中が乱れて操作が覚束なくなる。結果、『トライアタック』は目標を失って明後日の方向に飛んでいった。
そのまま、追撃の『10まんボルト』を指示すると、グリーンは『テクスチャー2』を指示してくる。この技は、自分のタイプをこちらが最後に使った技のタイプを半減か無効にするタイプに変更するというモノだ。
ゲームではターン制である都合上、最後に使った技=最後に食らった技となるが、この世界では相手が最後に指示した技となるため、相手の技に合わせて使うことで攻撃が当たる前に耐性を得ることが出来るという面倒な技になっていた。
つまり、『10まんボルト』はでんき技なので、ポリゴンZのタイプはそれを半減か無効にする、でんき・くさ・じめん・ドラゴンタイプになる。
どうせなら、じめんタイプを引いてくれればまだやりやすい――と、考えていると、ポリゴンZが『10まんボルト』で僅かにダメージを受ける。
この時点でじめんタイプの線はなくなった。
残るはでんき・くさ・ドラゴンのどれかだが、パッと見ただけではポリゴンZがどのタイプに変化したのかはわからない。しかし、でんき技が効きにくくなったのは確かだった。
それなら、コノヨザルに交換――否、『ふんどのこぶし』に合わせて『テクスチャー2』を使われたら、あくかノーマルタイプに変化されるし隠し玉がバレる。とはいえ、かくとう技に『テクスチャー2』を使われても面倒くさくなるだけだ。
全く、戦いにくい相手だぜ。
だが、俺が若干の迷いを見せると、すぐにピカ様が任せろ――と、言わんばかりに声を上げた。そうだな、下手に交換して手の内を見せたくないし、ここはお前に任せる。
ここは『かわらわり』で、仮にでんき・くさ・ドラゴンタイプでも、等倍でダメージを与えられる技をチョイスしていく。
グリーンは、『テクスチャー2』を使ってこなかった。かくとうタイプを半減や無効にできる、どく・ひこう・エスパー・むし・ゴーストにタイプが変わるより、メインのでんき技を封じられる今の方が良いと判断したのだろう。
しかし、こちらの攻撃が当たる直前に、ポリゴンZの姿が消えた。どうやら『こうそくいどう』を使って速度を上げてきたようで、こちらの攻撃を軽々と回避している。
こうなると、こちらもこの速度域に対抗するために『こうそくいどう』を使うか、『ばちばちアクセル』で対抗するしかない。とはいえ、いくら確定急所とはいえ半減では大したダメージは期待できなかった。
否、発想を変えろ。こういう時こそ、トレーナーの腕の見せ所だろうが――
「ピカチュウ、『くさむすび』!」
俺の予想外の技に、グリーンも一瞬驚きを見せる。そう、仮にでんき・くさ・ドラゴンのいずれかのタイプに変化していたとしても、くさ技はくさ・ドラゴンには効果が今一つ――2/3で半減される有効打とは言えない技だ。
既に『ばちばちアクセル』、『10まんボルト』、『かわらわり』で三つの技を使っているにもかかわらず、ここで意味のない『くさむすび』を使う理由は何かとグリーンは考慮する。
だが、重要なのはダメージが少ないとわかることだった。くさ技はでんきタイプにのみ、等倍ダメージになる。つまり、残り二つのタイプだった場合は、たいしたダメージにはならない。これで、ポリゴンZがでんきか、それ以外のタイプかを判別することが出来るのだ。
草がポリゴンZの体に絡みついて少々のダメージを与える――これで、ポリゴンZのタイプはくさ・ドラゴンのどちらかで確定。それがわかれば、もうこちらのものだった。
再びの『トライアタック』を『ばちばちアクセル』で回避しながら、ポリゴンZに僅かなダメージを与える。しかし、『テクスチャー2』によって、ダメージが半減する今、効果的なダメージにはならない。
けど、それでよかった。
真の狙いは、距離を詰めることだ。
ピカ様が『ばちばちアクセル』後に、ポリゴンZに組み付いて背中にくっついていく。奇しくも、先程カイリキーがトゲ様にした攻略法と同じだった。
そのまま、『10まんボルト』でダメージを与えていく。効果が半減しているとはいえ、ダメージがない訳ではない。小さなダメージでも、繰り返せば大きなダメージとなる――そして、狙いはもう一つあった。
「麻痺狙いか!」
グリーンもすぐに気づく。『10まんボルト』には一割の確率で相手を麻痺にする効果がある。継続すれば、いつか麻痺を引くだろう。
だが、これはポリゴンZがでんきタイプになっていた場合は効果がない。でんきタイプは麻痺しないからな――だからこそ、『くさむすび』で、でんきタイプかどうかの判別をしたのだ。
ポリゴンZが体をくねらせて、ピカ様を振り落とそうとするが、ピカ様もここを離せば勝機はないと判断して必死に組み付いて『10まんボルト』を続ける。
それならばと、グリーンは『トライアタック』を指示した。ポリゴンZも、ダメージを受けてはいるが、小さなダメージなど無視して『トライアタック』を操作し、屈折させることで背中のピカ様に攻撃を命中させようとしてくる。
しかし、それは悪手だ。
当たる直前で、ピカ様がポリゴンZから離れ、『トライアタック』が自身に命中する。流石のポリゴンZも、背中のピカ様が離れた瞬間に攻撃を屈折させるなんて神業が出来るはずもなく、自身の攻撃で大ダメージを受けた。
同時に、『トライアタック』の、二割の確率で相手を麻痺、火傷、氷のどれか一つにする追加効果で、ポリゴンZが麻痺状態になる。
ポリゴンZは、ポリゴン2と違って防御より攻撃派だ。いくら良く育てられているとはいえ、等倍で『ばちばちアクセル』1回、半減で1回、『くさむすび』を半減で1回、『10まんボルト』を半減で3回、自身の『トライアタック』による自傷ダメージが加わり、体力はもう1/3以下まで削られただろう。
おまけに、麻痺になって『こうそくいどう』によるかく乱もほぼ無効化した。後は、残り少ない体力を削って戦闘不能に持っていくだけ――と、考えていると、今度はポリゴンZがガシッとピカ様に組み付いていった。
まさか、ポリゴンZの方から組み付いてくるとは思わなかったようで、ピカ様も一瞬動くのが遅れている。そのまま、ゼロ距離の『はかいこうせん』で、自分ごとピカ様を戦闘不能に追い込んでいった。
まるで、ドラゴンボールのサイバイマンに抱きつかれて自爆されたヤムチャのように、爆発に巻き込まれたピカ様が倒れていく。
流石のピカ様も、ポリゴンZの『はかいこうせん』をゼロ距離で受ければひとたまりもないようだった。しかし、それだけの破壊力があるということは、近距離だと撃った本人にもダメージがあり、ポリゴンZもまた自滅するように戦闘不能になっている。
これで、俺とグリーンは互いに二体のポケモンが戦闘不能になった。こちらの残りは体力約半分ちょっとのリザードンに、同じく体力半分ちょっとのコノヨザルと、まだ見せていない二体。
対するグリーンの残りは、体力半分以下のメガリザードンYに、体力ミリのカイリキーと、まだ見せていない二体だ。体力の残りだけなら、こちらが有利ではあるが、まだまだ油断できる状況ではない。
さぁて、ここからどうなっていくかな。
原作との変化点。
・グリーンとのバトルが始まった。
グリーンの手持ちは今の所ポケスペ基準だが、流石に良く育てられている。今の所は有利に進められているが、これからどうなるかは全くわからない。
・グリーンは四天王クラス以上。
当然ながら、今までの中でも最強格。アニメで言えばサトシ君にタクトがぶつけられた感じ。
・ピカ様がヤムチャやられした。
一瞬の油断を突かれた。本人も格好つけて戦闘継続を訴えたこともあり、トレーナーゾーンで顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。
・敗者復活戦について。
一見、負けても助かるのでラッキーに見えるが、スケジュールの都合で連戦になるので、ポケモン達が休まらないという大きなデメリットも抱えている。
・メガシンカ、Z技等の規制について。
なんか、やたらと心配の声を頂いていますが、あくまでもニューサトシ視点での推測であって、別にそういうルールにするという訳ではありません。ただ、現段階できずな現象はまだ不明部分が多く、特性だと判明した訳でもないので、そういうルールになってもおかしくないと言っただけです。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.66
ピジョット Lv.61
バタフリー Lv.61
ドサイドン Lv.64
フシギバナ Lv.61
リザードン Lv.66
カメックス Lv.61
キングラー Lv.61
カモネギ Lv.61
エビワラー Lv.61
ゲンガー Lv.63
コノヨザル Lv.61
イーブイ Lv.61
ベトベトン Lv.61
ジバコイル Lv.61
ケンタロス Lv.61
ヤドラン Lv.61
ハッサム Lv.61
トゲキッス Lv.61
プテラ Lv.61
ラプラス Lv.61
ミュウツー Lv.76
バリヤード Lv.61
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.60
カビゴン Lv.61
ニョロトノ Lv.60
ヘラクロス Lv.59
メガニウム Lv.59
バクフーン(ヒスイの姿) Lv.59
ラティアス Lv.56
ヘルガー Lv.58
ワニノコ Lv.58
ヨルノズク(色違い) Lv.57
カイロス(部分色違い) Lv.57
ウソッキー Lv.58
バンギラス Lv.62
ドンファン Lv.58
ギャラドス(色違い) Lv.57
ミロカロス Lv.53
ラグラージ Lv.53
オオスバメ Lv.53
ジュカイン Lv.53
ヘイガニ Lv.53
フライゴン Lv.58
コータス Lv.51
サーナイト(色違い) Lv.46
オニゴーリ Lv.50
ワカシャモ Lv.50
メタグロス(色違い) Lv.49
エテボース Lv.47
ムクホーク Lv.46
ハヤシガメ Lv.46
ブイゼル Lv.47
ムウマージ Lv.50
カバルドン LV.45
ミカルゲ Lv.57
グライオン Lv.44
ロトム Lv.46
ユキノオー Lv.42
フカマル Lv.35
タマゴ 時々動いているみたい。生まれるまでもうちょっとかな?
タツベイ Lv.30