ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#037 『諦めるにはまだはえーんだよ』

 11歳 μ月φ日 『決勝戦 ラストバトル 後編』

 

 インターバルに入ると、ブルーはメガカメックスを一回引っ込めた。どうやら、このままメガカメックスで力押しをするような甘いバトルはしてくれないらしい。

 おそらく、ゲンガーの『みちづれ』を警戒しているのだろう。俺のゲンガーはまだ三つしか技を使っていないし、実際俺もメガカメックスが突っ張って来るようならゲンガーで対応しようと思っていた。

 

「流石に決勝だけあって、相手が手強いな」

「メガカメックスも凄いパワーだったわね」

「あぁ、まさかストライクがかくとう技で戦闘不能にされるとは夢にも思わなかったよ」

 

 実際、ストライクが何も出来ずにやられたのはかなりの痛手だった。

 しかし、それ以上にブルーはバトルが上手い。技による対応もそうだが、まさかボールを上空に投げて『じしん』を回避するなんて誰が予想するんだ。あれで、ドサイドンを倒されたのはマジできつかった。

 

「……残りのポケモン的にも、次に出てくるのはウツボットだろうな」

「その根拠は?」

「俺の残りの内、ピカチュウとゲンガーはばれてる。メガカメックスを温存する気なら、有利に戦えるウツボットを選ぶのが普通だ」

「ガルーラやゲンガーが出てくる可能性はないの?」

「ゼロじゃない。けど、ガルーラはノーマルタイプだし、俺のゲンガーには出しづらいだろう。ゲンガーもありだが、残りの一体が対処できない時に『みちづれ』するために俺なら残す」

 

 しかし、疲れた。まだ調子が回復しきってないのもあって頭が回りきらん。ピジョットのメロメロは完全にミスだった。

 向こうも何度かミスしてくれているおかげで致命傷にはなっていないが、残り三体でメガカメックス入りの四体を倒そうと思うと、かなりシビアな立ち回りを要求される。もうさっきみたいな失敗は出来ないだろう。

 

 五分間のインターバルを終えると、再びバトルフィールドに戻って行く。

 予想通り、ブルーはウツボットを出してきた。こちらもエビワラーを出す。ゲンガーの残り技はメガカメックス用に『みちづれ』だし、ピカ様も既に技を全て使っているので、ウツボットに有効打がないのだ。

 

 エビワラーも、まだ超カウンターは完成しきっていないが、ここでは『ほのおのパンチ』を使いたい。ただ、裏のガルーラを倒すためにも高速見切りカウンターきあパンは必須だ。無理にでも、未完成の超カウンターを使うしかなかった。

 

 とはいえ、ブルーのウツボットは特殊型だろうし、今はまだその時ではない。

 

 ウツボットとエビワラーが向かい合う中、エビワラーは俺の指示なしで、すぐに『こうそくいどう』を発動させている。もはや、初動『こうそくいどう』は呼吸と同じくらい当然のことなので指示などいらないのだ。

 対するブルーは『ねむりごな』を指示してきた。流石にエビワラーを眠らせられたらゲームエンドなので、足を使って粉の範囲外へ逃げさせる。

 

 ブルーも、俺のエビワラーの速度から『こうそくいどう』を使ったのは気付いたのだろう。必中技の『マジカルリーフ』を指示してきた。

 普段なら『みきり』を使う場面だが、ここで『みきり』を使ってしまうと後が辛くなる。ここは『ほのおのパンチ』で『マジカルリーフ』を撃ち落としていく。流石に全て撃ち落とすのは不可能だったが、ダメージは最小限に済ませることが出来た。

 

 だが、ブルーも手を休めない。エビワラーが最後の『マジカルリーフ』を『ほのおのパンチ』で撃ち落とすのと同時に、『ふいうち』で距離を詰めてくる。

 攻撃を相殺するのに使った『ほのおのパンチ』は攻撃技だ。相手が攻撃技を使った時に先に攻撃が出来る『ふいうち』が反応し、蔦がエビワラーに巻き付いていく。そのまま自身を引き寄せるようにウツボットがエビワラーとの距離を詰め、ゼロ距離で『リーフストーム』を撃とうとしてきた。

 

 やるな。『ふいうち』を移動技に使って来たか。だが、『リーフストーム』より先に『ふいうち』が、エビワラーの『カウンター』のトリガーとなる。

 飛び込んでくるウツボットへ、『カウンター』からの『ほのおのパンチ』が入った。『こうそくいどう』を二回積んでいたおかげもあり、『みきり』なしでカウンターを成功させている。本当ならここはきあパンだが、それでも超カウンター成功と言って良かった。

 

 ウツボットの顔面に、威力が75から『てつのこぶし』で1.2倍、『カウンター』で2倍、計威力180のほのお技となった『ほのおのパンチ』が直撃する。

 レベル差があろうと関係ないとばかりに、そのままエビワラーが拳を振り抜くと、相手のフィールドまで吹っ飛んでいったウツボットが壁にぶつかり、一撃で戦闘不能になった。

 

 まさか、ブルーもウツボットが一撃で戦闘不能になるとは思っていなかったのか、「何が起きたの……?」と呆然としている。

 

 普通の『ほのおのパンチ』ならレベル差もあって、三、四発くらいは余裕で耐えられただろう。

 しかし、超カウンターによる一撃は通常の二倍以上のダメージで、おまけに弱点技ということでさらにダメージは上がっていた。その上、ウツボットはエビワラーに向かって突っ込んでいたこともあり、通常時よりも勢いが付いている。急所ばりのクリーンヒットでダメージはさらに増えていたはずだ。

 

 だが、それをわざわざネタばらししてやるほど、ニューサトシは優しくない。ブルーにしてみれば、エビワラーはノーダメージのウツボットを一撃で倒した謎のポケモンだろう。

 その不信感が少しでも思考を狂わせてくれれば、こちらの勝率は上がってくる。勝つためなら、どんなものでも使うがニューサトシの基本だった。

 

 ブルーはウツボットを戻すと、ゲンガーを出してくる。おそらく、エビワラーの全貌が掴めていないから万が一を警戒したのだろう。実はメガカメックスで遠距離攻撃に徹されるだけでこちらはお手上げなのだが、ブルーは最悪ゲンガーの『みちづれ』でエビワラーを対処するつもりと見た。

 こちらも、即エビワラーを戻そうとするが、ブルーは『くろいまなざし』で交換を防いでくる。これで、技を三つ使った。残り一つは、おそらく『みちづれ』だろう。

 

 本当ならエビワラーにはガルーラを倒して欲しかったが、逃げられなくさせられた以上、ここでゲンガーを倒して貰うしかない。エビワラーでゲンガーに効果抜群が取れるのは、対ゴーストタイプに覚えさせていた『じごくづき』くらいだが、特性の『てつのこぶし』が乗らないので単純に威力80のあくタイプ技だ。

 

 せめて超カウンターが出来れば良かったのだが、『カウンター』の発動条件が、相手が直接攻撃してくることなので、特殊型のゲンガー相手では使うことが出来なかった。ただ、今のゲンガーの体力なら、一撃当てることが出来ればギリギリ戦闘不能に持って行けるだろう。

 

 しかし、ブルーは『いたみわけ』を使って体力を回復してくる。『サイコキネシス』が使える以上、無理に『みちづれ』を狙ってはこないようだ。エビワラーの体力が2/3、ゲンガーがそれよりも若干少ないくらいの体力を回復し、体勢を立て直してくる。

 だが、その間にエビワラーも三度目の『こうそくいどう』を積んでゲンガーとの距離を詰めていた。体力は増えたが、結局は殴り勝つ以外に勝機は無いのだ。『じごくづき』で、ゲンガーに効果抜群の一撃を入れると同時に、ブルーも『サイコキネシス』でエビワラーを倒そうとしてくる。

 

 俺のエビワラーは物理防御こそ紙だが、特殊防御は意外と高い。レベル差は多少あったようだが、ギリギリでゲンガーのタイプ不一致サイキネを耐えきってくれた。

 返しの『じごくづき』でゲンガーを倒しきる。ブルーも、サイキネを耐えた時点でゲンガーの負けを察したようで、素直に『みちづれ』で相打ちを狙ってきた。

 エビワラーの『じごくづき』によってゲンガーが戦闘不能になり、『みちづれ』の効果でエビワラーも戦闘不能になる。しかし、エビワラーで二体のポケモンを戦闘不能に出来たと考えれば十分な成果だった。

 

 これで、お互いに後二体。

 

 ブルーはガルーラを出してきた。当然といえば当然だ、ゲンガーの『みちづれ』を警戒すれば、メガカメックスの先出しはリスクしかない。

 俺がこの試合で勝つには、このガルーラとのバトルで戦闘不能をさせずに相手を倒し、数の有利を作った上でメガカメックスに『みちづれ』をするしかないだろう。いくら、俺が自分に自信ニキでも、体力半分以下だったとはいえ、あのストライクを不一致1/4技でワンキルするメガカメックス相手に真正面から勝てるとは思っていなかった。

 

 ここが山場だ。当然、こちらはピカ様に全てをお任せする。キュウコンとのバトルでダメージはあるピカ様だが、インターバル前から長い時間休めていたこともあり、まだまだ戦えるとばかりにフィールドに飛び込んでいった。

 

 ブルーは当然のように『ねこだまし』を指示してくる。しかし、ここでのダメージは後に響くので、一度ピカ様に戻るように言い、ゲンガーを出して『ねこだまし』を回避した。

 もし、ガルーラの特性がゴーストタイプにも技を当ててくる『きもったま』だったらアウトだったが、前回のロケット団のバトルで、ブルーのガルーラの特性は『はやおき』だと割れているのでその心配はない。

 その後、即ゲンガーからピカ様に交代する。ステロが排除されたことで、ノーダメージで『ねこだまし』を回避できたな。ストライク、お前の仕事は役に立ったぞ。

 

 ブルーも当たればラッキーくらいの気持ちだったのだろう。特に気にした様子も無く、『じしん』を指示してくる。

 こちらは『なみのり』で『じしん』を回避するが、この回避方法はシゲル戦でも見せていた。ブルーの指示でガルーラがジャンプし、ボードに乗った本体へ『すてみタックル』を仕掛けてくる。

 

 ガルーラのタイプ一致『すてみタックル』なんて受ける訳にはいかない。即座にピカ様をボードからジャンプさせ、そのままガルーラの攻撃を回避していく。

 しかし、『なみのり』はキャンセルさせられたが、ガルーラは空中で動けない。こちらも落下中だが、ピカ様には遠距離攻撃の択があった。『10まんボルト』を指示して、ガルーラにダメージを与えていく。

 

 だが、ブルーもやられるがままではいなかった。すぐに『ふいうち』を指示し、消えかけたボードを足場にさせて、ガルーラをピカ様に突っ込ませてくる。

 先にガルーラの『ふいうち』でピカ様がダメージを受けてしまうが、負けじと『10まんボルト』で反撃していた。

 

 良い意味で想定外のことだったが、ガルーラとピカ様はレベル差がそこまで大きくないようで、タイプ不一致ということもあり、思ったよりも『ふいうち』のダメージは大きくない。逆にガルーラには想定よりもダメージを与えられていた。

 勿論、まだピカ様の方がダメージ的には不利だが、向こうも全て技を使っているし、上手く立ち回れば勝機は十分あるだろう。

 

 ピカ様が着地すると同時に、先制技の『ふいうち』対策として、『かげぶんしん』を指示する。『ふいうち』は、相手の攻撃に反応して先に攻撃を仕掛ける優秀な技だが、技を出せばオートで体が動く訳ではない。

 あくまでも、自分で相手に向かっていく必要がある以上、攻撃対象を絞り込めなくすれば、実質『ふいうち』を封じ込めることが出来るのだ。

 

 これで、こちらは安全に攻撃を仕掛けることが出来る。再び『10まんボルト』を指示しようとすると、ブルーも『じしん』で一気に『かげぶんしん』を消そうとしてきた。

 反射的に、ピカ様が『10まんボルト』をキャンセルして『なみのり』を発動させる。じめん技に対する反応は100点だが、このままでは先程の焼き直しになるだけだろう。キュウコンとのバトルで受けたダメージを考えれば、先に戦闘不能になるのはこちらだ。無理にでも、ここで一気に勝負をつけるしかない。

 

 ブルーが再びジャンプからの『すてみタックル』を指示するのと同時に、こちらもボードを足場にした『ボルテッカー』を指示した。ボードを蹴って勢いをつけた『ボルテッカー』が、ガルーラの『すてみタックル』と正面衝突する。

 純粋な攻撃力では負けているだろうが、落下する勢いもあって、こちらの攻撃も通常時よりも威力があった。

 互いの体がぶつかり合い、衝撃で二体が吹き飛んでいく。だが、ガルーラは上から下に叩き付けられるように飛び、ピカ様はさらに上へと吹き飛ばされた。地面に叩き付けられたガルーラがダメージを受ける中、ピカ様は空中で体勢を立て直そうとしている。

 

「決めろ! 『10まんボルト』だ!!」

「立ってガルーラ! 『ふいうち』!!」

 

 ピカ様が何とか体勢を立て直すと同時に、立ち上がったガルーラがピカ様目がけて突っ込んでいく。

 だが、いくら『ふいうち』が先制技とはいえ、両者の間にはまだ少し距離がある。こちらが先に攻撃が出来れば、『ふいうち』は不発に終わるはずだ。

 

 ピカ様が『10まんボルト』のチャージに入ると、ガルーラがその場を踏み切って、こちらの懐に飛び込んでくる。

 タイミング的にはギリギリだった。ピカ様の『10まんボルト』が放たれると同時に、ガルーラの拳もピカ様に直撃する。

 

 自身の『すてみタックル』の反動に加え、『ボルテッカー』と、二度の『10まんボルト』のダメージで流石のガルーラも戦闘不能になった。しかし、ピカ様も最後の『ふいうち』で限界が来てしまったようで、同時に戦闘不能になっている。

 

 これでお互いに残るポケモンは後一体だが、この時点でゲンガーは『みちづれ』を封じられた。

 互いに後一体の状況で『みちづれ』をした場合、ゲンガーが先に戦闘不能になってから相手が戦闘不能になるという判定になるので引き分けには出来ないのだ。

 

 倒れたピカ様を迎えに行くと、勝てなくてごめんと言いたげな顔でこちらを見ている。

 大丈夫だ。相手が強い? だからどうした。諦めるにはまだはえーんだよ。

 

 ブルーがメガカメックスを出すと同時に、こちらもゲンガーを送り出す。ゲンガーも、体力が半分ほど削れているが、まだまだ戦えるぞとばかりに両手を挙げてアピールしていた。

 実際、ブルーのメガカメックスの火力なら、仮に体力がマックスでもゲンガーはワンパンさせるだろうし何も問題は無い。

 

 確かに、勝ち筋だった『みちづれ』は封じられたかもしれないが、なら別の勝ち筋を探せば良いだけのことだ。

 

 方法は二つ、一つは真正面からメガカメックスを打ち倒すというもの。だが、メガカメックスはカメックスの時よりも特殊耐久が上がるので、不一致の『10まんボルト』程度じゃ倒しきるのに何発必要かわかったものではない。

 と、すると、選択肢は後一つしか無かった。『のろい』による継続ダメージで勝ちを狙うというものだ。

 

 奇跡的に、ゲンガー対決で使った『のろい』で失った体力は、向こうの『いたみわけ』でギリギリ『のろい』を使えるまで回復していた。

 どうせ、どんな技を受けても一撃でやられるなら、体力がミリになっても問題はない。ゲンガーに『のろい』を指示し、メガカメックスを呪い状態にしていく。

 

 対するブルーは『あくのはどう』を指示していた。弱点技でワンキルしようとしているのだろうが、こちらはもう逃げに徹するのみである。

 運が良いことに、必中技の『はどうだん』はかくとう技なのでゲンガーには効果が無い。必中技が効かない以上、ゲンガーの速度なら逃げきれるはずだ。勝ち筋はある。まだ、勝負は決まっちゃいない。

 

「『みやぶる』!」

 

 だが、ブルーはこの戦法にすら対応してきた。『みやぶる』は相手の回避率に関係なく攻撃を当てる技である。おまけに、ゴーストタイプのポケモンが相手でもノーマル、かくとうタイプの技が当たるようになるという追加効果があった。

 

 つまり、『はどうだん』が使用可能になる。

 

 いくらゲンガーのスピードでも必中技を避けることは出来ない。メガカメックスの『はどうだん』によって、ゲンガーは倒され、俺のポケモンが全て戦闘不能になったことで、ブルーが今回のセキエイ大会優勝者に決定された。

 

 

 

 11歳 μ月χ日 『ポケモンリーグ閉幕』

 

 結局は準優勝で、俺のポケモンリーグセキエイ大会は幕を閉じた。

 

 リザードンがドクターストップになっていなかったら、ミュウツーを登録していたら、言い訳はそれこそ山のようにあるが、全ては『俺のトレーナーとしての能力が足りていなかった』、この一言に尽きる。

 

 勿論、ミスもあった。昨日も書いたが、ピジョットのメロメロは完全にやらかしだ。もし、ピジョットを生き残らせることが出来れば、最後に『みちづれ』を使うことも出来ただろう。

 ただ、それ以上にトレーナーとしての能力が完全に負けていたのだ。技の対応も、技術も向こうの方が完全に上だった。

 

 不調だったのはあったかもしれない。疲労は抜けていなかったし、エース不在で動揺もしていた。自覚はなかったが決勝ということで緊張していたのもあるだろう。

 ただ、それも全ては言い訳にしかならない。結局は俺の立ち回りが良くなかったせいで負けた。それが決勝戦の結果である。

 

 何が一番悔しいって、俺が負けたことを自分達の力不足だと、俺のポケモン達に思わせてしまったことが一番悔しい。

 勝てたのだ。俺がしっかりしていれば今のポケモン達のレベルでも十分勝てた。負けたのは俺のせいだ。トレーナーとして力が足りなかった。俺がこいつらの力を十全に引き出してやれなかった。

 

 決勝戦の後、タケシやカスミさん、博士やママさん、ナナミさんだけではなく、シゲルやヒロシ君、ロケット団までもが来て、「良いバトルだった」と慰めの言葉をかけてくれた。

 だが、その優しさが今の俺には逆に辛い。

 全然良いバトルじゃなかっただろう。俺はミスして振り回されていただけだ。ロケット団の仇を打つことも出来なかった。

 

 今まで、ポケモンのレベル差で負けることはあったが、トレーナーとしての能力で負けたと思わされたのはこれが初めてである。何とも言えぬ苦い気持ちが、俺の胸に重りのようにのしかかっていた。

 

 

 

 11歳 α月ζ日 『オレンジ諸島に出掛けるぜ』

 

 いつまでも負けを引きずっていても仕方が無い。シゲルも新たに旅に出たと聞いたし、良い経験をさせてもらったということで、俺も次の冒険へ出かけたいと思う。

 

 原作通り、オーキド博士からオレンジ諸島のダイダイ島へお使いを頼まれたので、次の行き先はオレンジ諸島だ。そこにいるウチキド博士とやらから、転送できない不思議なボールを貰ってくるミッションである。

 まぁ、当然それだけじゃ済まさないけどな。

 普通にオレンジリーグに参加して、オレンジ諸島でもポケモンをゲットしてくるつもりである。

 

 とりあえず、手持ちのメンバーは、固定のピカ様とトゲ様、偵察の出来るピジョット、甘えん坊のイーブイ、ポケモンリーグで活躍できなかったことを悔やんでいるストライク、海ならば必須のラプラスにした。

 特にストライクは、決勝戦で何も出来ずに負けたこともあり、自分がリーグを終わらせてしまったと思っているらしい。そんなことはないと言ったのだが、本人が頑なに自分を責めているので、しばらくはメンタルケアも兼ねて一緒に居させるつもりだ。

 

 準備を終えると、オーキド博士とママさんに見送られながら、オレンジ諸島へと向かって旅に出る。

 

 ママさんにお土産は先に宅配便で送るように言われたが、そういえばカントーを旅していた時は、ろくにお土産も買わなかったな。楽しみにしているようだし、オレンジ諸島の特産品をいろいろ送ることにしよう。

 

 そのままトキワシティを目指して歩いていると、そういえばアニメではここでピジョンがピジョットに進化して別れるということを思い出した。

 勿論、俺はピジョットを逃がす気など欠片も無い。仮にオニドリルやオニスズメの群れが来ようと、最悪は二度と悪さが出来ないくらいにボコボコにするつもりだった。

 

 しかし、歩けど歩けど何も起きない。オニドリルどころかオニスズメの一匹も襲ってこなかった。もしかしたら、俺がピジョンをゲットしなかったことで話が変わってしまったのだろうか?

 

 結局、オニスズメにもオニドリルにも遭遇しないままトキワシティに着いてしまった。

 

 

 

 11歳 α月η日 『ロケット団……マジかよ?』

 

 オレンジ諸島へ行くために、トキワシティから飛行場がある街へ向かっていると、いつも通りロケット団に襲われた。

 

 すぐにやなかんじーにしてやろうと思ったのだが、何故かムサシがオニドリルをゲットしている。それ、もしかしてマサラタウンの近くにいた奴か? 何がどうなったらそうなるんだ?

 

 おまけにポケモンリーグでベスト8まで勝ち上がったこともあってか、いつもよりもバトルに歯ごたえがある。特にタッグバトルを勉強してきたのか、コンビネーションだけなら俺より上かもしれなかった。

 

 最終的にはいつも通りにやなかんじーにしてやったんだが、ちょっと苦戦したぞ。

 

 




 原作との変化点。

・ニューサトシがセキエイ大会で準優勝した。
 後半盛り返したが、トレーナーとしての実力の差がもろに出た。ニューサトシは知識や読みだけなら負けていないが、バトルに関してはまだ一年の新米ということもあり、技術を見せつけられた形である。

・ニューサトシが負けてしばらく落ち込んでいた。
 ロケット団も空気を読んでしばらく悪さはしなかった。ポケモン達も自分達のせいだと思ってまた鍛錬を始めた。暴君は何も言わずにずっとニューサトシを見ていた。

・第81話『マサラタウン! 新たなる旅立ち』より、ピジョットと別れなかった。
 本来なら出てくるはずのオニドリルだが、悪さをしていなかったロケット団が先に遭遇し大暴れしていたオニドリル一派とバトルしていた。アニメではなすすべもなくやられていたが、こちらはセキエイ大会ベスト8の実力者なので返り討ちにしてゲットした。おかげで、アニメのピジョットイベントがなくなった。おまけで、手下のオニスズメ達を航空部隊としてロケット団本部に送り、約一年ぶりの評価を受けた。森は平和になってポッポ達は静かに暮らすことになった。ロケット団もいいかんじーになった。

・ニューサトシがロケット団に苦戦した。
 ニューサトシも不調のようだが、純粋にロケット団が強くなっている。ムサシやコジロウ単体だとそこまででもないのだが、二人で組むと強くなる謎のコンビネーションを発揮していた。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.46

 バタフリー Lv.46

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.49

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.49

 キングラー Lv.46

 カモネギ  Lv.46

 エビワラー Lv.47→48

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.47

 イーブイ  Lv.43→44

 ベトベトン Lv.44→45

 ジバコイル Lv.46

 ケンタロス Lv.45

 ヤドラン  Lv.45

 ストライク Lv.45

 トゲピー  Lv.14→18

 プテラ   Lv.45

 ラプラス  Lv.45

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.44→45


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