ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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♯285 『こういうのは安売りしたら駄目なんだよ』

 14歳 η月φ日 『ホドモエジム ジム戦 VSヤーコン 後編』

 

 バトルはまさに一進一退という状況――しかし、ここは一旦ツタージャを戻すことにした。

 かなり攻められたが、向こうも技を全て使っているし、ドリュウズだって地面の中に作った『みがわり』のダメージもあるのだ。完全に余裕がある訳ではない。

 

 でも、どうする? またクルマユを出して、相手の苦手なかくとう技で攻めていくか? けど、『どくづき』はくさ・むしタイプのクルマユにも良く効く。下手に近接戦を仕掛けるのは不利。それに、はがねタイプを持つドリュウズは防御も高めだ――ならば。

 

 ここは三体目を出す場面だろうということで、最後のミジュマルを出していく。

 

 基本的に三体目は温存するのがセオリーだが、ここはセオリーを無視してでも攻める場面と見た。

 とはいえ、うちのミジュマルは得意のみず技が殆ど物理に偏っている。二倍弱点の有利を駆使したとして、どれだけダメージを与えられるか――と、考えていると、久しぶりに出番を得たミジュマルは、自分の力をアピールするようにホタチを振り回していた。

 

 レベル変動の影響も特になさそうで何よりということで、まずは先制として『アクアジェット』を指示する。ヤーコンは、『どくづき』を指示してきた。

 ミジュマルの一撃がドリュウズにぶつかる――が、いくら先制技とはいえ、弱点技の一撃を受けてもドリュウズは気にせずに、『どくづき』で殴り掛かってくる。ミジュマルも、咄嗟にホタチで攻撃をガードするが勢いを殺しきれずに吹き飛ばされていく。

 

 こちらが体勢を立て直す間に、ヤーコンは再び『あなをほる』でドリュウズを地面に潜っていった。

 こちらの三体が全員軽量系だとバレた今、『じしん』や『マグニチュード』といった地面内への攻撃が出来ないのはバレている。向こうも、もう怖いものなしだろう。だが、こちらだって、別に地面内への対策がない訳ではない。

 

 ミジュマルに『みずびたし』を指示する。これはフィールドを水浸しにすることで、相手のタイプをみずタイプに変更する技――本来であれば、地面にいるドリュウズには当たらないので効果はない。ゲームではな。

 

 しかし、ここはリアルだ。

 

 フィールドに散布された水は穴にも浸水していく。当然、穴の中に水が入れば、中にいるドリュウズは呼吸が出来なくなり飛び出してくるしかなくなる。

 だが、フィールドが水で覆われつつある今、地面の変動は通常よりもわかりやすくなっていた。地中から飛び出してくるドリュウズの一撃を回避して、カウンターで『シェルブレード』をぶつけていく。

 

 運の良いことに穴が水で満ちる前に飛び出してきたからか、ドリュウズはまだじめんタイプだった。『シェルブレード』は効果抜群の一撃となり、ドリュウズにダメージを与える。

 ここで、ヤーコンはドリュウズを戻した。

 技を全て使い切っているドリュウズではミジュマルを相手するのは厳しいと判断したらしい。みずタイプを持つガマガルを出して、何とか向こうも有利状況を作ろうとしてくる。

 

 ガマガルはメロメロ状態になっただけでまだ技も使っていないし体力も十分残っていた。ヤーコンとしても、ここが勝負所と見て気合を入れている。

 

 さて、対するこちらは今のバトルで、『アクアジェット』、『みずびたし』、『シェルブレード』とかなり技を使わされてしまった。残りの一つの技枠でガマガルを相手するか、それとも相性のいいくさポケ達に戻すか。

 

 今回の目標は、相性を駆使して有利を作ることなので、その目標から考えればここはミジュマルを戻す場面だ。が、この気合の入りまくったミジュマルを戻してテンションダウンの危険を考えるとこのまま続投した方が良い気もする。

 

 結局、ポケモンも生き物だからな。その時の調子の良し悪しなどはちゃんと存在する。

 

 ここでミジュマルのやる気を削ぐよりは、やらせて爆発させた方が面白い。そう判断して、ここは続投を選んだ。

 ヤーコンはてっきりこちらがまた有利なくさタイプに戻してくると思っていたようで少し意外そうな顔をしている。とはいえ、心の奥底には懸念があるはずだ。

 

 何せ、ここまで散々裏を掻いて翻弄してきたからな。真っ向勝負に見せかけて何か仕掛けて来るんじゃないかと疑うのは当然のこと。むしろ、ベテラントレーナーならそう考えざるを得ない場面――故に、真っ向勝負という択が生きる。

 

 ヤーコンは『あまごい』を指示してきた。

 

 こちらがどう動くか様子見をする択であり、通常特性の『すいすい』か『うるおいボディ』を起動させるためでもあるだろう。

 裏を掻いて夢特性の『ちょすい』の可能性もゼロではないが、その時は素直にみず技を使うのを諦めるしかない。みず・じめんタイプのガマガルはみず技が等倍なので、『ちょすい』の可能性はゼロではないが――と、考えながら『アクアジェット』を指示した。

 

 フィールドが雨になったことで、みず技のダメージは1.5倍になる。みずタイプのミジュマルも当然のように恩恵を受ける。

 だが、ミジュマルの先制技が直撃する寸前、ガマガルは通常を超える超スピードで攻撃を回避してきた。やはり、特性は『すいすい』だったか。雨状態の時に素早が二倍になる特性だ。

 

 先制技の速度について来られた以上、まず間違いないと見て良いだろう。そのまま、攻撃終わりのミジュマルを狙って、『パワーウィップ』を指示してくる。

 みずタイプの苦手なくさ技で攻めようという狙いのようだ。ガマガルが舌を鞭のように使って攻撃してくるのをホタチで器用に攻撃をガードするが、それでも勢いを殺しきれずに吹き飛ばされてしまう。

 

 先程のドリュウズの時もそうだったが、ホタチ防御は優秀だがダメージをゼロには出来る訳ではない。今のミジュマルの残り体力はざっと2/3ないくらいか。

 

 直撃を避けてはいるが、それでもかなりのダメージを与えられている。特に、『パワーウィップ』は弱点だから痛いな。

 ヤーコンはこちらの動きを探りながらも、何の策も仕掛けて来ないと見ると、再び『パワーウィップ』で攻め立ててきた。こちらも、『シェルブレード』で、しなる舌を防ぎながら追いすがるも、向こうの方が早いため受けるのが精一杯になっている。

 

 上下左右に振られる鞭に翻弄され、ミジュマルの腕が跳ね上がると、ヤーコンはここで『どくどく』を指示してきた。

 体勢が悪く、回避は不可能。おまけに、腕を跳ね上げられたのでお得意のホタチ防御も出来ない形だ――猛毒状態になれば、こちらが圧倒的に不利。いや、待て。

 

「ミジュマル! いいぞ、そのまま倒れろ!」

「なにっ!?」

 

 ヤーコンも遅れてミジュマルの方を見る。そう、このバトルでは散々『あなをほる』を使っているせいもあって、フィールドの各場所は穴だらけになっていた。

 丁度、ミジュマルの後ろもそんな穴がある場所の一つとなっている。弾かれた勢いに逆らわず、ミジュマルが穴の中にコロコロと転がっていった。当然、目標を失った『どくどく』は地面にかかる形で無効化される。

 

「だが、自分で穴を掘るならまだしも、既にある穴からしか出られない以上、出てくる場所はおのずと限られる……」

「それはどうかな? ミジュマル、飛びだせ!」

 

 別に『あなをほる』だけが地面を突破する手段じゃない。俺の指示で、ミジュマルは『シェルブレード』を起点に、まるでドリルのように回転しながら地面から飛び出してきた。

 流石に直撃とまでは行かなかったが、上手く相手の後ろを取れている。不意を突かれたこともあり、ガマガルの反応も遅れていた。さらに運の悪いことに、このタイミングで雨状態も元に戻ってしまい、『すいすい』の効果もなくなってしまう。

 

 背後からの強襲――『シェルブレード』の直撃を決める。雨状態ではなくなったので威力は下がってしまったが、追加効果の五割で防御1段階ダウンを引いた。

 

 切り返しで、そのまま追撃の『シェルブレード』を叩き込もうとするも、流石に向こうもやられたままではない。攻撃を受けながらも、『パワーウィップ』で反撃をしてきた。

 こちらも攻撃をしていたので、ホタチでの防御は出来ずに直撃を受ける――が、切り札を切るのはここだ。ミジュマルに最後の技である『まねっこ』を指示して、このバトル中最後に使用した技である『パワーウィップ』を模倣していく。

 

 ホタチに緑色のエネルギーが集まり、鞭となってガマガルを襲う。先程までは『すいすい』の影響下で相手の速度が上がっていたことも有り使っても回避されるだけだった。

 しかし、今はどうだ?

 相手からの強襲で二連撃を受けたが、肉を切らせて骨を断つ作戦で弱点攻撃を決めて、相手の体力を残り1/3以下まで追い詰めた。距離も少し開いて、息を吐くタイミング――そこに、不意を突いた見知らぬ一撃が来たら?

 

 タイプ不一致とはいえ、みず・じめんタイプのガマガルにとって、くさ技は四倍弱点だ。ヤーコンだって、ずっとこちらがくさ技を使ってくるのではないかと警戒していた。

 しかし、まさか『まねっこ』で技を模倣されるとは思わなかっただろう。何より、『パワーウィップ』は近・中距離にも対応する技なので、ある程度の距離があっても攻撃が当たる。うちのミジュマルは基本近距離型なので中距離からの攻撃は完全に不意を突いていた。

 

 予想外の一撃でガマガルが吹き飛んでいく。これは決まった――と、思った瞬間、ヤーコンは最後の技として『ステルスロック』を指示してきた。

 

 ガマガルも意地でこちらのフィールドに岩を飛ばしてくる。そのまま、ガマガルは戦闘不能になったが、これでこちらは交代の度に体力の1/8のダメージ――否、むしタイプのクルマユに至っては1/4ダメージを受けることになった。これは地味に痛い。

 

 だが、ようやく均衡は崩れた。

 

 ガマガルが倒れたことで、3対2だ。ミジュマルもかなり削られたが、それでも数の有利が着いたのは大きい。

 ここで、ヤーコンはワルビルを出してきた。ワルビルはこれまで、『あなをほる』、『すなあらし』、『ストーンエッジ』の三つを使っており、体力は少ししか削れていない。

 

 対するミジュマルは、残り体力1/3以下で、『アクアジェット』、『みずびたし』、『シェルブレード』、『まねっこ』と全ての技を使っている。

 連戦でスタミナも削られて肩で息をしているし、そろそろ戻したい所だが、下手に交換をすると『ステルスロック』のダメージで致命傷を受けかねない。が、無理に続投しても、今の状態じゃ集中が途中で切れかねないか。

 

 ダメージ覚悟でここはミジュマルを戻す。

 

 本人も、疲れが見え始めていたのは自覚していたようで、特に文句を言う素振りも見せなかった。

 そのまま、ツタージャを出していく。クルマユは、『ステルスロック』のダメージを多く受けるので、出来れば温存しておきたいというのが本音だ。

 

 とはいえ、ツタージャも『みがわり』を二回使って体力は半分。『ステルスロック』のダメージを受けて1/3前くらいまで削られてしまう。おまけに、技も『メロメロ』、『みがわり』、『リーフブレード』、『リーフストーム』と全て使っているため、手の内は完全に割れていた。

 

 ヤーコンも、ここまでは上手く翻弄されてくれていたが、勝負が後半戦に移りつつある今、もうそう簡単にはこちらのやりたいようにはさせてくれないだろう。

 と、考えていると、ヤーコンは『あなをほる』をまた指示してきた。『メロメロ』対策だろう、ここで『メロメロ』を食らえばドリュウズが引っ張り出される。後半戦に向けて、ドリュウズはもう少し体力を回復させる時間が欲しいと見た。

 

 さて、どこから仕掛けてくるか。

 

 もう少し体力に余裕があれば、『みがわり』を使って様子見も出来たのだが、残り体力的に使えてあと一回だ。

 それに、使えば体力は一気に1/8に突入する。そこまで削れれば、半減のじめん技でもワンパンされかねないし、ステロのせいで交代も出来なくなるだろう。

 

 しかし、ドリュウズと違ってワルビルの火力なら、多分『みがわり』を半減の『あなをほる』でワンパンは出来ない。返しの一撃で有利状況を作るなら、『みがわり』の択は有り――だが、それでも直撃を受けた方が体力的な消耗は少ない。

 

 ここは素直に攻撃を受ける覚悟を決める。同時に、ワルビルが地面から飛び出してきてツタージャが弾き飛ばされた。

 しかし、まだバランスは崩れていない。

 そのまま体勢を直して『リーフストーム』で返しの一撃――と、思った瞬間、ワルビルは飛ばされたツタージャの足を掴んできた。同時に、ヤーコンがニヤリといやらしい笑みを浮かべる。

 

「『ドラゴンテール』!」

 

 しまった。こちらが『リーフストーム』で反撃しようとした瞬間、ワルビルがツタージャを放り投げて攻撃の方向をずらしてくる。

 何とか体を捻って方向修正するツタージャだが、その前にくるりと体を一回転させたワルビルの『ドラゴンテール』がツタージャに直撃した。

 

 ご存知の通り、『ドラゴンテール』は『ほえる』などと同じ強制交代技だ。技の出しが遅いというデメリットはあるものの、こちらの体勢を崩すことでその時間を稼いできた。

 

 ツタージャが強制的にボールに戻される。『あなをほる』と『ドラゴンテール』のダメージでもうツタージャの体力は1/8以下まで削られている。つまり、次にフィールドに飛び出した瞬間、ツタージャは『ステルスロック』で戦闘不能になるということだ。

 

 実質的な敗北も同じだった。

 

 ぶっちゃけ、『ドラゴンテール』と『ステルスロック』のコンボは、後半に入った今かなり厳しい。

 特にクルマユはまだ無傷だが、むしタイプ故にフィールドに出る度に1/4ずつダメージを受ける。下手に交換させられるだけで、すぐに体力が削られてしまう。

 

 とはいえ、まだミジュマルも回復の時間が欲しい。わかっていても、クルマユを出さざるを得なかった。

 しかし、ここにきてヤーコンの方がなかなかいやらしい戦術を繰り出して来たではないか。パワー自慢じゃなかったのかよ、ズルじゃん。いや、ズルではないが――

 

 ステロのダメージで、クルマユが1/4のダメージを受ける。クルマユはまだ直接の攻撃は受けていないが、砂嵐の固定ダメージで体力が1/4ちょっと削られていた。

 交換しただけなのに、体力は既に半分以下まで削られてしまっている。また、こちらは『とびげり』、『いとをはく』、『ねばねばネット』と三つの技を使っていた。

 

 さて、どう攻めるか――と、考えていると、ヤーコンは再び『ドラゴンテール』を指示してくる。多少のダメージを受けても、ポケモン交代を強要した方が有利だとわかっているのだ。

 

 こちらは『いとをはく』の糸を駆使して、立体機動で攻撃を回避していく。

 ここでの強制交代を受ければ、次に出した時にクルマユの体力は一気に1/4以下まで削られる。ミジュマルもまだスタミナが回復しきっていないことを考えれば負けに等しい。

 

 かといって、ヤーコンも下手に技を無駄打ちできなかった。『ドラゴンテール』のPPは10だ。残りは8回しかないことを考えると、あまり多用は出来ない。糸で縦横無尽に動くクユマユ相手には進んで使いたくはないだろう。

 と、すると、考えられるのは、こちらの攻撃を待ってからの反撃での『ドラゴンテール』だ。これならば、ダメージと引き換えに確実に相手を交換させられる。『あなをほる』や『ストーンエッジ』を無理に当てるよりも効率的にこちらを削ることが出来る訳だ。

 

 こうなると、こちらも下手に攻撃できない。

 

 何せ、クルマユの火力では残り体力3/4のワルビルをワンパンするのはほぼ不可能だ。

 どうしたって、勝つには手数がいるが、手数を増やせば相手にチャンスを与える。そう簡単には動けない――と、考えていると、クルマユの体が光ってフォルムが変化していく。

 

 クルマユからハハコモリの進化はなつき度依存なのでどこで進化するかまるで読めなかったが、まさかこのタイミングで進化してくれるとは思わなかった。

 

 また、クルマユからハハコモリに進化したことでステータスは爆発的に変化する。

 ただし、まだ進化したばかりで人型の体にハハコモリの感覚が追い付くかどうかは賭けな部分はあるが、ならしとばかりに体の様子を確認するハハコモリは余裕の笑みを浮かべていた。

 

「いけるか?」

 

 と、聞くと、ハハコモリは手を軽く振って頷いている。軽く手を振っただけなのにまるで刀を振ったような風切り音がしたな。

 

 今までは手足が短く、素早く動けなかったからこそ糸を使った立体機動でそれを補助していたが、進化して体が大きくなった今では普通に素早く動ける。

 しかし、それは立体機動を使わない理由にならず、逆に素早く動けるようになった今だからこそ、立体機動はよりハハコモリの動きをサポートしてくれていた。

 

 真っ直ぐ突っ込んでくると身構えるワルビルの手前で、ハハコモリの体が慣性を無視して背後へと動いていく。

 今まで通り、糸を使って動きを補助しているだけだが、手足が大きくなってより人型になると、その動きはまるで人形のように操られているようにも見える。

 

 当然、その予想外の動きにはヤーコンやワルビルも翻弄されており、ヤーコンは裏に回ったなら好都合とばかりに『ドラゴンテール』を指示するが、見えていれば回避は余裕とばかりにハハコモリは糸で体を後ろへと動かした。

 

 攻撃を透かしたワルビルへ、返しの『とびげり』をぶつけていく。足が長くなったことで威力も上がり、ワルビルが思わずたたらを踏んだ。

 クユマユの時とはダメージは比べ物にならず、一気に体力が半分近くまで削られていく。だが、この一連の攻撃によって互いの距離は詰まっていた。ヤーコンは変わらず、『ドラゴンテール』を指示してくる。

 

 ならばと、ハハコモリに『いとをはく』を指示してワルビルの尻尾をグルグル巻きにして包み込んだ。前にアーティがピカ様にやった尻尾封じである。

 これでは『ドラゴンテール』は使えないだろう。

 向こうが動揺して動けない隙に、『ねばねばネット』もおまけして胴体にくっつけ身動きを封じる。これもまた、前にアーティ戦でピカ様が受けたコンボだ。

 

 あの時は、ピカ様が『10まんボルト』の電気の熱を尻尾に集めて無理やり糸を焼き切るという荒業で尻尾を解放して、『アイアンテール』で『ねばねばネット』の拘束を断ち切ったが、既に全ての技を使っているワルビルに同じ対応は出来ない。

 

 ほぼダルマ状態のワルビルに出来るのは、一か八か『すなあらし』で視界を奪うか、『ストーンエッジ』で攻撃してくるくらいだろう。

 ヤーコンは後者を選んだようで、『ストーンエッジ』で攻撃を仕掛けてくる――いや、正確には違った。『ストーンエッジ』の岩山の先をわざと自身にぶつけることで、無理やり『ねばねばネット』の拘束を解除しに来たのだ。ダメージと引き換えに自由を選んだ訳か。

 

 下手に近づくと攻撃を受けかねないので、ハハコモリも距離を取っていく。その間に自由になったワルビルは『すなあらし』を使ってさらに視界を塞いできた。

 また、マサラアイによって確認した限りでは、ワルビルはこちらの視界を奪った隙を突いて尻尾に巻き付いている糸を無理やり手で引きはがしている。これで完全自由状態になったが、『いとをはく』の素早二段階ダウンはしっかりと機能していた。

 

 ワルビルは完全に動きが鈍っており、仮にボールに戻して『いとをはく』の効果を消したとしても、今度は『ねばねばネット』の交代時素早一段階ダウンの追加効果で動きを鈍らされる訳だ。

 

 しかし、一段階ダウンと二段階ダウンなら、一段階ダウンの方がマシと判断したようで、ヤーコンはここでワルビルを引っ込めてきた。

 このまま無理に『ドラゴンテール』を狙っても無駄だというのはわかったのだろう。ならば、残りの体力は力で奪うと言わんばかりに、再びドリュウズを出してくる。

 

 ドリュウズの残り体力は約半分。技は『あなをほる』、『みがわり』、『つのドリル』、『どくづき』と全て使っているが、一撃必殺の『つのドリル』やこちらに効果抜群の『どくづき』は脅威と言って良かった。

 

 対するこちらは何だかんだ、『ステルスロック』の1/4ダメージ以外は、砂嵐状態による固定ダメージしか受けていない。

 が、それでも体力は既に半分以下だった。おまけに、ワルビルの最後の『すなあらし』のせいで、最終的に体力が1/4以下にされることが確定している。仮に交換してもステロがあるので交換の択はない。このまま突き進むしかなかった。

 

 ヤーコンとしては、攻撃技の一つでも当てれば勝ちの場面だ。ここは何よりも当てることを重視してくるだろう。

 こちらの立体機動の厄介さはもうわかり切っているが故に、この砂嵐の間に何とか一撃を与えたいと考えているはずだ。

 

 ワルビルが『すなあらし』を使ってから、尻尾の糸を解くのに1ターン、交代に1ターン使ったと考えると、残りは約2ターンくらいか?

 さて、どう攻めてくるかと思っていると、ここでドリュウズは再び『あなをほる』で地面に逃げていった。まさか、また地面内に『みがわり』を使う気か?

 

 そうはさせんぞと、最後の技として『マジカルリーフ』を指示する。これは『つばめがえし』等と同じく、必ず相手に当たる技だ。つまり、ホーミング機能がある。

 通常、地面内にいるポケモンに攻撃することはできないが、穴に水を浸水させたり、地面を割って攻撃をしたり――と、対処法自体はいろいろあるのだ。これもその一つであり、放たれた『マジカルリーフ』は穴を通ってドリュウズを追っていく。

 

 どうやら、読みは正しかったようで、ヤーコンがチッと舌打ちをしていた。油断も隙もねぇおっさんだ。

 最初の内は上手く翻弄してこちらのペースに出来てきたが、後半になってようやく本来の力と技を組み合わせた本来のヤーコンの型が見えてきた気がする。

 

 とはいえ、これでドリュウズの体力ももう1/4もないはずだ。流石に『みがわり』はもう使えないと見て良いだろう。

 後は、この攻撃を回避して、とどめを刺すだけ――と、考えていると、丁度砂嵐状態が解除された。それでも、ドリュウズはヤーコンの指示を待って動かない。

 

 こちらは砂嵐の固定ダメージで、こちらの体力は残り1/8にされた。おそらく、体力をギリギリまで削るためにヤーコンは下手に攻撃を仕掛けなかったのだろう。

 砂嵐状態に寄る視界の有利よりも、確実なダメージを選んだ訳だ。これでこちらは仮に半減でもじめん技を警戒せざるを得ない。当然、ヤーコンも、こちらが糸を使って攻撃を回避しようとしてくるのは読んでいるはずだ。

 

 互いに待ちの状態――『マジカルリーフ』で仕掛けることもできるが、その瞬間に突撃されたら流石に回避はできない。避けを重視するなら、待つ以外に択はない。

 逆にヤーコンも、下手に攻めても糸による回避を超えられる自信がないようでなかなか攻められずにいる。それはつまり、このハハコモリの戦術はジムリーダーですら突破が難しい新戦術として認められた言うことでもあった。

 

「ふぅ……悔しいが認めてやる。そのハハコモリを捕まえる択が、今の俺にはねぇ」

 

 ヤーコンがそう呟くと同時に、ヤーコンのすぐそばにドリュウズが地面から顔を出してくる。

 

「だが、それと勝敗はまた別モノだ」

 

 と、言いながらニヤリと笑みを浮かべると、ヤーコンはドリュウズをボールに戻した。そのまま、またワルビルを出してくる。そうか、その手があったか!

 

「ハハコモリ、『マジカルリーフ』!」

 

 距離があって『とびげり』は間に合わない。何とか間に合え――と、祈るが、こちらの祈りは届かず、『マジカルリーフ』での妨害を乗り越え、ワルビルは再び『すなあらし』を発動させた。

 当然、無防備に『マジカルリーフ』の直撃を受け、ワルビルは戦闘不能になる。どうやら、急所に当たったようで残りの体力を削り切れたようだ。

 

 しかし、これでもうハハコモリの体力はなくなったも同然だった。この交代の間の砂嵐の固定ダメージで1/16ダメージを受ける。

 続けてドリュウズが出てくるが、こちらの最後っ屁である『マジカルリーフ』を『どくづき』で撃ち落し、さらに固定ダメージ1/16を受けてハハコモリの体力がゼロになった。

 

 これで向こうはドリュウズのみ、こちらはツタージャとミジュマルの二体――だが、ツタージャは出た瞬間に戦闘不能が決まっているため、実質戦えるのはミジュマルのみ。

 ドリュウズの残り体力は1/4ないくらいで、対するミジュマルは1/3ないくらいだが、ステロのダメージを受けたらドリュウズとそう変わらない。砂嵐のダメージもあるし、お互いに一撃を受けた時点で勝負は決まると言って良いだろう。

 

 ならば、先手必勝――ステロダメージを受けて涙目になっているミジュマルに『アクアジェット』を指示して、一気に体力を奪いにいく。

 

 対するヤーコンは、ここで『つのドリル』を指示してきた。真っ直ぐ突っ込んでくるミジュマルにカウンターの一撃を食らわせようという狙いか。

 流石に、これにぶつかったら負けだ。

 ミジュマルも、何とか方向転換して攻撃を敢えて外していく。だが、そのまま後を追うようにドリルが追従してくるので、こちらも『まねっこ』による『つのドリル』で一か八かの反撃に出た。

 

 ホタチから出るエネルギーのドリルが、ドリュウズのドリルとぶつかり合っていく。

 

 しかし、パワーの差でミジュマルが弾き飛ばされた。そのまま、一撃必殺の効果で戦闘不能にされる。だが、ドリュウズもまた、一撃必殺の効果で戦闘不能になっていた。

 

 お互いに戦えるポケモンがいなくなる。が、俺のツタージャは実質戦闘不能なだけで、まだ戦闘不能になっていない。

 逆にヤーコンは手持ち全てが戦闘不能になったことで、このバトルは俺の勝利が確定した。前半は相性や搦手で有利状況を作ったが、何だかんだで追い込まれた気がする。

 

 これも玄人の技術か――と、バトルを振り返っていると、ヤーコンが笑みを浮かべながらクエイクバッジを渡してきた。良いバトルが出来たと思ったのは俺だけではないようだ。

 

 イッシュ組も、よく頑張ってくれた。特にハハコモリは進化したばかりなのにいい動きをしていた。

 何せ、あのヤーコンが最終的に攻撃を当てるのを諦めたくらいだ。あいつはこのバトル、『ステルスロック』と『すなあらし』以外のダメージを受けていないのである。

 

 これから先が楽しみだ――と、思っていると、次のジムはフキヨセシティにあるということで、そこを目的地にホドモエを後にしていく。

 ラティも、流石に俺がゲットだぜを言わないのを理解したようで、後ろの方で小さく「ゲットだぜ」と呟いているだけだった。ゾロアが一緒になってポーズを決めているが、あのなお前の仮面と一緒で、こういうのは安売りしたら駄目なんだよ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第61話『地底のジム戦! VSヤーコン!!』より、ハハコモリの機動力が鬼になった。
 進化したことで手足が出来て、普通なら少し慣れが必要だが、ハハコモリは即順応して今まで通りに縦横無尽に立体起動している。あまりに機動力があり過ぎて、ヤーコンのポケモン達ですら捕まえられずに固定ダメージで仕留めにかかった。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.67

 ピジョット Lv.61

 バタフリー Lv.61

 ドサイドン Lv.64

 フシギバナ Lv.61

 リザードン Lv.66

 カメックス Lv.61

 キングラー Lv.61

 カモネギ  Lv.61

 エビワラー Lv.61

 ゲンガー  Lv.63

 コノヨザル Lv.61

 イーブイ  Lv.61

 ベトベトン Lv.61

 ジバコイル Lv.61

 ケンタロス Lv.61

 ヤドラン  Lv.61

 ハッサム  Lv.61

 トゲキッス Lv.61

 プテラ   Lv.61

 ラプラス  Lv.61

 ミュウツー Lv.76

 バリヤード Lv.61

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.60

 カビゴン  Lv.61

 ニョロトノ Lv.60

 ヘラクロス Lv.60

 メガニウム Lv.60

 バクフーン(ヒスイの姿) Lv.60

 ラティアス Lv.58

 ヘルガー  Lv.59

 ワニノコ  Lv.59

 ヨルノズク(色違い) Lv.58

 カイロス(部分色違い) Lv.58

 ウソッキー Lv.59

 バンギラス Lv.62

 ドンファン Lv.59

 ギャラドス(色違い) Lv.59

 ミロカロス Lv.55

 ラグラージ Lv.54

 オオスバメ Lv.54

 ジュカイン Lv.54

 ヘイガニ  Lv.54

 フライゴン Lv.59

 コータス  Lv.52

 サーナイト(色違い) Lv.48

 オニゴーリ Lv.52

 ワカシャモ Lv.51

 メタグロス(色違い) Lv.51

 エテボース Lv.49

 ムクホーク Lv.48

 ドダイトス Lv.47

 ブイゼル  Lv.48

 ムウマージ Lv.51

 カバルドン LV.47

 ミカルゲ  Lv.57

 グライオン Lv.46

 ロトム   Lv.47

 ユキノオー Lv.46

 ガバイト  Lv.42

 ゾロア(ヒスイの姿) Lv.30

 コモルー  Lv.40

 カイリキー(変異体) Lv.40

 ミジュマル Lv.36→37

 ポカブ   Lv.36

 ツタージャ Lv.36→37

 ズルッグ  Lv.27

 クルマユ→ハハコモリ Lv.33→34 NEW!

 ペンドラー Lv.36

 エルフーン LV.36

 ガントル  Lv.35


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