14歳 δ月δ日 『前にも似たようなことがあったな』
野生のミジュマルが現れた――と、思ったら、よく見たらこいつはシュリンプ君が初心者用ポケモンを貰う時に居た御三家のミジュマルだ。
あの時はシュリンプ君がツタージャを選んでしまったが故に旅をする機会を逸したはずのミジュマルだが、どうやら隠れて俺達の後を付いてきてしまったらしい。ラティが、「ミジュマル!」と名前を呼ぶと、足にくっついて顔を擦りつけていた。
どうやら研究所で可愛がってしまったせいか、すっかりラティに懐いてしまったようだ。
そういえば、前にもホウエンで似たようなことがあったな。あの時はミズゴロウさんだったが、このミジュマルもどうやら俺達――というよりも、ラティと一緒に旅がしたいようで連れて行ってくれとせがんでくる。
とはいえ、いくら人間に擬態していてもラティはポケモンなので、流石にミジュマルをゲットすることは出来ない。かといって、別に俺に懐いてもいないポケモンをわざわざ連れ歩いてもなぁ――と、思っていると、ミジュマルが必死に俺にアピールを始めた。
自分こんな技が使えます! 頑張って強くなります! と、ラティと一緒にいるために何とか俺にゲットして貰おうと真剣な目でこちらを見つめてくる。
俺と一緒に来るなら、ポケモンマスターを目指す過程で厳しいトレーニングをすることになるぞ。と、割と本気で脅しをかけたが、男に二言はないとばかりに頷いていた。
この圧に耐えられるなら、多分大丈夫だろう。
駄目だった時はラティをけしかければいい――と、いう訳で、アララギ研究所に連絡を取って事情を説明し、正式にミジュマルを預かることになった。早くもロトムを返すことになったが、まぁ新地方のポケモンを捕まえるというのはこういうことなので仕方がない。
と、思いながらミジュマルを手持ちに入れると、これまでと違ってボールが自動転送されない事件が起こった。
距離の問題か、それとも仕様が変わったのか。どうやらポケモンを6体以上手に入れた場合、モンスターボールにロックがかかって使えないようになるみたいだった。
今回で言えば、ミジュマルのボールにロックがかかっているため、こちらからロトムを研究所に送ってロックを解除してやる。
こうして、イッシュ地方最初のポケモンであるミジュマルを仲間にし、改めて旅を続けることになった――のだが、途中でアイリスが落とし穴に落ちるという大事件が起きた。
ちなみに、ニューサトシやラティを始めこれまで旅を一緒に続けてきたメンバーは、最初こそアイリスと似たようなドジを踏んでいたが、ロケット団が落とし穴を多用してくることにより今では落とし穴程度に嵌るミスはあまりしなくなっている。
アイリスもそのうちよそ見をしていても落とし穴を躱すようになるのか――と、思っていると、近くで実家が温泉リゾートホテルを経営しているらしいダンという少年がアイリスを助けるのを手伝ってくれた。
聞けば、この落とし穴は野生のメグロコによって作られたものらしく、ダンのホテルも最近はメグロコの群れが営業を妨害してきて休業しているのだという。
メグロコと言えば、俺の大好きなワルビアルの進化前ポケモンだ。もしかしたら、原作でサトシ君がゲットした個体のメグロコかもしれない。こいつは見逃せないぜ。
と、いう訳で、とりあえずダンの実家の砂風呂を少し調べさせて貰うと、噂通り野生のメグロコがやってきて俺達をこの場から離れさせようという動きをしてきた。黒いサングラスをつけたメグロコ――間違いない、こいつがサトシ君のメグロコだ。
しかし、俺達を砂風呂から追い出そうとはしているものの、こちらに敵意はなくとても人やポケモンを傷つけようとしているようには見えない。ダン曰く、昔はメグロコも大人しくて、こんなことをしなかったと言っていた。
ポケモンが急に行動に変化を起こすのは、そうしなければいけない何かがあるからだ。
試しにマサラ式肉体言語術ボディランゲージで会話を図ると、どうやら近くの地盤が変化して間欠泉が発生しそうになっているらしく、メグロコがここから離れろとこちらに警告してきた。
「えっ、なにその動き? ダンス?」
俺の方は大体事情を理解したが、初めてボディランゲージを見たアイリスが困惑している。今までは解説役のタケシが居たが、今はいないのでアイリスにしてみれば、いきなり俺が踊り出したように見えるのだろう。
とりあえず、「メグロコと話をしていたんだよ」と言うと、「まっさかー……えっ、うそ、ほんと?」と百面相している。
しっかり話が伝わった証拠に間欠泉の話をすると、メグロコもその通りだと頷き、改めて俺達をここから逃がそうとしてきた。
とはいえ、原因さえわかればこちらのものということで、途中でこちらを妨害しようとしてきたロケット団を速攻でやなかんじーにし――ようとしたら、またも爆発に乗じてハンググライダーで逃げている。なんか、すっきりやなかんじーにさせてくれないなぁ。
まぁ、邪魔者がいなくなったのでとりあえずは良し。と、いうことで、まずは間欠泉の被害に遭いそうな、周囲にいる野生のポケモン達を助けにいった。
後は間欠泉の問題だが、間欠泉自体を止めるのは流石に不可能だったので、間欠泉で火傷をしないようにお湯の流れを誘導するしかない。
と、いう訳で、ミュウツーの力で間欠泉を操作していく。ダンは見たこともないポケモンを見て驚いた様子を見せているが、アイリスはチャンピオンリーグでミュウツーを見ていたからか、「これが、噂のミュウツー!」と、驚きと言うよりも感動を露にしていた。
そんなこんなで無事に問題を解決――する前に、この間欠泉を上手く使ってダンのホテルの新しい名物にしたらどうかというアイリスのアイディアを採用し、この温泉が新しいホテルの名物とすることにした。
俺達も事件後に入らせて貰ったが、とても満足できるレベルの気持ちよさである。が、気が付けばメグロコはどこかに行ってしまっていた。残念。
追記。ピカ様が相変わらずでんき技を使えずにいるが、そのおかげでゾロアがピカ様を怖がらなくなってきた。ピカ様も可愛いゾロアと触れ合えて嬉しそうにしており、災い転じて福となすではないがお兄ちゃんとしてゾロアを可愛がって満足そうにしている。また、いい機会なので、でんき技以外の技を磨くことにした。使える技はいくつあってもいいしな。
14歳 δ月ε日 『少し感情的になった』
サンヨウシティ途中のカラクサタウンにあるポケモンバトルクラブで無双していると、突如として施設中に警報が鳴り響いた。
バトルマネージャーのドン・ジョージによると、最近食糧庫を荒らす野生のポケモンがいるということで監視カメラを調べることになったのだが、そこには黒く細い体をしたポケモンとロケット団が映っている。
また、こいつらが悪さをしているのか――と、思ったが、それ以上に目を引いたのはポケモンの方だ。一瞬、ブラッキーっぽくも見えるシルエットのそのポケモンは、よく見ると口元を縄で縛られてやせ細ってしまったポカブだった。
一瞬、かつてヒトカゲが捨てられたトレーナーをずっと待っていた頃の記憶が蘇る。思えば、ニューサトシとして初めて本気でキレたのはあの時だったか。だが、今回のはそれ以上に悪質だ。
ドンの話によると、以前この施設を訪ねてきたトレーナーがあまりにバトルに勝てないからと捨てていったポケモンで、助けようとしたが杭に縛られていたのを自力で嚙み切って逃げて行ったという。
脳天から怒りが突き抜ける――波動が、抑えようと思っても抑えつけられない。電気を封じられているはずのピカ様もまた連動するように、オーバーフローなど知らぬとばかりに青い電撃を頬からスパークさせていた。
人間の都合でポケモンを捨てるだけに飽き足らず、杭で縛り付けるだと? 口元に縄が絡んで、こいつはろくに飯も食えず、下手をすれば死んでもおかしくなかったのだ。
ポケモンをまるで玩具のように扱う――そんな奴にポケモントレーナーの資格はない。
「サ、サトシ……? だいじょぶ……?」
初めてニューサトシの怒りを目の当たりにしたアイリスが、こちらの様子を伺うようにそう声をかけてくる。いかんいかん、怒りを抑えて波動を沈めなければ、これをぶつける相手はアイリスでもなければドンでもない。
「悪い、少し感情的になった」
素直に二人に謝罪する。けど、このままこのポカブを見捨てることなど俺にはとても出来なかった。
そのまま、逃げるポカブを捕まえる。最初は逃げようとしたが、空腹で力が入らないのだろう、段々と抵抗も弱くなっていく。
改めてドンに、このポカブを預からせて欲しいと頼む。ドンもまた、「その方が良い」と頷いて、俺にポカブを預けてくれた。
ポケモンセンターでジョーイさんに見て貰い、食事もとってすっかり元気になったポカブにも、「俺と一緒に来ないか?」と誘いをかける。
確かに、ポカブの最終進化系であるエンブオーは、お世辞にも使いやすいポケモンじゃない。同じほのお・かくとうタイプの御三家なら、バシャーモやゴウカザルの方が使いやすいステータスをしている。
だが、それは=エンブオーが弱いということではない。全てはトレーナーの育て方一つで、どんなポケモンだって強くなれる可能性を秘めていた。それこそ、コイキングでチャンピオンリーグを勝ち抜いた奴だっているのだ。なら、ポカブだって出来る。
俺の問いに、ポカブは迷いながらも頷いた。
よーし、いつかお前を見捨てたトレーナーを見つけて、お前が本当は強い奴だってことを絶対に見せつけてやろうぜ。
14歳 δ月ζ日 『培った努力は決して己を裏切らない』
ポカブの件で有耶無耶になっていたが、改めてアイリスに俺が波動を使えることなどを話した。また、あの時はスルーしてしまったが、ピカ様も怒りに任せて使えないはずの電撃が漏れ出ていたのを確認している。
今はまた使えなくなってしまったようだが、それでもあの件はピカ様の不調を解決するキッカケになりそうだった。オーキド博士やアララギ博士の考察も合わせると、もしかしたら今はゼクロムの雷によってピカ様の電撃が抑えられている状態なのかもしれない。
ならば、その電撃を超える力を身につければ、この状態を解除してまた電撃が使えるようになる――可能性があるかもということで、ピカ様も自分の中の電気を意識的に感じられるように瞑想をし始めていた。
また、新たに仲間になったミジュマルやポカブも、ニューサトシのトレーニングを真面目に受けている。
特にミジュマルは、最初はあざといくらいにこちらにアピールをしていたが、トレーニングを続けている内に余裕がなくなって気が付けば静かになってしまっていた。
ふーむ。ミジュマルは少しおっちょこちょいな所があるが、たまにいい動きをすることもあり、ラグラージさんと似た天才寄りのタイプに見える。逆にポカブは地道な努力家タイプ。特に秀でた才能はないが、教えたことを吸収しようとしっかりと努力が出来る偉い子だ。
また、フカマルやタツベイもレベルが近いこともあってお互いをライバル視しており、ゾロアも『イリュージョン』の練習をしながらも兄貴分達が努力しているのを眺めている。
こうした地道な努力こそが強さに繋がる――と、トレーニングをしていると、アイリスが興味深そうに、俺達のことを見ていた。
どうやら、こういうトレーニングに興味があるようで、「もしサトシがキバゴをトレーニングするならどうする?」と聞かれたので、素直に俺なりの見解をアイリスに話してやる。
アニメだとアイリスは事ある毎にサトシ君を馬鹿にする印象しかなかったが、この世界ではそんなことはなく、意外と真面目にこちらの話を聞いており、「ありがと! 参考にするわ!」と言って、キバゴと一緒にトレーニングを始めていた。
14歳 δ月η日 『小さなことからコツコツと』
さて、今日はピカ様や新人達の育成とは別に、本格的に阿修羅カイリキーの育成へと取り掛かっていく。
とはいえ、今の今までも何もしていなかった訳ではない。前々から、もし俺がカイリキーを捕まえたらどう育成するか――と、いう話をしていた通り、まずはその腕を自由自在に使いこなすために、これまでの旅の中で少しずつトレーニングを重ねていた。
その一環が、両手じゃんけんである。こいつは腕が六本あるので、まずはその腕の全てを意識して使い分けられるようにしていくのが第一のステップだ。
やることは簡単で、左右の腕でじゃんけんを繰り返すだけ。上段、中段、下段の左右の腕でじゃんけんをし、こちらの指示した通りの結果を出させるのだ。
上段の右が勝ったら中段は左、下段は右。次は上段の左が勝ったら中段と下段の左が負け等、こちらが決めた勝敗通りにじゃんけんをさせていく。ただでさえ、腕が六本あって、それを意識して動かすのも大変なのに、俺の指示に従って勝敗もコントロールしなければいけないというのはかなり頭を使うだろう。
しかし、慣れてくれば上段、中段、下段は意識しなくても使い分けが容易になるはずだ。
その後は、じゃんけんのレベルを上げて、相“手”を変えていく。例えば、上段の右腕と、下段の左腕、中段の右腕と上段の左腕、下段の右腕と中段の左腕という感じで、じゃんけんする相手を変えながら第一段階と同じように結果をコントロールしていくのだ。
最終的には対人戦として、1対3で六本の腕を使い、俺、アイリス、ラティの三人とじゃんけんをさせて後出しで意図的に勝つ負けるを繰り返していく。最初はゆっくりでもいいが、最終的にはこちらが手を出したコンマ1秒後に手を返すのが理想だ。
そして、それらの手順を踏んで、初めて両手で技を扱う練習に移る。チャンピオンリーグでグリーンのカイリキーが四つの腕の全てを使って攻撃を仕掛けてきたのは記憶に新しいと思うが、あのカイリキーは自身の苦手なひこうタイプのトゲ様すらその腕を駆使した攻防で追い詰めていた。
阿修羅は通常のカイリキーよりもさらに二本腕が多い。もし、それを使いこなして戦えるようになれば、どれだけ強くなるか伸びしろは計り切れなかった。
とはいえ、いくらなんでもじゃんけんばかりしていては飽きる。それと並行して、基本的な戦い方や動き方も叩き込んでいく。
阿修羅だけではなくミジュマルやポカブもそうだが、ニューサトシのトレーニングは基本を徹底的に叩き込むスタイルなので、強くなっている実感があまりないかもしれない。が、小さなことをコツコツ繰り返していくことはとても大切なのでここを変えるつもりはなかった。辛いだろうが、これを乗り越えて大きく成長してほしいものだ。
原作との変化点。
・第3話『ミジュマル! メグロコ! 危機一髪!!』より、ミジュマルをゲットした。
原作と違ってラティに懐いており、ラティと一緒に居るためにニューサトシにアピールしてきた。圧を受けたことも有り、少しニューサトシを怖がっている。
・メグロコの言葉を理解してすぐに協力した。
ニューサトシだからこその早業。また、アイリスはチャンピオンリーグを見ているのでちゃんとミュウツーのことも知っていた。
・第4話『バトルクラブ! 謎のポケモン現る!!』より、ニューサトシがポカブの扱いにブチ切れた。
ポカブのやせこけた酷い姿を見て暴走しかけた。また、その怒りに連動するようにピカ様がゼクロムのような青い雷を迸らせている。
・ロケット団が襲ってこなかった。
ニューサトシがブチ切れている波動を遠巻きに見て日が悪いと判断して今回は撤退を決意。
・ポカブをゲットした。
原作ではロケット団云々の事件をともに解決して仲間になるが、この世界では半ば保護する形になっている。
・イッシュ組も本格的なトレーニングを始めた。
ミジュマルは原作通りにホタチを使って遠距離攻撃を防ぐなど才能を見せている。お調子者だがセンスがあるという感じ。ポカブは突出した能力はないが、地道に努力が出来るいい子で、言われたことを忠実にやるタイプ。
・アイリスもニューサトシのトレーニングを参考にした。
チャンピオンリーグトレーナーのトレーニングが参考にならないはずがなく、キバゴが原作よりも少し成長が早くなっている。
・阿修羅の両手じゃんけん。
ニューサトシが右左右と言えば、上段の腕で右がじゃんけんに勝ち、中段の腕で左がじゃんけんに勝ち、下段の腕で右がじゃんけんに勝たないといけない。その都度、勝つ手が変わるのでかなり頭を使う。
・ニューサトシは厳しいがバトルに真摯なだけだとミジュマルも気づいた。
ポカブのことを心配したり阿修羅の訓練を手伝ったりしているのを見て、求めてくるハードルは高いが、それを乗り越える努力を一緒にしてくれるということに気付くと少し恐怖心も和らいでいる。が、基本ビビっているため、素直に指示を聞く。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.66
ピジョット Lv.61
バタフリー Lv.61
ドサイドン Lv.64
フシギバナ Lv.61
リザードン Lv.66
カメックス Lv.61
キングラー Lv.61
カモネギ Lv.61
エビワラー Lv.61
ゲンガー Lv.63
コノヨザル Lv.61
イーブイ Lv.61
ベトベトン Lv.61
ジバコイル Lv.61
ケンタロス Lv.61
ヤドラン Lv.61
ハッサム Lv.61
トゲキッス Lv.61
プテラ Lv.61
ラプラス Lv.61
ミュウツー Lv.76
バリヤード Lv.61
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.60
カビゴン Lv.61
ニョロトノ Lv.60
ヘラクロス Lv.60
メガニウム Lv.59
バクフーン(ヒスイの姿) Lv.59
ラティアス Lv.56
ヘルガー Lv.58
ワニノコ Lv.58
ヨルノズク(色違い) Lv.57
カイロス(部分色違い) Lv.57
ウソッキー Lv.58
バンギラス Lv.62
ドンファン Lv.58
ギャラドス(色違い) Lv.58
ミロカロス Lv.53
ラグラージ Lv.53
オオスバメ Lv.53
ジュカイン Lv.53
ヘイガニ Lv.53
フライゴン Lv.58
コータス Lv.51
サーナイト(色違い) Lv.46
オニゴーリ Lv.51
ワカシャモ Lv.50
メタグロス(色違い) Lv.49
エテボース Lv.47
ムクホーク Lv.46
ハヤシガメ Lv.46
ブイゼル Lv.47
ムウマージ Lv.50
カバルドン LV.45
ミカルゲ Lv.57
グライオン Lv.44
ロトム Lv.46
ユキノオー Lv.42
フカマル Lv.36→37
ゾロア(ヒスイの姿) Lv.1→3
タツベイ Lv.33→35
カイリキー(変異体) Lv.30→32
ミジュマル Lv.5→8 NEW!
ポカブ Lv.5→8 NEW!