15歳 β月υ日 『勝つのは俺だ』
こちらのポケモンは残り5体。その内の3体は体力1/4前後で、ドサイドンが2/3程、唯一無傷で元気なのはコノヨザルだ。
逆に、シゲルのポケモンは残り3体。その内、カメックスとカイリューは体力1/4以下で、切り札のウーラオスはまだ2/3程が半分残っている。一見すると、こちらが有利だが、何かがあればこの状況も簡単にひっくり返ってもおかしくはなかった。
こちらはドサイドンを出していく。
シゲルはメガカメックスを出してきた。インターバルで少しは回復したようで、気合が入っている。
開幕、メガカメックスは『アクアジェット』を使ってきた。先制のみず技で少しでも体力を削ろうという狙いだろう。
こちらは、敢えて受けた。四倍弱点でも所詮は先制技の威力――特性『ハードロック』の軽減も有り、いくらメガカメックスとはいえワンキルは不可能だ。
事実、何とか体力1/3程でドサイドンも踏ん張っている。ぶっちゃけ、とても先制技のダメージとは思えないが、当然ながらただ食らっただけではない。このまま、また馬鹿みたいに動かれても面倒なので、動きを封じるために敢えて真正面から受けたのだ。
そのままメガカメックスの両手をしっかり掴んで、『ドリルライナー』で、向こうの残り少ない体力を奪いに行く。しかし、メガカメックスは甲羅の中に頭を引っ込めることで咄嗟にドリルを回避してきた。そういえば、そんな回避方法あったな! すっかり忘れてたぜ!
と、驚いている場合ではなかった。このままでは次の攻撃で倒されかねないので、ここは仕方なくドサイドンを戻していく。
後一息、そう見えてからが厳しかった。
ここは、まだ体力に余裕のあるコノヨザルに任せていく。シゲルも下手に逃げようとすれば『おいうち』が来るのはわかっているようで、ここは攻める以外の択はなかった。
とはいえ、こちらも出来れば技はなるべく使いたくない。『おいうち』を通常使いしてメガカメックスに圧をかけていく。
だが、距離があるのでシゲルもここは遠距離攻撃をブッパしてきた。怯み狙いも兼ねて、『あくのはどう』でダメージを稼ごうとしてくる。流石に受ける訳にはいかないので、『ドレインパンチ』で波動を散らした。物理で特殊を打ち落としていくスタイルだ!
ならばと、シゲルもそれに合わせて『アクアジェット』で高速戦闘を仕掛けてくる。こちらの『ドレインパンチ』に合わせてカウンターの一撃を叩き込むスタイルか。
しかし、防御の意識はオコリザルの頃から死ぬほどさせていることもあり、上手く『アクアジェット』のダメージを最小限に抑えている。
シゲルが『ふんどのこぶし』の発動条件をどこまで理解しているかはわからないが、ダメージを最小にして被弾するのがこちらにとっても必要条件。そういう意味では、先制技による攻めはこちらにしてみれば有難かった。
ますは一回と、カウントを重ねる。
だが、シゲルも同じ手は何度も使ってこない。再び距離を取ると、今度は広範囲に『あくのはどう』を煙幕のように広げてくる。
これだけ範囲を広げてしまえば、ダメージなど与えられないが――と、思っていると、フィールドからメガカメックスの姿が消えていた。
まさか空かと、一瞬視線を上に向ける。が、空にもメガカメックスの姿はなかった。
「残念、下さ!」
と、シゲルが口にすると同時に、コノヨザルの背後からメガカメックスが飛び出してくる。そうか、ドサイドンの『あなをほる』で出来た地面の道を使ってきたのか。『あくのはどう』は、こちらから姿を隠す煙幕だったということだ。
さらに、こちらに接近する間にしっかりと『あくのはどう』をチャージしていたようで、ほぼゼロ距離で『あくのはどう』の直撃を受ける。特性メガランチャーで威力も上がっており、この一撃でコノヨザルの体力が一気に1/3近く削られてしまった。
「コノヨザル! 体勢を立て直せ!」
「追撃だ! 『アクアジェット』!」
流石にシゲルは追撃に大技なんて悠長な真似はしてこない。『アクアジェット』をぶつけて、さらにコノヨザルの体勢を崩しにかかって来る。
三発――いや、ここで打つしかない。
コノヨザルに最後の技である『ふんどのこぶし』を指示する。これまで死ぬほど鍛えたバランス感覚で何とか体勢を維持しながら、必殺の一撃をメガカメックスにぶつけていく。
メガカメックスも咄嗟に回避しようとするも、ギリギリで拳が体に掠った。これが『ドレインパンチ』ならば生き残れただろうが、今の『ふんどのこぶし』は威力200の大技と化している。タイプ一致で火力はさらにドンだ。
掠っただけでも、残り体力の少ないカメックスの体力を削り取るには十分だった。
だが、今の一連のバトルで、コノヨザルの体力も半分を切っている。シゲルの残りポケモンは後2体――このまま行けるか?
と、考えていると、シゲルはメガカイリューを出してきた。こちらはコノヨザルを一旦戻して、メガリザードンYを出していく。
特性『ひでり』でフィールドが晴れに変わる。が、ここでメガシンカを解除して、切り札のきずなリザードンを出していった。メガシンカも確かに強いのだが、やはり慣れたきずなリザードンが一番しっくりくる。
シゲルも、メガカイリューに『げきりん』を指示して突っ込ましてくる。こちらも『げきりん』で突っ込んだ。
衝突する直前、シゲルはメガシンカを解除してカイリューを通常状態に戻してくる。少しでも火力を上げようという狙いだろう。互いに残り体力は1/4で五分――一撃でも当てれば勝ちの場面。
しかし、倒れたのはカイリューだった。きずなリザードンは意地で立っている。
これでシゲルの残りポケモンは、ウーラオスのみ。それでもシゲルは諦めた様子は見せない。むしろ、本当の勝負はここからだと言わんばかりの笑みを見せてくる。
こちらは『げきりん』を指示しているので、このまま突っ込むしかなかった。ウーラオスは当然『ふいうち』で残りミリのきずなリザードンを倒してくる。これは仕方ないので、甘んじて戦闘不能になる以外になかった。
だが、それでもこちらにはまだ四体のポケモンが残っている――が、シゲルの、否、ウーラオスの快進撃はここから始まった。
まずは物理に強いドサイドンを出していく。『じしん』を使ってダメージを出そうとしたが、残り体力を『ドレインパンチ』で奪われて倒された。
正確には、『じしん』をジャンプで回避してきたので、上半身だけ別技を使う技術を駆使して『ドリルライナー』で反撃しようとしたのを、『ふいうち』で躱され、懐に『ドレインパンチ』を叩き込まれたのだが、一撃というのは流石に予想外と言わざるを得ない。
確かに、ドサイドンはかくとう技が弱点ではあるが、防御種族値130で物理にはかなり強く、まだ体力も1/3くらい残っていた。それをまさか一撃で?
続けてサザンドラを出していく。先程はいい勝負をしたサザンドラだが、向こうは再びジャンプからの『ドレインパンチ』で不意を突いてきた。
とはいえ、流石に同じ手が二度も通じるはずが――と、思っていると、ここで予想外の出来事が起きる。メガリザードンYの特性で晴れ状態だったことも有り、一瞬サザンドラの目が眩んでしまったのだ。
だが、頭が複数あることが幸いして、遅れずに『りゅうせいぐん』を撃つことが出来ている。
しかし、ウーラオスも引かない。こちらの『りゅうせいぐん』に合わせて、そのまま『ドレインパンチ』を振り抜き、ウーラオスはダメージ覚悟でサザンドラを倒してきた。
だが、『りゅうせいぐん』は既に発射されている。サザンドラは倒れたが、技は維持されたままウーラオスを襲っていく。そのおがけもあって、ドサイドンとサザンドラの体力を合わせた回復は帳消しに出来たが、それでもまだウーラオスの体力は2/3程残っていた。
あっという間に3体が倒され、こちらの残りは2体――ミュウツーを出すか、コノヨザルを出すか。悩んだ結果、ここはコノヨザルに任せることにした。
思えば、最初からコノヨザルに任せるべきだったか。コノヨザルはゴーストタイプなので、かくとう技の『ドレインパンチ』が効かない。下手にドサイドンやサザンドラを犠牲にするよりも、ワンチャンの殴り合いに賭けた方が勝率が高かったかもしれない。
では、何故そうしなかったのか。それは、ウーラオスのパワーを思った以上に見誤っていたというのが大きい。
まさか、ドサイドンが一撃で倒されるなどと誰が想像する。おまけに、『りゅうせいぐん』を無視してでも殺しに来るだなんて想定できるはずがなかった。
でも、おかげでウーラオスの力はある程度把握で来たのだ。ドサイドンやサザンドラが倒された甲斐はあったと言って良いだろう。決して負け惜しみなどではない。
と、言う訳で、コノヨザルとウーラオスというかくとうタイプ同士の対面。シゲルは様子見などせずに、最後の技である『あんこくきょうだ』を指示してくる。こちらは『ドレインパンチ』で対抗していった。
こちらの防御の上から確定急所のダメージが入るが、こちらも与えた分回復しているのでそこまで大きなダメージではない。だが、それでも防御の上から1/3近くも持っていかれている。回復のおかげでダメージは安く済んだが、直撃を貰えば一撃でKOも有り得た。
しかし、回復込みでの打ち合いならば、こちらが有利。シゲルもこの打ち合いでコノヨザルを防御の上から打ち崩すのは無理と分かったようで、一撃の型の癖に連打にシフトしようとしていた。
また、ここで『ひでり』の効果が切れ、天候も元に戻っていく。
お互い、残り体力は1/3ちょっと。だが、ウーラオスは『あんこくきょうだ』を直撃させないとコノヨザルを倒しきれず、こちらも下手をするとカウンターの一撃で沈む可能性がある。だからこそ、お互いに直撃を許さない姿勢で殴り合っていく。
コノヨザルは回避寄りの防御型だ。オコリザル時代から体に叩きこんできたピーカブーブロックスタイルで、体を揺らして直撃を避けてダメージを逃がすタイプ。対するウーラオスは打ち払うタイプの回避型。攻撃を外に弾いて直撃を避けようとする。
結果、お互いに決定打を与えられずに膠着状態となっていく。
俺もシゲルも、ここで下手な指示は出さない。このレベルまで来ると、トレーナーがでしゃばるよりもポケモンに任せた方がいいからだ。
しかし、こちらには最後の切り札である『ふんどのこぶし』があった。カスりも含め、既に被弾回数は6回を超え、最大火力である350までチャージで来ている。
あくタイプのウーラオスには威力半減ではあるが、それでも威力175で『ギガインパクト』や『はかいこうせん』を超える大技だ。タイプ一致で262まで火力は上がる――コノヨザルも技を決めるタイミングを計っていた。
だが、切り札があるのは向こうも同じ。『あんこくきょうだ』は防御の上からでも凄まじいダメージを叩きだしてくる。こちらが下手に大振りすれば、カウンターで決めきるだけの器用さをウーラオスは持っていた。
待っているのは機――必殺技を叩き込む隙を作ろうと、互いに拳を交わし合っていく。
ずりずりと、コノヨザルがすり足で距離を詰める。ウーラオスは逆に後ろに下がった。
お互いにインファイターのかくとうタイプだが、二体は得意な距離が違う。コノヨザルが完全な近距離型なら、ウーラオスは近~中距離型とでもいうべきか。手足が長いからこそ、コノヨザルよりもウーラオスは距離を欲しがる。
その距離をコノヨザルは少しずつ削っていた。
いわば、経験の差だ。シゲルのウーラオスはこの一年しっかりと修行を積んできたのは見ればわかるし、その強さは実際に今体感させて貰っている。
だが、コノヨザルは俺がカントー地方を旅していた頃からずっと研鑽を積んできたのだ。どれだけ、汗を流し、痛い目を見て、仲間同士で力を磨いたのか(殴り合ってきたのか)――自分の距離を作る方法など、既に骨身に沁み込んでいた。
故に、ウーラオスは押されている。そして、遂に下がれない場所まで追い込まれた。
ここだ――コノヨザルが体を大きく左右に体を振り、∞を描くようにウィービングさせていく。
昔は『あばれる』と『げきりん』を合わせて連打していたこのデンプシーもどきだが、今の技術なら左右で同時に『ふんどのこぶし』を出すことが出来た。
このまま、防御の上から突き崩すと言わんばかりに左右の連打でウーラオスのガードを突き崩していく。
だが、ウーラオスは一撃を受ける覚悟で『あんこくきょうだ』をカウンターしてきた。
このまま丸まっていても勝てないと察したのだろう。
初撃、右から振り抜こうとするコノヨザルの『ふんどのこぶし』を腕で受け流すと、折り返しの一撃に重ねるように、ウーラオスが『あんこくきょうだ』を振り抜いていく。
このデンプシーもどきはカウンターに弱いという欠点がある。前にも、同じ手で負けた経験があった。
しかし、俺達がいつまでも弱点をそのままにしているはずがない――
ウーラオスがカウンターを仕掛けようとしたが、本来ならそこにいるはずのコノヨザルを見失い、驚きの表情を見せる。
向こうの視点からは、まるで消えたように見えただろう。何せ、コノヨザルは膝だけ残して体を真横に倒し、アッパーの体勢で下からウーラオスを狙っていたのだ。
当然、左から来ると思っていたウーラオスからすれば、完全に相手を見失った形。
そう、これこそ前世の漫画でも完成形が見られなかった、新型の縦回転を混ぜたデンプシーである。
足腰への負担が大きいので、本来ならそう簡単に使えないが、コノヨザルは自身の特性をフルに使うことで負担を誤魔化していた。
コノヨザルはゴーストタイプだ。つまり、本来なら体の負担で出来ないような体勢も、部分的な霊体化で負担をゼロに出来るのである。これにより、新型は完成を見せた。
だが、不意を撃ったアッパーを、ウーラオスはギリギリ首を反らすスウェーで回避する。しかし、運が良かっただけというのは誰の目にも明らかだった。
それでも、新型は止まらない。
縦が駄目なら横。横が駄目なら縦と、縦横無尽に回転はループしていく。さながらそれは小型の台風のようで、『ふんどのこぶし』の威力も最大なこともあり、一撃でも当てれば相手を倒しきれそうだった。
――が、ここでウーラオスは引くのを止める。
新型はこまめに軸足をチェンジできるため、今までと違って相手を追って動けた。
つまり、これまでは固定砲台だったが、距離を潰せるようになったので、従来型の弱点である一歩引いてのカウンターを克服したといっていい。
だが、覚悟を決めて逃げるのを止めたウーラオスは、コノヨザルの回転に合わせて、その軸足に自分の足をぶつけるかのように、逆に一歩前へと踏み込んだのだ。
本来なら、前に踏み込めば距離は縮まる。
しかし、ウーラオスは中距離型でもあるが故、前に出した足を軸に体を反らすかのように斜め後ろに構えたのだ。
それはウーラオスが自身のリーチを最大限生かすための構えであり、奇しくもコノヨザルのやられて一番嫌なことでもあった。
軸足同士がぶつかることで、コノヨザルはそれ以上奥に踏み込めなくなり、逆にウーラオスは体を反らしたことで僅かながら空間の余裕が出来る。
ここで問題となるのは、互いの体格差だ。
コノヨザルは基本1.2mで俺のコノヨザルも標準型であり、対するウーラオスは1.9mと身長が高く顔が少し上の位置にある。
つまり、コノヨザルがウーラオスの顔に拳をぶつけるには手を限界まで伸ばす必要があった。なので、足を壁にし、体を反らされたことで、本来ならば当たるはずの攻撃が届かなくなる。
それを証明するかのように、再び下から振り抜いたコノヨザルの拳が紙一重で回避されていく。
また、基本的に無限軌道を描くデンプシーは、どうしたって体を下に沈めて勢いをつける必要がある。だからこそ、この僅かなスペースがコノヨザルの射程からウーラオスを逃がしてしまったのだ。
この一歩により、勝負は決まる。
当然、回避が出来るならカウンターも出来る訳で、折り返しの一撃が横だろうが下だろうが、斜め後ろから俯瞰したウーラオスはその攻撃に拳を合わせていく。
もし、これがコノヨザルの距離での攻撃だったら、カウンターなど許しはしなかっただろう。
しかし、コノヨザルも新型は今回が初披露であり、まだ慣れていない型をするのに夢中で、距離感のミスに気付くことが出来なかった。
そして、コノヨザルよりもウーラオスの方がリーチが長いことで、振り下ろす形で先に拳がぶつかる。
再び回転し、腕を伸ばして相手を追うコノヨザルに対し、振り下ろすウーラオスの方が早く攻撃が決まった。
こちらの一撃は届かず、『あんこくきょうだ』は完全な形で決まり、崩れるようにしてコノヨザルが倒れる。
この間、僅か数秒の出来事だった。
流石のニューサトシも事態の把握は出来ても指示をする余裕はなく、シゲルも激しい格闘対決を制して心からホッとした様子を見せている
身長が後少し高ければ――だが、それは言っても意味がない。ここは対格差を考慮してくれる格闘技の世界ではない。どんな状況であれ、力を出し切った方が正義なのだ。
とはいえ、ウーラオスも疲労が見えていた。
体力もあのバトルの間に1/3まで削られており、疲労でウーラオスの動きも精彩を欠きつつある。
これなら、こちらにもまだ勝ちの目が残っていた。コノヨザルを労って、最後のミュウツーに全てを任せていく。
『いよいよ、正念場だな』
「ああ……勝つぞ」
そう言うと、ミュウツーがウーラオスを見ながら笑みを浮かべる。シンゴのガラガラの時もそうだったが、こういう力や技術で対抗してくる相手が地味に大好きなんだよな、こいつ。
シゲルは様子見などせずに、『あんこくきょうだ』を指示してくる。こちらは『アイアンテール(スプーン)』でそれを反らしていった。
すると、反対側の手で『ドレインパンチ』を撃ってくる。それを躱しながら『はどうだん』を撃とうとすると、『ふいうち』で殴られそうになったのでスプーンの柄を地面に伸ばすことで無理やり体の位置をずらして攻撃を回避していく。
くっ、特性の『ふかしのこぶし』のせいで、『まもる』が死技にされているのが大きい。
おまけに、ウーラオスはあくタイプなので、『サイコブレイク』も使えず、実質技二つで戦わないといけないのは厳し過ぎた。せめて、あと一つ技があればこの拮抗状態を抜け切れるのだが、こいつ本当に種族値550族かよ! やっぱ、伝説枠なだけはあるなぁ!
勿論、これが体力満タン&技も未使用という状態から始まる、よーいドンのバトルだったなら、ミュウツーは決してウーラオスにも負けない。
だが、これまでのバトルの流れによってダメージが蓄積し、技を使用させられた結果、近接の申し子のウーラオスに苦戦させられる結果となっていた。
一番警戒は何よりも『あんこくきょうだ』だが、残り体力を考えれば『ふいうち』も危ない。かといって、『ドレインパンチ』ならば受けて良いのかと言われると、体力的な問題から出来ればそれも受けたくなかった。つまりは、じり貧。
おそらく、シゲルはキョダイマックスメガカメックスを出した辺りから、この状況を読んでいたのだろう。
あのまま倒しきれればよし。駄目でも、ウーラオスで押し切れるくらいに追い込む。途中でステロとかを撒ければ尚ラッキー的な策が、今回の軸と見た。
とはいえ、流石にここまで追い込まれるとは思っていなかったのか、シゲルももう冷静さと必死さを合わせたような緊張感のある面持ちをしている。
今の所、戦いは互角。
状況は、コノヨザルの時と一緒だ。とどめの一撃を入れた方がこの勝負を制す――そして、シゲルは最後まで醜くても足掻くことを止めない男だった。
「……頼む、僅かな時間でいい。僕に力を貸してくれ!」
そう言いながら、シゲルは再びガラル粒子が入ったカプセルを割っていく。しかし、キョダイマックスバンドは反応を見せない。
良くはわからないが、もしかしてダイマックスは一回のバトルで一回しか出来ないという制約でもあるのか――と、この時の俺が疑問に思っていると、シゲルが吼えた。
「サトシに勝ちたい! いや、勝つんだ! このバトル、勝つのは僕だあぁあああああああああっ!!」
その咆哮に反応するようにダイマックスバンドが輝き、ウーラオスがボールに戻っていく。後に、シゲルが奇跡と称した、二回目のキョダイマックスが――ここに顕現した。
「行けっ! キョダイマックスウーラオス!! 『キョダイイチゲキ』でとどめだぁ!!」
キョダイマックスしたウーラオスのキョダイマックス技である『キョダイイチゲキ』は、相手の『まもる』系の技をも無効にし、必ず相手に命中する。
つまり、このままいけばこちらの負け――だが、俺達にもまだ奇跡が残っていた。
「『いや、勝つのは俺(私)達だ!』」
――星の奇跡が、再び絆を紡ぐ。
僅かに残った制限時間――オーバーフローで予定よりも早く解除されたことにより、俺達にはまだ僅かながらきずな化するだけの力の余地が残っていた。
二度目のきずなミュウツーがここに降臨する。
向こうの『キョダイイチゲキ』にぶつけるように、こちらも最高の技である『サイコバーン』をぶつけていった。
確かに、『キョダイイチゲキ』は防ぐことは出来ずに、必中の効果があるかもしれない。だが、それは相殺できないという訳ではない――全ての力を出し切る勢いで、次元を割く一閃が『キョダイイチゲキ』を消し去った。
同時に、奇跡の終わりがやって来る。
やはり、一度のバトルでダイマックスを二度も行うのは無茶だったようで、ウーラオスはそのキョダイマックスをキープできずに元の姿に戻っていく。
そして、こちらはまだ数秒だけ時間が残っていた。最後の技として、『はどうだん』を打ち出していく。シゲルのおかげで、きずなミュウツーはかくとうタイプを合わせ持っていることが分かった。タイプ一致の『はどうだん』で勝負を決めに行く。
しかし、シゲルはそれでも諦めなかった。ウーラオスに『あんこくきょうだ』を指示して、『はどうだん』を打ち返そうとしてくる。
だが、連戦に次ぐ連戦で、ウーラオスももう限界が来ていた。また、こちらの『はどうだん』の威力が高すぎるということもあり、ウーラオスはそのまま『はどうだん』の一撃を受けて吹っ飛んでいく。
――立つことはなかった。
倒れたウーラオスは目を回してピクリとも動かず、そのまま戦闘不能の判定を受ける。
これで、シゲルの手持ちポケモン全てが戦闘不能になったことで、俺の勝利が確定した。
つまり、チャンピオンリーグ制覇の瞬間だ。
歓声が雨のように降り注いでくる。少し遅れて、シゲルが「そうか、負けたか……悔しいな。やっぱり」と、自分の無力さを悔やむかのようにウーラオスをボールに戻した。
「俺の勝ちだな」
「ああ、僕の負けだ。こうなったら、行ける所まで行ってこい」
負けて悔しい気持ちは俺だってわかる。でも、これで終わりじゃないとわかっているからこそ、シゲルも笑顔で俺の背中を押してくれた。
また、戦闘不能になっていたピカ様が嬉しそうに俺の頭に飛びついてくる。ああ、やっぱりバトルは最高だな。最後に勝つこの瞬間がたまらなく気持ちいい。
去年の泣き顔が嘘のように、ピカ様が笑顔を向けてくる。観客席の方をみると、タケシやカスミさんを始め、たくさんの仲間が俺の勝利を喜んでくれていた。
また、ゲスト席の方を見てみると、シロナが半分泣きそうな顔で喜んでいるのが見える。ほら、だから勝つって言っただろーが。
とはいえ、まだここは入口だ。ここから先はまだ俺も知らない未知の世界――さぁ、四天王を倒してチャンピオンになってやろうぜ。
15歳 β月φ日 『行く先』
チャンピオンリーグ優勝のカップを貰った。そして、ここからは選択肢がいくつか存在する。
チャンピオンリーグを制したことで、俺は四天王リーグに挑戦する権利を得た訳だが、どの地方に挑戦するかは俺の自由に決めて良いらしい。
改めて、四天王リーグについて話を聞いていく。チャンピオンリーグを勝ち抜いた勝者は、各地方の四天王リーグに入ることが出来る。
ルールは、勝ち抜き戦のチャンピオンリーグと違って総当たり戦であり、挑戦者と全ての四天王、チャンピオンがぶつかりあって勝ち星を競い合う。
リーグに残っていられる期間はチャンピオンリーグと違って基本二年であり、それ以内に四天王入りするか、チャンピオンにならないとリーグから抜けることになるらしい。
短いと思うかもしれないが、四天王リーグはチャンピオンリーグと違って年二回行われるので残留期間が半分になっているのだろう。
また、仮に四天王の一人が代変わりしても、旧四天王も即リーグ抜けする訳ではなく、そこから二年間はチャンスが与えられる。つまり、リーグ入りした後、四天王に定期的に勝てれば四天王リーグにある程度の期間は残留できるということだ。
それではリーグ参加者で年々人が増え続けていくのではないか――とも思うが、年一で一人しか増えないのであれば、余程偏らなければ参加者が増えることはないらしい。また、四天王やチャンピオンも実力派揃いなので、大体は二年でスッパリ消えていくとのことだった。
実際、今各地方の四天王リーグでも四天王とチャンピオンの他の挑戦者は、各地方で一人いれば多いというレベルなのだという。そして、今年は俺が挑戦権を得た訳だが、レッドのいるカントーか、それともシロナのいるシンオウか、どこへいくか少し悩み所だな。
と、話していると、シロナが「そこは師匠である私に挑戦すべきでしょーが!」と、頬を引っ張って来る。うるせー、俺にも最強に挑戦したい気持ちだってあるんだよ。お前とはやろうと思えばいつでもバトルできるだろーが!
原作との変化点。
・メガカメックスの首引っ込め。
実は前にもやられたことがある。が、流石のニューサトシもすっかり忘れていた。
・あなをほるの穴を利用した奇襲。
いつかどこかでニューサトシにやらせようと思っていたが、気が付いたらシゲルが先にやっていた。不思議。
・新型デンプシー。
縦横無尽に回転できるが、体格差を生かされて負けた。原作でもサウスポーの軸足に足がぶつかって相手に攻撃を直撃させられなかった。ウーラオスの場合はたまたまだったが、運良く正解を引き当てた形。後は純粋にコノヨザルの練度不足。本番では初披露なので、慣れてないこともあって相手の変化を見逃した。
・奇跡の二度目のキョダイマックス。
1ターンのみの奇跡。多分、もう二度と起きない。
・二度目のきずなミュウツー。
オーバーフローは別に狙って書いていた訳ではないのだが、気が付いたら伏線みたくなっていた。勢いで書いていたら勝手に辻褄があってビックリ。ワイ、天才では?
・四天王リーグ。
独自設定。けど、アニポケ内でリーグ戦している描写が何度かあるので年二回に設定した。ニューサトシは最強への挑戦か、シロナとの決着かで悩んでいる。他のリーグの選択肢もあるが、この二つが今の所最有力。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.68
ピジョット Lv.63
バタフリー Lv.63
ドサイドン Lv.66
フシギバナ Lv.64
リザードン Lv.67
カメックス Lv.63
キングラー Lv.63
カモネギ Lv.63
エビワラー Lv.63
ゲンガー Lv.65
コノヨザル Lv.63
イーブイ Lv.63
ベトベトン Lv.64
ジバコイル Lv.63
ケンタロス Lv.63
ヤドラン Lv.63
ハッサム Lv.63
トゲキッス Lv.63
プテラ Lv.63
ラプラス Lv.63
ミュウツー Lv.76
バリヤード Lv.63
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.62
カビゴン Lv.63
ニョロトノ Lv.62
ヘラクロス Lv.62
メガニウム Lv.62
バクフーン(ヒスイの姿) Lv.62
ラティアス Lv.61
ヘルガー Lv.62
ワニノコ Lv.62
ヨルノズク(色違い) Lv.62
カイロス(部分色違い) Lv.62
ウソッキー Lv.62
バンギラス Lv.64
ドンファン Lv.62
ギャラドス(色違い) Lv.62
ミロカロス Lv.61
ラグラージ Lv.59
オオスバメ Lv.59
ジュカイン Lv.59
ヘイガニ Lv.59
フライゴン Lv.62
コータス Lv.57
サーナイト(色違い) Lv.54
オニゴーリ Lv.57
ワカシャモ Lv.57
メタグロス(色違い) Lv.57
エテボース Lv.55
ムクホーク Lv.54
ドダイトス Lv.54
ブイゼル Lv.55
ムウマージ Lv.57
カバルドン LV.54
ミカルゲ Lv.61
グライオン Lv.53
ロトム Lv.54
ユキノオー Lv.53
ガブリアス Lv.52
ゾロア(ヒスイの姿) Lv.46
ボーマンダ Lv.52
カイリキー(変異体) Lv.52
ミジュマル Lv.50
エンブオー Lv.50
ツタージャ Lv.50
ズルッグ Lv.45
ハハコモリ Lv.48
ペンドラー Lv.48
エルフーン LV.48
ギガイアス Lv.48
ワルビアル Lv.52
ヒトモシ LV.47
サザンドラ Lv.65
マリルリ Lv.43
タマゴ 中から音が聞こえてくる! もうすぐ生まれそう!