ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#065 『まぁね! 全ては鴨川会長のおかげさ!』

 11歳 κ月ζ日 『タンバシティ ジム戦 VS シジマ』

 

 アサギからタンバまでは船一本なので迷いようがなく、無事に到着し、ジム戦に挑戦することになった。

 小娘は既に薬を持ってアサギに戻っており、イエローはまだ約束の相手が来ていないということでもうしばらく俺達と一緒に行動している。

 

 本来ならアサギで本気メンバー勝負をするつもりだったが、順番が前後してしまったのでここで本気メンバーを出すことにした。

 今回はかくとうタイプのジムだ。常識を考えれば、相性のいいひこう、エスパー辺りを起用するのが普通だろう。ピジョット、リザードン、カモネギ、プテラ、バリヤード辺りが適任か。

 

 と、いう訳でエビワラー、オコリザル、ベトベトンを転送して貰ったぜ☆

 

 え? 常識? 相性? いや、かくとうタイプ相手は真っ向勝負が命やろ! ベトベトンはかくとうタイプではないが、格闘戦が好きなので採用した形である。

 

 そのままタンバジムに行くと、ジムリーダーのシジマが生身でゴーリキーの相手をしていた。

 ふむ、なかなかやるな。少なくとも、前にボコボコにしたサワムラー使いとはレベルが違う。

 

 とりあえず、ジムリーダー側の制限なし、三対三で全力のバトルをお願いすることにした。向こうも特に問題ないということで、そのままバトルが開始される。

 

 こちらの一体目はエビワラー、対するシジマはニョロボンを出してきた。みず技の警戒は必要だが、おそらくシジマは真っ向勝負を仕掛けてくるだろう。あのギラギラに光った目を見れば、裏をかいてくるとはとても思えない。

 

 こちらはいつも通り、『こうそくいどう』で速度を上げる。当然、俺からの指示など出ていないが、エビワラーのちょっとした変化を見切ったようで、シジマは当然のように『こころのめ』を指示していた。

 速度差で攻撃を避けられるのを確信していないと、相手に必ず技が当たる『こころのめ』など使用しないだろう。やはり、シジマはかなりの使い手のようだ。

 

 続けて、『ばくれつパンチ』を指示し、真っすぐニョロボンが向かってくる。『ノーガード』のように、攻撃が必ず当たる特性でもないと使うのが難しい技だが、『こころのめ』を使っていれば迷いなく打てる大技だ。

 だが、大技はこちらにとってカモだった。ニョロボンの攻撃に合わせて、『カウンター』、『きあいパンチ』による超カウンターを発動し、一撃のもとにニョロボンを沈める。

 

 本来であれば耐えることのできない最強のカウンターだが、ニョロボンはギリギリのところで耐えていた。攻撃の当たる瞬間、シジマが『こらえる』を指示したのだ。

 これが『みきり』や『まもる』なら、事前に察知していないと間に合わなかっただろうが、『こらえる』なら後出しでもギリギリ間に合う可能性があった。ゲームと違って、体力がゼロになる前に使えば間に合う仕様なのだ。

 

 とはいえ、こちらが有利なのは間違いない。これが公式戦なら交代の場面だが、ジムリーダーはポケモン交代が出来ない。自由に使える技は後一つしかないこの状況で、今のエビワラーを突破することなどできないだろう。

 

 シジマは『こころのめ』を指示する。とりあえず、攻撃を当てようということなのだろうが、速度差を考えても先に攻撃するのはこちらだ。『マッハパンチ』を指示して、一気に体力をゼロにしにいく。

 エビワラーが突っ込むと同時に、シジマは『こらえる』と『ともえなげ』を指示してきた。『マッハパンチ』を耐え忍び、ニョロボンがこちらの拳を掴んで放り投げてくる。防御技と後攻技の組み合わせとは予想外の一撃だ。

 シジマが使った『ともえなげ』は必ず後攻になるが、攻撃後に相手のポケモンを強制的に交代させる効果がある。自分がポケモンを変えられないのなら、相手を交換させればいいということだろう。

 

 エビワラーが『ともえなげ』のダメージを受けながらモンスターボールに戻っていく。次に出てきたのはベトベトンだった。

 シジマはすぐにまた『こころのめ』を指示し、ニョロボンに『ばくれつパンチ』を当てさせる準備をしている。こちらも『とける』で防御を二段階上げて耐える準備を整えた。

 

 間を置かず、ニョロボンの『ばくれつパンチ』がベトベトンに直撃する。確定で混乱するが、混乱して尚ベトベトンはニョロボンの腕を掴んで『のしかかり』をしていく。もはや、相手にのしかかるのは本能のなせる技だな。

 残り体力が一のニョロボンが耐えられるはずもなく、戦闘不能になる。しかし、いつもは自分の柔らかい体を使って攻撃を受け流すベトベトンも混乱してはそれも難しいようで、珍しく物理技でダメージを受けていた。

 とはいえ、いくらばくパンが威力100の大技と言っても、ベトベトンはどくタイプなので威力は半減している。おまけに防御は二段階上げているのだ。致命傷という訳ではない。

 

 しかし、混乱しているし、このまま突っ張るのは得策ではないので、シジマがニョロボンを戻すと同時に、こちらもベトベトンをボールに戻した。

 

 次にシジマが出してきたのは、カイリキーだ。初代かくとうポケモンの顔とも言っていいポケモンである。こちらは再びエビワラーを出していく。

 だが、シジマも同じ手は食わんとばかりに、カイリキーの四本ある腕のうち、二本を防御に回した。腕が四本あるカイリキーだからこそ出来る技だな。

 

 カイリキーは交換で最終まで進化出来るポケモン故、持っているトレーナーが割と多いが、半数以上がその最大の特徴である四本の腕の使い方をわかっていない印象があった。

 どのトレーナーも特に腕を意識した運用をしていないのはバトルをすればわかる。ただカイリキーの力に任せた攻撃ばっかりしてくるからだ。しかし、シジマはまず腕を使った指示を出している。しっかりと育てているのは見るだけでわかった。

 

 そもそも純粋に腕が倍あるというのはメリットしかないのだ。漠然と使うよりも、意識して使わせた方が強いのは言うまでもないだろう。もし、俺がカイリキーを育てるとしたらシジマのように腕の使い方をしっかりと鍛える。

 実際今も、あれだけ防御を固められると純粋に突破は難しい。必殺のカウンターも防御されれば必殺になりえないし、相手は残った二本の腕で攻撃まで出来るのだ。状況は不利、ここは素直にエビワラーを交代し、最後のオコリザルを送り出す。

 

 オコリザルがフィールドに出るなり、防御を固めて体を左右に振っている。それを見たシジマは、カイリキーの防御態勢を解除し、攻撃へと態勢をシフトさせた。

 オコリザルの防御ごと貫こうということだろう。しかし、うちのオコリザルはインファイター故に殴り殴られの戦いには慣れている。そう簡単に負けるつもりはない。

 

 オコリザルがじりじりとカイリキーにすり寄っていく。カイリキーはまだ動かない。だが、それはまだ攻撃範囲にオコリザルが入っていないからだ。

 相手の手が届く位置に近づいた瞬間、勝負は始まる。オコリザルもわかっているようで、カイリキーの攻撃範囲ギリギリで足を一度止めた。さぁ、殴り合いの始まりだ。

 

「オコリザル、もっと体を左右にウィービングしろ! 攻撃を全て避けるつもりで近づけ、『インファイト』だ!!」

「迎え撃てカイリキー! 左右の腕で逃げ道を塞いでオコリザルをくぎ付けにしろ、『インファイト』だ!!」

 

 カイリキーの特性は互いの技が必ず命中する『ノーガード』か、状態異常で攻撃力が上がる『こんじょう』、夢特性の『ふくつのこころ』だが、シジマのカイリキーはおそらく『ノーガード』だろう。

 相手の技が必ず当たる以上、オコリザルのウィービングに意味はないと思う奴もいるかもしれないが、技が当たるのと、技がクリティカルヒットするので意味が違う。ゲームと違い、リアルのポケモンバトルでは基本的にポケモンは相手の技を受け流して威力を下げているのだ。

 そうでなければ、いくら強くても相性の悪い技を受ければ一撃で倒されてしまう。ただでさえ、物理攻撃力はカイリキーの方が上なのだ。気合や根性で耐えるにしても、真っ向からのぶつかり合いはオコリザルが不利である以上、こうした細かい技術が勝敗を左右する。

 

 実際、想像以上にオコリザルの動きが速く、カイリキーは攻撃を当ててはいるものの、大きな手ごたえを感じてはいないだろう。とはいえ、対するオコリザルも、腕の多さを利用した防御を突破できずに有効打を打てずにいる。

 お得意の『げきりん』と『あばれる』を使用した攻撃コンボも、ああも攻撃を防がれると簡単には出せない。攻撃の後には混乱という大きな隙を晒すし、そもそもあの技は大ぶりの攻撃なので相手の隙を突いて使わないと普通に対策されるのだ。

 

 お互いの『インファイト』が終わると、同時に両者が後ろへバックステップする。まだやれるようだが、オコリザルの息がかなり上がっていた。カイリキーも同様のようだが、この攻防は想像以上に互いの精神を削っているようだ。

 だが、勝負はこれからである。

 互いに攻撃が直撃しない以上、隙を作るしかない。向こうもそれはわかっているようで、四本の腕を駆使して隙を作ろうと攻撃を仕掛けてくる。こちらも、再び体を左右に揺らしながらフェイントを入れつつ、カイリキーに攻撃を仕掛けていった。

 

 再びお互い、『インファイト』で打ち合っていくが、こちらが一つ手を出すと、向こうは二つ出してくる。腕の本数が倍という物理的な差である以上どうしようもないが、スピードはお前の方が上だ。相手が数でごり押ししてくるのであれば、速度を生かすしかない。

 

「相手の攻撃速度に合わせるな! 相手が二つ手を出すなら、こちらも二つ出せ!!」

 

 オコリザルが身のこなしや体の動きをさらに洗練させ、相手の攻撃に合わせて細かい連打を返していく。

 相手の一撃が来る間に、素早を生かして二発打ち込む。手数が同じになったことで、カイリキーが若干守勢に回り、オコリザルが体をくっつけるような勢いでカイリキーに接近していった。

 

「近すぎる。これではオコリザルとて、攻撃の手段は――」

「『ばくれつパンチ』!!」

 

 ほぼゼロ距離。足先から体を回転させ、腰の捻りでパンチの威力を生み出しながら『ばくれつパンチ』をカイリキーにお見舞いする。

 普通ならば、距離が近いと勢いが出なくなり攻撃の威力は下がるが、日々の努力の結果、オコリザルは回転を利用することでゼロ距離でも最大火力を出せるようになったのだ。おまけに、向こうの特性である『ノーガード』のおかげで、本来は命中率50%しかない『ばくれつパンチ』も確定で当てることが出来る。特性と努力がかみ合った必殺コンボだ。

 

 予想外の一撃を受け、カイリキーの腰が落ちる。さらに、『ばくれつパンチ』の追加効果で混乱しているようで、カイリキーはシジマの指示が聞けていない――ここだ。

 

 オコリザルが、体を左右に揺らす。同時に、必殺技である『あばれる』と『げきりん』のターンコンボを指示した。

 オコリザルの左右の連打がカイリキーの顔面を強襲し、ダメージを与えていく。シジマも『まもる』を指示しているが、混乱している上に、オコリザルの連打を受けてまともに思考が働くはずがなく、そのまま倒れるようにカイリキーは戦闘不能になった。

 

 だが、ターンコンボは諸刃の剣でもある。オコリザルも混乱状態に入ったので、シジマの交換に合わせて一度ボールに戻した。しかし、これで二勝である。

 

「やるな。サトシ君、その年でまさかここまでの格闘技術を見せられるとは思わなかったぞ」

 

 まぁね! 全ては、はじめの一歩に出てくる鴨川会長のおかげさ!

 

「だが、勝負はここからだ」

 

 そういって、シジマは最後のカポエラーを繰り出した。アニメやゲームでは、ニョロボンとゴーリキー、オコリザルを使っていたが、まさかカポエラーを使ってくるとは。

 しかし、思えば、ポケスペでカポエラーを使っていたような記憶があるようなないような感じがするし、意外と言うほどでもないのかもしれない。とりあえず、こちらはエビワラーを出して様子見だ。

 

「そのエビワラーのカウンターは確かに一級品だ。しかし、弱点もある」

 

 エビワラーが『こうそくいどう』を積むと同時に、シジマは『フェイント』を指示する。

 やはりばれていたか。前のシバの時にもあったが、先制技に対してだけは超カウンターを仕掛けられない。『きあいパンチ』の貯めが間に合わないのだ。

 だが、こちらにも先制技はある。

 いつものきあパンを使った超カウンターは無理でも、『マッハパンチ』を使った超カウンターなら可能だ。攻撃力は格段に落ちるが、対応できない訳ではない。

 

 相手の攻撃に合わせて、エビワラーがカウンターを仕掛ける。しかし、エビワラーが動き出す直前に、カポエラーの動きが変則的に変化した。そのせいで、タイミングが狂ったのか、エビワラーの超カウンターは失敗し、カポエラーの『フェイント』が直撃する。

 

「続けて、『トリプルキック』!!」

 

 エビワラーの態勢が崩れると同時に、『トリプルキック』が繰り出された。この技は威力が10で、三回の連続攻撃が出来、攻撃が当たるごとに威力が10ずつ上がる技だ。

 合計で60しか威力がなく、おまけにゲームでは一発一発で攻撃が外れる可能性があるので、ネタ技にしかならない技だが、リアルだと連続の足技は回避がしにくく、また『テクニシャン』の特性込みだと威力は90になるので意外と馬鹿に出来なかったりする。

 

 しかし、エビワラーの超カウンターを失敗させるために『フェイント』を使ってきたのか。

 確かに、タイプ一致の『マッハパンチ』を使ってこなかったのは少し疑問だった。文字通り、フェイントをかけられてエビワラーは技を失敗した訳だ。

 高速見切りカウンターきあパンならこうはならなかっただろうが、超カウンターに改良したことで、『みきり』による確実性が消えている。その弱点を突かれたな。

 

 とはいえ、そのデメリットを理解した上でエビワラーは技を改良することを選んだのだ。失敗したのは俺とエビワラーのミスであり、技そのものの欠陥ではない。

 

 だが、『フェイント』からの『トリプルキック』直撃はダメージとしてかなり厳しかった。俺のエビワラーの物理防御が紙ということもあって、想定以上のダメージを受けている。

 そもそも、打たれ弱さを打開するためのカウンター戦術なのだ。それを失敗した以上、エビワラーにはかなり厳しい状況である。しかし、だからといって、逃げていてはいつまで経っても強くなれない。本来であれば交換時だが、敢えてここは突っ張ることにした。

 

「エビワラー、『こうそくいどう』だ。最大まで積め」

 

 策はある。俺だって、いつまでも超カウンター一つで通用するなんて思っていない。いずれどこかで対策されるのは目に見えていたのだ。だからこそ、新たな技が必要だと思っていた。

 

 今回使う技はシンプルだ。相手が反応できない速度で攻撃を連打する。『こうそくいどう』でスピードを最大まで上げ、その上で『マッハパンチ』を連打するのだ。

 攻撃速度を最大に上げたエビワラーの『マッハパンチ』なら、相手に防御系の技を使われない限り防ぐのは難しい。威力の少なさは手数でカバーし、殴り倒す。

 

「『カウンター』!」

 

 だが、やはり付け焼刃の攻撃が通用するほど甘い相手ではなかった。

 シジマは、敢えて一撃を受けた上で確実に反撃を取ってきたのだ。エビワラーの高速の一撃が当たると同時に、カポエラーの体が光り、反撃の蹴りを繰り出してくる。

 これが通常の攻撃なら回避が間に合うが、『カウンター』は攻撃が命中すると同時に反撃が来るから回避が間に合わない。カポエラーの『カウンター』がエビワラーにヒットする。

 

 これで終わりか――と、思ったその瞬間、エビワラーの体が光り、反撃の一撃を繰り出していた。

 

 まさか、『カウンター』をさらに『カウンター』したのか!? ゲームでは出来ない仕様だが、アニポケでは可能らしい。エビワラーの死に際の一撃を受けて、カポエラーは吹っ飛び、エビワラーは前のめりに倒れて戦闘不能になった。

 

 しかし、イタチの最後っ屁のようなものだったようで、そこまで威力はなかったのか、カポエラーは戦闘不能にならずに起き上がってくる。

 だが、十分なダメージは与えられた。思えば、『カウンター』を、ちゃんと『カウンター』としてしっかりと使ったのはこれが初めてかもしれない。普段は相手の攻撃が直撃すると死ぬから使わなかったしな。

 

 エビワラーを戻して、次にオコリザルを出す。

 カポエラーは体力を消耗している。ここで一気に勝負をかける――と、意気込んだ瞬間、カポエラーが不意打ち気味に『トリプルキック』を仕掛けてきた。

 

 オコリザルはガードを固めるも、向こうは隙を与えないとばかりに連続攻撃を仕掛けてくる。しかし、こちらが手を出そうとすると、すぐに間合いから離脱していった。

 おそらく、これはシジマのオコリザル対策だ。

 こちらは既に技を全て使っている。『インファイト』、『ばくれつパンチ』、『あばれる』、『げきりん』、そのうち『インファイト』を除いた三つの技は隙の大きなものだ。

 高速戦闘に持ち込まれると、こちらは『インファイト』以外で対応が出来ないが、『インファイト』もまた使用後に防御や特防が下がるので、下手に使うと起点にされかねない。シジマもそれを狙って、足を止めての打ち合いではなく、ヒット&アウェイを利用した高速戦闘を仕掛けてきたのだろう。

 

 実は、こういう逃げながらの相手が、オコリザルにとって一番苦手な相手だったりする。

 

 だが、こちらのやることは変わらない。攻撃を受けて尚、オコリザルが前進し、カポエラーとの距離を詰めていく。

 その都度、カポエラーも後退して足技を使ってくるが、それでも尚、オコリザルは前進を止めない。技を全て使っている以上、地道に距離を詰めていくしかないのである。

 何度も何度も同じことを繰り返し、段々とオコリザルの体力も厳しくなってきたが、カポエラーが後退しようとした瞬間、遂に背中が壁に当たった。ようやく追い詰めたのだ。

 

「しまった。追い詰められたか!」

「逃がすな、『インファイト』!!」

 

 オコリザルも逃がすかとばかりに、カポエラーへ攻撃を仕掛けていく。

 向こうも気持ちよく攻撃していたが故に、追い詰められていることに気付いていなかったようだが、シジマは焦ってはいなかった。『カウンター』を指示して、返しの刀でこちらを倒そうとしてくる。

 だが、それは想定内だ。そもそも、この一撃で倒せなければこちらの負けなのである。オコリザルは体力がもう限界だし、このチャンスに全てを賭けていた。

 

 オコリザルの連打がカポエラーにダメージを与える。しかし、最後の最後、ギリギリでダメージが足りなかったのか、攻撃の終わりと同時にカポエラーの体が光り、反撃の蹴りでオコリザルが戦闘不能になった。

 

 これで残るはベトベトンだけだ。

 

 しかし、シジマのカポエラーも、エビワラー、オコリザルの連戦でかなりダメージを受けている。有利なのはこちらだ。

 

 ベトベトンがカポエラーを捕まえようと前進する。しかし、シジマは迷いなく最後の技、『ドリルライナー』を使用してきた。

 飛び上がったカポエラーが回転しながら頭から突撃してくる。じめんタイプの技はベトベトンには弱点だ。『とける』で防御力を上げて何とか受けきっていく。

 

 流石のベトベトンも大ダメージを受けたようで顔をしかめているが、カポエラーをしっかり掴んでいた。

 そのまま『のしかかり』で、一気にカポエラーを戦闘不能にしようとするも、『トリプルキック』の連打で拘束を外し、ベトベトンが体で包む前に距離を取っている。

 

 ぶっちゃけ、『どくどく』を使用して時間を稼げば勝ちだが、ここまで来たら接近戦で勝負をつけたい。

 ベトベトンも接近戦が大好きなので拒否はなく、この試合の間、遠距離からの攻撃は指示しないことにした。

 

 シジマは再び『ドリルライナー』を指示してくる。こちらは『ギガインパクト』を指示した。

 威力で勝っている『ギガインパクト』が『ドリルライナー』を弾き、カポエラーを吹き飛ばしていく。同時に技の反動でベトベトンの動きが止まる。その間にカポエラーも何とか態勢を立て直し、隙を突くために、再度『ドリルライナー』で突っ込んできた。

 

 正直、体力的にもこの『ギガインパクト』で決まるかと思ったが、流石はジムリーダーの本気ポケモン、そう簡単にはいかないようだ。

 

 だが、奥の手はこちらにもある。

 

 カポエラーの攻撃が当たる前にベトベトンは硬直が解除され、『ちいさくなる』で『ドリルライナー』をかわしていく。最初の『ドリルライナー』は初見だったこともあって対応できなかったが、来るとわかっていれば対策は容易だ。

 

 予想外の回避方法に驚くシジマだが、それ以上の問題として、小さくなったベトベトンを見失っていた。

 いきなりやられると見失うよな。俺もブルーとロケット団の試合でこの技の強さを再認識したから気持ちはよくわかるぞ。

 

 そのままカポエラーの裏を取ったベトベトンが元のサイズに戻って『のしかかり』を仕掛けていく。

 完全に不意を突かれたカポエラーは先程のように抵抗できず、ベトベトンに飲み込まれてしまった。

 こうなればこちらの勝ちである。元々、体力も残り少ないということもあって耐えられなかったようで、『のしかかり』を受けた時点で動きが止まっていた。

 

 シジマの手持ちが全て戦闘不能になったことで、俺の勝利となり、シジマからタンバジムを制した証であるショックバッジを受け取る。

 しかし、ベトベトンが包み足りないのか、少し物足りなさそうな顔をしていた。またいずれ包む機会があるだろうから我慢してくれよ。

 

 まぁ、少し締まらない終わりだが、それでもこれでバッジは五つ。六つ目であるアサギジムでミカンちゃんが待っているので、すぐに旅立とうとしたのだが、その瞬間ジムのドアが開き、グレーの外套を身に纏ったシゲルに似た髪型の男がジムの中に入ってきた。

 

 

 




 原作との変化点。

・第209話『タンバジム! 真っ向勝負 格闘対決!!』より、ガチの真っ向勝負を仕掛けた。
 たまには常識や相性を無視して殴り合いたいときもある。

・謎のシゲル似の男がジムにやってきた。
 一体、何ーンなんだ?



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.54

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.51

 ドサイドン Lv.53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.55

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.51

 カモネギ  Lv.51

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.50

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.50

 ヤドラン  Lv.50

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.43

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.50

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.50

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.45

 カビゴン  Lv.45

 ニョロゾ  Lv.43

 ヘラクロス Lv.40

 ベイリーフ Lv.40

 マグマラシ Lv.40

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.40

 ワニノコ  Lv.37

 ヨルノズク(色違い) Lv.38

 カイロス(部分色違い) Lv.40

 ウソッキー Lv.39

 バンギラス Lv.55


 アンケートありがとうございました。二日で2000以上も投票して頂けるとは思わなかったので少しビックリしています。
 殆どの方が大まかな流れだけを書くことを望んでいるようなので、大体は流しで行きます。勿論、必要なバトルの時はしっかり書きますが、全部書いていると番外編だけで10話以上かかりそうですしねw

 予定では全七話で終わらせるつもりです。
 AG編に入る前の話として書いているので、残りのジョウト編を更新している間に書き上げられればそのまま更新していきますが、間に合わなかったら少し間を置いてから更新する予定です。
 我ながら、何でこんなことになっているんだろうという話になっているので、皆様にウケるかは少し怪しいですが、まぁ基本的に私の書きたいことの書きなぐりなので気にせず書いていきますw ありがとうございました。



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