ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#003 『ポケモン 君に決められなかった』

 9歳 κ月ζ日 『どうやら俺には才能があるらしい』

 

 何だかんだ日記をつけ始めてから半年くらい経った。意外とまめな性格だったらしく、今の所日記は一日も欠かさず書くことが出来ている。

 

 同じくらい体も鍛えているのだが、最近はマサラ人としての片鱗が出てきたのか、我ながら子供とは思えないパワーを出す時があった。修行が順調に進んでいてとても楽しい。

 

 明日は旅に出る前だと最後のポケモンキャンプなのだが、あまりに長く研究所で手伝いをし過ぎたせいか、今回はオーキド博士に頼まれてキャンプを取り仕切る側での参戦となった。なんでや。

 

 

 

 9歳 κ月η日 『ワガハイ オマエ マルカジリ』

 

 キャンプ当日。

 オーキド博士に言われた仕事をこなしつつ、参加しているキッズ達を眺めていると、何故かシゲルもスタッフ側で参加していた。

 どうも前の釣り以降、シゲルも変わってしまったようで、アニメ後半のような大人なキャラになっている。一皮むけたというか、話していても苦じゃなくなった。

 

 何か原作ブレイクしたような気分になったが、そもそも俺がニューサトシになった以上、原作なんてないようなもんなんだし気にしないでいいだろう。

 

 キッズ達が遊び回る中、裏方としてせっせと仕事していると、キッズの一人が偉そうにポケモンについて講釈を垂れている。昔のシゲルみたいでむかつくわー。

 

 思わず、知識の暴力でフルボッコにすると、見ていたシゲルがトラウマを思い出したのか、こちらから距離を取っていた。逃げんなって。

 

 キッズも悔しさからぷるぷる震えていて、とても満足したのだが、「子供相手に何しとる!」とオーキド博士に怒られた。いや、博士、俺も子供やで。

 

「お前さんとシゲルは特別枠じゃ。全く、何のためにこっち側にしたと思っておる」

 

 どうやら日頃の言動から子供の輪に入れても浮くだけだと思われたらしく、主催側での参加はオーキド博士の気遣いだったらしい。

 

 それを聞いた周囲の子供達が驚いていたが、先程の知識を聞いて納得した部分もあるのか、尊敬の眼差しをこちらに向けている。さっきのキッズなど、「すげぇや、サトシ兄ちゃん!」と掌返したようにこちらにすり寄って来た。まぁ、慕われて悪い気はしない。サトシ君は一人っ子だし、弟や妹が出来た気分である。

 

 

 

 9歳 κ月ι日 『またやりやがった』

 

 シゲルが精神的に大人になってしまったので、結構話が合うようになった。

 やはり研究質な性格をしているのか、意外とポケモン談義に花が咲くのだ。そのせいで話すつもりのない事まで話してしまい、博士がまた学会に新しいレポートを提出していた。

 

 流石のシゲルもジト目で博士を見ており、こちらも同様に何も言わないがジッと博士を見つめる。すると、何故かよくわからないが、来年セキエイ高原で行われるレッド対ワタルの試合のチケットを貰えることになった。やったぜ。

 

「……前にワタルさんに会えたのはこういうことだったのか」

 

 

 

 10歳 μ月β日 『修行も大詰めである』

 

 雪が降る季節になって来た。もう三か月半ほどで旅に出ることになる。

 

 修行についてだが、基礎はもう完全に修めた。師範が、「明日からは奥義の伝授を始める」と言っていたので、そろそろマサラ式肉体言語術も極みの段階に入ってきたようだ。

 

 旅の準備は順調ということで、そろそろ俺の結論を出すことにした。

 

 俺はサトシだ。それは間違いない。だが、アニメシナリオとか気にしても仕方ないし、もうシゲルも原作と違うし、好き勝手にやることにした。良く考えれば、原作のサトシ君は二十年以上ポケモンリーグで勝てていないのだ。同じことしたって勝てる訳がない。

 

 むしろ、せっかく前世の知識があるのだ。それを有効に使うことを考えよう。

 俺はマサラタウンのサトシだが、ニューサトシなのだ。全部が全部アニメの通りにする必要はない。美味しい所だけ取って、いらない物は無視する。ポケモンも逃がさないし、しっかり厨ポケも使っていこう。

 

 

 

 10歳 β月φ日 『セキエイ高原 カントーチャンピオンリーグ』

 

 遂にチャンピオンとワタルの試合の日だ。博士は急用で来られなくなってしまったらしく、ママさんが代わりに保護者を務めてくれた。

 

 参加メンバーは、俺、シゲル、ナナミさん、ママさんの四名である。

 

 ナナミさんは今日の為にわざわざ帰って来たらしい。正直、コンテスト専みたいだし、バトルには興味ないと思っていたので意外だ。

 席もかなりいい席なようで、聞けばチケットも一枚15000円すると言っていた。

 

 パンフレットを見ると、チャンピオンもワタルも今の所無敗で来ていて、この試合の結果で新チャンピオンが決まるようだ。

 隣のシゲルにどっちが勝つと思うか聞いてみると、「心情的にはワタルさんに勝って欲しいけど、チャンピオンの強さは異次元だからな……」と言って頭を悩ませていた。

 

 そのまましばらく適当な話をしていると、急に会場が暗くなっていく。

 

 どうやら選手が入場してくるようで、派手な爆発と同時にワタルが七色の光に照らされながらフィールドに現れた。

 これには会場も大興奮。俺も大興奮。精神的に大人になったと自称していたが、思わず「うおおおおぉぉぉ!!」と声を出してしまった。

 

 ワタルの入場が終わると、今度はチャンピオンの番である。

 

 派手な登場のワタルに対して、チャンピオンは無音。一筋の光に照らされながら、コツコツと小さな足音を響かせるだけで、特にパフォーマンスらしいものは何もなかった。

 しかし、それが逆に雰囲気が出ているというか、チャンピオンの風格を感じさせる。

 

 実況と解説が二人の説明をしている間、何やら言葉を交わしているように見えるが、ここからでは声は聞こえなかった。だが、ワタルの気合はこの距離でも十分伝わってくる。

 

 両者の準備が出来上がると、互いにモンスターボールを構えた。

 

 緊張感が辺りを包み、観客席が無音になる。

 

 数秒が数分にも感じる長い間を破るように、バトル開始の合図と共に、二人は同時にモンスターボールをフィールドに投げた。

 

 

(試合内容が長いので以下省略)

 

 

 凄い試合だった。流石にレッドは別格だったらしい。

 ワタルも奮戦したが、4体目に出てきたカメックスが強すぎて、そこからはワンサイドゲームになってしまったのだ。

 途中までいい勝負をしていただけに残念だったが、いろいろ面白いものも見られたので良しとしよう。

 

 特にワタルのプテラが仕掛けた『ちょうおんぱ』を、レッドのピカチュウが『10まんボルト』のバリバリ音で無効にしていたのはビックリした。

 

 そんなこと出来るのかと思ったが、シゲル曰く「音系の技は距離によって効果が変わる。あの距離だと効果が弱くなるから、チャンピオンも十分可能と判断したのだろう」とのこと。やはりアニポケ世界は何でもアリだな。常識に囚われないようにしようと改めて思った。

 

 

 

 10歳 γ月σ日 『俺の勝ち アンタも割と頑張ったけどね』

 

 今日も今日とてオーキド研究所へ行ってから道場へ行く。

 

 何だかんだ旅まで後一週間ほどになった。

 初心者用ポケモンの三体もひと月前には届いていて、世話を手伝っている俺からすると、やはりピカ様よりヒトカゲを連れていきたいと思う。

 やっぱヒトカゲ最高よ。サトシのヒトカゲもいいけど、あいつ進化するとしばらく調子に乗って言うこと聞かなくなるからなぁ。

 

 しかし、もう後一週間しかないのに、まだピカチュウの姿が見えないってどういうことだ? いくら数合わせとはいえ、普通はもっと早く用意するものだろう。

 

 まぁ、それはともかくとして、今日は師範と一対一の真剣勝負をすることになった。

 

 奥義の伝授も一月前に終わり、もはや免許皆伝を言い渡されたが、最後に今の俺の実力を確認したいとのことだ。俺としても比較対象がいないので自分がどれだけ強いのかわかっていなかったし、丁度良い機会だった。

 

 結果は俺の勝ち。どうやら俺は思っていた以上に強くなりすぎてしまったようだ。

 

 

 

 10歳 γ月χ日 『やったわ、あの爺』

 

 後三日。何やら博士が慌てている。

 大方、ポケモンが一匹足りないのを忘れていたに違いない。最近は俺にポケモンの世話を任せて研究ばっかりしてたからな。

 

 多分、その辺で捕まえてくるつもりだろうが、初心者に育てやすいように教育する時間もない以上、まず間違いなくアニメの通りになるに違いない。万が一、ピカチュウを掴まされそうになったらゴネまくってやる。

 

 

 

 10歳 γ月ω日 『スヤァ』

 

 後一日。やっべ、緊張してきた。眠れない。

 

 いや、落ち着け、こういうときこそ修行の成果を見せるのだ。

 

 

 呼吸を整えて、

 

 

 体から余計な力を抜け、

 

 

 気を落ち着けて、

 

 

 精神を安心させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……スヤァ。

 

 

 

 10歳 δ月α日 『マサラタウン 旅立ちの日 前編』

 

 朝、何とか寝坊することなく起きることが出来た。

 旅の準備は前日にママさんと一緒にしたので、後は別れだけだ。「頑張って来るのよ、サトシ」という声に見送られ、オーキド研究所に向かう。

 

 しかし、まだ時間前なのか門が閉まっている。まぁ、いつも来る時間はもう少し遅いからな。こんなもんだろう。

 そのまま門が開くのを待っていると、シゲルが来た。「早いなサトシ」と言われたが、別にそこまで早い時間でもない。

 

 まだ博士が来ないのでシゲルと世間話をしていると、それから十分くらいして女の子が、その五分後に男の子がやってきた。

 おそらく、原作で出ていない二人だろう。サトシ君も話したことはないが顔は見たことがあるという程度だ。強気そうな男の子と、笑顔の可愛い女の子だった。

 

「揃っているようじゃな」

 

 二人が丁度合流したタイミングで、博士も出てきたようだ。

 散々待たせやがって、やっと旅に出られるぜ。

 と、思った矢先のことである。あろうことかこの爺、俺にピカチュウを連れていけとか言い出しやがった。事と次第によってはマサラ式肉体言語術の奥義を見せるぞコノヤロウ。

 

 そんな俺の殺気を感じたのか、「ま、待て。これには事情があるんじゃ」と言い訳を始めた。とはいえ、そんな大したことではない。予想通りにポケモンの準備を忘れていて、まだピカチュウはトレーナー慣れしていないから初心者には厳しい。だから、ポケモン慣れしている俺に連れていってほしいということだ。

 

 冗談ではない。一番に来たのにピカチュウしか選択肢がないだと?

 

 そんなの受け入れられるはずがないね!

 

 問答無用でヒトカゲの入ったボールを取ろうとすると、「待ってくれ。頼むサトシ、この通りだ」と頭を下げてきた。だが、爺の頭に何の価値がある。どうしてもというなら対価を用意せよ。納得できるものが用意できるなら、ピカチュウを連れて行ってやろう。

 

「……何が望みじゃ?」

 

 ピカチュウを連れていくなら、少なくとも技レコードの『なみのり』を用意しな。

 

 この世界に技マシンや技レコードがあるのは知ってるんだ。なみのりピカチュウならまだ戦いようがあるし、連れていくのもやぶさかではない。無理ならヒトカゲだ。

 

「むむむ、技レコードは貴重品じゃ。技マシン以上に作るのが難しいからそう簡単に用意できるものじゃない。お主も知っておるだろう?」

 

 だからなんだ? 無理なら、俺はヒトカゲで行かせてもらうぜ。

 

 あーあ、このことがポケモン教育委員会にばれたらどうなるんだろうな?

 まぁ、俺には関係ないし、同情も妥協もするつもりはない。何せ、全部爺の自業自得だ。

 

「ぐぬぬ、わかった。用意する……一月ほど待ってくれ。用意できたらお前さんのいる街に届けさせる。それでいいじゃろう?」

 

 いいや、そんなに待てないね。一週間だ。

 

「一週間!? そんなの無理じゃ!」

 

 無理なら、俺はヒトカゲで行かせてもらうぜ!

 

「ぐぅぅ、わかった。一週間じゃな!!」

 

 伝手を使えば何とかなるのだろう。実際、こんな間抜け爺でもポケモン界の権威だ。

 

 もはや、オーキド博士と呼ぶのも烏滸がましいが、なみのりピカチュウが手に入るのならここはヒトカゲを諦めてやろう。原作通りなら手に入る当てもあるしな。

 

 こちらの話がようやくひと段落ついたので、続けてシゲルがポケモンを選んだ。

 

 最初から決めていたようで、ゼニガメを手に取っている。やはり、ここは原作通りのようだ。いや、もしかしたら年末に見たチャンピオンのカメックスに影響されたのか?

 ジッとシゲルを見てみると、恥ずかしそうに顔を逸らしたので間違いなさそうである。

 

 続けて女の子がフシギダネを。男の子がヒトカゲを連れていった。確か、シゲル以外の二人は途中で脱落するんだよな。すまん、ヒトカゲ。

 

 さて、俺もそろそろピカチュウと対面しよう。

 

 電気対策に、研究所からゴム手袋を持ってきて、モンスターボールを投げる。ピカチュウは一瞬、辺りを見回すような仕草をすると、すぐにこちらに気付いたようで目が合った。

 

 よう、ピカ様。俺がお前のトレーナーのニューサトシだ。これからよろしくな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・オーキド博士から一目を置かれている。
 謎知識や態度が大人びているのもそうだが、ポケモンに対しては紳士的な所が評価されている。

・シゲルまで大人びてしまった。
 ニューサトシの影響で、シゲルが「サートシ君」と言わなくなった。初期シゲルが好きな人はすまない。

・スーパーマサラ人になりつつある。
 博士曰く、人間をやめつつあるらしい。

・第1話『ポケモン君に決めた』より、旅立ちの日に遅刻しなかった。
 アトラクタフィールドの収束によってピカ様を選ばされた。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.5 NEW!



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