ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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♯316 『誰もが夢見た奇跡』

 15歳 β月υ日 『誰もが夢見た奇跡』

 

 遂に決勝戦の日になった。ここまで紆余曲折あったが、今こうして俺とシゲルが戦うことになるのは決まっていたと言って良いだろう。

 失礼な話ではあるが、観客の半数以上もそれを望んでおり、当人である俺やシゲルもまた、ここでぶつかり合うことを望んでいた。本当に、シゲルが研究者一筋にならなくて良かったとこういう時は思う。

 

 やはり、俺とシゲルは宿命のライバル――

 

「こうして戦うのも、約一年振りか。そんなに長い訳じゃないのに、もう何年もお預けを食らっていた気分だよ」

「こっちのセリフだぜ。おあつらえ向きに、勝った方が次に進める……!」

「そうだね。僕達ももう四年このリーグに在籍している。そろそろ上のステージに向かう時期だろう」

「勝つのは俺だ!」

「いいや、僕だね!」

 

 お互いにモンスターボールを構える。開幕の一手目、まずはドサイドンを出していった。俺の手持ちの中でもトップクラスのパワーをぶつけてやるぜ。

 対するシゲルは、毎度お馴染みニドクインを出してきた。思えば、こいつも随分と古株になったものである。何だかんだかゆい所に手が届くので、シゲルとしても外せないのだろう。

 

 相性的には、こちらが若干有利だ。こちらのドサイドンはじめん・いわタイプなので、どく・じめんタイプのニドクインに弱点が付ける。

 だが、当然ながらシゲルもこちらの弱点を狙ってきた。かくとう技の『ばかぢから』でドサイドンとニドクインが取っ組み合いになる。流石に技を使われると、いくらドサイドンのパワーでも押されてしまう――ならばと、こちらも『ドリルライナー』を指示した。

 

 敢えて受けるのではなく、突き崩す。

 

 取っ組み合いでは押される形になっているが、顔面のドリルがニドクインの顔を襲っていく。

 おまけに、『ばかぢから』のデメリット効果で、ニドクインは攻撃・防御が一段階下がっている。いくらニドクインが度胸のあるママさんタイプとは言え、流石に顔面に攻撃がぶつかっては目を開けてはいられまい。

 

 お互いにお互いの技でダメージを受ける形になったが、ここで目を瞑ってしまったニドクインよりも攻めていたドサイドンの方が先に動く形となった。

 

 追撃の『じしん』を指示する。しかし、シゲルもされるがままではない。その瞬間に『にどげり』を指示して、ニドクインはドサイドンの体を足場にするように肩、頭と蹴りを入れて空中へと跳び上がっていった。

 思わぬ攻撃だが、『ばかぢから』のデメリット効果で攻撃と防御が一段階下がっていることもあり、この『にどげり』はそこまでのダメージにはなっていない。問題は、ニドクインが上に向かって駆け上がっていったことだった。

 

 当然、空中にいるので、『じしん』の衝撃は透かせる。だが、その避け方も距離が出来た今、二度は通じないと、『じしん』を連打していった。すると、シゲルは『だいちのちから』を指示し、ニドクインの乗っている地面を持ち上げることで『じしん』を回避していく。

 

 そのまま、持ち上げた大地をこちらにぶつけようとしてきたので、『ドリルライナー』で粉砕してやった。

 

 続けて、『あなをほる』で地面の中へと逃げていく。シゲルは一瞬動きを止めた――今、ニドクインは『ばかぢから』、『にどげり』、『だいちのちから』と三つの技を使っている。

 ここで『じしん』を使えば、こちらに有効的なダメージを与えられるが、代わりに全ての技を使い切ってしまう。それに、シゲルから見ればこの『あなをほる』は明らかな誘いだった。まだ最後の技を残しているし、下手な誘いに乗るべきかどうか逡巡している。

 

 しかし、シゲルは動かなかった。『だいちのちから』も動かせるのは大地の表面上だけなので、地中深く潜っているドサイドンには攻撃が届かない。

 ここは、攻撃枠を全て使うよりも引くべき――そう判断して、シゲルはここでニドクインをボールに戻した。『ばかぢから』のデメリットで防御も下がっているし、下手に戦わせるよりも引いた方が良いと判断したのだろう。

 

 こうなっては攻撃を当てる相手もいなくなってしまったので、ドサイドンも地面から出て来るしかない。が、開幕の『ドリルライナー』は上手く相手の弱点を突いて、1/3程のダメージを与えることが出来ていた。

 代わりに、こちらもそれ以上の攻撃を受けているが、特性『ハードロック』のおかげで二倍弱点も1.5倍に軽減されており、『ばかぢから』の後遺症でニドクインの火力も下がっていたので、ダメージ的にはニドクインとそこまで変わっていない。状況は五分。

 

 二体目として、シゲルはカメックスを出してきた。流石にカメックス相手に突っ込む勇気はないので、こちらもドサイドンを戻していく。

 去年のバトルもそうだったが、シゲルは苦しい状況でエース温存なんて温いことをしてこない。出すべき場面にきっちり出して結果を出す戦い方を好んでいる。

 

 俺としては切り札は最後まで隠す派だが、シゲルも俺対策を温存してのカメックスチョイスとみた。

 ならば、ここは素直に相性を突いていこう。中軸の柱であるピカ様に、カメックスをぶっ飛ばしてくるようにお願いする。

 

「……ピカチュウ、ますます強くなったようだね。あの青い電気は何かな?」

「さてな。知りたかったらその身で味わってみな」

「そうしよう。でも、相手はカメックスじゃない」

 

 そう言って、シゲルはカメックスをボールに戻していく。欠片もこちらを舐めていないというのが良くわかった。続けて、シゲルはエレキブルを出してくる。

 

 でんき対でんきだが、向こうは特性『でんきエンジン』ででんき技を受ける度に素早が一段階上がるという有利状況。さらには、こちらの得意な『アイアンテール』も半減なので有効打がほぼない。去年はそのせいで、最後に敗北を喫している。

 

 が、同じ轍を二度も踏むつもりはなかった。

 

 エレキブルが『かわらわり』を仕掛けて来るのに合わせて、こちらも『かわらわり』を返していく。

 振り下ろされる腕を尻尾で弾き、弾いた勢いを利用して着地――そのまま、くるりと横に一回転して追撃の『かわらわり』でエレキブルの足を崩しにかかる。だが、向こうもギリギリでジャンプをしてこちらの攻撃を回避。が、空中に跳んだことで逃げ場がなくなった。

 

 この一年、エレキブル対策やゼクロムのせいででんき技が使えなかったことにより、おのずとピカ様もでんき技以外の技の特訓を続けていた。これが、その成果だ――と、隙だらけの胴体に『すてみタックル』をぶつけていく。

 

 威力120のノーマル物理技。タイプ不一致だが、それでもシゲルやエレキブルにしてみれば予想外の一撃だろう。

 

 ドシンと尻もちをつく形で、エレキブルがひっくり返る。対するピカ様は、反動ダメージ等気にした様子もなく、来いよと言わんばかりにエレキブルを挑発していた。

 流石のエレキブルも怒りを露にするが、シゲルが「落ち着け、エレキブル」と一喝することで暴走を防いでいる。が、冷静さを失っているのは一目瞭然であり、シゲルは渋々という感じでエレキブルをボールに戻した。

 

 エレキブルとしても、最近は勝ち続けだったピカ様に手も足も出ずに良いようにされたことでプライドを刺激されたのだろう。あのまま戦わせてくれれば上手いこと倒せたが、流石にシゲルは状況をよく見ているな。

 

「動きが去年とは全く別次元じゃないか。スピードもパワーも、格段に上がっている。青い電気以外にもしっかり仕込んでいたって訳か」

「ケケケ、同じ轍を何度も踏むほど馬鹿じゃねぇ。エレキブル対策は万全だ」

 

 それに、『10まんボルト』を自身にチャージすれば、『すてみタックル』との同時攻撃で、通常よりも強い疑似ボルテッカーが使える。シナジーもばっちりなんだよなぁ。

 

 と、話している間に再びニドクインを出してきた。流石にじめんタイプが相手ということで、こちらもピカ様を戻す。続けて、新入りで初チャンピオンリーグデビューのサザンドラを出していった。

 約束通り――否、それ以上にいろいろなことを覚えたことで、サザンドラをこの試合で出すことに決めた。それも一番重要な試合だが、俺はサザンドラを信じている。ここまで貯めてきたやる気を全部シゲルにぶつけてやれ。

 

 サザンドラは、あく・ドラゴンタイプだ。シゲルも、ニドクインで使った『ばかぢから』や『にどげり』が使えると判断したのだろう。交代する素振りを見せない。

 なら、予定通りに仕掛けていこう。『りゅうせいぐん』を指示して、ニドクインに攻撃を仕掛けていく。スピードや距離の問題で、どうあがいてもサザンドラの方が攻撃が早い。

 

 しかし、シゲルはここで最後の技である『まもる』を指示してきた。『りゅうせいぐん』は攻撃の後に特攻が二段階下がるデメリットがある。ここを防げば有利と踏んだのだろう――が、甘かった。

 

「なっ!?」

 

 ここで、シゲルが初めて驚いた声を出す。そう、サザンドラが『りゅうせいぐん』を撃ったにも関わらず、連続で『りゅうせいぐん』を使ってきたのだ。

 だが、威力が落ちているなら関係ないと、そのまま『ばかぢから』で襲ってくる。その瞬間、シゲルは見た。サザンドラの左右の頭が一生懸命何かを考えているのを。

 

「まさか、『わるだくみ』……? 馬鹿な、攻撃技を使いながら同時に……いや、時間差で変化技を使っていたとでもいうのか!?」

 

 二度目の『りゅうせいぐん』がニドクインに向かって降り注いでくる。サザンドラは巻き込まれないように後ろへと飛んだ。

 当然、『わるだくみ』の効果で特攻が二段階上がり、一発目のデメリットを解消しているので、威力はそのままにニドクインは『りゅうせいぐん』のダメージを受ける。

 

 シャガのサザンドラのように三つの技をそれぞれ使うのは無理だが、二つまでなら何とか使いこなせるようになった。

 それと、正確には同時ではなく時間差だ。どうしても本体程の速度では技は使えないので、左右の頭で使う技は遅れてしまう。

 だが、だからこそ本体で『りゅうせいぐん』を撃ち、少し遅れて左右の頭で『わるだくみ』を使うことで、永続的に威力が下がらない『りゅうせいぐん』を撃つことが可能になっていた。

 

 いわば、疑似的な変則『おやこあい』だ。

 

 流石のニドクインも『りゅうせいぐん』の直撃を受けてはかなりのダメージを受けていた。その隙に、こちらは『だいちのちから』の準備を終えている。『わるだくみ』を使っていないので、特攻は二段階下がったままだが、代わりにこれも二連射が出来た。

 シゲルも慌てて『だいちのちから』を指示するが、発射はこちらの方が早く一射目がニドクインに直撃していく。続けて、二射目を撃つが、こちらは相殺されてしまった。攻撃を受けて尚、怯まずに攻撃を返してくるとは――これが決まっていれば勝ちだったのだが。

 

 シゲルが苦悶の表情を見せる。ニドクインは今の攻撃で体力が一気に1/4以下まで追い込まれた。二射目の『だいちのちから』の相殺が間に合わなければ、ここで戦闘不能になっていたのは誰の目にも明らかだ。

 しかし、シゲルも戦闘不能とそうでない場合のアドバンテージの差は良く知っている。ここは少しでも体力を回復させようとニドクインを戻していく。それに合わせて、こちらもサザンドラをボールに戻した。

 

 続けて、シゲルは流れを掴みなおそうとカイリューを出してくる。こちらはカメックス読みでピカ様を送り出したが、不利対面になってしまったか。

 

 戻しても良いが、それに合わせて『りゅうのまい』を積まれると少し面倒くさい。ピカ様には申し訳ないが、ここは多少不利でも押し通す以外に択がなかった。

 

 必殺の『ばちばちアクセル』で先制の挨拶をしていく。向こうも、『しんそく』で対応してきた。お互いにぶつかり合うも、体の小さいピカ様が弾き飛ばされ、空中で体勢を立て直して着地する。

 

「……人によっては、カイリューの『しんそく』だけで勝負がつくんだけどね。それと互角のピカチュウなんて、他に見たことがないよ」

「カントーには、レッドっていう規格外がいるだろうが」

「前言撤回だ。君達のピカチュウだけだよ、そのおかしさは……!」

 

 そう言って、シゲルはキーストーンを出してきた。は? 今居るのはカイリューだぞ?

 と、思っていると、カイリューの方もよく見ると、尻尾に何やらメガストーンをはめ込んでいた。え、まさか、カイリューってメガシンカすんの?

 

 そんな風にこちらが動揺している間に、カイリューの体が光ってメガシンカしていく。体の大きさは変わっていないように見えるが、頭から大きな翼を靡かせていた。

 

 見た感じ、ドラゴン・ひこうのままだよな? 特性は? 種族値はどう変化した? 『しんそく』を使ってきたってことは物理型? と、脳内で少しでも情報を整理していくが、流石に情報が足りなさ過ぎる。

 

 とりあえず、様子見で『10まんボルト』を撃ってみると、メガカイリューが『エアスラッシュ』を撃ってきた。

 カイリューがエアスラ? ってことは、特殊型? と、見ていると、まさかの『10まんボルト』が相殺される。

 

 レベル差はそこまでないし、技の威力はこちらの方が高いはずだ。つまり、それだけ特攻が高いか、もしくはタイプ一致か、その両方か――と、考えていると、今度は『りゅうせいぐん』を指示してきた。

 この火力での『りゅうせいぐん』はまずい。

 だが、ボールに入らないピカ様を即時帰還させる手段はないので何とか凌いでいくしかなかった。カイリューからギリギリまで距離を取らせ、『りゅうせいぐん』の攻撃範囲を出来るだけ広げていく。

 

 空から降り注ぐように放たれる『りゅうせいぐん』は攻撃場所が遠くなれば密度が薄くなる。

 逆に近距離の場合はほぼ真下に落ちるように技が放たれるので、密度が高く自滅の危険があるくらいだが、遠距離の場合は攻撃が広がるので隙間が出来て避けやすくなるのだ(ニューサトシだけの体感であり、普通は避けられない)。

 

 後は避けられないものを『かわらわり』で弾いてやれば、直撃はギリギリで回避できるはず――が、流石に追撃の『しんそく』までは回避できなかった。

 

 こちらが『りゅうせいぐん』を打ち払った隙を狙って、カイリューが『しんそく』でこちらをふっと飛ばしてくる。しかし、問答無用の直撃の割にはダメージが思ったよりも安かった。やはり、メガカイリューは特殊型と見て間違いなさそうだ。

 

 と、体力の1/3近くを奪われたピカ様が起き上がって来る。もし、これが通常のカイリューなら、1/3は確定で奪われていた。これまで散々殴られてきただけあって、カイリューの火力は良く知っている。シゲルのポケモンだということを加味しても攻撃は低い。

 

 だが、先程ニドクインに与えたアドバンテージは奪い返されてしまった。ここで、シゲルはカイリューをボールに戻してくる。こちらもピカ様を戻さざるを得なかった。

 今はまだお互いに削りの段階――しかし、エースや切り札は温存している。後はどこでそれらを切るか、切り方次第ではこのバトルは一気に決まってしまってもおかしくない。

 

 誰を出すか――逡巡した結果、ここでミュウツーを出していく。シゲルはここでカメックスを再び出してきた。

 ピカ様を戻したから、カメックスを出して場を荒らそうって考えだろう。読んでいたからこそ、ここでミュウツーを出して一気に勝負を決めにいく。

 

「上手くぶつけたって顔をしてるね。でも、読んでいたのは君だけじゃない。君が僕の癖を熟知しているように、僕も君の癖を理解している。ここまでの流れは多少の予想外はあれど、殆ど僕の予定通りに進んでいる……と、したら、君はどうする?」

「俺の癖だと?」

「豊富な知識やトリッキーな動きで相手を翻弄しているが、本質的に君は喧嘩屋だ。ここぞという時は、エースや切り札同士がぶつかり合う熱いバトルをしたがる。ピカチュウを引かせて、僕がカメックスを出す状況になれば、絶対にミュウツーを出してくる確信があった」

 

 確かに、毎回ではないが俺はエースや切り札がぶつかり合うようなバトルを好む傾向にあるのは事実だった。思えば、去年のシゲルとのバトルも、同じような流れでカメックスとミュウツーをぶつけている。だとすると、まさか本当に?

 

「さぁ、これが僕の本当の切り札だ!」

 

 そう言って、シゲルはキーストーンをもう一つ取り出してきた。おいおい、まさかお前も二回目のメガシンカか!

 

 キーストーン複数持ちはメジャーなのか? と、思いつつ、シゲルがカメックスをメガカメックスにメガシンカさせてくる。しかし、それで終わりではなかった。

 続けて、去年も使ったガラル粒子の入ったカプセルを割って、周囲にガラル粒子を散布していく。おい、おいおい、おいおいおいおい、まさか、お前、やる気じゃねーだろうな!?

 

「誰もが一度は思ったことがあるはずだ。メガシンカとダイマックスは果たして共存できるのかと! これが僕の答えだ、受け取れサトシ! 出でよ! キョダイマックスメガカメックス!!」

 

 本来のキョダイマックスカメックスは、背中の甲羅が要塞のようになり、中央に大きな砲塔と周囲に無数の小型砲塔を出して後ろ向きに攻撃を仕掛けてくる。

 しかし、シゲルのキョダイマックスメガカメックスは、さらに両手と頭に巨大砲塔が追加されていた。アニメでも、ゲームにもない、誰もが夢見た奇跡をこいつは今完成させやがったのだ。

 

「本来、キョダイマックスカメックスの専用技は、みず技が変化する『キョダイホウゲキ』だ。しかし、僕のキョダイマックスメガカメックスの専用技は『キョダイハドウ』! はどう系の攻撃のみが変化し、さらに特性の『メガランチャー』の効果で威力もアップする!」

 

 何でも有りかよ!? ここはもうなりふり構っている場合ではない。本来なら温存しておくべききずなミュウツー、それも三分間のみの本来の姿をこちらも解放していく。

 

「君のそのミュウツーも、タイプはエスパーならこれを受けてみろ! 『あくのはどう』を変化させることであくタイプに変化した『キョダイハドウ』だ!」

 

 こちらも、必殺の『サイコブレイク』の変化したきずな技――『サイコバーン』で向こうの『キョダイハドウ』を引き裂いていく。

 去年のバトルのように、早々に技を使って身で受けられるのを避けるため、ギリギリまで『サイコバーン』のパワーをチャージしていった。

 

 キョダイマックスメガカメックスの全ての砲塔から無数の黒い波動が飛び出してきずなミュウツーを襲ってくる。

 こちらも『サイコバーン』で対抗していくが、中心の方の砲撃は相殺できても、背後から発射された小さな波動がレーザーのように飛んでこちらにダメージを与えてきた。

 

 しかし、ここで初めてわかったことだが、きずなミュウツーはかくとうタイプも併せ持つようで、あく技のダメージは等倍になっている。

 おかげでダメージは予想よりも少なく済んだが、それでも大本の攻撃を防いで尚、ダメージを1/4以上受けていた。これは想像以上にヤバい。

 

「成程、そのミュウツーはかくとうタイプでもあるのか。なら、『あくのはどう』ではなく、タイプ一致の『みずのはどう』を変化させた『キョダイハドウ』を使った方が良さそうだね」

 

 唯一の欠点――通常のカメックスの『キョダイホウゲキ』と違って、はどう系の技しか変化しないので、カメックス最強技の『ハイドロカノン』で『キョダイハドウ』を使うことが出来ないでいる。

 だが、どちらにしろ、向こうが『キョダイハドウ』を使ってくるのなら、こちらも『サイコバーン』で全てを受けきるだけの話だった。

 

「引かないのかい?」

「引くかボケ。男と男の勝負だぞ」

 

 純粋に勝つためだけなら、ここは交換して適当なポケモンを犠牲にすべき場面なのかもしれない。だが、それは逃げたということだ。

 他の相手ならまだしも、シゲルが相手で背中なんか見せられない。あいつが全てを出し切ってきているなら、それを真正面から受け止めるのが筋だろうが。

 

 もし、これが逆の立場ならシゲルは絶対に逃げない。この結果で負けることになったとしても、俺はここで引く気など欠片もなかった。

 

『それでこそだ』

 

 きずなミュウツーも満足したように頷いている。ああ、そうだよな――

 

「『ここで逃げて頂点が取れるか……!』」

 

 きずなミュウツーの背中から噴き出る嵐のような波動が勢いを増していく。再び『サイコバーン』で、一刀の元全てを断ち切る。

 

 シゲルもまたみず技に変化した『キョダイハドウ』で攻撃を仕掛けてきた。タイプ一致ということもあって威力が上がっている。とても、元の技が威力60とは思えない出力だ。もしかしたら、俺の知らない追加効果があるのかもしれない。

 

 しかし、種がわかれば対処も出来る。今度の『サイコバーン』は相手の放った副砲を含む無数の波動をも全て切り裂いて、本体のキョダイマックスメガカメックスにもダメージを与えていった。

 だが、無理に出力を上げ過ぎたのか、時間的にはまだ二分くらいしか経っていないはずなのにきずな化が解除されてしまう。対するキョダイマックスメガカメックスはまだ攻撃権利を残している。

 

 これが最後だ――と、今度は再び『あくのはどう』を変化させた『キョダイハドウ』を使ってくる。もう相殺が適わない以上、こちらに許されたのは『まもる』をしてダメージを1/4に抑えることだけだった。

 それでも弱点の一撃故にダメージがかなり入る。

 三ターンが経過したのか、向こうのキョダイマックスが終了し、メガカメックスが元の大きさに戻っていく。こちらは体力を半分以上失ったが、まだ戦う気力は残っていた。

 

 ミュウツーが必殺の『サイコブレイク』でメガカメックスにダメージを与えに行く。シゲルはダメージ覚悟で『アクアジェット』を指示した。

 先制技の速度でメガカメックスがミュウツーの両手を掴む。しかし、『サイコブレイク』はエスパー技故に、腕を抑えても全身で発動が可能だ。キョダイマックス時はそこまで大きなダメージにはならなかったが、この一撃を加えることで一気に体力を半分以上奪っていく。

 

 シゲルはゼロ距離での『あくのはどう』を指示した。弱点のあく技で、一気に体力を削り切ろうという狙いだろう。

 しかし、こちらには『まもる』がある。攻撃を防ぎ、その隙に両手の自由を取り戻すと、そのまま『はどうだん』で一気にメガカメックスをふっ飛ばしていく。

 

 が、カメックスも再び『あくのはどう』でそのまま反撃してきた。攻撃を相殺するのではなく、敢えて受けてから出すことでこちらに防御させないようにしたのだろう。

 ミュウツーが『あくのはどう』の直撃を受ける。おまけに、顔周辺で炸裂したせいで煙幕のように波動が散って、少しの間視界が奪われてしまった。その間に、カメックスが再び水を纏ってこちらに突っ込んでくる。

 

 これは『アクアジェット』か? にしては、速度が遅い気が? と、思いながら、ミュウツーも残り体力が少ないので攻撃を回避していく。

 軽く掠った程度で大きなダメージにはなっていないが、そのままカメックスはシゲルのボールの中に戻っていった。『クイックターン』か!

 

 どうやら、視界を奪った瞬間、サインで指示を出していたらしい。続けて、ボールからメガカイリューが飛び出して一気にミュウツーとの距離を詰めてきた。

 ゼロ距離で『エアスラッシュ』を使ってこちらを攻撃してくる。受けるには体力が削られ過ぎていた。怯んでも面倒なので、ここは『まもる』で一度攻撃を対処していく。

 

 だが、メガカイリューの追撃は止まらなかった。『りゅうせいぐん』のエネルギーをその身に纏い、『しんそく』でこちらとの距離を詰めてくる。

 それは、ラティが使った原作サトシ君のカイリューせいぐんをパクった流星ダイブ――いや、少し違う。『りゅうせいぐん』のエネルギーを放出させずに自らの強化に使い、『しんそく』の速度で距離を詰めてくる別技だった。

 

 この時の俺はすっかり忘れていたが、後からこれが原作のハヤシガメが『エナジーボール』を食べることで自分を強化する技術の亜種だったと思い出す――が、今はそんなこと知る由もなく、おまけに速すぎて回避は不可能だった。

 

 ここで、最後の技として『アイアンテール(スプーン)』を使っていく。近距離技を捌くのに腕だけでは厳しすぎる。まるで圧し掛かって来るメガカイリューを何とかスプーンで受け流して逆にダメージを与えていった。

 

 シゲルも、「よし、これで全部技を使ったね」と呟いている。成程、この遮二無二な攻撃はこちらに全ての技を使わせるためだったのか。

 確かに、よく考えればシゲル視点で一番恐ろしいのは『じこさいせい』による回復だ。しかし、これだけ連続で攻撃を受ければとても回復するような隙などない。シゲルは、俺達が近接を捌くためにスプーンを使うのをずっと待っていたという訳だ。

 

 だが、あそこで仮に『じこさいせい』を使って持久戦にこち込んでいても、近距離の択がなくなれば去年のように苦しくなりかねない。残り体力は1/4程だが、それでもここでは回復よりも近距離択を選んだのは正解だったはずだ。

 

 否、正解か外れかは後に考えればいい。俺達はあの場面で最適だと思う行動をとった。それを今更後悔しても意味はない。

 

 と、言う訳で、ここは一旦ミュウツーをボールに戻していく。流石にこれ以上戦わせるには体力が怪しかった。

 シゲルもまた、ここでメガカイリューを戻していく。まだお互いに一体もポケモンが戦闘不能になっていないが、少しずつダメージは積み重なってきている。この均衡が崩れた瞬間、おそらくバトルは一気に後半戦に移っていくだろう。

 

 さて、ここからが正念場だ。

 

 

 




 原作との変化点。

・キョダイマックスとメガシンカの同時使用。
 原作では有り得ない奇跡を実現させた。シゲルのこの一年間の努力の結晶。キョダイマックスカメックスを温存しなかったのは、更なる切り札があったからこそ。ちなみに、『キョダイハドウ』はタイプ一致だと元の技の威力が二倍になる追加効果があり、『みずのはどう』の威力が120まで上がっている。サイッキョ!

・メガカイリュー初登場。
 本当はワタル辺りに使わせる予定だったけど、シゲルが我慢できずにフライングしてくれた。ニューサトシが珍しく驚いていて、シゲルも大変気分が良い。

・今の所はほぼ互角。
 当然ながら、シゲルもこれで全てを出し切っておらず、まだ隠し玉を持っている。が、状況的には今の所ほぼ五分。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.68

 ピジョット Lv.63

 バタフリー Lv.63

 ドサイドン Lv.66

 フシギバナ Lv.64

 リザードン Lv.67

 カメックス Lv.63

 キングラー Lv.63

 カモネギ  Lv.63

 エビワラー Lv.63

 ゲンガー  Lv.65

 コノヨザル Lv.63

 イーブイ  Lv.63

 ベトベトン Lv.64

 ジバコイル Lv.63

 ケンタロス Lv.63

 ヤドラン  Lv.63

 ハッサム  Lv.63

 トゲキッス Lv.63

 プテラ   Lv.63

 ラプラス  Lv.63

 ミュウツー Lv.76

 バリヤード Lv.63

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.62

 カビゴン  Lv.63

 ニョロトノ Lv.62

 ヘラクロス Lv.62

 メガニウム Lv.62

 バクフーン(ヒスイの姿) Lv.62

 ラティアス Lv.61

 ヘルガー  Lv.62

 ワニノコ  Lv.62

 ヨルノズク(色違い) Lv.62

 カイロス(部分色違い) Lv.62

 ウソッキー Lv.62

 バンギラス Lv.64

 ドンファン Lv.62

 ギャラドス(色違い) Lv.62

 ミロカロス Lv.61

 ラグラージ Lv.59

 オオスバメ Lv.59

 ジュカイン Lv.59

 ヘイガニ  Lv.59

 フライゴン Lv.62

 コータス  Lv.57

 サーナイト(色違い) Lv.54

 オニゴーリ Lv.57

 ワカシャモ Lv.57

 メタグロス(色違い) Lv.57

 エテボース Lv.55

 ムクホーク Lv.54

 ドダイトス Lv.54

 ブイゼル  Lv.55

 ムウマージ Lv.57

 カバルドン LV.54

 ミカルゲ  Lv.61

 グライオン Lv.53

 ロトム   Lv.54

 ユキノオー Lv.53

 ガブリアス Lv.52

 ゾロア(ヒスイの姿) Lv.46

 ボーマンダ Lv.52

 カイリキー(変異体) Lv.52

 ミジュマル Lv.50

 エンブオー Lv.50

 ツタージャ Lv.50

 ズルッグ  Lv.45

 ハハコモリ Lv.48

 ペンドラー Lv.48

 エルフーン LV.48

 ギガイアス Lv.48

 ワルビアル Lv.52

 ヒトモシ  LV.47

 サザンドラ Lv.65

 マリルリ  Lv.43

 タマゴ   時々動いているみたい。生まれるまでもうちょっとかな?


 ※前話でハッサムが本来覚えない『ちょうはつ』を使っていため、内容を一部修正しました。話の流れ自体は変わっていません。


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アニポケのサトシくんに憑依していた男の長い長い人生を賭けた博打な物語


総合評価:6118/評価:7.85/連載:236話/更新日時:2026年06月15日(月) 00:05 小説情報

アニポケ転生者物語(作者:投稿者)(原作:ポケットモンスター)

物心ついた時、主人公はこの世界がアニメ『ポケットモンスター』の世界だと気づいた。▼リーグ制覇や最強を目指すつもりはない。ただ、この世界の空気を吸い、ポケモンたちと触れ合う「エンジョイ勢」として生きていきたい。▼そう思っていたはずが、旅立ちの日に母から託されたのは、シルフカンパニー製の試作デバイスと、データ収集用のポケモン「ポリゴン」。▼オーキド博士から貰った…


総合評価:1769/評価:7.38/連載:349話/更新日時:2026年06月07日(日) 22:26 小説情報

ちょっぴり大人っぽいサトシくんの冒険記録(レポート)(作者:波導の勇者サトシくん)(原作:ポケットモンスター)

▼タイトルまんま。▼前世の知識がインストールされて少しだけ大人っぽくなった転生サトシくんが、ポケモン世界を面白可笑しく冒険するだけの話です。▼タグに"日記形式"を追加しました。▼苦手な方はブラウザバックを推奨します。


総合評価:7263/評価:8.75/連載:22話/更新日時:2026年04月04日(土) 07:00 小説情報

転生サトシの旅路(作者:ナノブ)(原作:ポケットモンスター)

これは、アニポケのサトシが一生を終えた記憶と、アニポケを見ていた人の記憶両方を持った転生者サトシが、波導と呼ばれるチートを駆使して行く旅路を記したもの。▼サトシ至上主義が書くポケモン小説です。▼作者はポケモンライト勢であり、にわかです。


総合評価:2834/評価:9.12/連載:24話/更新日時:2026年06月15日(月) 18:00 小説情報


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