ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

278 / 314
♯259 『めざせポケモンマスター』

 14歳 β月ψ日 『めざせポケモンマスター』

 

 インターバルが空けると、再びシゲルと向かい合っていく。こちらの残りポケモンは3体――その中でピカ様は体力半分、バンギラスは体力1/3で、ミュウツーは1/4と死屍累々だ。

 対するシゲルは残り4体で、カイリューがミリ、エレキブルが1/3、オーロンゲが体力2/3、ニドクインに至ってはほぼ無傷だった。けど、こんな逆境いくらでも越えている。この程度で諦めるなら、俺にポケモンマスターを目指す資格などなかった。

 

 バトルが再開し、ミュウツーを出していく。シゲルはエレキブルを出してきた。どうやら、シゲルは俺がミュウツーを温存してバンギラス辺りを出してくると思ったのか驚いた顔をしている。お前がそう読むだろうと思っての、ミュウツーチョイスだ。

 

 シゲルは即座にエレキブルを戻した。まだ技が一つ残っているとはいえ、ミュウツー相手では確実性がないと判断したのだろう。

 この交換の隙に、こちらも『じこさいせい』で体力を回復させる。これで1/4だった体力は3/4まで戻り、多少は体力に余裕が出来てきた。

 

 続けて、シゲルはオーロンゲを出してくる。既に技は三つ使っており、『ふいうち』、『かみなりパンチ』、『すてゼリフ』の三つを使っていた。

 オーロンゲは特性が『いたずらごころ』で変化技を先制で使える厄介なポケモンであり、ミュウツーの苦手なあくタイプでもあるが、ここまで体力が回復出来ればどうとでもなる。

 

 とりあえず、『かみなり』を指示して攻撃を仕掛けると、『ふいうち』で距離を詰めてきた。体力が1/4だったら少し恐ろしかったが、今なら受けても倒れはしないので、落ち着いて対応が出来る。

 弱点攻撃で体力を半分以下まで持っていかれるが、こちらの『かみなり』もまた、そのままオーロンゲの体力を削って行った。

 

 ここで、『ふいうち』を誘って攻撃を仕掛けるフリをして、『じこさいせい』で体力回復を狙っていく――が、読まれていたようで、最後の技として『ちょうはつ』が指示された。

 特性の『いたずらごころ』で、こちらの『じこさいせい』よりも先に『ちょうはつ』が決まり、『じこさいせい』の発動が阻止される。続けて、『すてゼリフ』でこちらの攻撃と特攻を一段階下げて、オーロンゲが後ろのポケモンと交代していった。

 

 続けて出てきたのはカイリューである。もう体力がミリということで、必殺の『りゅうせいぐん』でこちらの消耗を狙ってくる。

 交代技で交代してからの攻撃のせいで、こちらはミュウツーを交代する隙を失ってしまった。こうなれば、『ふぶき』と『ぼうふう』の合わせ技で、『りゅうせいぐん』を相殺していく。

 

 空中で炸裂した流星が、龍を象り、まるでヤマタノオロチのように八つの首がミュウツーに襲い掛かる。

 猛吹雪が龍を撃退し、全ての首を払い落としていく――が、その隙にカイリューはこちらの懐に潜り込んでいた。『りゅうせいぐん』は撃ち出す系の技故に、次の一歩が他の技よりも早い。きずなリザードンの時は、消耗して動きが遅くなっていたが、今はもう捨て身でこちら襲いかかってきた。

 

 振りかざされる『げきりん』を敢えて受けながら、とどめの『かみなり』をカイリューに直撃させていく。弱点を考えれば、『ふぶき』だがPPの残りが心許ないので、『かみなり』でとどめを刺しに行った。

 ドラゴンタイプにでんき技は効果今一つだが、押せば倒せるくらいの体力しかないカイリューは耐えきれずに戦闘不能に持っていかれる。

 

 同時に、『ちょうはつ』の効果が切れたが、シゲルがカイリューを戻すのに合わせてこちらもミュウツーをボールに戻した。

 正直、『すてゼリフ』のデバフが思ったよりも大きい。もし、ミュウツーが完全な状態だったら、『りゅうせいぐん』を相殺して尚、カイリューを攻撃する余力が残っていたはずだ。

 

 おかげで要らぬ追撃を喰らってミュウツーの体力もまた1/4程になってしまった。またどこかで回復を図りたいものだが、ここから先はシゲルも油断はしてくれないだろう。インターバル明けの回復は、シゲルの唯一の隙と言って良かった。

 

 シゲルはここでニドクインを出してくる。こちらがミュウツーを戻したことで、一気に勝負をかけに行く狙いだろう。

 ここで、こちらはバンギラスを出した。じめん・どくタイプのニドクインは、ピカ様だと相手がきつい。まだエレキブルを相手にした方が勝率が高かった。

 

 逆に言えば、ここでニドクインを倒せるかどうかで勝敗は左右される。おそらく、ここがこのバトルの山場だ。シゲルも、それを理解しているようで、こちらの一挙手一投足を見逃さぬとばかりに鋭い視線を向けてきた。

 

 バンギラスの『すなおこし』でフィールドが砂嵐状態になっていく。こちらは既に全ての技を使ってしまったが、ニドクインはまだ技に一つ余裕が残っていた。

 

 開幕、ニドクインが『じしん』を撃ってくる。こちらの残り少ない体力を一気に削り切ろうという狙いだろう。

 まともに受けては負け確定――逆立ちするように『10まんばりき』で地面を強く叩き、バンギラスは己の巨体を地面から浮かせて『じしん』の衝撃を回避した。前にヘイガニがやった回避と同じものだ。

 

 そのまま、体勢を立て直すと、即座に距離を詰めていく。距離を開けたままでは、遠距離攻撃が出来るニドクインが有利だ。被弾の可能性を覚悟してでも、近接戦に持ち込むほかない。

 とはいえ、『10まんばりき』も無限に打てるわけではなかった。概算だが、残り使用回数は3回しか残っていない。『れいとうパンチ』も混ぜて、慎重に使う必要がある。

 

 向こうは遠慮なく『かわらわり』を撃ってきた。四倍弱点で一撃KOを狙おうという腹だろうが、そう簡単にいけば苦労はない。

 砂嵐でフィールドに散らばった砂を握り込み、ニドクインの目を潰す。疑似すなかけだが、技ではないので命中率は下がらない。しかし、目を潰されたことで動きは鈍った。卑怯? 馬鹿言え、これも戦略だ。

 

 続けて、『れいとうパンチ』でボディを叩いていく。まだ視界が安定しないのか、ニドクインの動きは鈍い。もう一発、今度は『10まんばりき』を叩き込んで、ダメージを稼がせて貰った。

 とはいえ、こんな小細工がいつまでも通じるほど、シゲルやニドクインも甘い相手ではない。その場でくるりと一回転しながら、先程のエレキブルのように薙ぎ払いの『アイアンテール』で無理やりダメージを与えてくる。

 

 見えなくても、範囲で持っていこうという狙いのようで、こちらもダメージを受けた。これで残り体力は1/4以下となり、『みがわり』も使うことが出来なくなる。

 しかし、視界が潰れている今がチャンスなのは間違いなかった。『10まんばりき』でさらに体力を削ろうとするが、シゲルが「音に集中するんだ!」と指示を出すことで、視覚ではなく聴覚でこちらの攻撃を感じ取り、同じ『10まんばりき』で対応してくる。

 

 最悪だったのは、このタイミングで砂嵐が収まり、フィールドが元に戻ったことだった。これにより、ニドクインは音に集中してこちらの攻撃に対応できてしまっている。

 

 しかし、それなら不意をついてやる。少し間を開け、『ステルスロック』のハンドサインを送り、声無しでバンギラスがステロを相手フィールドに撒いていく。

 目を閉じているニドクインはこれに気付けず、シゲルの『じしん』の指示で遅れて攻撃に移ってきた。もう回避は出来ないので、最後に『10まんばりき』を叩き込んでバンギラスが戦闘不能になっていく。

 

 だが、ステロを撒けた上、かなりダメージも稼げた。ニドクインの残り体力も良い所1/3ちょっとという所だろう。バンギラスは倒されてしまったが、十分に挽回のチャンスはあった。

 

 こちらがバンギラスを戻すと、シゲルもニドクインを戻していく。続けて、こちらはミュウツーを、シゲルは再びオーロンゲを出してきた。同時に、オーロンゲにステロの岩が刺さり、1/8のダメージを受ける。

 この対面――シゲルは、俺がミュウツーを出してくるのを読んでいたのだろう。向こうは当然のように、『ちょうはつ』で『じこさいせい』を封じてきたので、こちらは『ぼうふう』でダメージを稼いでいく。

 

 オーロンゲもこれで一気に体力が1/3以下まで削られた。混乱状態はさけられたようだが、再び『すてゼリフ』でニドクインと交代してくる。

 総攻撃でミュウツーを倒そうとしているのが良く分かった。しかし、交代したことで、ニドクインもステロによって1/16のダメージを受ける。こちらも、一気に『ふぶき』と『ぼうふう』の合わせ技で、ニドクインの体力を削りに行く。向こうも、攻撃を受けながら『じしん』で反撃してきた。

 

 しかし、それで倒れるなら伝説などやっていない。当然のように体力の限界を無視してミュウツーは戦闘不能を拒絶する。対して、ニドクインは戦闘不能に持っていかれた。

 これで、お互いに残り二体。

 シゲルは、ここで再びオーロンゲを出してきた。再びステロのダメージで体力が削られ、残り1/4となる。先制技の『ふいうち』に警戒したい所ではあるが、『じこさいせい』が封じられている今、攻撃する以外にこちらに手段はない。

 

 ならば、敢えて攻撃を誘った。

 

 ミュウツーが『ふぶき』を使い、向こうが『ふいうち』を打ってくる。だが、既に『ふぶき』はPPが切れていた。当然技は不発であり、攻撃が失敗したミュウツーは相手の『ふいうち』を回避して、ゼロ距離『ぼうふう』でオーロンゲを吹き飛ばしていく。

 倒しきれるかと思ったが、オーロンゲはギリギリで体をくねらせること直撃を回避してきた。同時に、オーロンゲが『ちょうはつ』でこちらの変化技を再び封じてくる。

 

 仮にここで倒れることになっても、ミュウツーの体力は回復させないということだろう。

 

 ギリギリの攻防――だが、シゲルはオーロンゲを戻さなかった。戻した所で、オーロンゲはもうステロに耐えられない。後ろのエレキブルへの負担を考えれば、シゲルとしては何としてでも、ここでミュウツーを倒したい所だろう。

 

 逆に、ここでミュウツーを戻してピカ様でオーロンゲを倒し、残るエレキブルをミュウツーで倒す。それが、こちらの勝ち筋だ。

 当然のようにミュウツーを戻して、ピカ様を送り出す。シゲルは悩んだ末にオーロンゲをボールに戻した。続けて、エレキブルを出してくる。

 

 再びステロでエレキブルの体力が削られていく。こちらはピカ様を再び戻した。このまま、エレキブルにミュウツーをぶつける。

 しかし、シゲルはこちらの交代に合わせて『10まんボルト』を指示してきた。フィールドには誰も居ない――が、シゲルの狙いはこちらではなく、フィールドに漂っているステロだった。

 

 俺のカウンターシールドを見様見真似で再現しながら、周囲のステロを破壊していく。

 そういえば、前にもデンジが『だいばくはつ』でステロを排除していた。アニメでも、サトシ君が『シザークロス』で『トリックルーム』を破壊しているし、こういう対処法も有りなのだろう。

 

 こちらがミュウツーを出すと同時にステロが排除された。これで、シゲルは体力を気にせずにポケモンが交代できる。エレキブルを戻して、再びオーロンゲを出してきた。

 先にポケモンを交代したのは俺なので、このまま交代合戦になれば先に止まるのは俺だ。最終的にミュウツーとオーロンゲの対面は避けられないと判断し、このまま勝負を決めにいく。

 

 ここからは読み合いだ。向こうは『ふいうち』を当てるため、こちらは『ふいうち』を回避するために、相手がどう出てくるかを読んで動く必要がある。

 こちらは既に『ふぶき』がPP切れで、『じこさいせい』は後出しの『ちょうはつ』で止められるのがわかりきっていた。使えるのは『ぼうふう』か『かみなり』だけ――どちらも隙が大きいため、『ふいうち』を躱すのはまず無理。

 

 と、すると、『ふいうち』をまた透かさせる必要がある。『かみなり』を指示するフリをして、『ふぶき』を使わせてシゲルを誘い込む。

 

 ミュウツーなら気付いてくれると信じてノーサインで『かみなり』を指示する。サインを出せば気付かれる危険があった。

 しかし、ミュウツーはこちらの考えを理解して『ふぶき』を撃とうとしてくれる。当然、PP切れなので攻撃は失敗するのだが、シゲルは『かみなりパンチ』を指示してオーロンゲを突撃させてきた。

 

 読まれた――いや、まだ反撃が間に合う。咄嗟に『かみなり』を指示して、一気に戦闘不能まで持っていく。

 

 ギリギリでこちらの方が早く技が決まり、『かみなり』がオーロンゲに直撃する。だが、ここで奇跡が起きた。こちらの『かみなり』が、オーロンゲの振り上げていた『かみなりパンチ』にぶつかって偶発的に攻撃が相殺されてしまったのだ。

 

 これは、俺もシゲルも予想外だった。

 

 前にグリーン戦でも『でんじは』を『かみなりパンチ』で凌がれたことがあったが、今回は『かみなり』だ。そう簡単に受けきれるものではない。 

 

 さらに、相殺されたとはいえ、まだオーロンゲの『かみなりパンチ』は僅かに威力を残していた。おまけに、こちらはもう回避も反撃も出来ない距離だ。

 向こうの一撃が、ミュウツーのテンプルを捉え、限界を超えたミュウツーが倒れる。流石のうちの最強も、予想外のこの一撃には耐えられなかったか――

 

 ミュウツーをボールに戻す。これで残りはピカ様だけだ。「頼むぞ」と声をかけると、わかっているとばかりにフィールドに飛び出していく。

 シゲルは『すてゼリフ』を指示した。

 こちらは当然、『ばちばちアクセル』でオーロンゲが逃げる前に戦闘不能に追い込んでいく。『いたずらごころ』は変化技を優先度+1の先制技として使える凄い特性だが、『ばちばちアクセル』は優先度+2なので、その上を行ける。

 

 シゲルも、オーロンゲとピカ様を相対させればこうなることはわかっていたようで、倒れたオーロンゲをボールに戻していく。これでシゲルも残るはエレキブルだけになった。

 

 しかし、エレキブルは特性『でんきエンジン』を持っており、こちらのでんき技は封じられたも同然だ。使えるのは『かわらわり』と、最後の一つの技だけ。

 対するエレキブルは、『10まんボルト』、『けたぐり』、『きあいパンチ』、『アイアンテール』と、ピカ様を倒すには十分すぎる程の技のラインナップが揃っていた。

 

 ピカ様が『ばちばちアクセル』を移動技として使い、距離を詰めて『かわらわり』で攻撃を仕掛けていく。エレキブルも、『アイアンテール』で即座に反撃してきた。

 体力の残りはこちらが約半分で、向こうが1/4程――技はまだこちらが一つ残していると有利な状況ではあるものの、エレキブルのパワーなら油断すれば一気に勝負がついてもおかしくない。

 

 後は、どちらが相手の上を行くかだ。

 

 再び、こちらは『かわらわり』、向こうは『アイアンテール』で尻尾をぶつけ合っていく。本来、ピカ様のパワーでエレキブルと張り合うのは不可能だが、上から叩きつけるように振り下ろすことで勢いをつけ、無理やり威力を上げていた。

 

 思えば、何だかんだピカ様とシゲルのエレキブルは因縁がある。それこそ、まだあのエレキブルがエレブーの頃から、ピカ様は何度かぶつかり合っていた。

 勝つこともあれば負けることもあり、今にして思い返してみると、うちのピカ様が近接戦闘技能を磨こうと思ったのは、シゲルのエレキブルに負けないためだったのかもしれない。

 

 と、過去を振り返っていると、エレキブルが『けたぐり』でピカ様を転がそうとしてくる。体重の軽いピカ様にダメージは期待できないが、体勢を崩すのが狙いだろう。

 受ければ勝負はついたも同然なので、『ばちばちアクセル』で攻撃を回避していく。やはり、優先度+2の先制技は攻撃にも回避にも使えて勝手が良い。ピカ様が一歩上のランクに足を踏み入れられたのも、この技があってこそだった。

 

 エレキブルも、別にそんなに遅いポケモンではないのだが、流石にピカ様の『ばちばちアクセル』には追いつけない。

 それならと、シゲルは『10まんボルト』を指示してきた。だが、狙いはピカ様じゃない。自身に『10まんボルト』を無理やり帯電させることで、特性『でんきエンジン』を無理やり発動させに来たのだ。

 

 ピカ様も疑似ボルテッカーを使用する際、よく『10まんボルト』などのでんき技を体に留めて帯電させるが、あれはかなり無理をして体に電気を集めているので、自身にもダメージがあるのである。

 シゲルは、その自傷によるダメージを逆手に取ってきた。これで、エレキブルは『でんきエンジン』の特性でダメージが無効になり、素早が一段階上がる。

 

 足りないスピードを補ってきたのだ。

 

 先程よりも動きが早くなったエレキブルが拳に光を集中させながら距離を詰めてくる。まだ一段階しか上がっていないが、確実にスピードは速くなっていた。

 振りかざされる『きあいパンチ』を回避しつつ、『かわらわり』で反撃していく。しかし、エレキブルもここで攻撃を回避してきた。今までなら避けられなかったはずだが、スピードが上がったことで回避する余裕が出来たのだろう。

 

 そのまま、『アイアンテール』でピカ様が吹き飛ばされていく。とはいえ、タイプ不一致技、おまけにはがね技はでんきタイプに威力半減ということもあって、ピカ様も体力をまだ1/3程残していた。

 

 だが、追い込まれつつあるのも事実。

 

 シゲルはもっとスピードを上げればこちらを捕まえられると確信したようで、再び『10まんボルト』を帯電させて、エレキブルの特性を無理やり発動し、素早をもう一段階上げている。

 ここで最後の技として『アンコール』を指示した。シゲルもこれは想定外だったようで指示が遅れている。これでエレキブルは、しばらくの間、『10まんボルト』しか使えなくなった。ここで一気に勝負を決めに行く。

 

 先制技である『ばちばちアクセル』の速度を維持したまま、『かわらわり』に繋げる連続攻撃で、とどめを刺す。

 今までは『ばちばちアクセル』で距離を詰めて、そこから攻撃に移っていたが、今回は『ばちばちアクセル』のスピードを全て『かわらわり』に乗せて振り下ろしていく。外せば隙も大きいので今までは使わなかったが、仮に外したとしても『10まんボルト』の一撃程度なら耐えられるはずだ。

 

 向こうにかけた『アンコール』が継続している内に、一気に攻撃を仕掛けていく。しかし、シゲルはここでさらなる工夫を見せてきた。『10まんボルト』のエネルギーを拳に集約させて、疑似的なかみなりパンチに仕上げてきたのである。

 こちらが『ばちばちアクセル』からの『かわらわり』を振り下ろすと、それを迎撃するようにエレキブルも拳を振り上げた。

 

 お互いに攻撃が弾かれ、少し距離が出来る。エレキブルは即座に『10まんボルト』を撃ってきた。ピカ様にでんき技は効果今一つではあるが、効果がない訳ではない。少しでもダメージを稼ぎたいのだろう。

 本来なら、こちらも『10まんボルト』で相手の攻撃を相殺していく場面だが、『アンコール』の残りターンを考えると、防御よりも攻撃だった。『10まんボルト』を受けながら、『ばちばちアクセル』で再び距離を詰めて『かわらわり』を振っていく。

 

 流石に攻撃を受けながら反撃してくるとは思わなかったようで驚いた様子を見せるが、振り下ろされる『かわらわり』を咄嗟に腕でガードしてきた。それでも、ダメージはあるようで、エレキブルもふらつく様子を見せる。

 しかし、そのままで済ませないとばかりに、エレキブルはピカ様を抱きしめるように締め付け、ゼロ距離『10まんボルト』でダメージを与えてきた。ダメージ自体はそこまで大きなものではないのだが、ピカ様の体格やパワーでは、エレキブルの締め付けから脱出できずに、徐々にダメージは積み重なっていく。

 

 ピカ様ももがいているが腕の拘束は解けなかった。そろそろ『アンコール』も効果が切れる頃――と、考えているとピカ様を押さえつけながらエレキブルが拳に光を集中させてくる。

 

 まずい、『きあいパンチ』の直撃に耐えられる余力など残っていない。何とかしてこの状況から抜け出さないと――と、考えていると、運よく締め付けられていた腕の隙間から、ピカ様の尻尾がはみ出してきた。

 どうやら、もがしている間に、上手くズレて尻尾が解放されたらしい。尻尾が出ればこちらのもの――と、『かわらわり』で、尻尾を振って腕を叩き、無理矢理に拘束を解除した。

 

 同時に、集中が切れたことで、『きあいパンチ』も無効になる。これが最後のチャンスとばかりに、ピカ様も体勢を立て直し、『かわらわり』で一気にとどめを刺しに行った。

 しかし、エレキブルもここで意地を見せる。

 その場で体を横に一回転させて、『アイアンテール』で反撃してきた。ピカ様の縦回転の『かわらわり』が先にエレキブルにぶつかり、続けて『アイアンテール』がピカ様を吹き飛ばしていく。

 

 正直、最後はマサラアイを持つニューサトシでも煙で何も見えなくなっていたが、気が付けばエレキブルもピカ様も倒れて戦闘不能になっていた。

 

 まさか、また引き分けかと思ったが、ビデオ判定で最後まで立っていた方を勝者にするとのことで、ピカ様とエレキブルのぶつかり合いが再生されていく。

 

 最後の最後、ピカ様が縦に一回転して『かわらわり』が直撃――いや、よく見ると、エレキブルは体を横に振りながら、『アイアンテール』を振る動きに合わせて腕を上げて、『かわらわり』を上手くガードしていた。

 その後、『アイアンテール』がピカ様に直撃。

 吹き飛ばされたピカ様はそのまま戦闘不能になり、エレキブルも攻撃をガードしたのは良いものの、蓄積されたダメージに耐えきれずにそのまま戦闘不能となったようだった。

 

 しかし、先に倒れたのはピカ様ということで、改めてシゲルの勝利でバトルが終わる。

 

 負けたか――だが、後悔はない。

 

 いや、反省すべき点は勿論ある。それこそ結果論に過ぎないが、あの時こうしていれば、ああしていればというのは、いくらでも思いついた。

 

 例えば、メガカメックスとミュウツーのバトルで、一つくらい近接技をチョイスしていれば、後のバトルがもう少し楽になったかもしれない。

 例えば、キョダイマックスオーロンゲにギャラドスをぶつけた際、無理に攻撃を仕掛けたが、多少のダメージ覚悟で『まもる』による耐久を選んでいれば、ギャラドスを捨てることなく後半も暴れられたかもしれない。

 例えば、ピカ様の最後の技を『アンコール』ではなく、別の攻撃技にしていれば、もしかしたらエレキブルを倒して勝つことが出来たかもしれない。

 

 そんなたられば、考えれば無数にある。

 

 けど、あの時の俺は自分が最善だと思った選択肢を選んだ。俺は今持てる全てをシゲルにぶつけて負けた――それは紛れもない事実だった。

 

「……これで、1勝1敗1分だ。まだまだ僕達のバトルは続く。けど、今回は勝たせて貰ったよ」

「ああ。ここまで来たら頂点まで行ってこい」

 

 ああ、クソ。バトルに負けて悔しいなんて久しぶりに感じた。別にこれまでの旅で負けたことがない訳ではない。四天王やタワータイクーン相手に負けたことはあるし、その時はここまで悔しいとは思わなかった。もっと上を目指そうと、素直にそう思えた。

 

 けど、自分の全てをぶつけて、それでも及ばなかった。それが何よりも悔しい――紙一重の結果とは言え、負けは負けだ。

 

 いや、違う。

 

 シゲルに負けたのが、悔しいのだ。ライバルだと認めているからこそ、あいつには負けたくなかった。あの時ああしていればとか、力が及ばなかったなんていうのは、ただの逃避だ。

 

 ピカ様が俺の代わりに泣いている。

 

 ニューサトシは泣かない。悔しくても、苦しくても、それを表に出すことはしない――それを知っているからこそ、ピカ様は泣いてくれていた。

 

 シゲルと別れ、応援してくれていた仲間達の所に向かう。何だかんだ、俺が勝つと信じてくれていたのだろう。何を言えばいいのか、わからないという様子だった。

 しかし、ピカ様が泣いているのを見て、ラティが我慢できずに一緒に泣き始める。ラティも、何だかんだで俺のポケモンだ。ピカ様の気持ちが良く分かるのだろう。

 

 とはいえ、いつまでも暗い表情をしていても意味がない。「次は勝つさ」と笑みを浮かべる。

 それが無理やり作った笑みだというのは、長い付き合いの仲間達にはすぐわかったようだが、あのカスミさんですら今回はそれを指摘することはなかった。

 

 準決勝の第二試合は、グリーンが勝利を決め、これで決勝はシゲルVSグリーンの従弟対決となる。

 

 どうせなら、明日まで滞在して白熱の決勝戦を楽しんでいくか――と、思ったが、その試合は予想よりもあっさりと終了している。前の俺との試合で全ての力を出し切ったシゲルは、次の決勝戦でグリーンに嘘のようにボロ負けした。

 

 

 




 原作との変化点。

・シゲルに負けた。
 ここで負けて終わりにするのは、この旅の最初から決めていた。レベリング不足とか文句を言う層もいるかもしれないが、そういうの関係なく今出せる全力をぶつけて負けている。展開的なメタとかで先読みして萎えてた層もいるみたいだけど、ニューサトシ負けさせると大体荒れるから、いつも負け話はヒヤヒヤする。

・シゲルも負けた。
 スラムダンク山王戦後の湘北みたいになっている。ニューサトシ戦で全部出し切ったので普通にボロ負けした。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.66

 ピジョット Lv.61

 バタフリー Lv.61

 ドサイドン Lv.64

 フシギバナ Lv.61

 リザードン Lv.66

 カメックス Lv.61

 キングラー Lv.61

 カモネギ  Lv.61

 エビワラー Lv.61

 ゲンガー  Lv.63

 コノヨザル Lv.61

 イーブイ  Lv.61

 ベトベトン Lv.61

 ジバコイル Lv.61

 ケンタロス Lv.61

 ヤドラン  Lv.61

 ハッサム  Lv.61

 トゲキッス Lv.61

 プテラ   Lv.61

 ラプラス  Lv.61

 ミュウツー Lv.76

 バリヤード Lv.61

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.60

 カビゴン  Lv.61

 ニョロトノ Lv.60

 ヘラクロス Lv.60

 メガニウム Lv.59

 バクフーン(ヒスイの姿) Lv.59

 ラティアス Lv.56

 ヘルガー  Lv.58

 ワニノコ  Lv.58

 ヨルノズク(色違い) Lv.57

 カイロス(部分色違い) Lv.57

 ウソッキー Lv.58

 バンギラス Lv.62

 ドンファン Lv.58

 ギャラドス(色違い) Lv.58

 ミロカロス Lv.53

 ラグラージ Lv.53

 オオスバメ Lv.53

 ジュカイン Lv.53

 ヘイガニ  Lv.53

 フライゴン Lv.58

 コータス  Lv.51

 サーナイト(色違い) Lv.46

 オニゴーリ Lv.51

 ワカシャモ Lv.50

 メタグロス(色違い) Lv.49

 エテボース Lv.47

 ムクホーク Lv.46

 ハヤシガメ Lv.46

 ブイゼル  Lv.47

 ムウマージ Lv.50

 カバルドン LV.45

 ミカルゲ  Lv.57

 グライオン Lv.44

 ロトム   Lv.46

 ユキノオー Lv.42

 フカマル  Lv.35

 タマゴ   中から音が聞こえてくる! もうすぐ生まれそう!

 タツベイ  Lv.30


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。