ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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♯271 『ま、殴るけどな』

 14歳 ε月η日 『ゼクロムの雷』

 

 いつぞやのメグロコがまた勝負を仕掛けてきた――のだが、バトルの最中に妨害が入り、野生のコアルヒーによってメグロコのサングラスが奪われてしまう事件が発生した。

 サングラスを奪われると弱気になるという意外と恥ずかしがりやなメグロコと一時休戦し、共にコアルヒーを追うことにしたのだが、途中コアルヒーがこちらに投げてきた『でんきだま』によってピカ様の電気エネルギーが暴走するという事態が起こってしまう。

 

 結果、コアルヒーは撃退できたのだが、これまで体中に溜め込んでいた電気エネルギーを制御できずにピカ様が暴走して近寄れなくなってしまった。それこそ、ゼクロムの使っていた青い稲妻と同系統の強力な雷がそこいら中に迸っている。

 

 流石のニューサトシも、これは波動で防御しても大ダメージを覚悟せざるを得ないか――と、思っていると、サングラスを取り戻して強気に戻ったメグロコはワルビルへと進化を果たした。そのまま、じめんタイプだからこそのでんき無効を使ってピカ様の近くに寄りつつ、新技の『ストーンエッジ』でピカ様に一撃を与えていく。

 

 しかし、エッジと電撃がぶつかった爆発で、ワルビルも吹き飛ばされてしまい、またゲットはお預けに終わってしまった。

 

 だが、エッジの一撃を受けて正気に戻ったピカ様は、ようやくこれまでの封印状態から脱却して再びでんき技が使えるようになったようで、気分良く頬をスパークさせている。

 また、ゼクロムの青い稲妻の感覚もこれまでの瞑想によって掴んだらしく、電撃の威力が一段成長するというおまけまでついてきた。ワルビルがゲットできなかったのは残念だが、ピカ様の成長が得られたのならお釣りがくる結果である。

 

 

 追記、ピカ様が再び電撃を使えるようになったことで、ゾロアが泣くという事態になった。しかし、弟分のズルッグが姉のゾロアを守る――と、ピカ様の前に立ったことで、ゾロアも頑張って泣くのを我慢している。いい姉弟関係が出来ていて何よりだが、当のピカ様はゾロアやズルッグに嫌われて泣きそうになっていた。

 

 

 

 14歳 ε月θ日 『ま、殴るけどな』

 

 改めて、ピカ様の青い稲妻(名称未定)について少し調べてみたのだが、どうやらあの青い稲妻(ゼクロムの『らいげき』のようなもの)は今までのでんき技と電気の種類が違うが、技としては全くの別モノという訳ではないようだった。

 

 例えば、『10まんボルト』であの青い稲妻を再現する場合、通常よりもPPを多く使うことで性質を変化させている――つまり、バリヤードの『ひかりのかべ』や『リフレクター』と同じような理屈で火力を上げているらしい。

 

 そのため、バトルにおいても同じ『10まんボルト』であっても、通常の『10まんボルト(威力90、命中100)』と高威力の青い『10まんボルト(威力120、命中95)』で使い分けが出来る――ということだった。

 

 とはいえ、PPを多く消耗する以上、これまでよりも技の管理はシビアになってくるが、まさかZ技以外でピカ様の火力を底上げできる機会が来るとは思わず、これに関してはゼクロム君に感謝してもいいかもしれない。まぁ、今度会ったら殴るのは変わらないのだが。

 

 

 

 14歳 ε月ι日 『置いて行かれた』

 

 ヒウンジムに向かうため、スカイアローブリッジを渡ろうとすると、突如として野生のゴチルゼルが襲い掛かってきた。

 技の『とおせんぼう』を使ってこちらの通行を封じてくるので、事情を聞こうとしたのだが――いきなり霧に包まれたかと思えば、気が付くと俺以外が全員眠ってしまっている。

 見れば、俺達以外にも女性が一人倒れていた。

多分、ゴチルゼルによって眠らされて精神を支配されてしまっているのだろうが、こういう時、ニューサトシはオートで精神防御するから置いていかれがちなんだよなぁ。

 

 単純なイタズラという感じではなさそうだし、下手にゴチルゼルに攻撃を仕掛けるのも――と、頭を悩ませていると、いつの間にかデント達も目を覚まし、知らない女性がゴチルゼルと微笑みを交わしていた。

 

 なんか、デントやアイリス、ラティまでもが訳知り顔だが、俺だけは事情についていけずにとりあえず頷くだけに終わっている。

 ちなみに、女性はサリィさんというようで、あのゴチルゼルとは昔からの知り合いということらしい。うーむ、説明されてもサッパリわからんな!

 

 

 

 14歳 ε月κ日 『フシデの群れがやってきた!』

 

 ヒウンシティに着いたので早速ガチ戦を申し込み行ったのだが、ジムリーダーのアーティが昨夜からむしポケモンが何かを感じている――と、言って、原因がわかるまでガチ戦を待ってほしいと頼まれた。

 ニューサトシの経験上、こういう時は大体何か大きな事件が起きるので、素直に延期を受け入れて、逆に一緒に原因を調べることにしている。

 

 街の中を調べていると、マンホールの下でピカ様が何かを感じたらしいので降りてみると、土管に挟まって動けなくなっていたフシデを見つけた。

 

 フシデも人懐っこい性格をしているようですぐに仲良くなったのだが、しばらくするとフシデの群れが街に押し寄せて街中が大パニックになっている。

 どうも、人間に対して怒りを見せているようだが理由がわからない。ニューサトシお得意のボディランゲージも、相手が受ける意思を見せないと成立しないので、そういう意味では通訳としてロケット団のニャースが欲しい所だった。最近、またあいつら見ないけど。

 

 とはいえ、ないもの強請りをしている場合ではなかった。街のトレーナー達も、ほのおポケモンで強制的にフシデを駆除しようとしているし、このままでは本格的な戦争になりかねない。

 おまけに、トレーナーの中には、あのシュールストレミング君もいるようで、どや顔でランプラーにフシデを攻撃させていたので止めに入る。どうも、シュールストレミング君は、フシデ側の事情を無視して攻撃されたという結果だけで反撃をしていたようだった。

 

 あまりに視野が狭すぎる。

 

 大局的な思考が出来るようにならないと、トレーナーとしては三流だぞ――と、窘めると、憤慨して襲い掛かってきたので、でんき技が解禁されたピカ様で制圧する。

 放置しておいても面倒なので、しばらく余計なことをしないように連れ歩くことにした。

 ジムリーダーのアーティも、力で強引に解決するという手段は美しくないと言って拒否しており、群れを一旦セントラルパークへと移して原因を解明すると言って街の人達を落ち着かせている。

 

 勿論、俺達も協力することにした。

 

 どうやら、助けたフシデも手を貸してくれると言うことで、群れのボスを説得してくれている。また、ジョーイさんのタブンネの『いやしのはどう』によって、フシデ達の怒りも一時的に収まり、アーティが虫笛でフシデ達をセントラルパークへと誘導していた。

 

 しかし、流石に虫笛だけで全てのフシデを誘導するのは難しいので、俺達も避難誘導を手伝っていく。ずっと様子を見ていたシュールストレミング君も、素直に避難誘導を手伝っており、どうやら少しは大局を見る目を養えたようだった。

 

 その後、街にやってきたアララギ博士によると、原因はリゾートデザートに発生した謎のエネルギーということで、今から警察のヘリで現場の様子を見に行くらしい。

 俺達も、このまま黙ってみているのは嫌だったので、現地に連れて行って欲しいと頼み込んだ。

 また、助けたフシデも一緒に行きたいと訴えてきたので、改めてフシデをゲットして仲間に加えている。代わりに、コモルーをオーキド研究所に送ることになったが、思えばむしタイプのポケモンを連続で捕まえるのは初めてのことかもしれないな。

 

 

 

 14歳 ε月λ日 『妙な岩』

 

 ジュンサーの操縦する警察のヘリに乗り、アララギ博士と共に砂漠を横断していく。

 正直、朝日がかなり目に染みた。フシデ達を誘導した足でそのままヘリに乗り込んだため完全に徹夜の状態だが、こういう時若い体というのはまだ無理がきいてくれて助かる。

 とはいえ、徹夜なのはみんな一緒だ。アララギやジュンサーも、徹夜での行動は辛いだろうに――と、思っていると、当のジュンサーが「みんな、あれを見て!」と、遠くの方に見憶えのない採掘現場があることに気付いて声を上げた。

 

「こんな砂漠で何かの採掘……? そんな話は学会でも聞いていないけど……」

 

 アララギ博士が首を傾げる。しかし、怪しいものは感じるようで、すぐに手持ちの携帯端末で何やら情報を調べ始めた。

 

 そんな中、子供特有の直接的な意見として、デントが「もしかして、フシデが逃げてきた原因はあれじゃないですか!?」と言い始める。

 アイリスもまた「有り得るかも」と、同調するように頷いていた。ラティも事情をよくわかっていないままに「ありえるかも」と、アイリスに同調している。実際、何か関係があるのは間違いないだろう。流石にこの状況で何の関係もないとはとても思えなかった。

 

 見知らぬ採掘現場など、いかにも物語の導入っぽくて原作のイベントという感じがするしな。

 

「どうだ、フシデ?」

 

 ヒウンシティを出る際に仲間になったフシデに声をかけた。すると、ニューサトシの腕の中にいるフシデもまたその通りだと言わんばかりに強く首を縦に振っている。

 また、アララギの携帯端末に表示されているデータから見ても、エネルギーの発生ポイントは、まさにあそこで間違いなさそうだった。ニューサトシもその方向に向けて目を閉じて意識を集中させる――確かに、とてつもないエネルギーの波動を感じた。

 

「どうしたの、サトシ? 目なんか閉じちゃって」

「……寝てねーから眠いんだよ。むしろ、お前らは夜通しで動いて良く眠くならねーな」

「何言ってるの? そりゃずっと起きてるから眠いは眠いけど、今はそんなこと言ってる場合じゃないじゃん」

「サトシだって、いつもなら眠気なんて気合でどうにかするじゃないか」

「まぁな」

 

 先程も言ったが、夜通しフシデ達を誘導していたので、完全に徹夜でリゾートデザートに行くことになってしまった。

 本来ならラティももう限界が来るはずなのだが、今は眠気よりも興奮が勝るようでふんすふんすと鼻を鳴らしている。ちなみに、ゾロアは限界を迎えて先にモンスターボールの中ですやすやと夢を見ていた。

 

 そんな中、ジュンサーが双眼鏡のようなもので採掘現場の状況を見ようと視線を合わせると「あれは、ロケット団!?」と、驚きの声を上げる。

 その名を聞いて、俺達も運転席側に身を寄せて、前方に視線を集中させていく。

 ニューサトシのマサラアイならば、双眼鏡など無くても遠方の状況を確認できた。いつものムサシ・コジロウ・ニャースの姿は見えないが、確かに数人の団員がウロウロしており、団員達の胸元には『R』マークが見える。

 

 どうもリゾートデザートではロケット団(野良団員)が何か採掘のようなことをしているようだった。

 

 しかし、いつものムサシ・コジロウ・ニャースではなく、野良のロケット団が縄張りではないイッシュで大きく活動しているということは、この場に首領であるサカキがいる可能性がある。居ないのが一番いいが、こういう時の勘は割と良く当たるんだよなぁ。

 

 奴とはホウエンのバトルで決着を付けて俺達やミュウツーに関する記憶を消し去ってある。だが、記憶操作も絶対ではないので、何かの拍子に思い出してもおかしくなかった。

 

 手持ちもレベリングメンバーだし、相手がサカキだとすると出来れば会いたくないのだが――と、考えていると、『私が居れば問題ないだろう』と、マスターボール内に眠る切り札の存在がこちらの不安を解消させてくれる。そうだな、お前が居れば何とかなるか。

 

「確かにロケット団っぽいが……メンツを見る限り、大部隊って感じじゃない。戦いを仕掛けに来たというより、何かを探してるって感じだな。先に増援を呼んで一気に叩いた方がいいと思うが……?」

「そうね、その通りだわ……流石は各地方で活躍しているポケモン泥棒退治のスペシャリストね。指摘が的確で助かるわ」

 

 ――と、言いながらジュンサーが本部へ連絡するために無線機を取り上げた瞬間、ロケット団の発掘現場から何やら妙な波動が熱波のように流れてきた。

 

 アララギ博士曰く、この波動こそがフシデ達を苦しめていたエネルギーらしい。砂漠を走る地脈が一瞬光ってエネルギーが波紋のように広がる感じだ。

 アララギ博士の端末でもエネルギー反応のゲージが振り切れていた。フシデもまた、怖がるかのように身を震わせている。俺の感覚で言うと、何というか、そこそこ熱い温風が肌を撫でるような嫌な感じだ。そりゃポケモン達も逃げ出すわ。

 

 と、思っていると、別方向から何やら嫌な気配を感じた。同時に、ピカ様も危険を訴えるように声を上げる。

 

「ピカピ!」

「――後ろだ!」

 

 俺とピカ様がすぐに注意喚起の声を出すが、ジュンサーがその声に反応する前に、鉱脈の方とは別の方向――地上から放たれたであろう何かが、警察ヘリのテールローターに命中して機体が破壊された。

 

「「「「うわあああぁっ!?」」」」

「ちぃっ!」

「ついらくした!」

「不時着するわ!」

 

 衝撃を受け、機内にアラートが鳴り響く。俺が何とか背後の敵を確認しようとする中、他の全員が咄嗟に体を支えた。同時に、念のためにフシデをボールの中に戻しておく。

 

 ジュンサーもまた何とか墜落を逃れようと必死にヘリを操縦してバランスを整えていた。

 どうやら、ロケット団のいる場所とはまた別の場所から攻撃を受けたようで、飛べなくなったヘリが何とか着陸しようとしている。

 ラティはしきりに「ついらくした!」と騒いでいるが、落ちてはいない。「不時着だ」と教えると、「ふじちゃっくした!」と笑っていた。どうも、長い言葉はまだ駄目だな。

 

 最終的にヘリが不時着したのは、ロケット団が採掘をしている場所から少し外れた岩場だった。

 

 ジュンサーが本部に救助要請をする中、アララギ博士が付近を調べているが、どうも野生ポケモンがいない。

 あの妙な波動の影響で、この辺り一帯のポケモンはみんな逃げてしまったようだった――と、思っていると、またもその波動が砂漠一帯に広がっていく。

 

「……さっきからうぜぇな。こっちの波動を逆なでするみたいで気分が悪い。もうさっさと行ってロケット団を殲滅してやった方が早いか?」

「たたかう?」

「その択も有りだ」

「わぁお、随分と過激ね」

「でも、手持ちは育成用のポケモンだけだろう? いくらベストに戻ったとはいえ、ピカチュウだけじゃ戦力が足りないんじゃないか?」

「問題ない。切り札はある」

 

 そう言って、俺がマスターボールを見せるとデントも「OK」と黙って頷いていた。

 

 否定意見は無しということで、このまま一気に突入――しようとした瞬間、アララギ博士とジュンサーが謎の落とし穴に落ちるというアクシデントを起こした。

 

 何で砂漠に落とし穴があるんだよと思わずツッコミを入れたが、よく見てみると落とし穴ってレベルの深さではなかった。それこそ、地下空洞とでもいうべき広さがある。

 穴を見て、ラティが「たんけん?」と言っているが、こういう時は大体地下に遺跡のようなものがあると相場が決まっていた。そのため、探検の流れになると思ったのだろう。

 

 とはいえ、今は流石に遊んでいる場合ではなかった。どうやら二人も無事のようなので助けようとすると、再び例の波動が砂漠を走り、地面に開いた穴が広がっていく。

 どうやら、ここに開いた穴はこの波動が原因の可能性があった。それに気づいたアララギ博士やジュンサーが、自分達を助ける最中に二次被害が起きる可能性があるので、ロケット団の方を調査して来てほしいと言ってきたため素直に従ってこの場を離れる。

 

 ジュンサーも本部に救助要請したようだし、あれだけの大きさの空洞があれば、すぐに生き埋めになることもないだろう。

 正直な話をすれば、ミュウツーか黒いサーナイトに『テレポート』をお願いすれば、二人の救出にもそこまで時間をかけることはなかったのだが、大人がいると強硬手段を静止される可能性があったのでニューサトシも二人の申し出に頷いた形だった。

 

 と、いう訳で、抜き足差し足忍び足で、何とかロケット団の採掘現場まで走って行く。

 

 そのまま小高い丘のような形状になっている場所で、身を隠しながら採掘現場の様子を探る。

 ここまでは割と身を隠しながら順調にやってきたのだが、これ以上近づけば見つかりそうだった。一応、見送ってくれたアララギ博士とジュンサーから、くれぐれも見つからないようにと言われているので出来れば見つかりたくない。

 

「てれぽーとする?」

「いや……近距離でのピンポイント『テレポート』は、座標指定が的確じゃないと位置がずれかねない。特に、大人数だと制御も大変だし、場所を正確に目視できないこういう時に使う手段じゃない」

「うーん……見えなきゃいいんでしょ? ヤナップの『あなをほる』でいけないかな?」

「悪くないアイデアだが……」

「……でも、ヤナップだけじゃ、僕達全員が通るような大きな穴は難しいよ」

「だな。ヤナッキーなら行けただろうけど、ヤナップだけじゃ無理だ」

 

 今、デントも旅の間はレベリング用の個体しか連れていないので、戦力が足りないのだ。仮に穴を作れたとしても、一人だけではすぐに体力が尽きてしまうのは目に見えている。

 

 他に手はないか――と、また頭を悩ませていく。そんな中、ピカチュウの背中を誰かがつんつんと突いてきた。

 振り返ると、そこにはサングラスのワルビルが立っており、こちらも遅れてワルビルの存在に気づく。まさか、こんな所で再会するとは! と、驚くと、ワルビルは俺達の驚いた顔を見てニヤリと笑みを浮かべた。

 

「まさか、手伝ってくれるのか?」

 

 と、聞くと、ワルビルは返事をせずにサングラスをキラン――と、輝かせて地面を掘り始める。

 これならいけると、デントもまたヤナップを出して『あなをほる』を指示していた。二人の後ろを追うように、地面の中を進んでいく。ワルビルが来てくれて本当に助かった。

 

 改めてお礼を言うと、気にするなとニヒルに笑っている。くぅ、やっぱゲットしたいぜ。

 

 とはいえ、善意で助けてくれているワルビルを後ろからゲットするなんて汚い真似は出来ない。今はゲットしたい気持ちを抑えて、穴を掘る二体を応援していた。

 しばらく穴を掘り進めていくと、固い壁に当たったようで上に出る。どうやらロケット団の特殊ヘリの真下に出たようで、地上に顔だけ出したアイリスが「ぷはーっ、やっと出られた!」と、大きな声を出したので慌てて口を塞いでいく。

 

「馬鹿野郎かお前は! 何のために、ここまで潜入したと思ってんだよ。見つかっていいなら最初から強行突破してるわ!」

 

 と、小声で怒ると、アイリスも「ご、ごめんごめん……」と小声で謝罪した。そんな中、デントが上の機体を見ながら「さっき見た大型ヘリだ」と、今居る場所を把握する。近くにはもう一機ヘリがあった。

 

「あな、あっち!」

 

 そう、ラティが採掘現場の方に顔を向ける。しかし、そちらの方には見張りと思われるロケット団員の足が見えた。

 

「でも、見張りがいるよ?」

「やっぱ強行突破するか?」

「でも、派手に暴れると地下にいるロケット団達が別ルートで逃げる可能性はないかな?」

 

 改めて、まだ採掘場までは少しばかり距離がある。だが、デントの言う通り、騒ぎを起こせばロケット団達が別ルートで逃げる可能性はあった。特にいつものロケット団もイッシュからはやなかんじーしなくなったので、別ルートの択は十分に考えられる。

 

 それに、あのエネルギーの正体もわかっていない今、下手に逃げられるのは他の面倒に繋がりかねない。やはり、アララギ博士達の忠告通り、暴れるにしても気付かれないようにする必要があった。

 

 事は慎重に、尚且つ大胆に――と、思っていると、ここでもワルビルが任せろと言わんばかりに前へと出ていく。

 そのまま、見張りのロケット団野良団員Aの足に噛み付いて注意を惹きつけてくれた。

 Aの悲鳴を聞いて、Bもやってくる。その隙を突いて、何とか採掘場に駆けこもうとしたのだが、まさかのCが居たようで挟まれそうになってしまう。

 

 こうなれば戦うしかないと構えると、ラティが「こっち!」と、特殊ヘリを指さしたので、咄嗟に開いていた昇降ハッチを駆け上がり、特殊ヘリ内部に入り込んだ。

 

 しかし、俺達が隠れると同時にハッチが閉まって出られなくなってしまう。まさか、俺達が入ったのを見て――と、思ったが、その割には一向に追撃が来なかった。

 とはいえ、閉じ込められてしまったのは事実だ。

 どうするかと頭を悩ませていると、ヘリの足元部分が開いて、折りたたまれた巨大マニピュレーターがその手を伸ばしていく。しばらくすると、巨大マニピュレーターが何やら岩のようなものを掴んでヘリ内部に収納していた。

 

「なんだこれ、馬鹿みたいなエネルギーの塊だ。下手に刺激すると爆発しかねない……」

 

 波動を通じて、収容されたモノのエネルギーが嫌でも感じ取れる。これは、いつものようにただ破壊して終わり――とはいかなさそうだった。下手に刺激すると、その時点で爆弾のように爆発して大事件を起こしかねないレベルである。

 

「いわ!」

「そうね、一見はただ岩みたいだけど……」

「サトシがそう言うからには、ただの岩じゃないんだろうね……」

 

 どうやらこれがロケット団の狙っていたモノのようで、収容すると同時に岩に向けてコンテナ内部の上下左右からビームが照射され、光のゲージとなって包み込んだ。

 岩は光のケージ内で浮遊していた。

 ケージは、時折パチパチと、あちこちで火花が爆ぜるような現象が起きている。また、そのスパークと連動するように、今まで元気だったピカ様が急に具合悪そうに座り込んでしまった。

 

「ピカチュウ、大丈夫か!?」

 

 慌ててピカ様に声をかけるが、頬からは電気が漏電しており、目の前の岩に反応するかのようにバチバチ音がしている。

 心配して抱き上げるも、弱々しく鳴くだけだった。前に果物を丸呑みして窒息仕掛けた時よりも元気がない。波動での回復を試みたが、変わらず具合悪そうなままぐったりしている。あの岩が収納されてから、ピカ様の頬袋もまた同調するかのように放電していた。

 

「なんかおっかないよ、これ!」

「強いエネルギーを発してる……ってことかな。このバリアみたいなもので抑え込んではいるけどね……」

「ばちばちしてる……ピカチュウ、へーき?」

「……いや、状態はかなり悪い」

 

 見た感じの素人判断だが、ピカ様の急な体調不良の元凶は、あの岩と見て間違いないだろう。

 あの岩の表面の火花とピカ様の漏電が完全にシンクロしているし、波動で体内を探ってみると、ピカ様の体内の波動がこいつのエネルギーでかき乱されているという感じだった。アイリスも同じように思ったようで、あの岩を睨みつけている。

 

「ピカチュウのこのバチバチも、これのせいなんじゃない?」

「確かに、可能性は高い。事実、ピカチュウの体内の波動が、こいつのエネルギーでかき乱されているって感じだ。俺の波動で元に戻そうとしても、すぐにまた波動が乱れる」

 

 どうするか――と、頭を悩ませていると、あの岩とピカ様の放電が何度も同じように弾け、突然光のケージを飛び出して外に伸びたスパークがピカ様にぶつかった。

 スパークを受けたピカ様は強力な衝撃波に見舞われ、俺の腕からも弾け飛んで天井に叩きつけられて反動で床に落ちる。

 ピカ様は、全身をバチバチ放電させつつ何とか立ち上がるが、やはり意識が朦朧としていた。また、全身が淡く発光し、あの岩のスパークに合わせて体が点滅している。

 

「ピ、ピカチュウ……大丈夫か……?」

「今の、何!?」

「ぴかぴかしてる!」

「ピカチュウの電気エネルギーと、この岩のエネルギーが同調した……ってことかな……?」

 

 未だにスパークを繰り返す岩を見ながらそうデントが推測すると同時に、ガコン――と、壁のドアロックが解除される音が聞こえる。

 慌てて物陰に身を隠した。時を同じくしてロケット団員と思われる男が一人入って来る。靴音が残響し、ゆっくりと部屋の中を見て回っていた。

 

 どうやら運が悪いことに、今の騒ぎでロケット団にも気付かれてしまったらしい。

 

 何とか見つからないように――と、息を潜めて隠れていたが、ピカ様の放電はまだ収まっていなかったようで、またもバチバチと音を立てて放電し始めてしまった。

 その音を聞いて、見回りに来たロケット団員も警戒したようにその場に止まって辺りを見渡している。このままでは見ってしまうのも時間の問題と言って良かった。

 

 強硬手段も視野に入れる――が、今この場は空中だ。仮にこのヘリを占拠できても、もう一機に狙われかねない。

 その場合、もし仮にこの岩を攻撃されたら、どうなってしまうかなど想像に容易かった。

 ミュウツーの力で上手く仲間達は守れても、これだけのエネルギーが爆発したらこのデザートリゾートと始めとして近隣の街にも被害が出るだろう。つまり今、この場での強硬手段は愚策ということだ。

 

 とはいえ、このまま隠れていてもいずれ見つかる――何より、苦しそうなピカ様には無理させられない。ここは、俺が囮として相手の気を引くのが一番と判断した。

 

「ピカチュウを頼む。俺が、あいつらをひきつける」

 

 アイリスにピカチュウを預け小声でそう言うと、ロケット団員の後ろに回り込んでわざと声をかけていく。

 

「あのー!」

「なんだあ、お前は!?」

「すみませーん。ぼくぅ、ポケモン探してうっかりここに入っちゃってー」

「うっかりぃ!?」

 

 場違いなほど明るく振舞うニューサトシにロケット団員の意識が向く中、デントやアイリスはピカ様やラティを連れて奥の方に隠れる。

 

「これ、なんですかー? ずっとバチバチ言ってて怖いんですけどー?」

「いいから来い!」

 

 注意は完全に引けたが、当然懇切丁寧に説明などしてくれるはずがなく、俺はロケット団員Aにどこかへと連れて行かれてしまう。

 どうやら、どこか倉庫のような場所に閉じ込められてしまったが、運よくこのヘリにはサカキを始めいつものロケット団もいないようでポケモン達を奪われることなく済んでいた。

 

 おいおい、こいつら本当に悪の組織かよ。捕まえた怪しい奴のポケモン没収しないとかマ?

 

 まぁ、とはいえ、相手が馬鹿なのはこちらとしても大助かりだ。後は出るタイミングを伺うだけなのだが、流石に徹夜でずっと動いていて眠くなってきたので少し昼寝(時間的には夜)をさせて貰うことにする。

 常に頭の一部は起こしてあるので、このまま寝すぎると言うことはまずあり得ない。後はタイミングを見て、ここから出ていくだけだった。と、いう訳で、隙が出来るまで軽くシェスタさせて頂こう。後半に続く!

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第20話『ピカチュウVS目黒VSコアルヒー!!』より、ピカ様が暴走した。
 原作ではパラソルだったが、この世界では何の因果かでんきだまをぶつけられて内部に溜まっていたエネルギーが暴走している。そのおかげで、ゼクロムの『らいげき』のような青い稲妻を身につけられた。
 
・青い10万ボルト。
 らいげきが威力130、命中85なので、少しマイルドにして威力120の命中95くらいに設定。PPを多く消費する他、発動に僅かなチャージが必要。

・第21話『スカイアローブリッジとゴチルゼル!』より、ニューサトシが置いていかれた。
 こういう精神に作用するような攻撃をオートで無効にするため、何が起きているのかニューサトシ視点では謎。基本的に内容は原作通りで、サトシ君ポジにラティがいる感じ。

・第22話『ヒウンシティ! フシデパニック!!』より、フシデをゲットした。
 あからさまに仲間になるフラグだったやん。仲間にしたよ。

・裏でロケット団も動き出した。
 原作通り、サカキが来ている。

・番外編(本来の第23話)『ロケット団VSプラズマ団!(前編)』より、地味に内容的にはそんなに変化がない。
 一個前にあげた原作小説(作者独自解釈有り)を見て貰えばわかるが、展開的には実はさほど違いがない。フシデが仲間になったり会話が微妙に違うくらい。いつもの殴って解決スタイルも、サカキの存在を警戒したりロケット団を逃がさないためだったりと状況に抑えられている。
 ちなみに、台詞有りのニューサトシバージョンも書いたけど、内容に恐ろしいほど変化がなかったからお蔵入りした。代わりに、台詞を水増ししている。

・ニューサトシがロケット団に掴まった時の会話(お蔵入りより抜粋)。
「似合わないキャラ演じてたね」、「確かに、子供……それも普通のトレーナーなら、相手も油断するだろうけど……確かに似合わなかったね」、「ぶりっこしてた」



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.66

 ピジョット Lv.61

 バタフリー Lv.61

 ドサイドン Lv.64

 フシギバナ Lv.61

 リザードン Lv.66

 カメックス Lv.61

 キングラー Lv.61

 カモネギ  Lv.61

 エビワラー Lv.61

 ゲンガー  Lv.63

 コノヨザル Lv.61

 イーブイ  Lv.61

 ベトベトン Lv.61

 ジバコイル Lv.61

 ケンタロス Lv.61

 ヤドラン  Lv.61

 ハッサム  Lv.61

 トゲキッス Lv.61

 プテラ   Lv.61

 ラプラス  Lv.61

 ミュウツー Lv.76

 バリヤード Lv.61

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.60

 カビゴン  Lv.61

 ニョロトノ Lv.60

 ヘラクロス Lv.60

 メガニウム Lv.60

 バクフーン(ヒスイの姿) Lv.60

 ラティアス Lv.56

 ヘルガー  Lv.59

 ワニノコ  Lv.59

 ヨルノズク(色違い) Lv.58

 カイロス(部分色違い) Lv.58

 ウソッキー Lv.59

 バンギラス Lv.62

 ドンファン Lv.59

 ギャラドス(色違い) Lv.59

 ミロカロス Lv.54

 ラグラージ Lv.54

 オオスバメ Lv.54

 ジュカイン Lv.54

 ヘイガニ  Lv.54

 フライゴン Lv.59

 コータス  Lv.52

 サーナイト(色違い) Lv.47

 オニゴーリ Lv.52

 ワカシャモ Lv.51

 メタグロス(色違い) Lv.50

 エテボース Lv.48

 ムクホーク Lv.48

 ドダイトス Lv.47

 ブイゼル  Lv.48

 ムウマージ Lv.50

 カバルドン LV.46

 ミカルゲ  Lv.57

 グライオン Lv.45

 ロトム   Lv.47

 ユキノオー Lv.43→44

 ガバイト  Lv.40

 ゾロア(ヒスイの姿) Lv.15→16

 コモルー  Lv.38

 カイリキー(変異体) Lv.37

 ミジュマル Lv.20→22

 ポカブ   Lv.20→22

 ツタージャ Lv.20→22

 ズルッグ  Lv.2→5

 クルミル  Lv.15→18

 フシデ   Lv.18 NEW!


 すみません、昨日の後書きにロケット団VSプラズマ団を8時に上げる旨を書くの忘れていました。
 今日の8持と明日の8時に更新された(る)のは、原作の台本を解読したアニメの小説です。今日の話でその話に入るので、事前に更新しました。お騒がせしました。

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