ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#044 『さぁ、決めてこい』

 11歳 γ月ν日 『これ、カスミさんのじゃね?』

 

 旅の途中で、コジロウとニャースに襲われていたニョロモを助けたら懐かれたのでゲットした。もう記憶が曖昧だったが、確かこのニョロモってカスミさんのじゃなかったっけ?

 

 いや、まぁいいんだけどさ。

 

 

 

 11歳 γ月ξ日 『最近のトゲ様は大人になってしまった』

 

 進化したことで、トゲ様が昔のように甘えてこなくなってしまった。リザードの時のような寂しさを感じる。アニメのトゲ様は進化しても可愛いままだったが、誰に似たのか、愛想を失ってしまったらしい。

 進化する前は、ちょくちょくボールから出さないとぐずっていたが、今ではもう余裕でボールの中で過ごしているようだ。昔のように勝手に出てくることもなく落ち着いている。

 

 おまけにバトルも凄かった。進化したことでパワーが上がったのか、特殊技を駆使して大活躍である。

 今までは体が小さくて出来なかったようだが、最近はいろいろな技を覚えようとしており、仲間達の技を再現しようと努力する姿も見られた。

 

 とても嬉しい反面、ちょっと寂しさもある。

 結構長い間トゲ様とは一緒にいたし、赤ちゃんトゲ様の笑顔ロスになってしまったのかもしれない。

 

 そんなことを考えていると、当のトゲ様が俺のことをジッと見つめていた。

 思わず「頑張ってるな」と、頭を撫でると、昔のような笑みを浮かべて顔をこすりつけてくる。どうやら頻繁に甘えてこなくなったが、愛想を失った訳ではないようで、やっぱりトゲ様はトゲ様のままだった。

 

 

 

 11歳 γ月π日 『完全に何でも有りなやつやん』

 

 遂にカンキツ島にたどり着いた。

 早速ウィナーズカップの申し込みをすると、受付のおじさんにルールを説明される。ウィナーズカップはフルバトル6対6、レベル制限はなし、交代はチャレンジャーにのみ許され、技の使用制限がないらしい。

 これまで数多のバトルをしてきたが、技の使用制限が無いバトルは初めてだな。

 

 おじさん曰く、ヘッドリーダーに勝利すると、殿堂入りとしてウィナーズパレスなる場所に、写真と手形が飾られるらしい。ただ、今のヘッドリーダーになってからは、まだウィナーズカップに勝利したチャレンジャーはまだいないようだ。

 

 じゃあ、その記念すべき一人目は俺になるな。

 

 試合は明日の朝からということで、今日のうちにポケモンセンターで転送装置を使ってポケモンを入れ替えておく。

 オレンジ諸島で捕まえたクリスタルのイワークやカビゴン、ニョロモ、そして進化したばかりのトゲ様はまだ実戦レベルではないので今回はお留守番になるだろう。

 必然的に、ポケモンリーグを経験したメンバーでの戦いになる。向こうは交代がなしとかいう舐めたルールだし、たまにはアニメの知識を利用してメタってやるか。

 

 

 

 11歳 γ月ρ日 『オレンジリーグ ウィナーズカップ 前編』

 

 試合当日。どうやら、ウィナーズカップが行われるのはかなり久しぶりのことらしく、カンキツスタジアムは超満員だった。

 バトルフィールドに行くと、ヘッドリーダーのユウジが握手を求めてくる。「トレーナーの知恵とポケモンの力、見せて貰うよ」と言われたので、「こっちは制限なしのアンタと戦いたかったけどね」と返しておいた。

 

 ぶっちゃけ、交代なしの6対6はハンデとしてはでかすぎる。今まで勝てなかった奴らがいるというのが信じられないくらいだった。

 

 改めて、審判からルールの確認をされる。基本的には昨日書いたとおりの内容だが、後はどちらかのポケモンが三体戦闘不能になった時点でフィールドがチェンジされるらしい。

 最初のフィールドは岩と水のフィールドだ。

 基本的には岩場だが、中央に円形の水場があり、陸上適性の無いみずタイプのポケモンも有効的に使える悪くないフィールドである。

 

 バトルがスタートすると、ユウジは最初にメタモンを出してきた。こちらはゲンガーを出す。

 特性の『かわりもの』でメタモンがゲンガーに変身するが、その瞬間に『サイコキネシス』を指示した。

 メタモンの弱点は、体力までは真似できないことや、技のPPが5で固定されること等だが、この辺りはゲームを知っている人なら常識だろう。

 しかし、この世界での最大の弱点は、相手が何を覚えているかをレベル技以外は推測でしか判断できないから先手が取れないことだった。

 

 先手が取れないから、妨害や回避も後手に回ってしまう。ユウジも慌ててメタモンに『サイコキネシス』を指示したが、既にゲンガーの『サイコキネシス』がヒットしていた。

 メタモンも頑張って足掻いて自由を取り戻そうとしているが、弱点の攻撃を受けてそう簡単に抜け出せるはずがない。技の効果が切れるまでしっかりダメージを取らせて貰う。

 

 ようやく自由になったメタモンに、ユウジがお返しの『サイコキネシス』を指示しているが、そんなもの許すつもりは無い。『ふいうち』でメタモンの集中を阻害し、『サイコキネシス』を妨害していく。

 弱点のあく技を受け、メタモンがよろける。

 こうなればもうおしまいだ。『シャドーボール』でさらに弱点をつき、一気に戦闘不能まで持って行った。実況によると、今までこのメタモンを攻略できない奴らもいたようだが、そいつらは一回ポケモンについての勉強をし直した方がいい。

 

 ユウジがメタモンを戻し、「なかなかやるな」と言いながら、二体目にイワークを出してくる。

 ゲンガーの弱点であるじめんタイプを攻めてきたんだろうが、俺のゲンガーは絶滅危惧種である『ふゆう』ゲンガーだ。ぶっちゃけ、このままでも問題なくイワークを倒せるが、俺のポケモン達は活躍の場に飢えているようなので素直に交代することにした。

 

 俺の二体目はキングラーである。公式試合がセキエイ大会一回戦以降ぶりということで、とてもやる気に満ちているようだ。

 キングラーを見て、ユウジが『あなをほる』を指示してきた。その速度から、どうやらイワークの素早を重点的に育てているようだが、それはつまり攻撃力か防御力のどちらかを犠牲にしているということでもある。

 

 こちらはキングラーに『つるぎのまい』を指示した。『あなをほる』をくらっても、イワークの攻撃力ではキングラーを一撃で戦闘不能にさせるなど出来はしない。攻撃を二段階上げた返しの『クラブハンマー』でワンキルしてやる。

 

 だが、ユウジもこちらの狙いは読めているのか、なかなか地面の中からイワークを出さない。なら、こちらはもう一段階積ませて貰おう。『つるぎのまい』を続け、攻撃力を上げていく。

 それを見て、慌ててユウジがイワークを突撃させてきた。これ以上の攻撃力上昇はイワーク以外にも影響が出ると判断したのだろう。

 地面からイワークが飛び出し、その巨体を利用してキングラーを真上へ吹っ飛ばしていく。

 それを見たユウジが不敵な笑みを浮かべるが、甘く見るなよ俺のキングラーは天才だ。地面から突き上げられた勢いを利用して、落下しながらイワークに『クラブハンマー』を叩き込む。

 

 しかし、特性が『がんじょう』だったのか、四段階上がった『クラブハンマー』をイワークはギリギリで耐えた。そのまま『しめつける』でこちらの動きを封じてきたので、『ばかぢから』で無理やりイワークを戦闘不能にまで持って行く。

 本来、しめつけ中はその苦しさから他の技を出すのが難しい状況になるが、文字通り火事場の馬鹿力で残り体力の少ないイワークを倒させて貰った。

 

 これまでユウジのポケモンが二体連続で倒されたことがなかったのか、観客が動揺している。当のユウジは特に気にした様子も無く「相性に関しては正攻法だな」と、こちらを評価していたが、俺からすればバトルが有利すぎて面白くない。やはり、交換なしはハンデがありすぎだな。

 

 ユウジの三体目はゲンガーだった。別にこのままでも勝てるだろうが、他が戦いたがっているのでキングラーを交代する。こちらの三体目はバリヤードだ。

 あのミュウツーですら技を真似する器用さと発想力を持ったポケモンである。

ユウジが手始めとばかりに『ナイトヘッド』を指示してくるが、バリヤードは『まもる』で簡単に防いでいく。

 

 こちらの動きを封じたいのか、ゲンガーに『さいみんじゅつ』を指示してきたので、『しんぴのまもり』で状態異常もケアしていった。普段なら使わない技だが、このバトルでは技の使用制限がないので補助技をふんだんに使用できる。続けて『アンコール』を指示し、ゲンガーにはそのまま意味の無い『さいみんじゅつ』を続けて貰うことにした。

 ポケモンを交代出来ないというハンデをこれでもかというくらいに突いていく。ユウジもどうしようもないのを自覚しているのか、厳しい顔をしながら黙っていた。

 

 このまま『リフレクター』や『ひかりのかべ』を張っても良いのだが、このゲンガーを倒したら三体目なのでフィールドチェンジが入る。その間に壁系の技は消えてしまうので意味が無かった。

 変な小細工はなしだ。ゲンガーが無意味な技を続けている間に、バリヤードの『サイコキネシス』連打で退場して貰う。あまりにもあっさりユウジの三体目が倒されたことで、遂に観客が黙ってしまった。

 

 まるで悪役のような扱いだな。

 まぁ、地元民からすればユウジはヒーローみたいなもんだろうし、挑戦者の俺は悪役か。

 

 ユウジのポケモンが三体戦闘不能になったので、フィールドが岩と水のフィールドからチェンジされる。次は砂のフィールドになった。足場が安定しないので、踏ん張りがきかないが、代わりにダメージも緩和されそうだ。

 

 ユウジは四体目のフシギバナを出してくる。

 それを見たバリヤードが「僕は行けますよ」という目で見てくるが、残念ながら出番を求めているのはお前だけでは無い。こちらもバリヤードを戻して、四体目のカモネギを出した。

 

 カモネギにくさタイプの技が今一つなのはわかっているのだろう。ユウジがフシギバナに『ヘドロばくだん』を指示してくる。対するこちらは『こうそくいどう』で、素早を上げて攻撃を回避した。

 そのまま距離を詰め、お得意の『つばめがえし』でフシギバナにダメージを与えていく。

 ちょこまか動くカモネギが鬱陶しいのか、ユウジはフシギバナに『すてみタックル』を指示してきた。だが、カモネギも自分とフシギバナの体格の差はわかっているのだろう。即座に『すなかけ』でフシギバナの目を潰し、動きが鈍った『すてみタックル』を回避していた。

 

 こういう小技を使わせたら俺のカモネギに勝てる奴はいない。そのままフシギバナの裏に回らせ、『つるぎのまい』で攻撃力を上げていく。

 動きを封じるつもりなのか、ユウジがフシギバナに『ねむりごな』を指示してきたので、カモネギにフィールドを駆け回らせ、『ねむりごな』を回避する。フィールドチェンジの間にバリヤードが張った『しんぴのまもり』は消えてしまったので、棒立ちしていたら流石に眠らされてしまうからな。

 

 走り回った勢いを利用して、ひこうタイプ最大の技である『ブレイブバード』を指示する。

 ユウジも『すてみタックル』で迎え撃ってきたが、いくらカモネギが非力だといっても、攻撃力が二段階上がっているタイプ一致『ブレイブバード』が効かないはずがない。おまけにながねぎの効果で急所に当たったのか、フシギバナがそのまま戦闘不能になった。

 

 ユウジがフシギバナを戻し、五体目にエレブーを出してくる。こちらもカモネギを戻して、五体目のベトベトンを出した。

 俺のベトベトンはでんき技が効かない。エレブーが開幕『かみなり』を撃ってきたので、足が止まった所を『どくどく』で猛毒状態にしていく。交代できない以上、これで勝負は時間の問題になった。

 

 ユウジが俺のベトベトンがノーダメージなのを見て驚いているが、この辺りの反応ももう見慣れてきたな。

 本当に効いていないのかを確かめるつもりなのか、ユウジが『かみなりパンチ』を指示してきたが、その択は悪手である。こちらは『いやなおと』で防御を二段階下げながら、素直にエレブー『かみなりパンチ』をくらう。

 

 俺のベトベトンは接近戦が大好きだ。そのままエレブーの腕を掴み、『のしかかり』でエレブーを飲み込んでいく。

 エレブーが『かみなり』で抵抗しているが、ベトベトンは意にも介さず『のしかかり』を維持している。完全にエレブーを体の中に飲み込むと、もう勝負は決まったようなものだった。絵的には魔人ブウに吸収された時のZ戦士の図だな。

 

 抵抗を続けていたエレブーだが、ベトベトンの『あくしゅう』で怯み、どんどん抵抗が弱くなっていく。おまけに猛毒も入っているので、戦闘不能になるのは時間の問題だった。

 丸一分くらいして、全く動かなくなったエレブーに対し、審判から戦闘不能の判定が下る。

 それを聞いたベトベトンがその場から退くと、猛毒と混乱で目を回したエレブーが倒れていた。体力はまだ残っているのかもしれないが、戦える状態ではないのは一目瞭然である。

 

 ユウジも審判の判定に異議を唱えるつもりはないようで、素直にエレブーをボールに戻した。

 これで残りはカイリューのみである。

 観客も俺がほぼ無傷でユウジのポケモンを五体倒したことで、新たな殿堂入りを果たすのでは無いかという期待を持ってくれたようだ。この機を逃さず、手を上げて歓声に応える。ニューサトシは自分への歓声が大好きなのだ。

 

 会場がアウェーになりつつあるユウジだが、特に気にした様子がない。むしろ、本当の勝負はここからだとばかりに、カイリューのモンスターボールを投げてきた。

 俺もまた、ベトベトンをボールに戻す。

 6対1の状況だが、向こうは交換なしというハンデがあるのだ。数でボコったって面白くない。俺もこの一体でカイリューに勝負するつもりである。もし、こいつが負けたら降参してもいい。それだけの自信が俺にもこいつにもあった。

 

 験担ぎに帽子のツバを持って、半回転させる。

 アニメのサトシ君がよくやっているモーションだが、思えばニューサトシになってからこのモーションは一度もやったこと無かったな。

 

 さぁ、決めてこい。

 

「リザードン、君に決めた!!」

 

 

 




 原作との変化点。

・第110話『ニョロモとカスミ』より、ニューサトシがニョロモをゲットした。
 アニメではサトシ君とケンジが痺れ粉で動けなくなってカスミさんが助けるついでにニョロモをゲットするのだが、ニューサトシは痺れ粉を普通に回避した。ちなみに、ロケット団のムサシは原作通りなので、コジロウとニャースが痺れを取る水草を探しており、ニョロモにありかを探させようとしていた所をニューサトシが見つけて助けた形である。ムサシがどうなったかは誰も知らない。

・第111話『ウィナーズカップ! フルバトル6対6』より、技の使用制限のないバトルが始まった。
 殆どカイリュー専用のようなルール。書いていて、相性が有利だと基本的に技を四つ以上使うようなことはあまりないことに気付かされた。

・ニューサトシが原作知識でメタって来た。
 相手は交代なしと聞いて、その舐めた態度を改めさせてやろうとしている。カイリュー以外はほぼ瞬殺だった。今回は事前登録システムではなかったので、直前までピカ様と暴君は自分に出番があると思っていた。最後にリザードンが出て来て、ピカ様はずっこけており、ミュウツーも表情には出していないが少し不満げだった。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.48

 バタフリー Lv.48

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.50

 リザードン Lv.52

 ゼニガメ  Lv.50

 キングラー Lv.48

 カモネギ  Lv.48

 エビワラー Lv.49

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.49

 イーブイ  Lv.46

 ベトベトン Lv.47

 ジバコイル Lv.48

 ケンタロス Lv.47

 ヤドラン  Lv.47

 ストライク Lv.47

 トゲチック Lv.35→36

 プテラ   Lv.47

 ラプラス  Lv.47

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.47

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.40

 カビゴン  Lv.38

 ニョロモ  Lv.24 NEW!



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