15歳 γ月μ日 『やめんか、お茶目さんめ』
まさかのフリーザー様という切り札を先見せされ、ムクホークが瞬殺されたことでバトルの流れは一気にカンナが掴んでいった。
続けて、特性『あついしぼう』のカビゴンを出していくと、カンナはフリーザー様を戻してルージュラを出してくる。
カビゴンは特殊耐久が強く、相手は物理に弱いのでそのまま突っ張ったのだが、まさかの開幕『ねこだまし』からの『サイコショック』で奇襲を受けてしまった。
ルージュラはこおり・エスパータイプであり、エスパー技はタイプ一致だ。さらに、この『サイコショック』という技は、ミュウツーの『サイコブレイク』と同じく、相手の特防ではなく防御の値でダメージ計算をするという技だった。
威力は『サイコブレイク』よりも20低い威力80というだけしか違いはなく、うちのカビゴンも殴る蹴るなどの物理には割と強い方なのだが、エスパー技を物理技として受けるのは初体験過ぎて普通にダメージをもらってしまった形だ。
おまけに、そこから定番の『あくまのキッス』まで決められ、眠るのが大好きなうちのカビゴンは普通にやりたい放題されてしまっている。
仕方なく引いてリザードンを出していくと、向こうはここで最後の技として『トリックルーム』を使ってきた。
これで素早は逆転し、向こうは当然のようにルージュラを戻してヤドランを出してくる。その上、ここが切り時とメガシンカまで決めて来て最速のメガヤドランが爆誕していた。
こちらも早々にメガリザードンYにメガシンカし、『ひでり』の効果でみず技の威力を半減させていくが、超高速アタッカーのヤドランは問答無用でゼロ距離までよって『ハイドロポンプ』を決めてくる。
威力は半減になっているが効果抜群で等倍だ。
おまけに、こちらはとんでもなく動きに制限がかかっていて回避もままならない。反撃の『ソーラービーム』も消えたかと思うくらいの速度で余裕に回避され、二度目の『ハイドロポンプ』を決められる。
いくら半減とはいえ、こうも連続して食らえばダメージも積み重なっていく。ならば、肉を切らせて骨を断つ――と、二度目のゼロ距離『ハイドロポンプ』を受けた時にメガヤドランを掴んで動きを無理やり止めていった。
動けなければ、トリルの効果も関係ない。そのまま、こちらも二度目の晴れ『ソーラービーム』を撃っていくと、巨大な殻の中に頭を引っ込めて攻撃を回避してきた。お前、それはカメックスの専売特許だろうが!
確かに、ヤドランはメガシンカすると、巨大なシェルダーの中に入ったような形となるため、殻の中に頭を隠すことも出来るのだろう――が、いざやられると腹が立つ!
このままではまずいので、ここでメガリザードンYを戻していく。が、ボールの光が弾かれてしまった。みると、メガヤドランが『とおせんぼう』を使って、交代を封じている。これではゴーストタイプ以外に交代が出来ないので戦うしかなかった。
相性的に、メガリザYよりもドラゴンタイプ複合のXの方が有利と判断して、ここはメガリザXにメガシンカし直していく。しかし、その変化の隙にまさかの『あくび』を受けた。まずい、このままだと眠ったまま交代できなくなる。
このタイミングでトリルの効果は切れたが、最終手段として『ドラゴンテール』でメガヤドランを強制交代させることで『とおせんぼう』の効果を無効にせざるを得なかった。
だが、その前にしっかりと三回目の『ハイドロポンプ』もくらい、おまけに『あくび』の効果でメガリザXも眠りに入ってしまっている。『ドラゴンテール』は交代技故に後攻にさせられるため、鈍足に戻ってもメガヤドランの技の方が先制となってしまった形だ。
強制交代故に、向こうのポケモンはランダムで出てくるが、ここでまさかのフリーザー様を引き当ててしまった。こちらのメガリザXは眠っているので引かざるを得ない。ここで、『ひでり』の効果が切れて晴れ状態が解除された。
完全に荒らされている。
ここは何とか場を立て直すためにもミュウツーを出していくしかなかった。だが、カンナもミュウツーのことは知っているようで、このためにフリーザー様を温存していたと言うのは過言ではないだろう。
ぶっちゃけ、ここからはもう大怪獣バトルとしか言いようのない伝説と準伝のぶつかり合いだった。
詳しく書くと日記が何枚あっても足りなさそうなので、ある程度割愛していく。お互いに『じこさいせい』と『はねやすめ』を上手く使って回復してくるので、滅茶苦茶長期戦になってしまっているのだ。
ミュウツーは『サイコブレイク』、『はどうだん』、『じこさいせい』、『アイアンテール』の四つを。
フリーザー様は先に見せていた『ぜったいれいど』と、『れいとうビーム』、『はねやすめ』、『エアスラッシュ』の四つを使ってバトルを組み立てているのだが、カンナはひこうタイプのエキスパートかと思うくらいにエアスラの使い方が上手かった。
途中、ミュウツーがフリーザー様の弾幕を抜けて『アイアンテール(スプーン)』で殴り掛かった時、カンナは『エアスラッシュ』のエネルギーを羽に纏わせることで近接に対応させてきたのだ。もうそれ『つばめがえし』じゃんと叫んだのは俺だけではないはず。
そんなこんなで、残りのPPを心配するくらいの勢いで、遠距離や近距離関係なくぶつかりあっていた両者だが、こちらは切り札であるきずな化を切らなかった。
理由は、きずなミュウツーのタイプにある。
きずな化は確かにパワーやスピードが上昇して有利になるが、かくとうタイプが入ることで逆にひこう技から受けるダメージも上がってしまう。こちらの与えるダメージが強くても、向こうも同じくらい強くなってしまえば状況がどう変わるか読めなかった。
最悪、ごり押しに負けそうになり、向こうが破れかぶれで撃った一撃必殺連打がたまたま当たる――なんてことも有り得なくはない。それならば、現在の均衡を保ったまま、上手くフリーザー様を倒しきるのが理想だった。
が、所詮、理想は理想。
このバトルの流れは依然としてカンナが握っていた。その証拠に、『れいとうビーム』の一割氷を引いて、ミュウツーが氷漬けになってしまう。
そこをチャンスと見て、『ぜったいれいど』を使ってくる。当たればいくらミュウツーとはいえ戦闘不能は免れないため、ここできずな化を切って『サイコバーン』で無理やり氷を壊して一撃必殺を回避していった。
しかし、三分しかこの姿は維持できない。これより一つ前の姿なら永続的になっていられるが、『サイコブレイク』を『サイコバーン』に変化させるにはフルパワー状態でなければ不可能という隠れた欠点が存在するのだ。
そのため、このまま一気に勝負を付けに行く。『はどうだん』もタイプ一致になって火力が上がり、向こうの『れいとうビーム』や『エアスラッシュ』でも受けきれなくなると、そのまま『アイアンテール(スプーン)』でとどめを刺しに行く。
しかし、カンナは敢えて攻撃を回避しなかった。当たれば戦闘不能になるであろう一撃を敢えて受けながら、最後の『ぜったいれいど』で相打ちを狙ってくる。
流石のきずなミュウツーも、攻撃の最中だけはどうしようもなく、フリーザー様と相打ちになる形で戦闘不能になってしまった。きずな化できる伝説ポケモンを準伝で倒したのだ。カンナからすれば値千金の勝利である。
お互いにミュウツーとフリーザー様を戻していく。カンナは「ご苦労様」とフリーザー様を労っていた。
こちらも頑張ってくれたミュウツーを労う。
だが、問題はここからだった。残りポケモン四体の内、半数は眠り状態で爆睡している。この世界の眠り状態は、ターン経過で絶対に起きる保証はなかった。寝るのが好きなカビゴンなど、下手をすれば明日まで眠っている可能性がある。
かといって、下手に起こすためにダメージを食らわせるのはこの勝負では致命傷になりかねなかった。
つまり、戦えるポケモンは二体――ピカ様を出すか、クリスタルのイワークを出すか。悩んだ結果、ここはクリスタルのイワークに任せることにした。ステロを決められれば、まだここから逆転するチャンスもある。
と、考えていると、カンナはここでメガヤドランを再び出してきた。大丈夫だ、こちらの特性は『クリスタルボディ』に戻っているので、みず技でダメージを受ける心配はない。まずは『ステルスロック』で相手のフィールドを脅かしていく。
すると、カンナは『とうせんぼう』を指示してきた。どうやらステロは読まれていたようで、こちらを逃がさないようにすることを優先してきたらしい。
そのまま、『あくび』でリザードンの時のようにこちらを眠らせようとしてくるのは読めていたので、ここで最後の技である『ほえる』を指示していく。本当は使いたくないが、ここでクリスタルのイワークまで眠ったらもう本当に終わりだ。
しかし、カンナはここでも仕掛けてきていた。
当たり前のように『あくび』と指示を受けたメガヤドランが最後の技として『ボディプレス』を使ってきたのだ。
いわ・こおりタイプのクリスタルのイワークにかくとう技は四倍弱点。さらに、『ボディプレス』は攻撃ではなく、防御の数値によって威力が変わる技だった。
メガヤドランの防御種族値は脅威の180であり、おそらくカンナもヤドランを物理受けに育てているはず。『てっぺき』など詰まなくても十分にクリスタルのイワークを倒しきるパワーを出せていた。
逆に、ここまでの戦いで傷ついていたクリスタルのイワークにこれを耐えるすべはなく、不意を撃たれて戦闘不能になっていく。クソ、多分ハンドサインか何かだ。合図で出す技を指示してこちらの裏を突いてきた――ここでのクリスタルのイワーク離脱は痛すぎる。
先に俺のポケモンが三体戦闘不能になったことで、五分間のインターバルに入っていく。
強いとは思っていたが、まさかここまでとは思わなかった。完全にカンナを舐めていた――こうまで上手くバトルを進められるのは久しぶりだ。
カンナのバトルはまさに綺麗という言葉が相応しい。最初は水のように静かにこちらの動きを見ていたと思えば、一瞬の隙を突いて氷のように厳しい一撃で流れを掴みに来る。
何とか状況を立て直したいが、今戦えるのはピカ様しかいなかった。向こうはそれを承知でポケモンを出してくるだろう。
まさに絶体絶命――まるで周囲一帯が深い海で、氷で作られたレールの上を無理やり歩かされているような気分だ。
けど、まだ終わっていない。
ポケモンバトルは最後まで何が起きるかわからないものだ。だから、トレーナーは何があっても諦めてはいけない。俺が臆せば、それはポケモン達にも伝わる。だからこそ、こういう時程、前を向け、頭を上げろ。
「ああ、そうだ。勝負はここからだ……!」
そう呟くと、ピカ様がその通りだと言わんばかりに獰猛な笑みを浮かべた。釣られて、こちらも笑みが出てくる。
自分の思い通りに行かない?
いいじゃねぇか、だからこそポケモンバトルは楽しいんだ。この完全に不利な状態から勝つからこそ格好いいんじゃねぇか。
「――君にとって、ポケモンバトルとは何?」
インターバルが明け、トレーナーゾーンに戻ると、笑みを浮かべたカンナがそう声をかけてくる。
それは、かつて俺が自分の挫折に目を背けていた頃、カンナが俺に問いかけてきた言葉――そして、答えられなかった言葉。
でも、今なら言える。
「生きがいですよ」
ポケモンマスターになるため、強くなるため、それも勿論ある。けど、何よりも俺にとってバトルとは生きがいだった。
「苦しさも、楽しさも、その全てが俺を成長させてくれる。戦えば戦うだけ、俺は……俺達は強くなる。そうやって、ここまでやってきたんだ!」
『ピカ!』
その通りだ――と、声を上げながらピカ様が飛び出していく。カンナは再びパルシェンを出してきた。
「いい笑顔ね。あの時とは別人……いえ、初めて見た時以上に良い笑顔……」
「勝たせて貰いますよ。少なくとも、このまま終われるとは思わないでください」
――勝負はここからだ。
改めてフィールドを確認していく。ステロは残っているため、再びパルシェンは1/4のダメージを受ける。これでもう、パルシェンの残り体力は1/4もなかった。『10まんボルト』の一撃で終わる。
が、ただでは死なないのが四天王だった。こちらがパルシェンに攻撃を仕掛けようとするのと、同時にパルシェンの体が光り輝いていく。
こちらの『10まんボルト』で体力が削り切れる前に、『だいばくはつ』でピカ様を持っていこうという狙いか――流石に受けられないので、咄嗟に『ばちばちアクセル』に技を切り替え、パルシェンを足場に勢いよく上空へと逃げていく。
瞬間、パルシェンが爆発した。
急いで上空に逃げたおかげも有り、『だいばくはつ』の直撃は何とか避けられたが、爆風の余波は避けきれずに多少のダメージは受けてしまう。また、その余波でステロが破壊されてしまったようで、パルシェンも最低限の仕事はしていっていた。
これでピカ様の残り体力は約半分。だが、カンナの残りポケモンは四体も残っている。
次に出てきたのはルージュラだった。ピカ様はでんきタイプだし、みずタイプを複合するジュゴンやメガヤドランは出しにくいのだろう。最後の一体もおそらくはラプラスなので、ここでルージュラが出て来るであろうことは想定通りと言って良い。
向こうは開幕『ねこだまし』を打ってきた。これにより、ピカ様の残り体力がさらに削られて1/3程になっていく。
しかし、運は僅かにこちらにも向いてきていた。ピカ様の特性である『せいでんき』でルージュラが麻痺する。これでスピードはこちらが完全に上回った――が、それなら遅さを早くするまでと、『トリックルーム』で再び速度が逆になっていく。
麻痺状態で動きが遅くなったはずが、逆に速くなるという不思議が起き、ルージュラが高速で突っ込んでくる。
そのまま、『サイコショック』を繰り出そうとしたのを、『ばちばちアクセル』で回避して突っ込んだ。トリルは確かに強力な技ではあるが、どんなにスピードがあろうと先制技の方が早く動ける。
ルージュラの物理防御はかなり低いことも有り、この一撃で体力が軽く1/3近く吹っ飛んでいった。
また、麻痺状態の行動不能はトリルでも防げず、その隙を突いて青い『10まんボルト』をチャージして、『ばちばちアクセル』からの『アイアンテール』というJVAで、ルージュラも戦闘不能に追い込んでいく。
これで、残り三体で数が並んだ。しかし、まだトリル状態は続いていることも有り、ここでカンナはメガヤドランを出してくる。
再びの超高速メガヤドランの登場だが、カンナは冷静に『とうせんぼう』からの『あくび』コンボでこちらの動きを封じようとしてきた。これが決まれば、こちらのポケモンは全て機能が停止してしまう――が、流石に何度も同じ手は通用しない。
向こうの『とうせんぼう』に合わせて、最後の技である『アンコール』で動きを封じていく。カンナもピカ様が『アンコール』を覚えているのをすっかり忘れていたようで、ここでようやく動揺する姿を見せてくれた。
これはどうしようもないと、カンナがメガヤドランを戻していく。だが、ようやくカンナの思惑の一歩外に出られた。この交代はカンナとしても不本意だったはず――レールだけじゃない。隠れていた勝ちへの細い道筋がようやく姿を現して来たぜ。
ここでカンナはジュゴンを出してくる。トリル下ならば、ピカ様よりもジュゴンの方が早く動けると思ってのチョイスだろうが、昨日も言ったが『ばちばちアクセル』の優先度は『アクアジェット』よりも上だ。
使用回数は後五回しかないが、それでもここで負ければ後がないので使っていくしかなかった。
だが、カンナもそう簡単には崩れてくれない。先制技で負けているなら、上を取れば良いと言わんばかりに、開幕『ねこだまし』を指示してくる。
確かに、『ねこだまし』の先制技としての優先度は、『ばちばちアクセル』よりも上だった。再びピカ様の体力が奪われ、残り体力が一気に1/4くらいまで減っていく。
このタイミングで『トリックルーム』も解除された。しかし、カンナはそのままの勢いで『アクアジェット』を指示してくる。が、流石に素直に受けてはやれないので、『ばちばちアクセル』で回避していった。
ここで下手に打ち合えば、その時点でカンナは相打ち覚悟でわざと遅れてぶつかってくるだろう。そうなれば、技同士は相殺されずに互いにダメージを受ける。残り体力1/4では、ジュゴンの『アクアジェット』を耐えられるかも怪しかった。
むしろ、このままこちらの『ばちばちアクセル』を使い切らせる勢いでカンナは責め立ててくる。まぁ、技を全て使っているジュゴンは、今は攻撃技が『アクアジェット』しかないので『アクアジェット』以外に択がないと言えばそれだけなのだが。
とはいえ、ピカ様も相手の先制技を先制技無しでは避けきれない。だが、残弾数に差があり過ぎた。
こちらは残り三回しか『ばちばちアクセル』を使えないが、ジュゴンはまだまだ『アクアジェット』を使うことが出来る。本来であれば下がりたい場面だが、残りのメンバーが寝ているので下がれない。
ここはもう一か八かの賭けに出るしかなかった。
向こうの『アクアジェット』を回避したタイミングで、青い『10まんボルト』を自身にチャージして疑似ボルテッカー状態へと移行していく。
それを見て、カンナも顔色を変えた。昨日はブルーが、今日はルージュラが、この技で一撃でやられているのを見て、流石に警戒しているらしい。
だからこそ、JVAは使えないと判断――その一歩前の『ばちばちアクセル』と重ね掛けして、一気にジュゴンの体力を削る。これ以外の策はなかった。
こちらが『ばちばちアクセル』を発動させてジャンプすると、させないと言わんばかりにカンナは『アンコール』を指示してくる。これで『アイアンテール』に繋げられなくなりJVAは不発となった。
本来であれば、繋ぐはずの技が止められたことで一瞬の動揺が生まれる場面。カンナとしては、そこに『アクアジェット』を合わせるつもりだったのだろうが、生憎と今回はJVAが切り札ではなかった。
遅れて、カンナもそれに気づく。
しかし、その頃には既に強化された『ばちばちアクセル』の一撃がジュゴンに決まっていた。そのまま、威力の上がった弱点確定急所でワンキルしていく。クリスタルのイワークが『もろはのずつき』でダメージを与えてくれていたおかげだ。
これでジュゴンも戦闘不能になり、残るはメガヤドランと最後のポケモンのみ。
カンナは、ここでラプラスを出してきた。やはり、最後の一体はラプラスだったようで、先制技の『こおりのつぶて』を打ってくる。
食らう訳にはいかないので、届く前に『10まんボルト』で撃ち落そうとしたのだが、こちらの攻撃がぶつかる瞬間、氷が弾けた――そのまま、弾けた氷がピカ様に被弾する。
そして、残りの体力を一気に削っていった。
正直、何が起こったのかわからず呆然としてしまう。『こおりのぶつて』の氷を意図的に砕いて散弾銃のように拡散させてきたって言うのか?
そんなことが出来るのなら先んじて交代させればジュゴンだって倒れずに済んだのでは――否、違う。俺に、もうカンナにはピカ様を倒しきる手段がないのだと油断させるために、わざとジュゴンを戻さなかったのか!
それこそ、カンナは倒そうと思えばいつでもピカ様を倒せたのだろう。だが、あからさまにジュゴンからラプラスに交代すればこちらはまず警戒する。
そして、今と違って俺は下手に迎撃するのではなく、『ばちばちアクセル』による完全回避を指示していたはずだ。
思えば、ジュゴンであれだけこちらを攻め立てていたのは、倒す以外にも出来る限り『ばちばちアクセル』のPPを削って、こちらに『ばちばちアクセル』を使いにくくさせるようにさせる狙いもあったのかもしれない。クソ、まんまと狙いにはめられた訳だ。
ピカ様を回収してカビゴンを出していく。
俺が残りPPを気にせず回避を指示していれば――とも思うが、後悔しても仕方なかった。向こうの方が一枚上手だったというしかない。
当然ながら、カビゴンはぐっすりとお眠り状態だった。起きるように声をかけるが、基本的に寝坊助なうちのカビゴンは一度眠ると早々起きない。何せ、余程追い込まれない限り、『ねむる』をバトルで使わないようにしているくらいだ。
リザードンではなく、カビゴンを先に出したのも起きる確率がリザードンの方が高いので少しでも時間を稼ぎたいからだった。
だが、カンナは時間をかけずに『ぜったいれいど』でカビゴンを戦闘不能にさせてくる。相手が動かないのだ、本来なら命中率の低い一撃必殺だって当て放題だろう。
クソ、このままでは負ける。
何とかしないとと、頭の中で対策を高速で考えつつ、カビゴンを戻してメガリザードンXを出していく。が、こちらもやはり眠ったままだった。
カンナが最後とばかりに、ラプラスに狙いを定めさせる。このままではいくらメガリザードンXとはいえ戦闘不能にされる。
が、声掛けだけではとても起きそうになかった。
瞬間、『ぜったいれいど』が発動されていく――それと同時に、奇跡のような閃きが起き、頭の中で思いついた賭けを実行する。
大きな爆発と共に、氷が砕けたかのような霧のように白い煙が辺りを包み込んでいく。
そんな中、まるで自身の健在を示すようにリザードンの尻尾に灯る赤い炎が煌めいた。
「……そんな、どうやって? たまたま起きたとでも言うの?」
「まさか。メガシンカの解除モーションで叩き起こしたんですよ」
「解除モーション……?」
「メガシンカってのはいわば変化です。使えば、ポケモンの肉体は大きく変化する。けど、それが解除されれば元に戻る。その時、ポケモンの感覚はどうなるんだろうと考えました」
そう、体が変化するなら感覚だって変化するはずなのだ。例えば、眠っている時に音では起きられなくても誰かに触られれば起きるように、自分の体が勝手に変化して動けばいくら眠っていても目が覚めるだろう。
瞬間の閃きだったが、おかげで首の皮一枚繋がった。もっと早く思いついていれば、カビゴンを犠牲にしなくてもよかったかもしれないが、たらればを言っても仕方ない。
現在のリザードンの状態は体力残り約1/3で、技は『ソーラービーム』と『ドラゴンテール』を使っている状態。
対する向こうはラプラスが体力満タン元気いっぱいで、技は『ぜったいれいど』と『こおりのつぶて』を使っている。おまけに、裏には技を全て使っているとはいえ、メガヤドランが待機していた。まさに絶体絶命と言って良い状況だ。
勝つにはお前が全てぶちぬくしかない――と、いうことで、まずはメガシンカして再びメガリザードンYとなり、天候を晴れに変えていく。
対するカンナは、ここで『ほろびのうた』を歌ってきた。冷静に、とどめを刺しに来ている。
これで残り三ターン以内に二体を倒しきらないとこちらの負けが決定した。ますます、カビゴンを犠牲にしなければと後悔しそうになったが、こうなればやることはもう決まったも同然である。
カンナはラプラスをボールに戻してきた。その間に、こちらは『ふるいたてる』を使って、自分の攻撃と特攻を一段階上げていく。今は少しでも火力が欲しい。
続けて、カンナがメガヤドランを出してくる。ここで、こちらはメガシンカを解除――そのままきずな化して、一気にきずなリザードンになって晴れ『ソーラービーム』でメガヤドランを倒しに行く。
メガヤドランは物理防御型ではあるものの、本来ならばいくらソラビとはいえタイプ不一致の一撃で倒せるほど柔らかくはない。
しかし、ここできずなリザードンは意地で『ソーラービーム』と『ふるいたてる』の同時技を成功させていた。かつて、ピカ様もレッドのピカチュウ相手に『10まんボルト』を撃ちながら『わるだくみ』を成功させたように、きずなリザードンも奇跡を起こしたのだ。
流石に火力が二倍になれば、メガヤドランでも耐えられない。メガヤドランは特性『シェルアーマー』故に、急所に攻撃は当たらないという利点はあるが、急所に当たらなければそれ以上の火力で倒しきればいいだけの話だった。
観客も、対戦相手のカンナですらも残り1ターンの奇跡が起きるのではないかと、期待と興奮の表情を見せてくる。
それに応えるように、リザードンは上空へと飛び上がった。そのまま、最後の技である『ブラスターバースト』のチャージに入る。
ラプラスはみず・こおりタイプなので、ほのお技は等倍だ。さらに、今は晴れ状態で火力が1.5倍になっており、こちらの特攻も『ふるいたてる』で二倍になっている。
後は、全てを出し切るだけだった。
カンナはラプラスを出して、すぐに水の中へ飛び込ませる。この最後の『ブラスターバースト』を打ち終わった時、立っていた方がこのバトルの勝者だ――
「――決めろ!!」
きずなリザードンの究極を越えた究極――五連射の究極技が順次発射されていく。
だが、その瞬間、カンナとラプラスが変な動きをし始めた。同時に、腕に付けたリングが光り輝く。
まさか、ここでZ技か!?
こちらの一射目が、向こうのこおりZ技である『レイジングジオフリーズ』で防がれる。
しかし、二射目が重なることで何とか相殺していった。向こうもZ技で隙が大きく、三射目、四射目、五射目は防ぐことすら出来ずにダメージを奪っていく。
Z技のせいで、最初の二射は防がれたがそれでも十分すぎる程の手応えはあった。
爆煙が広がる中、全てを撃ち切り、リザードンが空中から落下してくる。『ほろびのうた』の三ターンが経過して戦闘不能になったのだ。
また、ラプラスも水の中から浮かんでくる。
しかし、本来なら戦闘不能になっていてもおかしくないダメージを受けたはずなのに、ラプラスはギリギリで体力を1だけ残していた。どうやら、五射目のとどめの一撃を受ける際、最後の技である『こらえる』を使って何とか耐えきったらしい。
こちらの手持ちポケモンが全て戦闘不能になったことで、カンナの勝利が決定する。
しっかし、最後の最後に『こらえる』か。それはもうカンナが俺の一歩先を行っていたとしか言いようがない。
おそらくカンナは、こちらの技の威力から、ラプラスの体力では3発以上は耐えられないと見抜いていたのだろう。
もし仮に『こらえる』ではなく、『まもる』連打でも、成功、失敗、成功、失敗、成功で、3回は攻撃を防げたかもしれない。
だが、途中でタイミングをずらして『まもる』をミスらせることも出来た。やはり、先の2発を相殺させ、最後のギリギリで『こらえる』を使ったカンナの読み勝ちだった。
でも、いろいろと学ばせても貰った。
次は負けないと、握手のために手を出していく。
だが、カンナもバトル中は冷静だったが、「まさか、あそこまで追い込まれるとは思わなかったわ」と苦笑いを浮かべながら、冷や汗をかいたと言わんばかりに掌の汗を見せつけてきた。やめんかお茶目さんめ、これから握手すんだぞ。
追記。この日の夜にレッドがシロガネ山よりやってきたということで、明日の組み合わせが変化した。そのため、本来ならば試合だった俺も明日は急遽休みになっている。レギュラー三体は疲労していたし、ここでの休みは正直有難かった。
原作との変化点。
・カンナのバトルの組み立てに流されている。
流石に熟練のトレーナーは、相手にリズムを作らせない。切り札のミュウツーが相打ちにもなり、中盤まではやりたい放題やられている。
・ピカ様で三体抜きした。
居眠りエースの座を奪わんとばかりの大活躍。ただ、ジュゴンを駆使してばちばちアクセルを連打させられたことで、ラプラスにしてやられた。
・メガシンカの解除モーションでのモーニングコール。
咄嗟の思い付きで命を繋いだ。もし、カビゴンが生きていたらほろびのうたも回避できたので、ニューサトシももっと早く思いつけばと少し後悔している。
・カンナのZ技。
実はブルーと一緒にアローラ旅行に行っていた。Z技は最後の最後までとっておいた切り札だったが、特攻二段階状態の最大チャージブラスタバーストの前では二撃で散っている。本来なら残り三発でも等倍ならブラスターバーストで倒しきれる計算だったが、カンナは抜け目なく最後のこらえるを隠していた。
・カンナだけの秘密。
実は最後のこらえるはタイミング的にギリギリだった。何かが違えばニューサトシが勝っていたかもしれない。
・運のいい休み。
四天王リーグ連戦で、ピカ様、リザードン、ミュウツーはかなり消耗していた。ので、一日休みが入ったことで、何とか体力を回復させている。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.68
ピジョット Lv.63
バタフリー Lv.63
ドサイドン Lv.66
フシギバナ Lv.64
リザードン Lv.67
カメックス Lv.63
キングラー Lv.63
カモネギ Lv.63
エビワラー Lv.63
ゲンガー Lv.65
コノヨザル Lv.63
イーブイ Lv.63
ベトベトン Lv.64
ジバコイル Lv.63
ケンタロス Lv.63
ヤドラン Lv.63
ハッサム Lv.64
トゲキッス Lv.63
プテラ Lv.63
ラプラス Lv.63
ミュウツー Lv.76
バリヤード Lv.63
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.62
カビゴン Lv.63
ニョロトノ Lv.62
ヘラクロス Lv.62
メガニウム Lv.62
バクフーン(ヒスイの姿) Lv.62
ラティアス Lv.61
ヘルガー Lv.62
ワニノコ Lv.62
ヨルノズク(色違い) Lv.62
カイロス(部分色違い) Lv.62
ウソッキー Lv.62
バンギラス Lv.64
ドンファン Lv.62
ギャラドス(色違い) Lv.62
ミロカロス Lv.61
ラグラージ Lv.59
オオスバメ Lv.59
ジュカイン Lv.59
ヘイガニ Lv.59
フライゴン Lv.62
コータス Lv.57
サーナイト(色違い) Lv.54
オニゴーリ Lv.57
ワカシャモ Lv.57
メタグロス(色違い) Lv.57
エテボース Lv.55
ムクホーク Lv.54
ドダイトス Lv.54
ブイゼル Lv.55
ムウマージ Lv.57
カバルドン LV.55
ミカルゲ Lv.61
グライオン Lv.53
ロトム Lv.54
ユキノオー Lv.53
ガブリアス Lv.52
ゾロア(ヒスイの姿) Lv.46
ボーマンダ Lv.52
カイリキー(変異体) Lv.52
ミジュマル Lv.50
エンブオー Lv.50
ツタージャ Lv.50
ズルッグ Lv.45
ハハコモリ Lv.48
ペンドラー Lv.48
エルフーン LV.48
ギガイアス Lv.48
ワルビアル Lv.52
ヒトモシ LV.47
サザンドラ Lv.65
マリルリ Lv.43
ヒコザル Lv.1