ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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♯296 『ねぇ、今どんな気持ち?』

 14歳 κ月ι日 『にらみつけるからのソラビ?』

 

 PWTJCP(ポケモンワールドトーナメントジュニアカップ)の第一試合は、シュー太郎さん対カベルネのぶつかり合いだった。

 カベルネはヒヒダルマを新たに捕まえたようだが、シュー太郎さんが相棒をジャローダまで進化させており、必殺技(?)の『にらみつける』からの『ソーラービーム』で、ヒヒダルマを一撃KOしている。

 

 どうやら、シュー太郎さんは瞬殺の貴公子とイッシュでは呼ばれているようで、どや顔で「防御を下げて特殊で倒す……基本だろ」とポーズを決めていた。

 

 しかし、ある程度のレベルのトレーナーは全員首を傾げている。『にらみつける』はあくまで物理防御を下げる技であり、『ソーラービーム』は特殊攻撃技だ。

 当然ながら、『にらみつける』は相手をビビらせて動きを封じるくらいにしかならず、おそらく『ソーラービーム』もたまたま急所に当たってワンキルになっただけだろう。

 

 だが、シュー太郎さんは変わらずどや顔を浮かべている。まさかギャグではなく本気で? だとしたら、どこまで迷走しているんだという話になるのだが――いや、実際に戦えばわかるか。

 

 と、考えていると、いつの間にか第二試合が終わっており罰金野郎が勝利していた。第三試合は、またもや知り合い同士のぶつかり合いで、デントVSミツル君のぶつかり合いになっている。

 デントはプルリル、ミツル君はジヘッドと、地味に相性はデントの方がよろしくない。予想通り、追い込まれたデントだったが、バトルの最中にプルリルがブルンゲルに進化したことでパワーが増して逆転勝利を決めている。

 

 続く第四試合が順当に終わると、第五試合は俺とヒロシ君が再びぶつかり合うという事態になった。

 

 ヒロシ君はひこうタイプのケンホロウ(前のハトーボーが進化したらしい)を、こちらはやる気満々のズルッグを出していく。

 ようやくの公式戦で気合は十分――後はひこうタイプをどう攻略するかだが、ヒロシ君は開幕で『いばる』を使ってきた。が、それは既に見たことある技であり、対処法もしっかり考えている。『ちょうはつ』で中指を立て、『いばる』を無効化してやった。

 

 駄目だなぁ、ヒロシ君。

 

 俺が見たことある技は当然の如く警戒済みだ。無警戒ならケンホロウの『いばる』が完全に決まっていただろうが、警戒しているこちらは向こうが変化技を使ってくるとわかった段階で『ちょうはつ』をかましていた(そうするように事前指示済み)。

 

 ヒロシ君は実力差から俺が舐めてかかってくると思っていたのかもしれないが、残念なことに俺はどんな相手でも舐めてかかったことはない。

 勿論、実力差がありすぎるあまり、バトルではなくて稽古になってしまう場合もあるが、そうなっても俺は手を抜いて戦うなんてことはしないのだ。老若男女――どんな奴が相手でも、俺は勝つために戦う。仮に、今にも死にそうな爺さん相手でも俺は容赦なく殴るぞ。

 

 こうなっては直接戦うしかないと、ヒロシ君もひこうタイプの中でもトップクラスの技である『ブレイブバード』を指示してくる。

 こちらは『もろはのずつき』で対抗した。

 頭の固さなら負けんと、ズルッグが頭をぶつけていく。本来、『もろはのずつき』は命中率が八割しかない技だが、向こうから当たりに来てくれているおかげもあってしっかり当てることが出来ていた。

 

 勢いの付いたブレバ相手で、おそらく威力は五分――種族値の差を考えるとズルッグの方が不利だが、その頭の固さはそんな不利も乗り越えたようでケンホロウにダメージを与えている。

 デメリットとして、与えたダメージの半分の自傷ダメージを受けるが、気の強いズルッグは怯むことなくケンホロウの翼を掴んでそのまま背中に乗り上げていた。普通なら、頭のぶつかり合いの後は、その衝撃でフラつくものだが、気合でケンホロウを捕まえている。

 

 ケンホロウも何とかズルッグを振りほどこうと『でんこうせっか』で身をよじるが、ズルッグも意地で捕まったままだ。

 そのまま、拳に青い光のエネルギーが集約する。『れいとうパンチ』だ。本来であれば『かみなりパンチ』でもいいし、ピカ様もいるのでそちらの方が覚えやすいはずだが、ゾロアが怖がるという理由でズルッグは『かみなりパンチ』の習得を後回しにしていた。

 

 が、ケンホロウにはどちらも弱点なので関係ない。背中から振り抜いた一撃でケンホロウを地面に叩き落としていく。その間に、ズルッグは『ちょうはつ』をかけ直した。

 ヒロシ君も、こちらの『ちょうはつ』の隙を突くのは難しいと判断して、『ぼうふう』を指示してくる。遠距離からの攻撃で、ズルッグを倒そうという狙いらしい。ケンホロウが、空中へと跳び上がっていった。

 

 放たれた暴風が、ズルッグを襲っていく。威力110で命中七割だが、当たれば三割の確率で混乱状態に出来る。

 しかし、風が止んだ時、フィールドにズルッグの姿はなかった。どこかに飛んでいったのかと、ヒロシ君やケンホロウが周囲を見渡す――すると、フィールドの一点に小さな穴が開いていることにヒロシ君も気づいた。

 

「しまった!?」

「遅い! 飛べズルッグ! 冷凍昇龍拳だ!!」

 

 ズルッグは相手の『ぼうふう』に合わせて、『あなをほる』で地面の中に避難していたのだ。どんなに強力な風も、地面の中までは追いかけては来られない。

 しかし、相手はひこうタイプだ。そのまま突撃しても駄目――とはいえ、『あなをほる』の最中に他の技を使うのは超高等技術故に、ズルッグも出来るかどうかは半々だった。

 

 たっぷりと時間をかけて『れいとうパンチ』のエネルギーを拳に集約し、穴を出てケンホロウのいる場所までジャンプする。

 まだ技術は完璧ではないが故に、『れいとうパンチ』の威力もかなり低くなってしまっているが、それでもズルッグは意地で超高技術を再現して見せた。

 

 ギリギリで回避をしようとするケンホロウの嘴を『れいとうパンチ』が掠める。弱点攻撃だが、これでは大したダメージにはならない――と、ヒロシ君がホッと一息ついた瞬間、ケンホロウの嘴が凍り付いた。一割の氷状態を引いたのだ。

 

 いきなり自分の嘴が凍ったことで、ケンホロウも慌ててしまう。逆にズルッグはその隙を突いてケンホロウの足を掴み、腕の力だけで逆上がりをするように無理やり自分の体を空中に放り投げると、落下のエネルギーをプラスした『もろはのずつき』でケンホロウにとどめを刺した。

 

 フラフラではあるが、勝利は勝利。公式戦初の勝利を決めて、ズルッグが興奮で両手を振り上げる。観客席ではラティやメロエッタは勿論、ゾロアも大喜びしており、弟分の初勝利を懸命にお祝いしていた。

 

 その後、続く第六試合ではハルカが余裕の勝利を決め、第七試合もヒカリが勝っている。

 

 そして、一回戦最後の第八試合では、アイリスとラングレーの因縁の対決となった。

 

 当のラングレーも、ドラゴンマスター(予定)VSドラゴンバスター(自称)のバトルが出来ると大喜びしているが、アイリスとしてはまだ実力が足りないのにドラゴンマスターを自称する気はないようで恥ずかしがっている。

 

 試合が始まると、アイリスはカイリューを出した。ここをデビュー戦にしようと考えているのだろう。

 ラングレーも、アイリスのドラゴンポケモンはキバゴだけだと思っていたようで少し驚いていたが、ならばと切り札のツンベアーを出してくる。

 

 しっかし、前々から思っていたが、ドラゴンバスターを自称するならこおりタイプじゃなくてフェアリータイプを使えばいいのに――と、思った瞬間、そういえばアニメというか、前世でフェアリータイプが実装されたのはXYからだったということを思い出した。

 そうか、ラングレーは時代の被害者だったのか。

 もし世代が一つでも違っていれば、ニンフィアやサーナイトを使うライバルになっていたかもしれないと考えると、なんか似合わなくて草。やっぱ、ラングレーは今のままの方がギャグキャラとしても面白いし、下手にフェアリーに逃げずに頑張ってほしい。

 

 と、思っていると、バトルがスタートしていた。

 

 どうやらアイリスはカイリューの性格にあったバトルをするつもりのようで、相手の技を避けずに敢えて力で粉砕する動きを見せている。

 ポケモンのしたいことを優先しながら、関係性を結んでいこうと考えているのだろうが、そうやってカイリューペースでバトルさせるといざという時に意見が食い違うぞ。

 

 実際、途中までは受けきれていたが、後半からは弱点のこおり技の前に沈黙している。アイリスも回避するように指示は出しているが、カイリューの負けず嫌いな性格を考えれば回避などするはずがなかった。

 最終的に、カイリューはアイリスの指示を無視して、『ほのおのパンチ』の一撃でツンベアーを戦闘不能に追い込んでいる。負ける前に勝てばいい――と、いう簡単な理屈ではあるが、このままやりたい放題しているだけではいずれ限界が来るだろうな。

 

 

 

 14歳 κ月ι日 『ねぇ、今どんな気持ち?』

 

 毎回言っているが、ポケモンが言うことを聞かないのは、ポケモン自身のプライドが高いか、トレーナーが馬鹿にされているかの二択だ。

 今回のカイリューは前者に当たる。

 強い自分を本当に使いこなせるのかという疑問が、アイリスへの不信として出ているのだ。下手にプライドが高いが故に、トレーナーを信じられないという形だな。

 

 こういう場合は、プライド自体を粉々に砕くか、相手を納得させるしかない。ちなみに、俺のサザンドラの場合は両方やった。

 

 とはいえ、俺には俺のやり方があるし、アイリスにはアイリスのやり方がある。下手にアドバイスなどしても混乱させるだけだろう。

 あの二人の関係は、あの二人がどうにかすべきことであり、俺が口出しするのは余計なお世話というものだ――と、いうことで、二回戦へと意識を戻す。

 

 第一試合はシュー太郎さんVS罰金野郎となっている。ジャローダVSエンペルトという対戦だが、相変わらずシュー太郎さんは『にらみつける』からの『ソーラービーム』という謎コンボを披露してきた。

 

 当然ながら、罰金野郎にそんな必殺(笑)コンボが通用するはずがなく、『あまごい』からの『ハイドロカノン』で反撃を食らっている。

 流石に半減なのでワンキルとは行かなかったが、『にらみつける』で隙を晒している上に、『ソーラービーム』というターンがかかる技をチョイスしているシュー太郎さんに勝ち目はない。

 

 事実、罰金野郎が「お前、勘違いしてんじゃねーの?」とツッコミを入れると、真っ赤な顔で今度は『リーフブレード』を指示していた。確かに、物理攻撃技である『リーフブレード』ならば、『にらみつける』ともシナジーがある。

 だが、罰金野郎は完全に油断し過ぎだった。

 自分の方が有利だという油断からか、防御もせずにまともに相手の攻撃を受けたのだ。相手は既に体力1/3以下で特性『しんりょく』が発動しており、攻撃が1.5倍になっている。おまけに、『にらみつける』でエンペルトは防御が一段階下がっていた。

 

 さらには『リーフブレード』には急所に当たりやすいという追加効果も有り、一刀の下エンペルトを戦闘不能まで追い込んでいる。

 まさにミイラ取りがミイラという馬鹿みたいな結果に、流石のニューサトシも煽る言葉が止まらない。

 思わず、「ねぇどんな気持ち? 『にらみつける』、『ソーラービーム』ってイミフコンボ使ってた相手に余裕見せて負けるのってどんな気持ち?」と、畳みかけると、「くっそー! お前も負けたら罰金だからなー!」と言って走って行ってしまった。

 

 そんなこんなで罰金野郎を煽っていると、二回戦はデントがヤナップで相手を蹂躙して終わっている。

 そして続く三回戦は、俺とハルカのバトルとなった。ハルカはカメールを出してきたので、こちらは公式初デビューのゾロアを使っていく。

 

 ゾロアは特性の『イリュージョン』でズルッグに化けていた。流石のハルカも、まさかゾロアが化けているとは思わずズルッグの喧嘩早さを警戒している。

 

 開幕、ハルカは『みずでっぽう』を指示してきた。近寄らせずに遠距離で戦うスタイルのようだが、ゾロアは上手く攻撃を回避していく。

 それならと、ハルカはカスミさん直伝の『こうそくスピン』からの『みずでっぽう』というユナイト殺法を繰り出してきた。

 

 流石にこれは避けきれないので、『まもる』で攻撃を防いでいく。

 ここで、ハルカは『のしかかり』を指示してきた。遠距離攻撃主体と見せての近距離戦闘を仕掛けていくスタイル。誰に似たのか、意外性を突いたいい戦術だ。

 

 だが、残念だったな。

 

 ズルッグが相手なら、『のしかかり』は決まっていただろう。しかし、『イリュージョン』による変化はタイプまでは変わらない。

 ヒスイゾロアはズルッグに化けていても、タイプは相変わらずノーマル・ゴーストタイプなので、ノーマル技は効果が無効だった。

 

 全く効いていないことに驚くハルカだが、こちらは追撃の手を止めるつもりはない。『あなをほる』を指示して、ゾロアに地面に潜らせる。

 カメックスなら『じしん』を覚えていたかもしれないが、カメールは『じしん』を覚えない。故に、追撃の心配はなく、逆にこちらはまだゾロアをズルッグと誤認させたままだった。

 

 穴から突撃したゾロアがカメールにぶつかっていく。だが、敢えてハルカはその攻撃を受けた。そのまま、着地するゾロアを狙って『みずでっぽう』が放たれる。

 いくらゾロアでもその攻撃は避けきれない。一撃を受けたことで『イリュージョン』が解除されてゾロアの正体が明らかになってしまう――同時に、珍しいヒスイゾロアの姿に会場が大盛り上がりになった。

 

「やっぱり、ゾロアだったんだ!」

「いつ気づいた?」

「最初に変だと思ったのは『のしかかり』の時。でも、確信したのは『あなをほる』を受けた時、思ったよりも威力低いかもーって」

 

 特性の『イリュージョン』はあくまで姿を変えるだけであり、能力とかタイプはそのままだからな。

 ヒスイゾロアは基本特殊型だし、常に周囲に喧嘩を売っているズルッグよりもパワーが劣るのは仕方がない部分がある。

 

 正体が判明してからは、ゴーストタイプっぽく搦手で攻めていくことにした。『のろい』からの『かげうち』、『あなをほる』、『まもる』で回避防御の遅滞戦術を繰り出せば、カメールではどうにも出来ずに時間で戦闘不能となる。

 

 あまりに大人気ない勝ち方に、「サトシはいつも私に意地悪かも!」と、ハルカも怒っていたがゾロアが初勝利に喜んでいるのを見て渋々矛を引いていた。

 

 そして、最後の二回戦第四試合ではヒカリのマンムーと、アイリスのカイリューのぶつかり合いとなっている。

 最初こそカイリューはアイリスの言うことを聞いているが、やはり次第にいうことを聞かなくなっていく。しかし、なまじ実力があるからか、苦手なこおりタイプのマンムー相手にも何とか逆転勝ちを決めていた。

 

 ぶっちゃけ、アイリスとしては負けてくれた方がカイリューを説得しやすいんだろうな。

 

 だが、アイリスの手持ちでカイリューを倒せる可能性があるのはドリュウズだけだ。そのドリュウズも最近になってようやく言うことを聞くようになったが、ブランクの期間が長くてカイリューにはレベルで負けてしまっているため絶対ではない。

 

 と、すると、次の試合で俺がアイリスを倒してやるしかないな――と、思いながら、準決勝は第一試合がシュー太郎さんとデント、第二試合が俺とアイリスの組み合わせになった。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第90話『ジュニアカップ開幕! カイリューVSツンベアー!!』より、例の技にツッコミを入れた。
 にらみつけるからのソラビ!? 

・アイリスがカイリューに合わせた。
 トレーナーとしての能力が原作よりも上がっているのでカイリューに合わせた指示を出すも、いざとなったらカイリューは攻め。アイリスは守りを選び、意見が食い違っている。

・罰金野郎がシュー太郎さんにツッコミを入れた。
 が、調子に乗って敗北している。

・第91話『パワーバトル! アイリスVSヒカリ!!』より、ニューサトシとハルカがバトルした。
 イリュージョンでズルッグになってしばらく戦っていた。最終的にはゴーストタイプのいやらしさで勝っている。

・アイリスとカイリューは変わらず。
 一回戦と同じく、序盤は良くて終盤が駄目という感じ。



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