11歳 ε月ζ日 『キキョウシティ ジム戦 VSハヤト 後編』
アニメでは決して放送されなかった俺とハヤトによるピジョット同士の戦いが幕を開けた。
バトルが始まると同時に、ハヤトが挨拶代わりとばかりに『でんこうせっか』を仕掛けてきたので、こちらも『でんこうせっか』で返していく。
お互いのピジョット同士がぶつかり合うが、どうも実力は拮抗しているようでどちらも吹き飛ぶ様子がなかった。どうやら、攻撃面の性能はほぼ互角のようだ。
パワーが互角ならスピードはどうだと、ピジョットを空へ飛翔させる。面白いという顔をしたハヤトもまた自身のピジョットへ指示を飛ばし、俺のピジョットの後を追わせていた。
真っ直ぐ飛ぶ俺のピジョットにハヤトのピジョットは追い付けていない。しかし、距離も引き離せなかった。つまり、速さもほぼ同じということだ。
互いのピジョットの能力が互角なら、後はトレーナーの技術の差が問題になってくる。つまり、俺とハヤト、どちらがトレーナーとして優れているかという問題だ。
ハヤトは『こうそくいどう』を指示した。スピードを上げて有利を取ろうという魂胆だろう。
この勝負でスピード負けは即死も同然なので、こちらも『こうそくいどう』でハヤト同様に速度を上げていく。だが、こちらが『こうそくいどう』を積む間に、ハヤトのピジョットが俺のピジョットに並んでいた。
上下前後左右を縦横無尽に動き回るピジョットだが、ハヤトのピジョットを引き離せない。どこかで一度有利を取りたいが、この調子では永遠に決着がつきそうになかった。
ならば、どこかで隙を作るしかないのだが、これだけの速度で動いていると、お得意の『ぼうふう』も打つことが出来ない。
何しろ、羽で風を作る『ぼうふう』や『かぜおこし』のような技は、一度動きを止めなくては使えないのだ。しかし、向こうがあれだけの速度で動いていては狙いをつけることすら出来ないだろう。
使えるのは体をぶつけるタイプの技に絞られる。
物理技、接近戦で勝負――ハヤトもそう考えているはずだ。なら、使ってくる技は絞られてくる。
俺がそう思考し、ピジョットに『つばめがえし』の指示を飛ばしたのと同時に、ハヤトもまた自身のピジョットへ『つばめがえし』の指示を出した。
並走していた二体のピジョットが、こちらの指示と同時に左右に旋回し、真っ直ぐぶつかって行く。『つばめがえし』は威力こそ60と低いが、絶対に命中する技だ。この高速戦闘では技の命中率は生死に関わって来る。絶対に使ってくると思っていた。
「見事だ、サトシ君。君は俺と全く同じことを考えていたようだね」
「そのようですね」
「ならば、俺が最後に使う技ももうわかっているはずだ」
ああ、分かっているさ。
おそらく、ハヤトが決め技に持ってくるのはひこうタイプ最大の技『ブレイブバード』だろう。
正確にはひこうタイプ最大の技は『ゴッドバード』だが、あの技は出すまでに貯めがいる。この高速戦闘でその貯めの時間は命取りになると言って良い。まず間違いなくハヤトは『ブレイブバード』を使ってくるはずだ。
「俺は小細工しない。正々堂々と勝負だ」
正々堂々ね。受けて立とうじゃ無いか。
俺のピジョットも、カモネギ先生によって『ブレイブバード』は習得しているので出来ないことはない。俺は普段、ピジョットを特殊で使っているが、物理技を何も覚えさせていない訳ではないのだ。
「いくぞ! ピジョット、『ブレイブバード』!!」
再び、ハヤトの指示と同時にピジョットが旋回する。それを見て、俺のピジョットもまた同じように旋回を始めた。多分、俺の意を汲んでくれたのだろう。
そのまま真っ直ぐ突っ込んでくるハヤトのピジョットに対し、俺のピジョットもまた迎撃に動いている。
しかし、ハヤトは俺がまだピジョットに指示を飛ばしていないことに気付いたようで怪訝そうな顔をしていた。
だが、もう遅い。ギリギリのギリ、ここしかないというタイミングで、俺も最後の攻撃指示をピジョットに飛ばした。
「ピジョット、『ギガインパクト』!!」
驚くハヤト。しかし、もう遅かった。
今から指示を飛ばしても、ピジョットは行動を変更できない。そう出来ないタイミングで俺は攻撃を指示した。
悪いな、ハヤト。俺は意外と小細工が嫌いじゃないタイプなんだ。
真正面からピジョット同士がぶつかり合う。だが、当然、『ブレイブバード』より『ギガインパクト』の方が、威力が上なので、ハヤトのピジョットが打ち負けて墜落して行く。
不意打ちのように見えるかもしれないが、真正面からの打ち合いには変わりないだろう。ただ、ハヤトが勝手に、俺も『ブレイブバード』を使ってくると勘違いしただけである。
ハヤト、お前の敗因はひこうタイプに拘り過ぎたことだ。ピジョットは確かにひこうタイプだが、同時にノーマルタイプでもある。ノーマルタイプ最大の物理技である『ギガインパクト』を失念していた時点でお前の負けだ。
「ピジョット! ど根性だ!!」
ハヤトもまた、自身のミスに気付いたのだろう。それでもまだ諦めないとばかりに声を飛ばしている。
同時にまたも周囲から「ど根性」コールが発生し、ハヤトのピジョットが体を起こす。それを見て、反動が解除された俺のピジョットが上空から『ギガインパクト』で突っ込んできた。
当然、追撃の『ギガインパクト』で、ハヤトのピジョットが今度こそ完全に戦闘不能になる。こうなればど根性もクソもないだろう。ハヤトも目を閉じてピジョットをボールに戻していた。この容赦のなさは誰に似たんだか。
「まさか、『ギガインパクト』とはね。てっきり『ブレイブバード』の対決になると思ったよ」
「それも悪くは無かったんですけどね。ど根性対決は不利になりそうだったんで、今回は素直に隙を突かせて貰いました」
「『ブレイブバード』同士だったら負けていたと?」
「さて。ただ、面倒くさいことにはなったでしょうね」
実際、攻撃力が同じで、同じ技のぶつけ合いなど泥沼にしかならないだろう。
それしか手段がなければ話は別だが、他に勝ちの目が見えているならそっちを取るのがニューサトシである。
「見事だ。君の方が純粋に一枚上手だった。このウイングバッジは君のものだ」
結果的にハヤトの独り相撲の隙を狙った形だが、それでも勝ちは勝ちである。クリスタルのイワークも公式戦で勝利を収められたし、良いバトルをさせて貰った。
ハヤトからウイングバッジを受け取り、そのままキキョウシティを後にする。
次はむしタイプを得意とするヒワダジムのツクシが相手になるはずだ。今回のような本気バトルも悪くないが、ヘラクロスやチコリータのような新人にも経験を積ませてやりたいし、次はレベルを合わせて貰ってバトルをするのも悪くないかもしれないな。
11歳 ε月θ日 『カスミさん、お止めなさい』
高級リゾート地が並ぶエリアを横断中、草むらからマリルが出てきた。
みずタイプに目がないカスミさんが早速ゲットしようと意気込んでいるが、良く見ると尻尾にリボンが付いている。どう見たってトレーナーがいるのは明らかだった。
しかし、カスミさんは全く気付いていないようだったので、腕を掴んでボールを投げるのを止めさせる。最初は俺がマリルを狙っていると勘違いして怒っていたカスミさんだが、リボンに気付くと残念そうな顔で矛を収めていた。
どうもこの近辺の子のようだが迷子らしい。
可哀想なので、一緒にトレーナーを探してやり、近くの海を眺めていたお嬢様らしきトレーナーの所までマリルを連れて行ってあげた。
11歳 ε月κ日 『俺のリザードンは強いぞ』
ヒワダタウン目指して歩いていると、ジークとかいう女が俺からリザードンの匂いがするとか言って声をかけてきた。
何となく見覚えがあったような気がしたのだが、この辺りが野生のリザードンの生息地と聞いて完全に思い出した。アニメでリザードンとバイバイする回である。
ジークがリザフィックバレーのリザードンを見て行かないかというので、素直についていくことにした。何せ、ヒトカゲをゲットしてから今まで、半ば贔屓とも言えるくらいに訓練していたのは今日この日の為と言っても過言ではない。
アニメでは練度不足であしらわれていたリザードンだが、俺のリザードンがどこまで通用するのかとても興味があった。
タケシとカスミさんはジークのリザードンの買い物カゴに乗せてもらうことになり、気球のような感じで空を飛んでいる。俺は自分のリザードンが居たので、そのまま背中に乗せて貰った。
アニメでは人を乗せて飛ぶことが苦手なリザードンだが、俺はリザードンに進化させてから飛行技術は当然として、人間を乗せて飛べるようにも訓練している。当然、アニメのような体たらくを晒すことなく、無事にリザフィックバレーまでたどり着くことが出来た。
ジークもリザードン使いを名乗るだけあって、俺のリザードンのレベルがわかるようで、「そのリザードン、なかなかやるわね」と頷いている。実際、ここのリザードンに通用するか聞いてみると、「上位陣とタメ張れるでしょうね」というお墨付きを頂いた。
試しに上位陣とバトルしてみるか聞かれたので、トレーナーの指示なしでバトルさせてみる。流石に指示有りでは負けないだろう。それだけ俺は自信があるし、ジークも遠回しにトレーナーはNGと言っていた。
俺のリザードンが誰を相手に選ぶか興味あったので見ていたのだが、ジーク曰く一番強い相手を選んだらしい。強い奴と戦いたがるのは、本当に俺に良く似てしまったな。
しかし、ここのリザードンは体格が良い。俺のリザードンが小さく見えるくらいだ。
これだけ体格差があれば、パワーは負けているだろう。どうするのかと思って様子を見ていたが、小柄故の素早やこれまでのバトルで培ってきた技術でアッサリと相手のボスリザードンを倒してしまった。
これには俺もビックリしたが、ジークはもっとビックリしたらしい。ここのリザードンは決して弱くない。それは俺ですら見ただけでわかる。
正直、負けはしないにしても苦戦すると思っていたのだが、そんな様子を微塵も感じさせず、俺のリザードンはここのボスを倒してしまったのだ。
倒されたボスリザードンがもう一度とばかりに俺のリザードンに勝負を仕掛けて来るが、結局は先程の焼き直しにしかなっていない。むしろ、俺のリザードンは野生相手に苦戦など恥と言わんばかりの態度だった。
そんな俺のリザードンを見て、ジークのリザードンの目がハートマークになっている。ちょろい。
ジークもこれは予想外だったようで、「私も見る目がないわね」と恥ずかしそうにしていた。
とりあえず、これでリザードンとバイバイすることはなくなったようである。元々、負けてもバイバイする気はなかったが、想像以上の成果にニューサトシもニッコリだった。
丁度いいので、ジークにリザードンのきずな現象について何か知らないか聞いてみる。
だが、ジークもリザードンにメガシンカがあるのは知っているようだが、きずな現象については何も知らないようだった。逆に見せてくれと頼まれたが、まだ上手くコントロールできていないので、意のままに発動させることが出来ない。
一応、ジークには去年のポケモンリーグセキエイ大会準決勝と、少し前に行ったオレンジリーグのウィナーズカップで使ったと教えると、試合の動画を探して調べてくれると約束してくれた。これで何かわかるといいのだが。
11歳 ε月μ日 『キマワリの言葉がわからない? ならば、ボディランゲージだ!』
ソーラータウンという街に来たのだが、この街はキマワリの育成が盛んなようで、明日にはキマワリコンテストというキマワリの美しさを競うコンテストをやるらしい。
ちょっとした縁でこの街でキマワリを育てているチサトという女性と仲良くなったのだが、どうも最近パートナーであるキマワリの元気がないと相談を受けた。チサトも明日のキマワリコンテストに出る予定らしいのだが、肝心のキマワリがこの調子なので困っているようだ。
こんな時はいつものマサラ式肉体言語術ボディランゲージである。流石にニャース程の通訳が出来る訳ではないが、それでもかなりの練度であると自負していた。
と、言う訳で話を聞いてみると、どうやらキマワリは仲の良かった友人のキマワリと会えなくなって寂しいらしい。
街の人に詳しい話を聞いた結果、その友人キマワリはポケモンセンターにいるようなので、キマワリを連れて会いに行く。聞けば、ジョーイさんの手持ちポケモンになっていたようで、無事に友人と再会出来てキマワリも元気を取り戻していた。
追記。次の日、ロケット団の介入もあってドタバタしたが、無事にチサトとキマワリはコンテストで優勝を果たしていた。おめでとさん。
原作との変化点。
・ピジョット対決をした。
レベルではハヤトのピジョットの方が僅かに上だが、個体値や努力値の関係で能力は互角だった。詳しく書くのは面倒なので詳しくは書かない。
・第132話『泣き虫マリル!』より、カスミさんがボールを当てるのを未然に防いだ。
本来はボールぶつけられてマリルが逃げるが、ニューサトシは未然に防いだため、内容がカットされた。
・第133話『爆走! オタチ&トゲピー』より、トゲ様がそもそも外に出ていなかった。
また、既にトゲチックになっていることや性格が微妙にアニメと変わっていることから物語がカットされた。
・第134『リザードンの谷! また会う日まで!!』より、リザードンとバイバイしなかった。
アニメでリザードンがいなくなった時は絶望した人も多かっただろうが、ここではボスを瞬殺してわからせた。ジークのリザードン惚れた。ちょろい。
・ジークにきずな現象について調べるようにお願いした。
何かわかるといいね。
・第135話『大パニック! キマワリコンテスト!!』より、ニャースの出番がなくなった。
ニューサトシがポケモンの気持ちが大体わかるので、出番がなくなった。
現在ゲットしたポケモン
ピカチュウ Lv.52
ピジョット Lv.50→51
バタフリー Lv.49
ドサイドン Lv.51
フシギダネ Lv.50
リザードン Lv.53
ゼニガメ Lv.50
キングラー Lv.49
カモネギ Lv.49
エビワラー Lv.50
ゲンガー Lv.50
オコリザル Lv.50
イーブイ Lv.47→48
ベトベトン Lv.48
ジバコイル Lv.50
ケンタロス Lv.48
ヤドラン Lv.48
ストライク Lv.48
トゲチック Lv.39→40
プテラ Lv.48
ラプラス Lv.48
ミュウツー Lv.70
バリヤード Lv.48
イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44
カビゴン Lv.40
ニョロモ Lv.32→35
ヘラクロス Lv.22→25
チコリータ Lv.18→21