ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#058 『おままごとなら他所でやんな』

 11歳 η月κ日 『やって良いことと悪いことの区別くらい教えてやれ!!』

 

 次の階は砂浜だった。夕焼け空に照らされた海が綺麗だが、とても室内とは思えない。

 カスミさんやラティと共に、次の階への移動ルートを見つけると同時に、結晶から具現化した大人のミーとエンテイが現れた。すると、「次はどっちがバトルしてくれるの?」と聞いてくる。

 

 どうやら原作通り、タケシは負けたようだ。

 

 それを肯定するように、エンテイも「ミーが負けるはずがない」と言っている。しかし、その瞬間、タケシのゴルバットが下からやってきた。

 足にはタケシからと思わしき手紙をくくりつけており、そこにはミーの出してくるポケモンが通常ではあり得ない能力を有していたこと、また搦め手で攻めたらムキになって逃げられたことが書かれている。

 

「ミーが負けるはずがないねぇ。おかしいなぁ、タケシからの手紙にはバトルから逃げられたって書いてあるけど? お前をトレーナーと言って良いかは別として、バトルを挑んだ側が逃げちゃダメだろう」

「だめー」

「そーだよな、ラティ。だめだよなー」

 

 しかし、ミーは「あの子が面白くないバトルをするのが悪いのよ」と顔を背けており、エンテイも「そうだ」とミーを肯定していた。この全肯定BOTエンテイめ。

 とはいえ、バトルを申し込まれた以上、受けるのはトレーナーの礼儀である。タケシは逃がしたようだし、今度こそ俺がこいつをボコボコにしてやろうと思ったのだが、今度はカスミさんが前に出て「ここは私に任せて」と言ってきた。

 

「貴女は?」

「世界の美少女。名はカスミ、これでも一応ハナダジムのジムリーダーの資格を持ってるわ」

「貴女がジムリーダー?」

「見損なわないでくれる。これでもみず系トレーナーとしてはかなりのレベルを自負してるんだから」

「みそこなわる」

「よし、ラティはこっちおいで」

 

 ラティはともかくとして、カスミさんの言葉を聞いて、ミーも「大人じゃ無くてもジムリーダーになれるんだ」と感心している。エンテイも「なれるさ。ミーは何にでも」と、またもや全肯定BOTになっていた。

 同時に、ミーの年齢が10代後半くらいから俺達くらいに変化する。どうやら、カスミさんに年齢を合わせていたらしい。

 

「あの子の実体はきっとサトシのママと一緒よ。早くママの所へ」

「そうまで言うなら任せるけど、負けたら罰ゲームだからな」

「ばつげーむ」

「じゃあ、私が勝ったらサトシが罰ゲームね」

「……やっぱ止めとく。とにかく負けんなよ!」

「まけんなよ!」

 

 ラティと共に次の階への階段に向かって走り出すと同時に、カスミさんが「私はハナダジムの子。みずタイプのポケモンでお相手するわ」と、ミーに宣言しており、向こうも「じゃあ、私もみずタイプのポケモン!」と張り合っている。

 同時に、海から大きな波が浜辺を襲い、室内が一気に水で一杯になった。水の抵抗こそ感じるが、呼吸は普通に出来る。本当に何でも有りだなと思っていると、下でカスミさんとミーのバトルが開始された。

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 サトシとラティを見送ると同時に、室内が水で埋め尽くされた。溺れると一瞬思ったけど、すぐに呼吸が出来ることに気付く。タケシの報告通り、本当に何でもありのようね。

 

「バトルしましょう」

 

 すぐにミーの方へ振り向くと、結晶で作り出したモンスターボールからキングドラを出してくる。

 サトシとシゲルとのバトルで初めて知ったけど、まさかシードラにまだ先の進化があるとはね。いつか、私のシードラもキングドラに進化させたいんだけど、りゅうのウロコってどこで手に入るのかしら。

 

 っと、相手のポケモンに関心している場合じゃないわね。こちらもパルシェンを一番手として送り出す。

 確かサトシに聞いた話だと、キングドラは進化したことで、みず・ドラゴンタイプに変化して、弱点がドラゴンとフェアリーのみになるのよね。つまり、相性有利なバトルは出来ない。

けど、それは相手も同じ。

 私はサトシと違って、ポケモンが覚える技を全て把握している訳じゃ無いけど、少なくともシードラまでではパルシェンに有効打のある攻撃はなかったはずよ。

 

 ミーはキングドラに『えんまく』を指示して、姿を隠していく。タケシからの手紙だと、搦め手はあまり得意じゃなさそうって書いてあったけど、タケシとのバトルでしっかり吸収されちゃったみたいね。

 とりあえず、特殊攻撃が来ると不利なので、『ひかりのかべ』を指示して特殊攻撃を半減させる。私はカンナ様みたいに『テレポート』で攻撃をひたすら回避させるなんて高等テクニックは使えないから、素直にガードを上げていきましょう。

 

 こっちの『ひかりのかべ』を見たせいかはわからないけど、ミーは『ずつき』を指示してきた。けど、パルシェンの物理耐久は天下一品よ。殻による防御でダメージを受け流し、そのまま『つららばり』でダメージを与えていく。

 私のパルシェンもカンナ様と同じ、特性『スキルリンク』だから、回数系の攻撃が最大回数出る。『つららばり』の五連射がキングドラを襲うけど、キングドラは悠々と『つららばり』を回避していった。

 

 天候が雨という訳でもないのに、あの回避能力は何なの? いくら何でも不自然すぎるわ。

 とても普通とは思えない。あれがタケシの手紙にあった通常ではあり得ない能力ってこと?

 

 ミーが次に『アイアンヘッド』を指示してきたので、『とげキャノン』で迎撃するも、キングドラは『アイアンヘッド』でキャノンを全て弾いてくる。

 そんなの有り!?

 そのままパルシェンに『アイアンヘッド』が直撃した。でも、パルシェンの物理耐久ならまだ耐えられる。こうなったら、こっちも物理技で行ってやろうじゃない!

 

 パルシェンに『とっしん』を指示して、キングドラに突撃をかける。ミーも、受けて立つとばかりに、キングドラに『とっしん』を指示していた。

 二体の体がぶつかり合う。普通なら耐久の高いパルシェンの方が有利のはずなのに、キングドラはまだまだ行けるという顔をしている。

 

 いつもサトシに付き合わされている私達のポケモンは決して低いレベルじゃない。

 流石に四天王クラスとは言わないけど、それでも私のパルシェンはジムリーダーの本気ポケモン相手でもかなり良い勝負が出来るレベルになっている。

 そのパルシェンの攻撃を受けて意にも返さない耐久力に、こちらの攻撃を楽勝で躱してくるあの回避力。多分、タケシとのバトルで変化技に苦戦した結果、あの回避力を。負けたくないという気持ちがあの耐久力を生み出しているんでしょうね。厄介なことだわ。

 

 とはいえ、回避や防御に重きを置いているからか、思った以上に攻撃力は高くない。このまま物理的な攻撃合戦になれば、私の方が有利に立ち回れるはず――

 

「キングドラ、『はかいこうせん』!」

 

 こちらの意識が攻撃によった瞬間を狙っての特殊技!? いえ、多分偶然でしょうね。けど、いくら『はかいこうせん』とはいえ、『ひかりのかべ』で威力は下がっている。パルシェンの特殊防御が低い方とはいえ、そんな簡単には倒れは――って! 倒れた!?

 

「パルシェン!?」

 

 ダメージ的にはまだ十分耐えられたはず。まさか、『ひかりのかべ』の効果を無効にしてきた?

 そうでもなければ、私のパルシェンが倒れるとは思えない。急所への一撃という感じでもなかったし、多分ミーの搦め手への苦手意識が『ひかりのかべ』を無効化してきたんでしょうね。

 

 ミーを見ると、キングドラと一緒に無邪気に勝利を喜んでいる。多分、あの子が意識してやってるんじゃない。無意識の感情にアンノーンが反応しているんだわ。

 

 ミーはお役目ご苦労様とばかりに、キングドラを結晶に戻し、また新たなモンスターボールを構えた。こちらもパルシェンを戻し、次のボールを準備する。

 ミーの二体目はマンタイン、私はスターミーを送り出した。スターミーは『10まんボルト』が使えるわ。相手がみず・ひこうタイプなら有利に立ち回れるはず。

 

 ミーはマンタインに『たいあたり』を指示してきた。こちらは『10まんボルト』で弱点を突いていく。思った通り、感電はしない。海を模してはいても、実際に海の中という訳ではないみたいね。

 流石に、みずタイプにでんき技が効かないということはないようで、四倍弱点の攻撃を受けてマンタインが大ダメージを受けていた。

 やはり、中身はまだ子供のようで、「みずポケモンがでんき技!?」と驚いている。しかし、すぐに『うずしお』を指示して、こちらの動きを封じてきた。

 けど、その辺りの拘束技は私のスターミーには効かないわ。『こうそくスピン』を指示して、マンタインの『うずしお』から抜け出していく。同時に、『しおみず』を指示して、かつてサトシを苦しめたコンボをマンタインにおみまいした。

 

 ミーも素直に「すごーい」と感心している。しかし、まだまだ諦めないとばかりに、マンタインに『とっしん』を指示していた。

 こちらも負けじと『こうそくスピン』で対抗する。勝つだけなら、それこそ『どくどく』のような変化技を使えばいいだけだわ。だけど、多分この子はそれじゃ納得しない。きっと、タケシの時みたいに逃げてしまう。

 この子が納得するには、真っ正面からこの結晶ポケモンを倒すしかない。そう判断し、スターミーを突撃させた。

 

 ミーも、ようやく楽しいバトルが出来たとばかりに喜んでいる。それを見て、エンテイも優しげな笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 階段を上りきると、結晶で出来た部屋にたどり着いた。奥にはベッドが一つ置いてあり、眠っているミーの本体をママさんが面倒見ている。

 どうやら怪我はないらしい。心配したと伝えると、ママさんは逆に「こんな所に来るなんて、相変わらず無茶な子ね」と感心していた。別に大したことはしてませんけどね(キリッ)。

 

 この部屋に誰かがいるような気配は感じない。おそらく、アンノーンはこの場にはいないのだろう。

 エンテイもカスミさんが引きつけてくれている。今のうちに脱出しようと提案すると、ママさんも頷いてミーを起こしていた。

 ママさんと一緒に、ミーにここから出るように言葉をかけるが、ミーは今の幸せを失いたくないと悲鳴を上げる。それに反応するように、アンノーンの力が発動し、部屋中が結晶で埋め尽くされていった。

 

 ラティには元の姿に戻って、ママさんの所へ行くように指示を飛ばす。まさかポケモンだとは思わなかったのか、ママさんも驚いていたが、ラティが『まもる』と思念を飛ばすと「お願いね」と頭を撫でていた。

 同時に、ミーの異常を感じ取ったらしいエンテイもこの場に現れ、「その人を置いて出て行け」と言ってくる。てめぇ、何様だ? 調子に乗るのもいい加減にしろよ。

 

「ここではその人はミーの母親なのだ」

「おままごとなら他所でやんな。他人に迷惑をかけて喜ぶような子供遊びに付き合う趣味はねぇんだ。今の状況を見たら、その子の本当の親も悲しむだろうぜ」

 

 俺のストレートな言葉に、隠れて様子を見ていたミーが悲しそうな表情を浮かべる。同時に、エンテイの顔に怒りの表情が宿った。

 

「出て行け」

「行かねぇよ。てめぇ、確かその子の父親とか抜かしてたっけか。仮にも父親名乗るなら、やっていいことといけないことの区別くらい教えてやれ! てめぇはその子を甘やかしているだけだ。そんなの父親でも何でも無い。てめぇには父親を名乗る資格もねぇよ!!」

 

 エンテイは怒りに任せて『せいなるほのお』を繰り出してきた。それを躱し、キングラーを出す。

 おまけに、かつてセキエイ大会でブルーがやったボール技術を応用して、ボールをエンテイの近くまで投げた。それにより、キングラーはエンテイのすぐ側に姿を現している。

 即座にキングラーへ『クラブハンマー』を指示した。エンテイは躱すために両足に力を入れたが、それよりもキングラーの攻撃が当たる方が早い。弱点の攻撃を受けて、エンテイが一瞬顔を顰めるも、すぐに距離を取って『せいなるほのお』で反撃してきた。

 

 だが、俺のキングラーも一撃でやられるほど弱くない。追撃の『クラブハンマー』を食らわせるために跳躍する。

 しかし、エンテイもまた早かった。『クラブハンマー』を躱し、再び『せいなるほのお』でキングラーを戦闘不能にしようとする。流石のキングラーも二度目は耐えられなかったが、一矢報いるとばかりに、いつの間にか覚えていた『ハイドロポンプ』をエンテイにおみまいしていた。

 

 キングラーは特攻の種族値が高くないが、それでも高威力のみず技を受けたエンテイもノーダメージではなかった。

 俺もキングラー一体で伝説のポケモンを倒せると自惚れては居ない。続く二体目にドサイドンを出し、即座に追撃をかけた。

 エンテイも、二度も同じ小細工は通じないとばかりに、俺のボールを避けるように移動している。いいさ、ここからは真正面からのバトルだ。

 

 ドサイドンに『じしん』を指示する。ここは室内だが、アンノーンの力があるから壊れはしないだろう。遠慮無く、じめんタイプの高威力技で弱点を突いていく。

 エンテイも結晶を足場に跳躍して攻撃を躱していくが、その避け方は想定内だ。『がんせきほう』を指示して、空中で動けないエンテイにさらなる追撃を与える。いくらエンテイが強いとはいえ、ドサイドンのタイプ一致威力150の弱点技を受けたのだ。ただでは済まないはずである。

 

 実際、ダメージは大きかったようで、「ぐぅ」と苦しそうな声を上げながらエンテイが体勢を立て直した。

 だが、エンテイが体勢を立て直す間に、ドサイドンの反動も解除されたので、追撃の『ドリルライナー』でとどめを刺そうとする。エンテイも負けじと立ち上がり、口から緑色の光線を出して反撃してきた。

 

 耐久力のあるドサイドンが一撃で戦闘不能になる。どうも、あれはドサイドンの弱点であるくさタイプの技による攻撃のようだ。

 特性、『ハードロック』を持っているドサイドンが一撃で戦闘不能になったってことは、かなりの威力の技だと推測できる。しかし、仮に『ソーラービーム』だとしたら、技の溜めがいるはずだ。これが、タケシの言っていた通常ではあり得ない何ちゃらって奴か。

 

「成程な。幻なら、何でも有りって訳か」

「私が幻だと?」

「結晶化した肉体。本来あり得ない技の使い方。幻以外の何がある。現に、普通なら戦闘不能になってもおかしくないダメージを受けたにもかかわらず、お前のダメージは回復しつつある。その超回復も通常のエンテイにはあり得ないことだ」

 

 少なくともキングラーの与えたダメージは既に回復していると見て良い。でなければ、二度の弱点技を受けた上で『がんせきほう』を受けて、こんなにピンピンしているはずがないのだ。

 

「ただまぁ、サンドバッグは固い方が助かる。ここの所、新人の育成ばっかりで、全力バトルは出来てなかったしな。もう少し、俺のポケモン達に付き合って貰うぜ!」

「ほざけ!」

 

 エンテイの咆哮に合わせ、三体目のプテラを送り出す。今回、ピカ様、リザードン、ゲンガー以外は全員対エンテイ用に相性を重視した選出をしていた。

 ドサイドンは草技で倒されたが、プテラはひこうタイプも持っているが故に、くさ技も効かない。さて、こいつをどうやって倒す、エンテイさんよ。

 

「私は、幻ではない。私は、この子の父親だ!!」

「なら、少しは父親らしいことをしろ! てめぇはその子のしたいことをさせているだけだ! 他人に迷惑をかけて喜ぶような子供を認める父親なんてクズと変わんねぇよ!!」

 

 俺の咆哮と同時に、プテラの『ストーンエッジ』がエンテイに向かって発射される。だが、エンテイはそれを回避せずに、真っ直ぐプテラへと突進してきた。

 ダメージを受けた上でプテラに覆い被さり、そのまま馬乗りになる。押さえつけられては『じしん』や『ストーンエッジ』は使えない。『かみくだく』を指示して、エンテイに噛み付かせる。

 しかし、エンテイは効かぬとばかりに『せいなるほのお』を連打して、強引にプテラを戦闘不能にしてきた。

 

「これでも私が幻だというのか!?」

「ドサイドンが与えたダメージも回復したか。こりゃ、ダメージの積み重ねで勝つのは無理か?」

 

 もはや、問答をするつもりはない。こいつは俺の言葉を理解しようとはしないだろうし、ミーもまた俺の言葉を否定するだけなのは目に見えている。この馬鹿親子に現実を見せつけるには、あの子が生み出したこの幻のエンテイを真っ向から倒す以外に手はないのだ。

 

 勝負をつけるつもりで、四体目としてリザードンを出そうと思ったが、ピカ様が飛び出していく。どうやら続け様に仲間がやられて我慢の限界が来たようだった。

 戻すつもりはない。気持ちはわかるので、そのままピカ様でエンテイと対面する。純粋なパワーは他の進化後ポケモンより多少劣るが、ピカ様にはスピードとテクニックがあった。

 

 エンテイの『せいなるほのお』を弾くように、『10まんボルト』を当て攻撃を相殺していく。『こうそくいどう』でスピードを上げながら防ぎきれないものは回避し、隙を見て『わるだくみ』で火力を上げて行った。

 

 速度と火力を最大まで上げると、『かげぶんしん』でエンテイを惑わせていく。いくらチートポケモンとはいえ、分身を見破るのは難しいようで、その隙をついてピカ様がエンテイの背中に飛びついた。

 そのまま、ゼロ距離『かみなり』を全力でお見舞いする。アニメで大型ポケモン相手に良くやる攻撃だが、思えばこの戦術を使うのは初めてかもしれない。

 だが、この場でいえば有効な策だった。

 エンテイは四足歩行型のポケモンだ。当然、背中は死角であり、振りほどくには体を揺らす以外に方法はない。ピカ様は死ぬ気で掴まっており、最大火力の『かみなり』は回復よりも早くエンテイの体力を削っていく。

 

 このまま行けるかとも思ったが、エンテイは恥を捨て、背中から地面に倒れこんだ。

 エンテイと地面に挟まれたピカ様の拘束が一瞬緩み、エンテイが自由を取り戻す。倒れたピカ様は体勢を立て直そうとしていたが、それよりも『せいなるほのお』の追撃が来る方が早かった。

 

 ピカ様が直撃をくらい、そのままこちらへ飛ばされてくる。流石のピカ様とはいえ、エンテイの『せいなるほのお』の直撃は耐えられない。地面に落ちる前にキャッチしたが、戦闘不能となってしまった。

 

「よくやった」

 

 だが、このダメージは決して小さなものではない。時間をおけば回復されてしまうだろうが、その前に一気に勝負をつける。

 五体目として、リザードンを出す。正直な話、倒すだけならゲンガーに『ほろびのうた』や『みちづれ』を使わせれば良いだけだし、最悪は暴君に頼るという手もある。

 最初はダメージ勝ち出来るかと思って、開幕ゲンガーという大人げのない行動は自重したのだが、もしリザードンが奴の相手にならなければその手を解禁しようと思う。

 

 しかし、今、俺とリザードンの気持ちは一つになっていた。こいつをぶっ飛ばすという気持ちだ。

 これまでは何だかんだそこまで深く気持ちを一つにするには、負けたくないという気持ちがリンクするしかなかったが、この状況が俺達の気持ちを最初から一つにしてくれていた。

 

 きずな現象が発生し、俺達の意識がシンクロしていく。体に炎の膜がある以上、まだ完全なきずな現象ではないようだが、それでも開幕から意識が一つなったのはこれが初めてだった。

 

「何だ、そいつは……?」

「きずなリザードン。俺とリザードンの力だ」

 

 きずなリザードンが『フレアドライブ』で、真っ向からエンテイに突撃していく。同時に、エンテイも『フレアドライブ』で応戦してきた。

 この野郎、当たり前のようにフレドラ使ってんじゃねぇ! このチートが、唯一神はレベルでフレドラなんて覚えねぇだろうが! まぁ、それを言ったらソラビも覚えねぇんだけどな!

 

 通常状態ならぶっ飛ばされていたかも知れないが、きずなリザードンはエンテイに拮抗している。

 エンテイも押し切るのは無理と判断したようで、バックステップからの『せいなるほのお』を撃ってくる。こちらも『かえんほうしゃ』で迎撃した。『ブラストバーン』なら貫くことも出来ただろうが、反動で少しの間動けなくなる。こいつ相手に動きを止めるのは流石にリスクが大きすぎた。

 

 互いの攻撃が相殺される。これまで俺のポケモンを簡単に戦闘不能にしてきた『せいなるほのお』を『かえんほうしゃ』で相殺できたということは、流石のチートエンテイもまだ体力を回復しきれていないという証拠だ。

 とはいえ、それも時間の問題だろう。おまけに、きずな現象は約一分が限界だし、このままだらだらバトルをすれば不利になるのはこちらの方だ。

 

 エンテイの動きを封じるために『ほのおのうず』を使う。いくらエンテイとはいえ、きずなリザードンの拘束技はそう簡単に解除できないはずだ。その間に、全力の『ブラストバーン』で勝負を決める。

 こちらが勝負に出るとわかったようで、エンテイもまた拘束されたまま『せいなるほのお』を口元で貯めて巨大な玉のようにしていた。少しでも威力を上げようということだろう。

 

「決めるぞ! 『ブラストバーン』!!」

 

 こちらの究極技と向こうの最大攻撃がぶつかり合う。

 互いの全力攻撃ということもあって、衝撃で部屋中の結晶にヒビが入っていく。しかし、流石は偽物とはいえ、伝説のポケモンである。きずなリザードンの全力を持ってしても尚、その攻撃を相殺するのが限界だった。

 

 きずな現象が解除される。慣れてきたのか、はたまたダメージをそこまで受けていないからか、疲労は今までよりも格段に少ない。

 しかし、きずな化して尚、勝てなかった以上、今のリザードンではエンテイに勝つことは出来ないだろう。良い経験をさせて貰ったということで、リザードンを戻してゲンガーを送り出す。

 

 悪いなゲンガー。本当なら、お前も真っ向からエンテイと戦ってみたいと思うだろうけど、一丁頼むわ。

 

 俺の言葉を聞いて、仕方ないとばかりにゲンガーが『ほろびのうた』を歌う。エンテイは特に疑問も持たずに、『せいなるほのお』を撃ってきた。

 回避に専念するゲンガーだが、多段攻撃にシフトしたエンテイの一撃を避け切れずに戦闘不能になる。だが、同時に『みちづれ』が発動し、そのままエンテイも戦闘不能に持って行く――

 

 ――はずだった。

 

「チッ、何でも有りにも程があるだろう」

 

 エンテイは何をしたかわからないとばかりの表情でピンピンしていた。どうやら、アンノーンの力のおかげか、エンテイに『みちづれ』は効かないらしい。この分だと、『ほろびのうた』も効果はないだろう。

 ゲンガーをボールに戻す。

 ピカ様がこうなればまた自分が出るしかないと頬の電気袋をスパークさせながら傷ついた体を起こしているが、いくらなんでもそれは無謀だし、そろそろこの馬鹿騒ぎにもケリをつけたい。マスターボールを出して、暴君にご登場願った。

 

『随分、苦戦しているようだな』

「お前の力なしでも勝てるかと思ったけどな。いろいろ法則無視されるとどうにも辛い物があったわ」

『見ていたから知っている。私も相当だが、あの者は本当の意味で作られたポケモンなのだろう』

「勝てるか?」

『勝つさ。私を誰だと思っている? 私はミュウツー、最強になるべくして生まれたポケモンだ』

 

 

 




 原作との変化点。

・カスミさんがミーと互角の戦いをしている。
 映画ではトサキントがキングドラに瞬殺されたが、チート攻撃を分析しながらの戦いになっている。劣勢だが、スターミーを軸に立て直した。場面転換したが、最終的には時間切れでミーの結晶は消え、エンテイは最上階へ戻った。

・ニューサトシとエンテイが戦った。
 エンテイは常時リジェネと、常時パワフルハーブ、技マシン、技レコード技使用可能のチート状態。レベルは60くらいで、個体値は最大に設定されている。相性をついてダメージを与える作戦でサンドバッグにしたが、リジェネで回復された。きずな化が完全な状態なら勝てた可能性はあるが、最終的にはゲンガーのほろびのうたやみちづれも無効にされたのでミュウツーに降臨願っている。チートポケモンなので経験値が普通のポケモンより多く、負けても尚レベルが上がった。


 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.53→54

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.50

 ドサイドン Lv.52→53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.54→55

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.50→51

 カモネギ  Lv.50

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.51→52

 オコリザル Lv.50

 イーブイ  Lv.48

 ベトベトン Lv.49

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.49

 ヤドラン  Lv.50

 ハッサム  Lv.49

 トゲチック Lv.41

 プテラ   Lv.49→51

 ラプラス  Lv.49

 ミュウツー Lv.70

 バリヤード Lv.49

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.44

 カビゴン  Lv.43

 ニョロゾ  Lv.42

 ヘラクロス Lv.37

 チコリータ Lv.34

 ヒノアラシ Lv.34

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.30

 ワニノコ  Lv.25

 ヨルノズク(色違い) Lv.27

 カイロス(部分色違い) Lv.33

 ウソッキー Lv.31


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