10歳 δ月γ日 『トキワの森 ロケット団再び』
昨日もあれからトキワの森でバトルを繰り返した。
ピカ様の今覚えている技を、ポケモン図鑑の技を調べる項目で見てみると、意外と覚えている技が多く、『でんきショック』以外にも、レベルで覚えられる技は大抵覚えているようだ。
基本は『でんきショック』、『わるだくみ』、『かげぶんしん』、『でんこうせっか』の4つをメインに使っていくことにした。『にどげり』なんかも覚えているので、状況に応じて使い分けて行けばいいだろう。
ピジョンも進化して、『でんこうせっか』や『ふきとばし』という技を習得していたので、それを活用するバトルを組み立てた。
特にゲームではポケモンを追い返すだけだった『ふきとばし』だが、この世界では普通に相手の体勢を崩すのに使えたのだ。今では『ふきとばし』からの『でんこうせっか』で隙を突き、再び『ふきとばし』で距離を取ってからの『かぜおこし』というヒット&アウェイがピジョンの必殺コンボになりつつある。
キャタピーはカスミさんが虫嫌いということでショックを受けていたが、そんなこと気にせず、すくすく成長してもらうために、『いとをはく』を使って相手の動きを妨害させ、『たいあたり』で仕留めるコンボを指示。根性があるので、すぐに成長し、夜にはトランセルに進化していた。原作崩壊も良い所である。
そんなこんなでトキワの森の中を歩いていると、再びロケット団が現れた。
どうやらアニメのように珍しいピカチュウではなく、俺が育てた強いポケモンを狙っていると宣言している。まぁ、いないといないで寂しいので来てくれて良かった。
こちらも前回と違い、ポケモンが三体になったので疑似3対3のバトルになる。
一番心配だったトランセルだが、進化したことで『かたくなる』を覚え、物理に強くなったので、相手の攻撃を受け、『いとをはく』で動きを封じ、『たいあたり』で仕留めるという戦術を確立していた。
ピジョンもいつものヒット&アウェイで敵を翻弄していて、ピカ様に至っては仲間の二体を囮にして『わるだくみ』を3回も積んでいる。もう最強やん。
そのまま『でんきショック』をロケット団におみまいしてやると、アニメのように「やなかんじー」と言いながら、明後日の方向に飛んで行ってしまった。いい感じである。
10歳 δ月δ日 『トキワの森 侍少年の挑戦』
昨日はいい経験値をもらったのでトランセルもバタフリーに進化するかとも思ったが、流石にまだのようなので今日も元気に経験値を集めていくことに。
昨日同様、野生のポケモンを蹴散らしながら先へ進んでいくと、鎧兜を被った虫取り少年がバトルを仕掛けてきた。アニメのサムライ少年だな。
おそらくアニメと一緒でシゲル達にボコボコにされたのだろう。
マサラタウンのトレーナー許すまじとばかりにカイロスを繰り出してきたのでピカ様を出す。アニメのサトシ君はピジョンの体力調整をミスって普通に負けていたが、普通に戦えば負けるレベルの相手ではなかった。
次にトランセルを出してきたので、こちらもトランセルを出して、『かたくなる』しかしてこないトランセルをボコボコにしてやる。少し時間がかかったが、攻撃出来ないポケモンに負けるはずも無く、遂にトランセルがバタフリーに進化した。
ポケモン図鑑で技を確認すると、『かぜおこし』、『ねんりき』、『ちょうおんぱ』と、3つも新しい技を覚えている。ゲームでは『ちょうおんぱ』は思い出させないと使えなかったが、どうやらこの世界はしっかり使えるようだ。ありがてぇ。
アニメのようにアホみたいな時間をかけなかったからか、スピアーの群れに襲われることもなかった。まぁ、そもそもあれはアニメのサトシ君がビードルを中途半端に逃がしたせいなのでフラグも無かったのだろう。
サムライ君もストレート負けしたことでこちらの実力を認めたのか、素直にトキワの森を抜ける道を教えてくれたので、そろそろニビシティへ向かうことにした。いい加減、カスミさんも森キャンプに飽きてきてるしな。
10歳 δ月ε日 『トキワの森からニビへ』
森を抜けたがニビシティにはまだ着かないらしい。連日野宿が続いてポケモン達にも疲れが見え始めているし、ここからは移動を速めることにした。
10歳 δ月ζ日 『ニビシティ ジム戦 VSタケシ 前編』
ニビシティに着いた。その途中、タケシの親父であるムノーとかいう無能に絡まれたのだが、石なんか売ってないでさっさと家に帰ってやれよ。ジムに挑戦するという話をしたら鼻で笑って来たので思わず蹴り入れそうになったぞ。
カスミさんもカスミさんで、「アンタじゃニビジムのタケシには勝つのは無理よ」とか言いやがるし。君達、少しニューサトシを舐めすぎでは無いかね?
確かにアニメのサトシ君は無鉄砲なだけの子供だが、こちとらニューサトシやぞ。タケシ対策くらいしてあるわ。まだ来てない『なみのり』の技レコード待ちだけどな!
流石の俺もピカチュウ、ピジョン、バタフリーの三匹で相性不利ないわタイプのジムに勝てると思うほど馬鹿じゃない。さっき爺に連絡したら『なみのり』の技レコードが届いたと言っていたし、数日もすればピカ様に『なみのり』を覚えさせられる。それから一気に進もうではないか。
と、言う訳で、早速ジム戦を挑みに来たぞ☆
勝てないのはわかっているが、実際にどれだけ通用するかは試して損はないし、運が良ければ勝てるかもしれないしな。
ニビジムに行くと、ジムリーダーのタケシが出て来てバッジの数を聞いて来る。
どうやらジムの仕様もアニメと少し違い、持っているバッジやトレーナーの経験などで、使用するポケモンのレベルを合わせてくれるらしい。どちらかというとオリジンに近いな。
トレーナー情報を調べるためにトレーナーカードを出すように言われたので図鑑を渡す。爺の図鑑はトレーナーカードも内包している便利な図鑑なのだ。
旅に出てから約一週間、バッジもゼロの初心者だということがばれたが、舐められる分には困らないので有難く胸を借りよう。
手持ちポケモン二体のジムバトルを開始する。
向こうの一体目はイシツブテ。こっちがバッジゼロなのでレベルは最大10に固定するらしい。
どうやらそういう道具があるようで、レベルが20以内なら最大10に下げられると言っていた。もし、20に合わせる場合は30レベル以内じゃないとダメと言うことか。
随分、挑戦者に有利なシステムだと思ったが、どうもこの世界のジム戦はそうやってレベルを合わせるのが普通らしい。
こっちのポケモンはバタフリー以外はレベル15を超えているはずなので、上手くすればレベルでごり押しできるかもしれないな。
一体目にバタフリーを出すと、タイプ相性も知らない初心者だと思ったのか、タケシが残念そうな顔をしている。
すかさず『ちょうおんぱ』を指示してイシツブテを混乱させると、「おっ?」という表情をしたので、そのまま『ねんりき』でイシツブテを持ち上げ地面に叩きつけた。
エスパータイプの技はタイプ不一致だが、十分効いたようでダメージを受けている。その上混乱もしているので素早い反撃が出来ない。タケシがイシツブテに声をかけているが、前を向くことも出来ていなかった。
どんな攻撃でも『がんじょう』の特性を持っていたら耐えるので、そのまま連続で『ねんりき』を指示し、イシツブテが混乱から回復する前に一気にダウンまで持って行く。
ここでようやくタケシも俺がただの初心者じゃないことに気付いたようだが、残念ながらその時点でイシツブテは戦闘不能になっていた。
「……どうやら、甘く見過ぎていたようだな」
そう言って二体目はイワークを出してくる。
同じ手が通用するか試してみるが、流石にジムリーダーだけあって対応が早い。『いわおとし』で遮蔽物を作りながら、落石の音で『ちょうおんぱ』を掻き消してきた。
そのまま『しめつける』を指示してきたので、バタフリーを上昇させる。いくら大きなイワークでも天井ギリギリまで飛んでいるバタフリーをしめつけには行けないようで、タケシも『いわおとし』でこちらの動きを封じる作戦に移してきた。
頑張って攻撃を避けていたが、避けるので手一杯になってしまい攻撃に移れない。結局、連続の『いわおとし』を避けきれず、バタフリーが落下して行った。
そうなれば後はイワークの独壇場である。『しめつける』でバタフリーの動きを封じてきたので、『いとをはく』を指示した。
少しでも動きを封じられればいいという悪あがきだったが、やはりしめつけの中動くのは難しいらしく、そのままバタフリーは戦闘不能になってしまった。
とはいえ、イシツブテを倒せただけ大金星である。粉技を覚えていたら勝負は変わっていたかもしれないな。
「さぁ、次はどうする?」
どんなポケモンでもかかってこいとばかりの意気込みを感じる中、こちらもピカ様を送り出す。
アニメ初期は臆病で、イワークにびびりまくっていたピカ様だが、弟分のバタフリーが頑張ったのを見てやる気になったのか、元気にフィールドに飛び出して行った。
でんきタイプのピカチュウを出して来たことで、また油断してくれないか期待したが警戒は解かれていないようだ。残念である。
とりあえず、ピカ様のわざでイワークにまともに通用する技は『にどげり』くらいなので、後は補助技だけを指示することにした。『かげぶんしん』で的を絞らせず、『しっぽをふる』で防御を下げて行く。
タケシは再びイワークに『しめつける』を指示し、ピカチュウを捕まえようとしてきたが、捕まったらまず勝てないので逃げに徹した。
動くのは防御を6段階下げた後だ。
とはいえ、いくら逃げに徹しても、全ての攻撃を避けきれる訳ではないので何度か捕まりそうになる。だが、その瞬間に『にどげり』をイワークに当て、怯んだ所を脱出していた。
タケシも、ダメージの高さから尻尾のせいで防御が下がったことに気付いたようで、『かたくなる』を指示。また、攻撃方法を遠距離からの攻撃である『いわおとし』に切り替えていた。
向こうが『かたくなる』を使ってきた以上、このまま防御を下げ続けるのは無理だな。
一気に距離を詰めて、『にどげり』で勝負をつけよう。ピカ様も頷いて、イワークに向かって突っ込んで行った。
しかし、それはタケシも望むところだったのか、『たいあたり』を指示してくる。真っ直ぐ走っていたピカ様へカウンター気味にイワークの体が当たり、空中に弾き飛ばされた。
流石にこのまま落ちたら捕まるので、『かげぶんしん』で的を絞らせないように指示を飛ばす。しかし、空中で動けない以上、どこにいるか見切られてしまったようで、遂にピカ様が『しめつける』に捕まってしまった。
アニメではでんき技が効いていたが、基本的にじめんタイプを持っているイワークにでんき技は効かない。最後のあがきということで、ピカ様に『てんしのキッス』を指示した。
ピカ様が苦しそうにイワークの体にキッスすると、イワークの体から一瞬力が抜ける。混乱したのだ。当然、その隙を逃す手はなく、ピカ様へ『にどげり』を指示しようとした――が、その瞬間いきなり体が重くなってしまい、驚きで声を出すことが出来なくなってしまった。
重力でも増えたのかと思って自分の体を見てみると、タケシと似たような顔をした子供の大群が俺の体に群がっている。
そりゃ体も重くなるわ!
どうやらタケシが負けそうになって居ても経ってもいられず妨害に来たらしい。気持ちはわからなくもないが、それは反則だろう。そういえば、アニメでもこんなんあったわ。
思わずタケシもやめるように声をかけるが、子供達は首を横に振って嫌がっている。
これじゃあ、俺が悪者じゃねーか。
何かもうジム戦という空気でもなくなってしまったし、今日はここで帰ることにした。実際、今日は様子見だった訳だし、『なみのり』を手に入れてからまた来ればいい。
「戻れピカチュウ」
ピカ様に帰るように言うと、「いいの?」とばかりに首を傾げていた。
いいのさ。実質勝ちみたいなもんだし、本番はこれからだ。公式戦の感触はつかめたし、今日の所はこれくらいにしといてやろう。
ピカ様も俺がそういうなら別にいいと言うような感じで素直に帰って来た。ようやく子供達も離れて体が自由になる。次はやるなよ、絶対に。
タケシが何か言いたそうにしていたが、「また来るわ」と言って、そのままニビジムを後にした。
まぁ、タケシにしてみればスッキリしない終わり方かもしれないが、ぶっちゃけイシツブテはタケシが油断していた所を不意打ちで倒したようなもんだし、あのまま勝っても気分のいい勝ち方ではなかったんだ。これで良かったのさ。
原作との変化点。
・第3話『ポケモンゲットだぜ!』より、ロケット団の着いてくる理由が変わった。
トレーナーになって一日の初心者に負けたことで、ニューサトシの育てたポケモンは強くなると思ったらしく後を着いてくるようになった。
・アニメと覚えている技が違う。
ピカチュウだけではなくそのポケモンがレベルで覚える基本技は全て覚えている。
・キャタピーの進化ペースが違う。
キャタピーのみならず、手持ちをめちゃくちゃレベリングしている。
・第4話『侍少年の挑戦!』より、サムライ少年をボコした。
負ける要素がない。
・スピアーに襲われなかった。
フラグを立てなかった。よって、すぐにトキワの森を抜けたのでロケット団に襲われなかった。
・第5話『ニビジムの闘い!』より、ジム戦の仕様が違う。
挑戦者のトレーナー情報や、バッジの数によってポケモンのレベルが変わる。バッジが8つ以上の場合は、ジムリーダーの本気メンバーとバトル出来る。
・レベルの概念が明確にある。
わかりやすいので。
・タケシに勝ちそうになった。
アニメと技が違うので、ピカチュウの技をしっかり使えば勝てたりする。レベル差もあった。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.10→17
ピジョン Lv.18→19
キャタピー→トランセル→バタフリー Lv.3→11