ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

29 / 308
#029 『心が弱くてすまない』

 11歳 λ月ζ日 『強者の壁』

 

 結局、昨日は再戦という空気でもなくなってしまい、シバも「いつかまた、お前と再戦できる日を楽しみにしている」と言って、ミヤザキ山を去っていった。

 だが、格上の相手と戦ったことで、俺達も次のステージに進むことが出来た気がする。特に直に戦ったエビワラーは自分に足りないものが明確にわかったようで、今までのカウンターを一から見直しているようだった。

 

 実際、完成形だと思っていた高速見切りカウンターきあパンだが、こちらよりも技術がある相手には全く効かないという弱点が発覚している。

 あんな芸当が出来るのは四天王クラスくらいだろうが、もしリーグ優勝して、チャンピオンリーグを勝ち抜けばその四天王と戦うことになるのだ。今のうちに対策を練っておかないと命取りになるだろう。

 

 問題として浮き出たのは、こちらから攻める手段がきあパンしかないことだ。他は全て、自身へのバフか、相手の動きを待つ技しかない。

 昨日のように、高速見切りカウンターきあパンが凌がれた場合、もうこちらに出来ることが何もなくなるというのは負けも同義だった。

 

 とはいえ、カウンターを捨てるつもりはない。

 今からインファイターに転向したって、撃たれ弱さが直る訳ではないし、そもそも殴り合いは俺のエビワラーの戦い方ではなかった。

 必要なのは技スロットだ。今は全てのスロットをカウンターに振り切っているから他のことが出来ない。ならば、技スロットを一つ減らして攻撃手段を作る。その上で、カウンターの威力を下げないようにすれば、俺達は今よりも上に行けるということだ。

 

 俺達が作った高速見切りカウンターきあパンは、四つの工程が必要な技である。

 一つ目は、『こうそくいどう』による速度の強化。これは、エビワラーの素早さ種族値が高くないのもあって、攻撃を避けたりやパンチの速度を上げたりするために必須の技だ。

 二つ目は、『みきり』で、相手の攻撃を確実にかわせる状態を作ること。これがあるから、どんな攻撃にも必ず『カウンター』を合わせにいくことが出来ている。

 三つ目は、『カウンター』による相手への迎撃。これは俺達の攻撃の要にもなっているので、これがないとそもそも技が必殺技になり得ない。

 四つ目は、『きあいパンチ』による威力の強化。特性、『てつのこぶし』による威力270のパワーがあってこそ、相手を一撃で倒すことが出来ているのだ。

 

 この四つの組み合わせこそがベストだと思っていたが、シバのエビワラーの技術を見て考えが変わった。『みきり』を外しても技を成功させることが出来れば、技スロットを一つ別の技に使用することが出来ると思ったのだ。

 

 勿論、口にするほど簡単ではない。今まで絶対に避けられていたものが避けられなくなる以上、失敗すれば自滅も有り得るだろう。

 だが、その危険を冒してでも、上を目指さなければ俺達はこれ以上強くなれない。

 

 エビワラーも、もう覚悟を決めているのだろう。

 今はオコリザルに頼んで、『インファイト』に『みきり』なしで高速見切りカウンターきあパンを合わせようとしていた。いや、高速カウンターきあパンか。

 前から思っていたが、技の名前が長いので、これからは超カウンターと呼ぼう。

 

 

 

 11歳 λ月ι日 『みずタイプの呪い』

 

 クラブの元気がない。元気がないのをごまかすように技を覚えているのが余計に痛々しく見える。

 だが、ピカ様がまだ習得できていない『かわらわり』を速攻で覚えてしまう辺り、やはりこいつは天才のようだ。決してピカ様も呑み込みが悪い訳ではないのだが、クラブの天才ぶりは異常である。逆にピカ様が落ち込んでいた。

 

 しかし、ゼニガメや今は進化したヤドランもそうだが、レベルは十分なはずなのに何故進化しないのだろうか。

 ピカ様やフシギダネのように進化を拒絶しているなら話は別だが、進化の兆候すら来ないのは流石におかしい。

 

 ワタルの言った相性のせいか? だが、進化にまで影響するのはぶっちゃけ困る。今までは何だかんだスルーしていたが、そろそろ本格的にこの呪いを解く手段を探す必要があるかもしれないな。

 

 

 

 11歳 λ月μ日 『激突 超古代ポケモン』

 

 タケシやカスミさんと山にトレーニングに来ていたら、知らないうちに古代ポケモニア文明とやらの巨大ポケモンが現れた。

 大きさはダイマックスポケモンばりの大きさで、良くわからないマークをつけたゲンガーとフーディンが戦っている。

 何かアニメで見た記憶があるようなないような。まぁ、こういうとんでもイベントは大体ロケット団が原因だろう。

 

 と、言う訳でロケット団を探してみたのだが姿が見つからない。いつもは探すまでもなく近くにいるのに使えない奴らである。

 

 うーむ、どうするか。どこからか現れた研究員さんがいうには、この二体が古代ポケモニア文明を一晩で滅ぼしたようで放置するとヤバいらしい。

 困っていると、脳内にミュウツーのテレパシーが聞こえてきた。どうやらこの二体の力に興味があるようで戦ってくれるらしい。

 そりゃ有難いと、早速ミュウツーを出して自由に戦って貰う。これはトレーナー戦じゃないし、ミュウツーも下手に命令されるより、自分で動いた方が戦いやすいだろう。

 

 ミュウツーに気付いた巨大ゲンガーと巨大フーディンが、攻撃対象を変更してくる。しかし、ミュウツーは『ひかりのかべ』を何重にも重ねがけし、その攻撃を防いでいた。

 お前それ、バリヤードがやってたやつじゃね?

 

『よいものを取り入れて損はあるまい』

 

 さいですか。とはいえ、流石はミュウツーである。

 巨大ポケモン達の攻撃は、その体に比例してとても強いのだが、まるで相手になっていない。途中から二体もミュウツーのやばさに気付いたようで協力し始めたが、むしろようやく楽しくなってきたとばかりに、ミュウツーは巨大スプーンを作成して武器にし始めた。

 

 お前、それポケスペやん。

 

 結局、ミュウツーが無双する形で戦いは終わり、最後はミュウツーの超能力で巨大ポケモン達は再度封印された。どうやら久しぶりに暴れられて楽しかったのか、『いい運動になった』と言って、ご機嫌にボールの中に戻って行くミュウツーさん。よかったね。

 

 ミュウツーによって巨大ポケモン達が封印されると同時に、どこかに消えていたロケット団がいきなりこの場に現れた。やっぱり、お前達のしわざかよ。はた迷惑な奴らだな。

 聞けば、巨大ポケモンの封印を解いた瞬間、暗闇に囚われたらしい。だが、今回ばかりは命の危険を感じたのか、助かったとわかると「命あっての物種よー」と泣いて走って行った。まぁ、今回はミュウツーが楽しそうだったから許してやるか。

 

 

 

 11歳 λ月ο日 『ウサギとカメ』

 

 フシギダネが『ハードプラント』を完成させた。ポケモン図鑑の覚えている技一覧に技名が表示されたので間違いない。

 リザードンは進化してすぐに覚えてしまったが、それに続く二体目――いや、進化前で覚えたのは初なので、実質最初の一体目になった。

 

 これに焦ったのはゼニガメである。ゼニガメはフシギダネが挫折している間も、『ハイドロカノン』の練習を毎日続けていた。それでもフシギダネの方が早かったのだ。

 そもそも、本来なら覚えて良いはずの『ハイドロポンプ』すらまだ覚えていない。

 遂に自信をなくしてしまったのか、進化できなくて悩んでいるクラブと共に暗い顔をするようになってしまった。

 

 やべぇ、俺のみずタイプの元気がどんどん無くなっていく。

 

 

 

 11歳 λ月π日 『助けてスミえもん!!』

 

 みずタイプのトレーナーであるカスミさんにゼニガメやクラブのことを相談してみた。

 珍しく弱気な俺にカスミさんも最初はからかってきたのだが、俺が真面目に悩んでいるのがわかると、「私に預けてみる?」と言ってくれた。

 ぶっちゃけ、それも有りかと思った。

 ただ、これでカスミさんに預けて結果が出てしまったら、もう俺はみずタイプのポケモンを捕まえたくなくなってしまいそうだったので、今回は遠慮させて貰うことにした。

 

 心が弱くてすまない。

 

 

 

 11歳 λ月σ日 『助けてシゲえもん!!』

 

 珍しくシゲルがオーキド研究所に来たので、ゼニガメやクラブのことを相談してみた。

 聞けば、シゲルもクラブを持っていると言うことだったので、ゼニガメにカメックスを、クラブにクラブを会わせて様子を見てみることにした。

 結果、ゼニガメは『ハイドロポンプ』を覚え、クラブは何故か自信を取り戻していた。代わりにシゲルのカメックスが怪我をしていて、クラブが何やらショックを受けていた。

 

 一体、何があったんだ?

 

 

 

 11歳 λ月φ日 『お前は俺を怒らせた』

 

 もう10日もしないうちにポケモンリーグが始まるので、そろそろ旅に出ることにしたのだが、道中でサイゾウと名乗る不届き者がバッジを全部賭けてのバトルを仕掛けてきた。

 あまりにもこちらを挑発してくるので仕方なく勝負を受けてやったのだが、口ほどにもないというのはまさにこいつのことである。自慢げに出してきたガラガラをカモネギの『リーフブレード』で瞬殺してやった。

 ガラガラが一番強いポケモンなので降参すると言ってきたのだが、そんなの認める訳がない。残りのポケモンも全て瞬殺して、耳揃えてバッジを出すように要求する。

 

 すると、バッジを持っていないと言うでは無いか。

 

 あれだけこちらを馬鹿にした上、元手ゼロでこちらのバッジを奪おうとしただと?

 そんなの許せるはずがない。マサラ式肉体言語術で、二度と悪さが出来ないようにボコボコにしてやった。

 

 顔を腫らしたサイゾウが、謝りながら「バッジは喋るニャースに奪われたのでござる」と話しているが、そんなもの簡単に盗まれる方が悪い。

 喋るニャースといえばロケット団の仕業だろうが、それだけのヒントがあるなら、まずは自分のバッジを取り返しに行くべきだったのだ。

 にも関わらず、こいつは他のトレーナーからバッジを取ろうとした。そんなの、やっていることはロケット団と大差ないじゃないか。悪いが、そんな悪党にかける情けはなかった。

 

「仮にバッジがあったとしても、お前のレベルじゃ一回戦負けだよ」

 

 戦う前にこいつが俺に吐き捨てた言葉をそのまま返し、セキエイ高原に向かって歩き出す。

 カスミさんが「ちょっと言い過ぎじゃない?」と言っていたが、こういう輩は甘やかすと調子にしか乗らないのでこれでいいのだ。

 しかし、あまりに可哀想だと思ったのか、タケシがロケット団の情報をサイゾウに伝えている。

 少し甘いと思ったが、哀れなのもまた事実か。

 これでポケモンリーグに出て来られないようなら、こいつにはその実力が無かったというだけの話だ。

 

 

 




 原作との変化点。

・エビワラーが高速見切りカウンターきあパンの改良を始めた。
 正直、高速見切りカウンターきあパンという名前はかなりお気に入りだったのだが、技スロットを全て使うのは諸刃の剣過ぎたので改良し始めた。ポケモンリーグまでに間に合うかはわからない。

・第72話『激突!超古代ポケモン』より、調査団と出会わなかった。
 いきなりでかいゲンガーとフーディンが現れて驚いた。ミュウツーが二体を成敗してしまったので、巨大プリンさんの出番はなくなってしまった。

・フシギダネが究極技を完成させた。
 習ってから半年くらいかかった。ゼニガメはまだ完成度八割。

・水ポケモン達の元気がなくなっていった。
 クラブとゼニガメがしょんぼりしている。シゲルのおかげで元気を取り戻した。何が起こったかは不明。

・第73話『ガラガラのホネこんぼう』より、サイゾウを見放した。
 アニメでは何故か協力したサトシ君だが、ニューサトシは普通に見放した。素直に助けてくれと頼めば助けたが、こちらを挑発した上に他人のバッジを元手ゼロで奪おうとした人間にかける情けは無かった。こいつがポケモンリーグに出られるかはロケット団次第である。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.50→51

 ピジョット Lv.45→46

 バタフリー Lv.44→45

 ドサイドン Lv.50→51

 フシギダネ Lv.47→48

 リザードン Lv.51→52

 ゼニガメ  Lv.47→48

 クラブ   Lv.44→45

 カモネギ  Lv.44→45

 エビワラー Lv.47

 ゲンガー  Lv.49

 オコリザル Lv.45→46

 イーブイ  Lv.36→40

 ベトベトン Lv.42→43

 ジバコイル Lv.44→45

 ケンタロス Lv.43→44

 ヤドラン  Lv.43→44

 ストライク Lv.43→44

 トゲピー  Lv.6→8

 プテラ   Lv.43→44

 ラプラス  Lv.42→43

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.41→42


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。