ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#045 『何勝手に過去形にしてやがる』

 11歳 γ月ρ日 『オレンジリーグ ウィナーズカップ 後編』

 

 リザードンとカイリューが向かい合う。

 アニメではカイリューにボロ負けしていたリザードンだが、俺のリザードンはアニメとは違い、何故かきずな現象まで発現しているのだ。負ける訳にはいかない。

 種族値や技の使用制限がないのはカイリュー有利だが、ここまで有利なバトルをしてきたのだ。これくらいの試練がなければ、ウィナーズカップに挑戦した意味がなかった。

 

「カイリュー、『ハイドロポンプ』!!」

 

 当然のように弱点を突かれたので、『えんまく』で的を隠していく。『ハイドロポンプ』は元々あまり命中率の高い技じゃ無い。『えんまく』で視界を潰せば避けるのは容易だった。

 そのままリザードンを空へ逃がす。カイリューがすぐに追ってきたが、流石のカイリューも縦横無尽に動ける空中でドロポンは当てられないのだろう。技を『れいとうビーム』に変えて追撃してくる。

 

 こちらも『かえんほうしゃ』で『れいとうビーム』を相殺していくが、飛行技術はほぼ互角だ。

 リザードンもプテラやピジョット達と日々飛行訓練を頑張っているので、アニメのリザードンよりも飛ぶのが上手くなっているのだが、それでもカイリューを捉えきれていない。

 

 お互いに遠距離で隙を狙って行くも詰め切れていなかった。それを見たユウジが『かみなりパンチ』を指示し、カイリューが接近戦を仕掛けてくる。こちらも『ドラゴンクロー』で対応していった。前に『かみなりパンチ』は死ぬほどくらったのだ。対応は身についている。

 互いに弱点技を受けながらも、決して退かない。

 向こうは残り一体だという崖っぷちの状況から、こちらは単純に負けたくないという意地から、お互いに一歩も退かずに殴り合っている。

 しかし、このまま殴り合っても体力を消耗するだけだ。チャンスとは、常に前に進むものにだけ与えられると、かつてどこかで聞いた覚えもある。勝つには先手あるのみ――

 

「リザードン、尻尾!」

 

 短い指示だが、言いたいことは伝わったはずだ。リザードンがカイリューの『かみなりパンチ』を弾くと、体を一回転させ、自身の尻尾をカイリューの顔面に叩き付ける。

 ギリギリで顔を逸らして避けたカイリューだが、尻尾の炎が目にかすったのか、思わず右腕で顔をこすっていた。その隙を逃すほどこちらは優しくは無い。『ギガインパクト』でカイリューの上から突進し、そのままカイリューを地面に叩き付ける。砂のフィールドのおかげでダメージは少なくなってしまったが、それでもかなりのダメージを与えられたはずだ。

 

 ユウジがカイリューに『はねやすめ』を指示して体力を回復させようとしたので、『ほのおのうず』で身動きを封じ、こちらも『はねやすめ』で回復する。

 回復技はPPが5である以上、互いに回復の機会は限られているし、このチャンスを有効活用しないとな。それに、体力とスタミナは別物だ。このままぶつかりあっていれば、近いうちにカイリューも息をあげるはず――

 

 そのまま、お互いに『はねやすめ』を終えるが、まだ『ほのおのうず』は継続されている。

 動けないカイリューに『れんごく』を放ち、火傷状態にしようとしたが、『ハイドロポンプ』で相殺されてしまった。続けて『りゅうのいぶき』で麻痺を狙って行くも、『10まんボルト』で相殺される。

 結局、追加ダメージを与えられないままカイリューも自由になったが、疲労はたまっているのか、カイリューの呼吸が少し乱れてきていた。

 

「まさか、カイリューが一体のポケモン相手でここまで消耗するとは……」

「まだまだ、本番はここからだ」

 

 こっちはそのカイリューを倒すつもりで来ているのだ。この程度で驚いて貰ったら困る。

 第二ラウンドが始まり、ユウジが『りゅうのまい』を指示している。威力の高い『ハイドロポンプ』や『10まんボルト』が相殺されたことから、特攻は俺のリザードンの方が上だと判断したのだろう。

 特殊がダメなら物理ということで、カイリューのステータスを上げようとしていた。ならば、こちらも、『りゅうのまい』――と、言いたい所だが、流石に『りゅうのまい』は出来ない。って、え、出来るの?

 

 リザードンが見様見真似でカイリューの『りゅうのまい』を模倣している。ただ、細部が微妙に中華風というか、研究所でよくやっているカンフー体操に近いものがあった。

 それでも『りゅうのまい』と判断されたのか、図鑑で確認してみると、リザードンの技項目に『りゅうのまい』が追加されている。そんな適当でいいのかよ、ドラゴンの舞って奴は。

 

 お互いに攻撃と素早が一段階上昇したが、同じことを繰り返しても先程の焼き直しになるだけだと思ったのだろう。ユウジが『しんそく』で先制攻撃を仕掛けてきた。先制技を覚えないリザードンは防御に回るしか無い。

 だが、ただ防御しているだけではなかった。『いかり』を発動させ、怒りのボルテージを貯めている。

 

 前にもポケモンリーグの時に書いたが、『しんそく』は自身にかかる負荷も大きい技だ。ゲームでは五回しか使えないし、それはこの世界でも同じである。

 リザードンの周囲を神速の早さで攻撃をしてくるカイリューだが、五回目の『しんそく』の終わりと同時にカイリューが失速した。

 ダメージはかなり受けたが何とか耐えきれている。カイリューの失速に合わせてリザードンが『いかり』を爆発させて返しの一撃を与えた。

 

 攻撃が最大まで上がった一撃をくらって、カイリューがぶっ飛ばされていく。

 態勢を立て直そうとしているカイリューへ、ユウジが必殺技である『はかいこうせん』を指示していたので、こちらも究極技である『ブラストバーン』で迎撃する。

 同じ威力150技ではあるが、『はかいこうせん』は不一致技だ。特攻もリザードンの方が上ということで、『はかいこうせん』を貫き、『ブラストバーン』がカイリューに直撃する。

 

「カイリュー!?」

「追撃だ。『りゅうのはどう』!!」

 

 究極技の反動で少し出遅れたがドラゴンタイプに有効なドラゴンタイプの特殊技で攻めた。だが、攻撃が直撃する直前に何かに弾かれる。

 一瞬、『まもる』かと思ったが、カイリューの目に怒りの光が宿っているのを見て、『げきりん』だと判断した。おそらく、『げきりん』のパワーで『りゅうのはどう』を弾いたのだろう。

 

 真っ直ぐ突っ込んでくるカイリューに『りゅうのいぶき』で麻痺を狙うも、先程の『りゅうのはどう』と同様に、攻撃を弾いてくる。

 そんなん有りかよと思いながら、『ドラゴンクロー』で迎撃するも、タイプ一致『げきりん』の連打でリザードンが吹き飛ばされた。

 

「カイリューに『げきりん』まで使わせるとはな。誇って良い、君のリザードンは強かった」

「……強かった? 何勝手に過去形にしてやがる。まだまだ勝負はこれからだろーが!!」

 

 俺の叫びと同時にボロボロになったリザードンが立ち上がり、きずな現象が発生する。

 肌の色は灼熱を示す赤色へ、体全体を薄い炎の繭が包み、俺とリザードンの意識と感覚が一つになっていった。

 

 ユウジが驚いたような声を出しているが応えている余裕は無い。感覚が一つになったからこそわかる。リザードンのダメージが思った以上に大きい。

 流石にシゲルとのバトル並とは言わないが、勝負を長引かせれば負けるのはこちらだろう。

 しかし、カイリューもまたダメージが蓄積されているはずである。また、『げきりん』が終わったことで混乱状態になっていた。ここで勝負をつけるしかない。

 

 全力の『フレアドライブ』でカイリューへ突撃していく。ユウジも迎撃の指示を出しているが、混乱しているカイリューよりもこちらの方が早かった。

 フラフラのカイリューを『フレアドライブ』で押し倒し、そのまま馬乗りになる。

 サカキ様の時もそうだったが、この状態になると感覚が鋭敏になっているからか、覚えていない技を覚えやすくなるようだ。今さっきくらった『げきりん』を再現し、カイリューにお返しする。

 

 リザードンの攻撃は、『りゅうのまい』と『いかり』によって強化されていた。その上、きずなリザードンはドラゴンタイプを持っているのか、タイプ一致技を使ったときと同じ感触を感じる。

 攻撃六段階上昇に加え、タイプ一致の『げきりん』をくらって耐えられるはずが無く、そのままカイリューは立ち上がることが出来ずに戦闘不能になった。

 

 審判によって、俺の勝利が宣言されると同時に、俺達のきずな現象が解除される。リザードンも限界だったようで腰を下ろしていた。

 だが、慣れて来たのか、今までよりもきずな現象の負担が少ないような気がする。現に俺やリザードンにもまだ立って動けるだけの余裕があった。

 

 正直なことを言えば、きずなリザードンなしで勝ちたかったが、それは流石に相手を舐めすぎだろう。

 ユウジのカイリューは強かった。強さだけなら、シゲルやブルーのポケモン並である。そんな相手に手を抜いて勝てるほど、俺達は強くなかった。相手にしてみれば少しズルいと感じるかも知れないが、このきずな現象も含めて俺達の実力である。

 

 ギリギリだったが、リザードンがカイリューを下したことで、ユウジの手持ちは全員戦闘不能になり、俺が新たにオレンジリーグ殿堂入りを果たすことになった。

 

 満員の観客からの祝福を受けながら、ヘッドリーダーのユウジから、オレンジリーグ名誉トレーナーの称号と記念トロフィーを与えられる。

 そのままトレーナーの俺と、戦ってくれたリザードン、キングラー、カモネギ、ゲンガー、ベトベトン、バリヤードの六体と写真を撮り、全員の手形を作って貰う。これが、昨日書いたウィナーズパレスに飾られることで、俺達は完全に殿堂入りを果たすことになる。

 

 試合に出られなかったピカ様や、ずっと出番を待っていた暴君が文句を言ってくる一波乱はあったが、それでも俺の試合を見てくれた全員が俺のことを祝福してくれた。

 

 

 

 11歳 γ月σ日 『今までも探してはいたんですよ』

 

 オレンジリーグ殿堂入りも果たし、そろそろ本腰を入れてラプラスの群れを探すことになった。

 ぶっちゃけ、このままカントーに帰っても良いんじゃないかと思うくらい、ラプラスはカスミさんに懐いているのだが、当のカスミさんがどうしても親元に帰したいと言う。

 流石はみず系ポケモントレーナー、女神のような優しさである。もし、俺がそのラプラスのトレーナーだったら問答無用でカントーに帰っていただろう。改めて、シルフカンパニーでこのラプラスをゲット出来て良かったと思った。

 

 

 

 11歳 γ月υ日 『こんなに優秀なのに、何で出番なくなったんだろう』

 

 ラプラスの群れを探して早三日。今日も今日とて海の上を旅している。

 ケンジの情報によると、これまで旅してきた他の島での目撃証言から、大体の位置を推測できるようなのだが、今の所それらしき群れの姿は見えない。

 しかし、しっかり今までの島でラプラスの群れについての情報を聞き込んでいたケンジは本当に凄い奴だと思う。何で、こいつアニメで出番無くなっちまったんだ?

 

 

 

 11歳 γ月χ日 『さよならラプラス』

 

 遂にラプラスの群れを発見した。

 しかし、何故かラプラスの群れはカスミさんのラプラスを受け入れようとしない。一度は追いついたのだが、『しろいきり』で煙に巻かれてしまった。

 

 一度、近くの島でオーキド博士に知恵を貸して貰おうと言うことになったのだが、博士曰くラプラスが人間を怖がっているのではないかということだった。

 この辺りでは希少種のラプラスだ。人間の被害などいくらでも考えられるだろう。

丁度ポケモンセンターに来ていたジュンサーに話を聞いてみると、この辺りには海賊のような密漁団が居て、爆弾のようなものまで使ってラプラスを追い詰めているらしい。

 

 ならば、俺達がその密漁団を叩き潰してしまおうということで、ラプラスの群れを狙っている密漁団を探すために、ラプラスの群れを追うことにした。

 

 群れを見つけると、丁度密漁団が狙っている所だったようで、ドククラゲの大群を使ってラプラス達を追い詰めている。

 ケンジがマリルに掴まってジュンサーを呼びに行くというので、カスミさんにはドククラゲ達の対応を任せた。残る俺は向こうが気付かないうちに船に乗り込み、サクッと船内の密漁団をマサラ式肉体言語術で制圧していく。

 

 たった数人で密漁団など笑わせる。

 

 おまけに爆弾やポケモンを悪用しているだけで、肉体的な能力は普通の大人以下だった。技を使うまでも無く船内を制圧し終わると、カスミさんとラプラスがドククラゲの群れに追われている。すぐに助けようかと思ったが、ラプラスの群れがカスミさんを援護していたので特に必要はなさそうだった。

 

 そのまま密漁団はお縄につき、悪用されていたドククラゲの大群も野生に返していく。こうして後から思えば、野生に返すくらいなら一体くらいドククラゲをゲットしておけば良かった。この時は必死でそんなことを考えている余裕がなかったからなぁ。

 

 一連の流れを見ていたラプラスの群れも、俺達が味方だとわかってくれたようで、カスミさんもラプラスと最後の別れをしていた。ラプラスもカスミさんと別れるのが寂しいのか、涙を浮かべている。

 結局、カスミさんの「家族の所に帰りなさい」という一言で、ラプラスは群れに帰っていった。親と再会できたラプラスが笑顔で顔をこすり合わせている。それを見ながら、カスミさんが大きく手を振っているが、寂しいのはこちらも一緒のようで目尻には涙が滲んでいた。

 

 じゃあな、ラプラス。元気でな。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第112話『ファイナルバトル! カイリュー登場!!』より、リザードンでカイリューを倒した。
 全力を出してギリギリの勝負だった。きずな現象に慣れてきたのか、反動が少なくなっていた。少なくともニューサトシは次の日には全快だった。リザードンもドクターストップになるようなことはなかった。

・第113話『さよならラプラス』より、オレンジ諸島のラプラスと別れた。
 実はこれまでも探してはいた。アニメではサトシ君とカスミさんの役割が逆だが、この小説では荒事は全てニューサトシの出番なので密漁団をボコボコにした。

・第114話『マルマイン大爆破!?』がなくなった。
 ニューサトシがラプラスを持っているので、船を使う必要がなく、そのまま飛行場までラプラスで向かった。よって、カットされた。


 現在ゲットしたポケモン。

 ピカチュウ Lv.52

 ピジョット Lv.48

 バタフリー Lv.48

 ドサイドン Lv.51

 フシギダネ Lv.50

 リザードン Lv.52→53

 ゼニガメ  Lv.50

 キングラー Lv.48

 カモネギ  Lv.48

 エビワラー Lv.49

 ゲンガー  Lv.50

 オコリザル Lv.49

 イーブイ  Lv.46

 ベトベトン Lv.47

 ジバコイル Lv.48

 ケンタロス Lv.47

 ヤドラン  Lv.47

 ストライク Lv.47

 トゲチック Lv.36

 プテラ   Lv.47

 ラプラス  Lv.47→48

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.47

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.40

 カビゴン  Lv.38

 ニョロモ  Lv.24→25


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