14歳 β月ψ日 『ライバル』
敗者復活戦はグリーンが勝利し、何とか恥を晒さずに済んだようだった。また、こちらは一日休みがあったおかげもあって、ミュウツーも何とか回復が間に合っている。
正直、昨日が準決勝だったら、ミュウツーはドクターストップがかかっていただろう。それだけミュウツーが受けたダメージは大きなものだった。
実際、今も病み上がりではあり、ジョーイさん的にはもう少し休ませたいと言われたが、準決勝でミュウツーを温存するのは不可能に近い。俺だって本音を言えば休ませたい所だが、本人のやる気と状況がそれを許してはくれなかった。
ずっと応援してくれている仲間達も、段々とレベルが高くなっていくチャンピオンリーグの凄さに、流石に険しい顔が隠せないでいる。普段、飄々としているカスミさんですら、俺を心配するような視線を向けてきていた。
まぁ、グリーン戦は死闘だったからな。
正直、グリーンには見せていなかった正式なきずな化やコノヨザルのわからん殺しで先制したはいいものの、中軸であるピカ様の早期退場やまさかのサンダー登場でバトルは大混乱。
最後も伝説、準伝の気合とかいう意味不明な状況になった時点で、試合結果がどうなるかはわからなかった。ミュウツー次第では俺が負けていた可能性だってある。仲間達が不安に思ってしまうのも仕方ないと言って良いだろう。
そんなこんなで緊張の中、決まった準決勝の組み合わせだが、遂に俺とシゲルがここでぶつかることになった。
約二年ぶりの勝負ということで、俺もシゲルも笑みを隠しきれていない。シンオウリーグでシンジやタクトといった強敵と戦った時や、前回死闘を繰り広げたグリーンとも違う。
やはり、俺にとってシゲルという存在は、宿命のライバル――それが、フィールドで相対しただけで良く分かった。
「サトシ。君とのバトルは、一昨年のジョウトリーグ決勝戦以来……2年2か月ぶりだ」
「もう、そんなになるのか」
「ああ、長かった……」
「俺も、この日が来るのを心待ちにしていた。この約2年、俺だって遊んでいた訳じゃない。今の俺の力、全部ぶつけさせて貰うぜ」
「今、僕達の公式戦の勝敗は、僕の0勝1敗1分だ。今日勝って、まずは戦績をイーブンに戻させて貰うよ」
互いの宣誓が終わると、もはや言葉は不要とばかりにモンスターボールを手に取っていく。
まるで指がボールに吸い付くかのように、手に力が入るのがわかる。審判の合図が今か今かと待ちきれない――それはシゲルも同じなようで、互いにポケモンをフィールドに投げ込むと同時に、戦端は開かれた。
「バンギラス、『れいとうパンチ』だ!!」
「ニドクイン、『かわらわり』だ!!」
お互いのポケモンを見た瞬間に、殴り合いを決めた。バンギラスが、特性の『すなおこし』でフィールドを砂嵐状態にしながら、ニドクインに殴り掛かっていく。
また、ニドクインもそんなものは知らんと言わんばかりに真っ直ぐ殴り掛かってきた。実際、じめんタイプを持っているニドクインには、砂嵐は全く効果がない。
ニドクインの『かわらわり』を捌きながら、バンギラスが『れいとうパンチ』をボディに叩きこみにいく。
しかし、ニドクインも反対の手で上手くこちらの拳を払い、『10まんばりき』で反撃してきた。ならばこちらも同じく、『10まんばりき』で反撃していく。
向こうはタイプ一致でレベルも上だが、こちらは個体値がオールVで種族値にも優れている――結果、力の差はほぼ五分と言って良かった。
互いに足を踏ん張りながら拳と拳を打ち付けていく。シゲルが特殊技を使ってこないのは、砂嵐によってこちらの特防が1.5倍になっているからだ。無駄に効かない遠距離攻撃を仕掛けるくらいならば、近距離戦で弱点を突いた方が効率がいい。
だが、うちのバンギラスは四倍弱点のかくとう技を凌ぐために、日夜かくとうタイプ軍団に指導を受けている。確かにニドクインの能力は高いのは認めるが、その程度の近接技能ではバンギラスに致命的なダメージを与えることは出来ないぞ。
と、考えていると、シゲルも技を見せてきた。ニドクインがその場でくるりと一回転し、短い尻尾を上手く使ってこちらの足を払ってくる。そのまま、バランスを失ったバンギラスを押し倒すと、ゼロ距離の『じしん』を披露してきた。
成程、殴り合いだけが戦術じゃないってことか。
けど、それはこちらも同じことだ。物凄い攻撃だったが、ギリギリで『みがわり』による回避が間に合ったことで、バンギラスのダメージは安く済んでいた。
「焦るなよ、まだバトルは始まったばかりだぜ」
「そうだね。久しぶりの君とのバトル……つい、気持ちが急いてしまったようだ」
まぁ、このバトルを待ちきれなかったのは俺も同じだ。偉そうなことを言ってはいるが、俺のテンションもシゲルとそう変わりはない。
一旦、この気持ちを落ち着けるためにも、バンギラスを戻すことにした。同時に、シゲルもニドクインを戻そうと考えたようでボールを出している。その瞬間、砂嵐の効果が切れてフィールドも元に戻った。
こちらは二体目として、ピカ様を送り出していく。シゲルはブーバーンを出してきた。
まさか、ジョウトリーグの時と手持ちを変えていないのか? いや、前には見ていないカイリューもいるはずだし、ミュウツー対策だってあるはずだ。それは有り得ない。
しかし、レギュラーの一部が変わっていないというのは有り得そうだ。実際、うちもピカ様、リザードン、ミュウツーは固定になっている。シゲルの場合はカメックス、ニドクイン、ブーバーン、エレキブル辺りは固定メンバーと見ていいだろう。
両腕の砲台を使用して『ニトロチャージ』をブースターにして突撃してくる。どうやら、戦い方自体は大きく変わっていないように見えるが、『かえんほうしゃ』でなく『ニトロチャージ』を使っていることもあって前よりスピードが上がっていた。
だが、こちらもこの二年、遊んでいた訳ではない。完成した『ばちばちアクセル』で、ブーバーンのボディに一撃を叩きこんでいく――が、どうやら俺のことはしっかり研究してきたようで、『ばちばちアクセル』の一撃をブーバーンは防御してきた。
「ピカチュウの凄さはこれまでのバトルで見させてもらっている。対策はばっちりさ」
「スピード慣れさせてきたか」
「速さは確かに武器だが、慣れてしまえば対応できるからね――『ねっさのだいち』」
お喋りの間に技を仕込んできた。ブーバーンの炎で熱された地面が隆起し、ピカ様に襲い掛かっていく。
食らう訳にはいかないので、『かわらわり』で地面をぶち割って攻撃を弾いた。しかし、その間にブーバーンも距離を詰めて、『ニトロチャージ』の炎を砲台にチャージしたまま腕を振りかぶり、疑似ほのおのパンチを打ってくる。
技の応用も凄いが、ブースターの使い方が巧みだ。二年前までは前に進んで急制動して、振り返ってと、行き当たりばったりだったのが、滑らかで細かい動きを可能にしている。今も、『ねっさのだいち』を囮に、上手くこちらの懐まで入ってきた。流石にこれは避けきれないので、ピカ様も攻撃をガードして受け身を取っていく。
ピカ様は強いが、決して打たれ強い訳ではない。基本的には攻撃は躱し、受けてもダメージを最小限に抑えることで上手く立ち回っている。
しかし、シゲルはそんなピカ様も動きを読んで先を突いてきた。技術を磨いてきたというのは伊達ではないようで、常にこちらの戦術の上を行ってくる。
なら、敢えての真っ向からの力勝負ならどうだ?
ピカ様に『10まんボルト』を指示して、ストレートに攻撃していく。シゲルは再び『ニトロチャージ』を指示し、ブーバーンも今度は炎を壁のように噴射することでこちらの電撃を防いできた。
「どうやら、炎の壁は君の雷でも簡単には貫けないらしい」
「技を上手く使いやがって……一つの技をここまで幅広く応用してくるのは流石にお前が初めてだよ」
移動、防御、近距離攻撃――『ニトロチャージ』の炎を応用することで、シゲルは一つの技で幅広い動きを可能にしている。おまけに、追加効果で素早が既に三段階も上がっていた。
これも、ガラルでの成果ということか。
強さ的な意味でいえば、おそらくシゲルとグリーンにそこまで大きな差はない。だが、シゲルは俺のことを研究し尽くしてきていた。その上で、成長した実力を見せつけてきている。
だが、オレも決して遊んでいた訳ではない。
原作のサトシ君直伝――コンテストの動きを取り入れることで精度が上がった『10まんボルト』のカウンターシールドで、範囲攻撃を仕掛けていく。
ブーバーンは再び『ニトロチャージ』の炎を壁のように展開したが、電撃が鞭のような形で無数に広がるカウンターシールドの攻撃は前面の防御だけでは防ぎきれなかった。
「避けづらく、防ぎにくい……隙のない攻撃だね」
「名付けてカウンターシールドだ」
流石のシゲルも、これは予想外だったみたいだが、向こうもやられてばかりではないようで、すぐさま『だいもんじ』で一気に反撃してきた。
正確には『ニトロチャージ』と『だいもんじ』の同時発動だ。片方の腕を後ろに向けて『ニトロチャージ』を発動し、反対の腕を前に向けて『だいもんじ』をチャージしてくる。おそらく、チャージして威力を上げた『だいもんじ』の反動に耐えるために、『ニトロチャージ』を壁にしているのだろう。
発射された『だいもんじ』は通常よりも範囲が広かった。それならと、ピカ様をギリギリまで後退させ、『10まんボルト』を一点に集中して何度もぶつけていく。
一発では『だいもんじ』を切り崩せないが、一点集中で隙間を作りギリギリで攻撃を回避していった。とはいえ、完全には回避しきれなかったようで、ピカ様も少しダメージを受けている。
しかし、やられたままでいるほど、俺もピカ様も大人しい性格はしていなかった。『ばちばちアクセル』で再び懐まで潜り込んでいく。
ブーバーンは見えていると、片腕でピカ様の一撃を防御した。ならば、続けて『かわらわり』で反対側の腕を使わせる。最後に、『10まんボルト』を帯電した疑似ボルテッカーでブーバーンの腹部を貫いた。
技後硬直が発生する前に、技から技へ繋ぐことで、高速の連撃を可能にする。勿論、タイミングをミスったらすぐに動きは止まるが、ピカ様がどれだけの修羅場を超えてきたと思っている――この程度の連携など朝飯前だ。
これで、おそらくダメージはほぼ五分。
否――若干、ブーバーンの方が少し余力があるくらいだが、お互いに体力は半分程で折り返しに来ていた。ここでシゲルはまたもブーバーンを交代してきたので、こちらもピカ様を戻していく。
ここで、流れを掴むためにも、こちらはエースであるリザードンを投入することにした。対するシゲルは、カイリューを出してくる。これが二年前から育てていたカイリューか。
一見しただけで強いのがわかる。
ポケモンの中でも、ドラゴンタイプのポケモンは強力だが育てるのが難しいと言われていた。レベルが上げにくく、進化も大変なので、そこら辺のトレーナーには簡単には育てられないのだ。
しかし、シゲルはかなりカイリューを仕上げてきていた。そこら辺の四天王の手持ちと言われても納得できるレベルであり、前にオレンジ諸島で戦ったカイリューよりも強いと見て良い。流石はワタルの弟子――ドラゴンポケモンの育て方も免許皆伝か。
きずな化は五分しか持たない。まだカメックスも後ろにいる今、下手に時間を使うのは愚策だろう。だが、俺の直感が、ここできずな化しないとやられるとアラートを鳴らしていた。
リザードンと気持ちを一つにし――絆を結ぶ。
こちらがきずな化すると同時に、カイリューが『しんそく』で攻撃してくる。早い――いくら優先度+2の技とはいえ、とても素早種族値80族の『しんそく』とは思えないレベルだ。
咄嗟に『ドラゴンクロー』で攻撃を防いだが、きずな化していなければ反応できなかっただろう。カイリューは種族値的に足の速いポケモンではないはずだが、シゲルのカイリューは瞬間的な『しんそく』中の動きや身のこなしに隙が無いので、やたら早く感じる。
続けて、シゲルは、『げきりん』を指示してきた。一撃目を『ドラゴンクロー』で弾こうとしたが、向こうの攻撃の威力が高くて弾き切れない。仕方なく、こちらも『げきりん』で対抗していく。
きずなリザードンの攻撃に負けないカイリュー――こいつはもうほぼ伝説のポケモンと言ってもいいくらいに完成されていた。
何とかカイリューの『げきりん』を相殺しきると、互いに混乱状態に陥っていく。ここで、シゲルはカイリューを戻してきた。
こちらも混乱状態を維持したくないので、それに合わせてきずな化を解除し、リザードンを戻す。僅か一分程の殴り合いだったが、かなり密度の濃い殴り合いだった。
続けて、シゲルは再びブーバーンを出してきた。こちらがリザードンを見せたし、後ろにほのおタイプはいないと判断したのだろう。
実際、間違っていないので、こちらも再びバンギラスを出していく。特性、『すなおこし』によって、再びフィールドが砂嵐に変化していった。
ブーバーンも、何だかんだ既に三つ技を使っている。『ニトロチャージ』、『ねっさのだいち』、『だいもんじ』だ。その中で、バンギラスに有効打が狙えるのは『ねっさのだいち』だが、砂嵐状態の時、いわタイプのポケモンは特防が1.5倍になる。特殊型のブーバーンでは、バンギラスの突破は難しいだろう。
シゲルも相性不利と判断して、ブーバーンをボールに戻していく。ここで、こちらは最後の技として『ステルスロック』を指示した。安心と安定のステロさんで、向こうのサイクルを崩してやる。
これには、シゲルも嫌そうな表情を浮かべた。
交代する度に後ろのポケモンに1/8のダメージが入るし、カイリューはひこうタイプを持っているので、ダメージは1/4になる。仮に特性が『マルチスケイル』だとしたら、このダメージは致命的と言ってもいい。
対処するには、『きりばらい』や『こうそくスピン』と言った技を使うしかない――シゲルは渋々と言った様子で、カメックスを出してきた。同時に、岩と砂嵐の継続ダメージで1/8と1/16のダメージを受ける。
それを見て、こちらもバンギラスを戻した。
カイリューのマルスケを考慮すれば、カメックスでステロを対処しようと考えるのは当然のことだ。故に、ここで一気にカメックスに圧をかけていく。
ここでミュウツーに登場願う。
向こうの切り札は相棒でもあるカメックスなのは間違いない。ここで、ミュウツーのパワーで一気にカメックスを削って、シゲルのプランをガタガタにしてやるぜ。
シゲルも、ここでカメックスをミュウツーとぶつけるのは時期尚早だと考えているようだが、ステロの排除を考えればここで引く訳にはいかないのだろう。仕方ないと、指輪型のキーストーンを出してきた。
カメックスをメガカメックスにメガシンカさせ、シゲルは『こうそくスピン』で素早を一段階上げながらステロを排除していく。
当然ながら、それを優しく見守ってやるほど、こちらが優しいはずもなく、『かみなり』でダメージを与えていった。シゲル相手なら、特殊攻撃を普通に使っていっていいだろう。特攻種族値154の暴力をくらえ!
ミュウツー相手に先手を取られ、シゲルも苦しそうな顔を見せるが、すぐに『あくのはどう』で反撃してきた。
メガカメックスの特性は『メガランチャー』という特性で、波動系の技の威力が1.5倍になるというものだ。これにより、タイプ不一致の『あくのはどう』も、メガカメックスなら威力120の大技として使用できるようになる。
流石に直撃する訳にはいかないので、今度は『ふぶき』で相殺を狙っていく。基本的に殴りたがり屋のミュウツーが、特殊技に専念しているのは変な感じもするが、能力を考えればこれが正しい姿だ。
メガカメックスの『あくのはどう』を相殺すると、向こうは『こうそくスピン』と『あくのはどう』のユナイトコンボを見せてきた。
無理やり範囲を広げて、強引に技を当てようという狙いか――それならば、こちらは前にジョウトリーグのエキシビションマッチで、イブキが魅せた高等技を見せてやろう。『ふぶき』と『ぼうふう』を合わせた猛吹雪で、向こうのユナイトコンボを相殺して蹴散らしていく。
この二つの合わせ技は制御がとても難しく、流石のミュウツーも全神経を集中させてようやく制御が可能だが、それだけに威力は高く、メガカメックスにダメージを与えている。
しかし、シゲルも即座に反撃に出てきた。
こちらが技の制御で動けない隙を狙って、攻撃を受けながら三つの砲台をこちらに向けて、究極技の『ハイドロカノン』を撃ってくる。攻撃に集中している今、これを回避することは出来なかった。
究極技の直撃を受け、ミュウツーもダメージを受けるが、即座に体勢を立て直していく。ここで砂嵐の効果が切れ、フィールドが元に戻った。
継続ダメージによる積み重ねもあり、メガカメックスももう体力は半分を切っている。ここで一気にダメージを稼ぐため、究極技の反動で動けない所へ、再び『かみなり』でダメージを与えていった。
だが、シゲルも負けじと、最後の技として『アクアジェット』を指示してくる。どうやら先制技を覚えさせたようで、カメックスが一気にミュウツーとの距離を詰めてきた。
ここは敢えて『じこさいせい』でメガカメックスの攻撃を受けながら体力の回復を図っていく。先制技は強いが、威力が少ないので回復技の回復量の方が上回る――それを見て、シゲルもメガカメックスに無理やり距離を詰めさせ、ゼロ距離で『あくのはどう』を撃ってきた。少しでもダメージを稼ぎたいのだろう。
ミュウツーも『あくのはどう』を回避しようとするが、流石に距離が近くて避けきれずにダメージを受ける。しかし、追撃の『かみなり』でメガカメックスも力尽きたようで戦闘不能になった。
まさかのシゲル最初の一体目の戦闘不能がカメックスになるとは思わなかったが、こちらも技を全て使わされ、体力も回復して尚半分近く削られている。余裕がある訳ではない。
続けて、シゲルはオーロンゲを出してくる。ガラル地方に生息する、あく・フェアリータイプのポケモンだ。おそらくはミュウツー対策に入れてきたのだろう。
「カメックスを倒されたのは想定外だったが、まだ僕には切り札が残っている」
そう言って、シゲルは妙なカプセルと白い手袋を取り出した――あの手袋はまさか、ダイマックスバンドか? けど、ここはホウエンだ。ガラル粒子がなければ、ダイマックスは出来ないはず。
と、考えていると、シゲルがカプセルを叩き割った。同時に、辺り一帯に赤い靄のようなものが流れていく。
「君のことだ。ダイマックスは当然知っているね? 本来、ダイマックスはガラル粒子が豊富なガラル地方でしか使用することが出来ない。しかし、マグノリア博士の研究によって、まだ試作段階ではあるものの、高濃度のガラル粒子をフィールドに散布できれば、一時的にダイマックスを使用することが出来るようになったんだ」
つまり、先程割ったカプセルの中に圧縮した高濃度のガラル粒子を貯蔵してあり、それを使ってこのフィールドにダイマックスを使用できる条件を作り上げたということか。
流石に驚きだ。ゲームでも、アニメでも、おそらくこんな常識はずれなことはなかった。あればいくら何でも覚えているだろう。つまり、これはシゲルがガラルでマグノリア博士の研究を手伝ったからこそ生まれた、アニポケを超えた研究成果――
「さらに、僕のオーロンゲは通常とは違うダイマックスを可能にしている!」
そう言って、シゲルがオーロンゲをボールに戻す。同時に、ダイマックスバンドから送られるエネルギーによって、モンスターボールがダイマックスボールへと変化していく。
「さぁ、頼むよ! キョダイマックスオーロンゲ!!」
シゲルの声と同時に、ダイマックスボール投げられ、中からキョダイマックスオーロンゲが飛び出してきた。
この世界で初めてみるキョダイマックスポケモンは、でかいなんてものではなかった。
ゲームでは知っていたが、現実で見ると全くの別物だ。ロケット団のビックリドッキリメカなど比じゃないくらいに大きい――って、驚いている場合じゃない。
「さぁ、行け! 『キョダイスイマ』!!」
キョダイマックスオーロンゲの専用キョダイマックス技が指示される。この技はあく技を使うことで発動し、ダメージを与えると五割の確率で相手をあくび状態にするという強力な追加効果を持っていた。
何とかキョダイマックス技を相殺しようと、再び『ふぶき』と『ぼうふう』の合わせ技をぶつけていく――が、シゲルは敢えてこちらの攻撃を相殺せず、体で受けながら『キョダイスイマ』をミュウツーに叩きこんできた。
キョダイマックスで体力が上がっているが故の判断。弱点の一撃を受けてミュウツーもかなりのダメージを受ける。
何とか体力を残してはいるようだが、もう1/4近くになっていた。おまけに、『キョダイスイマ』の効果であくび状態になったらしく、このまま場に残せば眠ってしまう状態だ。
仕方なく、ミュウツーをボールに戻す。
しかし、ダイマックスは、基本的に三ターンは続く――つまり、キョダイオーロンゲは後二回攻撃が出来るのと同義だった。
こちらとしても、出来れば下手にポケモンを消耗させたくないのだが、先ほど書いた通り、ダイマックス技は『まもる』でも完全に受けきることは出来ない。
次のポケモンとして、ギャラドスを出していく。特性の『いかく』でキョダイオーロンゲの攻撃が一段階下がる。オーロンゲは基本的に物理型が多い。これで多少は攻撃の威力を下げることが出来るだろう。
キョダイマックスしていても、素のスピードはそのままなので、こちらも一気に攻撃を仕掛けていく。少しでもダメージを与えられるように、はがね技の『アイアンヘッド』を指示し、一撃を与えていった。
ならばと、シゲルは『ダイサンダー』を指示してくる。ダイマックス中にでんき技を使うと使用できるダイマックス技だ。おそらく、『かみなりパンチ』辺りを使ってきたのだろう。
ちなみに、先程の『キョダイスイマ』は威力的に見て、おそらく『ふいうち』が元になっていると見て間違いなかった。
ダイマックス技にはダメージの外に追加効果があり、『ダイサンダー』の場合はフィールドを『エレキフィールド』にするというものだ。
これで、ひこうタイプや『ふゆう』等で空にいるポケモン以外は、眠り状態にならないので、ポケモン次第で『キョダイスイマ』による眠りの危険は少なくなる――と、考えていると、『ダイサンダー』の直撃でギャラドスが一気に1/4程まで体力を減らされていった。
同時に、ダイマックスの時間が切れたようで、キョダイマックスオーロンゲが元の姿に戻っていく。
どうやら、まだ研究段階ということもあり、完全にダイマックスを使用できる訳ではないようで、思ったよりも早くダイマックスが終了している。
だが、受けたダメージは大きかった。
ミュウツーもギャラドスも一気に体力を1/4まで減らされてしまっている。オーロンゲも体力は減っているようだが、それでもまだまだ半分程は普通にあった。エースであるカメックスを倒すことは出来たが、返しの連撃が痛すぎだ。
とはいえ、ここでオーロンゲを残しても面倒くさいだけだった。『ふいうち』に警戒しながら、何としてもここで倒しておきたい――と、考えていると、シゲルは『すてゼリフ』を指示してきた。相手の攻撃と特攻を一段階下げて手持ちのポケモンと入れ替わる交換技だ。
シゲルはここでオーロンゲとエレキブルを入れ替えてきた。これで手持ちは全て判明したが、ここでの交換技による相性不利対面はまずい。すぐにギャラドスを戻したい所だったが、ボールを出す手間がある分、こちらの交代は間に合わなかった。
エレキブルは『10まんボルト』で、ギャラドスにとどめを刺しに来た。こちらも、せめてダメージを与えようと、『ハイドロポンプ』で攻撃を返していく。
シゲルは当然、技を相殺させずに一気にギャラドスを戦闘不能に持っていった。エレキブルも『ハイドロポンプ』のダメージを受けたが、オーロンゲの『すてゼリフ』によって、ギャラドスは特攻が一段階下がっているのでダメージは少なく済んでいる。
しっかし、ダイマックスは予想外だった。こちらも現実では初めてということもあって、見事に荒らされ切ってしまっている。
こっちにもダイマックスがあれば、まだ立ち回りも変えられたかもしれないが、相手のみの一方的なダイマックスは厳しすぎた。おまけに、キョダイマックスだったしな。
互いに戦闘不能になったのは一体ずつ――向こうはエースであるカメックスを失っているが、こちらも切り札のミュウツーが追い込まれている。『じこさいせい』があるとはいえ、かなり厳しい状況なのは間違いなかった。
だが、負けるつもりはない。
俺は自分のポケモンを信じている。それはミュウツーという伝説がいるとか、リザードンのきずな現象や、メガシンカがあるからとかではない。これまでの旅で培ってきた努力や思いが、血肉となって俺達を支えてくれているからだ。
これまでの全てが俺やポケモン達を支えてくれている。だからこそ、多少不利程度の状況で参るほど、ニューサトシは諦めのいい性格をしていなかった。
勝負はまだまだこれからだ。
原作との変化点。
・シゲルとのバトルが始まった。
地味に公式戦ではニューサトシが圧倒している。故に、このバトルにかけるシゲルのモチベーションはこれまでの比じゃなかった。ちなみに作者のモチベーションも死ぬ程高かった。
・ダイマックスについて。
シゲル戦では絶対にダイマックスを使うと決めていた。そのため、アニメにはないオリジナル設定でダイマックスを可能にしている。だが、まだ未完成の為、ダイマックスしていられるターンは2ターンに減っていた。
・伝説は使わない。
シゲルに伝ポケ使わせると、グリーンの二番煎じになるので、それ以外の切り札を使う形で全てをぶつけに行った。おかげで、カメックスを失って尚、シゲルの強さが際立っている。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.66
ピジョット Lv.61
バタフリー Lv.61
ドサイドン Lv.64
フシギバナ Lv.61
リザードン Lv.66
カメックス Lv.61
キングラー Lv.61
カモネギ Lv.61
エビワラー Lv.61
ゲンガー Lv.63
コノヨザル Lv.61
イーブイ Lv.61
ベトベトン Lv.61
ジバコイル Lv.61
ケンタロス Lv.61
ヤドラン Lv.61
ハッサム Lv.61
トゲキッス Lv.61
プテラ Lv.61
ラプラス Lv.61
ミュウツー Lv.76
バリヤード Lv.61
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.60
カビゴン Lv.61
ニョロトノ Lv.60
ヘラクロス Lv.59
メガニウム Lv.59
バクフーン(ヒスイの姿) Lv.59
ラティアス Lv.56
ヘルガー Lv.58
ワニノコ Lv.58
ヨルノズク(色違い) Lv.57
カイロス(部分色違い) Lv.57
ウソッキー Lv.58
バンギラス Lv.62
ドンファン Lv.58
ギャラドス(色違い) Lv.57→58
ミロカロス Lv.53
ラグラージ Lv.53
オオスバメ Lv.53
ジュカイン Lv.53
ヘイガニ Lv.53
フライゴン Lv.58
コータス Lv.51
サーナイト(色違い) Lv.46
オニゴーリ Lv.51
ワカシャモ Lv.50
メタグロス(色違い) Lv.49
エテボース Lv.47
ムクホーク Lv.46
ハヤシガメ Lv.46
ブイゼル Lv.47
ムウマージ Lv.50
カバルドン LV.45
ミカルゲ Lv.57
グライオン Lv.44
ロトム Lv.46
ユキノオー Lv.42
フカマル Lv.35
タマゴ 時々動いているみたい。生まれるまでもうちょっとかな?
タツベイ Lv.30