ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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♯313 『想像以上に近接能力がやべぇ』

 15歳 β月σ日 『読まれている』

 

 今日から準決勝だが、先に戦ったシゲルVSテツヤは危なげなくシゲルが勝利を決めた。

 まぁ、長靴を履いたニャースは確かに珍しいが、メインウェポンがタイプ不一致の『10まんボルト』では少し火力不足としか言いようがない。ダイマックスを自在に操るシゲルに勝つには、残念ながら実力が少し足りていなかった。

 

 これに勝てば次はシゲル戦だが、そのためにはまず目の前の敵を倒さなくてはならない。

 

 視線を相手のトレーナーゾーンに向けると、シンゴが絶対に負けないと気合の入った表情を見せてくる。

 こちらとしても、この数年でお前がどれだけポケモン達を育てて来たか。そのデータ収集力と分析力がどこまで伸びたかとても興味があった。

 

 悪いが、俺はこの数年でビックリ箱の異名を頂戴するくらいには動きが読めない男になったぞ? 精々、翻弄されないように気を付けるんだな。

 

 と、いうことで、バトルを始めていく。今回の俺のメンバーは、ピカ様、リザードン、ミュウツー、ラグラージさん、メタグロス、ミカルゲの6体だ。シンゴは前にミュウツーを倒した実績も持っている。今回は手加減なしのフルメンバーで戦うべきだろう。

 

 向こうはおそらくハッサムがいるくらいしかデータはないので、探りの意味も兼ねて初手は器用なミカルゲで様子を見に行く。シンゴは、ヌオーを出してきた。

 ジョウト出身だけあって、やはりメンバーはジョウトポケモンが多いのか? ヌオーは、みず・じめんでくさタイプが四倍という大きな弱点があるものの、他に有効打はなく耐性も優秀でかなり強いポケモンだ。

 

「ミカルゲ。データなし。公式戦はこれが初……が、ミカルゲは基本殴り合いをするタイプじゃない」

 

 何やら相変わらずボソボソ呟いているが、基本的にヌオーは真正面から殴り合うタイプのポケモンではない。シンゴなら特にそう育てていると見た――まずは『ステルスロック』警戒で、『ちょうはつ』を指示する。

 

「ヌオーを見て、初手『ちょうはつ』を選ぶ確率100%。『じしん』だ」

 

 すると、こちらの『ちょうはつ』を読んでいたように『じしん』を指示してきた。これは回避できないので受けるしかない。が、その後、すぐにシンゴはヌオーを戻してきた。

 

 成程、俺の『ちょうはつ』を読んでジャブを入れて来たって所か。やはり、アタッカーよりも受けポケとして育てられているようで、『じしん』のダメージはそこまでではない。

 それならこちらも少し遊ぼう。

 向こうの交代に合わせて『トリックルーム』を使っていく。これで、足の遅いポケモンは速く、足の速いポケモンは動きが遅くなる。こちらがただではやられないのを見て、シンゴも楽しそうな笑みを浮かべた。本当、闇落ち期が嘘のような眩しい笑みだ。

 

 続けて、シンゴは相棒のハッサムを出してくる。

 

 成程、『トリックルーム』は素早を変化させるが、先制技に関しては影響がない。ハッサムの『バレットパンチ』ならば、特に問題なく殴れるってことか。

 

「相性不利と見て、ミカルゲを交換する確率98%。『つるぎのまい』」

 

 ならば、こちらも素直にミカルゲを戻そう――と、ボールを出すと、シンゴは当たり前のように交代を読んでいたらしく、『つるぎのまい』を指示してくる。

 相変わらず、データバトルは健在のようだな。ならば、その読みを崩すためにも、こちらはラグラージさんにご登場願った。こういう時はお前の出番だろう。

 

 ハッサムの素早種族値は65で、ラグラージさんは60だ。『トリックルーム』の効果で、こちらの動きの方が早くなる。

 それにみずタイプははがねタイプを半減するので、『バレットパンチ』も威力が下がってしまう。いくら『つるぎのまい』で火力を上げたとはいえ、精々等倍ダメージがやっとのはずだ。

 

「ラグラージ。ホウエン地方で手に入れたポケモン。公式戦のデータから見て、他の個体よりもヒレのレーダーの感覚が鋭敏で相手の動きを先読みする近接タイプだが、遠距離も器用にこなせる実力を持っている……少し探りを入れるか、『バレットパンチ』」

 

 しかし、それでも問題ないと考えたのか、シンゴが『バレットパンチ』を指示してくる。

 先制技はトリル関係なく高速で攻撃を仕掛けてくるが、トリル効果でラグラージさんの動きは速くなっていた。

 

 それはつまり、レーダーによる動きの把握と対処も早くなっているということである。

 

 まるで読んでいたかのように『バレットパンチ』を回避し、そのまま腕を掴んで『10まんばりき』でハッサムを投げていく。

 途中、羽を広げて跳び上がり、地面に叩きつけられるのだけは回避したが、シンゴも「データ以上だ」とラグラージさんの能力に驚いていた。

 

 流石に野良試合は記録に残っていないだろうが、多分シンゴのことだから公式戦などで記録が残っている俺のバトルには全て目を通して分析しているはずだ。

 当然、ラグラージさんのことも知っていると見て良い。だが、それでもこのレーダーによる動きの把握と対処は想定外だったようで、データを修正した様子だった。

 

 バトル中に得た情報も使って、どんどんこちらを追い詰めるつもりだろう。ならば、俺がすることはただ一つ――シンゴのデータが完璧になる前に叩く。それだけだ。

 

 まだトリルのターンは残っているため、今度はこちらから攻撃を仕掛けていく。タイプ一致の『アクアブレイク』を指示すると、シンゴも再び『バレットパンチ』を仕掛けてきた。

 こちらが攻撃にシフトすれば、防御が手薄になると判断したのだろう。だが、ラグラージさんは上手く両手に水を纏わせてグローブのように『アクアブレイク』を展開すると、ハッサムの『バレットパンチ』を叩くように撃ち落した。

 

 まるでボクシングのスパーリングを見ているかのような綺麗な対処である。ハッサムも頑張ってラグラージさんの動きを越えようとフェイントを織り交ぜて攻撃を仕掛けてきているが、ラグラージさんはトリルの速さと才能でそれに対応していた。

 ハッサムが右の拳でフェイントをかければ、ラグラージさんはそのフェイントに反応して防御する。だから左からボディを叩こうとするが、その手を尻尾で跳ね上げられた――と、言うような感じで、上手くラグラージさんの動きを誘導してもセンスで凌がれている。

 

 前にも書いたが、シンゴの読みは相手の動きを先読みするレベルだが、近距離戦闘ではその読みよりも相手の動きの方が早くポケモンに伝える手段がないため、どうしても対応はポケモン自身に任せる必要があった。

 

 右だ上だ――と、指示を出して、それを聞いてから反応するまでのタイムラグが近接戦では致命傷なのだ。

 故にハッサム自身が頑張っていた訳だが、うちのラグラージさんは常に常日頃から超速アタッカーであるジュカインと切磋琢磨している。ある程度追い込まれても、相手の動きが自分以下なら反応できてしまうのだろう。

 

 しかし、その完璧な防御の一部を支えていたのは『トリックルーム』による素早変化でもあった。このままもつれ合ったままトリルが解除されると面倒なので、ここは『クイックターン』を指示して、トリル解除前に一度ラグラージさんを戻していく。

 

 同時に、『トリックルーム』が解除された。

 

 これで素早の変化はなくなったということで、リザードンを出していく。それを見て、シンゴはすぐにハッサムをボールに戻した。流石に相性が悪すぎると判断したらしい。

 

 シンゴは再びヌオーを出してきた。相性的に有利と見て、起点にでもしようと考えたか?

 

 けど、残念だったな。ここで、ニューサトシ必殺の思惑外しその二を使わせて貰うぜ!

 

「メガシンカだと!?」

 

 メガリングのスイッチを押し込み、リザードンをメガリザードンYへと進化させていく。

 

 驚いただろう? これまでの公式戦できずなリザードンのデータはあっても、メガリザードンのデータはないはずだ。お前が驚いている間に、特性『ひでり』によってフィールドは晴れ状態に変化する。くらえ、これが必殺貯め無し晴れソラビだ!

 

 と、メガリザードンYの『ソーラービーム』が発射される。天候が晴れ状態なので、チャージの必要はなく貯め無しで発射できた。

 シンゴは咄嗟に『まもる』を指示して防御するが、晴れ状態である以上、このソラビは連打が可能である。続く二射目が放たれ、シンゴはもう防御は無理と判断したようで最後の技として『あくび』を指示してきた。

 

 晴れソラビの直撃を受け、ヌオーが一撃で戦闘不能に持っていかれる。しかし、こちらもこのままでは眠り状態に入ってしまうので、ここで一度メガリザードンYを戻すことにした。

 

「メガリザードンだって? ……そんなもの、これまでのデータにはなかったぞ」

「ケケケ、喜べ。お前が、公式戦でのメガリザードンYのお披露目第一号だ」

 

 公式戦では一度も使っていないが故にノーデータ。完全にシンゴの不意を突くことが出来たらしい。

 おそらくは、きずなリザードンへの対策はしていたのだろう。が、まさかここでメガシンカして、特性『ひでり』からの晴れソラビが来るのは予想外も良い所のようだった。

 

 ぶっちゃけ、上手くヌオーを倒せたのはでかい。ステロを撒かれずに済んだしな。最後にステロを撒く手もあっただろうが、こちらに『きりばらい』を使わせるよりも、一旦引かせて思考するだけの時間を稼ぎたかったのだろう。

 

 ここまでは、割とうまくシンゴの裏をかくことが出来ているが、時間が経てば経つだけ情報が蓄積されていく。もう少しすれば、今のように簡単にはいかなくなるはずだ。

 

 と、言う訳で、ここは一旦場を荒らすためにもピカ様を出していく。シンゴは晴れ状態を利用しようと思ってかウインディを出してきた。

 特性『いかく』により、ピカ様の攻撃が一段階ダウンする。が、タイプ相性的には悪くなかった。でんきタイプのピカ様はほのおタイプのウインディとは等倍で戦える。

 

 シンゴとしても、引く気はないようで、『しんそく』を指示してきた。こちらも『ばちばちアクセル』で挨拶していく。

 種族値的にはウインディの方が早いのだが、どうやらこちらの方がレベルが上のようで、ウインディの一撃を捌いて上手く攻撃を叩き込んでいた。

 

 相手の『いかく』で威力は下がっているが、『ばちばちアクセル』は確定急所技なので、十分なアドは取っている――と、考えていると、ここでシンゴは『ほえる』を使ってきた。

 

 成程な、本来であればヌオーで『ステルスロック』を撒いて、ウインディの『ほえる』で負荷をかける作戦だったのだろう。

 そう言う意味ではヌオーを不意打ちで倒せたのは良かった。しかし、今『ほえる』を使ってきたのは、この神速の攻防を見てピカ様を相手にするのが苦しいと判断したからか? それとも、こちらの手の内の探っているのか?

 

 ピカ様が強制的にフィールドから弾き出され、メタグロスが元気よく飛び出していく。しかし、はがねタイプなのでウインディとの相性は最悪だった。

 シンゴはここぞとばかりに『フレアドライブ』を指示してくる。まだ晴れ状態なので、火力は1.5倍だ。真っ向から受けたら負けなので、ここは素直に『まもる』で防御する――同時に、晴れ状態が解除された。

 

 シンゴとしても、今の一撃が防御されるのは予想通りだったようで特に悔しがる様子もない。いや、むしろ『まもる』で技スロットを一つ使わせたくらいに考えている可能性もある。

 

 とりあえず天候が元に戻り、ウインディの炎で手も足も出ずに蹂躙されることはなくなった。が、相性が良くないという状況は変わっていない。

 

 出来れば戻したい場面だ。でもここで戻しても、また『ほえる』で荒らされるのも嫌だった。

 と、すると、ここは素直に居残るか。昔なら相性を考えて交代一択だったが、今では相性が悪いポケモンが相手でも十分に戦える地力がある。と、いうことで、『じしん』を指示した。

 

「『ほえる』を警戒してメタグロスを戻さない確率78%――『ほえる』のランダム性に賭ける確率17%。ミュウツーを出してごり押ししてくる確率5%。『フレアドライブ』」

 

 相変わらず、ぶつぶつ何かを呟いている。

 だが、こちらが居座るのは読めていたようで、向こうは変わらず『フレアドライブ』をチョイスしていた。ウインディの身が再び炎に包まれ、こちらに走ってくる。また、こちらの『じしん』発動に合わせてタイミングよくジャンプ回避してきた。

 

 典型的な『じしん』の避け方だな。

 

 けど、そんな当たり前の対策の対策を、このニューサトシがしていないとでも? と、こちらが笑みを浮かべると同時に、跳び上がったウインディがメタグロスに飛び掛かっていく。

 

 炎に包まれたウインディの体がメタグロスにぶつかるかどうかの瀬戸際――パンという何かを叩くような音と同時に、ウインディの目の前からメタグロスが消えた。

 否、正確には空中にいたはずのウインディはいつのまにか地面に足をつけており、『じしん』を打ち終わったばかりで回避は不可能なはずのメタグロスがその後ろに浮いている。

 

「なんだ? 二体の位置が入れ替わった……?」

 

 と、シンゴが思考しているであろう一瞬をついて、『サイコキネシス』を指示した。

 ウインディの背後からメタグロスがその動きを封じてダメージを与えていく。すると、再び『ほえる』を使ってこちらのポケモンを交代させてきた。メタグロスが強制的にボールに戻り、ミカルゲがフィールドに戻って来る。

 

 しかし、不意の一撃によって、ウインディはしっかりと大ダメージを受けていた。

 

「……何だ、何が起きた?」

 

 混乱するかのようにシンゴがそう呟くので、ここは早々に答えを教えてやる。別に教えた所でデメリットがある訳じゃない――否、教えた方がこちらにもメリットがあるからな。

 

「『サイドチェンジ』だよ。『じしん』を囮にして、ウインディとメタグロスの位置を入れ替えたのさ」

「馬鹿な! 『サイドチェンジ』はダブル専用技で、仲間との位置を交代させる技のはずだ!」

「その仲間の認識をちょっと変えてやれば、相手との位置を変えるのだって不可能じゃない。ポケモンバトルは知恵と工夫が大事だって、お前はもう知ってるだろ?」

 

 そう、『サイドチェンジ』で敵との居場所を入れ替えるというとんでもない発想――だが、残念ながら元ネタがあった。

 前世の呪術廻戦というジャンプ作品で、手を叩くと自分や味方、敵との位置を変えるという技があり、今回のメタグロスの技はそれを模倣させて貰っている。

 

 実際、メタグロスは俺が手を叩くのを合図に技を発動させているため、シンゴはこちらが何をしたかを理解するのが完全に遅れる形となった訳だ。

 まぁ、驚くのもわかる。『じしん』と『サイドチェンジ』の同時出し――それも、攻撃技と応用した変化技の同時使用はかなりの高等技術である。そりゃ、動揺もするだろう。

 

 咄嗟に使えるようになるまで、メタグロスも必死に練習していたようで、今では回避や防御が間に合わないような一瞬のタイミングでも発動可能になっている。が、地味に使えるのがまだメタグロスだけしかいないと言えば、その技の応用の難しさは伝わるはずだ。

 

 とはいえ、勿論弱点もある。本来の技のデメリットと同じく、連続発動をすると技の失敗率が上がるのだ。『まもる』なんかと同じデメリットだな。

 故に、原作のように連続で相手と自分の位置を入れ替えることはできないが、それでも今のような咄嗟の時に位置が入れ替わるというのは相手にとってどれだけの負担がかかることか。

 

 攻撃していたと思ったら目の前から相手が消え、自分は知らない場所に立っている。周囲の状況を確認するだけでも多大な隙を晒す――実際、そのせいで、ウインディはメタグロスの最後の技である『サイコキネシス』を回避できなかった。

 

 もし、これが対面で普通に戦っていれば、『しんそく』で逃げることだって出来ただろう。

 しかし、不意のポジションチェンジによって、どうしても相手は認識する時間を必要とする。俺が教えた方がメリットがあると言ったのも、その方が効果が大きいからだ。いつくるかわからない恐怖や警戒心は、それだけで相手の心理的疲労を蓄積させられる。

 

 隠していた札の威力の高さに、「データにない動きばかりだ」と、シンゴが苦しそうな声を漏らす。実際、いつもよりもかなり慎重に動いているのは事実だった。

 シンゴの強みは、データを活かした動きの先読みだ。こちらが有利を取れているのは、向こうのデータにない行動を連続して畳みかけることで流れを掴ませていないだけの話。

 

 とはいえ、手品のタネにもいずれ限界は来る。それまでに、出来るだけシンゴのポケモンを削るだけ削っておかないと、今度はこちらが逆に蹂躙される可能性もあった。故に、ここまでは先手先手で動いてきたが――さて、ここからどうするか。

 

 地味に『ほえる』連打は厄介だった。ステロを撒く前にヌオーを不意打ちで倒せたので、最悪の状況は回避できているが、それでもこうも連続でポケモンを交代させられては動きにくいことこの上ない。

 ミカルゲはヌオーから『じしん』を受けたが、まだ体力は3/4以上残っている。技は『ちょうはつ』と『トリックルーム』を使った。相手に『みちづれ』を警戒させたいので、しばらくは技三つで戦いたいが、そんな制限状態でシンゴを相手できるかは不安な所だ。

 

 と、考えていると、シンゴは素直に最後の技として『じゃれつく』を指示してきた。こちらに効果抜群のフェアリータイプ威力90の物理技をチョイスしている。

 流石にこれは受けられないので、『トリックルーム』を発動させてウインディのスピードを遅くしていく。『じゃれつく』は近距離技なので、当てるためにはどうしたって距離を詰める必要がある。トリル状態では、その寄るという行動にもかなりの制限がかかった。

 

 ウインディの動きがスローモーションになるのと同時に、ミカルゲの動きは素早くなる。

 何せ、元々素早種族値は35しかないのだ。今の状態なら150族ばりに早くなったといっても過言ではない。おかげで、『トリックルーム』発動しても尚、ウインディより先手がとれそうだった。まぁ、『しんそく』を移動技として使ってくる可能性もなくはないが――

 

 と、思っていると、ここでシンゴは冷静にウインディをボールに戻してくる。どうやら、『じゃれつく』はこちらにトリルを使わせるための釣り餌だったらしい。

 そのまま、四番手としてガラガラを出してきた。

 しかし、どうやら普通のガラガラではないようで、両手に『ふといホネ』を持っている。まるで、うちのカモネギを思わせるような二刀流だが、よく見ると骨同士の付け根が鎖で繋がっていた。まさか、大きな骨ヌンチャクだとでもいうのか?

 

「そろそろ流れを掴ませて貰うぞ。切り札その一だ」

 

 これまでのシンゴのパーティは、ヌオー、ハッサム、ウインディと、前世を思わせるようなバランスのいいパーティだったが、このガラガラはどう考えても異質だ。

 

 予想外過ぎて、何をしてくるか逆に読めない。が、ガラガラは確か素早種族値45でかなり鈍足だった。今はミカルゲと同じくらい早く動けるようになっていると考えると、トリル要因? だとすれば、他にトリル起動役がいるのか?

 

 と、思考していると、ガラガラが動き出した。両手に持っていた骨を片手でヌンチャクのようにクルクルと回し始める。そのまま、真っ直ぐこちらに向けて駆け出してきた。

 

 出来るだけ相手に先手を譲りたくはないが、こればかりはどうしても後手に回らざるを得ない。シンゴのガラガラが振って来る骨ヌンチャクを回避すると、ガラガラは振り終わった骨の片方を掴み、それまで持っていた方の骨を離して今度は横に振って来る。

 上下左右――まさに縦横無尽だった。

 一応、技としては『ボーンラッシュ』に入るようで、二撃目がミカルゲにぶつかる。そのまま、追撃の三撃目、四撃目と受けながら最終段だけは何とか回避していく。しかし、一度のダメージは25しかないが、三回当たれば75ダメージにもなってしまっていた。

 

 おまけに、ガラガラは『ふといホネ』の効果で攻撃が二倍になっている。実質、攻撃種族値160から繰り出される攻撃は、等倍でもかなりの威力になっていた。

 ってか、二倍だよな? 二本だから四倍とか言わないよな? いや、ダメージ的に四倍はないとわかってはいるが――2.25倍と言われても納得できるくらいには攻撃力が高くなっているような気もする。

 

 と、思っていると、ガラガラが自身の骨の付け根を触った。同時に、片側の骨から鎖が外れる。

 そのまま、骨だけになった『ふといホネ』の片方を今度はこちらに投げてきた。『ホネブーメラン』だ。威力50の物理じめん技で、二回連続攻撃が出来る。

 

 普通なら投げて終わりのこの技だが、ガラガラは骨を投げ終わるなり、まだ鎖が繋がっている方の骨を構えてこちらに突進してきた。当然ながら『ホネブーメラン』もまだ攻撃権利を残しているので、Uターンして背後から骨がこちらを追いかけてくる。

 奇しくも、前後を抑えられた形だ。

 前のガラガラに対処すれば後ろの『ホネブーメラン』が避けられず、『ホネブーメラン』に対応すればガラガラに隙を晒す。が、うちのミカルゲは意外と手癖が悪い奴だった。

 

 ミカルゲに『ふいうち』を指示する。これにより、向こうのガラガラが使おうとしている『ボーンラッシュ』に反応して、ミカルゲがガラガラとの距離を逆に詰めていった。

 敢えてミカルゲからガラガラに近づいたことで、僅かながら『ホネブーメラン』が追い付いてくるまでに時間が出来る。その一瞬を活かし、ミカルゲはガラガラの頭を足場にしてそのまま後ろへと飛び越えていった。

 

 欲をかいて攻撃はしない。

 

 もし、ミカルゲが攻撃に少しでも未練を残していれば、ガラガラの『ボーンラッシュ』を避けられず、『ふいうち』で作ったこの時間は無駄となっていただろう。そんな未練が、自分の身を傷つけることをこいつは良く知っていた。

 

 これで、『ホネブーメラン』とぶつかるのはガラガラになる。とはいえ、流石に無防備に食らうほど馬鹿はなく、向かってくる骨をキャッチして二刀でこちらへと振り返った。

 

「ミカルゲを交代してラグラージを出す確率100%」

 

 ここで、ミカルゲを戻す。このガラガラはかなりの近接屋だ。ミカルゲでは相手にするのは少し荷が重い。

 あのガラガラ相手ならば、ラグラージさんで動きを先読みした方が良いと判断して後を頼んでいく。丁度トリルターンも、この交代で切れる頃だ。素のスピードならば、ガラガラよりもラグラージさんの方が早い。

 

 しかし、ここでシンゴもガラガラを戻さなかった。相性を考えれば戻すべき場面――それだけ、あのガラガラに自信があるということか。

 

 ガラガラも、二本の骨の付け根を再び鎖で繋いで器用に構えている。まずは様子見と言うことで、また『アクアブレイク』を指示した。

 相手の苦手なみずタイプ技だ。

 今度は全身に水を纏ってぶつかっていく。が、ガラガラはその一撃を、二本の骨をクロスさせるように構えて受けきった。ラグラージさんの一撃を抑えただと!?

 

 近距離技がパワーで受けきられるのであれば『ハイドロポンプ』だ。いくらガラガラとはいえ、特殊技はそう簡単に受け入れないだろう。

 と、考えていると、ガラガラは骨ヌンチャクの骨部分を手に持って反対側の骨を回転させ始めた。遠心力で骨はまるで扇風機のように回転を始め、こちらの『ハイドロポンプ』を弾き返していく。

 

 そんなんありかよ!?

 

「みず技、くさ技、こおり技。苦手な技は全て対策済みだ。俺のガラガラの防御は鉄壁」

 

 そう言いながら、シンゴがガラガラを突っ込ませてくる。焦るな、向こうの防御が鉄壁のように、こちらにもレーダーの先読みがある。

 向こうの動きは速くないし、そのまま近接攻撃は受け流せるはずだ――と、『ボーンラッシュ』で振り下ろされる骨ヌンチャクの先端を敢えて掴む。同時に、ガラガラは技をキャンセルして、持っていた骨ヌンチャクの付け根をラグラージさんの目元に向けて投げた。

 

 一瞬だが、視界が塞がれる。

 

 しかし、レーダーで位置は丸見えだ。仮に何か攻撃を仕掛けて来ても、ラグラージさんなら目を瞑っていても対応できる。

 と、思った瞬間、ガラガラは足に力を入れた。同時に地面が割れる――まさか、ここで一撃必殺の『じわれ』だと? ガラガラは動いていない。ただ、足に力を入れただけだ。

 

 故に、レーダーにはガラガラが動いていないように見える。おまけに、視界が塞がっているので反応が一瞬遅れてしまった。これではジャンプによる回避も間に合わない。

 

 まさか、こちらのレーダーを逆手にとって、その場から動かずに攻撃を仕掛けてくるとは――だが、一撃必殺の命中率は基本的に三割だ。外れる可能性もある。

 

 だが、シンゴは運なんてものに期待などしていなかった。ラグラージさんが『じわれ』に気付いて身構えたと同時に、ガラガラが一歩踏み込み、投げた骨を再び掴んでラグラージさんを引き寄せる。

 最初の『ボーンラッシュ』を受ける時に、ラグラージさんは相手の骨を掴んだままだった。そのせいで、一瞬の油断を突かれてそのまま体勢が崩されてしまう。後はガラガラがラグラージさんを組み伏せたことで全てが終わった。

 

「ラグラージがレーダー情報誤認で動揺する確率100%。『じわれ』だ」

 

 最初の『じわれ』はこちらの隙を作るフェイク――当たってもいいし、当たらなくてもよかった。

 必要だったのは、『レーダーでは何も動いてないのに相手の技が発動している』という状況を、ラグラージさんがレーダーではなくその目で確認することだ。自身のレーダーに絶対的な自信があるからこそ、本来なら有り得ないその事実はラグラージさんを動揺させる。

 

 後は、出来るであろう隙を突いて、ラグラージさんのレーダーを完封してきたのだ。

 

 組み伏せられたことで動きを封じられ、そのまま二度目の『じわれ』でラグラージさんが戦闘不能に持っていかれる。基本的に命中率は三割だが、状況次第で直当てできるのがアニポケの一撃必殺だった。

 

 これで互いに一体ずつポケモンが戦闘不能になる。だが、こちらとしては苦笑いを浮かべるしかない。このガラガラ、想像以上に近接能力がやべぇ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・シンゴが三年かけてジックリポケモンを育てている。
 レベルだけならまだニューサトシの方が上だが、技術もしっかり叩き込んでいるため、苦戦するくらいに強い。

・データバトル健在。
 しかし、ニューサトシも読まれることは承知で、向こうが知り得ない動きをすることで何とか互角の戦いに持ち込んでいる。本来であれば、ステロ、ほえるで荒らす予定だったが、ニューサトシに上手く躱された。

・東堂の術式。
 最初は全く無意識で書いていて、書き上げた後にあっこれ東堂の術式だ。と、気付いたので、手を叩く描写を追記した。しかし、原作のように連続では使えない。

・シンゴのガラガラ。
 ふといホネを二本所持している。付け根を鎖で繋げているので、一つの巨大なヌンチャクにもなっている。パワーは通常の個体にふといホネを持たせた時以上で、そのパワーを生かすための技術をこれでもかというくらいに叩きこまれている。ミュウツー対策の切り札その一。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.68

 ピジョット Lv.63

 バタフリー Lv.63

 ドサイドン Lv.66

 フシギバナ Lv.64

 リザードン Lv.67

 カメックス Lv.63

 キングラー Lv.63

 カモネギ  Lv.63

 エビワラー Lv.63

 ゲンガー  Lv.65

 コノヨザル Lv.63

 イーブイ  Lv.63

 ベトベトン Lv.64

 ジバコイル Lv.63

 ケンタロス Lv.63

 ヤドラン  Lv.63

 ハッサム  Lv.63

 トゲキッス Lv.63

 プテラ   Lv.63

 ラプラス  Lv.63

 ミュウツー Lv.76

 バリヤード Lv.63

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.62

 カビゴン  Lv.63

 ニョロトノ Lv.62

 ヘラクロス Lv.62

 メガニウム Lv.62

 バクフーン(ヒスイの姿) Lv.62

 ラティアス Lv.61

 ヘルガー  Lv.62

 ワニノコ  Lv.62

 ヨルノズク(色違い) Lv.62

 カイロス(部分色違い) Lv.62

 ウソッキー Lv.62

 バンギラス Lv.64

 ドンファン Lv.62

 ギャラドス(色違い) Lv.62

 ミロカロス Lv.61

 ラグラージ Lv.59

 オオスバメ Lv.59

 ジュカイン Lv.59

 ヘイガニ  Lv.59

 フライゴン Lv.62

 コータス  Lv.57

 サーナイト(色違い) Lv.54

 オニゴーリ Lv.57

 ワカシャモ Lv.57

 メタグロス(色違い) Lv.57

 エテボース Lv.55

 ムクホーク Lv.54

 ドダイトス Lv.54

 ブイゼル  Lv.55

 ムウマージ Lv.57

 カバルドン LV.54

 ミカルゲ  Lv.61

 グライオン Lv.53

 ロトム   Lv.54

 ユキノオー Lv.53

 ガブリアス Lv.52

 ゾロア(ヒスイの姿) Lv.46

 ボーマンダ Lv.52

 カイリキー(変異体) Lv.52

 ミジュマル Lv.50

 エンブオー Lv.50

 ツタージャ Lv.50

 ズルッグ  Lv.45

 ハハコモリ Lv.48

 ペンドラー Lv.48

 エルフーン LV.48

 ギガイアス Lv.48

 ワルビアル Lv.52

 ヒトモシ  LV.47

 サザンドラ Lv.65

 マリルリ  Lv.43

 タマゴ   時々動いているみたい。生まれるまでもうちょっとかな?


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俺、サトシになってました(笑)(作者:黒ソニア)(原作:ポケットモンスター)

気がついたらアニポケの主人公:マサラタウンのサトシに転生した平凡な一般人。▼転生憑依したものの、アニポケと全く異なる展開に戸惑ったり、様々なトラブルに遭遇したり……甘酸っぱい青春を送ったりする。▼そんな彼が頑張って『ポケモンマスター』を目指す物語だ。▼作者はポケモンにわか初心レベルなので、ご了承下さい。


総合評価:10752/評価:8.5/連載:89話/更新日時:2026年05月13日(水) 12:00 小説情報

闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜(作者:アルピ交通事務局)(原作:ポケットモンスター)

アニポケのサトシくんに憑依していた男の長い長い人生を賭けた博打な物語


総合評価:6124/評価:7.85/連載:235話/更新日時:2026年06月11日(木) 00:10 小説情報

アニポケ転生者物語(作者:投稿者)(原作:ポケットモンスター)

物心ついた時、主人公はこの世界がアニメ『ポケットモンスター』の世界だと気づいた。▼リーグ制覇や最強を目指すつもりはない。ただ、この世界の空気を吸い、ポケモンたちと触れ合う「エンジョイ勢」として生きていきたい。▼そう思っていたはずが、旅立ちの日に母から託されたのは、シルフカンパニー製の試作デバイスと、データ収集用のポケモン「ポリゴン」。▼オーキド博士から貰った…


総合評価:1777/評価:7.5/連載:349話/更新日時:2026年06月07日(日) 22:26 小説情報

ちょっぴり大人っぽいサトシくんの冒険記録(レポート)(作者:波導の勇者サトシくん)(原作:ポケットモンスター)

▼タイトルまんま。▼前世の知識がインストールされて少しだけ大人っぽくなった転生サトシくんが、ポケモン世界を面白可笑しく冒険するだけの話です。▼タグに"日記形式"を追加しました。▼苦手な方はブラウザバックを推奨します。


総合評価:7261/評価:8.75/連載:22話/更新日時:2026年04月04日(土) 07:00 小説情報

【完結】すごいよ!! マサルくん(作者:わへい)(原作:ポケットモンスター)

 剣盾をプレイしたことがない大学生がマサルに転生してユウリやホップと一緒にガラル地方で色々がんばるお話。▼※マサルさんがガラルに「セクシーコマンドー」を広めていくお話ではありません。▼【注意事項】▼・バトルはノリと勢い、演出重視です。▼・ゲームのシステムを考慮しない場面があるかもしれません。▼・進化条件などがゲームと異なるかもしれません。▼・本来出現しない場…


総合評価:34021/評価:9.28/完結:96話/更新日時:2026年06月10日(水) 19:03 小説情報


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