14歳 θ月ε日 『まぁ、バトルするのは吝かではない』
シロナとイッシュチャンピオンのアデクが、ポケモンリーグ協会の調査員達と共にフキヨセジムにやってきた。
俺は見たことを全て隠さず伝え、調査でもフウロがエアバトルと称して戦いもせずにバッジを配っていた事実が明らかになる。他にも私的な趣味を優先して挑戦者を待たせたり、ジムを許可なく無断で休んだり――と、俺の知らない問題も多く出て来たらしい。
当然ながら、どんなに伝統があるジムであろうと、ジムとしての在り方が間違っているならその問題をなかったことには出来ない。
フウロも、昨日の俺達の話を聞いてそのことをようやく理解したようで、今日は態度が一転して静かに反省した態度を見せている。
最初は反省したフリをしているのかとも思ったが、今日の朝にフウロが「昨日はごめんなさい」と謝ってきたので、多分本気で反省をしているのだろう。
フウロの祖父とアデクは知り合いだったようで、「もっと孫に厳しくしてやるべきだったな」と、肩を叩いている。
シロナとも久しぶりに会ったが、「……少し見ない内に大きくなった?」と、身長が全く伸びていないニューサトシに喧嘩を売ってきたので、ピカ様の青い雷でビビらせてやった。
キャッ――と、可愛い悲鳴を上げたのを見て、ニヤリと笑ってやると、頬を思いっきり引っ張られる。ゴムゴムの伸びーるだ(三回目)。
とまぁ、仲良い師弟の再会もあれば、シロナと俺が師弟関係にあると聞いてアイリスやデントが驚く一幕もあった。
また、俺がシロナに最速で連絡したことについて、アデクから「先に、こっちに連絡が欲しい所だったぞ」と文句を言われたが、連絡先を知らないので無理だと一蹴している。
ならばと、無理やりアデクの連絡先を渡されたが、果たしてこれを使う日が来るのであろうか?
と、思いつつ、アデクが「しかし、シロナさんは相変わらずお美しい――」と、シロナを口説く場面もあったが、それはそれとして今回の結末だ――本来であれば、ジムとしての正常に仕事が出来ていないフキヨセジムは即閉鎖。
になる所だったらしいが、ジムリーダーであるフウロが自分の間違いを認めている点から情状酌量の余地ありと認められたようで、今回は条件付きでジム再開が許可されていた。
その条件は、当然ながらフウロがしっかりとジムリーダーとしての仕事をすること。
また、これから五年の間は抜き打ちでジムの調査が入り、その調査に合格すること(こちらは、本人には伝えられていない)。
調査員は、それこそ観客だったり挑戦者に紛れていたりと、フウロにはその正体を知らせずに調査しに来るらしい。そこで合格点を取れなければやはりジムは閉鎖となる厳しい処分が下った。
俺としては、フウロが本気で反省していて、これから真面目にジムリーダーとしてやる気があるのなら、別に無理にジムを閉鎖にしなくても良いと思っている。
なら、こんな騒ぎを起こさなくてもよかったではないか――と、思うかもしれないが、もし仮に俺がポケモンリーグ協会に連絡を取らず、普通にフウロにジムリーダーとしての仕事をするように言っただけでは、この女は決して自分を改めようとしなかっただろう。
まるで自分がアイドルになったかのように調子に乗っていた態度を見れば一目瞭然だ。
こちらの忠告も、所詮はそこらのトレーナーの戯言としかとられないに決まっている。
あの、あまりにも趣味を優先しすぎている姿をみれば、ジムリーダーなんか無理にやらなくてもいいだろうというのが俺の本音だった。
勿論、ジムリーダーという役職がもたらすであろう恩恵を考えれば、辞めるなんてしたくないのはわかるが、だったら最初からこんなことすんなよという話。楽して甘い汁だけ吸おうなんてのは世の中舐めすぎている。
結局、フウロをしっかり改心させるには、こちらの本気を示す必要があったのだ。
フウロとしても、その点は自覚しているようで、昨日俺達に叱られてからは素直に自分の非を認めている。
また、最後にアデクの方から――フウロが本当にジムリーダーとして相応しいかの再チェックとして、この場で俺とフウロのジム戦をし、フウロのジムリーダーとしての資質を計るというお言葉を頂いた。
どうやら、シロナは最初からこうなることを予想していたようで、俺にフキヨセに残れと言ったのはこのためだったらしい。
ならば、ここで俺はこれでもかというくらいに条件を付けよう。ルールは、ヤーコンの時同様に、互いに交代有り、レベル50固定――と、言うと、レベル50固定はともかく、交換なしはジムリーダーのルールに抵触するので駄目だと言われた。
チッ、じゃあ仕方ない。今回は勝ち抜き戦ということで、俺側にセルフの交代縛りを付けて条件を五分とすることにしよう。
14歳 θ月ζ日 『フキヨセジム ジム戦 VSフウロ』
今回はジム戦なので、イッシュ組で挑戦することにした。前回のヤーコン戦で出た、ハハコモリ、ツタージャ、ミジュマルはお休みとし、今回はポカブ、ギガイアス、ワルビルの三体をチョイスしている。
エルフーンやペンドラーを出してやりたい気持ちもあったが、相手がひこうタイプなのでフウロ有利になってしまう。
今回は俺ではなく、フウロのジムリーダーの資質を計るバトルなので、向こうの苦手ないわタイプを使いたかった。それに、ポカブは出番を欲しがっていたし、進化したばかりのギガイアスや、仲間になったばかりのワルビルの力を計りたかったというのもある。
ちなみに、血気盛んなうちのお子ちゃまズの一人であるズルッグも名乗りを上げていたが、お前を公式戦で戦わせるのはもう少し技のレパートリーを増やしてからかなぁ。
と、いう訳でいざバトルが開始される。
今回はフウロも自分の進退がかかったバトルということで、真剣な表情を浮かべていた。
最初に出してきたのはココロモリで、ムサシが使っているコロモリの進化系である。こちらはポカブを出していく。御三家同期二体が前回大活躍だったのもあり、ポカブも負けじとやる気十分だ。
さて、エアバトルなんて先読みまがいのバトルをしていた以上、フウロはバトルする相手の動きを先読みするのが得意ということだろう。
ジムリーダーとしてならばゴミみたいなバトルとしか言いようがないが、実際に相手のポケモンや覚えている技を見ただけで、相手がどう動いてくるか推測できるその能力自体はとても凄いものだ。
そして、今回フウロはそのエアバトルで学んだ、先読みを仕掛けてくる可能性が高かった。
つまり、ここは相手の裏を掻いた動きをしてわざと驚かせてやるのが面白いということだ。
敢えて、普通は使わない技――『しっぽをふる』で、ポカブの可愛いお尻を振って相手を挑発してやる。
まさか、開幕で尻を振られるとは思わなかったようで、フウロが驚きの表情を浮かべた。どうだ? お前のエアバトルとやらで、この可愛いポカブの姿は見えたか?
と、敢えては問わなかったが、フウロは苦笑いを浮かべて『めいそう』を指示してきた。特攻と特防が一段階ずつ上がる技だ。
だとすると、ココロモリの特性は夢特性の『たんじゅん』の可能性がある。能力変化が二倍になるという強い特性だ。しかし、相手の能力変化の影響を受けない『てんねん』や、持っている道具の効果を無効にする『ぶきよう』の可能性もあるので断定はできない。
しかし、仮に『たんじゅん』だった場合、『しっぽをふる』の防御一段階ダウン効果が倍になるので、『しっぽをふる』が『いやなおと』並の強技になるということだった。
半分は挑発でしかなかったが、交換なしのバトルで物理防御を下げられるのはフウロとしても辛い所だろう。つまり、こちらは近接戦を仕掛けるのがベターということだ――が、そんなことはエアバトルの使い手であるフウロもわかっているはず。
実際、フウロは『めいそう』を積ませる際も、ココロモリを一定の高さから降ろさずにこちらに寄る隙を与えて来なかった。近接戦はまず警戒されていると見て良いだろう。
なら、交代なしというゴミルールを突いたハメ技で痛い目を見せてやるとするか。
変わらず、フウロは『めいそう』を積んで特攻と特防を上げてきたので、ポカブに『あくび』を指示する。
その瞬間、フウロは慌てて『とんぼがえり』を指示してきた。そうか、『とんぼがえり』は技なので、交代不可のルール外に適応されるのか――と、思いつつ、ほのおタイプのポカブに不一致のむし技によるカスダメが入り、ココロモリがボールに戻っていく。
あのまま放置すれば、眠って落下したココロモリをボコって終わりだったのだが、流石にフウロもなりふり構ってはいられないようだな。その意気や良し。
まぁ、逆に審査側は、フウロが反則ギリギリの交換技を使ったことに少し難を示しているようだが、技による効果は仕方ないだろう。俺側がクレームを上げれば問題として提起されるかもしれないが、当然ながらそんなことをする気は皆無だった。
続けて、フウロはスワンナを出してくる。コアルヒーの進化系で、ポカブの苦手なみず・ひこうタイプのポケモンだ。
ジムリーダーが相性でごり押ししてくるとは、それだけフウロも余裕がないのだろう。別に相性を突いてはいけないルールはないので、反則ではないがジムリーダーというよりも挑戦者的な戦い方に見える。まぁ、俺としては全く問題ないけどな!
とはいえ、実際問題、ポカブにとってはピンチだった。ほのおタイプのポカブはみずタイプに弱いし、スワンナは通常特性が『するどいめ』と『はとむね』だ。
命中率が下がらなくなる『するどいめ』はともかく、『はとむね』は相手の防御を下げる技や特性を受けない効果がある。つまり、『しっぽをふる』が効かない可能性があるのだ。
おのれ、まさかこちらの『しっぽをふる』を封じてくるとは不届き千万。これがエアバトルの先読みってやつか!
と、嘆いていると、フウロは『ハイドロポンプ』を指示してきた。素直に相性を突いて攻撃してきたらしい。
流石に直撃を受ける訳には行かないので、『ニトロチャージ』で速度を上げながら攻撃を回避していく。命中率八割には当たりたくねぇからな。
ってかおい。まさか、大技を当てて一発KOなんてゴミみたいな読みはしていないだろうな?
こんなもんかよ――と、言わんばかりに、敢えてポカブに『しっぽをふる』で尻を振らせる。どうやら思った通り、特性は『はとむね』だったようで、スワンナに効果はないようだったが挑発としては100点満点だ。
お前の攻撃など、尻を振っても余裕だと言わんばかりの余裕を見せられて、スワンナが怒った様子を見せる。しかし、フウロは「スワンナ、冷静に!」と一喝して、すぐに冷静さを取り戻させた。へぇ、ジムリーダーとしての能力はちゃんとある訳だ。
ポケモンとのコミュニケーションは問題なし。ならば、やはりその能力を見せてくれ。
と、思っていると、フウロが『アクアジェット』を指示してきた。今度は先制技の速さでこちらを翻弄しようという狙いのようだ。
ポカブも『ニトロチャージ』で反撃を指示する。先制技が早いとはいえ、ポカブもこれで二段階素早が上がっているので十分追いつけるはずだ。とはいえ、流石に相手が苦手なみずタイプということで、真正面からのぶつかり合いでは少し分が悪い。
ここで、フウロが技を見せてきた。『アクアジェット』と『ニトロチャージ』のぶつかり合いで、敢えてポカブを弾き飛ばさずに技の終わりにスワンナの羽根をポカブの腹の下に滑り込ませたのだ。
そのまま、『おいかぜ』を指示してくる。突如として発生した風にポカブが宙を舞い、逆にスワンナは速力を得て追撃の『ブレイブバード』を打ってきた。ここで命中不安定のドロポンを選ばなかったのは英断だな。
こちらとしても、空中でバランスを崩したポカブに避けるすべはなく大ダメージを受ける。このままフィニッシュと言わんばかりに、フウロは『ハイドロポンプ』を指示してきた。
命中不安の『ハイドロポンプ』だが、『ブレイブバード』で吹き飛ばされた今のポカブに回避することは出来ない。
本来であれば、こちらが地面に落ちた瞬間、追撃の一撃を受けてポカブも戦闘不能になっていたことだろう。こちらの動きを封じる見事な連携だと素直に称賛できる。
しかし、ポカブは不意に『おいかぜ』で吹き飛ばされた時も、『ブレイブバード』の直撃を受けた時も、ずっと空中で『ニトロチャージ』を使用していた。それは追加効果の素早を上げる効果で素早をさらに二段階上げるためだ。
ポカブが地面にぶつかる――同時に、『ハイドロポンプ』が発射された。本来であれば、体勢を立て直すポカブにこの攻撃は避けられない。
だが、素早が合計四段階上がった今のポカブならば、ギリギリで攻撃を回避できた。受け身を取り最小限の動きで体勢を立て直すと、向かい来る水砲の一撃を回避し、そのままポカブがスワンナに向かって突撃していく。
フウロはすぐに気付いて飛ぶように指示した。しかし、まだスワンナは『ハイドロポンプ』を撃っている最中だ。攻撃モーション中に別の行動をとるのは簡単なことではない。
逆に四段階アップした素早を得たポカブは真っ直ぐ走って勢いを付けていった。そのまま、最後の技である『もろはのずつき』でスワンナに威力150のいわ技の致命傷を与える。
いくら弱点とはいえ、普通ならば一撃ではスワンナを戦闘不能には出来ない。だが、『ニトロチャージ』による、素早四段階アップの勢いを追加した『もろはのずつき』は、ろくに防御態勢も取れていないスワンナの体力を一撃で持っていった。
しかし、この素晴らしい技にも重大な欠点がある。与えたダメージの半分のダメージを自分も受けるのだ。ほぼ相殺したとはいえ『アクアジェット』の一撃と、『おいかぜ』で
加速した『ブレイブバード』の一撃を受けたポカブにこの自傷ダメージは耐えられない。
結果、ダブルノックダウンとなるが、苦手なみずタイプ――それも、空を飛んでいる相手にこの結果は大金星と言わざるを得なかった。
ポカブの健闘を称えながらボールに戻す。
続けて、フウロは再びココロモリを出してきた。こちらは相性のいいワルビルを出していく。この対面は完全に読めていたので、こちらの出し勝ちとなる。
フウロとしても最後のポケモンを早々に出したくはないだろうし、ここでココロモリを出してくることは読めていた。エスパーを持つココロモリに強いあくタイプのワルビルを出すのはセオリーと言って良い。
おそらくだが、『めいそう』を積んでいたことから、フウロは特性『たんじゅん』を利用した高火力『アシストパワー』で攻める気だったと見ている。
だが、エスパー技の効かないあくタイプのワルビルが相手ではそう簡単にはいかない。
ジムリーダーはタイプが固定される都合上、常に挑戦者から相性で攻められる。これに対応するのは当たり前のことであり、フウロが如何にジムリーダーとして対策を考えているかのテストでもあった。
既にココロモリは『めいそう』と『とんぼがえり』の二枠を使用している。残り二つをどうしようしてくるか――と、見ていると、再びフウロは空中で『めいそう』を始めさせていた。
とはいえ、何度も何度も同じことをさせていても面白くないので、『いちゃもん』を使って連続で同じ技を出せなくさせる。これで『めいそう』は、別の技を使わないと使えなくなったぞ?
それならばと、フウロは『エアスラッシュ』を指示してくる。ワルビルはひこう技が等倍だし、威力が上がった今、先手を取って怯み狙いということか。
悪くはないが、素直だな――と、思いつつ、こちらは『ストーンエッジ』を指示する。とはいえ、別にココロモリに当てる訳ではなく、自身の周りに盾になるように岩山を配置した。
これで、『エアスラッシュ』はワルビルではなく、『ストーンエッジ』によって発生した岩山が受けてくれる。
フウロとしても、自身の読みとは違う技の使われ方をして驚いているようだが、まだまだこんなもんアニポケじゃ序の口よ――と、考えていると、『おいかぜ』の効果が切れた。
では、ここからはこちらのターンということで、岩の陰にこっそり『みがわり』を置かせ、ワルビルに『かみくだく』を指示して背後から飛び掛かって攻撃を仕掛けていく。
当然、フウロは『エアスラッシュ』で即迎撃を指示するが、『みがわり』の攻撃誘導効果によって技は岩山にぶつかるだけだった。いやぁ、アロエには本当に良いことを教えて貰ったぜ。
組み付かれたココロモリは地上に墜落し、ガジガジと後ろから『かみくだく』のダメージを受ける。フウロはまだ仕掛けに気付けないようで、何とか反撃を指示するも、再び『エアスラッシュ』は岩山に向かって放たれた。
この隙に二撃目の『かみくだく』で体力をこれでもかというくらいに奪っていく。これはまずいと判断したフウロは咄嗟に『とんぼがえり』で再びココロモリをボールに戻した。
暴れまわるココロモリがボールに戻る。
本来であればココロモリは『みがわり』に向かって飛んでいくはずだが、ゼロ距離で組み合っていたため、ワルビルにぶつかってボールに戻っていた。
成程、『みがわり』の攻撃誘導効果も確実なものではなく、『みがわり』と本体の方向が重なったり、近すぎたりすると普通に本体に攻撃が当たるのか。
これは良いことを学ばせて貰った――が、地味に弱点のむし技を受けて、ワルビルもダメージを受けてしまう。
そのまま、フウロは最後の一体であるケンホロウを出してきた。ケンホロウはオスとメスで顔がわかりやすい。フウロのケンホロウは飾りがあるのでオスのようだ。
先程から、自分の攻撃が明後日の方向に向かって完全に混乱しているフウロだが、まだこちらの『みがわり』は健在だった。『みがわり』の存在はフウロからは死角になっているし、このワルビルの無敵の種を見破れるかな?
と、思いつつ、ワルビルに再び『ストーンエッジ』を指示する。今度は直撃を狙って範囲を絞って長さを重視した。流石に弱点ということもあり、フウロも回避を指示する。
が、思ったよりも攻撃が早かったのか、ギリギリ当たりそうだった。咄嗟に、『エアカッター』を指示して岩を砕こうとするが、『みがわり』のせいで技は明後日の方に向かっていく。
しかし、『エアカッター』のモーションのおかげで、ギリギリ『ストーンエッジ』は当たらなかった。
そう簡単には捕まえさせてくれないか――と、考えていると、ケンホロウが何かを見つけたようで声を上げる。
どうやら、高高度から隠れている『みがわり』君を見つけてしまったらしい。
フウロも、それで『みがわり』の秘密に気づいたようで、すぐに『エアカッター』で『みがわり』を破壊させに行く。が、先出しの『いちゃもん』で『エアカッター』を封じさせてもらった。
連続して同じ技を出せなくなったケンホロウの動きが一瞬止まる。そのまま、無防備な背中から再び『かみくだく』で強襲を仕掛けた。
ならばとフウロも『みきり』で、こちらの攻撃を回避し、『エアカッター』で『みがわり』を破壊していく。だが、ケンホロウも追撃の『かみくだく』の直撃を受けて墜落していった。
このまま追撃の『ストーンエッジ』を指示する。組み伏せている以上、ケンホロウに避ける手段はない。『みきり』なら避けられるかもしれないが、『ストーンエッジ』を避けられても追撃の攻撃は防げなかった。
フウロも『みきり』では後が続かないと考えたようで、敢えてここで『はねやすめ』を指示してくる。上手い――これでケンホロウは一時的に、ひこうタイプではなくなる。よって、いわ技は等倍となり、おまけに体力まで回復出来ていた。
不一致のいわ技ならば、いくら火力があろうと等倍なら回復の方が上回る。フウロは咄嗟の機転で体力を回復させつつ、ワルビルの拘束から上手く逃げ出していった。
さらに運はフウロに味方する。
エッジによる自爆攻撃で、ワルビルの拘束から抜け出したケンホロウは素早く空中で体勢を立て直すが、ワルビルは飛べないので空中では上手く動けず隙を晒す結果となった。
何とか地面に足を付くが、フウロはその隙を逃さない。最後の技として『ブレイブバード』を指示し、ケンホロウがワルビルに突撃してきた。
等倍とはいえ、ひこうタイプでもトップクラスの物理攻撃技だけあって、ワルビルも吹き飛ばされていく。
どうやら、ケンホロウの特性は技が急所に当たりやすくなる『きょううん』のようで、『ブレイブバード』の一撃でワルビルももうフラフラになっていた。しかし、与えたダメージの33%の自傷ダメージを受けてケンホロウも残り体力は少ない。
だが、このバトルはここまでだった。ケンホロウは上空から『エアカッター』を繰り出してくる。
この高さでは『ストーンエッジ』も『かみくだく』も当たらないし、『みがわり』を使うだけの体力も残っていない。『いちゃもん』ももう使っているので、そのままワルビルは戦闘不能になった。
これで、こちらの残りはギガイアスのみ。
しかし、いわタイプはひこうタイプにとってかなり苦手な相手だ。みずタイプを合わせ持つスワンナはポカブが倒してくれたし、まだこちらにも勝機は十分残っている。
最後のギガイアスを出すと、フウロが表情を曇らせた。ケンホロウは既に全ての技を使い切っている。『エアカッター』、『みきり』、『はねやすめ』、『ブレイブバード』と、その中でギガイアスに有効な技は一つもない。
逆にギガイアスは、体力もマックスで技も使いたい放題の状況だ。これで負けたら、ギガイアス君はニューサトシスペシャル特別メニュー行きだな。
ギガイアスは純粋ないわタイプで、かなり重量級ポケモンだ。正直、種族値はドサイドンとほぼ被る。
ただ、ドサイドンよりも特防が高いし、いわ単タイプなので受けに優秀な感じだ。四倍弱点はないというのはやはり大きい。特性『がんじょう』で一撃じゃ倒れないしな。
フウロは『エアカッター』を指示してきた。元々『エアカッター』は急所に当たりやすい効果があり、ケンホロウの特性『きょううん』で確定急所技になっている。
これで少しでもダメージを稼げればという狙いだろうが、流石にいくらタイプ一致急所とはいえ、効果今一つの技ではギガイアスの体力を僅かにしか削れなかった。
対するこちらは『エアカッター』の一撃を受けながら、『うちおとす』で冷静にケンホロウを地面に叩き落としていく。
この技は物理いわ技で威力が50しかないが、特性『ふゆう』やひこうタイプのポケモンにじめん技が当たるようになるという技で、宙に浮いている相手を地面に叩き落とせるのだ。
おまけに、ケンホロウは二倍弱点で威力はタイプ一致75となっている。当然、ワルビルとの戦いで削られた体力で耐えられるはずもなく、即座に戦闘不能になっていた。
これで、向こうは体力が約1/3程しかないココロモリのみ――勝敗はもう決まったようなものだ。
しかし、フウロは最後まで諦めないとココロモリを繰り出してくる。もし、ここで諦めていたら、アデクはきっとフウロからジムリーダーの資格を奪っていただろう。ジムリーダーにとって一番大切なのは決して挫けない心だとあいつはわかっているからだ。
とはいえ、状況は圧倒的にフウロ不利だった。体力は約1/3しかなく、技も『めいそう』、『とんぼがえり』、『エアスラッシュ』と殆どがギガイアスに効かない。
だが、ケンホロウのおかげで『がんじょう』の特性は剥がせていた。後は、有り余るギガイアスの体力を如何に奪うか――フウロが選んだのは『めいそう』だった。
こちらは『うちおとす』でココロモリの体力を削っていく。もう、体力は残り僅か。仮に、『アシストパワー』を使ってもギガイアスは倒れない。
故に、フウロは最後の技として『ギガドレイン』を選択してきた。相手にダメージを与えつつも自身も回復できる技。威力は75でタイプ不一致だが、『めいそう』の特攻特防一段階アップ(特性『たんじゅん』で効果は倍)によって、威力は約二倍になっている。
一か八かではなく、後ろに続く素晴らしい技チョイスだが、それを通すほどニューサトシは甘くない。『まもる』で『ギガドレイン』を防ぎ、その一撃を防御していく。
同時に、フウロの顔が絶望に染まる。
それでも、負けじと『ギガドレイン』を連打してきた。こちらの『まもる』は何度も連続で使える技ではない。連打すれば、フウロにもまた勝ち目は残されている――が、甘い。
不意打ちの『ギガドレイン』なら通ったかもしれないが、わかっているなら対策は容易だ。『すなあらし』を使ってフィールドを砂嵐状態にしていく。
向こうの『ギガドレイン』は遠距離からの攻撃故に、こちらの技発生がギリギリで間に合った。フィールドが砂嵐になったことで、いわタイプのポケモンは特防が1.5倍になる。
つまり、ギガイアスの特防種族値は実質130となっていた。いくら火力が上がっていても、タイプ不一致の『ギガドレイン』では1/3も削れない。回復量など微々たるものだろう。
それでも、フウロは『ギガドレイン』の急所に賭けた。対するこちらは最後の技として、『ストーンエッジ』を指示する。
命中率に難のある技だが、『ギガドレイン』中のココロモリに回避は難しく、また追加効果の急所に当たりやすい効果が発動して一撃でココロモリを戦闘不能に持っていった。
咄嗟の『まもる』はともかく、『すなあらし』を使う意味はないのではないか――と、思うかもしれないが、特防1.5倍がなかったら万が一『ストーンエッジ』が外れた場合、フウロにワンチャンスを与えかねない。あそこは万全を期すべきと判断した。
フウロが自身の敗北に膝から崩れ落ちる。とはいえ、内容自体はそこまで悪いものではない。まだまだ未熟な面もあるが、とりあえず俺としては別にジムリーダーを継続させても問題ないくらいの力はあると感じた。
それは、シロナやアデクも同様だったようで、ジム閉鎖の危機は無事に回避できたようで、フウロもホッとした様子を見せている。とはいえ、まだ完全に認められた訳ではないのだ。これまでの自分の間違いを恥じて、これからはしっかり頑張るんだな。
と、偉そうなことを言いながら、新生フウロからジェットバッジを受け取る。全く、ジム一つに偉い騒ぎだったな。
原作との変化点。
・第68話『フキヨセジム! VSフウロ空中決戦!!』より、調査が入った。
当然ながらジムとしては不適格だが、お情けをかけてバトルしている。結果はフウロの負けだったが、なんとか首の皮一枚繋がった。
・しっぽをふる。
エアバトルなんてバカなバトルに怒らない訳がない。だからこそ、普通なら絶対に使わないであろう技をあえて使うニューサトシの煽りスタイル。
・ニューサトシの対応について。
前話で、ニューサトシが暴れなかったことに疑問の声が多かったですが、上記でも書きましたが勿論怒ってはいます。が、怒りをぶつける前に呆れさせられてしまったため、無駄に暴れていないだけです。好きの反対は嫌いではなく、無関心みたいなもんです。前話ではもう怒る価値すらないと判断しています。むしろ、フウロからすれば怒って貰った方が幸せだったかもしれませんね。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.67
ピジョット Lv.61
バタフリー Lv.61
ドサイドン Lv.64
フシギバナ Lv.61
リザードン Lv.66
カメックス Lv.61
キングラー Lv.61
カモネギ Lv.61
エビワラー Lv.61
ゲンガー Lv.63
コノヨザル Lv.61
イーブイ Lv.61
ベトベトン Lv.61
ジバコイル Lv.61
ケンタロス Lv.61
ヤドラン Lv.61
ハッサム Lv.61
トゲキッス Lv.61
プテラ Lv.61
ラプラス Lv.61
ミュウツー Lv.76
バリヤード Lv.61
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.60
カビゴン Lv.61
ニョロトノ Lv.60
ヘラクロス Lv.60
メガニウム Lv.60
バクフーン(ヒスイの姿) Lv.60
ラティアス Lv.58
ヘルガー Lv.59
ワニノコ Lv.59
ヨルノズク(色違い) Lv.58
カイロス(部分色違い) Lv.58
ウソッキー Lv.59
バンギラス Lv.62
ドンファン Lv.59
ギャラドス(色違い) Lv.59
ミロカロス Lv.55
ラグラージ Lv.54
オオスバメ Lv.54
ジュカイン Lv.54
ヘイガニ Lv.54
フライゴン Lv.59
コータス Lv.52
サーナイト(色違い) Lv.48
オニゴーリ Lv.52
ワカシャモ Lv.51
メタグロス(色違い) Lv.51
エテボース Lv.49
ムクホーク Lv.48
ドダイトス Lv.47
ブイゼル Lv.48
ムウマージ Lv.51
カバルドン LV.47
ミカルゲ Lv.57
グライオン Lv.46
ロトム Lv.47
ユキノオー Lv.46
ガバイト Lv.42
ゾロア(ヒスイの姿) Lv.31
コモルー Lv.41
カイリキー(変異体) Lv.41
ミジュマル Lv.38
ポカブ Lv.37→38
ツタージャ Lv.38
ズルッグ Lv.28
ハハコモリ Lv.35
ペンドラー Lv.37
エルフーン LV.37
ギガイアス Lv.36→37
ワルビル Lv.40→41
※ワルビルが技を五つ使っていたので、『こわいかお』を削除してバトルの流れを少し変更しました。また、その関係でケンホロウも『こうそくいどう』ではなく『みきり』に変更しています。ただ、バトルの大筋は変わっていませんので、特に気にしなくても大丈夫です。