15歳 β月υ日 『ギリギリの限界バトル』
今の状況を整理していこう。俺のポケモンは、ドサイドンが体力残り体力約2/3で、技は『ドリルライナー』、『じしん』、『あなをほる』を使っている。
ピカ様は体力残り約半分で、技は『かわらわり』、『すてみタックル』、『ばちばちアクセル』の三つを使っていた。流石に『10まんボルト』は外せないので、全ての技を使い切ったと言ってもいい。
サザンドラは無傷だが、『りゅうせいぐん』、『わるだくみ』、『だいちのちから』と技を三つ使っている。続くミュウツーは一番ダメージが大きく、残り体力1/4で、『サイコブレイク』、『はどうだん』、『まもる』、『アイアンテール』と全ての技を使い切っていた。
こちらの無傷なポケモンは残り二体。対するシゲルも無傷なのは残り二体で、ニドクインは残り体力約1/6で、技は『ばかぢから』、『にどげり』、『だいちのちから』の三つを使っている。
メガカメックスは、ミュウツーとのバトルで残り体力が1/4程で、技も『あくのはどう』、『みずのはどう』、『アクアジェット』、『クイックターン』と全てを使い切っているが、メガシンカ状態なので油断は禁物だ。
エレキブルは体力2/3程で、『かわらわり』しか使っていないのもありまだ余力が残っている。カイリューも体力がまだ3/4以上残っているが、『しんそく』、『エアスラッシュ』、『りゅうせいぐん』と技を三つ使っていた。こいつもメガシンカしており、おそらくは特殊型になっている。
――と、大体こんな感じ。少し技を使い過ぎてはいるが、体力的には僅かにこちらが有利で、向こうの切り札も大体は使い切った感じだ。
後は、ここからどうバトルを組み立てていくか。大きく読みを外した瞬間、一気に流れを奪われる。いわば、ここからが本当の勝負だった。
こちらはドサイドンを出していく。向こうはミュウツーとのバトルで、メガカメックスとメガカイリューを消費した。残り二体を早々に出すよりは、体力のあるエレキブルを出したいと考えるのが普通だ。
しかし、俺がそう読むのは想定済と言わんばかりに、シゲルは再びメガカメックスを出してきた。
こちらがサザンドラに引けば、おそらくシゲルも『クイックターン』で引いてメガカイリューを出してくる。お互いに特殊型だが、『しんそく』もあってまだメガカイリューの素の速さを見定められていなかった。こちらが遅かった場合、詰む可能性がある。
否、結局、こちらが先引きすれば、どうしたってこちらが不利な盤面にしかならない。
ならば、ここはずっと隠れて水耐性を付けようと頑張っていたドサイドンを信じて、メガカメックスの残り体力1/4を一気に削り切った方が良いだろう。
ということで、ここはドサイドンに任せていく。
ドサイドンも、自信があるようで両手を上げて咆哮を放っていた。そのまま、シゲルが『みずのはどう』を指示してくるので、まずは『あなをほる』で地面に逃げていく。
いくら何でも真正面からぶつかるのは馬鹿のすることだ。メガカメックスは全ての技を使っているので、『じしん』を使われる可能性はない。安心して地面に逃げることが出来る。
もし仮に、穴から攻撃を仕掛けて来るなら『ドリルライナー』で高速脱出すれば逆に反撃の起点に出来る――と、考えていると、ここでシゲルはカメックスをボールに戻してきた。そのまま、メガカイリューを出してくる。
成程、ひこうタイプにじめん技は効果が無効。今、こちらの使っているすべての技を受けきれるからこそのメガカイリューチョイスと言うことか。甘いぜ。
地面の中で『ドリルライナー』を回転させ、その勢いで空中にいるメガカイリューに飛び掛かっていく。そのまま、最後の技である『つのドリル』に繋げてカイリューの体力を奪いに行った。
咄嗟に、メガカイリューは『しんそく』で攻撃を回避していく――が、これで『しんそく』も四回目だ。使える回数は残り一回しかない。
こちらも全ての技を使い切ったが、メガカイリューもこのまま『しんそく』が使えなくなったら、これまで通りの立ち回りは出来ないはずだ。
ここで、ドサイドンを戻していく。続けて、リザードンを出していった。
きずな化か、それともメガか、メガだとしてXかYか――と、シゲルの頭が高速で回転しているのがわかる。
相手がドラゴンタイプのメガカイリューならば、選択肢は自ずとダメージを与えられるきずな化かメガXの二択。しかし、きずな現象は特性での変化故に、特性の恩恵が得られない弱点がある。ここは、物理技が強化できるXで一気に勝負を付けに行く。
と、いうことで、ここで満を持してメガリザードンXを使っていく。俺はキーストーンをこれしか持っていないので、もう残りのポケモンはメガシンカできない。
だが、シンゴの試合で見せたように、XとYは自在に入れ替えられるし、きずなリザードンも残している。変幻自在に変化するリザードンの動きに果たしてついて来られるか?
特性『かたいツメ』の効果で、直接攻撃系の技の威力は1.3倍になっている。ここで、一気に『げきりん』を指示して、メガカイリューに大ダメージを与えに行った。
対するシゲルは、ここで敢えてメガカイリューのメガシンカを解除し、最後の技として『げきりん』を指示してくる。やはり、こちらの想定した通り、攻撃はメガカイリューより通常のカイリューの方が高かったようだ。
お互いに、致命的なダメージを奪おうと勢いよく殴り合っていく。本来であればカイリューには『マルチスケイル』があるが、ミュウツーの『アイアンテール(スプーン)』でダメージを受け、その効果も無効にされている。
勿論、バトルの状況次第では『はねやすめ』も考慮に入れていたのだろうが、こちらが全力でぶつかって来るのであれば、シゲルもまた回復よりも攻めを選択する――何だかんだ、俺達は似た者同士ってことなんだろうな。
腕だけでなく、足――たまに頭や尾も駆使して攻撃を叩き込むが、シゲルもその全てに的確な指示を出してくる。
こちらがメガシンカして種族値的に上回っていることやこちらの攻撃の方が特性込みで強いこともあって、ダメージはメガリザードンXが押していた。
お互いに二発ぶち込んで、こちらの体力は残り約1/3程。カイリューは1/4ないくらいだ。次の一撃で一気に勝負が決まってもおかしくない場面。しかし、ここでお互いに混乱してしまった。
シゲルはここでカイリューを戻す判断をしたので、『はねやすめ』を指示する。混乱状態なので運次第では自傷の危険もあるが、成功すれば体力状況は一気に有利になる――一か八かの賭けだったが、メガリザードンXの体力はこれで3/4以上まで回復した。
シゲルもここのままメガリザードンXを自由にさせるべきではないと判断したのか、ここで五体目として前回のバトルでも出したオーロンゲを出してくる。
まさか、連続キョダイマックスかと警戒したが、シゲルはダイマックスを使う素振りを見せなかった。
後から聞いた話によると、ガラル粒子を散布してダイマックスするのは何度も出来ないらしい。一度ダイマックスすると、二つ目以降はジャミングされたかのように粒子が散ってしまうようで、そう都合よくは出来ていないとのことだった(ただし、互いのトレーナーゾーンくらいの距離があれば問題ないため、どちらかしかダイマックス出来ないということはないらしい)。
勿論、この時点の俺は知らないので、後出しでキョダイマックスしてくる可能性を考慮して最大限警戒している。
また、オーロンゲはあく・フェアリータイプなので、ここでメガXを解除してメガYに姿を変えていく。その隙に『リフレクター』と『ひかりのかべ』を同時に張られてしまったが、ピカ様の『かわらわり』ならば壁は破壊できるのでここはメガYをボールに戻した。
メガリザードンYになったことで、特性の『ひでり』が発動し、フィールドは晴れ状態になっている。だが、今の所、シゲルの手持ちで晴れを活用できるポケモンはいないので、この天候を逆手に取られることはないだろう。
ピカ様を送り出して、速攻『かわらわり』を指示する。オーロンゲは『ソウルクラッシュ』で攻めてきた。
この『ソウルクラッシュ』という技は、威力75のフェアリー物理技で、確定で相手の特攻を一段階下げるという追加効果を持っている。こちらの攻撃を受けながら、ピカ様の電撃の威力を下げられる一石二鳥の技と言えた。
向こうの張った壁は破壊したが、こちらが思った以上にオーロンゲのパワーが強い。
前世では基本的に壁張り型が多かったが、こう見えてオーロンゲは攻撃種族値が120もある。ちゃんと攻撃型に育成していればピカ様よりも近接攻撃が強いのは納得ではあった。
とはいえ、それで負けないのがうちのピカ様である。『ソウルクラッシュ』で多少のダメージは受けたが、即座に体勢を立て直して『ばちばちアクセル』で急所ダメージを稼いでいく。
だが、シゲルは深追いせずにここでオーロンゲを戻した。続けて、そろそろ頭が冷えたであろうエレキブルを出してくる。
シゲルは『じしん』を指示してきた。こちらの弱点を素直に付こうという狙いだろう。
勿論、そう簡単に受けるつもりはないので、『ばちばちアクセル』を移動技に使い、エレキブルの体を足場に空中へと駆け上がっていく。お前のニドクインから学んだ回避方法だ。
当然、空中に跳び上がれば、『じしん』は回避できる。そのまま、『かわらわり』で脳天を狙っていった。
しかし、エレキブルも簡単にはやられない。流石に『じしん』を使いながら他の技を使うのは無理なようだが、こちらの『かわらわり』をしっかりと真剣白刃取りで受け止めている。
空中からの落下エネルギーをプラスしてはいるものの、ピカ様とエレキブルでは体格が違い過ぎるが故に完璧に受け止められてしまった。そのまま、エレキブルは空中にピカ様を投げると、『ギガインパクト』で追撃をかけてくる。
それならばと、こちらも切り札を切っていく。
空中でくるくると回転しながら体勢を立て直すと、最後の技として『10まんボルト』――それもPPをかなり消費する青い『10まんボルト』を全身にチャージして、『すてみタックル』の威力を上げてやる。
電気を纏っては、エレキブルの特性『でんきエンジン』が発動するのではないかと思うかもしれないが、前にシュー太郎さん相手に使った『アイアンテール』強化もそうだが、このイッシュで得た技の強化は今までと違ったエネルギーの使い方をしていた。
前にもどこかで説明したかもしれないが、電撃を技のエネルギーに変換して強化に当てているだけ。
これまでは疑似ボルテッカーのように電気の力をそのまま物理的に体に留めていたが、メテオナイトのエネルギーの取り扱いを学んだことで、タイプに依存しないエネルギーによる強化を可能にしている。だからこそ、攻撃に電撃が反映されることはない。
これも、技のちょっとした応用だった。
下から突き上げるようにタックルを仕掛けてくるエレキブルに対し、こちらもまた落下のエネルギー込みでタックルを仕掛けていく。
本来であれば、『ギガインパクト』の方が『すてみタックル』よりも威力は上で、ピカチュウよりもエレキブルの方が攻撃の種族値が強いため勝負になどならないのだが、技の強化と落下のエネルギーがピカ様の攻撃力を上げている。
こうしてみると、エレキブルがピカ様を空中に投げたのは失敗だったように見えるが、空中でないとピカ様は縦横無尽にフィールドを駆け回るので、攻撃を直撃させるのが難しい。だからこそ、多少の損は覚悟で一撃に全てを賭けたのだろう。
結果、お互いの一撃はお互いに大きなダメージを与えながら再び上下に吹っ飛んでいく。
ピカ様が上、エレキブルが下――着地したエレキブルは反動で少しの間動けなくなる。ピカ様は反動でそこそこのダメージこそ受けたが、まだ動けるので再び青い『10まんボルト』をチャージしていく。
そのまま、『かわらわり』を振り下ろす。
だが、ここでシゲルも最後の技として『みがわり』を指示してきた。チャージのおかげでギリギリ技の発動が間に合ったのだろう。エレキブルの『みがわり』に攻撃が誘導され、『かわらわり』を防がれる。この隙にシゲルは再び『ギガインパクト』を指示してきた。
――ハッ、甘ぇよ。
シゲルが驚きの表情を作る。そう、『かわらわり』を決めて尚、ピカ様の身を包む強化されたエネルギーは消えていなかった。
確かに、俺は『10まんボルト』をチャージしたとは言ったが、別に『かわらわり』を強化したとは一言も言っていない。シゲルならこの追撃を躱してくるであろうと読んでの奥の手――『10まんボルト』をチャージしながら、別の技を使う高等技術で一歩先を行く。
しかし、シゲルも引かない。「突っ込め!」と指示を飛ばすと、こちらも「決めろ!」と声を出す。
同時に、ピカ様の強化された『すてみタックル』とエレキブルの『ギガインパクト』が再びぶつかり合った。
お互いに残り体力は1/4程。本来ならばエレキブルの方がもう少し体力が上だったが、『みがわり』による回避で体力を消費したことで、体力はほぼ五分の所まで来ていた。
再びお互いに吹っ飛んでいく。
だが、勝敗は着いていた。体力がゼロになり、戦闘不能になったまま動かないエレキブルと、体力1の奇跡のミリ耐えをしたピカ様が膝を震わせながらも何とか起き上がる。
この勝敗の差は、技の威力でも状況の差でも指示ミスでもない――ただの意地だった。
前回のチャンピオンリーグで、自分が負けたせいで俺を敗北させてしまったというピカ様のショック。だからこそ、次は絶対に負けないという覚悟。それらが意地となって、本来ならゼロになってもおかしくないピカ様の体力を1だけ残した。
相手がエレキブルだったというのも大きい。
こいつには絶対に負けられないと思ったからこそ、ピカ様はこの一勝をもぎ取ることが出来たのだ。
このバトル初の勝利、この意味は大きい。たった一体、相手を戦闘不能にしただけではあるが、これでバトルの流れは一気にこちらへと傾いた。
この流れを失わせないためにも、ここは一旦ピカ様を戻していく。続けて、再びメガリザードンYを出していった。ピカ様が最初の『すてみタックル』を決めた際に、晴れ状態は戻っていたので、『ひでり』によって再びフィールドが晴れになる。
シゲルはメガカメックスを出してきた。俺がメガリザードンYを出してくると読んだのだろう。しかし、晴れ状態ではみず技も威力が半減だ。
カイリューとの殴り合いで多少体力が削れているとはいえ、今の状況は圧倒的にメガリザードンY有利だった。必殺の晴れ『ソーラービーム』で、メガカメックスに攻撃を仕掛けていく。
が、ここからシゲルも粘ってきた。
先制技である『アクアジェット』を使って、こちらの『ソーラービーム』を回避して攻撃を仕掛けてくる。が、先程も書いた通り、晴れ状態なのでいくら弱点とはいえダメージはそこまで大きくない。
しかし、シゲルはこちらの大振りな攻撃を徹底して避け、小さく早く動くことでこちらの攻撃を回避して的確に『アクアジェット』を叩き込むことに専念していた。どんなに小さなダメージでも、積み重なれば大きなものになる。
流石にそう簡単にとどめを刺させてはくれないか。『ソーラービーム』では無理と判断し、ここでメガYを解除してメガXへと変化させていく。まだ晴れは数ターン残っているし、ほのお・ドラゴンのメガリザXならばみず技のダメージはもっと軽減される。
最後の技として『ドラゴンクロー』を指示した。今必要なのは威力ではなく、あの速い動きについていける精密な攻撃だ。向こうの攻撃に合わせて『ドラゴンクロー』で相殺を計っていく。
特性の『かたいツメ』やタイプ一致でこちらの攻撃の方が圧倒的に強いはずだが、シゲルはダメージよりも回避を優先して完全には攻めてこなかった。晴れ状態が解除されるのを狙っているのだろう。
それでも、じりじりとメガカメックスの体力は削れていた。このままいけば、向こうが倒れるのももう時間の問題だ。
それに、仮に晴れ状態が解除されたとしても、またメガシンカを解除して再びメガYになればいいだけの話。こちらにはまだ『はねやすめ』があるので、長期戦はこちらが有利――と、考えている間に晴れ状態が解除された。
再度、メガシンカをチェンジして同時に『はねやすめ』を指示すると、このタイミングでメガカメックスも今度は大技である『みずのはどう』でダメージを稼ぎに来る。
ギリギリでメガシンカし直し、晴れ状態にしたことでダメージは半減させたが、それでも回復した体力の1/4も奪われた。おまけに、二割の確率で相手を混乱状態にするという追加効果まで発動したようでリザードンの動きが鈍ってしまう。
これをチャンスと見たシゲルは、『クイックターン』でメガカメックスを戻してきた。
続けて、カイリューを出してくる。そのまま、最後の『しんそく』でメガリザードンYに組み付いてきた。咄嗟に『げきりん』を指示するが、混乱状態で動きが鈍い。
逆にカイリューは、ここでメガシンカしてゼロ距離『りゅうせいぐん』を撃ってきた。
空中に打ち出すのではなく、前回失敗したシンゴのように相打ち覚悟で『りゅうせいぐん』をゼロ距離で爆発させてくる。今はメガリザYなので、ドラゴン技は弱点攻撃ではないが、流石に『しんそく』の一撃と合わせて体力が一気に1/4以下まで削られてしまった。
しかし、混乱は解除されたようでメガリザードンYの動きも戻る。出来れば『はねやすめ』で回復したい場面だが、ここで回復なんて甘えた行動を見せればシゲルはここぞとばかりに『げきりん』でこちらを戦闘不能にしてくるだろう。
ここは一度、メガリザードンを戻すしかない。シゲルも、こちらが戻すのを見てメガカイリューを戻してくる。
だが、ダメージこそ奪われたが、メガカイリューもこれで『しんそく』を使い切った。これでもう先制技を利用した高速攻撃は仕掛けられない。
とはいえ、ここまでじり貧なフルバトルは初めてだった。これだけ戦って、まだシゲルのエレキブルしか戦闘不能になっていないってマジかよ。
それに、この交代にしてもどうすべきか即決できなかった。ピカ様の体力はミリ、ミュウツーも出来ればもう少し休ませたい。と、すると、選択肢は必然的にドサイドンかサザンドラになる。
しかし、シゲルもそんなことは読んでいる。こちらに有利なメガカメックスかオーロンゲを選んで出してくるはずだ。問題はどちらが出てくるか、もしくは未だに姿を隠している六体目を出してくるか。
いや、それは俺にも言える。ここで最後の一体を切るべきか――逡巡、答えを決めていく。
ここでシゲルは予想外にもニドクインを出してきた。対するこちらは、最後の一体であるコノヨザルを出していく。
まぁ、もう何度も使っているし、流石にシゲル相手にわからん殺しは刺さらないだろうが、それでも『ふんどのこぶし』にはわかっていても相手を倒しきれるパワーがあった。
「……ピカチュウ、リザードン、ミュウツー、ドサイドン、サザンドラ、コノヨザルか。これで全てのメンバーが割れたね」
シゲルがそう言いながら、ニドクインに最後の技である『ステルスロック』を指示していく。同時に晴れ状態が解除されて、フィールドが元に戻った。
だが、ニドクインが最後の技を残している段階で、ステロは最重要警戒対象だ。こちらも『ちょうはつ』を使ってステロを防いでいく。こう見えて、コノヨザルの素早種族値は90もあり、余裕でニドクインを越えていた。
シゲルも上手く行けばラッキーくらいにしか考えていなかったようで、素直にニドクインをボールに戻そうとしてくる。が、それは流石に迂闊だった。
俺がステロ要因なんてヤバいやつをいつまでもそのままにしているはずがなく、追撃の『おいうち』でボールに戻る前のニドクインを一気に戦闘不能にしていく。
この『おいうち』という技はかなりマイナーな技だが、威力40のあくタイプ物理技で相手が交代する時に攻撃をすると、交代する前のポケモンに2倍のダメージを与えるという技だ。
前世だと、第八世代から廃止になってしまったが、この世界ではそんなものはないのでバリバリ現役の技である。シゲルもコノヨザルが『おいうち』を覚えることを失念していたようで、これでニドクインも戦闘不能になっていく。
「お前にしては迂闊だったな」
「……買い被り過ぎだ。君ぐらいだよ、ポケモンが覚える技を残さず網羅しているのは」
と、言いながら、シゲルはオーロンゲを出してきた。あく・フェアリーのオーロンゲと、コノヨザルはあまり相性が良くない。
向こうに壁を張らせる猶予を与えてしまうが、ここは順当にドサイドンへと交代していった。当然ながら、シゲルは『リフレクター』と『ひかりのかべ』を同時出しさせている。
これで通常の攻撃は半減されてしまった形。しかし、ドサイドンには一撃必殺の『つのドリル』がある。どうにかして、オーロンゲを捕まえられないか――と、模索していると、シゲルは最後の技として『すてゼリフ』を指示してきた。
交換技だ。これで、こちらの攻撃・特攻が一段下がり、オーロンゲは通常よりも一歩速くボールに戻る。続けて出てきたのは、シゲルの六体目のポケモンだった。
大きな熊を思わせる巨体に、格闘系ポケモン独特の構え――ウーラオス。それもかくとう・あくの一撃の型だ。これがシゲルの今回のとっておきか。
かくとうタイプでもあるウーラオスは、いわタイプを持つドサイドンとの相性はあまりよくない。
おまけに、壁のせいで相手にはほぼダメージは通らず、こちらも攻撃が一段階下げられて火力がない状況。とはいえ、一撃必殺を狙うにはあまりに相手に隙が無さ過ぎる。
ここは一旦戻すしかない。
そう判断して、ドサイドンを戻していく。ウーラオスは『つるぎのまい』で火力を上げていた。まずいぞ、下手をすればこのまま六タテされかねない。
けど、どうする?
ミュウツーは出せない。相手はあくタイプもあるので『サイコブレイク』が無効な今、有効打は『はどうだん』か『アイアンテール』のみ。おまけに、奴の特性『ふかしのこぶし』は直接攻撃を使うと『まもる』、『みきり』等の防御系の変化技の効果を無効にして攻撃してくる。
つまり、『まもる』で逃げられないのだ。おまけに、専用技の『あんこくきょうだ』は威力75のあく物理技で確定急所に当たる――今の残り体力のミュウツーでは受けきれない。
かといって、コノヨザルも駄目だった。かくとうタイプ対決はあからさまな誘いだ。下手をすると、『ふんどのこぶし』のチャージが終わる前に倒される危険もある。
ピカ様は体力1、リザードンは1/4。おまけに、リザードンは技を全て使っているからウーラオスに有効的なひこう技も使えない。と、すると、もう選択肢はサザンドラしかなかった。
サザンドラもあくタイプ故にかくとう技が弱点だが、あくが半減なので『あんこくきょうだ』はダメージにならない。後は『ふゆう』で上手く空中に逃げながら、上空から『りゅうせいぐん』を連打すれば――と、考えていると、その場でウーラオスが跳び上がった。
サザンドラの上を取りながら、『ドレインパンチ』を仕掛けてくる。流石のサザンドラもまさか相手が自分の上を取って来るとは思わず、一瞬動揺してしまっていた。
いや、ここは一か八かだ。最後の技として『そらをとぶ』を指示する。この技は一ターン目に上空へと飛び上がり、二ターン目に攻撃を仕掛ける技だ。
この飛び上がりでウーラオスのさらに上を取り、奇襲を回避し弱点の一撃を与える――が、ウーラオスは落ち着いて着地し、こちらに向けて拳を構えた。
まるで、いつでも来いと言わんばかりだな。
とはいえ、まだサザンドラは技の発動中に別の技を挟む技術などないので、このまま突っ込む以外に択がない。
しかし、今回は相手による奇襲ではなく真っ向勝負だ。仮に痛い目を見ても、気持ちの動揺は少なく済むはず。
こちらの『そらをとぶ』がぶつかっていく。だが、『リフレクター』のせいか、想像以上にダメージが低かった。大体、1/8程しか入っていない。クソ、ステロじゃねーんだぞ!
と、内心ツッコミを入れていると、ウーラオスの反撃の『ドレインパンチ』を受ける。『つるぎのまい』で攻撃が二段階上がっていることも有り、一撃でサザンドラの満タンだった体力が約半分近く消し飛んだ。これは、二発目は耐えられるか怪しいぞ。
おまけに、『ドレインパンチ』の追加効果で、僅かに与えたダメージも回復されている。
しかし、サザンドラは引かなかった。『りゅうせいぐん』を撃ち、その後すぐに『わるだくみ』で回復するという、得意のコンボで相手にダメージを与えに行く。
その瞬間、ウーラオスは『ふいうち』で距離を詰めてきた。敢えて回避するのではなく、懐に飛び込み、まるでサザンドラを傘にするように体を縮めて懐に入って来る。
こいつ、『りゅうせいぐん』を回避するのは無理と判断してサザンドラを盾にしにきやがった。当然、そんなこと許さんとサザンドラも下がろうとするが、ウーラオスはがっちりとサザンドラを掴んで離さない。
それなら――
「サザンドラ飛べ! 逆にお前から『りゅうせいぐん』に突っ込んでやれ!」
逆に左右の頭でがっしりとウーラオスを掴むと、サザンドラは降り注ぐ『りゅうせいぐん』に突っ込んでいく。
それはまずいとウーラオスが力づくで拘束を解除するも、既に空中では逃げられまい。逆にサザンドラは『ふゆう』で飛べるのでここからでもまだ下がれる。流石に全ての『りゅうせいぐん』を回避するのは無理でも、直撃はある程度避けられるはずだ。
さらに、ここで運がこちらに味方する。オーロンゲが張った『リフレクター』と『ひかりのかべ』が、『りゅうせいぐん』直撃前に解除されてしまったのだ。
予想外の直撃を受け、ウーラオスの体力も削られていく。ドラゴン技は等倍だが、それでもサザンドラの『りゅうせいぐん』だ。かなりのダメージは入る。事実、満タンだったウーラオスの体力は一気に1/3以上削られていた。
だが、サザンドラも余波を受け、体力が一気に1/4以下まで下がってしまう。『りゅうせいぐん』はドラゴン技故に、巻き込まれれば自分にも大きなダメージが入ってしまう欠点がある。しかし、直撃させるには敢えて接近する以外の択はなかった。
シゲルも、ここでウーラオスを使い潰すつもりはないと戻していく。まぁ、向こうにしてみれば本番はミュウツー相手だ。ここまでは準備運動くらいのレベルなんだろう。
それでも、サザンドラは壁有りのウーラオス相手に自分の戦いを貫いてダメージを稼いできた。戦闘不能になっていないことも含めて、こいつは今回のMVPまで有り得る。
と、思っていると、ここでシゲルは再びオーロンゲを出してきた。流石にそろそろウザいのでこいつには退場願おう。こちらも、ここでまたサザンドラを戻していく。
残り体力1――いや、少し休んで多少は回復したピカ様がフィールドに戻っていった。シゲルも、『かわらわり』の前では壁は無駄と判断したようで、『すてゼリフ』を吐いて逃げるか、それともミリのピカ様と戦うかを逡巡している。
が、シゲルはここで戻さずに戦うことを選んだ。まぁ、『すてゼリフ』をされていたら、速攻ピカ様を戻していたのでその判断は間違っていない。
向こうは『ソウルクラッシュ』を何とか当てようと構える。こちらも、ここで切り札を出していった。青い『10まんボルト』を全身にチャージして、『ばちばちアクセル』からの『すてみタックル』で一気にオーロンゲの体力を削り切っていく。
今回はエネルギーだけでなく、これまで通りに遠慮なく電気の力も使って疑似ボルテッカー状態で突っ込ませて貰った。
神速からの連続攻撃は防ぐすべ無し――確定急所からの一撃で、残りのオーロンゲの体力を一気に奪わせて貰う。しかし、当然ながら残りの体力的にピカ様はここでダウンだった。
シゲルも、まさかピカ様の一撃でワンパンされるとは思っていなかったようで、流石に驚きを隠せずにいる。確かに、去年までだったら不可能だったろうな。
オーロンゲが前のめりに倒れ、『10まんボルト』を無理にチャージした自傷ダメ+『すてみタックル』の反動で、ピカ様も限界を超えて倒れる。
よくやったぞ。お前の頑張りは絶対に無駄にしないからな――と、ピカ様を迎えに行くと同時に、シゲルのポケモンが先に三体戦闘不能になったことでインターバルに入ることになった。ようやく、半分か。マジでしんどいバトルだぜ。
原作との変化点。
・連続ダイマックスは出来ない仕様。
粒子の都合で出来ない。出来ると流石に強すぎる。ただ、自分と相手のトレーナーゾーンくらいの距離があれば影響はほぼないため、バトル中に片方が使っても片方が使えないような事態にはならない。
・おいうち。
前に自分で使ってしてやられるんかいって思った人もいるかもしれないが、この世界にはポケモンのウィキなどもないので、ニューサトシのようにポケモンが覚える全ての技を覚えている方がマイナー。
・ふかしのこぶし。
この世界では修正前。ってか、修正するにしても1/4は流石にやりすぎよ。せめて半減くらいで許してやればいいのに。
・先にシゲルのポケモンが三体戦闘不能になった。
いつもながらシゲル戦は、他のバトルよりも死ぬほど書くのが大変。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.68
ピジョット Lv.63
バタフリー Lv.63
ドサイドン Lv.66
フシギバナ Lv.64
リザードン Lv.67
カメックス Lv.63
キングラー Lv.63
カモネギ Lv.63
エビワラー Lv.63
ゲンガー Lv.65
コノヨザル Lv.63
イーブイ Lv.63
ベトベトン Lv.64
ジバコイル Lv.63
ケンタロス Lv.63
ヤドラン Lv.63
ハッサム Lv.63
トゲキッス Lv.63
プテラ Lv.63
ラプラス Lv.63
ミュウツー Lv.76
バリヤード Lv.63
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.62
カビゴン Lv.63
ニョロトノ Lv.62
ヘラクロス Lv.62
メガニウム Lv.62
バクフーン(ヒスイの姿) Lv.62
ラティアス Lv.61
ヘルガー Lv.62
ワニノコ Lv.62
ヨルノズク(色違い) Lv.62
カイロス(部分色違い) Lv.62
ウソッキー Lv.62
バンギラス Lv.64
ドンファン Lv.62
ギャラドス(色違い) Lv.62
ミロカロス Lv.61
ラグラージ Lv.59
オオスバメ Lv.59
ジュカイン Lv.59
ヘイガニ Lv.59
フライゴン Lv.62
コータス Lv.57
サーナイト(色違い) Lv.54
オニゴーリ Lv.57
ワカシャモ Lv.57
メタグロス(色違い) Lv.57
エテボース Lv.55
ムクホーク Lv.54
ドダイトス Lv.54
ブイゼル Lv.55
ムウマージ Lv.57
カバルドン LV.54
ミカルゲ Lv.61
グライオン Lv.53
ロトム Lv.54
ユキノオー Lv.53
ガブリアス Lv.52
ゾロア(ヒスイの姿) Lv.46
ボーマンダ Lv.52
カイリキー(変異体) Lv.52
ミジュマル Lv.50
エンブオー Lv.50
ツタージャ Lv.50
ズルッグ Lv.45
ハハコモリ Lv.48
ペンドラー Lv.48
エルフーン LV.48
ギガイアス Lv.48
ワルビアル Lv.52
ヒトモシ LV.47
サザンドラ Lv.65
マリルリ Lv.43
タマゴ 時々動いているみたい。生まれるまでもうちょっとかな?