ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#057 『結晶塔の帝王をやっつけろ!』

 11歳 η月θ日 『アルフの遺跡の癖にアンノーンがいないだと?』

 

 アルフの遺跡と思わしき場所に着くと、何故かオーキド博士がそこに居た。

 リアルで会うのは久しぶりなので挨拶をするも、いつの間にか旅の仲間が増えていることに首を傾げている。しかし、ラティもすぐに「ラティ、です」としっかり挨拶が出来た。とっても偉いぜ。

 

 どうやら博士の大学時代の教え子がここで古代ポケモンの研究をしているらしく、何か特別な発見がされたということで呼ばれたようだ。

 一緒に見に行くかと誘われたが、正直古代ポケモンにはあまりいい思い出がないんだよなぁ。

 既にプテラもゲットしているし、興味をそそるものがあまりない。先に進んでも良かったが、ラティがどうしても行きたがったので一緒に行くことにする。

 

 研究所に居たサタケと呼ばれる博士の教え子は、海のポケモン起源説を推奨している学者らしく、全てのポケモンのルーツは海にあるとか言っていた。さてはおめー、アクア団の回し者だな?

 カスミさんもサタケの話を聞いて大盛り上がりしている。みず系大好きカスミさんにしてみれば、サタケの説は聞いていて楽しいのだろう。さてはおめー(以下略)。

 

 サタケの案内で新しく建造したポケモンパークとやらに向かったのだが、そこには何故かこの世界ではレアな古代ポケモンであるオムナイトやオムスターが住みついていた。

 どうやらサタケはこれを博士に相談したかったらしい。サタケ曰く、いつのまにか住みついていて、どこから来たのかもわからないという。

 俺は素人だが、それでもこの時代では希少なオムナイトやオムスターが理由もなく、こんな目立つ施設に来るとはとても思えない。どうも博士も同意見のようで、彼らの生態系に何か問題が起きたのではないかと推測していた。

 

 こんな時はいつものマサラ式肉体言語術ボディランゲージさんの出番である。

 オムナイトやオムスターに、何故こんな所に来たのか聞いてみると、どうやら遺跡の裏にある地下水源を荒らされて逃げてきたのだという。仲間達の中には捕まった奴もいるので助けを求めていた。

 

 どうせ、こんな悪事をするのはいつものロケット団だろうということで、デルビルの嗅覚とヨルノズクの上空偵察でロケット団を探してもらう。

 意外と近くにいたようで、すぐにロケット団の所まで行くと、気球で釣り上げた水槽の中にはかなりの数のオムナイトやオムスターが捕まっているようだった。

 

 俺達に見つかったことに気付いたロケット団がすぐさま逃げようとするが、大量に捕まえたオムナイト達が重くて動けないらしい。あほらしいので、サクッといつも通りやなかんじーにしてやると、オムナイトとオムスターは無事に元の住処に戻って行った。

 

 

 追記。博士から『くさむすび』の技レコードを貰った。やったぜ。

 

 

 

 11歳 η月κ日 『結晶塔の帝王をやっつけろ!』

 

 グリーンフィールドという場所にそろそろ着くらしい。このグリーンフィールドは緑の多い場所のようで、ジョウト地方で女性が行きたい場所No.1の場所だとカスミさんも話している。

 まぁ、それはいいさ。広い地方だ。そういう場所の一つや二つはあるだろう。

 まぁ、リンとかいう少女とバトルをしたのもいい。久しぶりにフルバトルをしたし、意外と強かったのもあって、今の手持ちだとかなり苦戦させられた。

 

 ただ、グリーンフィールドくん。君、何か街が結晶化していないかい?

 

 とりあえず、毎度お馴染みポケモンセンターへ向かうと、ついこの間別れたばかりの博士とママさんがいるのを見て悟る。これ、エンテイが来るやつや。

 ラティをママさんに紹介するのも程々に、すぐにオーキド研究所にいるケンジに連絡し、ドサイドン、リザードン、キングラー、ゲンガー、プテラの五体を交換するように頼む。偽物とはいえ、伝説と戦うならこちらもベストメンバーで挑まないとまず勝てないだろう。

 

 ジョウトの手持ちとベストメンバーの入れ替えを終了すると、丁度ママさんがエンテイに催眠術のようなものをかけられて連れて行かれる所だった。

 すぐにミュウツーを出したが、出遅れた上に逃げに徹しているせいもあってか、暴君でもエンテイをこの場で捉えることが出来なかったようだ。正確には、無理をすれば出来ないことはなかったのだろうが、人質になっているママさんの安全を考えて引いた形である。

 

 しかし、間に合わなかったか。

 

 まぁ、いいさ。最初からこうなるのはわかっていたんだ。人の母親を攫う不貞の輩は、このニューサトシが成敗してやるぜ。

 

 オーキド博士曰く、どうやら今回の事件はシュリー博士とかいう人物が、アンノーンについて調査中に行方不明になったことが関係しているらしく、あのエンテイもそれに関係しているのではないかということだ。

 ぶっちゃけそんな推察などどうでもいいのだが、話の最中、シュリー博士の娘らしいミーという少女から『パパとママが帰って来て、ミーは嬉しいの。このままがいい。誰も入って来ないで』とメールが届いた。

 想像で作ったエンテイが父親で、おまけに人の母親を奪って幸せとは、このクソガキには現実の厳しさを叩きこんでやらなければいけないらしい。

 

 ミーとエンテイはシュリー邸にいるということだったので、もうここには用はないとばかりにラティをボールに戻して出かける。

 しかし、当然といった感じでタケシとカスミさんもついてきた。放っておけないとのことだ。いつの間にか一緒に居たリンも慌てて追いかけて来て、ポケセンとの連絡用に自分のポケギアを貸してくれる。

 ぶっちゃけ、連絡することなど何もないが、まぁ何かの役には立つかもしれないし借りておこう。

 

 俺はリザードンで上から侵入するつもりだったのだが、タケシとカスミさんが一緒に来たので、ラティも出して下から普通に入ることにした。

 水は結晶化されていないということで、水路から中に侵入していく。途中、ポケモンセンターにいる博士から連絡が入って、アンノーンがミーという少女の心に反応して結晶を作り出しているという仮説を話してくれた。まぁ、知ってるんだけどな。

 

 フルメンバーを連れてきただけあって、シュリー邸への侵入は滞りなく成功した。

 だが、邸内はアンノーンの力が働いていて、外から見たよりも広く、また不規則に内部構造が変化している。アトラクションのように思えるのか、ラティが「たのしい」と言って笑っているが、今は笑っている場合ではないのだラティ君。

 

 階段を上っていくと、一際広い草原のような空間へと繋がっていた。さらに上への階段があることから、エンテイ達はその上にいるのだろう。

 すぐに先へ行こうしたのだが、丁度、上から件のエンテイと十代後半くらいの女性が現れた。当然、この女性はアンノーンの力によって具現化された成長したミーである。

 原作通り、ミーはポケモンバトルを求めてきた。

 どうやらタケシも言動から、この女性がミーだと気付いたようで、彼女からのバトルを引き受けている。いや、俺が受けるぞ。全ての階のミーをボコボコにして現実を見せてやる。

 

「お前は何でも一人でやり過ぎだ。たまには俺達に甘えろよ。それに、エンテイは上から来た。ママさんは多分、この上にいる」

「行きましょうサトシ。今はママさんを助けるのが先よ」

「サトシ、いく」

 

 確かに、その通りだ。

 

「俺の代わりにバトルするんだから負けんなよ」

「負けないさ。美人なお姉さんに良いところを見せたいからな」

「びじん?」

「あー! 何でもない何でもない! もう、ラティに変な言葉覚えさせないでよね!」

 

 しっかし、美人なお姉さんって言ったって中身はただの幼女だぞ。

 まぁ、いいか。とりあえず自信があるみたいだし、ここはタケシに任せて今は先に進もう。

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 サトシ達が上に行くのを見届けながら、改めて大人の姿になったミーと向き合う。

 

「使用ポケモンは三体。入れ替え自由でどうです?」

「わかったわ」

 

 意外にも、エンテイはサトシ達を追う素振りを見せなかった。むしろ、何の興味も無いと言わんばかりの態度だ。

 エンテイがミーを背中に乗せて距離を取ると、俺とミーの間にバトルフィールドが出来上がっていく。これも、アンノーンの力によるものだろう。

 

 バトルが開始すると、俺は一体目にゴルバットを送り出した。対するミーはモココを出してくる。おそらく、あのモココも作られたものだろう。俺がゴルバットを出したのを見て、相性有利なポケモンを出してきたらしい。

 

 とはいえ、相性だけで勝負が決まらないのがポケモンバトルだ。ゴルバットに『あやしいひかり』を指示して、モココを混乱させていく。

 ミーは反応できていない。おそらく、中身がまだ子供ということもあって、ポケモンバトル自体が初めてなのだろう。

 

 そのままゴルバットに、『どくどくのキバ』を指示して、猛毒を狙っていく。素人相手に大人げないかも知れないが、サトシに負けるなと釘を刺された以上、格好悪い所は見せられない。

 正直、最初はポケモンバトルや外に出る楽しさをミーに伝えるために負けるつもりだったが、どうもサトシはそういう甘い手ではなく、現実の厳しさを教えるつもりのようだしな。

 

 ゴルバットが突っ込むと同時に、ミーはモココにかわすように指示している。モココも混乱しながら何とか攻撃を回避した――と思いきや、急に混乱状態が解除されて目が正気に戻っていく。

 少し、混乱から治るのが早くないか?

 通常ならもうしばらく混乱状態が続くはずだ。これはもしかしたら、ミーの気持ちに反応して、作られたポケモン達にも何かしらの影響が出ているのかも知れない。

 

 ミーはすぐに『ずつき』を指示してきた。怯まされると電撃が飛んでくる可能性がある。ここは一旦退こうということで、『とんぼがえり』を指示して、モココにダメージを与えつつゴルバットをボールに戻した。

 そのまま二番手にイワークを送り出す。モココはでんきタイプだ。いわ、じめんタイプのイワークに有効打はそう多くないだろう。

 

 ミーは素直にモココを戻した。戻したと言っても、結晶化が解除されて消えただけだが。

 そのまま二番手としてゴマゾウを出してくる。

 ゴマゾウはドンファンの進化前でじめんタイプだ。いわタイプを持っているイワークにとって、じめん技は弱点でもある。

 

 しかし、ミーはゴマゾウに『ころがる』を指示してきた。じめんタイプも持っているイワークに、いわ技は効果今一つのはずだ。

 意図は読めないが、念のために『かたくなる』を指示して防御力を上げさせる。だが、ゴマゾウの『ころがる』が直撃すると同時に、イワークの巨体が吹っ飛ばされた。

 

「フフッ、こっちが小さいからって油断しちゃダメよ」

 

 油断も何もない。イワークの強化された防御を易々と弾き飛ばすゴマゾウなど存在するはずがないのだ。

 おまけに、『ころがる』は段階を経てダメージが上がる技のはず。一撃であそこまでのダメージが出る訳がなかった。仮に、アカネさんのミルタンクでも、一撃目では俺のイワークを吹き飛ばすことなど出来ないだろう。

 

 やはり、モココの時と同様、何か特別な能力アップがされていると見るべきか。少なくとも、このゴマゾウは物理攻撃に関してはサトシのドサイドンクラスだ。

 

「イワーク、『あなをほる』だ!」

 

 確かにその『ころがる』は脅威だが、技の性質的にしばらく『ころがる』を続けなければいけないという欠点も存在する。

 こちらは『あなをほる』で姿を隠した。対象を見失ったゴマゾウが『ころがる』をキャンセルした隙に、地面からの攻撃を仕掛ける。

 

「ゴマゾウ、『じしん』!」

 

 しかし、ミーはそんな都合関係ないとばかりに、『ころがる』をしているゴマゾウに別の技を指示してきた。

 普通なら、それに対応するなど出来るはずがない。

 だが、ゴマゾウは技の法則を無視して『ころがる』を自分の意思で解除した。そのまま指示通り、『じしん』を繰り出して、地中にいるイワークに大ダメージを与えていく。

 

「……常識が通用しないな」

 

 地中から出てきたイワークが戦闘不能になり、ミーがゴマゾウを抱きかかえて喜んでいる。

 相手は普通のポケモンじゃない。このまま常識通りのバトルをしても、俺に勝ち目はないだろう。

 

 三体目にロコンを出す。じめんタイプのゴマゾウはロコンに相性有利だ。

 ミーもわざわざポケモンを変えてくることはないだろう。申し訳ないが、真正面からのぶつかり合いでは勝機はないので、ここは大人げなく搦め手を使った戦法を使わせて貰うことにする。

 

 しかし、ミーは素直にゴマゾウを戻し、新たにヒメグマを出してきた。

 どうも相性云々では無く、自分の使いたいポケモンを使っているだけのようだ。だが、もう見た目には騙されない。モココやゴマゾウの時と同様、このヒメグマも通常とは違う何かがあるはずだ。

 

 ミーはヒメグマに『ばくれつパンチ』を指示してきた。『ばくれつパンチ』は命中率が低く、カイリキーのように攻撃を絶対に命中させる特性でもないと、とても使えるものではないはずだ。

 だが、俺はすぐにロコンへ回避を指示した。あれだけ自信ありげに指示してきた以上、命中率に補正がかかっていてもおかしくない。

 

 そのままロコンに『どくどく』を指示する。サトシが覚えさせた方が良いというので、技マシンを借りて覚えさせた技だが、まさかこうして使う日が来るとは思わなかった。

 

 ヒメグマが猛毒状態になり、ミーが負けじと再び『ばくれつパンチ』を指示している。

 こういった所は年齢相応か。真っ直ぐ戦うことしか出来ない素人特有の素直さが出ていた。

 

 ターン経過で治る混乱と違って、流石に猛毒は治せないらしく、ヒメグマが真っ直ぐロコンに攻撃を仕掛けてくる。

 ロコンに『こうそくいどう』を指示して回避に専念させた。今までと違って、回避主体の戦いに切り替えたことで、じれったく感じたミーが「正々堂々戦いなさいよ!」と文句を言ってくる。

 

「ポケモンバトルは、ただ殴り合うだけの喧嘩とは違います。技を駆使したトレーナー同士の駆け引きが重要になってくるんですよ」

 

 暗に、ミーの実力が足りないと言ったのが伝わったようで、グッと悔しそうな顔で歯がみしていた。

 しかし、その間にヒメグマの体力はどんどん削られていく。ミーの意識が一瞬それたことで、ヒメグマの動きも鈍ったので、そこを見逃さずに『かえんほうしゃ』で戦闘不能に持っていった。

 

 倒れたヒメグマが結晶体に戻ると、ミーはそのままバトルを中断してエンテイの背に乗る。

 

「貴方とのバトル、あまり楽しくないわ。別の子にバトルして貰う」

 

 そう言って、ミーとエンテイはサトシ達が向かった上の階へと向かっていった。負けると楽しくないというのは子供そのものだが、お姉さんの姿で言われるとちょっとショックだな。

 

 とはいえ、ここでこうしている訳にもいかない。ロコンをボールに戻すと、すぐにサトシ達の後を追うために階段を駆け上がっていった。

 

 

 




 原作との変化点。

・第163話『古代ポケモンパーク! アルフの遺跡!!』より、オーキド博士にラティを紹介した。
 しっかり、自分で自己紹介が出来た。とっても偉いぜ。

・くさむすびの技レコードを貰った。
 速攻でピカ様に覚えさせた。

・劇場版結晶塔の帝王より、タケシがミーに負けなかった。
 これまでのニューサトシレベリングに付き合っていることで、タケシもカスミさんもレベルアップしている。それにより、一方的に負けることはなかった。決着がつく前にミーが逃げたが、一応引き分けとしている。

・結晶ポケモンにはチートシステムが導入されている。
 独自設定だが、そうでもしないと素人の幼女相手にタケシが負ける理由がない。結晶ポケモンがレベル100説もあったが、映画だとカスミさんが意外と互角のバトルをしているし、チートの方が相手にしていて面白そうだったのでチートを採用した。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.53

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.50

 ドサイドン Lv.52

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.54

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.50

 カモネギ  Lv.50

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.51

 オコリザル Lv.50

 イーブイ  Lv.48

 ベトベトン Lv.49

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.49

 ヤドラン  Lv.50

 ハッサム  Lv.49

 トゲチック Lv.41

 プテラ   Lv.49

 ラプラス  Lv.49

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.49

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44

 カビゴン  Lv.43

 ニョロゾ  Lv.42

 ヘラクロス Lv.36→37

 チコリータ Lv.33→34

 ヒノアラシ Lv.33→34

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.29→30

 ワニノコ  Lv.24→25

 ヨルノズク(色違い) Lv.26→27

 カイロス(部分色違い) Lv.32→33

 ウソッキー Lv.30→31


 前話でカイロスの羽についての個所を修正しました。イメージだけで書いているのでにわかが発動しました。申し訳ございませんでした。また、何かおかしな所があれば教えていただけると助かります。



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